2021/7/21 四阿山

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
四阿山山行計画書 第三版
作成者:河野

■日程 2021/7/21(水) 日帰り、予備日なし
■山域 上信越
■在京責任者、助言役 橋本
■在京本部設置要請日時 20121/7/21 19:00
■捜索要請日時 2021/7/22 9:00

■メンバー(3人)
CL河野 SL渡邉 飯島

■集合
日産レンタカー高田馬場前営業所 6:00集合

■交通
練馬IC—(関越自動車道)—藤岡JCT−(上信越自動車道)—上田菅平IC—菅平牧場管理事務所 約3時間 高速料金2600円(軽自動車でのETC料金)
※キャンセル料 前日で30%
※菅平牧場管理事務所 1人2-300円

■行程…菅平牧場管理事務所の到着時刻や実際のCTによりルートを決定する。決定後在京に連絡。

①~10時頃着、かつCTを巻いて16時頃に下山可能と判断した場合
菅平牧場管理事務所-(1:40)-2021m地点-(0:20)-中四阿-(0:35)-2212m地点-(0:15)-2279m地点分岐-(0:20)-四阿山山頂-(0:15)-2279m 地点-(0:40)-大隙間-(1:00)-根子岳-(1:10)-1741m地点(0:20)-菅平牧場管理事務所(計6時間35分)

②~10時頃着→四阿山ピストン
菅平牧場管理事務所-(1:40)-2021m地点-(0:20)-中四阿-(0:35)-2212m地点-(0:15)-2279m地点-(0:20)--四阿山山頂-(0:15)-2279m 地点-(0:10)-2212m地点-(0:25)-中四阿-(0:15)-2021m地点-(1:10)- 菅平牧場管理事務所(計5時間25分)

③10時~11時半頃着→根子岳ピストン
菅平牧場管理事務所-(0:30)-展望台-(1:40)-根子岳-(1:10)-展望台-(0:20)-菅平管理事務所(計3時間40分)
※サイトによって想定CTに幅あり、過去記録からも実際には想定より早く行程が進む可能性がある。

■エスケープルート
①
2279m分岐(復路)まで:引き返す
2279m分岐(復路)から:そのまま進む

②③すべて引き返す

■地図
二万五千分の一地形図:「四阿山」
山と高原地図:「17 志賀高原」

■共同装備
救急箱(エーデルワイス):河野

■個人装備
□ザック □ザックカバー □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴紐 □帽子 □水 □行動食 □非常食 □ヘッドランプ □予備電池 □ゴミ袋 □トイレットペーパー  (□ライター □新聞紙) □軍手 □地図 □コンパス □エマージェンシーシート □筆記用具 □計画書 □常備薬 □学生証 □健康保険証 □現金 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む) □日焼け止め □マスク (□消毒用品)

■遭難対策費
100×3(人)=300円

■悪天時
前日15時までに判断

■注意点
・①のルートの場合、根子岳直下の鬼遊びの庭、大隙間前後の急峻な部分に特に注意。
・初心者のサポート
・安全運転

■備考
□日の出日の入(四阿山山頂にて)
7/21 19:11
7/22 04:35

□警察署情報
・上田警察署 0268-22-0110
・長野原警察署 0279-82-0110

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※ [raicho_all:75]記載のコロナ感染症対策を遵守する。
1. 遭難などの緊急時を除き、山小屋の使用を控える。
2. 長期休暇中は平日の活動を中心にする。
3. 山頂付近などの人が多いところでは長時間滞在しない。
4. 最大5人程度のパーティーとする。
5. 常に、パーティー内の連携を損ねない範囲で十分に距離を取る。
6. 三密を回避できない状況ではマスクを着用する。(電車内、混雑した登山道、頂上周辺等)
7. 水や食料は事前に購入しておき、登山山域での買い物を控える。また、下山後の会食も控える。
8.テント内の人数は定員の半分程度とし、余裕をもって使用する。
9. メンバー全員が2週間前から当日朝まで毎日検温して担当者に提出。少しでも風邪の症状がある場合は参加を控える。
10.メンバー全員が 2週間前から行動記録をとって担当者に提出。
(9,10については担当者が管理し、必要があれば提出できるようにしておく)

□登山届提出先
・東大教養学部学生支援課(提出済み)
・長野県庁(登山ポスト)

□東大連絡先
○教養学部学生支援課 ※開室9:00~16:50(平日)
Tel: 03-5454-6074 Mail: shien-team.c(at)gs.mail.u-tokyo.ac.jp
○駒場正門守衛室 ※常時対応可
Tel: 03-5454-6666

□お茶大連絡先
・学生・キャリア支援課 ※開室9:00~17:00(平日)
03-5978-5147 gakusei(at)cc.ocha.ac.jp
・正門守衛室 ※常時対応可
03-5978-5128

□参考資料
2016年記録

四阿山(中四阿ピストン)山行記録

■日程 2021/7/21(水)
■山域 上信越
■天気 晴れのち曇り
■メンバー(計3人)
河野(CL/41)、渡邉(SL/41)、飯島(43)
■オーダー
登り…飯島、河野、渡邉(勾配の緩やかなところでは河野、飯島、渡邉)
降り…渡邉、飯島、河野

■総評(河野)
下山者とのすれ違いが多かったこと、メンバーの体力、午後からの天候悪化および突然の雷雨を総合的に考慮し、ピークを踏まずに撤退する判断をし、結果雨に降られる前に下山することができた。行先の転進から撤退の決定まで、身を守るための判断を適切なタイミングでできたという意味で、CLおよびSLにとって大きな学びとなる山行となった。
■反省(河野)
・気になったことを表明しておかなかったこと。CLはメンバーの体力面での懸念にいち早く気づいておきながら、SLにそれを共有しなかった。四阿山ピストンを続行するか根子岳に切り替えるかは別として、何らかの配慮が必要ではないだろうか、今後どうするかを考える機会を逃さない。
・撤退の意思決定プロセスをCLSLだけで行い、かつほかのメンバーには決定事項だけ述べて同意を取らなかったこと。今どういう状況でなぜこういう決定をしたのか、知っているのと知らないのでは有事の際の反応速度も変わってくるだろう。自戒だが1年の時は何も考えずに歩いていることが多く、そのことを今でも後悔しているので、メンバーとのコミュニケーションをいとわず、(実際実行するかどうかは個人にゆだねることになるが)ひとつひとつの行動の意味を考えてもらうためのきっかけを意識的に作っておきたい。

■タイムスタンプ
9:25 牧場管理事務所
9:30 四阿山登山口
10:40 1917m地点(小四阿)
11:10 2021m分岐(里宮分岐)
11:45-12:15 中四阿
12:30 2021m分岐(里宮分岐)
12:46 1917m地点(小四阿)
13:50 牧場管理事務所

■行動記録(河野)
□計画段階
夏本番に備えて場数を踏みたいと思い山行の計画を立てたところ、平日にもかかわらず2人も参加表明をしてくれた。最初は乾徳山の予定だったが、メンバーを考慮し渡邉くんが四阿山への転進を提案してくれた。開けた山容に惹かれ快諾して計画を立て直す。山行リストを参照しメンバーと同行経験のある上級生に相談したことは、かなり有用だったと思われる。
車でのアクセスで到着時間が読めないこと、CTがサイトによって幅があること、午後の急な天候悪化が懸念されることなどをふまえ、四阿山根子岳の周回、四阿山ピストン、根子岳ピストンの3通りルートを用意し、その時の状況に合わせて方針を決定することとした。
全山域で電波が入ることを在京の橋本さんが確認してくださった。
□当日:入山前
高田馬場を出発し、懸念していた交通規制の影響を受けることなく関越を軽快に飛ばしていく。
ドライブアプローチではメンバーの趣味に合わせてプレイリストを作るのが好きだ。彼の影響で好きになったカネコアヤノの素朴な歌声と歌詞に癒される。
前日からセットしておいた、いなばのとりごぼう缶詰を使った炊き込みご飯がおいしくて幸せな気持ちになった。米1合、具材をほぐしたとりごぼう1缶、醤油さし1秒、みりん0.5秒、1合の水位まで水を入れて炊飯。きのこや油揚げなんかをいれても良いだろう。山でもできそうなので参考までに。
ぬ、とそびえる浅間山、妙義の震える手で書いたような稜線、志賀高原のたおやかな丘陵にいちいち反応していたら、あっという間に菅平管理事務所に到着。順調に目的地まで走ったものの結局9時半前になった。
渡邉くんがお手洗いに行っている途中、自分はパッキングをし直しながら飯島さんに「靴紐を結ぶように」「日焼け止め塗るように」「水分とっておいて」と指示を出していた。しかしどちらかというと「やらなくて大丈夫?」というような聞き方をしていて、結局問題なく準備できているかを確認しなかったのは杜撰だったように感じる。あらかじめパッキングを済ませて、一緒に準備すべきだった。
午後から天候が下り坂になる予報は変わらなかったので、適宜天気予報を確認しつつCTを巻いて四阿山をピストンすることを決定。在京にその旨を報告する。ポストに登山届を投函して、最初の分岐を右折した。
□当日:行程中
登山口までの道でメンバーの足取りにずれが生じており、この時点でCTを巻くのは無理なのではと頭をよぎったのだが、特に何かコメントすることはなかった。
オーダーは河野、飯島、渡邉で草を食む牛に見送られながら入山。
入山後ほどなくして渡渉箇所があるが、最近コンクリートの石段ができたらしく増水していなければ問題なく通過できる。高原に入った時点で気温は25度。下界に比してかなり快適だったが、沢付近は一層涼しくて、ひさびさに沢沿いに近づいたCLはああ、こんなんやったなとそぞろに感慨深く思った。緑に映える白樺の幹と中途半端にはがれた外皮が目に幸せ。
渡渉後は軽量化するためにどうすべきか、みたいな話をしていた。飯島さんは財布をジップロックに替えていると教えてくれた。感心。15分後、トラバースから分岐後の登りにはいってから飯島さんのペースが落ちたので荷物を分散。約10分後にペースを落してほしい、休憩がほしいと申し出があったので、先頭を歩いてもらうことにした。天狗岳のおかげで体が軽い渡邉くんにザックをお願いする。飯島さんには図らずしも軽量の重要性を体感していただけたのではないだろうか。今後の運営構想や天気の確認、夏休みの予定を話しながら進んでいく。事前に計画していたわけではないが、小休憩を細かくとっていたのでしっかりした休憩を取らなかった。こういうときってどうすればいいんですか?
場所によっては両肩にクマザサがすれて多少不快に思う人もいるかもしれないが、ピンクテープもあり登山道はいたって明瞭。獣道の分岐が一本あったが登山者が誤って入ってしまわないように行先を遮るかのように石が並べられている。虫は多め。ほかにも登山道の脇に小さな紫の花、クルマユリ、ホタルフクロ、黒い蝶(ジャノメチョウというらしい)。生き物の多い山だと思った。お花も良いけど、個人的にはきれいな円錐型の針葉樹が1年次に登った雨の雲取以来好きだ。オオシラビソというらしい。植物でも動物でも、ほんの少しでも知識があれば解像度が上がって山歩きがもっと楽しくなるのだろうなと例のごとく思った、下界に戻るとそんな気持ちも忘れてしまうのだが。
小四阿手前までくると高木が減り展望が開けはじめる。ふもとを望みながら開けた尾根を歩くのは実に気持ち良い。無数に飛ぶトンボは前川大滝沢を想起させた。小四阿付近は瓦のような薄くはがれた岩が地面に埋まっている。こういう岩がツボなんです、歩きづらいけど。潔い直線と、添えた手のフラットになる感覚が好き。
遭遇したパーティは皆四阿山から下山している人たちで、やはり時間的によろしくないのだろうなとすれ違うたびに感じた。渡邉くんも同じことを考えていたらしい。CTは国土地理院の想定通りだったので、足がそこそこ揃うメンバーならばかなり大幅に巻けるはず。中四阿で大休憩し、今後の進退を決めることにした。
手前の小ピークを中四阿と勘違いし中途半端な休憩を取ったり、本当の中四阿を見落として行程続行しようとしたりと、反省すべき場面はあったが中四阿へ。付近は植物らしい植物のないザレ場で、踏み後があるのか判然としなかったが、歩きやすそうなところを選んで登頂。(後日中四阿はロープ張ってあって登れないと書いてある記録を発見し宇宙ネコになった)。展望360度、北西には根子岳が見える。青空にクマザサの緑と崩落地帯の露出した地面の褐色がよく映える。非常に気持ち良い。一方で赤城のほうでは夏を感じさせる凶悪な積乱雲が沸きあがっていた。天狗岳での渡邉くんのさえないダブルピースをいかに映えるように撮るかダメ出ししまくってたのに、いざ自分がカメラを構えると大概だった。
11時時点で天気が崩れるという予想は外れ、12時を回っても天候は穏やかだった。一方でSCWを見ると、15時頃にはさすがに外れようもないくらい志賀高原に雲がかかっていた。その他ナウキャスト、windy、tenki.jp等を参照し、どのサイトもおおむね同じ内容の情報を発信していることを確認した。心配なら退こうと渡邉くんと相談し、中四阿での撤退を決定した。ここでの意思決定はすべてCLSLのみ。飯島さんには意思決定プロセスを説明し、同意を取る機会をとっていなかったように思われる。反省すべき点である。
12時15分下山開始。登りではそこまで気にならなかったザレ場は下りでかなり滑る。信頼できそうな岩に手を添えながらゆっくり降りる。そのあとはいつ雨に降られるかわからなかったので、下山はできればペースを上げたいと思い渡邉くんを先頭に据えたら「本来下山で歩きたいスピード」を見せてくれた。ちょっと私にも早かった。飯島さんには、渡邉くんが通過したところを渡邉くんの足の置き方を真似しながら歩いてごらんと指示しながら後ろからついていく。1本くらいしっかり休みをとってもよかったかもしんない。
遠くで雷が聞こえる。気がする。渡邉くんは飛行機だと思っていたらしい。川の渡渉は問題なかったが、その後の道がすこしだけ沢化していた。牧場が見え始めたあたりから明らかに雷が背後で鳴り、直後小雨がぱらつき始めた。あっという間に周囲の山が荒天となり、時折雷が視認できるほどになった。適切なタイミングで正しい判断ができたと嬉しく思った。一方下山連絡のタイミングは失敗したようで、高校野球の千葉大会決勝のサヨナラホームランを橋本さんは私の電話のせいで見逃したらしい。ふもとのソフトクリームで観光地を感じたり、無意味なことを延々と繰り返すウサギを愛でたりしてから帰路についた。

■メンバーコメント
□河野
・今回の山行でたくさんの選択をしたと思う。どこに行くか、転進するか、どこに転進するか、四阿と根子どっちに登るか、進むか撤退するか。この選択の多くで渡邉くんに助けられた。ありがとう。これからも山に登る選択をしていくなら、自立した登山者になれるように精進していきたい。
・中四阿からは四阿山へのコースと、そこを通る人が小さく見えた。ほかの人の記録で見た山頂直下の階段での高揚感を感じたかった。根子岳も、いかにも気持ちよさげな笹原、それとは対照的にえぐれた崩壊地。ピークを踏みたいと思ってしまった。決定事項に後悔はないが、それでも小さく葛藤したし後ろ髪惹かれた。せっかく志賀高原まで来たんだしとも思った。多少無理してでも登りたいみたいな気持ちがないわけではなくて、これが判断を歪める要因になりうるのだなと思った。
・眺めが本当に良かったのでいつか再訪したいと思います。ところで四阿山って百名山の中で一番読めない山名だと思いませんか。
・飯島さん、初の本格的な山行お疲れさまでした。次は山頂からの景色を一緒に楽しみましょう。
・下山後は睡魔に勝てず渡邉くんに運転の大部分をお願いしてしまった。私もまだまだ体力がない。
□渡邉
・天気が撤退時まではとても良く、なだらかな景色が一望出来て感動。またいつかリベンジします。
・個人的には撤退の判断をいかにすべきかを大変考えさせられた。もしも飯島さんがバテていなかったら、CTの7~8割で巻いていたら、山頂からの下山者ばかりとすれ違わなかったら、電波がそもそも入っていなかったら…。山行中の無謀な意思決定に起因する事故は良く聞く所ですが、今回は結果として、賢明な判断をかなり的確なタイミング(下山完了と同じタイミングで雷鳴と小雨が降る)で出来て大変勉強になりました。
・飯島さん、体力作り頑張ってください。。
□飯島
3人でのハイクでしたが、とても楽しかったです。私の体力が無さすぎて途中何度も止まってしまったのですが、先輩方が励ましてくださりなんとか中四阿まで登ることが出来ました。
天候や私の体力の関係もあって、頂上まで登ることは出来ませんでしたが、中四阿での景色は非常に美しかったです。
私の体力が十分についたら、また再チャレンジしてみたいです。一緒に登ってくれた先輩方、ありがとうございました。