2018/12/15-16 日光白根山
東京大学・お茶の水女子大学公認サークル 山岳愛好会雷鳥
日光白根山登山計画書
作成者 久光
■日程 2018年12月15日~16日(朝発1泊予備日なし)
■山域 奥日光
■在京本部設置要請日時 2018年12月16日 20:00
■捜索活動要請日時 2018年12月17日 10:00
■メンバー
L久光 杉山 橋本
■集合・交通
08:45 東武日光発湯元温泉行きバス車内にて集合
同バスにて湯本温泉へ
■行程
12/15
湯元温泉-湯元スキー場-外山コル-前白根山-白根山避難小屋(幕営or小屋泊)
※小屋周辺で訓練を行う(ビーコン操作,滑落停止,アイゼン歩行,弱層テストなど).
12/16
避難小屋-奥白根山-避難小屋-前白根山-外山コル-湯元温泉
■エスケープルート
引き返す
■地図
2.5万分の1「男体山」
エアリア 「日光」
■共同装備(持ち出し)
テント
ヘッド(小2)
カート2
コッヘル2
救急箱
ブースター1
ラジオ,たわし,ゴミ袋
■日程 2018/12/15-16(土, 日) 予備日無し
■山域 日光
■天候 1日目:曇り 2日目:晴れ
■メンバー 3名
CL久光(34/OB) SL杉山(39/B2) 橋本(40/B1)
■行程・記録
〈1日目〉
11:00 湯元温泉バス停
11:07 登山口
14:17 外山のコル
15:04 天狗平
16:08 前白根山頂
16:23 幕営準備開始
21:00 就寝
〈2日目〉
4:30 起床
7:56 前白根山頂
8:04-10:10 弱層テスト・ビーコン捜索
10:42 天狗平
11:37 外山鞍部
13:12 下山
〈1日目〉
久光さん、橋本くんは前日までに東武日光フリーパスを入手できなかったようだが、駅員の計らいを受け、当日に東武日光駅の窓口で手に入れることができた。改札を抜けると既に肌寒く、ほのかに雪がちらついていた。バスに揺られて湯本へ着けば、積雪深く、轍だけがアスファルトの黒さをむき出しにしていた。待合室内で装備を整え、ビーコンチェックを行ってから出発。
湯本スキー場の大半は靴のアッパーが埋まるか埋まらないか程度の積雪であったが、時折膝近くまで踏み抜く箇所があった。早々に小尾根に上がり、ピッケルを取り出す。ここからしばらくは雪山でありながらヤブ漕ぎを強いられ、膝まで埋まる急坂をうろちょろしながら登る羽目になった。先頭は適宜交代し、最後尾はコンパスを用いて進路が大きく外れないようにした。嫌気がさしかけてきたころ、右前方に見えた壊れた橋を通過するとようやくトレースを発見。どうやら我々は尾根に入るのが早すぎたらしい。これ以降はトレースをなぞるだけなのでさして問題はなかったが、ヤブ漕ぎに割いた時間が存外長く、コルに上がったのは14時ころとなった。これより先は防寒に十分注意が必要だろう。ネックウォーマーとニット帽ではやや不十分であり、耳が冷えて痛かった。トレースはあれど完全に踏み固められているわけではなく、稜線に出てからも思ったよりペースが上がらない。おまけに前白根山を目前にして膝上ラッセルとなり、ワカンを装備して再び歩き出した。突風に体が押される頃、ふと視線を前にやればもう前白根である。すっかり白く染まった日光白根はたいへん秀麗だが、とにかく風が強くてクソ寒いので立ち止まっている余裕はない。下りは岩が露出するミックス帯なのでいささか緊張した。山頂直下のトラバース中に橋本くんのワカンが片方外れ、慌ててザックにくくりつけるというハプニングも発生。とりあえずコルへ下りて落ち着き、さあ避難小屋へ下りよう…と思ったのだが、いまいち取りつきがわからない。斜度もきつく、日没の時間も考えてその場で幕営を決めた。幸い雪崩のリスクは低そうであり、小高い丘の陰に隠れるかたちでテントを設営。竹ペグがなかったので適当な岩を使った。ただでさえクソ寒いのに、日が翳り出すと一層冷え込み、強風でテントがたなびいて設営は捗らず…冬山しんどい。テントに潜り込んでからはビーコンの電源を落とし、一旦ココアを飲んで落ち着いてから、夕飯である鍋の準備にとりかかった。冬山でうまい鍋を食べるには通常の倍近い鍋キューブをぶちこまないといけない。出発前に思い切ってコンビニでソーセージを買い足したのが功を奏して、すっかりお腹いっぱいで幸せ。気づけば風はやみ、テントから出れば満点の星。クソ寒いのは変わらないけれど、日が早く落ちる分だけ冬山の方が星を拝みやすくて良いですな。例によって久光さんがウィスキーを持ってくださったので(車に忘れるケースも多々ある)、コッヘルに入れてちびちびといただく。杉山は基本酒を飲まない&強い酒を飲むと喘息が出てしまうので本当に少しだけ。翌日分のベアリングを確認しつつ明日の行程について話し合った結果、ガスりそうな予報が出ているため、日光白根へのアタックはやめて雪上訓練に特化することに決定した。
翌日21時すぎ、就寝。
〈2日目〉
4:30に起床。当時は冬用のシュラフを持っておらず、知り合いからUDD1000 (!)
という海外遠征用のバケモノシュラフをお借りしており、こりゃあ爆睡できるだろうと思っていたのだが、実際はマットのパワーが足りずに背中が冷えまくって全然寝られなかった。夏用シュラフを2枚重ねした橋本くんもあまり寝付けなかったらしいが、久光さんは寝てた。朝食は橋本くん作成のトマトパスタで、無難にうまい。テン泊者だけが知るトマトの有能さよ…。外に出ると風は頬をわずかに撫でる程度だった。テント撤収とビーコンチェックの合間に、朝日で朱色に染まる日光白根の美しさに見とれた。アイゼン歩行の練習がてら近くの小高い丘を登り、改めて日光白根をバックに写真を撮った。このあとは機能のルートを引き返し、適当な斜面で弱層テストとビーコン捜索訓練を実施。表層10cmのところに両腕で動く層が、60cmのところに肩で引いて動く層が存在した。ビーコン捜索の練習として初めはビーコンを鍋に入れてみたのだが、鍋が電波を遮断してしまい、ちっとも見つからない。仕方ないので今度はまな板の下に隠して訓練を再開。久光さんを指導役として杉山と橋本くんがそれぞれ2回ずつ実施し、目標であった5分は毎回クリアできた。ゾンデの組み立てがスムーズにいかなかったり、一旦見つけたポイントを後で見失ってしまったり、といろいろ反省点も。毎年1回は訓練の時間を設けたいところだ。このあとはオーダーを一時的に橋本、杉山、久光に変更し、往路をひたすら引き返すのみ。橋本くんがまだ滑落停止練習を経験していなかったのだが、雪がふかふかすぎてどうにもならず。雪に飛び込んで遊んでいただけである。コルについた時点でオーダーを元に戻し、さくさく下山してスキー場へ。スキー場は時々猛烈に雪の深い箇所があるので、ラッセルごっこをしながら下山した。途中に一か所穴があり、杉山は腰上まで完全に埋まって抜け出すのに苦労した。
あとはちんたらバスに揺られておしまい。駅で500円の高級ソフトクリームを頼んだところ、新人らしきお姉さんがアイスをたっぷり載せてくれたのだが、裏で「あんなに入れなくていいんだぞ」と怒られていた。ちょっとかなしい。
■反省・雑感
・記録は早く書きましょう。
・冬の日光白根はクソ寒いので十分な準備が必要。幕営地の差異もあるが、八ヶ岳より寒かった気がする。
・シュラフがハイスペックでもマットがパワー不足だと死んじゃう。
・東陵にⅢ級くらいの簡単な岩場があって楽しそうなので今年いきましょう。無雪期でもいけるらしい。