2020/1/1 杓子山
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
杓子山年越しハイク計画書ver.1.0
作成者: 鶴田・橋本
■日程 2020/1/1(水) 前夜発日帰り・予備日なし
■山域 富士吉田
■在京本部設置要請日時 2020/1/1 19:00
■捜索要請日時 2020/1/2 10:00
■メンバー (計4人)
CL橋本 SL鶴田 平島 渡邉
■集合
12/31 23:35 富士山駅
■交通
□行き(高尾〜)
JR高尾駅21:42ー(JR中央本線甲府行)ー22:18大月駅22:38ー(富士急行河口湖行)ー23:31富士山駅
富士山駅からは徒歩またはタクシー。ゲートまでタクシーで入ることができる。
※遅れた場合(終電):JR高尾駅22:22ー(JR中央本線甲府行)ー22:58大月駅23:10ー(富士急行河口湖行)ー23:57富士山駅
□帰り
行程案1の場合
富士山駅10:03/10:46(高尾行)/11:39/ー(富士急行)ー11:01/11:46/12:34大月駅
大月駅11:03(東京行)/11:46/13:15ー(JR中央本線)ー11:45/12:22/14:02高尾駅
行程案2の場合
山中湖平野10:25/11:25/12:25/13:25/14:25/15:10/…/17:40(終)ー(新宿富士五湖線、2.5h、2150円)ーバスタ新宿
■行程
※天気やメンバーの気力,体力に余裕があり,まだ不完全燃焼だったら縦走して(案2),そうでなければピストン(案1)とする予定です。
案1 【杓子山ピストン】
滋光院~0:35〜分岐~0:20〜不動湯~0:30〜ゲート〜0:50〜大ザ首峠~0:40〜杓子山山頂(ご来光待機)~0:25〜大ザ首峠〜0:40〜ゲート〜0:20〜不動湯
計4:20 約10km
※不動湯で温泉に入った後,タクシーで富士山駅へ
案2 【石割山まで縦走】
滋光院~0:35〜分岐~0:20〜不動湯~0:30〜ゲート〜0:50〜大ザ首峠~0:40〜杓子山山頂(ご来光待機)~0:35〜子ノ神〜0:10〜鹿留山〜0:10〜子ノ神〜0:55〜立ノ塚峠〜1:05〜駐車場〜0:50〜石割山〜0:35〜富士見平〜0:20〜石割の湯
計7:35 約16km
※石割の湯に入った後,高速バス(新宿富士五湖線)で新宿方面へ
※鹿留山ピストンは余裕がなければカット
■エスケープルート
案1の場合
往路:引き返す
復路:そのまま進む
案2の場合
杓子山まで:引き返す
子ノ神〜加瀬山:立ノ塚へ
加瀬山〜石割山:駐車場へ
それ以降:そのまま進む
■地図
エアリア:富士山
1/25000:富士吉田
■食当
1/1朝:橋本
■共同装備
テント本体(ステラリッジ):鶴田→橋本
テントポール(ステラリッジ):鶴田
鍋とお玉と菜箸(鶴田私物):鶴田
ヘッド(緑8):鶴田→平島
カート:鶴田→平島
救急箱(有紗):橋本→渡邊
■個人装備
□ザック □ザックカバー □登山靴 □替え靴紐 □ヘッドランプ!! □予備電池 □雨具 □防寒具!! □水 □行動食 □非常食
□ゴミ袋 □コッヘル □武器 □軍手・手袋 □新聞紙 □トイレットペーパー □ライター □地図 □コンパス □筆記用具
□計画書 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む) □学生証 □保険証 □現金 □学割証 □常備薬 □着替え □温泉セット
□カメラ □エマージェンシーシート □シュラフ □マット □軽アイゼンorチェーンスパイク
(□モバイルバッテリー □日焼け止め)
※寒さが予想されるので、上着や手袋,帽子等,十分に防寒用具を持参すること。
※未明に行動するので,ヘッドランプを忘れないこと。
※12/29時点で10cm前後の積雪があることから,軽アイゼンかチェースパイクを必携とする。
■遭難対策費
100円/人
計400円
■悪天時
大晦日の昼までに判断
■備考
○1/1日の出6:54、1/1日の入り16:42、1/2日の出6:54(@富士吉田)
○富士吉田警察署0555-22-0110
○その他
・富士吉田観光ホームページ https://www.fujiyoshida.net/sp/
・旅館 不動湯(日帰り入浴) http://www.fudouyu.jp/
大人1000円、8:00~16:30
・葭之池温泉
夜間(金・土・日・月)大人800円、日中9:00~17:00
夜間18:00~21:30(金・土・日・月のみ)
・リゾートイン芙蓉「日帰り入浴 泉水」https://fuyo-hs.jp/spa
大人800円、10:00~23:00(年中無休)※22:30 最終入館、富士山駅から徒歩15分
・石割の湯
学生600円、10:00~21:00
○雷鳥 過去の記録
2011年度
2013年度
杓子山年越しハイク山行記録
作成:渡邉
■日程 2020/1/1(水) 前夜発日帰り
■山域 富士吉田
■メンバー(計4人、敬称略) CL橋本(拓)(40期/B2) SL鶴田(40期/B2) 平島(41期/B1) 渡邉(41期/B1)
■天気 晴れ
■総評
・残雪は見られたものの軽アイゼン等はほぼ使うことのない程度であり、寒さはあったが天気は非常に良く、終始ほぼ無風状態であった。その為初日の出も最高の状況で拝めた。
・年越しハイクはなかなか味わうことの出来ない特別な体験が多く、毎年行われると良い山行であるなと思う。
■タイムスタンプ
<12/31>
23:31 富士山駅着
<1/1>
0:23 小室浅間神社着
0:40 同発
1:21慈光院
2:18 不動湯
2:58 ゲート着
3:00 同発
3:54 大ザ首峠着
4:02 同発
4:31 杓子山山頂着
7:46 同発
8:04 大ザ首峠
8:58 不動湯着
■記録
□小室浅間神社出発まで
雷鳥での実施は実に6年ぶりとなる杓子山での年越しハイク。40期の橋本さん・鶴田さんが計画を立てて下さり、その計画書が流れるのを見るや否や、なんとしても行きたいと思い、都合をつけて参加させて頂いた。
大晦日当日。おせちは残しておいてねと家族に伝え家を出る。平島君とは中央線高尾駅で落ち合い、そして大月駅で富士急行に乗り換えの際に橋本さん・鶴田さんと落ち合い、そのまま一緒に乗車。22時半過ぎ発の大晦日の電車である。そりゃそうだという感じではあるが、車両には私たち以外に、ザックを地べたに置いた1、2人程の登山者しかいない。
車内では、橋本さんの食当の話題が出た。お雑煮やおせち、具体的には栗きんとんや黒豆などを用意なさったという。お雑煮は関西風であると伺い、初めての関西風のお雑煮にワクワク。
23時31分、富士山駅着。大晦日の真夜中の街中の路上には、かき集められた雪の小さな山が点在していた。こんな遅くに人はほとんど歩いていない。頭上には澄んだ冬空のもとで信じられないほどの満天の星空。
神社で年越しを迎えようと近くの神社に向かったが、着くなり見ると、人っ子一人いない小さな神社。一同落胆。道すがら、北斗七星がふと目に入る。もう年越しまであと10秒余りだ。北斗七星を見ながら年を越そうということで(?)、親戚が住むわけでもない、馴染みのない富士吉田市の住宅街の路上で4人だけで2020年を迎えた。新年の挨拶を言い合うと、あちらこちらから祝砲がバーンバーンと街に響き渡る。こういう地元ではない、縁もゆかりも余りない土地で行う年越しも、これまた趣がありいいものだなあとしみじみ思ったのであった。
その後近くの小室浅間神社へ初詣をしに向かうことにした。道すがら、星座のプチ特定会が始まった。冬の大三角についてだとか、おおぐま座、こぐま座、カシオペア座だとか、普段の東京の暮らしでは余り考えない星座を特定。
0時23分、趣のある石橋を越えて小室浅間神社到着。参拝者が結構いらっしゃった。火が焚かれ、神主さんがいらっしゃり、雅楽が奏でられる良い雰囲気の神社であり、4人並んで参詣。私は無難に無病息災を祈願。その直後にカメラを担いで今か今かと待ち構える地元のテレビ局の方々に今年の抱負などを聞かれる。ちょっと照れながら答える鶴田さん、そつなく答える平島君と橋本さん、悩んだ末に「今年は…おいしい一年にしたいです!」と意味不明な回答をする私。これではどう考えても私の映像の採用はされないだろう。平島君はもう2代目という御朱印帳を購入。早速御朱印を頂いていた。
□小室浅間神社出発から杓子山頂出発まで
0時40分、出発。ひたすら通り沿いをまっすぐ進み、登山道を目指す。相変わらず星が大変きれいである。
1時21分、慈光院通過。この辺りから急に街灯が少なくなってゆき、少し行ったところでヘッドライトを点灯。やや傾斜は増すも、未だ歩きやすい車道である。星空を邪魔する光源がないことに感動。
2時18分、不動湯通過。残雪が目立つ箇所もあるが軽アイゼンをつける必要はなしと判断。ここからゲートまでに少なくとも二箇所、維持管理はされてはいないものの仮設トイレが設置されていた。ハイクを行なった時点では使用可能だった。
2時58分、ゲート到着。
3時00分出発。ビューポイントでは富士山の山陰がうっすらと確認できた。また徐々に高度が上がるほどに美しい夜景が樹林帯の隙間からその光のつぶを覗かせた。平島君の夜景はおろか星空をも捉えるハイスペックなスマホカメラで撮影。夜景を望みながらヘッドライトで道を照らすナイトハイクは本当に楽しい事を改めて噛みしめる。
標高1240m地点付近で急に残雪が多くなり、軽アイゼン・チェーンスパイクを装着。軽アイゼン・チェーンスパイクの装着・歩き心地を試す良い機会になったものの、ほんの数十m進んだところより残雪が気にならなくなり外す。
3時54分、大ザ首峠到着。周りがよく見えないナイトハイクでは、ここはやや注意。案内板は倒れておりあてに出来ない。緩やかな道幅のある登り道と稜線上をそのまま急登する道と稜線上を少し上がってゆく道がある。山頂へは稜線上をそのまま直登するのが正解で、少し上がってゆくものはパラグライダーの離陸台につながる小道だった。寄り道をしてそこから見えた夜景は絶景だった。寄り道もたまには大事。
4時02分、出発。急登を登り続けた。エアリアの記述通り所々に大きな岩があり、頂上直下付近にはロープが張られていた。残雪も一部あるが軽アイゼンなしで特に問題はなかった。
4時31分、杓子山山頂到着。未明の山頂、キラキラ光る眼下の街の夜景と、頭上には依然瞬く満点の星空、そして先程に増してうっすら浮かび上がるずっしりした山容の富士山の輪郭。少しゆっくりしていると体の芯まで冷えてくる寒さ。暖を取ろうとすぐにテントの設営に取り掛かった。見ると2人組の方がテントをもう張っておられた。話を伺うと1時過ぎ頃にいらしたらしい。その隣に設営。
テントの中では橋本さんお手製の関西風お雑煮とおせちの準備が始まった。栗きんとん、かまぼこ、黒豆、数の子からなるお手製おせちはどれも本当に美味しそうだ。私からも準備していたどん兵衛で「年越しちゃったそば」を提供させていただいた。しかし話を伺うに、私以外の3人は既に年越しそばを召し上がっていたという。なんと気がきかぬ人間なのだ。しかし割れぬように綿を箱につめた厳重なボックスに入れて生卵も持参していたので、それを卵ポケットに落とし、湯を注いでちょいとスペシャルなそばを皆さんに楽しんで頂いた。
橋本さんのおせちをついに頂く。これが本当に美味しい。皆の箸が止まらない。どれも優しい味付けであり、みるみるうちに皿からなくなってゆく。鶴田さんはとても幸せそうだ。お雑煮も関西風の白味噌に、丸い餅、野菜が入った芯から温まるものであった。すると突然お隣のテントの方からきんぴらごぼうの差し入れが入った。普段食べるものよりも数段ピリ辛でこちらも最高に美味しい。すかさず橋本さんがお雑煮でお返しをなさる。幸せが山頂に充満しているぞ。
そうこうしているうちに日の出まで1時間を優に切っていた。支度を整え外へ出てみる。先程よりも幾分明るくなり、富士山の山容がさらにくっきりと伺えた。ぼちぼち山頂は人が増えてきた。そして何と言っても、寒い。年越しハイクでは日の出待ちのこの時間に一番身体が冷えた。寒い寒いと言い合っていたが、おそらく過去複数回杓子山等で初日の出を拝んでいると思しき方の話が小耳に入り、「今年はまだ暖かいですよね~」とおっしゃっていて少し驚いた。ただ風がほとんど吹いておらず、その点確かに今年恵まれていたように思う。
その後杓子山以降の縦走をするか否かを話し合ったが、やはり前夜発に伴う疲れがあったという事と、思いの外寒かった事もあり、断念することにした。またいつの日か。
日の出を迎える頃には山頂には30人弱が集まっていた。みなさん日の出の10分前くらいにぞろぞろ到着。実に慣れていらっしゃる。結構賑やかになった。
肝心の日の出はこれ以上ない塩梅で拝む事ができた。富士山は紅く染まり、雲海から徐々に覗かせる太陽。山頂では固唾を飲みそれを見つめる人達。パシャパシャと鳴るシャッター音。360度遮るもののない景色。年越しハイク万歳。
先程の二人組がもつ鍋を食べてくださいと仰る。有り難く日の出を拝みながら美味しく頂く。お二人は山頂でモクモクと良い香りのする湯煙を出しながら調理をなさっていた。これは飯テロに他ならない。幸せな山頂のひと時であった。一息ついてテントをたたんで身支度。
□杓子山頂出発から
7時46分、杓子山山頂出発。行きに一度通ったはずの道だが、ナイトハイクの時の印象と日中のそれとは全く異なるものだった。あれこんな道だったっけ?と考えるところが多く新鮮。ナイトハイクは二度美味しい。
8時58分、不動湯到着。お疲れ様でした。こぢんまりとした温泉。入った後は11時に手配したタクシーが来るまで皆畳の上でグッタリ。なんせ年越しですから…。押し寄せる眠気。これはやはり縦走持たなかったかもなあと感じる。
タクシーで富士山駅に向かい、昼ごはんに富士山駅の吉田のうどんを頂く。こうして無事思い出深き年越しハイクは終了。
■コメント
□橋本(CL)
・昔の雷鳥の記録を漁っていて、年越しハイクの記録を見つけたのが1年の夏。以来ずっとやりたいと思っていた年越し山行を、鶴田さんの協力のもと実現できて嬉しかった。普段あまり一緒に登らない後輩と山登りができたのも良かった。
・ナイトハイクは地形の同定が難しい。今回のように、明るい時に登ったらつまらないかもしれないくらい簡単なルートで、丁度良いと思う。
・夜中に道を歩くのも、初日の出を拝むのも、おせちを一緒に食べるのも、ぜんぶ本当に楽しかった。是非恒例化してください。
□鶴田(SL)
・夜の町並みや初詣、星空、夜景、富士山の眺め、初日の出…など見聞き/体験したどれもが思い出深いです。朝焼けの光を受け桃色に染まった富士山がきれいでした。
・そばやおせちをご馳走になり、とても幸せでした。
・計画段階で石割山までの縦走を提案したものの、夜を徹したあとでは無理がありました…。眠気との戦いは避けられません。
◎登山口まで歩く場合、[下吉田]や[吉井温泉前]駅発の方が近かったですね。
・私も年越しを絡めた山行に憧れていたので、実現してくれて嬉しかったです。杓子山は行き先としてちょうど良かったと思います。参考までに、その他候補に挙がっていた山を書いてみます。
>>>
「竜ヶ岳」…年末年始にダイヤモンド富士。例年、元旦は初日の出を拝む人たちで混む。
「長者ヶ岳・天子ヶ岳」…公共交通機関で付近まで行く場合、バスを利用することになる。最終便は路線バスだと夕方着、高速バス(東京駅発)だと午前着。付近の田貫湖キャンプ場で時間をつぶすことも考えたが、年の瀬のためか予約で埋まっていた。※2019/12時点
・終始楽しく、忘れ得ぬ年越しになりました。メンバーの皆さん、在京の杉山さん、ありがとうございました。
□平島
・星空をこんなに楽しんだのは何年ぶりだろう。手ブレしがちな自分も携帯で星を撮れることにも感動した。AIすげえ
・ナイトハイクは3~4人分の光があってやっと丁度よく、それ未満だととても心細くなる。改めて日光の偉大さを感じた。
・とても単純なルートも夜中には冒険心をくすぐられる。立ち止まってライトを消すと街や星に照らされているのを感じて癖になる。
・山頂で初日の出を待つ間の寒さは物凄かった。芯から冷えるとはこういうことかと。正直もっと対策しておけばよかったなと少し後悔。
・おせちとお雑煮、生卵入りどん兵衛、きんぴらごぼうともつ鍋…。最高でした。自分もなにか持ってくればよかったなあ。
・日の出直前に富士山が赤く照らされ秀麗だった。これが赤富士かと思って後から調べたら紅富士らしい。あれより赤くなるのか…
・年越しハイク、当初迷ったものの参加してよかった。こんなに楽しいなんて。来年もどこかのぼりませう。
□渡邉
・改めて計画を立てて下さった橋本さん・鶴田さん、在京の杉山さんに感謝です。本当に楽しかったです。おせち最高でした。また、ナイトハイクの楽しさを知ってしまいました。
・平島君の携帯のカメラスペックの高さを見て、自分のiPhone6Sのカメラが恨めしくなりました。
・寒さ対策は本当に入念に。カイロ等も必須だと思います。
・吉田のうどんはかなり硬めの非常に太くコシのある麺に、キャベツ、甘辛く煮ている馬肉が入っており、出汁は醤油や味噌ベースであるのが特徴です。今回帰りに富士山駅で食べたものは馬肉ではなく豚肉を使ってました。うどん、美味しいです。今度は馬肉バージョンを食べてみたいですね。
・年末年始には色々な過ごし方がある中で、今年は年越しハイクを選ぶことができて良かったです。本当に貴重な体験の数々でした。