2019/8/9-11 五竜岳・唐松岳

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
五竜岳唐松岳山行計画書 第二版
作成者:谷口((平岩, 2017)を参照)
■日程 2019/8/9(金)-8/11(日) 山中1泊2日 予備日なし
■山域 北アルプス 後立山連峰
■在京本部設置要請日時:2019/8/11/19:00
■捜索要請日時:2019/8/12/10:00
■メンバー(計3人)
CL谷口 SL平岩 五島

■集合
8/9(金) 9:00バスタ新宿

■交通
□行き
・バスタ新宿(9:35)―白馬五竜(14:36)
高速バス 5300円/人
・遠見―アルプス平(所要時間8分)
テレキャビン 7:00-16:00、1000円/人

□帰り
・八方池山荘―黒菱平―兎平駅―八方駅 (所要時間約40分)
グラートクワッド・アルペンクワッド・アダム 7:00-16:40、1550円/人
・白馬八方(14:15)—バスタ新宿(19:28)
高速バス 5300円/人

■行程
○0日目(8/9)
白馬グリーンスポーツの森キャンプ場 1000円/人

○1日目(8/10)
アルプス平~(1:50)~小遠見山~(1:50)~大遠見山~(2:00)~五竜山荘~(1:00)~五竜岳~(0:40)~五竜山荘
(計7:20)
※五竜山荘から五竜岳はサブザックでピストン。天候や時間次第でカット。

○2日目(8/11)
五竜山荘~(2:30)~唐松岳頂上山荘~(0:20)~唐松岳~(0:15)~唐松岳頂上山荘~(3:00)~八方池山荘
(計6:05)

■エスケープルート
五竜山荘まで:引き返して、アルプス平へ
五竜山荘から:そのまま進み、八方へ

■地図
二万五千分の一地形図:「神城」「白馬」
山と高原地図:「鹿島槍・五竜岳」

■山小屋
○五竜山荘 0261-72-2002
テント泊(30張)1200円、素泊まり7000円、弁当1200円、水100円/1L
○唐松岳頂上山荘 090-5204-7876
テント泊(25張)1200円、素泊まり7300円、水150円/1L
○八方池山荘 0261-72-2855
テン場なし、素泊まり7000円、弁当1200円

■個人装備
□ザック □ザックカバー □サブザック □登山靴 (□替え靴紐)
□雨具 □防寒具 □ヘッドランプ □予備電池
□水 □行動食 □非常食
□コッヘル □武器 □ビニール袋
□帽子 □手袋・軍手 □トイレットペーパー
□地図 □コンパス □筆記用具 □計画書 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)
□学生証 □保険証 □現金
□ライター □常備薬 □着替え □温泉セット

■共同装備
・テント本体フライ(エアライズ):谷口
・テントポールペグ(エアライズ):谷口
・ヘッド2(私物):谷口、平岩
・カート2:谷口→五島
・鍋(お茶大コッヘル):谷口
・アーミーナイフ、しゃもじ(私物):谷口
・まな板シート、菜箸、おたま(私物):五島
・救急箱(私物):谷口

■食当
0日目夜:五島
1日目朝:谷口
1日目夜:平岩
2日目朝:谷口

■遭難対策費
200円/人

■日出日入
日入 8/10 五竜岳 18:57
日出 8/11 五竜岳 4:52

■警察署電話番号
〇大町警察署(白馬村) 0261-22-0110
〇黒部警察署(黒部市) 0765-54-2060

■八方温泉
○八方の湯 0261-72-5705
9:00-22:00、入浴料800円、内風呂と露天
○郷の湯 0261-72-6541
12:00-21:00、入浴料600円、内風呂
○みみずくの湯 0261-72-6542
10:00-21:30、入浴料600円、内風呂と露天

■備考
・白馬五竜テレキャビン[(株)五竜] 0261-75-2101
・八方アルペンライン[(株)白馬観光開発] 0261-72-3280

■参考
2017年度五竜・唐松岳山行計画書(CL平岩)

五竜岳唐松岳山行記録
■日程 2019.08.10(土)~2019.08.11(日) 前日朝発、山中一泊二日
■山域 北アルプス後立山
■天候
1日目:晴れ
2日目:晴れ
■メンバー
CL谷口(37/M1)、SL平岩(37/OB)、五島(37/M1)
■オーダー
1日目:谷口、五島、平岩(大遠見山まで)/五島、平岩、谷口(大遠見山から)
2日目:谷口、五島、平岩
■総評
登山口から稜線まで続く遠見尾根の上りは単調で長く感じたが、五竜山荘から五竜岳頂上までは、岩場が多く、楽しめた。唐松岳頂上山荘までの縦走路上に連続する鎖場は、一部高度感がある箇所もあったが、難しくはなかった。また、高山植物のお花畑が見頃な時期でよかった。そして何より、二日間を通し、天候に恵まれたのが幸いだった。雲海に沈む夕日、満天の星空、朝日を浴びる北アルプスの峰々。夏山縦走の醍醐味を満喫できた山行となった。
■行程
○1日目
06:32 06:32 白馬グリーンスポーツの森キャンプ場
07:38 07:40 五竜遠見(テレキャビン)
07:48 07:54 アルプス平(テレキャビン)
08:15 08:15 地蔵ノ頭
08:33 08:38 見返り坂
08:56 08:56 一ノ背
09:08 09:15 二ノ背
09:21 09:21 小遠見山ピーク分岐
10:24 10:42 大遠見山
13:10 14:02 五竜山荘
15:05 15:24 五竜岳頂上
16:18 16:18 五竜山荘
(五竜山荘から五竜岳頂上までサブザックでピストン)

○2日目
04:38 04:38 五竜山荘
07:45 08:03 唐松岳頂上山荘
08:20 08:38 唐松岳頂上
08:55 09:20 唐松岳頂上山荘
10:45 11:08 八方池
12:00 12:00 八方池山荘
(唐松岳頂上山荘から唐松岳頂上までサブザックでピストン)

■記録
1日目
テントから出て顔を上げると、枝葉の隙間から青空がのぞいていた。辺りを見回すと、視界がにじむ。アレルギーで、今日も朝から目の潤いが半端ない。
三人でミートソースのパスタを食べた。テントを片付け、準備を済ませてキャンプ場を出発。遊具が充実した素晴らしいキャンプ場だった。
キャンプ場からゴンドラ乗り場まで、4km弱を歩く。朝から日差しが強い。田園の中を伸びる道路を延々と歩く。ウォーミングアップには十分すぎた。1時間かけて、五竜遠見駅に到着。テレキャビンに乗って、一気に標高を稼ぐ。
アルプス平駅からやっと登山スタート。高山植物園の遊歩道を歩いた。周囲には、人工的に植栽された多種多様な高山植物が花を咲かせる。まだ登り始めたばかりなのに、どこか体が重く感じた。
麓は晴れていたが、標高を上げると徐々にガスに包まれた。足に違和感のある平岩さんはストックを使っていた。階段が多い。地蔵の頭を通過し、見返り坂に到着。アルプス平方面を振り返っても、眺めは悪い。
ダケカンバが林立する尾根の上を登っていく。傾斜は緩いが、長く感じた。歩いていると、朝食べたミートソースが消化できず何度も上がってきた。体調があまり良くない原因はこれか。
大遠見山に着いて、長めの一本。胃の調子を考え、行動食は控えた。
先頭を歩くことに飽きてきたので、大遠見山から気分転換にオーダーを変更。快調に歩く二人の後を進む。晴れ間が見えては隠れが繰り返される。雲が切れるたびに強い日差しが降り注ぐ。
途中、トレイル脇の見晴らしのいいスペースで一本。薄いガスの向こうに五竜岳。雪渓から吹き上がる風がとても気持ちいい。長居したかったが、先へ進む。
西遠見山を越えると、稜線までの最後の長い上りが始まった。なかなかタフな登り。重いザック、照りつける太陽、上がるソース。元気そうな平岩さんの高山植物の解説を耳に、上を目指す。
しばらく進むと、鎖場が出てきたが、三人とも鎖は補助程度に難なく通過。
こまめに小休憩を挟みながら進み、一時ごろ稜線に上がった。北側を見ると、唐松方面への縦走路が一望できた。東側からわき上がる雲が稜線にせき止められて立ち昇り、神秘的な景観を作っていた。ここまでの疲れが吹き飛んだ。
五竜山荘に到着。小屋には『山が好き酒が好き』Tシャツが売られていた。あまりに有名なTシャツなので、買うのは控えた。テントを設営し、ベンチで休憩。五島さんの持ってきてくれた因島ゼリーを三人で美味しく食べていると、偶然隣に座っていたおじさんが因島出身という奇跡が起きた。世の中狭い。
体が冷えないうちに、五竜岳を目指しサブザックでテン場を出発。この時間は、山頂へ向かう人より下ってくる人のほうが多い。ガレたトレイルを進む。終盤は思っていたよりも、岩々しくて登っていて楽しかった。一時間ほどで山頂に到着。山頂標識は縦に裂け、木片が散らばっていた。あとから知ったが、三日前に雷が直撃したらしい。山頂からの展望はガスのせいであまりよくない。半壊した標識の前で集合写真を撮って、来た道を引き返した。帰り道、平岩さんに職場での苦労を聞いた。一生学生でいたいと思った。
晩飯は、平岩さんの作ってくれたちらし寿司。トッピングの鮭フレークがよく合う。明るいうちに食事を済ませた。
テン場は満員で、この時間に山荘に到着した登山者は、スペースを探すのに苦労していた。中には斜面を鍬で耕し、自分で自分のテン場を作り出している人がいて感心した。
食後は三人で夕日を眺めた。西の空が澄んだ青から茜色へと変わっていて、そのグラデーションが美しい。下に見える山々が雲海から頭を出し、まるで海上に浮かぶ島のよう。五島さんと平岩さんのコントのような掛け合いに笑いながら、日没を迎えた。
この日は偶然、山小屋のJAXAの関係者の方による星空観察会が開かれた。満天の星空を見上げ、星の解説を受けた。ユーモアを交えた解説に引き込まれた。夜空を眺めているうちに、はくちょう座の星の並びが、本当に白鳥にしか見えなくなり、昔の人と感情がシンクロした気分だった。

2日目
余裕をもって下山するために、日の出前に山荘を出発。眼前には、稜線上を縦走路が伸びる。途中、東側の展望が開けた場所で立ち止まって、朝日を拝んだ。
その後も快適な稜線歩きが続く。振り返ると赤く染まった五竜岳。左後方には立山連峰。五竜山荘からは角度的に見ることができなかった憧れの剱岳が見えた。
ピークを1つ超えると、鎖場が連続した。アトラクション感覚で超えていく。
高度感のある岩場のトラバースで、渋滞ができていたので自分たちも安全な場所で待機した。唐松側から十数人規模の年配のパーティがゆっくりとやって来た。一人ずつ、カラビナを鎖にかけて歩くせいで、かなり時間がかかっていた。重装備で慎重に進む彼らを見て、さすがにハーネスやザイルは必要ないが、自分たちもヘルメットはあったほうが安心だなと思った。
渋滞で時間をロスしたが、なんとか頂上山荘に到着。メインザックをデポし、唐松岳山頂へ。ザレた斜面にピンクの花を咲かせたコマクサが群生する。山荘からあっという間に登頂。山頂からこの上ない展望を満喫した。北に赤褐色の杓子岳、奥に白馬岳。不帰キレットらしき箇所は上から見た感じ、慎重に行けば安全に帰れそう。南は槍ヶ岳まで続く山脈がはっきり見えた。
山荘に戻ってダラダラした後、下山を開始。山の日だからなのか、登りの登山者で混み合う。一人ずつ挨拶を交わしながら下る。すれ違う登山者のTシャツが気になった。マラソンやトレランの大会Tシャツ、山小屋オリジナルTシャツ、アウトドアブランドのロゴの入ったTシャツなど、人それぞれ個性があって面白い。そんなことで気を紛らわしながら、標高を下げていく。途中、緩斜面にお花畑が広がっていて、平岩さんが種名を教えてくれた。
八方池はラフな格好の観光客で賑わっていた。晴天時には、水面に後立山の山々が映るというが、ガスで見えなかった。池は泳ぐには浅そうだ。
八方池からは、整備された木道を進む。すぐ上をパラグライダーが旋回し、観光客の注目を集めていた。先ほどまでとは違って、ここではすれ違う人に挨拶しても、ほとんど返ってこない。下界に下りてきたなあと感じた。
八方池山荘まで下山し、在京に連絡。リフトとゴンドラを乗り継ぎ、麓の白馬八方まで下りた。下りのリフトに乗るのは新鮮な体験だった。
ゴンドラを降りてから、うだるような暑さの中、温泉を目指す。スキースノボ関連の店が軒を連ねる。空いていて穴場だという八方温泉『郷の湯』へ。確かに入浴客は少なかったが、お湯が熱すぎて、膝までしか入ることができず、足湯に行った気分だった。
帰りのバスは、渋滞の影響で2時間以上遅れて新宿に到着した。