2021/10/9-10 那須岳
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
那須岳山行計画書確定版
作成者:鈴木
■日程 2021年10月9-10日(山中一泊二日、予備日なし)
■山域 那須・塩原
■在京責任者・助言役 山口
■在京本部設置要請日時 10月10日19:00
■捜索要請日時 10月11日8:00
■メンバー(3名)
CL鈴木 SL河野 大塚
■集合
那須塩原駅7:31
■交通
□行き
・東北新幹線
東京6:20発(→上野6:26→大宮6:45)→那須塩原7:31着 (5490円)
*大宮-那須塩原間の距離が127.5㎞なので学割利用可
・関東自動車株式会社 那須塩原駅・那須湯本・ロープウェイ行き路線バス
那須塩原7:45発→那須ロープウェイ8:55着 (1430円)
□帰り
・関東自動車株式会社 那須塩原駅・那須湯本・ロープウェイ行き路線バス
那須ロープウェイ→那須塩原 10:40-11:57/11:40-12:57/12:40-13:57/13:40-14:57/14:45-16:02(最終) (1430円)
・東北新幹線
那須塩原→東京 11:03-12:16/12:03-13:16/13:03-14:16/14:03-15:16/15:03-16:16/16:03-17:16/17:03-18:16/…/22:11-23:20 (5490円)
□エスケープ
・那須ロープウェイ
山麓駅→山頂駅 営業時間:8:30-16:30(下り最終16:20)
毎時00分、20分、40分の20分間隔での運行 (片道1200円)
■行程
□1日目(計3:55)
那須ロープウェイ山麓駅-0:15-峠の茶屋-0:45-峰の茶屋跡避難小屋-0:30-1860m付近-0:05-茶臼岳-0:10-1860m付近-0:20-峰の茶屋跡避難小屋-0:25-牛ヶ首-0:25-姥ヶ平下-0:40-沼原分岐-0:20-三斗小屋温泉
□2日目(計5:45)
三斗小屋温泉-0:45-1290m付近-0:50-大峠-1:30-大峠分岐-0:15-三本槍岳-0:20-北温泉分岐-0:30-能見曽根東端-0:10-朝日岳分岐-0:10-朝日岳-0:05-朝日岳分岐-0:30-峰の茶屋跡-0:30-峠の茶屋-0:10-那須ロープウェイ山麓駅
■エスケープルート
□1日目
・峰の茶屋跡避難小屋まで:引き返す
・峰の茶屋跡避難小屋から姥ヶ平下まで:山頂駅からロープウェイを利用して下山
・姥ヶ平下以降:三斗小屋温泉へ
□2日目
・三斗小屋温泉から三本槍岳まで:三斗小屋温泉に引き返す
・三本槍岳以降:そのまま進む
■テント場、山小屋情報
□三斗小屋温泉 煙草屋旅館 テント場
衛星電話:090-8589-2048 (案内所電話:0287-73-4567)
2000円/人 野天風呂(13:00-(翌)6:30)・トイレ・水場アリ 完全予約制 4張のみ
宿泊日の三日前から予約可 (女性は19時まで、女性専用風呂の利用可能)
□三斗小屋温泉 煙草屋旅館
衛星電話:090-8589-2048 (案内所電話:0287-73-4567) https://tabakoyaryokan.com/
素泊まり7000円 完全予約制 9月21日現在、10月9日は満室
□三斗小屋温泉 大黒屋旅館
衛星電話:090-1045-4933 案内所電話:0287-74-2309
https://www.mountaintrad.co.jp/~sandogoya/
素泊まり7200円
■地図
二万五千分の一地形図「那須岳」
山と高原地図「那須・塩原」
■食当
1日目夜:大塚
2日目朝:鈴木
■共同装備
・テント(エアライズ)
本体・フライ:河野
ポール・ペグ:大塚
・救急箱(有紗):鈴木
・鍋(竹):鈴木
・調理器具セット(ガジャマダ):鈴木
・ヘッド(緑7):河野
・カート×2:大塚
■個人装備
□ザック □ザックカバー □シュラフ (□シュラフカバー)□マット □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴紐 □帽子 □水 □行動食 □非常食 □ブキ □コッヘル □ヘッドランプ □予備電池 □ゴミ袋 □トイレットペーパー □ライター □新聞紙 □軍手 □地図 □コンパス □エマージェンシーシート □筆記用具 □計画書 □常備薬 □学生証 □健康保険証 □現金 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)□日焼け止め □マスク □歯ブラシ □充電バッテリー □タオル □消毒液orアルコール除菌シート (□サンダル □サングラス□着替え □リップクリーム)
■遭難対策費
200円×3人
計600円
■悪天時
前日正午までに判断
■備考
□日出・日没時刻
10月9日 日出5:34 日没17:20
10月10日 日出5:35 日没17:19
(参照:http://www.asahi-net.or.jp/~us2s-ksmr/sun/sunmoon.html)
□登山届提出先
コンパス https://www.mt-compass.com/ :提出済み
大学(東大) :提出済み
■各種連絡先
□東大連絡先
教養学部学生支援課 ※開室9:00-16:50(平日)
Tel: 03-5454-6074 Mail: shien-team.c(at)gs.mail.u-tokyo.ac.jp
駒場正門守衛室 ※常時対応可 Tel: 03-5454-6666
□お茶大連絡先
学生・キャリア支援課 ※開室9:00-17:00(平日)
Tel:03-5978-5147 Mail: gakusei(at)cc.ocha.ac.jp
正門守衛室 ※常時対応可 Tel:03-5978-5128
□現地連絡先
栃木県警察那須塩原警察署 0287-67-0110
□交通機関
・東北新幹線
東京→那須塩原間時刻表 https://ekitan.com/timetable/shinkansen/section/101/sf-2590/st-2680?dt=20211009&d=0
那須塩原→東京間時刻表 https://ekitan.com/timetable/shinkansen/section/101/sf-2680/st-2590?dt=20211010&d=1
・関東自動車株式会社
路線バス 028-634-8131 https://www.kantobus.co.jp/route/index.php
路線バス時刻表
https://kantobus.info/fromto/result/?from_no=8424&to_no=8480&from_type=B&to_type=B&change_date=20210801
那須ロープウェイ https://www.nasu-ropeway.jp/guide/
□コロナ対策 ※[raicho_all:75]より
1. 遭難などの緊急時を除き、山小屋の使用を控える。
2. 長期休暇中は平日の活動を中心にする。
3. 山頂付近などの人が多いところでは長時間滞在しない。
4. 最大5人程度のパーティーとする。
5. 常に、パーティー内の連携を損ねない範囲で十分に距離を取る。
6. 三密を回避できない状況ではマスクを着用する。(電車内、混雑した登山道、頂上周辺等)
7. 水や食料は事前に購入しておき、登山山域での買い物を控える。また、下山後の会食も控える。
8.テント内の人数は定員の半分程度とし、余裕をもって使用する。
9. メンバー全員が2週間前から当日朝まで毎日検温して担当者に提出。少しでも風邪の症状がある場合は参加を控える。
10.メンバー全員が 2週間前から行動記録をとって担当者に提出。
(9.10については担当者が管理し、必要があれば提出できるようにしておく)
□参照
・気象庁 火山活動の状況(那須岳)
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/301.html
・過去の記録
那須岳山行 記録
編集:鈴木(43)
■日程 2021/10/9(土)-2021/10/10(日)
■山域 那須・塩原
■天候
10/9 曇り時々雨
10/10 晴れ時々霧
■メンバー(3名)
CL 鈴木(43)
SL 河野(41)
・大塚(43)
■タイムスタンプ(鈴木)
1日目
8:55 那須ロープウェイ山麓駅着
9:00 発
9:22 峠の茶屋通過
10:15 峰の茶屋跡避難小屋着
10:22 発
11:00 茶臼岳着
11:10 発
12:11 牛ヶ首着
12:17発
13:05 姥ヶ平下通過
13:43 沼原分岐着
13:53 発
14:10三斗小屋温泉煙草屋旅館着
[総行程5:10]
2日目
5:00 起床
6:35 発
7:28 中ノ沢通過
8:35 大峠着
8:42 発
10:03 大峠分岐通過
10:16 三本槍岳着
10:27 発
10:53 北温泉分岐通過
11:33 熊見曽根東端通過
11:41 朝日岳分岐着
11:45発
11:53 朝日岳着
11:56 発
12:00 朝日岳分岐着
12:02 発
12:31 峰の茶屋跡避難小屋
13:25 那須ロープウェイ山麓駅着
[総行程7:00]
■総評(鈴木)
・全行程で紅葉を楽しむことができる登山であった。赤や黄、オレンジといった紅葉と常緑樹の緑のコントラストが絶妙で非常に美しかった。茶臼岳や三本槍岳の山頂で全く景色を見ることができなかったことが少し残念であった。
・行程中にトラブルがあったものの、無事に計画通りに行程を進めることができて良かった。万が一その問題が解決しなかった場合に、どうするかを考える良い経験になった。
■ルート概況(鈴木)
・全体的に歩きやすい登山道であった。特に、登山客が多いと思われる、峰の茶屋跡避難小屋から姥ヶ平までのコースと朝日岳分岐から三本槍岳までのコースはしっかり整備されていた。
・煙草屋旅館から1つ目の沢(赤岩沢)までの道の一定区間が細く、左側が崖になっている場所がある。落葉で滑りやすくなっているので足元に注意すべきである。
・大峠から朝日岳分岐までの稜線上を行く登山道では、左右を遮るものが少なく、よろめいてしまうような強風が吹くこともあるため、注意が必要である。実際に今回の山行では、朝日岳の周辺で体感10~15m/sの風が吹いていた。
・朝日岳分岐から峰の茶屋跡避難小屋までの登山道はほとんどが岩稜帯であり、登山道のすぐ横が崖になっているため、多少歩きづらい。ここでも、強風に注意する。
・三斗小屋温泉から大峠までの登山道では、3回渡渉をする必要があり、浮石とスリップに気を付けながら歩く。また、4mほどの崖を登る場所があるが、三点支持を意識すれば安全に上ることができる。
(三点支持とは?→https://www.yamareco.com/modules/yamanote/detail.php?nid=45)
・三斗小屋温泉周辺は圏外だが、稜線に行くとdocomoとsoftbankの回線は通じた。
・三斗小屋温泉煙草屋旅館のテント場は、完全予約制で3日前から予約可能である。現在は上限4張だが、旅館の方によるとテントサイトを2張分増設予定らしい。地面は柔らかい土で、動かしやすい手ごろな岩が多いので快適にテント泊を行うことができる。
・テント泊利用者も野天風呂や旅館内のトイレ、洗面所の利用が可能である。また、女性限定ではあるが、旅館内にある女性専用風呂を使うこともできる。
■行動記録
□1日目(大塚)
鈴木、大塚は東京駅から、河野さんは大宮駅から新幹線に乗車し、隣3席に座る。新幹線内で共同装備の受け渡しを行い、山行の準備をする。
那須塩原駅に到着後すぐにバスに乗車。隣3席の確保に成功し、雑談しながら1時間程度バスに揺られる。バスは次第に山道へと向かい、その時点で大塚は酔止薬を飲むも時すでに遅し。車酔いにかかり、後半は目を開けずに静かにしていた。
霧に包まれた那須ロープウェイ山麓駅に到着。3人とも一応日焼け止めを塗って山行に備える。整備された石階段を登って峠の茶屋に到着。小雨が降ってレインコートを着るが、暑くてすぐ脱ぐ。その後、鳥居をくぐって本格的な山道を登り峰の茶屋につく。霧に包まれて、視界不明瞭。気温も低下する。
ここから茶臼岳を目指す。茶臼岳の外輪山を回ったわけだが、視界不明瞭で、果たして茶臼岳を時計回りに回っているのか、それとも反時計回りに回っているのか、はたまた果たして茶臼岳を一周したのかわからないほどだった。途中、神社があってお参りした。
眺望が良くなく、かつそこまで山道も険しくなかったため、終始会話が弾む。河野さんの地元の話、それぞれのバイトの話、それぞれの受験・専攻の話、そして河野さんが話してくれた「お茶漬け」の話…。ここで、一人の女性登山者をわたしたちが追い抜いたとき、彼女が突然話しかけたきた。「私はお茶漬けではないですよ。」彼女はお茶女出身だったのである。私たちの会話への思わぬ参加者に、私たちは驚きとともに、登山での新たな出会いに喜んだ。
牛ヶ首に向かう。依然霧がかって眺望は良くないが、時々霧が晴れたときに見える、向かいの山肌の紅葉がきれいだった。無間地獄では、霧と見間違えそうになるような白い火山ガスが噴出していた。視界が良くない、そしてそこまでコースがきつくないため、再び会話が盛り上がる。鬼滅の刃の勧善懲悪批判から始まり、進撃の巨人のあらすじへと話題は移っていく。
牛ヶ首を通りすぎて、姥ヶ平に向かって降りていく。依然霧がかって眺望は良くないが、次第に紅葉した樹林帯に包まれて、近い距離での紅葉を楽しむことができた。赤、橙、黄、緑、そして道の石の白が絶妙に組み合わさって、一足先に紅葉の美しさを堪能することができた。各々写真をとりながら進む。姥ヶ平は、まるで公園のようなところで、道や低木が整備されていた。
ここでオーダーを、河野・大塚・鈴木から大塚・河野・鈴木に変更。三斗小屋温泉を目指して紅葉する樹林帯の中を、アップダウンを繰り返しながら進み続ける。再びコースもあまりきつくなく、変わらない景色の中を進み始めたため、会話が弾む。河野さんが、最近授業で習った東洋美術(仏教美術)についての話を聞く。以前から仏教哲学に興味を持っていた大塚は興味深く聞く。
ついに三斗小屋温泉に到着。依然霧に包まれるが、雨は振らない。テン場が拡張されていたため、広々とテントを広げる。三斗小屋温泉の煙草屋のテン場は、露天風呂が利用できることで有名である。早速河野さんが露天風呂へ向かう。鈴木、大塚は夕飯の準備を整え、河野さんが帰ってくるなり夕食の支度開始。スープパスタを作り、美味しく食べた。
その後テントの中で、鈴木くんが持ってきてくれたウノやトランプを使って、ウノ、ババ抜き、大富豪を行う。(ウノやババ抜きで連勝した大塚は、つまらないところで運を使ってしまったと後悔した。)
その後、鈴木・大塚は例の露天風呂へ向かう。
この夜の露天風呂が非常に幻想的で美しかった。
辺り一面真っ暗闇で、温泉と地面と脱衣所を識別することも難しいほどだった。温泉に浸かるとどこまでも温泉が続いているような錯覚にとらわれる。しかし、温泉の縁に1つの桶に覆われたランプがあるのだ。そこを中心に温泉と、一緒に入っている方々がぼぉーっと湯気の中に曖昧に浮かび上がってくる。この世とは思われない、なんだか夢を見ているような心地に浸りつつ、汗と山行の疲れを落とした。しかしいつまでも夢に浸かっているわけにはいかない。河野さんが待っていることに気付いた鈴木・大塚はテントへ急いだ。
帰ってくると、大塚はすぐに就寝。鈴木・河野は次の日の準備などでしばらく起きていた。事件が起きたのは私が就寝してから約30分後の出来事である。河野さんがお腹が痛いと訴えた。鈴木くんは急いで救急箱を取り出し胃腸薬を用意し、河野さんはトイレへ急行した。私はその後の記憶がないため、恐らくその騒ぎの中で寝てしまったのだろう。翌朝目が覚めると、すっかり河野さんの体調が回復されたそうで、安心した。
(以下河野筆)
食当たりで1日目夜に体調を崩しました。
原因は今回の活動の中にはないと思われるのですが、山中でのマネジメントという点で山行後に考えたことを記しておきます。いずれも個人的見解であり、事後の反省なのですべてに備えることは難しいかもしれませんが、参考にしていただけると幸いです。
有識者の方で何か助言がございましたらぜひご教示ください。
(概要)
17:30頃の夕食のち、20:00頃就寝。
寝つきは比較的悪くなかったが21:30に突如腹痛で目が覚める。
10分程度様子を見ていたが、改善しなかったのでCLに腹痛の旨を伝えお手洗いに行く。
嘔吐し症状が多少改善されたものの以前腹痛は続くので、15分程度その場で動けずにいたところ、鈴木くんが胃腸薬を届けに来てくれた。追加で飲料水を届けてもらい、服薬し15分経っても戻らなかった場合にはもう一度様子を見に来てほしいと鈴木くんに伝えテントに戻ってもらう。その後下痢を少量。痛みは続くものの症状は緩和され、これ以上出来そうなこともないのでテントに一度戻る。鈴木くんに完全に解消されたわけではないので2日目の起床時刻を4時から5時に変更してほしい旨を伝え22:15に就寝。約2時間後に下痢をして痛みがなくなる。その後は起床時刻までほぼ起きることなく休むことができた。起床後も体調に問題はないので予定通りのコースを歩ける旨をメンバーと共有。朝食は念のため少量にとどめ、胃腸薬を飲んで出発。その後も体調に問題はなかったので既製品のみを口にし予定通りのコースを歩いた。
(一連に関してのコメント)
・症状改善後しっかり体を休めることができたことが最も良かった。入会初年次は汗の処理と防寒が不十分で、不快感と寒さでその後なかなか寝付けないことが多々あった。寝つきが悪い人は多少かさばってでも(それ以外で軽量化に努めて)防寒と着替えを持ってくるのが良いと思います。
・行動食には個包装の既製品をいくつか、未開封のペットボトルを最低1本は持って行ったほうが安心できる。今回の行動食は自分で調理したもの、あるいは1日目にすでに手をつけていた個包装でない食品が多く、かつ原因の食品が何かわからなかったので'、2日目に食べられるものがかなり限定された。
・再三言われていることだがメンバーへの共有の重要性を感じた。特に「〇分後に症状が変わらなかったら○○してほしい」と具体的な基準を設定することによって、対処の後れを防ぐことができる。体調不良のときだけでなく、先日の八ヶ岳山行[raicho_all:215] のように、転進や中止、エスケープなど計画の変更を行う際にも非常に有用。
□2日目(鈴木)
5時に起床。河野さんに体調を尋ねてみると、良くなったようなので安心する。テントから抜け出てみると、昨日とは打って変わって青空が広がっていた。気分が上がりながら、各々身支度や食事の支度を始める。2日目の朝の食当は僕だったのだが、漫画『山と食欲と私』1巻2話に出てくるソーセージラーメンがおいしそうだったので、それを実行することに。とても簡単で美味しい。テントの撤収や水汲みを終えて、いざ三本槍岳へ出発。
昨日の曇りの下での紅葉も良かったが、晴れの下での紅葉も色が映えていてとても綺麗。周囲の紅葉を見たり、写真を撮ったりしていると、1つ目の渡渉地点、赤岩沢に到着。初めての渡渉だったが、僕は最後尾を歩いていたので、前の2人の通ったところを慎重に通過した。沢の水の流れと滑りやすい石とで、少し怖かった。その後、約4mの崖があり、河野さんに三点支持を意識するように言われ、それを注意しながら登ってみると、意外と簡単に登れた。登るのが楽しくもあり、クライミングにはまる人の気持ちが少しわかったような気がした。崖を登った後は中ノ沢と峠沢の2つの沢を渡渉した。2つとも難なく渡渉することができた。峠沢を渡渉した直後、登山道を見失い、後続のパーティーの人に教えてもらって、無事登山道に復帰した。樹林帯を抜けて、少し歩くと、大峠に到着した。
大峠に到着すると、風が強く吹き、霧が発生して周囲の景色がほとんど見えなくなってしまった。大峠での小休憩をはさみ、三本槍岳では晴れるだろうという期待を胸に出発する。基本的に周囲は霧で覆われており、景色が見えないことが多かったが、時たま霧が晴れて見える様々な形の山や、その中腹で鮮やかに色づく紅葉の美しさに感動していた。晴れていたら美しい景色が見えるであろう鏡ヶ沼展望所は一面霧で覆われており、また風も非常に強かったので、小休憩をはさみすぐさま三本槍岳への登山を再開。大峠分岐では、5人ぐらいのおじさんたちのパーティーに遭遇した。「これから甲子山の方に。あっちはクマしかいないからね」と笑いながら、クマよけの線香に火をつけていたのを見て、おじさんたちの無事を祈りながらすれ違う。大峠分岐を通過すると、すぐに三本槍岳に到着した。
大峠での期待は無情にも裏切られ、三本槍岳からの景色は一面霧で真っ白で、かなり残念だった。三本槍岳の説明が書かれたプレートには、「会津藩、白河藩、黒羽藩の三藩が毎年山頂に槍を立てて藩の境界を確認した」という山名の由来が書かれており、日本史好きの僕としては少しテンションが上がった。三本槍岳の標高が書かれた杭の前で槍のポーズをとった写真を撮ってもらい、朝日岳の方へ出発した。
三本槍岳から熊見曽根東端までの登山道では、とにかく他の登山者とのすれ違いが多かった。おそらく登山口から三本槍岳までピストンする日帰り登山者であろう。途中、北温泉分岐という場所があったのだが、その地点は北温泉から5.1kmと書かれており、分岐点としては離れすぎではと感じた。後日地図を見てみると、北温泉分岐を過ぎてから、北温泉に行くにはもう一つ分岐があったので、なおのことそちらを北温泉分岐にすべきではと思った。
熊見曽根東端から下っていくと、大勢の人がいる場所があり、そこが朝日岳分岐であった。そこでザックをデポし、帰り際に立ち寄れそうな温泉を探すと言って分岐に残った大塚くん以外の2人は朝日岳へ向かった。山頂では写真を撮るのがうまいというおにいさん(おじさん)に標高の記された杭の前で写真を撮ってもらった。確かに上手に撮れていた。さらに、山頂には小さな鳥居とサンスクリット語の書かれた木の板が置かれていた。鳥居とサンスクリット語、かなり不思議な組み合わせであった。分岐点に戻り、大ザックを再び担いで峰の茶屋跡避難小屋へ出発した。ちなみに、分岐点は電波が通じなかったため、大塚くんは残念ながら調べることができなかったみたいだった。
朝日岳分岐から峰の茶屋跡避難小屋までの登山道はほとんどが岩稜帯であり、かつ強風も吹いていたので、個人的に下っていくのがかなり怖かった。この頃から晴れ始めて、岩がゴロゴロとして荒々しい山容を見ることができた。登山道の周囲に植物が戻り始めるのを感じながら、歩を進めると、昨日も通った峰の茶屋跡避難小屋に到着した。昨日は曇って見えなかった茶臼岳の山麓を見ることができて、嬉しかった。
峰の茶屋跡避難小屋からロープウェイ山麓駅までの道も、前日に通ったはずなのに、まったく違うところを通っているように感じた。特にこの登山道の左手に見える山が非常にきれいで、左半分は植物が生えておらずゴツゴツとした岩肌が見えているのに対し、右半分は緑、赤、黄、オレンジといった様々な色をした植物が生えており、1つの山で一度に2つの表情を見られることに感動しっぱなしだった。
バスの時間に余裕があると思っていたので、峠の茶屋で団子を買って食べた。非常においしかったのだが、店員のおばあさんの方言がきつくて何を言っているのかわからず、お金を払うのに手間取った。
バス停につくと、僕が計画書に書いたバスの時刻が間違っており、50分ぐらい待つことに。共同装備の受け渡しを済ませて、14時18分那須塩原駅行きに乗った。
交通渋滞で35分ほど遅れて那須塩原駅に到着したため、予定の新幹線に乗ることができず、一本後の新幹線に乗ることに。
17時3分発東京行きの新幹線に乗り込み、各々帰路についた。皆さん、2日間お疲れ様、そして山行に参加してくれてありがとう。
■感想
□鈴木(CL)
・紅葉に始まり紅葉に終わった、紅葉尽くしの最高の山行であった。1日目は曇りの下での紅葉、2日目は晴れの下または霧の中での紅葉といった紅葉の様々な様子を見ることができて感無量だった。
・三斗小屋温泉煙草屋旅館は、僕の数少ないテント泊経験の中でも一、二を争うほど過ごしやすいテント場であった。特に、山行中に温泉に入ることができたのが最高であった。願わくは入浴中に満天の星空を見てみたかった。また、旅館の方が作った燻製チーズを食べたが、とても美味しかった。
・初めてCLを任された山行だったが、無事に下山することができて良かった。これも参加してくれた他のメンバーの助けのおかげである。河野さんと大塚くんには本当に感謝している。
〈反省点〉
・帰りのバスの出発時刻を書き間違えていた。計画書を一旦書いて終わりではなくて、きちんと山行の日程の時刻表を見直すことを徹底したい。また、バスでICカードを使えるかどうかを当日の朝に調べて知らせたが、計画書を書いた時点で調べるべきであった。財布を軽量化するためにも重要な情報なので、調べるのを忘れないようにしたい。
・木曽駒ケ岳の山行の時にも先輩に言われたが、先頭を歩く際のスピードに気を付けたい。先頭を行く時には、後ろのメンバーがついてきているのかどうかを確かめながら、速くなりすぎないように歩きたいと思った。
・テントの入口の所のフライをペグ打ちする際に、フライを引っ張りすぎたために、ファスナーを付けづらくなってしまった。ペグ打ちをする時に、ペグを付ける所の紐を引っ張る力に気を付けたい。
・バスが交通渋滞によって遅れたことで、予定していた新幹線に乗れなくなってしまった。バスが遅延したのは完全に予想外のことであったものの、計画を立てた時点でもっと時間に余裕を持った計画をするべきであった。今回は新幹線であったため、多少融通が利いたため、新幹線の切符が無駄にならなかったが、高速バスだと乗り遅れたらもう一度買い直しということもありうるため、帰りの新幹線や高速バスの予約は慎重に行いたい。また、バスの遅延が予想外であったと直前に書いたが、緊急事態宣言が明けてすぐの日曜日なのだから、行楽地である那須塩原の道路は混むことは少し考えればわかったことだと思うので、夏の平日に行っていた山行とは異なり、もう少し土日に泊まり山行に行く時の道路状況などを考えたい。
・休憩時間の取り方を注意したいと思った。稜線上などでは休憩時間を長くとりすぎると、体が冷えてしまうため、5分をめどに小休憩を取るのがよいと感じた。CLになると休憩の時間設定も行わなければならず、自分が今まで何も考えずに休憩を取っていた中で、CLの先輩たちはこのようなことを考えていたのかと気づき、頭が下がる思いだった。
・クマ出現注意の場所があると事前打ち合わせで自分で言ったのにも関わらず、クマ鈴を持って行くのを忘れてしまった。今回はクマを見かけることなく、無事に山行を終えることができたが、必ずしもクマと遭遇しないとは限らないので、クマ鈴を持って行くのを忘れないようにしたい。
□河野(SL)
・まず最初に、支える側の人間がトラブルメーカーになってしまい大変申し訳ございませんでした。今後体調管理には最大限気をつかいます。
・今回お世話になった三斗温泉煙草屋旅館ですが、増設予定のテントサイトを使わせていただけたり、屋天風呂に抵抗がある女性は(テント泊利用者でも)屋内の浴場の仕様が許可されていたり、登山道の手前で二日目最初の休憩ポイントを話し合っていた際に登山道を探して困っていないか小屋の方に声をかけられたり、と、ホスピタリティとユーモアにあふれていて大変良かったです。お世話になりました。
・山頂からの展望は心の目を要しましたが、見ごろを迎えていた紅葉のおかげで上あるいは下を見れば幸せになれたのでよかったです。
・登山者の多くが小屋泊であることもあり、道行く登山者に「テントで泊まるの?」などと声をかけられることが多く、そこから会話につながることが下山後に至るまでありました。温泉でも某大学の元ワンゲルの学生さんと談笑するなど、(こんなこと書いていいのか…という感じですが)久々に情勢を忘れて山中での人とのふれあいを楽しめたような気がします。
□大塚
・2回目のテント泊でした。なんとなくテントの立て方などは覚えられたような気がします。尾瀬、那須岳ともにテン場の環境が良かったので、これからのテント泊が若干怖いです。
・下りが苦手であることを自覚しました。落ち葉に覆われていたり、濡れた石や岩がたくさん散らばっている下りでどうしても慎重になってしまい、大きくペースを落としてきまいました。次回以降の山行では、下りのペースを意識したいです。
・登りは、最終盤になると体力が切れてペースが落ちてしまった。ランニングの習慣をなんとか復活させたい。
・稜線上で霧が晴れたときに、雲間から紅葉した山々、そしてその向こうに遥か彼方の下界の家々が垣間見え、開放感に包まれ幸せだった。