2019/8/26 水根沢谷遡行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
水根沢谷遡行計画書 ver1.1
作成者:橋本
■日程 2019/8/26(月) 日帰り・予備日なし
■山域 奥多摩
■在京本部設置要請日時 山行当日 21:00
■捜索要請日時 山行翌日 09:00
■メンバー(計4名)
CL橋本 SL河野 豊永 山口
■集合・交通
8:03 奥多摩駅に集合
※バス乗り継ぎまでの時間が短いので,十分な金額をICカードにチャージしておいた上で先頭車両に乗っておくことを推奨
□行き
奥多摩駅より西東京バスで水根バス停へ向かう
奥多摩駅(08:05/08:42/09:30/10:15/…)-[2番乗り場から行き先不問]-水根バス停(約13分)
□帰り
水根バス停(14:13/15:24/16:18/16:49/17:25/…/20:19)-[西東京バス奥多摩行き]-奥多摩駅(約16分)
■行程
バス停-(0:10)-キャンプ場(入渓点)-(4:30)-半円の滝上(遡行終了)-(0:50)-バス停 (計5:30)
※時間と体力と気力に余裕があればさらに上流まで遡行。その場合の遡行時間は下記。
半円の滝上-(2:30)-木道(遡行終了)-(1:00)-バス停(計8:10)
※前半部分のコースタイムは長めに設定してあり,余裕があると思われる。
■エスケープルート
左岸の水根沢林道で水根バス停に戻る。
■地図
2万5千分1地形図「奥多摩湖」
山と高原地図「奥多摩」
■遡行図
東京起点120 p.43
■共同装備
救急箱(有紗):橋本→河野
8.5mm×30mロープ:橋本
お助け紐:橋本
アッセンダー(橋本河野私物):適宜分配
■個人装備
□ザック □ヘッドライト □予備電池 □雨具 □防寒具 □飲料 □非常食 □行動食 □ゴミ袋 □軍手・手袋 □トイレットペーパー □地図
□コンパス □レスキューシート □筆記用具 □計画書 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む) □学生証 □保険証 □現金 □ライター
□常備薬 □ナイフ □笛 □遡行図 □沢足袋 □ヘルメット □ハーネス □スリング □カラビナ □環付カラビナ □確保器・下降器
(□温泉セット) (□カメラ)
(□下山用シューズ)
※荷物の防水化
※入渓点の近くで不要な荷物をデポできる。
■遭難対策費
100円/人
計400円
■備考
悪天候の場合は前日夕方までに判断
※決行です
日没 18:20 奥多摩(8/26)
日出 05:11 奥多摩(8/27)
青梅警察署0428-22-0110
もえぎの湯 2時間780円
http://www.okutamas.co.jp/moegi/
■参考
2018年度記録
水根沢谷遡行記録
作成者:橋本・山口
■日程 2019/8/26 (月)
■山域 奥多摩
■メンバー・オーダー
CL橋本拓(40/B2) 豊永(41/B1) 山口大(41/B1) SL河野(41/B1)
■天気
晴れ
■タイムスタンプ
8:55 休憩所発(入渓)
13:08 半円の滝上(遡行終了)
13:22 登山道(詰め終わり)
13:40 むかし道休憩所着
■総評(橋本)
水根沢は,特に難しいところもなく,アプローチも下山も楽チンで,お手軽にゴルジュを楽しめるいい沢である.昨年も今年も,平日に遡行したにも関わらず他パーティーがいたので,この水と戯れられる人気沢に行くなら,夏休みの平日が最適だろう.
■ルート概況(橋本)
・休憩所には鍵がかかっていたが,トイレは使える.不要な荷物をデポして入渓準備.「ここは水根沢の入渓点ではありません.150m先です」という看板の通り,少し上流に進むと沢床に降りる踏み跡がある(入渓点に案内はない).
・最初の2m滝を右から容易に越えると,次は深い釜を持つ2条3m滝.去年遡行した時より明らかに水量が少ない.釜を泳ぎ,流れの左右の流れの間からマントルを返すこともできる(去年は全員そうした)が,右岸を普通にへつって,さほど濡れることなく釜の上に上がることもできる.マントルを返した後は容易なシャワークライム.
・次の2条CS滝は,釜の中央を歩いて取り付き,CSに無理やり足を上げて登る.
・3連続の2m滝は,順に左岸,右岸,右岸をへつって直登。残置はあるが使わずに登れる(Ⅲくらい).
・次の4m滝は釜を泳いでから右壁を登る.
・トイ状4m滝は,釜を泳いで取り付き,つっぱりで登る.楽しい.
・2段5m+2m滝は,下段は右壁を登り,上段は右を巻いた.
・半円の滝までの小滝は,釜を持つものが多く,泳いだり,へつったりと楽しみながら登れる.
・半円の滝は最初つっぱりで登り,途中で右壁に移り,落ち口で水流を跨いで左へ.今回唯一ロープを使用した.倒木が良い終了点になる.
・半円の滝を過ぎてすぐ,左岸にピンクテープがあり,濃い踏み跡が伸びている。踏み跡が一度左右に分岐するが,ここは左(上流方向)が正解.10分くらい登れば登山道に出る.登山道はとても歩きやすい.
■行動記録(山口)
アプローチはトラブルなく順調で,入渓点手前の休憩所に到着.入渓準備.休憩所は施錠されていた.トイレは使えた.不要な荷物をデポ.準備を整え出発.上流に向かって道路を歩く.
橋本「今回の行動記録は誰が書きますか.他にCLをする山がいくつもあって忙しんよ.」豊永「3本ほど溜まっていて.」河野「私は1つ.」橋本「あなたはいくつ?」山口「0です...」
入渓.橋本さんによると水量は昨年よりかなり少ない.あまり日が当たらない沢である.
雨などでいくつか計画が流れ,山口にとっては6月の初沢以来2度目の沢.久しぶりすぎて新鮮だった.光の屈折の作用もあって,まだ足を置こうとする水底までの距離感がつかめない.ここで終わりだと思っていた階段が実はもう1段あった時のような変な歩き方でついていく.
2m滝.右から超える.釜にかかった倒木を渡るところがある.豊永さんも河野さんもなぜか木の横をざぶざぶ歩いていた.「落ちるのがいやだから.」
2条CS3m滝.左壁をへつり,左右の流れの間から登る.左壁には残置スリングがある.使った人もいた.CSに足を上げて乗り上がるが,河野さんは適切な足場を確保できず,CSにへばりつくような姿勢になる.橋本さんが手で引き上げる.みんなこの状況を笑っていたが僕は怖かった.
2条CS滝.申し訳ないが,どういうわけか全く印象に残っていない.
3連続2m滝.1つめは,右壁の残置スリングに完全にしがみつく形で無理やりトラバース.トラバース位置が高すぎたのが失敗.教訓.あとの2つも,残置スリングがあった.スリングを使わなくても登れるが,山口は勇気が出ず,残置スリングを持って登る.他の皆さんはスリングは使わず登った.勇気があるなと思った.
4m滝.釜を右から歩いて取り付く.思ったより浅く足全体が浸かるくらい.取り付く時に少しだけ泳ぐ.左壁にへつりやすい足場とハンドホールドがあるが,途中で終わってしまい先に進めなくなる.河野さんが行って撤退した後山口も様子を見にいく.粘るが撤退.諦めてざぶざぶ行く.
CSトイ状4m滝.釜を泳ぐか,左を巻くか.3人は泳ぎ,山口は巻いた.足場がザレていたが,支えとなるハンドホールドがしっかりしていたので不安なく歩けた.巻こうと少し登ったとき、下の様子を見ると,対岸の木からいきなり枯れ枝(足場用単管程度の太さでヘルメット4つ分程の長さ.衝撃で頭が動くほどではなかったものの,視界が数秒間振動する程度には大きな力が加わった.(河野))が落下して河野さんを直撃.漫画みたいなことがあるものだ.ヘルメット重要.巻き終えたところで寒いのでレインウェアを着る.ラストの河野さんが遅い.どうしたのかと見ると、コンタクトが水流でずれたようである.頑張っていたが再装着を諦め登ってきた.洗浄液を持っていないというので後で山口のを使ってもらうことにする.私も含めコンタクト族にとって水しぶきは大敵.気をつけよう.この部分,河野さんにとっては災難が続いた.
第一ゴルジュ終了.
暖かい陽だまりがここかしこにあり皆で喜ぶ.
小屋のあるところで現在地確認.
第二ゴルジュに入る.人によっては所々手間取る箇所があったが順調に遡行を進めた.
ゴルジュ.橋本さんは難しいトラバースをクリア.河野・豊永は結局泳いで取り付き突っ張りで登った.山口は水に浸かりたくなかったので左の道を楽に巻く.高見の見物をする.ここで後ろからきた2人組のパーティーが抜いていく.
半円の滝.この沢の目玉らしい.橋本さんはロープの端を持ってフリーで登る.その後そのロープを使い河野,山口の順にアセンダーで登り,最後に豊永さんが滝上部での河野さんのビレイにより登る.なぜ半円の滝なのかと思って見ていると,下から見て右手方向から左むきに吹き出す水流と,釜にできる泡立ちのラインを辿ると確かに半円周を描いている.面白い流れの滝だ.はじめに左壁に取り付き,すぐに突っ張り,少し進んで右壁の掴みやすい突起を持って右壁に移り,そのままトラバースした後もう一度突っ張り,最後は右岸の方にでる.登り方も面白い.はじめ,右壁に移るタイミングがわからず,どんどん突っ張りで進もうとすると,体が裂けそうになった.行きすぎたようで,突っ張りで少し引き返し,無事に右壁に移る.足痛かった.
この先も遡行するかどうかをその場で話し合い決めた.十分楽しめたし,午後の天気がどうなるかわからないし,早めに帰りたいということでここから林道に出て下山することに決定.
詰めの踏み跡は非常に明瞭だったが,途中少し戸惑う箇所があった.程なく林道に出る.林道は非常に歩きやすく,あっという間にはじめの休憩所へ.その手前には焼き物屋など、色々と人の気配がない店が並んでいた.
休憩所にいたおじさん数名にあいさつ.休憩所を使わせてもらえた.のんびり装備のかたづけや着替えをしているとちょうどバスが出てしまったことが判明.次のバスまで1時間ちょっと.休憩所を使えるのでさらにのんびり過ごす.中で昼寝もした.バスの時間が近づいたところで休憩所を後にする.ここで橋本さんが会社にいる丸山さんに変な下山報告の電話をする.「いつもお世話になっております.橋本でございます.」
奥多摩駅について,さらに30分ほど電車を待つ.カメラで撮った写真を見るなどして過ごす.沢山行はとうに終わっているのになかなか奥多摩を出られない.
■感想
CL橋本:
・去年は木口さんに僕を含め40期3人を連れていってもらった沢に,今年は41期3人を連れて行くことになるとは感慨深い.もしよければ,来年は誰か41期が42期を連れてってあげてください.
・水根沢は2回目でも全然楽しかった.メンバー,水量や渓相が変われば,同じ沢でも違った形に見えるように感じた.逆に言うと,全く同じ楽しさを味わうことは二度と出来ない訳で,一つ一つの山行を全力で楽しまなきゃな,と思う.
SL河野:
・岩の造形が私好みでとても良かった.
・鉄パイプ程の枝が頭に直撃し,ヘルメットの大切さを痛感.
・上流からのビレイを教えていただきました,沢山練習してはやくモノにしたい!
・コンタクトの再装着に手間取ってしまい申し訳ありませんでした.
豊永:
・高度感のある場所や下の水深が浅い所での登攀がほぼ無く,落ちても大丈夫かなと思える所が多かったのであまり怖い所がなくて楽しかった.残置を残してくれる人はなんて優しくお金持ちなんだろうと思った.
・他パーティと遭遇し,雷鳥以外で滝を登る人を初めて見たのが新鮮だった.
・突っ張りで登る滝は水を正面から受けて目が開けられず大変だったので,今度からは念のためいつでもゴーグルを持参しようと思った.
山口:
初沢の小草平の沢では,上下方向の滝登りしか体験できなかったが,今回は,横移動,前後移動,様々な滝の登り方を体験できた.2回目の沢としてちょうど良いレベルだったのではないか.まだ2回目だからわからないが,沢ごとにそれぞれ異なる特徴があるのだろう.これからさまざまな沢に出会いたい.
■反省(橋本)
・滝の登攀待ちをしていた河野さんに,ゴルジュ上から降ってきた枯れ枝が直撃した(幸い怪我はなかった).谷状の地形である沢(特にゴルジュ内)では落石の危険性が高いことを忘れず,その危険を最小化できそうなところで待つ,という心がけが大事である.
・下山時刻の目処がついた時点で,バスのダイヤを考えておくべきだった.