2019/8/18-21 大雪山・トムラウシ山
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
大雪山・トムラウシ山夏合宿山行計画書 ver1.1
作成者:橋本拓幸
■日程
□8/18-21 山中3泊4日
□8/17 前泊
□8/22 予備日1日
■山域 大雪山
■在京本部設置要請日時 8/22 20:00
■捜索要請日時 8/23 10:00
■メンバー(計6人)
CL橋本 SL鶴田 猶木 河野 砂川 豊永
■集合
旭川駅 8/17 15:15 現地集合
■交通
□行き
0日目
15:41 旭川駅前-(旭川電気軌道バス いで湯号)-17:15 旭岳キャンプ場 1430円
旭岳青少年野営場にて前泊(大人1人500円)。
1日目
6:00以降15分間隔 旭岳温泉-(旭岳ロープウェイ)-姿見駅 1800円
※8/19以降は始発が6:30になる
□帰り
トムラウシ温泉からタクシーで新得駅へ(55km75分程度) ジャンボタクシーで18000円程度
・新得ハイヤー 0156-64-5155 ハイエース3台
・鹿追ハイヤー 0156-66-2525
新得駅より旭川駅へ 2810円(18きっぷ使用の場合2370円)
13:58/16:20/18:38 新得-(JR根室本線代行バス 東鹿越行)-15:05/17:28/19:47 東鹿越
15:13/ 17:40/19:58 東鹿越-(JR根室本線快速 富良野行)-15:52/18:20/20:35 富良野
16:55/19:14/20:44 富良野-(JR富良野線 旭川行)-18:16/20:23/21:42 旭川
旭川駅より新千歳空港駅へ 2060円+1070円
18:30/19:00/19:30 旭川駅前-(高速あさひかわ号)-20:35/21:05/21:35 札幌駅前ターミナル
21;37/21:51 札幌駅-(JR)-22:27/22:44 新千歳空港
新得駅より新千歳空港駅へ 4430円(特急列車自由席料金1600円を含む)
15:49/18:16/19:56 新得-(JR特急スーパーおおぞら10号札幌行)-17:22/19:43/21:43 南千歳
17:39/19:54/21:55 南千歳-(JR快速エアポート192号新千歳空港行)-17:42/19:57/21:59 新千歳空港
新千歳より羽田へ
8/23 0:10 新千歳-(SKY702)-2:00羽田 ※CLが6人分予約済み
■行程
1日目
姿見駅~(0:20)~旭岳石室~(2:30)~旭岳山頂~(1:00)~間宮岳分岐~(0:50)~北海岳分岐~(1:20)~白雲岳分岐~(0:20)~白雲岳キャンプ指定地(白雲岳避難小屋)(計6:20)
※余裕があれば,白雲岳分岐より白雲岳にピストン
白雲岳分岐〜(0:40)〜白雲岳〜(0:30)〜白雲岳分岐(計1:10)
2日目
白雲岳キャンプ指定地~(1:00)~高根ヶ原分岐~(2:00)~忠別沼~(0:50)~忠別岳~(0:50)~忠別岳避難小屋分岐~(0:15)~忠別岳指定キャンプ地(忠別岳避難小屋)(計4:55)
※過去の夏合宿の記録を見る限り,この日は余裕があるようで,実際には3時間程度で歩けそうである。メンバーとの相談の上,体力,気力,天候などの条件が揃えば2日目と3日目の行程を1日にまとめる。
3日目
忠別岳指定キャンプ地~(0:20)~忠別岳避難小屋分岐~(1:00)~五色岳~(1:15)~1897m分岐~(0:15)~化雲岳~(0:15)~ヒサゴ沼分岐~(0:20)〜1793m分岐〜(0:30)〜天沼~(1:30)~北沼分岐~(0:25)~トムラウシ山頂~(0:15)~分岐(南沼キャンプ指定地)(計6:05)
※化雲岳は南面,トムラウシ山は西面を巻くことも可能。それぞれ,1897m分岐~(0:15)~ヒサゴ沼分岐,北沼分岐~(0:25)~南沼キャンプ指定地。
4日目
南沼キャンプ指定地~(1:30)~前トム平~(0:35)~コマドリ沢分岐~(1:35)~カムイ天上分岐~(0:50)~温泉コース分岐~(1:20)~トムラウシ温泉(計5:50)
※前日にトムラウシ山西面を巻いた場合,4日目早朝に山頂ピストンを行うことも検討。南沼キャンプ指定地〜(0:30)〜トムラウシ山頂〜(0:15)〜南沼キャンプ指定地。
※天候、体力等を鑑みて、余裕を持った行動を心がける。予備日も柔軟に活用する。
※避難小屋も積極的に活用する。
※水場情報、ヒグマ情報を積極的に交換する。
※ヒサゴ沼避難小屋は現在工事中のため,避難小屋,トイレ,キャンプ場いずれも使用不可。
■エスケープルート
間宮岳分岐まで:引き返す
間宮岳分岐~白雲岳分岐周辺まで:黒岳駅へ(北海岳分岐~(1:00)~黒岳石室~(1:10)~リフト七合目 (計2:10)
白雲岳周辺:大雪高原山荘へ(白雲岳避難小屋~(0:20)〜2002m分岐〜(0:30)〜緑岳〜(1:10)〜第一花園〜(1:10)〜大雪高原山荘 計3:10)
忠別岳~日本庭園:天人峡温泉へ(化雲岳山頂~(1:00)〜ポン沼〜(2:00)〜第一公園〜(1:30)〜滝見台〜(0:60)〜天人峡温泉 計5:30)
日本庭園以降:そのまま進む
※天候悪化時には白雲岳避難小屋、忠別岳避難小屋での停滞を検討する。忠別岳避難小屋以降は使用可能な避難小屋が存在しないため,特に慎重に行動する。
■テン場・避難小屋情報
・旭岳青少年野営場‥‥‥1人500円,300人収容,0166-97-2544。
・白雲岳キャンプ指定地(同避難小屋)‥‥‥小屋泊1人1000円(60人収容),テン場1人300円(80張),管理人常駐,水場あり。
・忠別岳キャンプ指定地(同避難小屋)‥‥‥小屋の収容人数40人,水場あり。
・南沼キャンプ指定地‥‥‥20張,トイレなし,携帯トイレブースのみ,水場あり。
※ヒサゴ沼避難小屋は現在工事中のため,避難小屋,トイレ,キャンプ場いずれも使用不可。
■地図
25000分の1地形図:「旭岳」「層雲峡」「白雲岳」「五色ヶ原」「トムラウシ山」「オプタテシケ山」
エアリア:「大雪山・トムラウシ山・十勝岳・幌尻岳」
■遭難対策費
山中3泊600円×6人
計3600円
■共同装備
テント(vs50):橋本
テント(ステラリッジ):猶木
鍋(竹・小竹):河野
調理器具セット(キャサリン):河野
ヘッド*2(緑4,緑8):豊永
カート*3-4:鶴田
救急箱(エーデルワイス):砂川
簡易浄水器(共装):猶木
熊鈴(共装):鶴田
熊スプレー(共装):鶴田
ラジオ(ICF-R100MT):猶木
天気図用紙(橋本私物):橋本
漏斗(橋本私物):橋本
※カート,熊スプレー,ヘッド,ラジオは,現地で菅沼さんたちから受け取る。
※状況に応じて適時再分配する。
■個人装備
□ザック □ザックカバー (□サブザック □ザックカバー) □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴紐 □スパッツ □ヘッドランプ □予備電池
□地図 □コンパス □非常食 □行動食(5日分) □マット □シュラフ □ポリタンorプラティパス □ゴミ袋 □コッヘル □武器
□トイレットペーパー □ライター □計画書 □筆記用具 □常備薬 □学生証 □現金 □新聞紙 □軍手 □着替え □温泉セット
□遭難対策マニュアル(緊急連絡カード含む) □健康保険証 □日焼け止め □レスキューシート □携帯トイレ □笛 (□歯ブラシ)
□運転免許証(持っている人のみ) □初心者マーク(持っている人のみ) (□カメラ □モバイルバッテリー)
※南沼キャンプ指定地は携帯トイレブースのみ設置。
※本州の3000m級と同程度,あるいはそれ以上の防寒が必要。まれに8月中旬でも氷点下になることがある。
※行動食,水,食当の用意は現地調達可能。
※水は多めに持っていく。
■食当
朝 夜
1日目 / 河野
2日目 豊永 橋本
3日目 砂川 猶木
4日目 鶴田 (橋本)
予備日 (猶木) /
※()は予備食。メニューの調整を後日行う。
※昼食は各自。
■備考
□日の出・日の入
・日の入18:31 (8/17)
・日の出4:36 (8/18)
□ラジオ
NHKラジオ第一 621kHz(旭川)
NHKラジオ第二 1602kHz(旭川)
□警察
・旭川東警察署 0166-34-0110
・同 東川駐在所 0166-82-2154 (旭岳温泉,天人峡)
・同 層雲峡駐在所 01658-5-3016 (層雲峡)
・新得警察署 0156-64-0110 (トムラウシ)
□雨天の場合
現地入り後判断。荒天が長引くと予想された場合、大雪山のみの登山等に切り替えることを検討する。
□エスケープルートの交通手段
・旭岳温泉に引き返した場合
姿見駅-(旭岳ロープウェイ)-旭岳温泉 15分間隔,17:30最終便,1800円
9:30/12:00/15:30/18:00 旭岳-(旭川電気軌道バスいで湯号)-11:00/13:30/17:00/19:30 旭川駅 1430円
・黒岳駅へ下りた場合
7合目-(ペアリフト)-5合目 17:30最終 ロープウェイとセットで1900円
黒岳駅-(ロープウェイ)-層雲峡駅 18:00最終 1400円
6:20/7:45/8:40/10:55/13:30/15:40/17:30
層雲峡-(道北バス層雲峡・上川線)-8:15/9:40/10:35/12:50/15:25/17:35/19:25 旭川駅 2100円
・大雪高原山荘に下山した場合
層雲峡温泉までタクシー40分
・天人峡温泉に下山した場合
美瑛または旭川へタクシー,約1時間,1万円
又は,国立公園入り口まで7km歩き,そこからバス(9:50/12:20/15:50/18:20
旭岳-(旭川電気軌道バスいで湯号)-11:00/13:30/17:00/19:30 旭川駅 1100円)
□温泉
・大雪山白樺荘(旭岳温泉) 営業時間13:00~20:00 500円 0166-97-2246
・トムラウシ温泉国民宿舎 東大雪荘 営業時間12:00~20:00 500円 0156-65-3021
・御やど しきしま荘(天人峡温泉) 12:00~19:00 700円 他
・大雪高原山荘(大雪高原温泉) 10:30~17:00 800円
・層雲峡 黒岳の湯(層雲峡温泉) 10:00~21:00 600円 他
□参考
・2014年大雪山・トムラウシ夏合宿
・2017年大雪山・トムラウシ夏合宿
・2018年大雪山山行
・北海道東川町観光案内 (http://www.welcome-higashikawa.jp/about/)
・旭岳温泉地図 (http://www.welcome-higashikawa.jp/wp-content/uploads/2017/05/asahidake_course.pdf)
・旭岳青少年野営場 (http://www.nmhokkaido.jp/asahikawa/detail/000097.php)
・旭岳ロープウェイ (http://asahidake.hokkaido.jp/ja/)
・トムラウシ山遭難事故調査報告書 (http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf)
・北海道中央バス 高速あさひかわ号
(http://www.chuo-bus.co.jp/highway/index.cgi?ope=det&n=8&t=170&o=2)
大雪山・トムラウシ山夏合宿山行記録
編集:橋本
作成:山行メンバー全員
■日程
山行: 2019/8/18-20
※前泊: 8/17
※本来は8/18-21の3泊4日で予備日8/22
■山域 大雪山系
■天候
8/18: 霧雨のち晴れ
8/19: 晴れ
8/20: 曇りのち小雨
■メンバー・オーダー(計6人,敬称略)
猶木(40/B2) CL橋本(40/B2) 豊永(41/B1) 河野(41/B1) SL鶴田(40/B2) 砂川(41/B1)
※オーダーは上記を中心に,適時変更した。
■総評
北海道の山は最高。
■変更後の行程
□1日目
姿見駅~(0:20)~旭岳石室~(2:30)~旭岳山頂~(1:00)~間宮岳分岐~(0:50)~北海岳分岐~(1:20)~白雲岳分岐~(0:40)~白雲岳~(0:30)~白雲岳分岐~(0:20)~白雲岳キャンプ指定地(白雲岳避難小屋)(計7:30)
□2日目
白雲岳キャンプ指定地~(1:00)~高根ヶ原分岐~(2:00)~忠別沼~(0:50)~忠別岳~(0:50)~忠別岳避難小屋分岐~(1:00)~五色岳~(1:15)~1897m分岐~(0:15)~ヒサゴ沼分岐~(0:20)~1793m分岐~(0:30)~天沼~(1:30)~北沼分岐~(0:25)~南沼キャンプ指定地(計9:55)
□3日目
南沼キャンプ指定地~(0:30)~トムラウシ山頂~(0:15)~南沼キャンプ指定地~(1:30)~前トム平~(0:35)~コマドリ沢分岐~(1:35)~カムイ天上分岐~(0:50)~温泉コース分岐~(1:20)~トムラウシ温泉(計6:35)
■タイムスタンプ・CL記録
※詳細な行動記録は,他のメンバーが書いてくれた山行記に譲ることとし,主としてルート状況と現地でのCL判断について記す。
□1日目
-6:45 姿見駅
7:03-7:10 石室
7:58-8:01 七合目
8:26-8:36 八合目
9:05-9:15 九合目
9:32-10:12 旭岳山頂
10:40-10:45 小休止
11:25-11:35 間宮岳分岐
12:30-12:45 北海岳山頂
13:21-13:26 小休止
13:52-14:05 白雲岳分岐
14:27-14:50 白雲岳山頂
15:10-15:22 白雲岳分岐
15:45- 白雲岳避難小屋
・旭岳7合目まではガスっていたが,分岐には看板があり,地形も明瞭なので,普通に歩いていれば登山道を外す心配はない。旭岳までの登りは急でしんどいので,小刻みに休憩をいれた。
・旭岳からの眺めは,この山域の広大さを感じさせてくれて,素晴らしいの一言に尽きる。遥か遠くに,雲海の中に浮かぶトムラウシ山を認め,さらにテンションが上がる。
・旭岳からの下りは砂地の急斜面で滑りやすく,装備の重い我々には非常に歩きにくかった。何度も転んでいたメンバーもいた。うっかり転がってしまえば止まらなさそう。白雲岳方面から来た登山者に,白雲岳周辺にヒグマがいたから気をつけるよう言われた。
・これ以降は歩きやすい道が続く。鶴田さんのスマホ(docomo)は北海岳分岐でも電波が入り,11時発表の天気予報を確認し,明日の好天と,明後日以降の悪天の情報を得て,この時点で明日南沼まで向かう方針を固めた。
・白雲岳分岐に着いた時点ですでに14時を回っていたが,終日天気が崩れない予報だったことから白雲岳へ寄り道。白雲岳からの景色も,旭岳からのそれに負けず劣らず良いものだった。
・白雲岳キャンプ指定地はお盆休み最終日だったこともあり,キャンプ場を利用したのは自分たちの他に5パーティーくらいしかいない。小屋も空いているようだったが,雨は降らないようだしテント泊を選ぶ。キャンプ指定地手前の登山道脇に湧き水が出ており,そのままでも飲めそうなほどに綺麗であったが,常駐管理人に煮沸して使うよう言われていたので,炊飯にのみ使用した。予定通り3泊4日の行程通り行くなら,ここで浄水器にかけた水を補充していただろう。猶木の成人を祝ったのち,19時半に就寝。
□2日目
-4:20 白雲岳避難小屋
5:15-5:21 高原沼分岐
6:15-6:25 小休止
6:52-7:02 小休止
7:47-8:05 忠別岳山頂
8:47-9:00 忠別岳分岐
9:28-9:35 小休止
9:55-10:05 五色岳
10:42-10:48 小休止
11:18-11:31 ヒサゴ沼分岐1
11:57-12:07 ヒサゴ沼分岐2
12:41-12:50 天沼
13:22-13:30 小休止
13:54-14:04 小休止
14:24-14:30 小休止
14:47-14:55 トムラウシ山分岐
15:30- 南沼指定野営場
・2時半起床,4:20出発。テントに吹き付ける風の音が強く,猶木はあまり寝られなかったらしい。女子テントが寝坊したこともあり,ちょっと準備に時間がかかってしまった。長丁場が予想される日は,もうちょっと手際よく準備したいものだ。
・忠別岳までの道のりは,平坦~緩やかな登り。時々登山道が狭くなるところがあり,朝露に濡れたハイマツにズボンを濡らされる。スパッツやレインウェアの下を着た方がいいかも。この行程で,雷鳥の過去2回の夏合宿では大きくCTを巻いているのだが,我々は前日までの疲労のせいか,CT通りくらいだった。それでも,9時前に忠別岳分岐に着いたので,昨日検討した通り南沼まで進むことにする。
・これより先は,猶木が疲れていたので,小休止を30分に1回程度挟みつつ,ゆっくり進んだ。化雲岳も巻いたので,日本庭園まではほぼ平坦で快適。登山道に熊の糞をみつけた際にはドキッとしたが,結局熊には出会わず。
・ロックガーデンは,ルートを示す必要最低限の目印があるので,天候が良ければ迷うことはない。しかし,尾根や谷といった地形が読み取りにくく,悪天時に一度ルートを外してしまうと,登山道に復帰するのはなかなか難しいだろう。ベアリングをするにもとにかく地形が読み取りにくいので,保険のために,複数人が地形図をキャッシュ済みのGPSアプリ(ヤマレコマップなど)を起動しておくのが良いと思う。
・トムラウシ山の西側を巻くルートは,北沼のすぐ脇を通る。誤って北沼を離れて上へ上へと登ってしまい,少し下り直す羽目になった。北沼の水はそこそこ綺麗だったので,浄水器にかける前提でここで水を補給してもいいかもしれない。
・南沼のテン場は,数張りテントが張れるテントサイトが5,6箇所あった。前日の白雲岳に続き,今日の南沼も登山者は少なく,テントサイトの1つを独占できた。前評判ほど汚いテン場だとは思わなかったが,テントサイトからは変な踏み跡がそこかしこに伸びており,この先で○○○をする人がいるんだろうな……と思った。もちろん,我々はきちんと携帯トイレを使用したが。なお,携帯トイレブースは最近増設され,2箇所になっていたが,それでも皆が携帯トイレに不慣れだからか一人一人のトイレ使用に時間がかかり,渋滞気味であった。2日分の晩飯を食べ,締めに予備食の棒ラーメンまで解禁して満腹満腹。幸せ……。
□3日目
-4:55 南沼指定野営場
5:25-5:45 トムラウシ山山頂
6:05-6:50 南沼指定野営場
7:41-7:51 小休止
8:43-8:53 コマドリ沢分岐
9:25-9:33 小休止
10:20-10:30 カムイ天上
11:01-11:11 温泉コース分岐
11:50-11:55 小休止
12:18- トムラウシ温泉
・今日は時間に余裕があるので,3時半に起床。2日分の朝ごはんを食べ,サブザックでトムラウシ山へピストン。北には1日目に登った大雪山,そして昨日まで歩いてきた稜線が見え,南には十勝連峰を望む。遠くまで縦走してきたんだなあと感慨に耽る。
・テン場でのんびり撤収作業をして,下山開始。すっかり元気になった猶木を先頭にして下っていく。コマドリ沢分岐からの急登を登り終えたあと,登山道が泥濘になっている部分が増える。木道が敷かれている場所も多いが,そうでない場所もあり,服を汚したくなければスパッツは必須。長い長い道のりを早歩きで下っていき,昼過ぎにトムラウシ温泉に下山。本降りになる前に下山できてよかった。
■山行記
□0日目(文責:鶴田)
北海道におりたち,早くも一週間近くが過ぎた。羅臼岳の登山,知床・道東観光を38期の先輩方と楽しんだ日々は濃く,明日からようやく夏合宿が始まるというのにあまり実感がわかなかった。
朝,菅沼さんとの別れを惜しみながら,川湯温泉「きたふくろう」を発つ。走り出した車は7名とその人数分のザックを乗せ,重たげ。川瀬さん,児玉さん,橋本くんの運転で,道東の湯治場より旭川を目指す。
夕方,ぴかぴかの旭川駅に到着。夏休みの喧騒に包まれたイオンモールのフードコートへ。待ち合わせをしていた猶木くんが迎えてくれた。彼との合流を喜びつつスーパーへ向かい,各々行動食やら食当の食材やらを買いこむ。スティックパンや水,和菓子,シチューの素などで買い物かごを埋めていく。明日以降これらを山で口にしているのか,と思うと心が弾んだ。
再びフードコートの一角に集う。家族連れやカップルなどが食事を楽しむ中,黙々とザックに食料を詰めこむ我々はあきらかに浮いていた。
登山口行きのバス発車時刻まで思いの外時間がない。焦る一同をよそにプチアクシデントが起こる。旭川駅のロッカーに荷物の一部を預ける予定であったが,ロッカーの利用期限が山行中にきれてしまうことがわかった。誰よりも早く川瀬さん,児玉さんが近くの観光案内所に掛け合ってくださる。利用日数の料金さえ払えば問題なく使えるとのこと。先輩方の行動力には毎度のことながら驚かされます。
「鮭とば」「標津ようかん」など道東のお土産をロッカーに押しこみ,児玉さんのお導きで停留所へ足早に進む。近くのコンビニにて乗車券を購入するも,数秒でなくしたのは鶴田…。何をやっているのだか。(ちなみに事前に乗車券を購入しなくても問題はないようです。)
そんなこんなあったが,5分後にはメンバー皆バスの後部座席に腰を据えていた。いよいよ,発車。背後の窓から川瀬さん,児玉さんのお姿がよく見え,車内と車外でお互い負けじと手を振り合った。お二人の笑顔に癒されつつ,寂しさと先輩方に頼れない心もとなさをかみしめていた。
同じく旭岳を目指す学生グループと言葉を交わしたり,橋本くんが猶木くんに道東での写真を見せつけたりと車内では和やかに時間が過ぎる。河野さん,豊永さんの寝顔をほほえましく見ていたが,いつの間にか自分も微睡んでいた。
旭岳青少年野営場に着く。テント幕営後,旭岳温泉・湧駒荘別館「神々の湯」にて体をあたためた。ホテル内の施設とだけあって,設備や調度品がきれいで心地よい。濃い色の木材を基調とし鉄平石が敷き詰められた浴室は落ち着いた雰囲気。浴槽につかり立ちのぼる湯気で顔を湿らせていると,時間を忘れてくつろいでしまう。
標高1000mの温泉を名残惜しく後にする。すでに日が暮れており暗やみに包まれる。キャンプ場に戻った私たちを出迎えたのは,外灯にこうこうと照らされたテント2基であった。明日からの山行に備えるにはあまりに不適切な寝床であるのは間違いない。光が届かない一帯へテントを移動させるしか術はなかった。相変わらず山岳部出身の砂川くんは慣れた手つきでペグを打っており,とても心強い。彼から幕営方法を習い直したいものです。
自炊場で袋ラーメンを皆で茹で始める。6名分の乾麺ともやしを鍋に詰めこめば,あらまあそれは○郎ラーメンのごとし。素知らぬ顔で強引に蓋をして煮こみ,橋本くんセレクトの惣菜(かぼちゃの煮付け,たこのマリネ他)とともに頂く。おいしかった。
さて,辺りに光を投げかけていたはずの外灯であるが,就寝時には消えていた。数時間前のテントの引っ越しがむなしく思い出される。
シュラフにくるまりながら,山行への期待により高揚しているのを自覚した。寝られないのでは,と気をもむも杞憂。すぐさま眠りに落ち,朝まで目覚めることがなかった。
□1日目(文責:砂川)
(おそらく5時起床。)
うっかり電灯の下に立ててしまったテントは寝る前にしっかり移動させたのだが,どうやらその心配は無用だったようだ。夜になると灯りは全て消され,メンバー皆快適な睡眠がとれた。
起きると行きのバスで出会った大学生パーティは一足先に支度を始めていた。(僕は彼らが東京学芸大であるということを知っているが,決して携帯のメールを覗いたとかではない)我々も朝食を食べ始める。各々でカップ麺を食らう。豊永さんの嫌いなキノコ入りのうどんを選択したものの残念ながら気付かれず。
テントを撤収し霧の中ロープウェー乗り場へ向かう。余裕を持って予定の6時半始発を見送り次に乗車。オオイタドリの茂ったトドマツ,エゾマツ,アカエゾマツの森から一気に標高を上げる。着いた姿見駅はウラジロナナカマドとハイマツ帯。森林限界を超えたようだ。(ロープウェーってすげえな)標高を上げるにつれ深まった霧で数メートル先も見えない上に雨もぱらつく。幸先悪い。今後の天気が心配である。このときも件の大学生パーティと一緒で互いに道を確認し,挟む休憩で順番を前後させながら共に旭岳山頂へ向かう。
道中にエゾイワツメクサを見かけた。大雪山固有で道から希少種(R)の指定がされているらしい。(北海道は”エゾ”の付く固有種,固有亜種が多くて困る)
進むにつれてまだガスは濃くなっていき,加えて強い硫黄の匂いがしてきた。近くに噴気孔があるらしく,なかなかに染みる。
七合目を過ぎても状況は変わらない。しかし八合目に差し掛かり状況は一変する上空に青空がのぞいた。するとあっという間に強い光が差し込み気づけば足元には雲海が広がっていた。雲の中を抜けたのである。あまりの喜びに両パーティから歓声が上がる。初日にして記憶に残る瞬間であった。皆で太陽神”アカリ”に手を合わせ,感謝とともに今後の好天を祈る。祈りが効いたからかこの先天気が崩れることはおよそなかった。
すれ違う登山者から白雲平でのクマ目撃情報を入手する。気をつけねばと今は思う。(その後はしばしばクマのことなど頭から消えていた,本当に出会わなくてよかったと思う)
気温も上がり,体が汗ばんでくる。水分を取りながら登っていく。すると大荷物の猶木さんの足取りが重くなってきた。
「もう疲れたよぉ。何か出してよぉトヨえもぉん。」
「もうしょうがないなぁ,なお太君は。うぅん。そうだ,あれを使おう」
そう言ってトヨえもんがポケットから何かを取り出した。
「えーんぶーんたーぶーれっとー」
こうして塩分をチャージした猶木さんは揚々と山頂へ駆けていくのであった。(終)
ようやく旭岳山頂に着いた。だだっ広い大地にただただ山が雄大に広がっている。流石”でっかいどう”,アルプスとはスケールが違う。雲海の向こうにはこれから向かうトムラウシが見える。希望と絶望が同時に僕らを襲う。壮大な景色をバックにメンバー各々好きなポーズ(流行りは背中を反らせたC字ジャンプ)で記念撮影。している間に僕は植生を物色。見つかるのはヒメイワタデのみ今ひとつ気分が上がらない。一人飛んでいる蝶を追っていた。コヒオドシと思われる。
長めの休憩を経て出発。下りは崩れやすい砂地の急傾斜。重い荷物を持っての下りに苦戦。少なくとも三回はお尻で下る。個人的には早くも夏山最大の難所であったと思う。(植物がないとメンタルを支えられない)
長い坂を下りきると右手には雪渓。休憩中折角だから雪を触りに行く。雪で遊びメンタルをしっかりと回復させ先へ進む。
道のりは長くともこの先難所という難所もなくゆったりと山々を見ながら進んでいく。途中分岐でまた無事再会することを誓って東京学芸大パーティと別れを告げる。順調に北海岳に到着し,気づけば白雲岳分岐。(少し言い過ぎだろうか)荷物をデポして白雲岳をピストンする。あっさりと例の白雲平を通り山頂へ。山頂では比較的多くの登山者に出会う。記念写真を撮ってもらう。しばらく撮影大会が続く。山頂は植生が乏しいため横になって休む。分岐に戻るとふと猶木さんが誕生日であることを思い出す。皆で大声で誕生日を祝う。猶木さんはそれを全身で受け止める。山で出してはいけない大声であった。人の少ない北海道だからできることだ。
出発して間も無く白雲岳避難小屋にたどり着く。近くに炊事に利用できる綺麗な沢があった。テントサイトは広くないものの他に利用するパーティは3,4組と少なかった。ゆっくりとテントを設営し。余裕を持って炊事の支度。河野さんがヒジキを一袋分土に返してから(すぐに回収)炊き込みご飯を作ってくださった。とても美味しく炊けていてたっぷり食べた。夕ご飯の後は猶木さんの20歳の誕生日を橋本さんの背負ってきたリンゴ入りのパウンドケーキと菅沼さんからの粋な差し入れでお祝いした。
明日は長い。2時半起床に備えその日は7時半就寝。皆さんよく寝られたことでしょう。
寝る前にトイレの前でクモイリンドウに出会った。エゾ版のトウヤクリンドウである。山にいるんだなと改めて感じた瞬間。
ここでこの場を借りて道中に出会った植物を少し紹介したいと思う。まずは黄色い花。メアカンキンバイである。開花しているキンポウゲ科の多くは本種であるようだ。ミヤマキンバイの株も見られたが咲いているものは少ない。そして一面のチングルマ。ほとんどすべてが名前の由来である風車の形をした綿毛の状態であった。イワギキョウ,ミヤマリンドウ,エゾヒメクワガタといった青い花も確認した。岩の隙間はコケモモ,ジムカデ,イワウメなどが埋め,紅葉する高山植物ウラシマツツジ(鶴田さんのお気に入り)も多く見られた。北海岳手前ではウスユキトウヒレンと綿をつけたエゾタカネヤナギが多く見られ,実の開いたエゾタカネスミレやミヤマタネツケバナの株も確認した。白雲岳手前の沢筋付近は特に種類が豊富でキバナシオガマの株やエゾノハクサンイチゲの花殻,ミヤマサワアザミやヨツバシオガマ,ウメバチソウ,エゾハハコヨモギ,クモマユキノシタの花が見られた。白雲岳手前の向かって右側斜面にチシマクモマナズナの群生が見られた。夏山第3位のイベントであった。(パーティの皆はスルー)白雲岳往復の南側斜面は立派なお花畑であった。初めてのコマクサとの遭遇に加えウサギギクやアオノツガザクラの花,エゾオヤマノエンドウの実を確認した。キャンプサイト手前の沢ではハダイセツトリカブト(エゾホソバトリカブトとの違いは難しく正確な同定はできていない)が多く咲いており,今回狙いの一つであったエゾコザクラにも出会うことができた。
□2日目(文責:河野)
行程が長いので2時半起床。(女子は全員アラームをセットし忘れ15分寝坊。すみません。)月が綺麗。
朝食は豊永氏のお茶漬け。山中で朝からお米が食べられるなんて,なんとも豪華である。
私以外の女子は今日もぐっすり眠れたらしい。あかりにいたっては1回も起きなかったとのこと。肉体が山に適しすぎだろ。足して2で割りたい。
冴えない出発のポーズを撮ってからテン場を後にする。開始早々ラストの鶴田さんが遅れたので,オーダー変更で鶴田さんが先頭に。これで全員まとまって歩ける…,かと思えば先頭がにわかに爆速で歩き出した!速い!これが有名な鶴田さんのトップ!!
どうやら疲労ではなく砂川くんの植物講座で神経をすり減らしていたらしい。鶴田さんを後ろから2番目にすえ,砂川くんにはラストとラジオになってもらい,気を取り直して歩き出した。
ほどなくして空が白んでいき,朝日が差し込んだ。どこまでも広がる北海道のなだらかで雄大な景色の中を,東に太陽と雲海,西に月と自分たちの影を望みながら,ハイマツやコマクサを脇に進んでいく。柔らかな金色の陽の光を受けたあかりは,筆舌に尽くしがたいほど綺麗だと思った。
忠別岳登頂。大雪山周辺の山はなんとも特徴的で,なだらかかと思えばいきなり崖があらわれたりする。砂川くんは崖のふちに寝転んで逆さから景色を楽しんでいたが,高い場所が苦手なので真似できない。肉体が山に適していなさ過ぎて悲しい。ハイマツの茂みから飛び出してきたシマリスに心を癒されつつ,重いザックをまた担いだ。
それにしてもザックが重い。重すぎる。
考えてみる。行程を1日分短縮したのだ,こんなに水を持つ必要はあるのか?思考に至ったのちの我々の行動は早かった。猶木さんと橋本さんはパックで作った麦茶をがぶがぶ飲みだし,砂川くんは颯爽と水をぶちまけてハイマツを潤す。
だが相当量の水とテントを持っていた40期男子のダメージはすでにかなりのものとなっていた。澄み切った空に反し,疲労でいまひとつ気合いが入らない。ので,高校時空手部に所属していた41期豊永選手にひと肌脱いでいただく。迫力満点の突きの寸止め。「圧が凄まじかった」と,これには先輩方も目が覚めたようだ
かくいう豊永氏は非常に元気。7月中旬の北八ヶ岳で山デビューを果たしたのち,沢だの合宿だの怒涛の勢いで活動し,今回が3度目の一般山行となるが,逐一スタイリッシュな恰好で佇み絶好の被写体となっていた。この合宿で新たなファン層を獲得すること間違いなしだろう。こんな魅力的な同期に巡り合えて幸せだなぁとつくづく思う。
あと肌が白くて綺麗なのもうらやましい。足して2で割りたい。
五色岳に到着。瓦のような薄い岩が幾重にも重なっていて筆者好みの様相。
あかりと手頃な岩に上ってタイタニックごっこをして遊んだが,両者ともに腰が引けっぱなしである。「まだお互いのことを信頼しきっていないからだよ~」と笑われてしまった。いっぱい一緒に山登って,来年また挑戦しよう。
熊鈴が鳴り響く。歌を口ずさむ。
『あとひとつ』『夏色』『全力少年』『空も飛べるはず』…。20曲ほどだろうか,一昔前のヒットソングが空気中に放たれてはとけていった。
途中登山道のど真ん中に熊の糞を二度発見したときには,熊鈴をかき鳴らして『森のくまさん』を熱唱。
遊歩道の上を歩きながらの『栄光のかけ橋』は状況にマッチしすぎており,サビでは先方から「本当だよ!」というツッコミが入った。
橋本さんの良く伸びる低音とあかりの透き通る高音が調和して耳が心地いい。
黙々と歩いて山頂を目指す,メンバーとの談笑に興じながら同じ景色を見るために歩く,路肩の植物や花を愛でる。山には様々な楽しみ方がある。歌にあふれた登山もまた一興だろう。
ヒサゴ沼分岐以降,怒涛の小休止が始まる。ザックの重さトップ1と2が明らかに疲労の色を濃くしていた。
「後輩に自分より多い量の水は持たせられない」と荷物の委託を頑なに拒否される。
「雷鳥男子はみえっぱりなのです」と先輩方が笑う。まったくそうである。
知識も経験も実力もない私ができることなんてたかが知れているのだなぁと少しだけ悲しくなった。もっと強りたい。
天沼を過ぎ,岩場での登りに入った。沢ヤさんにはちょっとだけ楽な時間。CL命令で猶木さんが橋本さんにしぶしぶテントを渡す。植物大好き砂川くんにはさぞつまらない時間だろうと思われたが,ナキウサギの鳴き声に嬉々として反応しては「2時間くらい張って探したい」と辺りを見回していた。
20kmもの行程を歩きを終えてようやく南沼指定キャンプ場に到着!
11時間の行程を,先輩方は重い装備を抱えてついに完遂した。お疲れさまでした,本当にかっこよかったです。
トムラウシに登ることも考えたが,いかんせん満身創痍の状態だ。明香里さまに手を合わせて晴天を祈願し明日早朝に登頂することにする。猶木さんは早々に地面にマットを敷き眠ってしまった。ただの屍のようである。先程までのかっこよさはもはやどこにもない。無理しすぎないでください。テントを立て,夕刻まで猶木さん以外でトランプで時間をつぶす。七ならべでは,豊永氏が砂川君をいやらしく3回パスでの失格に陥れていた。
夕食は橋本さんのマーボー茄子と猶木さんのボルシチの二本立て。橋本さんは開始早々指を切って戦線離脱した。ご自愛ください。ボルシチの味付けは鶴田シェフ。出しすぎを危惧し少しずつ胡椒を加えていらっしゃったのだが,「出にくい仕様になっていますよ」という言葉でリミッターが解除されたのか,気づいた時には赤々としたボルシチの上にありえない量の香辛料が乗っていた。
人生初のボルシチは,とてもおいしくて,そして,スパイシーだった。
感動の涙を流しながらナンと一緒にスパイシーなロシアの郷土料理をほおばる。Oh, so spicy.
味覚が2歳児の筆者,おいしいのに舌がついてきてくれなくて泣いた。
マーボー茄子もいただく。辛くはないはずなのだが,もはや熱いものは何を食べても舌が過剰反応してしまう。シメは鶴の一声で棒ラーメン。ごちそうさまでした,おいしかったです。
最終日に備え早々に寝支度をする。生まれて初めて携帯トイレを使用。トイレの大切さありがたさを再認識し,山小屋や山荘の管理,運営に携わるすべての人に心の中で感謝する。
トイレブースが空くまで,他パーティのテントの灯りをぼんやりと見つめていた。
山は人との縁を強く感じる場所だと思う。
すれ違うだけで,ほんの数秒前まで他人だった人との会話が「こんにちは」から生まれる。バスで居合わせたあの学生パーティは無事目的地にたどり着くことができたのだろうか。きつい登りを終えたとき,キャンプ場についたとき,だれともなく発せられた労いの言葉。それは思慮にあふれて,どこまでも暖かだった。
山やってて良かった。
満ち足りた気持ちと少しの疲労,明日ですべて終わることに対するほんの少しの寂しさの中,寝床に着いた。
□3日目(文責:豊永)
3時半に起床。豊永はテントでもよく眠れる体質のようで,いつも通り一回も目が覚めずに朝を迎えられた。
テントの中がガス臭くカートが空いていたのではないかと焦ったが,どうやら外から流れ込む硫黄の匂いが溜まっていたようだった。火山帯ならではの現象である。匂いを逃がすために開けた入り口からテントの外を覗くと,曇り空で星は見えないがガスは無くトムラウシ山頂の形がくっきりと見えた。
より天井が高く広いVS50の中に6人で入り朝食を作る。行程を1日巻いた分,昨晩の晩餐に引き続き朝から豪華に2食分頂く。砂川くんのメニューはチーズがたっぷり入ったトマトペンネで,とんでもなく美味しかった。下界でも食べたいと本気で思った。しかもトマト缶の代わりにトマトスープの素を使うことでかなり軽量化できているとのこと。素晴らしすぎる,山ごはんのメニューとしてレシピを提供していただきたい。
鶴田さんのメニューは豆乳クリームのニョッキ。驚くべきことにザックの中から1Lパックの豆乳が出てきた。鶴田さんは飲用水を9L程持っていたはずだがこれを含めると10Lの水分を持ち歩いていたことになるのだろうか…?そして昨晩の事故のせいか,味付けをかなり不安そうに行なっていたのが微笑ましかったです。余った豆乳をそのままコッヘルに注いで飲むと,豆乳はそこまで美味しくないモノとして認識していたのだが,この時ばかりはまるで牛乳のように甘く感じられた。
朝食を済ませている間にすっかり外も明るくなったので,テント内を軽く片付けてサブザックで山頂へ出発。折角新しく買ったサブザックを旭川のロッカーに置いてきてしまったので,荷物は砂川くんに持ってもらった。
山頂までは延々と続く岩場で,時々浮石もありルートも分かりづらくそこそこ苦戦した。昨日疲れ果てた体で登っていたら相当しんどかっただろうが,一晩寝たこととメインザックが無い開放感からか皆昨日よりかなり表情が明るく元気そうだった。距離感が掴みにくく,あと少しと思ってからが意外と長かったが手足を動かし続け無事登頂。視界はあまり良くないが遠くに旭岳が見え隠れしていて,雲が晴れた瞬間には今まで通ってきた道を眺めることができた。しばらく写真撮影を楽しんでいたが強風に吹きさらされ続けていると流石に体が冷え,ダウン+レインウェアでも耐えきれなくなってきたあたりでグラグラ揺れる山頂の標識を囲んで集合写真を撮ってから撤退した。
しばらく下ったところで不意に山びこに挑戦してみたくなり,先頭の鶴田さんに大声出してもいいですか?と聞くと即OKをくださったので,「やっほーーー!」と叫んでみると,しっかり返ってきた!発声の確認が後ろに届いていなかったようで後続のメンバーをかなり驚かせてしまったが,山びこ返ってきますよ!と伝えると橋本さんと猶木さんも何かやろうと相談し,二人で「北海道はでっかいどーう!!」と叫んで帰ってくる山びこを楽しんでいた。
テン場に戻り,テントを撤収しパッキングをして,最後にトイレを済ませてから出発。携帯トイレブースは綺麗で全く匂いもせず洋式風で,私が今まで使った数少ない山中のトイレの中では一番快適だったかもしれない。
出発前あたりで時々雨がぱらつくようになったが,幸いごく僅かでほとんど気にならない。ブリーフィングでコースを確認すると,下山なのに何故かある急登,過去の記録を読む限りかなり悪そうな長いぬかるみの道,単調でただひたすらに長い下りに億劫になる。ぬかるみ対策として全員で持参したスパッツは初めて使う人が多く,装着に手間取った。水は全員2L以上余っていて,捨てても良さそうだったが念のためそのまま持って出発。
オーダーは猶木さん,橋本さん,豊永,河野,砂川くん,鶴田さん。
野営場からの道も岩が多く,岩場にはまだ不慣れな豊永はどうしてもゆっくりとしか進めない。橋本さんとオーダーを代わってもらい2番手に。ある程度標高が下がるとガスで急に視界が悪くなった。頂上から綺麗に見えていた雲海の中にはいったのだろう。
歩き始めて30分ほどで4,5人とすれ違った。昨日は合計で3回しか人を見なかったたのであまりの違いに驚く。そういえば2日目に通った道よりも岩場のマークや道を示すロープが多く設置されている。やはり利用人数に応じて整備が入るのだろう。延々と晴れないガスの中を登ってきたと思われる,かなり疲弊していそうなお姉さんに「上の方の天気はどうでしたか?」と尋ねられた。橋本さんが,綺麗な晴れとは言わないまでも霧はなく旭岳や十勝連峰が望める,と伝えると嬉しそうにしていた。天気は下り坂の予報であった上にタイムラグもあるので同じ景色が見られたかはわからないが,彼女もトムラウシからの展望は楽しめただろうか。
岩場が終わったあたりでオーダーを戻し,ひたすら下る。枯れた沢沿いの少し高いところに道があり,まだぬかるんではいないがツルツルの斜面の道が多く気を抜くと軽く滑る。コマドリ沢分岐まで想像以上に遠く一度休憩をとった。
メンバーの顔に少し疲れが出始めたが,砂川くんだけはノリノリでお目当ての植物を見つけるたびに足を止めて撮影しては名前や特徴を解説してくれていた。彼が一番水を持っているはずなのに,その元気はどこから湧いているのかと不思議に思っていたが,彼も疲れていない訳では無いらしく,コマドリ沢分岐に着き休憩を取った時には屍となっていた。きっと疲れよりも植物への興味の方が勝るんだろうな……
ようやく沢が見えて休憩。地面は全体的に湿っていて荷物が置けそうなところは少ない。
休憩していると比較的高齢のパーティが登ってきて休憩していた。体が冷えたので,少し早めに出発する。
途中で沢筋から離れて100mの上りがあった。かなりの急登で,疲れた体にかなりしみた。なぜ私達はせっかく下げた高度を再び上げているのか?これは本当に下山なのか?
先頭の猶木さんが唐突に,「ほら,こいつやっぱり俺たちを意識してるよ…」と言い出したので何かと思えば,妖精が道を導いてくれているらしい。2番手の橋本さんも始めは笑っていたが,十数秒後に俺にも見える,と言い出したので,豊永は二人の視線の先をなるべく見ないようにした。後から聞いたところ河野にも見えていたらしい。
急登を終えると,あとは単調な下りのみである。以前の記録通り,まるで田んぼのようで足を入れるとくるぶしまで沈みなかなか抜けない泥の道が続く。しかし,ほぼ途切れることなく飛び石や木道があり,ぬかるみの中を進まなくてはいけない場面はそう多くはなかった。ただそれらもしっかりした足場とは言えず,人が踏むとシーソーのように木の板が下に叩きつけられ泥水が飛び散ったりして不快。この辺りから前の二人が加速し始め,追いつくために小走りになる。河野と「速くなってきたよね?」などと話している間にもどんどん加速し,気がついたら走っていた。足に跳ねまくっている泥のことさえ忘れれば,緩やかで平坦な下り道が延々と続いているので,意外と走りやすい。だんだん楽しくなってきて,気がついたら温泉コース分岐に着いていた。
こんなに急いだんだからかなりタイムを巻いただろうと思われたが,なんとコースタイム通りだった。ここはこんな風に走り抜けるのが普通らしいね,なんて言って笑うが軽くショックだった。これから先の道のコースタイムへの信用を失くした。
田んぼ道を終え樹林帯に入る。いつの間にか小雨が降り始めていたが微弱でやはりほとんど気にならない。今まで見たことのないイソギンチャクのような見た目の何かを見つけたが正体は不明。樹林帯は多種多様のキノコが生えているがキノコ嫌いの豊永としては視覚的にもあまり気持ちのいいものではない。
樹林帯を一度抜け車道を突っ切るとあと5分ほどでトムラウシ温泉につく。最後の最後と聞きメンバーのテンションも上がり,比例してスピードも上がる。なんか歌って!とリクエストされ,何も思いつかなかったので『栄光の架橋』を歌い始めるが2番の歌詞がわからず途中で諦める。2,3分で出口に着き,一人一人万歳しながら下山の瞬間を迎えている写真を撮って貰った。出口近くの公衆トイレに携帯トイレ専用ゴミ箱があったのでありがたく捨てさせてもらって温泉へ向かう。
温泉から上がるとバケツをひっくり返したような土砂降りになっており,本降りになる前に下山できて本当に良かったと心底思う。
この後は巻いた1日と予備日を使って北海道の観光を楽しんで,山行と合わせて忘れられない夏の思い出になりました。メンバーの皆さん,本当にありがとうございました!
■反省
・行程の甘い見積もり
CTを巻く前提で考えるのは良くない。基本的にはCT通り~やや遅れるくらいで想定しておくべきだろう。
・バテた
CL橋本と猶木が2日目にバテた。橋本はよくある程度のものだったが,特に猶木がしんどそうだった。猶木にとって久しぶりの登山だったのも一因だが,ただでさえ水とテントが重いのに,食当の食材の軽量化を怠ったことが大きな要因だろう。あれだけたくさんの缶詰や生野菜を持って来ればそりゃ大変である(もちろんボルシチは大変美味しかったのだが)。みんなで水やテントを分配して乗り切ることができたが,今回のようなハードな行程で,自分で担ぎ切れる自信がないなら,もっと食材の軽量化を図るべきだった。
■メンバーコメント
□橋本(CL)
・素敵な先輩,同期,後輩と,雄大な自然に囲まれて,至福の時間を過ごすことができた。山行メンバーと,夏合宿をサポートしてくださった38期の方々に,改めて感謝申し上げたい。
・昨夏に参加した屋久島遠征が楽しかったので,それと似たイベントを企画したいと思い,合宿の1週間前に北海道入りして,道東観光や日帰りハイクも行う欲張りプランとした。メンバーが楽しんでくれたなら,企画者としてこれに勝る喜びはない。
□鶴田(SL)
・月並みな表現だが大雪山系の雄大さに魅せられた。天候に恵まれ,火山活動によって育まれたダイナミックな地形を目に焼きつけることができたのは幸運だった。可憐な花たちに囲まれたり,好展望の各ピークで連なる山々を眺めたり,重なる岩々を登ったり…と変化に富む旭岳~トムラウシ山の縦走路を満喫できた。今度は利尻島に行きたい。
・橋本くん,CLお疲れ様でした。山行だけでなく長期遠征に伴う諸準備や気苦労を思うと頭が下がります。橋本くんへの信頼故,皆大きな不安を抱くことなく山行に臨めたのではと思っています。猶木くん撮影のきれいで格好良い写真を見ては合宿の思い出にひたっているこの頃です。ボルシチごちそうさま,まさか山で頂けるとは思わず嬉しかったです。41期のお三方からたくさん刺激を受けました。皆を気遣って投げかけられる河野さんの励ましの言葉,周りを虜にする豊永さんの朗らかさ・愛らしさに,何度元気をもらったことか。砂川くんから高山植物をはじめ色々教えてもらったのも楽しかったし勉強になりました。また,皆さん山行中元気で頼もしかったです。以上は,メンバーについて言及したいことのほんの一部でしかない…。良ければまた,ご一緒させてください。
・川瀬さん,児玉さん,菅沼さん,吉田さん,北海道では大変お世話になりました,感謝しきれません。てきぱき的確に物事を進められていく先輩方への憧れを強めました。
・小沢さん,ご多忙のところ長期間在京責任者を務めてくださってありがとうございました。
□猶木
・北海道の山の雄大さ,私のちっぽけさ,仲間がいることの心強さ,こういったことが,山行が終わり「いつも」に戻った今となっては痛みに感じられるほど,強く心に残る山行であった。雄大な景色についてはすでに行ったことのある方々が語っている通りであるし,今回の山行中のシーンについてはおそらくほかのメンバーがすでに言及してくれていることではあるのだが,あえて自ら列挙してみることにすれば,ロープウェーから降りて全く見えない景色の中に白色に混ざって運ばれてくる硫黄のにおい,旭岳を登っていく途中でそれまですべてが真っ白な世界から突然雲を抜け,色がつき,異世界に来たような感覚,その時の空間識失調を起こしそうな,「落ちていきそうな」空色,雪渓の雪の冷たさ,火山性の鉱物によるものであろう淡い石の色彩,リンゴのケーキの卑近な味,山の端から向かってくる日の出を迎えに行って出会った時のまぶしさ,いつまでたっても近づかないのにその時になれば目の前に迫りそびえるピーク,姿は見えないけれども近くから聞こえるナキウサギの声,トムラウシの山頂から見たそれまで歩いてきた道のりと版画のような濃淡で描かれた輪郭の風景,下山先の人工物と舗装道という安心できるインフラストラクチャー,すべてが魅力的であった。そして一方でそれらと対峙したとき私は,バテてしまったことも含めていかに自分が未熟で瑣末な人間であるかを認識し,さらに同時に,メンバーの支えによってそこに居ることができるのだと感じた。とにもかくにも天気や気温も好条件で大きな景色の中に行けたことは非常に満足なことだった。たったの2泊3日だったのにものすごく濃密だったように思う。
・2日目のバテについて言及する必要がある。タイムスタンプを見ればわかる通り忠別岳を過ぎたあたりから徐々にペースが遅くなり,天沼を過ぎたあたりからは時速1~2キロメートル程度でしか足が動かなくなっていた。ちょっとしんどいなと思ったときに麦茶と塩分チャージのタブレットを含むようにはしていたのでその面での不調ではなかった。原因としてはザックの荷物の重量ももちろんあるが久しぶりのテント泊登山で体力が思った以上に落ちていたこと,初日の旭岳までだけで相当疲労をためてしまったこと,前日によく寝られなかったこと,行動食を十分にとっていなかったことがあるだろう。とりわけ疲労とあまり寝られなかったことが大きいように思う。荷物をより軽量化すべきであったという話があるがこれについては自宅を出発する前,水,個人食料とテント抜きで17キロでありとりわけ重いというわけではなかった。しかし自分の体力を過信したことと心配症であるために水を10リットル持って行ったことが問題であった。
疲れたと思ったら早めに就寝すること,必要以上の荷物を追加しないこと,体力を過信しないこと,そもそも普段から体力を上げておくことが重要だとわかりました…
行動ペースの足を引っ張ったり,水やテントを持ってもらったりとメンバーの皆さんには本当に多くの迷惑をかけてしまって申し訳ないです。同時に元気な話や歌に大きく励まされていました。ありがとうございました。
・橋本君,CLありがとうございました。そしてお疲れさまでした。準備から帰るまでずっと頼りにしっぱなしでした。特に僕がバテたとき,同じようにばてているのにいろいろ気を使ってくれたり的確に指示を出してくれて本当に助かりました。
ほかのメンバーの方々もお世話になりました。また一緒に山行に行かせてください。
・誕生日の心意気を用意してくださった菅沼さん,おいしくいただきました。ありがとうございます。
□河野
・北海道は本当に大きかった。原初の自然を横たえたままどこまでも広がる大地は,静かで懐深く,思わず時間を忘れそうになる。来て良かったとしつこいほどに言った。
・山行及び観光の計画や諸々の手配を全てつとめてくださった橋本さん,合宿直前まで面倒を見てくださった38期の皆さん,11日間を一緒に楽しんでくださったメンバーの皆さん,在京の小沢さん,本当にありがとうございました。皆さんのお陰でいつまでも1つ残らず憶えていたい夏になりました。
・「合宿中ずっと笑ってた気がする」猶木さんの言葉が印象的。メンバーの様々な一面を見ることができてよかった。個人的にペンギンの生態について熱く語る猶木さんにグッと来た。達観した風貌とは裏腹に親しみやすくお茶目な一面もある。極め付けは記録で遺憾無く発揮される圧倒的に表現力。猶木さんはいいぞ。
・ひじきは持ったままテントにつまづくと傾き小さめの美しい放物線を描いてコッヘルを飛び出すし,ひとつひとつが小さいので落とすと回収が大変だし,何より水に戻すと砂を排出するため,山には不向きかも。注意欄大事。
・来年は自分が夏合宿を立てているのか。今まで頼っていたことを全て自分たちでこなさないといけないのかと思うと,いささか不安。経験を積んで自信を持って後輩を率いられるようになりたい。
□砂川
大雪山は日本一とも言えるお花畑を有する高山植物の宝庫である。今回は花の時期として最適とは言えなかったものの、多くの固有種や壮大な群生を確認でき終始興奮が抑えられなかった。満開のコマクサやチングルマに迎えられた日には卒倒していたことだろう。目的の植物もなんとか確認できとても良かった。もし機会があれば、いや是非機会を設けて再度花のベストシーズンに再チャレンジしたい。そして今回幸運にもヒグマと遭遇せずに済んだが、ぜひ今回出会うことのできたエゾナキウサギやエゾシマリスをはじめ固有の野生動物の観察にもトライしたいと思った。
加えて僕の植物を中心に据えた奔放な歩みでパーティにご迷惑をおかけしたことを改めてお詫びしたい。砂川の後ろはとても歩きづらいです。特に鶴田さんは僕のくだらない話に永遠と付き合わせてしまってすみません。黙って歩けないんですね。でもやはり集団行動ではメンバーに迷惑をかけないように心がけたい。
(個人的にもう少しお花畑では止まっていただきたいのですが…。)
最後に今回、計画から運転、お金の管理、何から何まで全て面倒を見てくださったCLの橋本さん、持ち前のタフな心で辛抱強く山行中ずっと僕の相手をしてくださったSLの鶴田さん、大荷物を持ちながらも立派なカメラで気づかないところまで記録に残してくださった猶木さん、最後まで元気にパーティを盛り上げてくれた河野さんと豊永さん同期2人、そして知床での山行をはじめ夏山開始まで全面的にサポートしてくださった38期の先輩方、本当にありがとうございました。
初めての北海道、いろいろ見られました。貴重な経験ができました。ありがとうございました。
□豊永
・延々と続く一直線の道路やお盆に収まりきらないホッケ焼き定食など,北海道のスケールの大きさには観光中にも度々驚かされていたが,いざ山を登ってみると山の様相も八ヶ岳,北アルプスとは全く違いひたすらに雄大であった。山の上なのにどこでも野球ができそうなくらい広く斜度のゆるやかな地面が広がっていた。交通費をかけてでも訪れる価値があったと自信を持って言える。
・台風による悪天候を絶妙にかわして数少ない晴れ間の日に山行を決行できて本当に良かった。ロープウェイの窓からは白しか見えず,旭岳に向かう道中も道標に気づけない程のガスに包まれていたのに登り始めると徐々に自分たちに影ができ始め,雲の向こうに太陽が見えるようになり,強風で吹き飛ばされたガスの切れ間からついに山頂が姿を現した瞬間は今でも鮮明に覚えている。今後の行程に希望が射し込んだ瞬間でもあり,初めから晴れているよりも結果的に強く印象に残って良かったかも知れない。
・水を大量に持ち込まねばならずかなり荷物が重かったが,鹿島槍夏合宿のおかげかかなり体力がついていたようでなんとか日程をこなせて良かった。
・CLの橋本さんに飛行機のチケットの予約から初日の400kmを超える運転,山行中の判断まで全てを頼りきってしまいました。本当に本当にありがとうございました。私が奔放に遊んでいるのを暖かく見守ってくださったメンバーの皆さんもありがとうございました。是非また他山行でご一緒したいです。
・山で米が美味しく炊けるようになりたい。
■その他
・行程について
3日目から天候が崩れる予報だったので,2日目に一気に南沼まで進んだ。今回は全員の足が揃っていたので問題なかったが,メンバー構成によっては厳しいと思う。
来シーズン以降はヒサゴ沼の避難小屋&テン場が復活するはずなので,同じルートをなぞるなら1日目に白雲岳,2日目にヒサゴ沼まで進むのがベストだろう。
3泊4日でも歩き応えのある行程にするなら,1日目に姿見から黒岳に寄って黒岳石室に泊まり,以後2日目に忠別岳避難小屋,3日目に南沼に進むというのもいいかもしれない。
・水の量について
各自平均8L持ち,途中若干の水を廃棄した上で,平均2L余った。白雲岳のテン場で1日目夜・2日目朝の炊飯用の水は調達した。
3泊4日(忠別岳避難小屋で泊まる)でもギリギリ足りただろうが,そうなる可能性が高いなら白雲岳のテン場でもっと水を汲んでおいた方がよいだろう。