2019/5/3-4 高妻山
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
高妻山登山計画書第二版(2019/5/2時点)
作成者:杉山
■日程 2019/5/3-4(土日) 1泊2日
■山域 戸隠
■在京本部設置要請日時 2019/5/4 20:00
■捜索活動要請日時 2019/5/5 9:00
■メンバー (計3名)
CL杉山 SL久光 橋本
■集合・交通
ふじみ野駅7:40集合、久光車で戸隠牧場へ(3時間半程度)。
■行程
□1日目
戸隠キャンプ場入口 -20- 不動との分岐 -10- 弥勒尾根取付 -2:00- 五地蔵山
計2:30
※弥勒尾根取付までに2回渡渉あり。
※五地蔵山で幕営可能と推察されるが、天候不良の場合はさらに下部(1595m付近等)で張る可能性あり。
□2日目
五地蔵山 -30- 八観音 -1:20- 高妻山 (-1:00- 乙妻山 -1:00- 高妻山) -50- 八観音 -30- 五地蔵山
-1:40- 弥勒尾根取付 -10- 不動との分岐 -20- 戸隠キャンプ場入口
計5:20 (+2:00)
※山頂直下は急斜面。
※乙妻山ピストンは体力と時間、ルート状況的に余裕があれば。
■エスケープルート
高妻山まで:引き返す
それ以降:そのまま進む
■地図
エアリア「妙高・戸隠・火打」
■共同装備
テント(エスパース)
8.6mm * 30mロープ
ヘッド
カート*2
鍋(竹・小竹)
救急箱(アゲハ)
ゴミ袋
スノーバー
※時期と幕営地的に、雪から水を作れるかは怪しいです。多めに持参して、余分な分は2日目デポしましょう。
■個人装備
□ザック □ヘッドランプ □予備電池 □銀マット □雨具 □防寒具 □着替え・温泉セット □地図 □コンパス □ポリタン □ゴミ袋
□筆記用具 □計画書 □ロール □ライター □非常食 □行動食 □常備薬 □身分証明書 □保険証の写し
□遭対マニュアル(緊急連絡カード含む) □新聞紙 □ナイフ □笛
□ピッケル □アイゼン □スパッツ □目出帽 □ゴーグル or サングラス □スコップ □手袋・オーバー手袋 □シュラフ(冬用or2枚重ね)
□シュラフカバー □登山靴(プラ靴or重登山靴) □ビーコン □ゾンデ □ワカン □コッヘル
--クライミングギア--
□ヘルメット □120cmスリング*2 □60cmスリング*1 □カラビナ*3 □環付きカラビナ*1
※緊急時用。簡易ハーネス、アンカー、スタンディングアックスビレイ、簡易ビレイが行える範囲で準備。
■悪天時
前日20:30までに判断。
■備考
□日の出日の入(@高妻山)
5/3 4:43-18:47
5/4 4:42-18:48
□警察署電話番号
〇長野中央警察署 026-244-0110
■日程 2019/5/3-4(金、土)
■山域 戸隠
■天候 晴れ
■メンバー CL杉山(39/B3) SL久光(34/OB) 橋本(40/B2)
■記録・行程
〈1日目〉
12:00 戸隠キャンプ場駐車場
13:05 戸隠キャンプ場バス停
13:26 弥勒尾根登山口
14:36 弥勒尾根1596m地点
16:21 五地蔵山
17:52 テント設営終了
20:00 就寝
〈2日目〉
3:00 起床
4:55 出発
6:33-7:22 高妻山山頂
8:53-9:49 五地蔵山
10:51-11:19 弥勒尾根1596m地点
11:47 弥勒尾根登山口
〈1日目〉
朝8:00ごろにふじみ野駅を出発し、久光さん車で戸隠キャンプ場へGO。ゴールデンウィークゆえ(教養学部は授業ありましたが!!)道が混雑しており、しばらく下道を進んでから東松山で高速へ進入、ちょうど正午を過ぎたころにキャンプ場駐車場へと到着した。高妻山は百名山の一座でありながら「冬季は人気がない」と悲しいことを言われる山であり、過去記録を見ても駐車場は大抵スッカスカだったのだが、いざ着いてみると7~8割は埋まっており驚いた。え、激混みの山なんか入りたくないんだけど…と思ったものの、どうも大半はキャンプの方々らしい。登山口はキャンプ場を越えた先にあるのだが、いったいいくつのテントを見たことか。スノーピークの高そ~なテントとか、ロゴスのよくわかんないテントとか、ローカスギアのオシャレなやつとか…ま、エスパースだって高級テントだから雷鳥も負けてないね。キャンプ場を抜けた先で2つの渡渉点を超えると登山口に到着。この渡渉がどちらもなかなかの水量で、ぱっと見で渡りやすそうなところもなく、諦めてざぶざぶ突っ込んだ。靴自体は完全防水なので全然平気。ゴアテックスって素晴らしいね。
ところで、つい一週間ほど前の記録では駐車場から雪があったというのに、入山しても一向に雪が姿を見せない。これもう夏山だろ!蒸しあがるような暑さに耐えられず、CLと橋本くんはペラペラのベースレイヤー1枚に変身した。どう見ても変態登山者だが、背に腹は代えられぬ。久光さんは暑さを見越して薄手のシャツを持参しており、最後尾から前2人の奇妙な恰好を少し冷たい目で見ていたような気がする。くそ暑い、雪がない、俺は夏山に来たかったんじゃない、などと文句を垂れながら歩き続け、350mほど標高を上げて弥勒尾根に乗り上げたところでようやく残雪が現れだした。ここからしばらくは平坦な広い尾根が続く。樹林の密度もそこそこあるため幕営はしやすそうだが、ここで泊まるくらいなら下界で前泊して日帰り装備で突っ込めばいいだろう。ちらほら顔を出す夏道と雪上のトレースを辿り、すっかり腐って踏み抜きの多い道にイラつきながら、ゆっくりと標高をあげていく。見るからにヤバそうな雪庇上にもトレースがついていたりして、いやそこ歩くのはまずいでしょ…というお気持ちになった。初日の行程は短かったものの、夏山レベルの暑さと幕営&おまけの登攀装備で荷物が重く、幕営予定地である五地蔵山へ着くころには結構疲労がたまっていた。五地蔵手前までは幕営できそうな箇所が少なく、もし五地蔵で張れなかったら…と精神をすり減らしていたのも一因か。雪面をならし、雪のブロックをいくつも作り、90分くらいかけてなんとか今夜の宿が完成。冬はテン場に着いても整地&風防作りという重労働があって嫌になる。整地中に久光さんが真っ黒な環付きカラビナを発見し、社会人の余裕を見せて(?)橋本くんにプレゼント。CLも見せてもらうと、どうもペツル・アタッシュの色違いのようである。市場で見たことないぞ、と思い調べてみると、どうも日本国内では流通していないレアものらしく、フランス特殊警察用に目立たないカラーリングのものを作りました、とかなんとか書いてある。これは欲しい。たまたま通常色(オレンジ)のアタッシュを持っていたので、そっちを橋本くんにあげ、黒いアタッシュはCLがいただく。これで俺もフランス特殊警察だ…。
夕飯は橋本くん作成の鍋。CLが共装のヘッドを持ち出しし忘れたので、自分のミニストーブ(SOTOのアミカス)を使うことに。しかしアミカスは死んでしまった。鍋が重くて耐えられなかったのか?理由はよくわからないが、ゴトクがひん曲がって完全にお陀仏。パーティ登山では大きいストーブを使う方がいいようですね。ちなみにアミカスはその後修理に出され、「一回だけ無償で修理します」と寛大な計らいを受けたものの、修理後の使用一回で再び壊れた。なんなんだお前は!?
鍋でお腹いっぱいになったあとは、明日必要な装備をより分けたのち、20:00ごろ就寝。山頂直下の雪壁がかなり急斜面に見え、本当に大丈夫なのかちょっと不安であった。
〈2日目〉
ちょっと早めの3:00起床。例によって朝焼けが美しい。冬山のモノクロームな世界が、朝の限られた時間だけ上品な朱色に染まる。自分はあまり景色に感動する質ではないのだが、それでもモルゲンロートを見ると「へー、綺麗じゃん」という気持ちになる。CLの作った適当なラーメンをほおばり、不要な荷物はデポして高妻山の山頂を目指す。アップダウンが多くてしんどく、さすがに雪壁を考えるとシェルは脱げないものの、インナーは1枚を残して脱いでしまった。とにかく暑い。さて、めちゃくちゃ楽しみにしていた山頂直下の雪壁だが、丁寧すぎるほどステップが刻まれていてちっとも難しくない。どうも田中陽希が最近入ったばかりらしいので、撮影隊のために足場を作ったのだろう。うーん、これではただの階段である…残念。仕方ないのでCLは時折トレースを外れて登ってみたが、予想以上に雪がグサグサでアックスがきちんと決まらず、ちょっと怖め。この雪質でノートレースだと結構怖そう。ハーフロープを補助用に持ってきていたが、少なくともザックを下ろしてロープを取り出すほどの余裕はないので、使うならロープを引きながら登る必要がある。雪壁が楽しめなかったのは残念だが、天気は超ピーカン、山頂からは白馬以北から鹿島槍以南まではっきりと見渡せて最高。モチベがない&この雪質だとしんどそうなので乙妻山のピストンはカットしたが、なぜ人気がないのか不思議に思うくらいいいピークである。白馬大雪渓や鹿島槍のルンゼを見ながら、ああだこうだ言って過ごす時間の贅沢なことよ。山頂の時間を30分以上堪能し、満足したところで下山を開始。本当ならこの下りが核心だったはずなのだが…ただ急な階段を下りるだけである。繰り返す登り返しにヒィヒィ言いながらテン場へ戻り、荷物を全部撤収。ここから幕営装備を担ぐのが面倒で、のんびり時間をつぶす。CLのパッキングが限界ギリギリすぎたためテントを入れるのがしんどく、フライを橋本くんに持ってもらった。あとは往路を引き返すのみ。ちょうど下山した時にカップル1組が幕営装備を担いで上がっていった。五地蔵山を幕営地に選ぶのであれば、ぜひともテン場代を払っていただきたいところだ。なお、結局出会ったパーティは片手で数えられる程度であり、ゴールデンウィークの百名山とは思えない入山状況であった。
■反省・雑感
・記録は早く書きましょう!!
・下山時、すれ違うためにトレースを外れたところ、足が滑った。初動停止したので傍目には雪に埋まっただけだが、あのまま落ちると死んでいたと思われる。油断は禁物。
・ペースが速かった。「バテないスピードで歩く」ではなく、「この行程ならぎりぎりバテる前に着く」みたいなスピードになっている。
・春山は暑い。下界は夏、登山中は春、なのに寝るときだけ冬という訳が分からない状態になる。雪質も悪く、冬山とは違う難しさがある。
・トレースが多くて残念。斜度が出てくると、クォークのようにシャフトがカーブしているマウンテニアリングアックスの方がずっといいな、と感じた。高いけど。
・幕営装備+スコップ+スノーバー+ハーフロープ30m+エスパース一式を含めて38+10Lで収められたのはよかった。しかしパッキングが限界すぎて再度収納するのがしんどく、下山時にフライは橋本くんに渡してしまった。また、小さいザックは腰ベルトが弱すぎて、荷物をぶち込むと肩がむちゃくちゃ痛くなる。