2021/8/3 大岳山・海沢探勝路ハイク

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
大岳山・海沢探勝路ハイク計画書 確定版
作成者:山口
■日程 2021/08/03(火) 
■山域 奥多摩
■在京責任者・助言係 橋本
■在京本部設置要請日時 2021/08/03 19:00
■捜索要請日時 2021/08/04 9:00
■メンバー(3人) 
CL山口 SL河野 豊永

■集合
JR青梅線 白丸駅 8:50

■交通
□帰り
西東京バス 檜52系統 瀬音の湯経由 武蔵五日市駅ゆき
大岳鍾乳洞入口バス停 13:15, 14:45, 17:15, 18:53, 20:11(最終)
武蔵五日市まで36分 493円(IC; 現金は500円)

JR五日市線 武蔵五日市駅解散

■行程
白丸駅―(1:30)―海沢園地―(0:40)―大滝(海沢谷)―(1:50)―大岳山―(0:20)―大岳山荘―(0:30)―白倉分岐―(1:15)―大滝(大岳沢)―(0:10)―大岳鍾乳洞(見学600円; 16:00まで 20-30分程度)―(0:20)―大岳鍾乳洞入口バス停
計 6:35 

■エスケープルート
海沢谷内→引き返す
大岳山付近→白倉へ降る(1:30)
○白倉バス停(西東京バス 五18・五里18系統 武蔵五日市駅ゆき14:20, 15:50, 16:58, 18:11, 19:04, 21:35(最終) 30分, 546円)
これら以外→引き返す,orそのまま進む

■地図
二万五千分の一地形図:武蔵御岳
山と高原地図:奥多摩

■共同装備
救急用具(山口私物):山口

■個人装備
□ザック □ザックカバー □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴紐 □帽子 □水 □行動食 □非常食 □ヘッドランプ □予備電池 □ゴミ袋 □トイレットペーパー  □ライター □新聞紙 □軍手 □地図 □コンパス □エマージェンシーシート □筆記用具 □計画書 □常備薬 □学生証 □健康保険証 □現金 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む) □日焼け止め □虫除け □マスク

■遭難対策費  3人×100円=300円

■備考
日の入: 18:46 (大岳山 8/03)
日の出: 04:54 (大岳山 8/04) 

悪天時: 前日昼頃に判断

※ [raicho_all:75]記載のコロナ感染症対策を遵守する。
1. 遭難などの緊急時を除き、山小屋の使用を控える。
2. 長期休暇中は平日の活動を中心にする。
3. 山頂付近などの人が多いところでは長時間滞在しない。
4. 最大5人程度のパーティーとする。
5. 常に、パーティー内の連携を損ねない範囲で十分に距離を取る。
6. 三密を回避できない状況ではマスクを着用する。(電車内、混雑した登山道、頂上周辺等)
7. 水や食料は事前に購入しておき、登山山域での買い物を控える。また、下山後の会食も控える。
8.テント内の人数は定員の半分程度とし、余裕をもって使用する。
9. メンバー全員が2週間前から当日朝まで毎日検温して担当者に提出。少しでも風邪の症状がある場合は参加を控える。
10.メンバー全員が 2週間前から行動記録をとって担当者に提出。
(9,10については担当者が管理し、必要があれば提出できるようにしておく)

□登山届提出先 
・東大教養学部学生支援課
・コンパス https://www.mt-compass.com/

□東大連絡先
○教養学部学生支援課 ※開室9:00~16:50(平日)
Tel: 03-5454-6074 Mail: shien-team.c(at)gs.mail.u-tokyo.ac.jp
○駒場正門守衛室 ※常時対応可
Tel: 03-5454-6666

□お茶大連絡先
○学生・キャリア支援課 ※開室9:00~17:00(平日)
Tel: 03-5978-5147 Mail: gakusei(at)cc.ocha.ac.jp
○正門守衛室 ※常時対応可
Tel: 03-5978-5128

□その他連絡先
青梅警察署:0428–22-0110
五日市警察署:042-595-0110
西東京バス(五日市):042-596-1611

□参考
・奥多摩ビジターセンターホームページ 地図 https://www.ces-net.jp/okutamavc/wp-content/uploads/2020/06/海沢三滝コース.pdf
・2020年8月のヤマレコ記録 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2505317.html
・大岳鍾乳洞(大岳キャンプ場) http://ootakecave.com/page1.html

大岳山・海沢単勝路ハイク 記録
作成者: 山口
■日程 2021/08/03(火)
■山域 奥多摩
■天候 晴
■メンバー(3名)
CL 山口(41/B3), SL 河野(41/B3), 豊永(41/B3)

■総評

海沢三滝はそれぞれ迫力があり一見の価値がある.大滝から大岳山はかなり根気のいる長い急坂.
道はある程度整備されており,簡単なルートファインディングができれば問題なく,ルートに危険箇所は特にない.
山頂から大岳鍾乳洞へはテンポよく下れる.帰りのバスの本数が少なめで時間調整が難しい.

■タイムスタンプ

08:50 白丸駅
10:25 海沢園地
10:28 発
10:38 三ツ釜の滝
10:42 ネジレの滝方面分岐
10:50 ネジレの滝
11:15 大滝方面分岐
11:25 大滝
11:35 発
13:43 海沢最上部の尾根
13:51 発
14:25 馬頭刈尾根
14:40 大岳山頂
15:00 発
15:37 白倉分岐
16:30 大滝
16:38 林道出合
16:50 大岳鍾乳洞(見学せず)
17:15 大岳鍾乳洞入口バス停

総行程 8:25

■記録 (豊永)

○白丸駅~海沢園地
 青梅発の電車に最後に乗ったのは確か1年の夏で、およそ2年ぶりの懐かしい車両だった。換気のために薄く開けられた窓越しに、街で聴き慣れたそれのおよそ3倍ほどのボリュームのセミの声が響く。視界には生い茂る植物の緑と、対比の美しい晴れた空の青が交互に映っていく。季節に関わらず狭い自室でPCを眺め続けるだけの日々を過ごしていたため、そんな景色を眺めていると初めて夏休みだなぁ、と感じられた。
 白丸駅で下車。外気に触れた瞬間冷房に慣れた体が熱せられた空気に包まれ重くなる。河野、山口くんともここで合流。無人駅で改札はなく、周辺も想像以上に何もない。軽く準備をしてオーダーを決める。先頭を歩く経験をもっとつみたいとのことで、河野がトップを名乗り出てくれたのでお願いした。全員で地図や案内板を確認しつつ出発。初めのうちは舗装された道が続く。複数ルートが取れるためどこを通ってもいいのだが、引き込まれるように日影の方へと歩いて行くことになった。
 分かれ道で悩んだり、案内表示を見落としてしまったり、少し違う道を選んでしまったりする度、山口くんがこっちやろ、とすぐに訂正してくれた。そしてその度に下界でも読めんのに山の中で読めるわけが……と河野は酷く落ち込んでいたが、登山道より選択肢が多く無数に分岐があるぶん地理院地図の読図は下道のほうが難しいのでは、と思う。2人の会話を聞きながら私も手元で必死にコンパスと地図を回し続けていた結果、忘れかけていたコンパスワークや地図読みの様々を思い出すことができた。ぶっつけ本番ではなく予め感覚は取り戻しておくべきである。反省。
 コンクリートで舗装された道はとにかく暑く、道中生け簀の中で涼しげに泳ぐ魚に嫉妬したりなどしつつ、ひたすらに歩き続ける。外観からはアメリカ感のあまり感じられないアメリカキャンプ村を最後に、単調な林道になる。しばらくは分岐もない。時折ゆっくりとすれ違う車の中には子供の姿が多く見とめられた、皆遊びに来ているのだろう。緑に囲まれ、周囲のセミの鳴き声はいっそう盛んになり、自然と話題もそちらに転がる。地域によって主に分布するセミは少し違うらしく、東京はミンミンゼミの鳴き声がよく聞こえて風情があっていい、とか。2人の地元での、子供の頃の思い出なども聞けて微笑ましかった。コンパスと地図を取り出して読図の復習(という名の山口くんの講習)も行われたが、少しづつ話が混線し最後の方は北とは一体なんなのか?と若干哲学的なことを考えていた。

○海沢園地~大滝
 海沢園地に到着。思ったより一般道の歩きが長く(約1時間半)、コンクリートの照り返しも効いてこの時点で若干疲労が溜まっていたような気もする。駐車場があり、何台かの車が停まっていた。案内板によればトイレもあるようだ。そして無骨なギアをつけた全身ウエットスーツの集団が楽しそうに会話しながら進むべき道から戻ってきていた。沢登り、にしては装備が少ない。首を傾げながらすれ違い、単勝路へ入る。
 海沢三滝コースの説明書きには「道が不明瞭」「急坂」「滑りやすい岩場」など、警告文が多かったため少し緊張していたが、入ってみれば普通の登山道と大した違いはなく歩きやすかった。確かに高くて急な鉄製階段はあったが、手すり付きでしっかりしていて落ち着いて使えば怖いものではない。滑落などの事故というより、不明瞭な道があることによる道迷いのリスク故に難路と言われているのかもしれない。
 三ツ釜の滝とはあまりにもすぐに対面できて、見逃しそうだった。というより、私は立ち止まる二人の横でこういう滝もあるんだな、などと思っていたので、4割くらいは見逃したと言えるのかもしれない。少し横の階段を上り、上部から確かに3つある釜を確認して初めてあ、これが、と気づく。写真撮影はスマホをザックの底に収めてしまった私と、空き容量が足りない(16GBなら当然である)山口くんは断念して河野にお任せすることにした。
 ネジレの滝までは濡れた岩場を手を使って進む。近づくと、人の楽しそうな声と、水流による一定のそれとは違う激しい水飛沫の音が聞こえてきた。正面まで回ると、歓声と共に滝壺に飛び込んで遊んでいる人たちが音の主であるとわかった。前にすれ違ったウエットスーツの集団はどうやらこの飛び込み隊の一部だったようで、皆思い思いに、あるひとは宙返りなどしながら綺麗に飛び込んでいた。本来の目的である滝にはロープがかかり、写真を撮ると彼らの盗撮のようになってしまう状況だったが、見ていてとても楽しそうで、こちらの暑さまで吹き飛ばしてくれるように思えた。
 しばらくの休憩を終え、再び登り始める。道中で記録の話になった。普段ならあまり書いたことのない人や、経験数の少ない後輩にやんわりお願いすることが多いが、顔を見合わせても全員3年、今までの記録数も同じようなもの、今後の山行予定も皆ある。忙しさも大して変わらないだろう。こういうときは平等に、平和的に、己の拳で決めるべきである。そう、こぶしで。ということで、奥多摩の山中で「こ〜ぶしジャンケン……」という掛け声と共に我々は甲武信バトル(7月の甲武信ヶ岳山行記録参照)を行い、そして、敗者は大人しく記録を書くこととなった。グーで負けたのは屈辱である。
 「岩よじ登り」「一枚岩を乗り越える」などマップでは不穏なワードが続く道も、該当するものがどれなのかわからないうちに快調に進み尾根に出た。後で思えば大きめの岩にロープがかかった箇所があったり、岩の斜面に人工的に取り付けられた足場があるルートがあったのでおそらくソレだろうとわかるが、記憶に残らない程度には簡単だった。
 大滝へは少し寄り道して下っていく。急坂を慎重に進み、踏み固められていない岩混じりの斜面を降りると涼やかな風が吹き込み、滝の全容が見える。まさに大滝という名前がふさわしい、この日見た中でダントツに大きな滝だった。流れの岩の上を渡り平地に出て、少し長めの休憩を取る。日陰はさらに涼しく、天然のクーラーという単語が何度も思い浮かべられた。ザックの底から引っ張り出したスマホでカメラを起動したら、綺麗な虹と謎の後光が映り込み、ゲームであればHP・MPが全回復しそうなスポットの写真が撮れた。行動食を口に入れながらスポーツドリンクを流れに浸け、田舎の川で冷やされるスイカを幻視する。山中で果物は中々……と思っていたら、河野が冷凍し持ってきたという桃を差し出してくれた。天才なのかもしれない。冷えたそれは流石に溶けかかっていたが、シャーベットのような食感を生んでいて非常に美味しく、疲れも全て吹き飛んだ。ありがとうございました。
登り返すのは億劫だと思っていたが、案外道は短いもので一瞬の急坂を我慢すればサクっと尾根に戻ることができた。海沢三滝コース自体が想像の3分の1くらいのスケール感で、適度に手足を使いながら楽しく登れたのでとても良かった。

○大滝~大岳山頂 
 悪路、との前評判だったので再び気を引き締め、ゆっくり上り始める。しばらく急登が続くが、危険箇所は特にない。ただ、道は確かに前にも増して不明瞭になり始めた。少し息が上がってきた頃に比較的平坦な沢沿いの道に出る。体力的には有り難かったが、小さな虫が周りを飛んで視界の邪魔をしてくるのと、立派な蜘蛛の巣がたびたび道を塞いでおり先頭の私は多少辟易した。ほとんど人は入らないのだろうか、と考えながらどう見ても途切れた道の前で唸っていると後ろから単独行の男性が来た。彼も多少あたりを見回した後、沢を渡り向かい側のフェンスを手で抑えて越えて進んでいった。そういうものなのだろうか?と不安に思いつつも、それらしい道を見つけ彼とは別のルートを取る。十数分後、再び不明瞭な道の前で立ち止まっていると彼は別の道からやはりフェンスを越えて現れ、こっちだ、と声をかけ手招きをして明瞭な道を教えてくれた。そこは少し登ればわかる正解らしい道だったので、大変ありがたかった。優しさに助けられている。おそらく前半で我々が通ったルートと、彼が教えてくれたルートを繋いだものが正しいコースなのだと思う。少し先に何やら用途のわからない設備があり、山の仕事をしているであろう人が2人談笑していた。そういう方々の仕事用の踏み跡などもあって、間違えやすいのかもしれない。
 その後、沢が途切れる頃には虫もいなくなり楽になるが、BGMだった爽やかな水のせせらぎが聞こえなくなり寂しくなる。体感気温もそれに伴って上がる。そして段々と斜度が急になりはじめた。見上げれば、全く先は見えないがどうやら延々とこの急登が続いているようだった。仕方がないのでひたすらに登るも、途中から3人ともその厳しい斜度と途方のなさに閉口しはじめた。尾根から光は漏れているものの全く近づく気配がない。トップであることを利用しかなりゆっくりしたペースで登らせてもらった。流石にこれはキツい、と3人で意見が一致し、安心する。そして私は尾根間近で疲れ果てた結果、妙に上擦った声のトーンではしゃぎ始めた。冷静な山口くんに「おかしくなってしまったんやな」と言われ悲しかった。悪性山岳症候群と認定されたが、恐らくそんな病名は実在しない。対処法は下山することのみらしい。
 最終的には数分に1回立ち止まりながらも、無事に尾根まで出ることができた。休憩をとる。私はかなりバテたが、山口くんもそれなりに疲れていたらしい。河野が一番元気だったようで、その事実にはしゃいでいて可愛らしかった。時間を確認し、約1時間もここを登り続けていたことに驚く。
 後少し、と意気込み出発するも、歩けども歩けどもなかなか山頂に辿りつかない。登りの終わりを期待していたのに目の前に続くのは先ほどまでより段違いに緩やかだが、確かな登りだった。急登に痛めつけられた足は重く、だんだんと絶望し始める。こういうのは後少しとか言わないほうがいい、と言われたが、もっともである。今後このルートで登る人がいたら伝えたい、尾根≠山頂付近であると。(地図を見ればわかる)
 暑さにやられたのかシャリバテか、私が少し気分が悪くなったため、時折立ち止まりながらながらかなりゆっくり歩いたのでここのタイムはCTより大幅に伸びたと思われる。しかし終わりというものは何にでもやってくるもので、だんだんと木漏れ日によって道は明るくなり、遂に「登山道」といった姿の平坦な道が姿を表し感動した。1223mの経由地についたのだろう、実線ルートとの合流点である。たしかに踏み固められたそれを見て初めて、今までの道は破線だったのだという実感が湧いてくる。元気とペースを取り戻しサクサク歩き、ようやく登頂。
 なんと山頂には先客が誰も居なかった。山頂を独占する機会などそうそうないので嬉しいことだが、ここは本当に奥多摩の名峰、なのか……?と揃って首を傾げる。しかし雲取山で見たのと同じ、東京都特有の立派な石碑がある。急登のストレスで道中散々なことを言っていたが(例:「こんなに木まみれなんだし山頂もどうせ展望ないでしょ」)景色についても素晴らしく、それまでの展望が全くない分、山頂からの開けた眺めを見られた喜びはひとしおだった。
長めに休憩を取りながら、エスケープルートとして設定していた、1時間半で白倉へ降りるルートを取ることも検討したが、私の体調がある程度回復したため想定通りのルートで行くことに。

○大岳山頂~
 延々と続いた登りの後では、起伏の少ない道というだけで天国に思えた。山頂から数分歩けば大岳神社に着く。鼻先が滑らかで丸っこい形の狛犬が前足をピンと伸ばして座っていてかわいい。丸まった背中のせいか正座した人間のようだ……よく見ると口が大きすぎて少し怖いのだが。誰も利用しなかったがトイレもあるようだった。こんな山中なのに、凄いことだ。下りは鍾乳洞(気温15℃以下)が閉まる前に滑り込みたいという気持ちもあってか、早足気味に降りた。下りの道は難所も登り返しもなく、一般的な樹林帯が続く。しっかりした道標があると、なんだか安心した。
 大滝は海沢三滝のそれより大きく、ある程度整備されており自由に近づくことはできない。下流側に橋がかけられていてそこから観光できたが、あまり長居はせず数枚写真を撮るのみにした。大滝へ降りる道は三叉に分かれており、もう片方にキャンプ場の文字があったのでまた登り返しが必要なのかと思っていたが、下からも同じく道が繋がっていた。数分歩けば林道へ出るが、まだ下山は終わらない。キャンプ場でくつろぐ人々を横目に時間を確認するも、16:40。営業が17時までの鍾乳洞の見学は難しそうだった。山口くんは鍾乳洞見学チャレンジに失敗したのは二度目だそうで、登りでペースを落とした手前申し訳なく思う。しかしまたリベンジしに来る、と前向きに次の山行を検討していて流石だと思った。
 そのあとは気を抜いてだらだらと車道を歩いていたが、ふとバスの時刻を再確認するとここから急いでギリギリ間に合うか否かの17:15発であることが判明。次のバスは18:53、これを逃せば1時間半待つことになる。再びグンとペースを上げ、競歩大会が開催されることになったが、私はほとんど二人についていけず後ろからなんとかついていく形だった。特徴のない道のため現在地同定が難しく、あとどれくらいで着くのかを判別できなかったのも不安を煽る原因となっていたのだが、如何せんこれ以上ペースを上げられそうにない。想像以上に長く続く車道で焦燥感に駆られる中、最終的にはほとんど走り出していたが、息を切らしながらなんとか進む私を見かねて河野は声をかけてくれたり、最終的には荷物もつよ、と言ってくれた。ここで意地を張ってバスに遅れたら笑えないので素直にお願いすることにしたが、ありがとう、とお礼を言って歩きながらベルトを外し、受け渡した10秒ほど後だろうか、ちいさなバス停とこちらを振り返る山口くんが見え、どうやらなんとか間に合ったようだとわかり、宙に浮いたザックをふたりで見やって自然と笑いがこぼれたのだった。

■他メンバー感想
・CL山口
海沢のツメ部分の1時間ほどに及んだ急登にはメンバー揃って舌を巻き、熱中症も懸念されたが、時間はかかったものの無事に全行程を終えられた。序盤は立派な滝や冒険要素の強いコースを思い切り楽しんだ。
大岳鍾乳洞の見学は、過去にも一度時間の関係でパスしており今回で2回目。次こそは大岳鍾乳洞見学を目指したい。

・SL河野
○ 沢沿いの登山道はやはり涼しく、快適に歩くことができた。涼しげな滝もさながら、山口くんが言っていたように緑豊かで苔むした奥多摩もまた味わい深い。
○ 探勝路は途中不明瞭な箇所もあったが、意外とコンパクトにおさまっていて楽しく岩登りできた。一方そのあとの大岳山までの尾根登りでは展望のない急登が延々と続き、体力以上に精神的に悪路だった。
○ 車道で読図のレクチャーをしてもらった。地図上での表示と実際の様子のスケール感をすり合わせる、まわりをよく見て地形や進路の変化を意識する、道標に気づく、現在地同定では地図を回す、行き先の方角を把握するときは自分の向きを変える。
○ 同期での山行楽しかったです。山口くんも豊永さんもありがとう。