2020/3/18-19 谷川岳

山岳愛好会雷鳥
谷川岳山行計画書 ver.1.1
作成者:橋本

■日程 2020/3/18-19  朝発1泊2日・予備日なし
■山域 谷川岳
■在京本部設置要請日時 2020/3/19 20:00
■捜索要請日時 2020/3/20 10:00
■メンバー(計5人)
CL橋本 SL杉山 鶴田 加藤 鈴木

■交通
3/18 6:10 東京駅丸の内北口天丼てんや前に集合
鈴木車で谷川岳ベースプラザへ(2.5h,平日は駐車無料)
ロープウェイで天神平へ。
※ロープウェイは大人往復2000円(JAFカード割引を適用した場合)。3月の平日の稼働時間は8:30~16:30。

■行程
天神平付近で幕営し,天候に応じて雪上訓練と谷川岳アタックを行う。アタックのタイミングなどは現地で決める。天神平の周辺は電波が入るので、在京には適時連絡する。

①2日目の天気が良い場合
1日目に天神平で幕営し、雪崩捜索&救助の練習
2日目に登頂したのち、ロープワークや滑落停止の練習

②1日目のみ天気が良い場合
1日目に登頂し、時間があれば何かしら雪訓
2日目は終日雪訓

③両日天気が悪い場合
ひたすら天神平で雪訓(または中止)

※谷川岳アタックについて
天神尾根をピストンする。
谷川岳ロープウェイ駐車場ー0:10ー天神平ー0:40ー天神尾根分岐ー1:00ー熊穴沢避難小屋ー2:15ートマの耳ー0:20ーオキの耳ー0:15ートマの耳ー1:20ー熊穴沢避難小屋ー0:30ー天神尾根分岐ー0:20ー天神平ー0:10ー谷川岳ロープウェイ駐車場
計6:40
※※コースタイムは山と渓谷社『雪山登山ルート集』を参照した。ただし,積雪状況で所要時間大きく前後する。13:00の時点で引き返し始める。

■エスケープルート
そのまま進むか,引き返す

■共同装備
救急箱(アゲハ)
スコップ*3
ビーコン*6(鶴田のみ私物,雪崩捜索の練習のため多めに持参)
ゾンデ*5
ピッケル*2
アイゼン*2
8.6mm*50mロープ(黄)
スノーバー,ヒップソリ(私物)
ヘルメット(Ederlid橙)
ワカン
スノーシュー(私物)

テント(フェザーライト)
テント(ゴアライト)
ヘッド*2
厳冬期カート*2
鍋(竹子竹)
調理器具セット(ガジャマダ)


■個人装備
□ザック □ヘッドランプ □予備電池 □ハードシェル(or雨具) □防寒具  □地図 □コンパス □水筒 □ゴミ袋 □タオル □筆記用具
□計画書 □非常食 □行動食 □常備薬 □身分証明書 □保険証の写し □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む) □レスキューシート □ロール
□ライター  □ナイフ □新聞紙 □ピッケル □アイゼン □スパッツ □目出帽 □ゴーグル(orサングラス) □手袋・オーバー手袋
□重登山靴 □ビーコン □ゾンデ □スコップ □ワカン (□カメラ) (□スノーソー) □ヘルメット □ハーネス □鐶付カラビナ
□120cmスリング (□雪崩教本) (□ビーコンを埋める道具)

□着替え □温泉セット □歯ブラシ
□マット □シュラフ(冬用or2枚重ね) □コッヘル □ブキ
※幕営装備などはデポする。

■遭対費
200円/人*5人
計1000円

■備考
沼田警察署 0278-22-0110
日の入:17:54(3/18谷川岳)
日の出:5:49(3/19谷川岳)
悪天時:前日夕方までに判断
ふれあい交流館(温泉):600円,10時〜21時,水上駅より徒歩12分,http://www.minakami-onsen.com/spa.php?itemid=273

谷川岳山行記録
作成: 加藤

■日程 2020/3/18-19
■山域 谷川岳
■天候 両日とも快晴。2日目山頂付近では強めの風
■メンバー(計5人)
CL橋本(40/B2), SL杉山(39/B3), 鶴田(40/B2),加藤(41/B1),鈴木(41/B1)
■総評
2日間とも好天に恵まれて展望も良く、充実した雪訓を行うことができた。
■タイムスタンプ
1日目(3/18)
10:06 谷川岳ロープウェイ駐車場
10:20 天神平
10:44 幕営地着(天神尾根分岐付近)
13:00~16:25 雪上訓練

2日目(3/19)
06:08 幕営地発
06:40~06:50 避難小屋
07:47~07:52 肩の小屋
08:01-トマの耳
08:11-08:16 オキの耳
08:24-08:39 トマの耳
08:48-09:05- 肩の小屋
09:45 09:54- 避難小屋
10:30 幕営地着
11:50-14:10 雪上訓練
14:55 幕営地発
15:10 天神平
15:24- 谷川岳ロープウェイ駐車場

■行動記録
1日目
朝6時の東京駅、2週間前までは真っ暗な中で出発していたのが今回はすっかり明るくなっていて季節の移り変わりを感じた。話したり寝たりしているうちに谷川岳ロープウエイの山麓駅に到着。時間に余裕はあるのでゆっくり準備してロープウェイへ。今回は荷物が重く、往復料金に加えて荷物の料金として往復520円を取られてしまった。8日に来た際とは打って変わった好天を喜びながら10分ほどで天神平に到着。あらかじめ雪訓の場所として想定していた尾根まで登っていく。それほど距離があるわけではないが、大きな荷物と急な登りのためだいぶ息が切れた。とりわけ大きな荷物を持っていた橋本さんは、特に参っているようだった。尾根に上がり、テントを張って訓練をやるのに適切な広さがあるということで雪訓の場所に決定。まずはテントを張るためにトレースの少し上の場所を整地。そして風洞を周りに作ったが、少し場所が悪かったのと、ぐずついてブロック状に切り出せない雪質に苦戦してこの作業に2時間くらいかかってしまった。このままでは訓練に入れないので不満足ながらも作業を切り上げて雪訓に入ることにした。

1日目の雪訓では先日の雪崩講習での内容を行った。初めはエアポート訓練。ビーコンを使って雪崩発生地域のうちどの個所の何m下に一人の遭難者が埋まっているかを特定する訓練を、杉山さん、鶴田さん、橋本さんの順に行った。

次に行ったのはシャベリング。2~3人一組になり、ビーコンで見つかった遭難者をシャベルで掘り出す作業をする。橋本鶴田鈴木、杉山加藤の二組に分かれ、それぞれ深めの2mを掘ったのだが、これが思っていた以上に辛かった。表層を掘り終えると氷のようにいて固まった層があり、掘っても掘ってもほとんど進まなくなった。結局ひたすらにノンストップで掘り進めて最後まで掘り切るのに30分以上かかってしまった。加藤は途中からずっと特にしんどい先頭での掘り作業を杉山さんに一任。それでもペースを落とさずに掘り続ける杉山さんの体力と持久力はさすがでした。杉山さんは2m掘り終えても穴を雪洞にするということで黙々と掘り続けていた。

最後にシナリオ訓練。橋本さんと僕で埋めたいくつかのビーコンを埋没者に見立てて、他のメンバーが協力して捜索、救出する。宝探しゲームみたいな感じ。途中埋めてないはずの斜面をビーコンが指し続けるというプチ怪奇現象があった。

日も傾いてきたので2回ほどシナリオ訓練をして1日目の訓練は終わりに。夕焼けに染まる北関東の山々を眺めていて食当の僕がなかなか作り始めなかったので、湯を沸かし始めた頃には暗くなってしまった。メニューは失敗しないし、しっかり温まれるうどん。杉山さんのキノコ嫌いを忘却し、テント中に匂いが充満するほどの大量のきのこを持ってきた僕は、杉山さんに嫌われる結果となった。でも美味しかった。

「オカン」→ワンゲル用語で地面に直接マットを敷いて寝る行為。
今回はテントを二つ持っていって設営したが、杉山さんはシャベリングで掘った穴をさらに奥に掘り続けて雪洞を作り、そこを寝床に決めていた。橋本さんも最初はテント横に穴を掘っていたが、途中から鈴木を巻き込んでオカンしたいと言い出した。嫌そうにしていた鈴木も結局乗り気に。雪山テント泊自体初めての鶴田さんと加藤はおとなしくテントに。結果、フェザーライトで2名、ゴアライトで0名、雪洞で1名、オカンが2名となった。しかしこの日は雲のない好天で無風、今まで見たことのな満点の星空、オカンの二人がうらやましくも感じられてしまうようなコンディションで、橋本さんも一晩中星空を眺めながら寝ることができたと満足そうだった。

翌朝は食当鈴木のラーメンを食べて6時前くらいに出発。鈴木は持参したクランポン付きのスノーシューで登ってました。昨晩に引き続き、この日も雲一つない快晴。全員今シーズン2回目の谷川岳で、11月の新雪の谷川岳とも、2週間前の曇天の谷川岳とも違う最高のコンディションのなか、早朝で他に登山者のいない稜線を順調に登っていく。8時前に肩の小屋に到着。2週間前にはまだ半分雪に埋まっていた小屋は、窓が見えるくらいにまで雪が解け、中にも入れるようになっていた。小屋で少し休憩して山頂に向かう。山頂(トマの耳)には昨晩小屋に止まっていたという方が一人いらっしゃった。次にオキの耳に向かうも、オキの耳は風が強く,早々に退散(遠く北アルプスの山まで見ることができた。)してトマの耳に戻り、集合写真を撮ってもらった。その後もう一度小屋で休憩して下山開始。下山中は燧ケ岳、至仏山、会津駒ケ岳、上州武尊山、日光白根山、赤城山などの北関東の山々を進行方向に見渡しながら歩く。特に10月に登った至仏山の白く染まった大きな山体は美しかったし、上州武尊山は言うまでもなくかっこよかった。途中のザンゲ岩で加藤は夕飯にきのこを入れたことを土下座して懺悔。避難小屋のあたりまで来ると、朝のロープウェイで来た人たちと多くすれ違うようになり、スキーの人も多かった。

一気に避難小屋のあたりまで下りてきて休憩。その間に雪山装備の話題になり、杉山さんは「本田さんはシェルは消耗品って言ってたけど実際5年くらいはもつと思うよ」とおっしゃってフラグを建設されていた。

テント場に戻り、ハーネスを持っていない加藤以外でスタンディングアックスビレイの練習に。肩がらみビレイで滑落するパートナーを止める訓練で、ここでは滑落する役がヒップソリを使って滑り降り、ビレイ側がそれを止めるという形で行った。鶴田さんが落ちるときは止めやすいのに比べて、体重が重いうえに勢いをつけて滑り出す鈴木を止めるのに先輩たちも苦戦していた。練習を始めて1時間ほど経ち、落ちる役の橋本さんを杉山さんがビレイしていると杉山さんに異変が。よく見ると杉山さんのシェルに穴が空いていた。「5年くらいはもつ」そう言っていたわずか数時間後、杉山さん本人のシェルはあっけなくその役割を終えたのだった。

15時前に練習を切り上げて下山。今回はメンバー全員の温泉モチベが高く、11月の谷川でめちゃくちゃ良かったという湯テルメ谷川に行こうとしたが、途中で第3木曜日が定休日であることが判明。代わりに近隣の鈴森の湯に向かことに。温泉の男湯ではクライミングのトレーニングが行われ、内風呂では8級のマントル課題をクリアしたものの、外風呂の水中トラバース課題にはだいぶ苦しめられていた。それまで知らなかったのだが、雷鳥では温泉ボルダーが下山後の楽しみの一つのようだ。

その後夕飯を食べに杉山さんが食べログで見つけたあしま園に移動。食べログにはカツカレーの写真ばかり上がっていたが、メニューを見ると普通に定食やパスタなど豊富な料理が並んでいた。この店の名物は各料理の大盛りのようだったが、初めての人お断りの文字に従い大盛りは回避。結果的にこの判断は正しく、普通盛りでも通常の2〜3倍のとてつもない量があり、僕は下山後にカロリーメイト1箱食べてしまったことを猛烈に後悔しながら格闘する事になった。
しかし、あしま園さんはカツカレー、オムカレー、とんかつ定食のどれも1000円以下にもかかわらず、物凄いボリュームでかつ美味しくて、その上食後のコーヒーまで付くという素晴らしいお店だった。次回から谷川周辺に行く際には湯テルメ谷川→あしま園というムーブが定番になりそうだ。

下山後の車内では山岳会の話をした他、なぜ39期は人数が減ったのかという謎が解明されて杉山さんも納得していた。メンバー全員にとって充実した山行だったが、特に杉山さんにとっては失ったものも得るものも多い山行となったようだった。


■コメント
□橋本(CL)
・じっくり雪訓ができてよかった,今後も継続してやっていきたい
・天気の良い谷川岳は非常に良かった
・風がなければおかんは快適
・日焼け痛かった
□杉山
・雪訓はものすごく有意義でした。今後もシーズン前or5月中にやりたいです。今年の場合後者は既に叶わないけど…。
・ビーコン捜索の技術を会得してきてくれた橋本くん&加藤くん、ありがとうございます。おざなりになっていた部分をきちんと理解できました。
・雪洞掘りは楽しいがまだまだペースが遅いので、1時間半くらいで作れるようになりたい。それと今後はイグルーにもチャレンジしたい。
・雪洞を掘るなら小さめのノコギリないし枝も切れるスノーソーを持っていきましょう...。
・スタンディングアックスビレイによってハードシェルが死んだ。今後は必ず滑落停止と併用した訓練にしましょう!!
・加藤くんにザンゲ岩で懺悔させたのは僕です。謝罪の心を感じたので許すことにします。
□鶴田
・雪訓では捜索の手順やロープワークを実践的に確認できた。シャベリングは経験・体力不足によって苦戦した。
・共装のアイゼンのネジがはずれていたので、代わりに鈴木くんの私物をお借りした。感謝しています。
・快晴の下、景色を存分に楽しめた。トマ/オキの耳は勿論のこと、遠景の山々も印象深い。
・皆さまお疲れ様でした。色々とありがとうございました。
□鈴木
・これが今シーズン最後の雪山になるとは......
・風がなければおかんは快適
・今までそんなに焼けなかったから甘く見てたら日焼けしてしまって痛かった