2019/11/3 木戸壁右カンテ

【転進】木戸壁右カンテ計画書第二版 (2019/10/31時点)
作成者:杉山
■日程 2019/11/3(日)
■山域 裏妙義
■在京本部設置要請日時 2019/11/3 20:00
■捜索要請日時 2019/11/4 9:00
■メンバー(計3名)
CL杉山 SL梶原 鈴木

■集合・アプローチ
11/2(土)に旧国民宿舎で宿泊。

■行程
旧国民宿舎 -30- 木戸壁右カンテ取りつき -2:40- 登攀終了 -1:10(同ルート懸垂)- 木戸壁右カンテ取りつき -20- 旧国民宿舎
計4:40
※15m(Ⅲ) – 20m(Ⅳ) -20m(Ⅲ) -30m(Ⅳ) -15m(Ⅲ)の5ピッチ。4ピッチ目は中間にも終了点があり、そこを用いる場合は6ピッチ。

■エスケープルート
ピッチ中:懸垂で引き返す

■トポ
岳人2011年:http://genbu2008.web.fc2.com/alpine-Climb/20141025/newpage1.html

■共同装備
ステラリッジ一式:杉山→適宜分配
8.0mm * 60mハーフロープ(私物):杉山
8.5mm * 50mハーフロープ(共装):鈴木
救急箱(杉山私物):杉山

■個人装備
(□ザック) □ヘッドライト □予備電池 □雨具 □防寒具! (□手袋) □飲料 □非常食
□行動食 □ゴミ袋 □トイレットペーパー □コンパス
□筆記用具 □計画書(□学生証)□保険証 □現金 □ライター
□常備薬 □ナイフ □笛 □地理院地図 □トポ □サブザック
□ヘルメット □ハーネス □スリング □カラビナ □環付カラビナ □捨て縄
□確保器・下降器 □登高器 (□クライミングシューズ)
□シュラフ □マット □免許証 □初心者マーク □温泉セット?
※ヌンチャク・アルパインヌンチャクはパーティ全体で12本以上用意する。
※各自、セルフビレイ用のギア(PAS+環付きor120cmナイロンスリング+環付き)及び支点構築用のギア(環付き+カラビナ+120cmスリング)は最低でも用意する。
※終了点のシャックルが小さいという記録がある。念のため捨て縄をパーティで2本ほど用意する。
※冷え込むので防寒着は万全に。南面なので上部は日当たりが良い。ビレイ中嵌めておけるように適当な手袋を用意した方がいい(軍手も可)。

■食当
全て各自

■遭難対策費
100円/人 *3人
計300円

■悪天時
前日までに判断。

■備考
□日の出日の入@妙義山
11/3 -16:47
11/4 6:10-16:46

□警察署情報
安中警察署 027-381-0110

□注意点
・浮石、落石に注意する。ホールドがもげやすいので気を付ける。
・ビレイ中にグローブをはめる場合は巻き込まれないように注意する。テムレスのようにフリクションが過剰な手袋はビレイ時には使わない。

木戸壁右カンテ記録
作成者:杉山
■日程 2019/11/3(日)
■山域 裏妙義
■天候 晴れ
■メンバー 3名
 CL杉山(39/B3) SL梶原(40/B2) 鈴木(41/B1)
■行程・記録
6:00 起床
7:10 出発
7:40-8:30 取りつき着、下で先行パーティの待機
10:20 松の木テラス
12:00-12:35 登攀終了、待機
12:45-13:55 4P目、待機
14:05-14:25 松の木テラス、待機
14:50 懸垂終わり
15:35 帰着

--参考--
ランナー:ヌンチャク10(+1)本、アルヌン2本
オーダー:杉山L、セカンド梶原、ラスト鈴木。1〜4は時間差で登攀、5のみ梶原が上がってから鈴木登攀。
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〇出発まで
6:00に起床。死ぬほど寒い。この時期の妙義を舐めていた、シュラフカバーだけで寝るには厳しい。しかもシュラフの中で気が付いたのだが、前日の木戸前ルンゼでズボンの尻を破いていた。確かに下山中に引っかけたような気がする。触った感じかなり大きい穴が開いているようで、自分は尻の破れたズボンで軽井沢のアウトレットに行き、尻が破れたままアークテリクスに入り、尻が破れているのに新しいズボンを買わずに帰ったのか…それも物色中に「俺(先週別の)ズボン破いたから買わないといけないんだよな~」としきりに話していた。傍から見れば、尻が破れているのを知りながら何も買わずに帰る異常者に映ったことだろう。…気を取り直してガムテープを貼って出発。ガムテープのせいで余計目立ってしまったが気にしない。
以降、ルートの長さとグレードはトポに準ずる。

〇1P 15m Ⅲ
先に取り付いていた3人パーティの登攀を待つ。リーダー格らしいおじさんも先週ズボンを破いたらしく、今回は予備を持参したとのこと。なるほど、マルチにはズボンが必要なのか。ちなみに僕らの後ろにはベテラン風の2人パーティがおり、終始速かった。
1ピン目がそのまま取りつきの目印になるが、ぱっと見その右にある凹角の方が簡単であるし、実際昔はそちらが正規ルートだったらしい。とはいえブッシュが汚いしハンガーもないので先行パーティと同ルートを登る。事前情報通りハンガーはベタ打ち。体がまだ温まっていないせいだろうか、クラシューを履いて登るのが久々だからだろうか、Ⅲとは思えないほど緊張してしまった…全5pのうち最も怖く感じたのがここである。適当に直上するとすぐに終了点へ到着。このビレイ点は広い。鈴木梶原ともに何も怖い要素はなかったそうなので、本当に僕が緊張していただけなんだと思う。

〇2P 20m Ⅳ
浅い凹角から右に出て、プチハングを右から周りこんだあと左にトラバースする。ハンガーがむちゃくちゃ多くて相当な本数を使ったが、グレードはⅣもない。1Pの方が怖かったよ!トラバース先の終了点は狭く、僕ら3人だけでも既にパツパツであった(一応帰りにもう少し入れると確認した)。最終中間支点がほぼ真横にあるので固定流動を組むべきなのだが、後続の2人組を待たせていることに焦りを感じ、さっさと固定分散で取った。しかも例によってセルフが短すぎて腰が痛い…だって長く取るの怖いんだもん…。僕らが狭いビレイ点でわちゃわちゃしている間に後続の女性が追いついてしまったのだが、狭すぎて抜いてもらうことはできない。松の木テラスでお先行かれますか?と言ったけど、結局最後まで僕らの後ろにいてくれた。

〇3P 20m Ⅲ
簡単だったのであまり覚えていない。このピッチに限らないが、総じてボルトを見ていればだいたいルートが全部わかってしまい、ルーファイは不要。松の木テラスはかなり広く、手前の太い松の木に懸垂支点、そこから少し上がった壁面にボルトが2つある。ビレイしやすいしロープの振り分けも綺麗にできているから嬉しくなっちゃう。

〇4P 30m Ⅳ
右上してからカンテに上がる。右上パートは易しい。カンテからは確かに高度感があるが、もうとっくにバグっているので何も感じない。やや長いルートなのでヌンチャクの本数が厳しく、途中何ピンか飛ばすことになったが、大したランナウトにはならなかった。全部使うなら14~15本くらいは必要なのかな?高度感があるだけでグレードは易しく、例によってガバを掴むだけなのでⅣもない。やっぱり1P目が一番怖かったよ。このピッチは真ん中あたりにも終了点があるため、どうしてもギアが足りない場合や激混み時はここでピッチを切ると良いのかもしれないが、今回はスルー。30m上のビレイ点は非常に狭く、切り立った岸壁でほぼハンギングビレイとなるため、高度感もあって長く滞在はしたくないところ(重要!)。ここのビレイが一番腰に悪かった。鈴木君は下を見てちょっと怖くなったらしい。

〇5P 15m Ⅲ
まずギアの受け渡しを忘れたまま出発しそうになり、鈴木くんに止められる。危ない危ない。このピッチも非常に易しいうえに短く、適当に上がっていたらすぐ終わった。終了点は広くも狭くもない。さあビレイの準備を、と思ったら、なんとデバイスを4P目のビレイ点に忘れてきた…完全に気が抜けている。仕方ないので梶原を半マストでビレイし、持ってきてもらったデバイスで鈴木くんをビレイ。すぐ下に来ていたお2人を待ち、かつ先に懸垂で降りてもらった。懸垂が遅いのは昨日の前ルンゼでよくわかっているので、これ以上お待たせするのは申し訳なかった。お2人は爆速で消えていったが、誤ってヌンチャクを残置しておられた…急かしたせいです、申し訳ない。回収して下で渡そうと思ったのだが、この後いろいろあって結局渡せずじまいになる。

〇5P終了点~4P終了点
そろそろ出発するか、という時に左上から先行パーティが懸垂で降りてきた。そう、トポは5Pで終わっているし支点が整備されているのもここまでなのだが、左にトラバースして草付きを登るルートも一応存在するのだ。おじさん曰くあと2ピッチは伸ばせ、支点の少ない(RCCが1本と立木が少し)苔苔クライミングができるらしいが、「行く価値ないですよ」とのこと。どこかの山岳会の記録では「ぜひいってほしい」とかあったが…まあいいか。
さすがに更に3人も来るとビレイ点がパンクするので僕らも懸垂を開始し、一旦すぐ下の狭いビレイ点(4P目終了点)でピッチを切ったが、これが大失敗だった。上のパーティが2本連結で下(4P目の途中にあるビレイ点)まで降り、しかもそのまま連続して松の木まで降り始めてしまった。こちらは下りるタイミングを逸し、計6回分の懸垂を狭い狭いビレイ点で待つことに…。今ロープ投げていいよ、というようなことを妙なタイミングで女性に言われたが、リーダーのおじさんがまさに懸垂の最中なのにロープを投げていいのか?せめてセルフを取っている時では?と思うし、投げたところで降り始めるわけにもいかない。あの狭いビレイ点でくつろぐこともできず、シューズを履きっぱなしの足は痛み、どんどんフラストレーションが溜まっていく。しかも彼らが垂らしたロープのすぐ横に僕がいるので、懸垂で荷重のかかったロープにぐいぐい押されて姿勢が崩れ、ロープの回収時にはウェアがゴリゴリ削られ、仕方ないとはいえモヤっとした気持ちになった。おまけに、体が痛くてもぞもぞしていたせいでギアラックのカラビナが外れ、あやうく捨て縄全部とカラビナを遥か谷底へ落とすところだった。こんなことなら一番上で待っていればよかった…。

〇4P終了点~松の木テラス~取りつき
まずは60m一本で一気に松の木テラスまで下降する。上から見てやや右側に降りていく必要があり、かつロープ長が足りるか微妙なためすぐ下の残置でピッチを切るか迷ったが、これ以上時間を浪費したくないので結局降りた。ギリギリ松の木テラスの1~2m上まで降りることができ、フリーでも問題なくクライムダウンできる範囲である。とはいえここの正解は終了点→4P目途中の支点→松の木、だろうか?最初の懸垂が足りるかはわからないが。この斜め懸垂が2人は結構怖かったらしく、特に梶原は初め真下に降りたせいで詰みかけたようだ。確かに突っ張っている右足が切れて体が振られるともうお終いかもしれない。梶原は途中で助けを求めて叫んでいたそうなのだが、松の木テラスにいるCLには殆ど聞こえず、なにか高い音が反響しているなぁくらいにしか思わなかった。ごめんよ。
松の木テラスでは別の3人パーティが待機していたので、僕は少し降りて懸垂支点にセルフを取って待機し、梶原&鈴木を待つ。鈴木君が降りたときに時間を確認すると、もう14時を回っているではないか。4P目のビレイ点で13時を迎えた記憶があるから、あのくそ狭い空間に1時間以上もいたのか…。
大人気ルートなので(?)2P目を登攀中のパーティも下にいるらしく、彼らの登攀が終わってセルフがとれるまで再び待機、これまた十数分待ってから杉山が降りる。降りた先のビレイ点も狭いのでどうしたものかと思ったが、パーティの1人がリードで登り出した。これでテラスに計3人。下には誰もいない。それならと思って鈴木くんも降ろし(3→2)、もう1本のロープを受け取って杉山が降りる(2→1)。次いで梶原が降り(3→2)、そのロープを引っ張りながら鈴木くんが降りる(2→1)。そのロープを杉山が受け取って降りるのに使い(1→取付)、鈴木くんが降り(1→取付)、梶原がロープを1本取りつきに投げ、降りている間に(1→取付)杉山と鈴木でロープを捌いた。読んでも何が何だかわからないかもしれないが、とにかくラスト3Pは非常に早く降りることができた。このペースでずっと降りられたらよかったのに…。
ついでに2P→1Pの懸垂で真新しいルベルソを拾ったので、取り付き右の凹角に置いてきた。あとは適当に道を歩いておしまい。お疲れさまでした。
昨日は時間の関係で峠の釜めしが食べられなかったので、今日こそはと峠の釜めしのお店に入ってラーメンを食い(?)、峠の湯(600円/3時間)でさっぱりしたのち帰宅。なんだかんだ行きも帰りも全て鈴木くんに運転させてしまった。マジでありがとう。

■反省・雑感
〇杉山(CL)
・釜飯は1080円(税込)で、お値段に挫折した。増税しても値段を上げない強いお店だった。
・懸垂で何度か細かい落石を受けたし、自分も起こした。特に5P終了点の下は細かい石を落としやすい。気を付けよう。また、5P目では小さな自然落石もあったらしい(鈴木君談)。
・ホールドは大体ガバかかかりの良いスローパーで、カチはもげそうだから使わなかった。
・リード継続で振り分けたロープをひっくり返すなら、お互いのセルフを寄せてからひっくり返すとよい。うまくキマると本当にスムーズに流れる(狭いビレイ点では失敗した)。
・もう少し支点用のギアがあるとよかった。当然だが、下で使った分、上では使えない。
・なんだかんだ連結しても降りられそう?しかしスタックさせている記録も見たことがあるのでわからない。
・岩のフリクションが強すぎて登攀中に服が引っかかるし、ロープはごりごりに摩耗する。何度使ってもツヤツヤだった僕のロープがあっという間に毛羽立ってしまった。
・鈴木くんは寝るとき用にパジャマを持ってきたらしい。折角だからパジャマで登ればよかったのに。

〇梶原(SL)
・4P目の斜め懸垂が怖かった。あと1m降りていたら終わってたかもしれない。
・4P目、自分の身長では少し厳しいところがあった。フリクションがよくてスメアが効いたおかげで登れた。
・声が届かないのをどうにかしたい。

〇鈴木
・自分は4p目で谷の方を見たら怖かったです。
・セルフに体重をかけていたので帰ったら腰が痛くなった。良いハーネスが欲しい。
・いつも靴下で履いてるクライミングシューズを裸足で履いたので、ゆとりがあってよかった。
・朝食を車中に置いておいたら朝取りに行くのが面倒だったし、おにぎりはポソポソになってた。