2019/7/13 赤淵川・景ヶ島渓谷遡行
山岳愛好会雷鳥・ぶなの会 計画書
【赤淵川・景ヶ島渓谷遡行】
作成者:丸山
■日程 2019/7/13日帰り(荒天時中止)
■山域 愛鷹
■在京本部設置要請日時 当日 20:00
■捜索要請日時 翌日 10:00
■メンバー
CL丸山 迫野 杉山
■行程
・7/13:赤淵川遡行後、車で移動し景ヶ島渓谷を遡行
■山行中の留意点、危険箇所、安全対策等
・滑落、落石、浮石、岩剥がれ、溺水に注意
・滝を無理に登らない
■エスケープルート
・7/13:引き返すか、道路へ出る
■遡行図
なし
■共同装備(現地分配)
救急箱(丸山私物):丸山
30mハーフロープ(雷鳥共装):杉山
フローティングロープ:杉山
ハーケン:丸山
カム・ナッツ:丸山
ハンマー:丸山、杉山
テント(リョクモンエダシャク):丸山
■個人装備
□ザック □雨具 □防寒具 □飲料 □非常食
□行動食 □ゴミ袋 (□軍手・手袋) □地図 □コンパス
□筆記用具 □計画書 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)(□学生証)
(□運転免許証)
□保険証 □現金 □ライター □常備薬 □ナイフ □笛 □お助け紐
□地理院地図をキャッシュ済の地図アプリが入ったスマートフォン
□沢靴 □ヘルメット □ハーネス □スリング □カラビナ □環付カラビナ
□確保器・下降器 □登高器 □ゴーグル □ウェットスーツ (□PFD)
□エマージェンシーシート
□シュラフ □テントマット
※荷物の防水化の徹底
■遭難対策費(雷鳥)
100円×3人 計300円
■備考
・日の出(7/14) 4:40
・日の入(7/14) 19:02
・富士警察署0545-51-0110(計画書提出なし)
・裾野警察署(055)995-0110
赤淵川牛ヶ淵ゴルジュ・景ヶ島渓谷遡行記録
作成者:丸山
■日程 2019/7/13(土)
■山域 愛鷹
■天候 曇り後小雨
■メンバー
CL丸山(35/OB)、SL杉山(39/B3)、迫野(35/D1)
■総評
赤淵川は程よく増水していて美しさ、楽しさ、登り応えを兼ね備える秀渓を堪能できた。景ヶ島では迫力あるゴルジュの中で本格的なエイドを初経験でき、奇岩群も興味深かった。梅雨の止み間を狙っての転進で、予報が外れて降られてしまったものの、非常に充実した1日となった。
■ヤマレコ記録
赤淵川:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1933262.html
景ヶ島:https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1933263.html
■時間
○赤淵川
7:12 出発
7:20 入渓
8:58-9:59 8m滝(A1クライミング)
10:23-11:04 7m滝
11:45 2段堰堤(遡行終了)
11:55 林道に出る
12:13 帰着
○景ヶ島
13:11 出発
13:17 入渓
13:27-14:57 3m滝人工登攀
15:40 大久保川出合
16:17 遡行終了
16:43 帰着
■ルート概況(敬称略)
※滝の落差等は自作溯行図に基づく。
○赤淵川
※ヌメリは少なくラバーソール推奨。
・林道から、藪の薄い場所を選んで適当に斜面を下って入渓。
・最初の6m滝は大きくハングしていて登れそうになく、少し戻って左から巻く。左岸は岩壁が続いていて厳しい。
・カムの残置されている4mCS滝は、カム残置のクラック附近からフリーで直登できる(III+)。
・次の3mCS滝は、泳いで左に取り付き登れる。
・2つ続く2mCS滝のうち上の方は、激しい水流のある右側を直登できる(IV)。
・下部小ハングの8m滝は、ハング部をハーケンでA0、その上のホールドのない部分をA1で突破できる(IV, A1)。通常は巻く。
・大釜を持つ7m滝は、泳いで右に取り付き直登できる。水から上がる部分が難しくIV-。
・5m滝は立っていて登れそうにない。右岸から容易に巻ける。
・二俣を右に入るとゴルジュが続くが、難所はなく2段堰堤に至り、やや悪い右岸斜面を登って終了とした。
○景ヶ島渓谷
※核心はエイドなのでフェルトでもラバーでも大差ない。
・屏風岩駐車場に停めて、遊歩道を2分ほど下ると屏風岩。
・巨大な釜を泳いで右から取り付き、II+程度の登攀で最初の滝を越える。
・少し泳ぐと次の3m滝で、フリーでは登れないし、巻けない。右壁はクラックが繋がっていないためハーケンでは登れず、良いリスが3本ほどある左壁をハーケン&アブミで登る。ハーケンとアブミは4つ程度は欲しい。
・以降は傾斜の殆どない癒やし系であり、奇岩を眺めながら臭い水での泳ぎを交えて遡行する。途中、簡単に巻ける1m程の小滝もあり、正面突破すればそれなりに面白い。
■記録
○入渓まで
・行先決定の経緯
せっかくの3連休だが天気が悪い。しかも木口が足の不調により不参加ということで、群馬・新潟方面への転身を考えていたものの、モチベーションが下がって近場のゴルジュの計画とする。そのおかげでこんなに素晴らしいゴルジュと出会えるとは…
・歩き始めるまで
戸塚に集合後、迫野の運転で、御殿場まわりの一般道で赤淵川へ。林道に入り、広くなっている部分で前泊。車通りも殆どなく快適だったが、テントが随分濡れて、干すのがめんどくさそう。6時起床後、林道を少し進んでから路肩に駐車し、準備して出発。
・4mCS滝まで
多少林道を戻ってから、藪の薄い部分を選んで川へと下降。最初はゴーロだが、少し進むと6mハング滝出現。下部がハングしているのでどう見ても登れず、少し戻って右岸を巻く。比較的巻きやすく、滝上に出ると早速ゴルジュ状となる。ところどころ泳ぎを交えながら、美しい釜をもつ小滝を越えていくのは至福の時。最高の気分でゴルジュを進んでいくと、4mCS滝がある。遠目には登れなそうだが、近づいて見るとそうでもなく、あっさりフリーで登れてしまった。良く記録に出てくる残置されたカムもあり、回収を試みたがやはり駄目。どうせ皆試しているのだろう。
・8m滝下まで
さらに3mCSを泳いで取り付いて越えると、いったんゴーロとなるが、飽きないうちに美しいナメが出てくる。その後は2mCS滝が2つ続くが、後の方は水線に拘ると結構難しく面白かった。登れなければ簡単に巻けるのがこの沢の良いところ。その後やや平凡になった沢を4分ほど進むと8m滝。
・8m滝登攀
この滝、下部はハングしているが、ハングの弱い左側から越えられれば登れそうにも見える。今日はせっかくアブミも持ってきていたので、丸山のリードで挑戦してみる。空荷になって、まずはハングの裏側の岩にハーケンを打って中間支点を取り、フリーで登ろうとするも登れず、いきなりヌンチャクを掴んでA0。それでも厳しく一度テンションしてから体勢を立て直し、もう一度登ろうとすると、漸くハング部を越えられた。しかし、次のホールドが意外とない。もう諦めて降りようかとも思ったが、せっかくハーケンとアブミがあるので、リスにハーケンを打ってアブミをかけてみると、意外とよく効いている。そのまま立ち込んで登っていき、ホールド乏しいゾーンを突破。後は簡単で、すいすい登って左岸立木で終了点工作。が、空荷になったときに笛も置いてきたことを思い出す。何とか下から見えるところに行って合図を出し、迫野、杉山の順に登った。杉山はアブミを回収してしまったため核心部でかなり苦労した。反省点。この滝は通常は巻かれており、初登かもしれない。
・7m滝まで
その後は多少平凡になりながらも普通に美しい渓谷が続く。2段4m滝は、杉山が登った右は脆く微妙。激しいシャワーになるが水線の方が良さそう。その先の7mも巻くパーティが多いようだが、右から楽しく登った。釜から上がるところハング気味で難しく、カムにアブミをセットして後続用としたが、セットした場所が悪く、カムのステムが曲がる結果になってしまった。一応ロープを出したものの、中間支点も終了点も取らず、ボディビレイにした。この滝でこの沢の技術的核心は終了。
・二俣まで
7m滝上も美しいゴルジュと小滝と釜が続き、素晴らしい。愉悦に浸りながら遡行していくと、いつの間にかだいぶ水量が減って、ハングした5m滝が現れる。右壁の迫力が凄い。登れそうにないので、右岸から巻くが、滝の見た目の割に巻きやすくてありがたい。しかも沢床にも簡単に戻れる。その上の美しいナメを越えていくと左から支流が入る。
・遡行終了まで
二俣では、水量も多く、ゴルジュの継続が期待できる右を選択。もう大した滝はないが、相変わらず泳ぐ淵はあって、それなりに楽しい。暫くすると2段の堰堤があり、下段は左から登ったが、上段は登れないし、堰堤上は平凡そうなので、ここで遡行終了とする。
・帰着まで
超短いが、足場が割と悪い詰めをこなすと尾根に出る。この尾根を登っても林道には出られるが、どうせ緩い地形なので適当に下り、沢筋を適当に横断して林道に出た。沢筋を横断するところで油断したのか、迫野は転んで痛そうにしていた。帰りは、林道をわずか20分弱歩くだけであった。素晴らしすぎる。
○景ヶ島渓谷
・入渓まで
40分の車移動で屏風岩駐車場に着く。移動中に降り始めた小雨が止まないが、せっかくここまで来ているので入渓することにする。遊歩道を歩いていくと、丸山や迫野は見飽きているが、典型的な柱状節理である屏風岩と、巨大な釜に至る。
・3m滝まで
最初の2m斜瀑への取り付きはいきなり泳ぎだが、早速水が臭い。臭い水を10mくらい泳いで滝に取り付くと、簡単に登れる。閉塞的なゴルジュを10mくらい遡行すると、核心の3m滝が姿を現す。
・3m滝
定石は左壁だが、右にもリスがあるのでここから登れないかと考え、ハーケン+アブミをセットして乗り込んでみると、もう1枚ハーケンが決まればなんとかなりそう。しかし打とうとしても岩が割れていくばかりで決まらず、諦める。
定石通りの左壁は取り付きが深そうだったが、意外と浅くて立てる。ということで、まず1枚ハーケンを打ってセルフを取り、高い位置でもう1枚打ってアブミをかけて乗り込む。さらに3つずつのハーケンとアブミをセットして登っていき、最後は滝上のガバを掴んでマントルを返して完了。
丸山がハーケン全消費&ロープなしで登ったので、セカンドの迫野がロープを引いて、下側のハーケン2つを回収して登り、終了点をそのハーケン2つの固定分散で作ってから杉山をビレイして、全て回収。ハーケンはかなり良く決まっていて抜けにくかった。小さいが、なかなかの達成感のある滝だった。
・宮川橋まで
3m滝さえ登ってしまえば後は癒やし系。奇岩の点在するゴルジュを泳ぎを交えて遡行するのは楽しいが、ゴミの多さと臭いの酷さには閉口させられる。川の両岸に綺麗に嵌った竹が巨大なプロテクションのようであるなどと冗談を言いながら遡行し、次第に飽きてきたので宮川橋を潜ったところで左岸から脱渓。
・終了後
水が臭かったのでいろいろと洗ってから車に乗りたいと思うが、都合の良い水道等は見当たらないまま駐車場へ。結局そのまま車に乗って、近くの公園まで行ってから洗い物をした。水道が使えるのは良いが、蚊が多かった。その後は杉山の運転で新松田まで。眠そうにしていたが眠い時の運転の危険さを理解してもらえたと思う。
■備考
・赤淵川は素晴らしい。初級者でも遡行できるし、難しい滝に取り組めば上級者でも楽しめる。
・赤淵川では人との遭遇なし。景ヶ島では橋の上から奇異な目で話しかけられた。
・泳ぐ箇所は多いが、水流に押し戻されそうなところはない。
・ヤマビルなし。
・景ヶ島渓谷は、ゴミが多い。
・景ヶ島渓谷の3m滝は、人工登攀の練習に良い。
■CL感想
・赤淵川は、意外にも素晴らしい沢だった。滅多に再訪しようとは思わない自分が、天気が良いときに再訪してみたいと思えるほど。
■CLコメント
・ジムで無理して沢に行けなくなるのには注意しましょう。
・空荷でリードするという一番楽しいところをさせてもらい、荷揚げやアブミ回収というめんどくさいところを押し付けてしまって申し訳ない。次回はぜひリードを楽しんでください。
■杉山感想・コメント
〇赤淵川
・むちゃくちゃ綺麗だった。再訪したい。
・予想以上に指の故障がひどかった。残置カムのあるCS滝もガバが持てず、2人とは別のルートで登った。皆さんも故障には気を付けましょう。
・ライフジャケットがあると泳ぎパートがとても楽ちんだが、へつる時にものすごく邪魔。脱がざるを得ないシーンもあり、泳ぎが厳しいところ以外は持っていかない方がいいのかもしれない。モンベルのフロートベストという製品は浮力が控えめなぶん浮袋が小さくて動きやすいようで、こっちを買えばよかった。
・カムをひん曲げた。ステムが柔らかいからまあ変な方向に荷重しても大丈夫だろうと思っていたが、認識が甘かった。一応修理に出したが直るかどうかは不明。(→無償修理)
・8m滝ではバチ効きのハーケンを抜くのに難儀した。登攀に要した時間のうち半分くらいはハーケンと戦っていたと思う。
・残り半分はアブミを外した後の登攀だった。アッセンダー+スリングで適当にアブミをつければ登れるだろうと気軽に考えていたが、実際はロープが伸びるせいでアブミの意味がなく、全く登れなかった。
〇景ヶ島
・行動食が拾える。野菜が多いので栄養価もばっちり。
・渓相は本当に最高。渓相は。
・これまたハーケン回収で難儀したが、アブミ4連発の人工登攀はかなり楽しかった。いずれリードしてみたい。
・運転は少し慣れましたが、駐車ができません。
■迫野感想・コメント
・赤淵川遡行終了後に転んで負傷したの恥ずかしすぎる…
・景ヶ島、ビニール袋や缶、ペットボトルなどの定番に加えタイヤやホースなどの粗大ゴミ、モヤシ、キャベツ、ジャガイモなどの腐り物まであって品揃えが充実してたね(良くない)
・景ヶ島の水はまじでヤバい。飲んじゃダメ。ゼッタイ。
・景色と匂いのミスマッチが凄まじい
・眠そうにしていたが眠いときの運転の危険さを理解してもらえたと思う。←おい
・次回はぜひリードを楽しんでください。←遠慮しときます
・久しぶりにめちゃくちゃ好みドストライクのゴルジュに出会った。特に赤淵は最&高
■反省
+適切な転進判断をした。
-笛を忘れて空身で滝を登った。
-回収しやすさのことを考えていないアブミのセットをした。