2019/2/20-21 キナバル山

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
キナバル山行計画書 ver.1.0
作成者:山本

■日程
  2019/2/20(水)-2/21(木)
  山中1泊2日 予備日1日
■山域 キナバル山
■在京本部設置要請日時
  2/22(金) 20:00(日本時間)
  コタキナバル市内に戻ってWi-Fiへの接続を確保し次第連絡する。
■救助要請日時
  2/23(金) 7:00(日本時間)
  緊急時は在マレーシア大使館と連携を図る。
■メンバー(計6人)
  L山本 朝倉 天野 五島 平岩 藤村
  ※3人につき一人、合計2人のガイドが付く。

■集合
  2/17(日) 21:30 羽田空港国際線ターミナル3F Kカウンター前

■交通
  ※時間は全て現地時間
  □行き
    [2/17(日)]
    エアアジアX523便 23:45羽田発 翌日6:35クアラルンプール着
    [2/18(月)]
    エアアジア5136便 8:40クアラルンプール発 11:20コタキナバル着
    ※市内のホテル到着後に観光
    [2/19(火)]
    サンダカン方面行きのバスで市内からキナバル公園まで約2時間、RM25
    昼にキナバル公園に到着する便に乗る。乗客が満員になれば出発する。
    ※タクシーを利用しても料金はそれほど高くない。
  □帰り
    [2/21(木)]
    キナバル公園でバスかタクシーを拾って市内に戻る。
    □山行終了後
    2/22(金) コタキナバル
    2/23(土)-24(日)午前 ブルネイ
    2/24(日)午後 ミリ
    2/25(月)-26(火)午前 ムル国立公園
    2/26(火)午後 ミリ
    2/27(水)-2/28(木)午前 クアラルンプール
    エアアジアX522便 14:40クアラルンプール発 22:30羽田着

■行程
  □1日目
    Timpohon Gate(1490m)-(4,5時間)- Laban Rata Rest House(3272m)
  □2日目
    Laban Rata(3272m)-(3時間)-Low’s Peak(4095m)- (2時間)-Laban
    Rata(3272m)-(4,5時間)-Timpohon Gate(1490m)
    午前2時に起床して小屋で軽食をとり、6時30分の日の出前後に山頂へ。
    ※山頂はかなり寒い(0~5℃)。小屋でお湯を購入可能。
    登頂後は小屋まで下りて朝食をとり、チェックアウト後に下山。

■地図
  現地でツアー会社からもらう。
  インターネットでも多数閲覧可能。
  (http://www.nctravel.co.jp/Kinabalu/tozanzu.htm)など

■共同装備
  スーツケース
  ドライヤー

■備考
  □時差
    日本時間マイナス1時間
  □日の出・日没
    2/21(木) 日の出6:30AM、日没6:28PM
  □緊急時
    ・駐日マレーシア大使館 03-3476-3840
    ・在マレーシア日本国大使館 603-2177 2600
  □ツアー会社等
    ・Sutera Sanctuary Lodges
    SSLについて (http://www.nctravel.co.jp/Kinabalu/yoyakuhouhou.htm)
    +6015 4876 1800 info@suterasanctuarylodges.com.my
    ・Kota Kinabalu Times Square Imago
    下山後2/21,22に宿泊予定、Wi-Fiあり
    +60 17 270 3373
    □遭難対策費
    200円×6 合計1200円
  □参考
    ・外務省海外安全情報(マレーシア)
    (https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2018T087.html#ad-image-0)
    ・ヤマレコ過去記録(2019/2/5~2/6)
    (https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1723536.html)

キナバル山行記録
作成者 山本
■日程 2019/02/20(水)~2019/02/21(木)
■山域 キナバル山
■メンバー
L山本(37/B4)、朝倉(36/M1)、天野(37/B4)、五島(37/B4)、平岩(37/B4)、藤村(37/B4)

■天候
1日目:快晴 2日目:快晴

■時間
□1日目
9:35 Timpohon Gate(登山口)
10:10-10:15 Kandis Shelter
11:00-11:10 Lowil Shelter
11:35-11:45 Mempening shelter
12:15-13:00 Layang Layang
13:45-13:50 Pondok Shelter
14:15-14:25 Pondok Paka Shelter
15:15 Laban Rata Rest House(山小屋)
□2日目
2:50 Laban Rata Rest House(山小屋)
3:40-3:50 展望台
4:25-4:35 Sayat Sayat Hut(チェックポイント)
6:10-6:40 Low’s Peak(山頂)
7:45-7:55 Sayat Sayat Hut(チェックポイント)
9:00-10:00 Laban Rata Rest House (山小屋)
10:50-11:00 Villosa Shelter
11:35-11:40 Layang Layang
12:45-12:55 Lowil Shelter
14:10 Timpohon Gate(登山口)

■記録
□0日目
・コタキナバル市内~キナバル公園
 コタキナバル市内のホテルから、キナバル公園(ラナウ)行きのバスが出ているムルデカ公園前バスターミナルに徒歩で向かい、運良くすぐに6人(+荷物)入れるバスを見つけた。9時台に出発し、おしゃべりしているとすぐに2時間経ってキナバル公園に到着、公園内ですぐにツアー会社Sutera
Sanctuary Lodgesの運転手と落ち合った。ガイド料と入山料が現地現金払いのツアー内容であったことを失念しており、現金不足の我々は支払いに難儀した。ツアーバスをこき使い、銀行や飲食店が集まっている近くの広場に向かった。両替こそ出来なかったが、クレジットカードのキャッシングが成功して一安心。ツアーにこの日の昼食は含まれていなかったので、広場の飲食店でマレー風の昼食をとった。

・キナバル公園~ポーリン温泉
 キナバル公園周辺での前泊を含むツアーだったので、ツアーバスでラナウを経由して保養地のポーリン温泉に向かった。温泉入口には何軒かお土産屋があり、キナバルTシャツ(綿ばかりで化学繊維は少ない)などを購入することができる。まずトレッキングで熱帯植物や滝を見物した後、温泉に併設されたプールで泳ぎと飛び込み(普通に顰蹙です)を楽しみ、最後に温泉に浸かって温まった。夕食はマレー風のコース料理で味も量も大満足だったが、テーブルの下を歩き回る猫が怖かった。

□1日目
・ポーリン温泉~登山口
 昨日と同じレストランで豪華な朝食。お粥、ラーメン、ナシレマク、ロティチャナイ、パンケーキを各々が注文した。どれも美味しいが、朝食にしては量が多すぎた。結局日本人の朝食に適量だったのはパンケーキぐらいだった気がする。7:30に受付に集合してツアーバスでキナバル公園へ。運転が危なっかしいが、途中でキナバルの山体がくっきりと見えて期待が高まる。キナバル公園事務所で昨日払えなかった料金を支払い、スーツケースなど旅の荷物を預けた。レストランで昼食のパックを受け取り、展望台でキナバルを背景に集合写真を撮ってから出発。公園本部から登山口までバスで15分ほど移動した。

・登山口~Layang Layang
 最初は想像通りの熱帯雨林が続き、快調に進んでいく。特にこれといった見どころがあるわけではないが、東南アジアらしい植生や、時折顔をのぞかせるキナバル山頂は全く飽きることがない。大きな荷物を背負ったポーターに抜かれつつ、だいたい1kmごとに設置されたトイレ併設のシェルターを目指していく。急に高度を上げると高山病のリスクが増すので、ゆっくりゆっくり。2km過ぎから食虫植物であるウツボカズラもちらほら見ることができた。2時間ほど歩いたところで2,700mのLayang
Layangに到着し、昼食となる。ここは職員宿舎も併設された大規模なシェルターだ。昼食はゆで野菜とゆで卵で、なかなかカラダによさそう。今朝から体調のすぐれない朝倉さんはなかなか食欲が湧かないようだ。

・Layang~山小屋
 まだまだ森林限界までは遠いが、少しずつ灌木も増えてきた。立派なウツボカズラも何ヶ所かで見られ、ガイドが分かりやすく説明してくれた。一山超えるとPondok
Shelterの手前辺りからキナバルの白い岩壁が急に現れ、雲一つない好天にありつけた幸運に感謝。観光地としてはLow’s
PeakとSouth Peakが有名だが、東西に広がるとても登れそうにないピーク群も見る分にはスリル満点で魅力的である。登山口から4時間半、距離で5kmの地点で標高が3000mを超えた。いくら低緯度の熱帯とはいえ、3,000mを超えると灌木ばかりで景色もいい。お花を楽しみつつ歩いているといつの間にか山小屋へ。朝倉さんの体調不良と天野の膝痛を除けば、皆体力的に余裕をもって登ることができて安心した。

・山小屋
 15:15に小屋に到着し、16時まで部屋で休憩。部屋は2段ベッド×3のドミトリーで(課金すれば個室もある)、運良く6人パーティーの我々だけで1部屋を独占することができた。気を遣ってくれた小屋のスタッフに感謝。ただし、2段ベッドの上段に柵がないベッドも混ざっており就寝中の寝返り落下に注意。元気なメンバーは16時から小屋周りの散策に出かけた。16:30からお楽しみの夕食タイムで、3,272mの辺鄙な山小屋とは思えないような質と量のバイキングで腹を満たした。米もパスタも肉も野菜もフルーツも何でも食べられる。
 18:30の日没を見たいということで時間をつぶしたかったところ、食堂においてあったジェンガとボードゲーム(モノポリーなど)が救世主だった。手軽に楽しめそうなジェンガで遊ぶことにして、1時間ほど盛り上がった。理論物理学専攻の天野はジェンガにおける力の制御は専門外らしく、一人負けに終わっていた。山小屋での暇つぶしとしてジェンガほど楽しい遊びを知らなかったので、今後は日本の山小屋でもジェンガ文化を根付かせていきたい。(なお、海外の山小屋でもジェンガで騒ぎすぎると他の登山者から白い目を向けられるので、厳しい運営方針の山小屋では注意されたい。)18:30から外に出て雲海への日没を観賞。日没よりも印象に残ったのが、小屋前の広場にネットを張って小屋スタッフがバレーボールを楽しんでいる姿だった。3,000mの高所で激しい運動に勤しむ現地人の姿はシュールである。もう少し人が少なければ筆者も仲間に入れてほしかった。小屋に戻ってトイレやシャワー(太陽光次第で温水)を済ませ、19時から20時の間に就寝。

□2日目
・山小屋~山頂
 2時に起床。軽食を食べて3時前に出発した。登頂後に休憩と朝食(!)で小屋に戻ってくるため、余分な荷物は部屋において軽い荷物で出かける。朝倉さんも何とか登れる体調まで回復して一安心。小屋の気温は8℃で意外と温かいが、800m上がった山頂では日の出まで寒そうだ。空には雲一つなく、南十字星や遠く離れたコタキナバルの夜景を見ることができた。天文学科の五島さんをはじめとして天文好きのメンバーも多く、綺麗な星空を見ることができて満足してもらえたようだ。
 暗い山頂に早く着きすぎるのは最悪なので(キリマンジャロの教訓)、ゆっくり登っていく。1時間もたたないうちに灌木帯から抜けて花崗岩の岩場に出る。意外と滑ったりもしないので気持ちいい岩歩きを楽しめる。ただし、補助ロープが付いていないと怪我人続出だろう。雨で岩が濡れていると特に下りは滑って危なそうだ。3,700m弱のチェックポイントあたりまでは快調に登って来られたが、富士山の標高を越えたあたりから筆者も高山病で軽い頭痛の症状が出てきた。キナバルは稜線に上がってからが長く、ピークが近くに見えるようでまだまだ遠い。South
Peakが視界に入ってから1時間以上歩いてようやくLow’s
Peakの頂に至ることができた。山頂からの稜線、日の出、雲海がどれほど素晴らしいかは写真にお任せしたい。山頂は幸運にも無風で、日も昇ってきたので、意外にも4,095mの高所の割に全く寒さを感じず、30分ほど快適に滞在することができた。キナバル山頂でリンゴにかぶりつくという個人的に温めていたプチ目標も達成した。それより何より全員無事に山頂までたどり着くことができてうれしかった。

・山頂~山小屋
 花崗岩の一枚岩の下りは快適で楽しい。膝を痛めていた天野には申し訳ないが、キナバル登山で最も美しく楽しい箇所は山頂から下る花崗岩の稜線歩きだと思う。雲海に向かって歩いていく感じがたまらない。また、キナバル山と聞いて連想する、嘴のように尖がったSouth
Peakは稜線からの下りに見える姿が最も美しい。背後には青空と雲海が控えていて最高であった。ガイドも非常に協力的で、鏡のような湖で集合写真を撮ってくれたり、2015年6月ボルネオ島地震の話を教えてくれたりした。地震では崖崩れで日本人や現地ガイドを含む16人が亡くなったそうで、現在でも生々しい巨大な落石がいくつも残っていた。山小屋に到着すると仮眠の時間はとれないようで、1時間ほどで朝食(気分は昼食)と荷造りを済ませた。

・山小屋~登山口
 山小屋を出てから下山までの4時間で筆者のカメラには写真が1枚もない。稜線で目が肥えてしまったのだろうか、お察しである。天野が膝の痛みにこらえて頑張って下りていたのと、皆元気におしゃべりに花を咲かせていたことを覚えている。

□下山後
・キナバル公園
 公園本部でガイドと別れ、まずはレストランでマレーシア風の昼食(事実上の夕食)を食べた。ツアー内容に含まれていなければ入れないような高級レストランだけあって、味も見栄えもかなりいい。野菜やフルーツがセルフサービスなのも助かった。腹ごしらえを終えると、荷物を回収し、事務所でカラーの登頂証明書を発行した。ボルネオ島の自然が詰まった証明書で、いい思い出になりそうだ。

・キナバル公園~コタキナバル市内
 キナバル公園の本部にバス停は存在しない。ツアー会社の送迎や公園内の割高のタクシーを利用しない場合、公園前の幹線道路でコタキナバル~ラナウ間の路線バスを拾う必要があるのだ。今回はツアー料金を節約するために送迎の付いていないプランを組んでいたため、自力でバスを拾わないとコタキナバル市内に帰ることはできない。この幹線道路で路線バスやヒッチハイクを拾えるという情報をインターネットの旅行ブログで事前に得ていたため、焦りつつも1時間くらいは気長に待つつもりだった。しかし、我々は人数が6人で、預け荷物も6個とかなり多かったので、車のキャパシティという問題も抱えていた。このような大パーティーを乗せてくれる車はなかなか現れない。女性陣のアイデアで、行き先のKota
Kinabaluを表す”KK”の紙を持ってヒッチハイクを試みたところ、車のキャパの問題はあるにしても、興味を示してくれる車はかなりいたように思う。結局10分ほどでラナウ行きの空きバスを拾い、料金を交渉した上でコタキナバルまで行ってもらうことにした。10分で帰りの交通を確保できたのはかなり幸運だった。帰りのバスはかなり運転が荒く、怖いからと相談してもスピードを落としてくれなかった。
・以後の旅行
 キナバル登山はもちろん素晴らしい経験だったが、いつキナバルに登ったのか忘れてしまうほど観光も盛りだくさんの旅行になった。卒業旅行的な意味合いもあったのかもしれない。筆者の中ではキナバル山行というよりもボルネオ島旅行として記憶に残るだろう。登山ついでにブルネイやムルといったニッチな観光地に行けたことは思い出深い。
 ちなみに、この旅行のスキマ時間を利用して、雷鳥40周年記念誌に掲載していただいた海外登山の特別寄稿を書いていた。スマホのメモ帳に書いていたので、非常に効率が悪かったように記憶している。キナバル登山直後の高揚感が多分に入っていたはずなので、大目に見ていただくようご勘弁願いたい。

※今後のキナバル山行の参考になるように旅行先を共有しておく。長めの滞在な方だったと思う。
2/18 コタキナバルへ移動日(リバークルーズ)
2/19 キナバル公園へ移動日(ポーリン温泉)
2/20 キナバル登山
2/21 キナバル登山
2/22 コタキナバル(マーケット、サピ島ビーチ)
2/23 ブルネイ(建国記念日式典、モスク、水上集落)
2/24 ミリへ移動日(アパートメントでお料理パーティ)
2/25 ムル国立公園(ジャングル、洞窟、コウモリ)
2/26 ムル国立公園(洞窟、川泳ぎ)
2/27 クアラルンプール(夜景、マッサージ)
2/28 東京へ移動日

■総括
・最高の天気と景色に恵まれ、大きく体調を崩すこともなく、全員で海外の4000m峰に登ることができた。手続き面で小さいトラブルがいくつかあったが、キナバル山をフルに楽しめたので大満足。
・雪山には行かないけれど、手軽な海外の山や4,000m以上の高山に興味があるという人がいれば、春休みのキナバルはお手頃でおすすめ。
・山小屋でのジェンガは楽しい。ぜひ日本でもしましょう。
・下山後2ヶ月も記録を放っておくと大仕事になってしまう。思い入れのある山行ほど、記録は早めに書きましょう(反省)。

■これからキナバル山に行く人に向けて
□予算
・登山に要した一人当たり経費の記録を残しておく。参考にしてほしい。
〈事前支払い〉
SSLツアー RM1,440
〈現地で現金支払い〉
公園バス行き RM25(150÷6)
公園バス帰り RM30(180÷6)
登山口バス往復 RM9(4.5×2)
公園入場料 RM15
入山料 RM200
登山保険 RM7
ガイド RM77(230×2人÷6)
登頂証明書 RM10
受託荷物 RM10
合計 RM383
⇒両者合計RM1,823(49,221円) ※1RM=27円で計算
・その他に航空券(5~10万円)、宿泊費、食費、観光費などが必要になる。
・特に外国人の場合、キナバル登山は外貨獲得のためのぼったくり価格である。それだけの価値はあると思うが、現地の物価を考えると異常だろう。
・キナバル公園周辺でクレジットカードが利用可能な施設はかなり少ない。下山後にマレーシアでの観光を考えている場合は、ケチらずに現金を多めに持参した方が安全だろう。
・今回我々が利用した銀行は、キナバル公園入口からラナウ側へ東に6km離れたKundasang Main
Squareという広場にあるAlliance
Bankだった。両替は出来ないが、クレジットカードによるキャッシングが可能。ブランドによってはキャッシング不可だったので、複数ブランドのカードを用意できると安心。

□ツアー選び
・コタキナバル市内からの往復の送迎なしのツアーの方が手間は増すが、費用は抑えられる。1US$=110円、1RM=27円で計算すると、送迎なしの方が1万円弱安くなる。
・以下、今回利用を検討したツアーを紹介する。
(6人パーティーで参加することを想定。2019年現在の一人当たり価格。)
〈送迎付き〉
Amazing Borneo Tours US$523
…1泊2日、コタキナバル市内ホテルから往復送迎あり
〈送迎なし〉
Sutera Sanctuary Lodges RM1,440
…2泊3日、1日目ポーリン温泉泊
…宿泊と食事のみ含む。その他上記の現地での現金支払いの経費(RM383)が必要になる。
・SSLの送迎なしツアーにした理由としては、①価格、②1泊2日の弾丸より2泊3日でゆっくり登頂を目指したい、③温泉に入れる、④無理のない範囲でバス等の現地交渉を楽しめるなどがあった。

□持ち物
・不要なもの
 予防接種、マラリア予防薬、高山病薬、寝袋等、チップ、マレー語
 ※疫病や伝染病のリスクはゼロではない
・通信機器について
 あくまで個人的な感想だが、現地SIMやレンタルWi-Fiは不要だと感じた。確かにキナバル公園内はWi-Fiもなく外部との通信が遮断されるが、往復の送迎が付いたツアーに参加すればフリーWi-Fiの多いコタキナバルまでは戻れる。今回のように送迎なしの場合でも、事前の情報収集と現地人に何でもお願いするバイタリティがあれば何とかなるはず。
・登山用具について
 だいたい富士登山のイメージ。多めの防寒具と当日受け取る弁当が入るくらいの余裕があれば十分だろう。多少多めに持ち込んでも、小屋に荷物を置いていけるので山頂アタックは軽量で臨める。一部サイトは小屋で寒い人用にシュラフやシュラフカバーの持参を推奨しているが、十分に温かいお布団だった。実家よりも寝心地が良かったと谷口(キナバル経験あり)が言うのも納得できる。

□コタキナバル市内~キナバル公園間の交通
 上述の通り、キナバル公園本部にバス停は存在しない。下山後コタキナバルまで戻る場合、①ツアー会社の送迎、②公園本部内の割高タクシー、③コタキナバル~ラナウ間の路線バスを拾う、④ヒッチハイクのうちどれかを選択することになる。なるべく節約したかったのと、現地交渉のスリルを楽しみたかったのとで、今回は③路線バスを選択した。
 今回のように大人数の場合は車のキャパシティに注意が必要だが、下山後夕方まで待てば1台くらいはバスにありつけるだろう。各々の好みにもよるので、お金と人数と旅の安全を考慮して選べばよいだろう。

□食事
 初日の朝はホテル、昼は野菜とゆで卵の弁当だった。山小屋では朝昼晩の3食が提供される。メニューの種類、量、質のどれもが満足できた。水もホテルや公園本部で準備できるのに加え、山小屋でも常温の水とお湯を購入できる。ここまで至れり尽くせりなのは、登山者が貴重な外貨を落としてくれるゲストであるからであろう。

□その他
・トイレは清潔。シャワーまである(太陽光発電が上手くいった日のみ温水)。
・1泊2日の短期間だと高山病薬が効かないため、高山病はなってしまうとどうしようもない。体調管理、睡眠時間の確保、水分補給、初日にゆっくり高度を上げることなどで予防に努めるほかない。
・2日目の下り一辺倒は膝に来るので、膝に不安がある場合はストックの持参も一考の余地あり。
・星空(南半球の星も見られる)や夜景がきれいなので、三脚を持ち込んでも面白いだろう。
・公園窓口でもらうネームタグは金具が外れやすく、紛失注意。このタグで入山管理をしているため、なくすと山頂前のチェックポイントで泣く泣く門前払いを食らう羽目になる。記念品としてもいい品なので、なくさずに日本に持ち帰りたい。
・いい感じのデザインかつ化学繊維のキナバルTシャツはなかなか見つからなかった。市街地のお土産屋には置いていなさそうだったので、キナバル公園周辺で探したい。
・どのドライバーも運転が荒く非常に危険。英語が通じないぼったくりドライバーもいる。

■メンバーより一言
□朝倉
 キナバル山行では山小屋に着いて夕食をとっている頃に高山病を発症し,辛い目に遭った.中学生の頃,富士山を登ったときも同様に夜になって高山病を発症したが,翌朝には良くなっていたという経験があり,今回もそうなることを期待して極力長い睡眠時間を確保したところ,実際ある程度回復した.最終的に,他のメンバー支えもあって何とか登頂できたのは本当に幸いなことであった.高山病になるかならないかは運要素もあるようなので対策は難しいが,発症するととにかく辛いので,高山に挑む前は極力体調を整えるよう心掛けるしかない.今回は登山前から腹の調子が悪かったので,それが影響したのかもしれない.とはいえ初東南アジアで食事が合わず腹を壊したのも,事前には対策のしようがなかったか……
 コメントがほとんど高山病の話に終始してしまったが,ともあれ全行程を綿密に計画しパーティを牽引してくれた山本をはじめ,この楽しい海外遠征に同行したメンバー全員には深く感謝している.機会があればまた海外登山に挑戦してみたいと思う.

□天野
 足の調子が悪かったのですが,メンバーの助けのおかげで無事登頂することができ,素晴らしい体験をすることができました.皆さんありがとうございました.登山の前にはしっかり体調を整えることが大切だと痛感しました.

□五島
 初の海外山行でしたが、山本くんはじめ、メンバーのみなさんのおかげでとても楽しい山行&観光でした。計画、本当にありがとうございました。個人的には、登りながら見た南十字星と、無事登頂した後の日の出が特に印象深いです。なかなか行く機会のないボルネオ島の観光も盛り沢山で、大満足の旅でした。

□平岩
 月明かりに照らされながら、南十字星を横目に荒涼とした一枚岩の上を歩く、という経験が、当日好天の中できて感無量だ。南十字星とりんごというと、銀河鉄道の夜が連想されるが、本山行のメンバーは、皆無事に登頂&下山できて本当によかった。
 オーストラリアに続き、CLには今回も海外山行でお世話になった。メンバー全員に事前に情報共有してくれていた。とはいえ、現地への認識にばらつきのあるメンバーをまとめあげ、山行も観光も先導してくれたCLに対し、大変感謝している。「サークル」というゆるい繋がりのメンバーと海外山行&観光に行くのは、かなり大変だったと思うが、みんなが安全にかつ楽しめる旅行にしてくれたCLの手腕には尊敬の念が絶えない。お疲れ様でした!
 個人的な猛省は、雷鳥関連の海外遠征の度に現地に忘れ物をしている点。本山行終了後には、携帯音楽プレーヤーを宿に忘れたが、内蔵電池があるものは国外郵送できないらしい。結局ホストにあげた。忘れ物には要注意です。

□藤村
 初海外登山でしたが、道も整備されていて登りやすく、設備も充実していたのでトラブルなく山頂まで登れました。道中はガイドがついてくれて、ジャスという名前でしたが気さくで物静かなとても素敵な方でした。若いうちはものを運んで、経験を積んだらガイドになるのですかね。今日もジャスはあの調子でキナバルを登っているのでしょうか。。。夜は南半球の満天の星空が素晴らしすぎて、山頂付近の一面岩のなかを歩いていると、なんだか古代中国の旅人にでもなった気分になりました(笑)。
 登山は勿論、旅行を通して、本当に楽しい旅でした。有能すぎるキャプテン(笑)、気遣いとユーモア溢れるメンバーたちにめちゃくちゃ感謝です。研究生活、たまに旅行を思い出してにやけながら頑張っています。また機会があったらどかんと行きたいです٩('ω' )