2018/11/25 剣ヶ峰大沢遡行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
剣ヶ峰大沢遡行計画書ver.1.0
作成者:山本
■日程 2018/11/25(日) 予備日なし
■山域 富士山 富士川水系潤井川流域
■在京本部設置要請日時 2018/11/25(日) 20:00
■捜索要請日時 2018/11/26(月) 10:00
■メンバー(計5人)
CL山本 SL谷口 久光 丸山 吉田
■集合・交通
6:45にJR拝島駅南口ロータリー集合
久光車で富士桜自然墓地公園脇の林道ゲート地点へ(2時間弱) 1970円
※富士桜自然墓地霊園 開門9時
■行程(予定時間)
駐車地-(0:30)-入渓点-(4:30)-上井出林道-(1:30)-駐車地
※コースタイムは後述の過去記録を参考にした。
※コース概略 (https://yahoo.jp/QIKGdc9)
※ゴルジュ内にプロテクションや残置物はなし
※時間が余れば、入渓点より下流の岩樋観測所の見物など
■エスケープルート
ゴルジュから左岸の河原に逃れる(容易)、またはそのまま進んで上井出林道で下山
■地図
山と高原地図「富士山」
■遡行図
(https://blogs.yahoo.co.jp/well_ksandw/10921475.html)
■共同装備
救急箱(苺)
8.6mm×30mロープ(緑)
ハンマー×2(ロカ)
アッセンダー×3
ハーケン・カム・ナッツ
アブミ(青、緑)
■遭難対策費
100円×5人
計500円
■備考
日の出(富士山 11/25)6:18
日の入(富士山 11/25)16:46
富士宮警察署 0544-23-0110
風の湯 900円(~17時)または600円(17時~)、岩盤浴無料
■雨天時
前日21時までに判断
■過去記録
2014/11/16(日)
(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-549478.html)
2012/11/25(日)
(https://blogs.yahoo.co.jp/well_ksandw/10921475.html)
2010/10/24(日)
(http://www.geocities.jp/miiwama2000/sawatop/sawa997.htm)
2007/10/20(土)
(http://yama-to-damashii.outdoor.cc/20071020_fujikengamine.htm)
剣ヶ峰大沢遡行記録
作成者 山本
■日程 2018/11/25(日)
■山域 富士山
■天候 晴れ
■メンバー・オーダー(計4人)
CL山本(37/B4)、久光(34/OB)、丸山(35/M2)、吉田(38/B3)
※SL谷口(37/B4)は欠場
■総評
ツルツルに磨かれた水無しの異様なゴルジュ、ボルダリング的な登攀、富士山の景観などを楽しめる穴場の沢。沢の短さこそ残念だが、何よりもその珍奇さは一見に値する。特に沢シーズンも終わりかけの晩秋に強くおすすめできる。各々のレベルに応じて登攀や巻きのルートを自由に取れるので、初級者も中級者も楽しめるだろう。
■GPSログ
(https://yahoo.jp/MOhHwW)
■時間
8:52 駐車スペース
9:42 入渓(岩樋観測所)
11:32 大滝
12:35 上井出林道
14:17 駐車スペース
■行動記録
(吉田に書いてもらいました)
・入渓まで
拝島駅の集合で谷口さんが現れない。電話してみると、着信音で目覚めたようだった。おはようございます。中央道に乗って入渓点近くの駐車スペースまで1時間30分ほど。富士山麓に近づくと外はかなり寒そうだ。
ゲート付近に車を止め林道をしばらく登る。そこまで悪路ではなかったので車でもう少し上まで登れるようにしてくれたらありがたいのにと思う。途中交差する林道が何本かあったが、航空写真ではなく地形図を頼りに進み、林道を直進した。しばらく歩いたが、地形図で歩道の表示があるところには道がなく、結局いばらのたくさん生えたところを進むことになる。正解のルートは航空写真でわかる、左側に伸びていた林道だったようだ。そこの林道は太い鉄のゲートがあるのが目印になる。ヒノキやスギの植林地→ススキの原っぱ→ヒノキやスギの植林地→広葉樹林帯という順に周囲の景色が変わり、入渓点である岩樋観測所という小屋が見えればそこが大沢である。適当に降りられる場所から沢床に降り遡行を開始する。
・入渓から最初の3mCS滝まで
大沢にはほとんど水がなく、歩くだけであれば登山靴やスニーカーで全く問題ない。入渓点から両岸が綺麗に削られたゴルジュになっており早くも期待が高まる。
3mCS滝は久光さん、丸山さん、山本さんは問題なく登っていた。吉田は登山靴の先がホールドに引っかからずうまく登れない。ここは諦めて登りやすい右岸側を巻いた。この沢の小滝は基本的に巻きやすいので良い。登れなかった原因は主に靴のせいであり、スニーカーを持ってこなかったことを後悔した。
・3mCS滝から3mトイ状ナメ滝まで
遡行図では3mCS滝の先に1mのCS滝があることになっていたが、特に難しいところはなく、気づかず通り過ぎた。
遡行図の3mトイ状ナメ滝は4mほどあり、山本さん、丸山さん、久光さん、吉田の順で左側から登った。山本さんが最初に登り、足元が落ち葉やツルツルの岩で滑るようだったので吉田は登山靴を脱いで沢足袋を履き直した。フェルトソールの沢足袋だったので滑りやすさはあまり軽減されなかったが仕方がない。吉田のみお助け紐を使ったが特に問題はなくクリアできた(確保者はカムでセルフビレイを取った)。
・3mトイ状ナメ滝から2段7mハング滝まで
ナメ滝を登ると川幅の広い川原に出る。行く手を見上げれば西側からの富士山を臨むことができ、圧巻である。
2段7mハング滝と3mCS滝は遡行図では右岸を巻くことになっていたが、一応滝の下まで行って登れないことを確認する。全く登れそうにないので150mほど戻ってから左岸を巻く。左岸は容易に登れ、巻き道も歩きにくいことはない。また、沢床にも懸垂せずに戻れる。
・2段7mハング滝から2mトイ状ナメまで
特筆すべきものはない。ゴルジュこそあるものの、登攀価値のある滝は現れなかった。ゴルジュに積もっている落ち葉がない季節に来れば、また違った印象を持つのかもしれない。
・4mハング滝
4mハング滝は他の記録では倒木があったようだが、私たちが行った時にはなくなっており、直登は無理そうなので右側の2mぐらいのところを登った。丸山さん、久光さん、吉田、山本さんの順で登り、丸山さん以外は荷物を先に上の人に渡してから登った。ガバがなくて登りにくかったがなんとか登れた。Ⅳ程度か。
・20m大滝
遡行図では20mだったが実際には8mくらいだった。これも、遡行図では左岸側から巻いており、見るからに石や砂がボロボロ崩れそうで登られそうになかった。いくらか引き返し左岸側を巻く。巻くのも巻き道から戻るのも容易である。
・2条2m滝から詰めまで
2条の左側の滝は丸山さんのみ挑戦し、簡単だったそうだったので右側の2m滝をそれぞれ登った。それぞれ難しそうなルートを探索して滝を何周もしていたので、沢遡行というよりもボルダリング大会のようになっていた。ここでは久光さんも丸山さんもクライミングシューズに履き替えて登っていた。
満足したところで先に進み、2mトイ状ナメ滝で同じくボルダリング大会をしていた。こちらでも各々ルートを開拓して登っていた。
2mトイ状ナメ滝のあとは少し歩けば林道に到着する。橋にはなっていないが、左右に林道が続いているためここが大沢の終了点だとわかる。林道からの富士山の眺めは圧巻だった。ここで休憩を取り、お昼を食べつつ、下山用のアプローチシューズへ履き替えた。
・下山
左岸側の林道を進んだが、大型な車も通れるつづら折りの林道なので距離が長く歩くのが面倒である。林道歩きに飽きてきたのと、林道以外の場所も藪がひどいわけではなかったと言う理由から、沢のすぐ脇を一直線に下った。歩きにくい場所や迷いそうになる場所もない。そのうち入渓した岩樋観測所のところに着き、行きの教訓を生かして、藪漕ぎしなくて良い林道を歩いて下山した。
■感想
□丸山
・寝ぶっちはやめましょう。
・大滝は登山大系(1980)によると落差40m、山登魂記録(2007)で落差20mとあるが、今回は10m弱に見えた。3mCS滝も以前は潜り抜けできたようだ。大沢は年に数十センチという猛烈なスピードで埋まっていると思われ、日本三大崩れである大沢崩れの影響力を思い知った。
・大滝以外の小滝も埋没が進みつつあるようであり、数十年後には遡行価値がなくなっているかもしれない。早めの訪問を薦める。
・せっかくの機会なのでエイドクライミングの練習をしてみれば良かった。
□吉田
・沢にあった靴を履くことが大切である。剣ヶ峰大沢は登山靴(or滑りにくいスニーカー)+クライミングシューズ(orラバーソール)が最もよさそう。
・基本的に滝を登攀できなくとも容易に巻けるので、初心者でも危険は少なく楽しめるだろう。
・この沢はルートが短いので、日が早くなってきた秋頃が最もよいだろう。暑すぎもせず寒すぎもせず、また冠雪した富士を見られる。
■反省
□山本
・人によって山への価値観の相違があるのは承知の上で、少なくともバリエーション山行においてはGPS機能のついた電子機器の利用が必要不可欠である。(特に必要に迫られた際に)現在地把握や時間短縮ができるように、地形図アプリや航空写真を自在に使えるようになりましょう。
・CLの読図に難あり。その一因にコンパスの極が狂っていた点が挙げられる。コンパスは金属や磁石と一緒に保管するべきではない。
・大滝のように巻くことが分かっている箇所に近づいた際は、巻道や両岸の様子を意識して観察しながら歩くことが重要である。楽しくおしゃべりだけしていればいいわけではない。
□吉田
・地形図よりも航空写真を当てにして入渓すればよかった。
■参考
丸山記録 (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1663416.html)