2019/7/15 谷戸入沢左俣遡行・右俣下降

山岳愛好会雷鳥・ぶなの会 計画書
【谷戸入沢左俣遡行・右俣下降】
作成者:丸山
■日程 2019/7/15日帰り(荒天時中止)
■山域 西丹沢
■在京本部設置要請日時 当日 20:00
■捜索要請日時 翌日 10:00
■メンバー
L丸山 梶原 山本
■集合 セブンイレブン伊勢原桜台一丁目店に7:25
■行程
谷戸入沢左俣遡行(4時間程度)後、右俣を下降(3時間程度)
■山行中の留意点、危険箇所、安全対策等
・滑落、落石、浮石、岩剥がれに注意
・滝を無理に登らない
■エスケープルート
・左俣:引き返すか、そのまま進む
・右俣:そのまま進む
時間が足りない場合は沢下降をせず右岸尾根で下山
■遡行図
丹沢の谷200 p.171
■共同装備(現地分配)
救急箱(丸山私物):丸山
30mハーフロープ(丸山私物):丸山
ハーケン:丸山
ハンマー:丸山
■個人装備
□ザック □雨具 □防寒具 □飲料 □非常食 □ヘッドライト □予備電池
□行動食 □ゴミ袋 (□軍手・手袋) □地図 □コンパス
□筆記用具 □計画書 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)(□学生証)
(□運転免許証)
□保険証 □現金 □ライター □常備薬 □ナイフ □笛 □お助け紐
□地理院地図 □遡行図 □地理院地図をキャッシュ済の地図アプリが入ったスマートフォン
□沢靴 □ヘルメット □ハーネス □スリング □カラビナ □環付カラビナ
□確保器・下降器 □登高器 (□ゴーグル)
□エマージェンシーシート 
※荷物の防水化の徹底
■遭難対策費(雷鳥)
100円×3人 計300円
■備考
・日の出(7/15) 4:40
・日の入(7/15) 19:00
・松田警察署 0465-82-0110

谷戸入沢左俣[イセ沢]遡行・右俣[本流]下降記録
作成者:丸山
■日程 2019/7/15(月)
■山域 西丹沢
■天候 曇り・上部霧
■メンバー
L丸山(35/OB)、山本(37/OB)、梶原(40/B2)
■総評
すっきりしない天気の中で選んだ転進先だったが、登れる滝が多く、程よく増水していて楽しめた。景色の良い沢に行くには向かない天気だったので、ちょうどよい転進で、天気の割には充実した山行ができた。
■ヤマレコ記録
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1933266.html
■時間
8:56 出発
9:44 二俣
11:28 15m大滝下
11:39-12:34 ゴルジュ内8m滝
13:02 詰め終わり
13:33-49 右俣下降開始点で休憩
15:29 二俣
15:58  帰着
■ルート概況(敬称略)
※滝の落差等は丹沢の谷200ルートに基づく。この遡行図では落差は過大評価傾向にある。
※ヌメリが激しくフェルトソール推奨。

○遡行(谷戸入沢イセ沢)
・半堰堤状3条7m滝は、右の凹角を登れる(III+)。明瞭な巻道があるので通常は巻くが、意外と大巻になるしヒルが多い。
・5m滝(実際は4m)はホールド・スタンスが細かくIV程度。
・その上の小滝(1m程度)はつるつるで意外と難しい。右岸をへつって越える。
・2段5mは水流を跨いで突っ張りで登る(III+)。
・ヒョングリ状7m滝は右から登れる(III+)。
・石積堰堤(4m)は楽しく直登できる。
・滝上に小堰堤のある5m滝は水線左がIII+程度。
・15m大滝(実際は2段2+10m程度)は登れそうになく、右岸から巻く。小さく巻こうとすると横に張った根に頼る微妙な巻きになるが、大きく巻くと容易。
・ゴルジュ内8m滝(実際は6m程度)はこの沢の登れる滝では最も難しい。ハーケンを2枚打ってA0も交えて水線右を登った(IV+)。
・三俣で水はほぼ消える。中俣を遡行したところ、岩床が続き比較的良い詰めだった。ただし林道の法面が登りにくかった。
※特記した滝以外は全てIII以下で快適に登れる。

○下降(谷戸入沢本流)
・右俣の林道との接続部分は残土捨て場になっていて、人工的地形で下りやすい。奥秩父のトーバク沢下部に似ている。捨て場から沢床に降りる部分が垂直であり、右岸の立木で懸垂下降。遡行の場合は左岸の凹角を登れそう。
・右俣最上部の2条15m滝は実際は10m程度で、左岸立木から30mロープで余裕をもって懸垂下降可能。立っている上に脆く、登るのは難しそう。
・これ以降の右俣はかなり平凡。所々にそれなりに綺麗なナメがある。
・堰堤群には巻道がついていたようだが、部分的に崩壊して不明瞭である。それほどヤバい地形ではないので適当に歩けるが、ヒルが多い。
・堰堤群の下はナメ小滝が多く、割と美しい。
・右俣で一番下の4m滝は「右III+」とされているが、左がIII程度で登降可能。

■行動記録
□出発まで
3連休最終日、天気が相変わらず微妙なので、ジム転進も検討したが、何とか行けそう。念の為ジム転進装備も持って出発。集合場所はセブンイレブン伊勢原桜台一丁目店としたが、伊勢原駅周辺にはセブンが3店舗もあって分かりにくい。梶原が間違え、遅刻。山本の超安全運転で、小雨の中、西へ向かう。山北町に入ってそろそろ止んでほしいな?と思う頃にちょうど止んでラッキー。人気のない皆瀬川沿いの県道を走って人遠に至る。如何にも僻遠の地というような地名で興味深い。出合を少し通り過ぎたところで道が広くなっておりここに駐車。
□遡行
○二俣まで
遡行準備後歩き始め、県道を少し戻ると皆瀬川に降りる道があって、楽々の入渓。平凡な河原を歩いていくと堰堤があり、右から巻く。少し進むと上部が堰堤の滝で、通常は巻くようだが右凹角が登れそうだったので、ロープを出して丸山がリード。根に頼りながらの如何にも沢らしいクライミングで堰堤上へ至る。後続を待っていると、ヤマビル発見。うっかり失念していたが、この辺りが既にヤマビルの支配地域だったことを思い出す。1.5mの滑りやすい小滝を越えると二俣。
○堰堤まで
イセ沢に入るといきなり小滝の連続。いずれも楽しく登り、多くのパーティが巻いている5m滝に至るが、登れそうである。丸山が最初に登り、後続にはお助け紐を出した。続く1m滝は釜が深く、最初左岸からへつろうとしたが難しかったので、一見難しそうだった右岸に挑戦したところ、意外と越えられた。続く2段5mは山本がフリーで取り付いたが踏ん切りがつかずに降りて、改めてロープを出し、丸山がリードした。すぐに次のヒョングリ状7m滝があり、これも丸山がリード。セカンドの山本はヒョングリ附近で滑ってテンションをかけ、滝で初めて落ちたと嘆いていた。
○大滝まで
一瞬だけ沢が平凡になったところに現れる堰堤も直登し、続く5m滝も左を直登。3m滝を登ると大滝で、いかにも登れないので右岸から巻く。小さく巻くことを考えたが、丸山が微妙だと言うと、山本が大巻きのルートを先導してくれて容易に巻けた。
○三俣まで
随分滝を登った気がするがまだまだ終わらず、沢がゴルジュ状になって最後の連瀑帯となる。下の方の滝は適当に登って目にする8m滝は、結構難しそう。まずは山本が取り付いたが、ホールドが乏しくて登れず、しかも降りれないとのこと。いわゆるセミである。仕方ないのでロープを出し、丸山がその横から登っていくが、確かに厳しい。悪い体制でハーケンを2枚打ち、効きが悪そうなので軽くA0して、何とか登攀。ロープ固定後、山本はアッセンダーで登ったが激しくA0。意外とハーケンはよく効いていたらしい。梶原がハーケンを回収してラストで登ったが、ロープで激しくゴボウ。続く6m滝は快適。最後にナメを堪能して三俣。
○林道まで
後藤さんの遡行図ではここから右岸を詰めているが、まだ沢筋が行けそうなので、一番まともそうな中俣を選択。顕著な谷筋が続き、比較的快適な詰めだったが、林道直下に至って問題発生。林道の法面が急で上がりにくい。丸山は無理やりクライミングして登ったが、梶原・山本はお助け紐を使用しても登れず。山本は林道沿いにトラバースして上がりやすい場所を探し、梶原は3トライ目くらいで漸く上がった。山本も結局別の場所からお助け紐を使用して上がった。三俣の中俣の詰めはこの林道に上がる部分が微妙である。
□八丁神縄林道
林道は開けていて景色がそれなりに良さそうだが、濃霧のため何も見えない。下降点を探しながら北へ行くが、結局右俣の沢筋に降りれそうなのは1か所だけだった。ここで昼食休憩。梶原は行動食を忘れたとのことで、非常食を食べたり山本や丸山から分けたりした。なお、ここの堰堤には「ヤイトリ沢」と書かれていたが誤記であろう。
□下降
○沢に降りるまで
この谷筋は残土捨て場となっていて、現在は後藤さんの遡行図に描かれているような滝はない。3面張りの谷筋の右岸側斜面を下っていくと、最後は垂直な壁となっていて降りられない。幸いにも立ち木が1本あり、ここから懸垂下降で沢に降りられた。
○2条15m滝まで
ガレた沢を少し下ると滝出現。クライムダウンは出来ないが、左岸にちょうど良い立木があるので懸垂下降を選択。降りてみると10m程度で、これが2条15mなのか疑わしいと思ったが、他に滝は無かったので間違いなかったようである。
○堰堤群まで
左俣のイセ沢に比べるとこちらは本当に滝のない沢で、快調に下れる。結構下ったところで堰堤が出てきて、これを左岸から巻くと、また堰堤が見えてくるので沢筋には戻らずに巻き続ける。これを繰り返して5基程度の堰堤を巻いた頃には、我々はヤマビルまみれになっていて、慌てて引きはがしにかかった。
○二俣まで
堰堤群の下はそれなりに綺麗な沢で、ナメ小滝が多く癒される。最後のIII+の滝は如何ほどだろうかと思っていたら、反対側から簡単に降りられて拍子抜け。
○帰着まで
遡行時には登った半堰堤状滝も巻いたが、意外と大高巻きで、遡行時は登攀しておいてよかったと思った。この巻きでまたヤマビルが憑き、山本と梶原は大騒ぎしながら除去していた。これ以上憑かれる前に、と急いで下って駐車スペースに帰着。
□解散まで
駐車スペースでも入念にヒルチェックをし、帰りは新松田まで梶原の運転。慣れてきているようで、特筆なし。
■備考
・容易な滝から難しい滝まであるが、巻きは難しくないので、登攀力に応じて楽しめる。
・残置支点は見当たらなかった。
・人との遭遇なし。
・ヤマビルがいる。特に下部に多く、右俣の堰堤群の巻きでは多く確認された。
・普段の水は少なそうなので増水時が良さそうだが、そういう時はヤマビルも出やすいのが問題である。
・一応山北町なので西丹沢としたが、岩質は表丹沢と同じで、フェルトソールが良い。
■CL感想
・期待以上に良い沢だった。アプローチや詰めも短く、内容も表丹沢の代表的な沢と比べて遜色ない。
・山本と梶原のヤマビルに対する反応が過激で面白すぎる。腹筋攣りそうになった。
■山本感想
2週連続でセミになるとつらい。簡単な滝をフリーで登って調子に乗らないように。
■CLコメント
・言ったそばからセミにならないように。
■反省
+適切な決行判断をした。
+適切にハーケンを打った。