2019/9/1 阿武隈川南沢遡行・一里滝沢下降

山岳愛好会雷鳥・ぶなの会 計画書 (8/30提出)
【阿武隈川南沢遡行・一里滝沢下降】
作成者:丸山
■日程 2019/9/1
■山域 那須
■在京本部設置要請日時 8/12 20:00
■捜索要請日時 8/13 10:00
■メンバー
CL丸山 SL朝倉 鶴田 豊永
■集合・アプローチ
8/31 夜に横浜~東京周辺
詳細未定
適当な場所で前泊後、甲子温泉附近へ
■ルート
甲子温泉附近に駐車、阿武隈川本沢の堰堤上から入渓し、南沢を遡行。時間と体力に余裕があれば一里滝沢(三ノ沢右俣)を下降、なければ甲子山から甲子温泉へ登山道を下降。
■予定時間
駐車場-5h-遡行終了-1h-下降開始-4h-駐車場
登山道下山の場合は下山は1h
■山行中の留意点、危険箇所、安全対策等
・滑落、落石、浮石、岩剥がれ
・滝を無理に登らない
■エスケープルート
南沢:引き返すか、そのまま進むか、左岸尾根の登山道に出る
一里滝沢:そのまま進む
■遡行図
南沢:東京起点120 p.273
一里滝沢:http://ftk-ac.net/02_sawa2/fukushima_sawa.html
■共同装備
救急箱(丸山私物):丸山→豊永
30mハーフロープ2:丸山、丸山→朝倉
ハーケン:丸山
ハンマー:丸山、丸山→鶴田
お助け紐:丸山、朝倉、鶴田
テント:丸山
■個人装備
□ザック □ヘッドライト □予備電池 □雨具 □防寒具 □飲料 □非常食 
□行動食 □ゴミ袋 (□軍手・手袋) (□トイレットペーパー) □地図 □コンパス
□筆記用具 □計画書 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)(□学生証)(□運転免許証)
□保険証 □現金 □ライター □常備薬 □ナイフ □笛
□地理院地図 □遡行図
□地理院地図をキャッシュ済の地図アプリが入ったスマートフォン
□沢靴 □ヘルメット □ハーネス □スリング □カラビナ □環付カラビナ
□確保器・下降器 (□登高器) (□ゴーグル)
 □エマージェンシーシート □シュラフ □マット
■遭難対策費(雷鳥)
100円×4人 計400円
■備考
・日の入(9/1) 18:11
・日の出(9/1) 5:10
・白河警察署0248-23-0110(計画書提出なし)

阿武隈川南沢遡行記録
作成:朝倉,鶴田,丸山

■日程 2019/9/1(日)
■山域 那須
■天候 曇り
■メンバー(計4人)
CL丸山(35/OB) SL朝倉(36/M2) 鶴田(40/B2) 豊永(41/B1)

■総評
大滝は立派だが,技術的には登りやすい.その他も楽しく登れる滝が多い.好みはわかれそうだが,上部山頂付近はスラブの登攀練習になる.東京からやや距離があるのが難点だが,その分ちょっとした遠足気分が加わることもあり,その移動をするだけの価値はあったと思う.隣の白水沢もおすすめらしい.

■ヤマレコ記録
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2031248.html

■時間
6:18 駐車地点
6:51 南沢入渓
13:54 甲子山
15:09 駐車地点

■行動記録(朝倉)
※滝の落差等は丸山製遡行図(ヤマレコ記録参照)に基づく.

○前日アプローチ・入渓まで
前日夜に丸山車に各々拾われる形で合流.車内で鶴田さんはバイト上がりから直接だと聞いた.それで沢に行くとはすごいバイタリティである.少なくとも私には無理だ.高速利用で移動後,甲子温泉附近某所で一泊.翌朝,駐車地点に移動し,入渓準備・出発.夜型の私はいつものことながら眠い.本沢を渡渉し,入渓地点まで歩く.その間,一里滝沢を確認した.

○入渓〜大滝まで
6:50頃入渓.出合は見つけやすい.

F1 8m.傾斜はきつくないが,中央部の水流はやや強い.鶴田リード.私は眠くて冒頭は遠慮.左側から取り付いてトラバースし,右側 (III) を登る.問題なし.

F2 7m.積極的な鶴田さんが再びリード.水線のかなり右を登る.中間支点をとっていなかったが,うまく登っているように見えた.しかし,これはまずかった.上部が脆かったのか約5mフォール.大きな怪我はなかったようで本当によかった.リードは丸山さんに交代.水線すぐ右を登る.残置支点2箇所を使用.後続も続く.ラストが私だったが,相変わらず寝ぼけており,残置と勘違いし,スリングの回収し忘れ.ロワーダウンして回収.何をやっているのか.

大事なかったが,フォールは反省材料である.早くも事案があり,心理的に怖いので帰りたくなる.リードしたくない.

F3 10m.東京起点では「登れない」とある直瀑.立派な印象.しかし丸山さんは気にせずリードで登る.水線の右側 (III+).上部はさらに右に逃げた.

F4 5m.少なくとも東京起点のいう「8m」はない.丸山さんが登り,後続はお助け紐.

F5 末広がり3m.豊永さん以外左側.ボルダ感覚で楽しい.

F6-8 連続する10m以下の滝.いずれも簡単.必要に応じてお助け紐を出した.やっと少しは調子と元気が出てきた.

○大滝(2段24m)
一応この山行のメインディッシュ.高さはある.先行パーティがいたので,彼らが登り切るのを少し待ち,私朝倉がリードで登攀開始.一貫して左側を登る.高いだけで難しくはない,はずなのだが,いきなり草付きの下部でルートをミスる.相変わらずのルーファン能力…… 明瞭な巻道があるので,それを使えばよかったものを,登れそうなどと言って妙なところを登ろうとして思ったより悪く詰まる.しかし降りるに降りられない状況になっていたので,巻道で追いついてきた丸山さんに見てもらってトラバースのステップを見つけ,なんとか巻道へ離脱.無駄な労力を払った.

上部はホールドになる根が多数あり,登攀自体は容易.さすがに24mもあれば高度感はそれなり.登りきってから支点を構築する.大滝でリードするのは初だったので,ここでもミスがあった.私がダイレクトビレイのセットアップを間違えた.ビレイデバイスにロープを通す向きが逆だった.一応引っ張って止まるか確認したはずなのだが,混乱していたらしい.そういうリスクがあることを考えて,自分はもちろんセルフビレイをとった上でエイトノットを解除せずにいたので,万一テンションが掛かっても後続がグラウンドすることはなかっただろうと思うが,何にせよ危険極まりない.日頃のロープワーク講習で今一度クライミング技術の復習が必要だと痛感した.ともあれ,結果的には特に危ないテンションがかかることもなく,全員無事に大滝の攻略を完了した.

○大滝〜甲子山〜下山
F9 4mの斜め滝.遡行図には左を登るとあるが,右の方が簡単.鶴田さん先頭.豊永さんにお助け紐.

奥二俣.鶴田さんの足が不安ということもあり,沢下降はやめて登山道で下山することを決めた.

上部では狭く長いナメが続いた後,山頂直下に意外と立派なスラブがあった.ちょうどいい練習になると,丸山さんリードで登攀 (IV-).私はこういうのは苦手である.ろくなホールドがなく,細かいものを使いながらバランスを取って登る必要がある.上部なのでやや高度感もある.丸山さんは簡単そうに登ったが,後続は皆苦労した.人によってはゴボウも交えつつ各々登る.

スラブ登攀を終えると,そのまま山頂に出た.決めていた通り,登山道を1時間ほど歩いて15時過ぎに下山した.

■鶴田のF2におけるフォールについて ※特に記載のない箇所は鶴田が作成した。
□概要
・F2(7m)は鶴田がリードで登ることに決まった。オブザベを行い、水線から右に約5m離れたライン【a】を選択した。以上のようなオブザベの結果や自身の意図をメンバーに共有せず、岩壁を登り始める。高さ約5mの地点で滑落した。右腕をあげて上部のホールドを掴もうとしたところ、バランスを崩したのである。(岩質が脆いように思われたが、今回のフォールの原因は「ホールド崩れ」ではない。)
・丸山さんにリードを交代した。丸山さんは水線のすぐ右横のライン【b】を登り、後続もそれに続く。ライン【b】には残置ハーケン&スリングがあり、これを中間支点として用いていた。結局、丸山さん→豊永さん→鶴田→朝倉さんの順で登った。

□フォールの原因 ※遠因含む。
・オブザベ:意図せず登攀難易度が高いライン【a】を選択し、メンバーに相談せず登り始めた。なお、別のライン【b】上にあった残置ハーケン&スリングに気づいていなかった。
・登攀力の不足:登攀するのに必死で、焦っていた。バランスを崩した。
・中間支点をとらなかった。
・意識:気の緩み。集中力の低下。
(・準備不足:遡行図や地形図の読み込みが不十分であり、ルート全体に対する理解が浅かった。故に気持ちの余裕がなかった。)
(・体力:自覚がなかったが多少の疲れがあったのかもしれない。バイトを終えてそのまま前泊し、当日の山行に臨んでいた。)

○CL(丸山)の反省
・鶴田が登る前に、オブザベの結果を聞いてどこをどういうふうに登るのかを聞いて、難しそうなところを選んでいるなら修正すべきだった。
・上記を怠ったとしても、難しそうなところを登り始めたのを見て、その時点で止めるべきだった。

○リード者(鶴田)の反省
・オブザベ
オブザベを行ったが、ルートの選択を誤った。ルート選択の手がかりとなる残置スリング&ハーケンを見逃していた。他の沢山行でもライン選択(滝)の際に他のメンバーと自分の意見が合わないことがある。難易度を適切に見極められていないのだろう。また、残置物を見逃すことも多く、視野のせまさを痛感している。
・メンバーとの話し合い
取り付く前にメンバーに相談していたら、自身が選択したルートが修正されていたと考える。
・登攀力
余裕をもってF2を突破できるだけの登攀力がなかった。ジムにまめに足を運んでいる訳ではなかったので、当然と言える。
・F1をリードで登った際に難なく突破したからか、気が緩んでいた。
・(以下、残置ハーケン&スリングに気づいていない状況をふまえての反省である。)リードの経験が不十分であり、中間支点をとる作業に不慣れだった。特にハーケンを打つ行程が苦手/自信がない。「ハーケンを打つために不安定な場所に留まるくらいなら、はやく登りきってしまいたい。」といった心理状態にあったのだろうと推察する。ジムや実地(特にハーケン打ち)で経験を積むしかない。

○今後の対策(丸山)
・リードで登るラインは取り付く前にメンバー全員で話し合う。
・早めに1つ目の中間支点をとる。
・登攀力強化。

○備考
・打撲したが、翌日には痛みはひいた。病院の診察でも問題は見つからなかった。日を経ずに実施した木曽駒・空木夏合宿(9.3-5)においても支障はなかった。
・2019年冬開催のバリエーション総会にて、本山行の滑落を扱い反省点を共有した。
・鶴田の主な山行歴(2018.4〜2019.9) ※中止・新歓除く。
(1)一般山行
2018.6.30-7.1燧ヶ岳、8.19鷹の巣山ハイク、9.13-14宮之浦岳、10.14赤城山ハイク、10.27-28甲武信ヶ岳、11.10-11那須三座、2020.2.4明神ヶ岳ハイク、2.15【初CL】沼津アルプスハイク、4.20【CL】矢倉岳新歓ハイク、5.3-4九重山、6.15長森山・六万騎山ハイク、7.13-14【CL】北八ヶ岳、8.7-8鹿島槍ヶ岳夏合宿、8.14羅臼岳ハイク、8.17-22大雪山・トムラウシ山夏合宿、9.3-5【CL】木曽駒・空木夏合宿、、、以下略
(2)沢、クライミング
※本山行実施時点で2級上の遡行経験あり。
※グレードは丸山さん作成の「沢の評価一覧表」による。
※入会時(2018年)は沢山行の参加条件が定められていなかったため、一般山行に先駆けて沢山行に参加していた。登山は大学で開始するまでほぼ未経験であった。
2018.6.9【初沢】大持沢遡行(1級上)・小持沢下降(1級)※詰めの際に滑落
6.17シンナソー(1級)・ヒヤマゴ沢(1級)
9.15石塚小屋沢(1級上)・淀川(1級)
9.26黒又沢日向沢(2級下)
11.17裏谷急沢(2級下)
12.8柴崎ロック(外岩)
2019.3.31早戸川大杉沢(1級上)
4.27【初CL】真名井沢(1級)
6.2棡葉窪(1級)、ナメイリ沢(1級)、市道沢(1級)
7.6沢訓練
7.7万太郎谷大ベタテ沢(2級)・カラホリ沢(1級上)
8.10-11万太郎谷ノゾキ沢(2級上)・南トッカサ谷(1級上)
9.1【本山行】阿武隈川南沢(1級上)
9.26西ゼン(2級上)
11.16【CL】表妙義小山沢(1級上)・金洞沢(2級下)、11.17裏妙義風穴尾根・丁須の頭

■メンバーコメント
○丸山
・登れる滝が多く楽しめる沢だったが、丹沢にもありそうな沢で、わざわざ裏那須まで行く意義があるかというと、微妙。隣の白水沢のほうが、綺麗でお薦め。
・急遽行くことを決めた山行だったが、参加者それぞれ得るものがあった沢だったと思うので良かった。

○朝倉
・全般的には快適に登れる滝が多く,遡行を楽しむことができた.
・大滝をリードするのは初めてで,取り付きでルートをミスして詰まったところ,そして支点構築で課題が見つかった.事故はなかったが,しっかりと修正して今後につなげたい.
・スラブは苦手らしいことがわかったので,事前にわかっている場合には注意する必要があると思った.

○鶴田
・滑落してしまい、反省点の多い山行となりました。夏季休暇中に複数の山行をこなすうちに緊張感が薄れていました。
・自分の山行歴を追ってみました。ロープワークや登攀等、様々な事項が未熟でありながら、特に改善しようともせずやみくもに山行経験だけ積んでいたことがよくわかります。
・反省やコメントの提出が遅くなり恐縮です。
・メンバーの皆様、ご迷惑・ご心配をおかけしすみませんでした。お疲れ様でした。

○豊永
・上部のナメと山頂直下のスラブが何よりも印象に残っている。落ちたら止まらないのではないか、という恐怖からナメを避け脇の藪にしがみつきながら進み、スラブではゴボウした。ゴボウも初めてだったのでこれはこれでいい経験だったと思いたい。直接山頂に出られたのは気持ちよかった。