2019/11/2 木戸前ルンゼ
【転進】木戸前ルンゼ計画書第二版 (2019/10/31時点)
作成者:杉山
■日程 2019/11/2(土)
■山域 裏妙義
■在京本部設置要請日時 2019/11/2 20:00
■捜索要請日時 2019/11/3 9:00
■メンバー(計3名)
CL杉山 SL梶原 鈴木
■集合・アプローチ
11/2(土) 新宿駅6:30集合。鈴木車で高速を経由して(松井田妙義ICまで)旧国民宿舎裏妙義へ移動。
※国民宿舎までの道が台風であれているとの情報あり。
■行程
旧国民宿舎 -40- 木戸前ルンゼ取りつき -2:30- 登攀終了 -1:00(同ルート懸垂)- 木戸前ルンゼ取りつき -30- 旧国民宿舎
計4:40
※時間があれば、登攀終了 -1:20(木戸裏ルンゼ下降)- 丁須の頭 -1:20- 旧国民宿舎と、丁須の頭まで移動する(計6:50)。
※F1, F2まではフリー、以降50m(Ⅲ-) - 20m(Ⅲ+) - 20m(Ⅲ) - 45m(Ⅲ)の4ピッチ。
※翌日の行程に備え、そのまま国民宿舎で宿泊。
■エスケープルート
ピッチ中:懸垂で引き返す
木戸裏ルンゼ以降:そのまま進む(丁須の頭をカット)
■トポ
岳人2011年:http://genbu2008.web.fc2.com/alpine-Climb/20141025/newpage1.html
■共同装備
ステラリッジ一式:杉山→適宜分配
8.0mm * 60mハーフロープ(私物):杉山
8.5mm * 50mハーフロープ(共装):鈴木
救急箱(杉山私物):杉山
■個人装備
(□ザック) □ヘッドライト □予備電池 □雨具 □防寒具! (□手袋) □飲料 □非常食
□行動食 □ゴミ袋 □トイレットペーパー □コンパス
□筆記用具 □計画書(□学生証)□保険証 □現金 □ライター
□常備薬 □ナイフ □笛 □地理院地図 □トポ □サブザック
□ヘルメット □ハーネス □スリング □カラビナ □環付カラビナ (□捨て縄)
□確保器・下降器 □登高器 (□クライミングシューズ)
□シュラフ □マット □免許証 □初心者マーク □温泉セット?
※各自、セルフビレイ用のギア(PAS+環付きor120cmナイロンスリング+環付き)及び支点構築用のギア(環付き+ヌンチャク(orカラビナ)+120cmスリング)は最低でも用意する。
※冷え込むので防寒着は万全に。ビレイ中嵌めておけるように適当な手袋を用意した方がいい(軍手も可)。
■食当
全て各自
■遭難対策費
100円/人 *3人
計300円
■悪天時
前日までに判断。
■備考
□日の出日の入@妙義山
11/2 -16:48
11/3 6:09-16:47
□警察署情報
安中警察署 027-381-0110
□注意点
・浮石、落石に注意する。ホールドがもげやすいので気を付ける。
・ビレイ中にグローブをはめる場合は巻き込まれないように注意する。テムレスのようにフリクションが過剰な手袋はビレイ時には使わない。
木戸前ルンゼ記録
作成者:杉山
■日程 2019/11/2(土)
■山域 裏妙義
■天候 晴れ
■メンバー 3名
CL杉山(39/B3) SL梶原(40/B2) 鈴木(41/B1)
■行程・記録
6:40 新宿発
10:07-45 国民宿舎裏妙義
11:15-11:25 木戸前ルンゼ取りつき
11:40 F2上のCS
14:13-15:08 登攀終了~懸垂開始
17:04 木戸前ルンゼ取りつき
17:26 下山
今回も安心と信頼の鈴木君による運転でアプローチ。三連休の影響を受けて関越の混雑はいつにもまして酷く、ICを降りたのは実に10時前だった。ナビに従って国民宿舎へ向かう途中、「この先幅員狭く通りぬけできません」との看板がある。実際は運転がうまければギリギリ通れるのだが(ありがとう鈴木君)、回り込む道があるので通るメリットがない。宿舎の駐車場には既に30台ほどの車が止まっており、紅葉シーズンにおける妙義山域の人気をうかがわせる。2016年度をもって閉鎖してしまった宿舎は、今なお誰かの手によって整備されているのか、閉館からの3年半という年月を感じさせない立派な建物だった。なお、お手洗いは宿舎内ではなく東屋のそばにある公衆トイレを用いることになる。水は流れるものの個室は真っ暗なのでヘッデンが必要かもしれない。
一般道(エアリアでは破線かも)を歩くこと25分、幾度か渡渉を繰り返したのち、岩壁に書かれた黄色い直角の矢印が見えてくる。矢印は下側と左側に伸びているが、これを無視して右に進むと右カンテ及び前ルンゼのとりつきである。なお、左に進むと丁須の頭に行ける。このあたりはせり出したハング壁による岩室があるため、デポする荷物があるならここに置いておくと良いだろう。数十mも歩けばすぐに右カンテのとりつきだが、今日の目的は更に少し奥の前ルンゼ。カンテの登攀待ちをしているパーティに話を聞くと、なんと全ピッチにパーティがいるらしい。そんなに人気のあるルートだとは知らなかった。
右カンテの少し先、最初に見えてくるわずかに濡れた谷が前ルンゼのとりつきである。杉山、梶原、鈴木のオーダーで出発。杉山のみアプローチシューズで、残る二人は登山靴で登ることにした。初めのF1は右岸を適当にフリーで登るが、楽な方に行きすぎると枝沢に突っ込んでしまうので、適当なところで本流に戻る。更に進むとこれまたよくわからない分岐があってしばし逡巡するが、左が正しい。腐ってぐるぐる回るボルトが一つぽつんと打たれているのが目印。適当にフリーで歩いていると知らぬ間にCSに着いてしまい、いったいどこがF2だったのか謎である。別にここから上もフリーで上がれるのでは…?と全員が思ったが、今日の目的はダブルロープとマルチピッチの練習である。CS上の立木を支点とし、ここから登攀スタート。以降、全ピッチでリード杉山、セカンド梶原、ラスト鈴木で、セカンドとラストは数mだけ間を開けて同時登攀。長さとグレードはトポに準じる。
〇1P 50m Ⅲ-
立木を支点とし、梶原ビレイ。全く難しいところはなく、灌木に中間支点も取れるのだが、ルートを選ばないと立木によるロープの屈曲が影響して動きにくくなる。まだビレイが不慣れだったこともあり、終盤はロープが重すぎて動けなくなりそうだった。50mロープがいっぱいになる少し手前でピッチを切る。太めの立木があってわかりやすい。フォローのビレイもこれまたロープが重く、途中まで丁寧に振り分けていたロープも、自分がロープをたぐる勢いに合わせて吹っ飛んでいき、見るも無残な姿になった。
なお、1P登攀中に男女二人組が「ルートのチョイスが渋いね!」と言いながらフリーで我々を追い越していった。
〇2P 20m Ⅲ+
鈴木ビレイ。左にもルートがあるはずなのだが、見るからに簡単そうな右側に吸い込まれていくとあっという間に終了点へ。腐ったリングボルトが3つというなんとも貧相な終了点で、左ルートを行けばペツルボルトがあるはずなのに…と少し後悔。ビレイ点では先ほどの二人組がロープを出し始めており、上の方の支点も汚いみたいだよ~と教えてくれた。3つで分散支点を組もうとすると頭が痛くなるので、2つで固定分散を組んでもう1つはバックアップに用いる。梶原鈴木もなんなく突破。この時はロープもさほど重く感じず、フォロービレイ中の振り分けもうまくいった。しかしさばいたロープをひっくり返すのに失敗。ビレイ交代時に結局散らかした。
〇3P 20m Ⅲ
梶原ビレイ。バンドの左トラバースがこの谷で最も高度感のある箇所だが、ガバガバで足も豊富なので難しい要素はない。支点は腐ったボルト、腐ったリングボルト*4、腐ったハーケン、などなど。トラバース中に取ったランナーが短すぎたため、これまたロープを屈曲させてしまった。ロープの重さに悶えながら終了点に到着。立木に懸垂用の残置支点があるが、上のパーティが降りてくると困るので一つ上の立木を支点にした。ビレイヤーは散らかしたロープが絡まって大変だったらしいが、手の空いている鈴木君が手助けをすることで何とかなったようだ。梶原鈴木ともに余裕で突破したが、杉山がロープをピンピンに張りすぎていたためトラバースしづらく、テンション緩めて!のコールがかかった。失礼しました。
〇4P 45m Ⅲ
鈴木ビレイ。なんとなく右側に突っ込んでいったが、あまり登りやすくなさそうだったので引き返す。終了点にいる先行パーティのおじさんも「そっちは通ってないかな~」と声をかけてくれた。改めて左側を攻め、難なく突破。終了点はきれいなペツルボルト*2とリングボルト*2だが、残置スリングの径が太すぎて左のペツルにカラビナが通らず、仕方がないのでリングボルトも用いて支点を作った。この時はロープをひっくり返すのがうまくいったのでビレイはとてもスムーズ。ありがとうございます。杉山はメインセルフが短すぎてフォローのビレイが辛く、おじさんに「もうちょい長く取ると腰が砕けないよ」とアドバイスを頂いた。梶原鈴木もこれまたあっさりと突破し、無事登攀終了。
先行のお二人は普段沢を中心に活動しているらしく、会話が弾んだ。上でご飯食べてたのよ、とおっしゃっていたが、ひょっとすると我々が登り終えるのを待っていてくださったのかもしれない。お二人は懸垂のセットをしながら「ドラクエウォークやってる?私らドラクエウォークのために今日来たんだよ」と聞いてきた。やってません、ていうかこれじゃドラクエクライミングですよ、などと言って笑い合った。
少し右奥に登ると日当たりが良いと聞いたので、落ち着いてロープを畳むために少し移動する。このまま裏ルンゼを下降して丁須の頭に行く案もあったのだが、出発までに思ったより時間がかかってしまったし、日没までそう余裕がないこともあって、結局同ルートを懸垂で帰ることにした。ここで梶原が「あのナスなんとかってどっちですか?」と聞いてくる。ナス…?なんと、「丁須の頭」を「ナスの頂」と勘違いしていたらしい。「す」と「の」しか合っていないぞ…。
〇終了点→3P終了点→2P終了点
終了点には懸垂用にエイト環が残置されている。トポには45mとあるが、60m一本を折り返すだけで立木の懸垂支点まで問題なく下降できた。このあとは一気に1P目終了点まで下りるべく、ロープをオーバーハンドノット*2で連結して下降を開始したものの、投げたロープが岩に張り付くようにして引っかかっているのを見るうちに「これはロープがスタックするんじゃないか?」と怖くなり、結局2P目の終了点でピッチを切る。行きで使った支点に降りると捨て縄が必要になってしまうので、小ハング上のペツルボルトへ下降。なんとか問題なく回収できたが、スリルを味わうのが嫌で結局この先はロープ1本で降りることにする。本当にここの岩はフリクションが強すぎて怖い。
〇2P終了点→灌木→CS上→下山
2P終了点から再び懸垂、適当な立木でロープがいっぱいになりピッチを切る(1P終了点と同じだったかも)。続けて懸垂するが、ギリギリCS上の支点までロープが届かず、数mはフリーで降りることになった。このあたりから滝がジワリと濡れているせいでロープがびしょびしょになる。CS下もクライムダウンが面倒なので懸垂し、残置スリングの下まで降りたところでロープをしまう。ちんたらしすぎて日没が始まってしまった。梶原のヘッデンが電池の液漏れで死んでおり、ヘッデンなしの下山を余儀なくされたが、意外と問題なくさくさく下山して17:30前には車道へ帰還。ただし真っ暗だと渡渉箇所で道がわからなくなりがちなので注意。
〇それ以降
晩御飯を求めて宿舎を発つ。峠の釜めしで有名なおぎのやは既に営業時間を過ぎていたので、諦めてぶらぶらしているうちに「軽井沢行っちゃえばいいんじゃね?」というノリになる。軽井沢駅までほんの20km程度、バイパスの往来は民度が低いのが難点だが、ともかく軽井沢のアウトレットに到着。フードコートで食事をとり、ノースフェイスやアークテリクスのショップに冷やかしで入り、満喫したのち宿舎へ帰着、テントを張って就寝。我々の他にも2つほどテントが張られていた。
■反省・雑感
〇杉山(CL)
・ダブルロープでのビレイ時は特に、ビレイ用のカラビナの広い側にデバイスを入れる。カラビナが反転しているとロープの流れが悪くなるので、シングルの時から正しい向きで使うことを心掛けたい。
・メインセルフを短く取りすぎてビレイ時に何度も腰が砕けた。デバイスより下側に体がないと辛い。
・今回のような木の多いルートでは、適当に歩くと木の屈曲でロープがとんでもなく重くなる。ランナーは基本的に長く取るべきだろう。
・3P目にロープを張りすぎて、フォローはトラバースが怖かったらしい(2人とも緩めた)。リードは登りながらトラバースの箇所を確認し、フォローも登りながらトップに緩めてほしいタイミングを伝える、といったお互いに配慮する姿勢が必要。
・ギアの数がギリギリだった。あったら面白いかなと思って直前にリギングプレートを買ったのだが、マスター→カラビナ→リギング→カラビナ→ビレイデバイス、とセットすると、長すぎて操作しづらい。
・まだまだ練習が必要と痛感した。ダブル&マルチの練習としては、適度にマイナーかつ景色も良い前ルンゼは名スポットな気がする。
・やはりマルチは2~3人がベスト。アッセンダーを絡めて4人以上で行くのは安全性が下がりそうだし、ビレイ点も狭い。
・ヘッデン下山になってしまった。登攀の時間はある程度想定した通りだったから、どちらかと言うと懸垂が遅すぎた。連結したり解除したりとどっちつかずなことを繰り返すうちに時間がかかってしまったようで、ちょっと反省。
〇鈴木
・出る前に見た記録で岩が剥がれると書いてあったが、常識的なホールド選択をすれば十分な強度があった。
・ダブルロープのビレイは重く2本の長さ調整が難しく練習の必要性を感じた。
・高度感もなく簡単だったのでいい練習になったと思う。
・沢で濡れる羽目になるとは思ってなかった。
・ナビの言うことよりも標識に従うべき。
・横川の駅前は何も無かった。