2018/10/24 苦土川大沢左俣左沢遡行・西沢右俣下降
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
苦土川大沢左俣左沢遡行・西沢右俣下降計画書 ver. 1.1
作成者:丸山
■日程 2018/10/24(水)前泊日帰り
■山域 那須
■在京本部設置要請日時 当日 21:00
■捜索要請日時 翌日 10:00
■メンバー(計2名)
CL丸山 SL木口
■集合・アプローチ
10/23夜に荻窪駅周辺で合流し、丸山車で深山ダム湖畔へ行き前泊、明朝に林道七千山線へ
■行程(予定時間)
5:30 出発
6:00林道終点より入渓
6:30 西沢出合
8:00 二俣
11:00 尾根を乗っ越す
15:30 西沢下降終了(西沢出合)
16:00 林道終点へ脱渓
16:30 帰着
(計11:00)
(https://www.yamareco.com/modules/yr_plan/detail-664471.html)
■エスケープルート
大沢:引き返すか、右岸尾根を下るか、早めに西沢に移行するか、詰めて登山道・峠沢を下る
西沢:そのまま進む
■遡行図
大沢左俣:
(https://blogs.yahoo.co.jp/well_ksandw/11286204.html)
(http://sonosoranoshitade.web.fc2.com/sonosoranoshitade3/page020.htm)
西沢:日本登山大系[普及版]2 p.27
■共同装備
救急箱(苺)
熊鈴
8.6mm×45mロープ
8.6mm×30mロープ
ハーケン・カム
ハンマー(無孔)
ハンマー(有孔)
■遭難対策費
100円×2人
計200円
■備考
日の出(10/24)5:55
日の入(10/24)16:55
那須塩原警察署 0287-67-0110
苦土川大沢左俣左沢遡行・西沢右俣下降記録
作成者:丸山
■日程 2018/10/24(水)
■山域 那須
■天候 曇り時々晴れと小雨
■メンバー(2人、敬称略)
CL丸山(35/M2)、SL木口(39/B2)
■総評
苦土川大沢は前評判通り、面白く快適に登れる滝が多く、明るくて良い沢だった。一般的には詰めと下山が面倒とされるが、西沢下降と組み合わせることでその面倒さを排除するルートを考案・実行することができ、その点でも充実した山行であった。
■ヤマレコ記録
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1628474.html
■時間(括弧内は予定時間)
5:59(5:30) 出発
6:26(6:00) 林道終点より入渓
6:38(6:30) 西沢出合
7:53(8:00) 二俣
10:40(11:00) 尾根を乗っ越す
14:25-15:47 西沢17m滝
16:43(15:30) 西沢下降終了(西沢出合)
16:58(16:00) 林道終点へ脱渓
17:18(16:30) 帰着
■ルート・周辺概況
※遡行図を作成した。滝の落差等はその遡行図に基づく。
・深山ダム右岸にはトイレのある駐車スペースがあり、前泊場所として良い。携帯の電波も入る。
・林道七千山線は荒れているので走破性の高い車以外では入らないほうが良い。
・林道終点からは踏み跡が伸びていて、最終堰堤の下に至る。この堰堤は右から越える。その先30分のゴーロ。
・二俣までの連瀑帯は終了点や中間支点の残置が多い。慣れた人ならロープは不要(II~IV)。この辺りで毎回ロープを出すと日帰りは厳しくなると思われる。
・左俣に入っても連瀑帯は続くが、慣れた人ならロープは不要(III程度)。
・40m大滝はそれほど難しくないが(III+)高いので、ロープを使った方がいい。残置支点豊富。
・大滝で大沢左俣の核心は終わり、左沢に入ると藪と小滝(III+以下)が交互に現れる。
・大沢左俣左沢から西沢右俣への乗っ越しは、藪も薄く容易。
・西沢右俣の滝はいずれも容易に下れる。
・西沢の三俣より下の滝は、17m滝のみクライムダウンが厳しい。45mロープで懸垂下降可能。捨て縄残置。
・西沢下部は、大沢下部と同様に単調なゴーロ。
■行動記録(敬称略)
・出発まで
荻窪で19:30頃に予定通り合流し、イオンモール春日部に寄って買い出し。目論見通り半額品多数。快適な国道4号線を北へ向けてひた走って、23:40頃に深山湖畔に到着。遠い割には結構早く着いて良かった。ここで車中泊。よく覚えていないが確か4:30に起床。暗くて寒くてやる気がしないし木口は「温泉に転進?」とか言っているがともかくも準備を進め、林道七千山線へと移動。特にゲートもないので行けるだけ行こうとしたが、すぐに路面状況が悪くなって、路肩に駐車。出発準備していると明るくなってきて、出発。朝食や移動に思ったより時間がかかって30分近く遅れた。
・入渓まで
大沢下部は堰堤が連続するので、林道でまとめて巻く。林道終点からは踏み跡が伸びていて、最終堰堤の下に至る。ここで丸山は靴を履き替えてデポしておき、沢を渡渉して堰堤を右から越えて、入渓。
・二俣まで
入渓して30分ほどはゴーロが続くが、紅葉が綺麗なので悪くはない。右からゴーロの枝谷が入るところで急に連瀑帯が始まり、次々と現れる滝を快適に、殆どをフリーで直登。1か所だけA0した滝があったような気がする。この連瀑帯はスラブ状のナメもあって渓相も良く、振り返れば遠くまで見渡せる素晴らしいところ。晴れていないのが惜しまれる。
・左俣大滝まで
右俣は東京起点120で紹介されているが、ガレゴーロで遡行意欲が湧かない。予定通り左俣を選択し、最初の20mスラブ滝は傾斜も緩く、左から快適にフリーで直登。ここで食事休憩。小滝はまだまだ続くが、やはり快適に登れる滝ばかりなので最高。進んでいくと正面にルンゼが見えて水が大幅に減少し、右を見ると40mの大滝である。ここでようやくロープの出番。丸山がリードし、ラバーソールばち効きの花崗岩を快適に登る。残置支点も多く、安心して登れる。立木で終了点として木口も問題なくフォロー。
・尾根の乗っ越しまで
大滝を終えるとこの沢の核心は終わりで、あとは10mほどの容易な滝を越えると、奥の二俣。今回は西沢下降予定なので、左沢へ入る。すると急に藪っぽい沢になってテンションガタ落ち。とはいえ進み続けると、30mほどの斜瀑が出てきて悪くはない。登ると再び藪となり、楽なところを求めて沢筋から出たり入ったりして登ると、今度は8mほどの滝。さらに藪、小滝、藪と繰り返すと、急に沢形がはっきりしなくなって、詰めの様相。スラブ状を想像していたが予想より藪が多く残念。妙な蛍光色を放つ地衣類を愛でながら適当に登ってトラバースし、軽い藪漕ぎで西沢側へと乗っ越す。ここではガスが出ていて景色が楽しめず残念。
・西沢右俣まで
下降を予定していた西沢の枝谷は、空中写真から開けていることが分かっていたのでスラブかと思っていたが、崩壊地だった。従って谷筋は下れず、崩壊地脇の灌木帯を下るが、思ったより下りやすく、容易に崩壊地を巻いた。崩壊地が終わると今度は酷い笹藪で、木口は好きなやつだが丸山としては微妙。そのまま下って西沢右俣の本谷に出たが、相変わらず水はない。
・17m滝手前まで
西沢右俣に出ると涸れ小滝が5つほど出てくるが、いずれもクライムダウンか小さく巻ける。5つ下ったあたりでようやく水が出てきて、少しは渓相が良くなるかと期待するが、そうでもなく、相変わらず微妙な渓相。小雨も降ってきてテンションが下がる。小滝をいくつか下ると、立て続けに中俣と右俣が出合って、水量が劇的に増加。登山大系の遡行図通り、小滝が多くなるが、いずれもそれほど苦労せずに降りられる。次第にナメも現れ始め、渓相が良くなる。登山大系で40mとされる滝は実際は20m程度の斜瀑で、左岸の笹藪からモンキークライムダウンした。さらに2つの滝を下ると、登山大系で35mナメ状とされる滝。
・17m滝
この滝はクライムダウンが難しそうであったため、懸垂下降を選択。丸山は45mロープで足りそうと判断してセットしようとしたが、木口がそれでは長さが足りなさそうなのでとロープ連結を主張。丸山はそれを容れてロープ連結し、適当な立ち木に捨て縄を残して懸垂下降。しかし降りてみてロープの流れを確認すると、流れない。それを説明しようとしたが滝の上下では声が通らずどうにもならない。結局木口が流れが良くなるようにしてロープを再セットし降りてきたが、また流れず。仕方ないので丸山が滝を登り返し、下から見ると17m程度の滝で45mロープのみで足りる確信はあったので、今度は45mロープのみでセット。再度懸垂下降後、ロープ回収に成功。結局90分弱この滝にかかり、日没前下山が怪しくなってくる。気づけば小雨はやみ、晴れていた。
・下山まで
登山大系では、17m滝の下にも4つの滝があることになっており、これが面倒な滝ならばヘッデン下山は免れないと覚悟していたが、幸い容易に下れる滝と単調なゴーロだけで、朝に見覚えのある西沢出合に至る。あとはゴーロを下るだけ。堰堤を下ってから、林道に戻る踏み跡とデポした靴を探すのに少し手間取ったが、何とか明るいうちに林道に戻れた。あとは、今日も充実していた山行の余韻に浸りながら、林道を歩いて下るのみ。木口は薄暗い林道を恐れてヘッデンを出していたが、丸山はそのまま歩いた。
・帰宅まで
車に戻り、既に日没時間を過ぎているので急いで在京連絡をするため、着替えもせずに車に乗り込む。路面状況の悪さのせいでUターンに苦労したが、何とかUターンして林道を下る。途中で前泊場所のトイレに寄って着替えと下山連絡を済ませ、ようやく落ち着く。帰りは宇都宮餃子でも食べて帰ろうかと思っていたが行った店がお休みだったので、木口が「こんな時でもないと食べない」と言う家系ラーメンに転進。「なんで宇都宮に来て横浜の食べ物?」という気もしたが人気店らしく美味しかった。その後木口は車内で寝てしまったが、23時前頃に荻窪着、24時過ぎに自宅着。
■備考
・ヤマビルなし。人との遭遇なし。熊糞のような物を複数見たので熊は多いかもしれない。
・前夜に本降りの雨が降っていたが、増水は感じられなかった。
・大沢は、水が少なくあまり濡れないので秋におすすめの沢。紅葉も美しい。但し素早く行動しないと日が暮れる。春は雪渓が残るらしい。
・大沢はラバーソール推奨だが西沢はフェルトソール推奨。地質図を見ると、大沢では花崗閃緑岩(深成岩)、西沢ではデイサイト(火山岩)の部分が多いが、これが関係するのかしないのか…
・西沢は、わざわざ行くような沢ではないが、大沢からの下降路としては悪くはない。ただしぬめりがひどい。
・日没前後30分位はヘッデン無しで林道を歩けるかと思っていたが20分位が限度のようであった。今回は、ぎりぎりの状況であり、木口は使ったが丸山は不使用。
・苦土川は「にがとがわ」と読むらしい。
■感想
・2人での沢行は待ち時間がなくて良いが、その分意識的に休憩をしないと辛くなってくる。
・紅葉が美しかったが、晴れていればもっと良かったはず。
・登山大系は古いが、意外と役に立つ。
・明るいうちに下山できて良かった。
・平日に沢に行くとよく分からない優越感がある。「みんな学校行ってるときに遊んでるぜ!」みたいな。
■コメント
・スリングやカラビナの残置をもう少し惜しんでもいいのでは?
・滝などの高さの目測がもっと正確にできるようになりましょう。
■反省
・出発の遅れ。
・懸垂下降でロープが動くかどうか確認するのは日頃行っているが、動かなかったときにどうするのか考えていなかった。反省会等の場で考える必要がある。