2022/3/8 蛭ヶ岳南稜

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
蛭ヶ岳南稜山行計画書 
作成者: 小西、尾高
■日程 2022/03/08(火)日帰り、予備日 なし
■山域 丹沢
■在京責任者・助言役 山口
■在京本部設置要請日時 2022/03/08(火)21:00
■捜索要請日時 2022/03/09(水) 09:00
■メンバー
CL小西 SL尾高 石田(雷鳥外(ワンゲル))
石田は運動会ワンダーフォーゲル部所属。高校時代から山岳部に所属し、直近では昨年8月に烏帽子岳、10月に北岳などの山行経験がある。雷鳥メンバーとの関係性は、本山行在京の山口さんとは天王岩やジムに行ったことがある。小西とはスポ身で一緒で、尾高とはジムで挨拶をしたことがある程度。
■集合
新松田駅(6:50のバスに間に合うように)
■交通
[行き] 新松田→寄(06:50 07:20)
[帰り] 寄→新松田(14:35 15:40 16:55 17:10 18:10 19:15 20:25)
■行程(計14時間25分)
寄-(3:00)-雨山峠-(0:40)-雨山橋-(0:20)-ユーシンロッジ-(0:40)-熊木沢出合-(※3:00)-蛭ヶ岳-(1:40)-丹沢山-(1:20)-塔ノ岳-(1:10)-鍋割山-(0:50)-後沢乗越-(1:45)-寄
※過去記録参照のうえ設定
※後沢乗越から寄まではウシロ沢経路
■エスケープルート
南稜中間地点まで: 来た道を引き返す。
※寄新松田のバス:09:35 10:10 11:30 12:40
南稜中間地点〜棚沢の頭: 姫次経由で青根へ下山
※東野三ヶ木のバス:09:05 13:00
※三ヶ木橋本のバス:15分おきにある
※バスがなくなったら津久井タクシー(Tel:042-784-0346)を利用
棚沢の頭から先: 大倉へ下山
※大倉渋沢のバス:15分おき、最終20:39発
■エスケープ要件
コースタイムが長いので、日没に間に合わないと判断したら積極的にエスケープルートを利用する(CT×0.7を切ったら間に合わない)。ただし、丹沢山から先はメンバーが歩き慣れているうえヘッドランプ点灯で歩いても問題ない(危険箇所の少ない)道なので、他のエスケープルートより多少時間はかかるとしても選択する余地がある。
■行動不能時の対処
ユーシンロッジが避難小屋として開放されているため一泊する。
■地図
山と高原地図: 「29丹沢」
25000の1地形図: 「大山」「秦野」
■共同装備
救急箱(苺):小西
■個人装備
□ザック □ザックカバー □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴紐 □帽子 □水 □行動食 □非常食 □ヘッドランプ □予備電池 □ゴミ袋 □ライター  □軍手 □地図 □コンパス □エマージェンシーシート □筆記用具 □計画書 □常備薬 □学生証 □健康保険証 □現金 □遭対マニュアル  □充電バッテリー □タオル □ヘルメット□軽アイゼン(チェーンスパイク)( □着替え □サングラス □リップクリーム □熊鈴)
■遭難対策費
100×2=200円
■悪天等判断
前日正午までに決定
■注意点
□寄ー熊木沢出合 高原地図では一部廃道だが12月に来訪済み、危険箇所なし
□蛭ヶ岳ー大倉  歩き慣れている、危険箇所なし
□姫次ー青根   青根は未訪だが、問題なし(2/25現在)
□蛭ヶ岳南稜
・熊木沢から堤を2つ超え、赤い廃車までの間は廃道を辿る。1つ目の堰堤は左岸の斜面から越え、2つ目の堰堤は中央に工事用の足場の残骸のような物(流木)が立て掛けてあり、それを這い上がる。2つ目の堰堤を越えたところで右岸に渡り、草薮のなかのルートを探す。やがて、舗装されていた林道跡が現れる。西沢出合よりあとは、左に折れてそのまま林道跡を進んでいくと錆びた赤い廃車に辿り着くことができる。対岸の木の幹に取付の赤いテープが巻かれている。取付から直ぐに急登が始まる(標高差650m、平均斜度33°、最大斜度40°)。登り始めと最後の山頂手前の辺りの傾斜がきつい。ほとんど踏跡の無い急斜面を、真っ直ぐに頂上を目指す。1250m付近の傾斜が緩くなったところで休憩が取れそう。頂上に近づくにつれて岩がゴロゴロした斜面となり、ルート取りが難しくなる。二人はイバラの藪を直進して頂上に向かうことも可能だし、左に巻いて、樹氷をまとった立木の横を通って西側の登山道に出る事もできそうだが、後者が良さそう。取付からの所要時間は2時間程度か。迷うとしたら取り付きまでの道のりか。地図をこまめに確認するほか、GPSをつけていった方が良さそう。
■登山届提出先
コンパス: 提出済(https://www.mt-compass.com/ar.php?i=1164262&u=142916&c=785ecc41)
東大: 提出済(shien-team.c(at)gs.mail.u-tokyo.ac.jp)
■各種連絡先
□東大連絡先
教養学部学生支援課 ※開室9:00-16:50(平日) 
Tel: 03-5454-6074 Mail: shien-team.c(at)gs.mail.u-tokyo.ac.jp
駒場正門守衛室 ※常時対応可 Tel: 03-5454-6666
□東京大学運動会ワンダーフォーゲル部
東京都文京区本郷7-3-1
本部学生支援課体育チーム 03-5841-2511(平日 8:30~17:30)
安田講堂警備室 03-5841-4919(上記時間外)
□秦野警察署
Tel: 0463-83-0110
□蛭ヶ岳山荘
Tel: 090-2252-3203
□みやま山荘
Tel: 090-2624-7229
□尊仏山荘
Tel: 070-2796-5270
□花立山荘
Tel: 0463-82-6192
□滝沢園
Tel:0463‐75‐0900
■備考
□日出・日没時刻(丹沢山)
03/10  
日の出  06:00
日の入り 17:44
□コロナ対策 ※[raicho_all:75] 10/29より一部改訂
1. 遭難などの緊急時を除き、山小屋の使用を控える。
2. 長期休暇中は平日の活動を中心にする。
3. 山頂付近などの人が多いところでは長時間滞在しない。
4. 最大5人程度のパーティーとする。
5. 常に、パーティー内の連携を損ねない範囲で十分に距離を取る。
6. マスクを常用する。
7. 水や食料は事前に購入しておき、登山山域での買い物を控える。また、下山後の会食も控える。
8.テント内の人数は定員の半分程度とし、余裕をもって使用する。
9. メンバー全員が2週間前から当日朝まで毎日検温して担当者に提出。少しでも風邪の症状がある場合は参加を控える。
10.メンバー全員が 2週間前から行動記録をとって担当者に提出。
(9.10については担当者が管理し、必要があれば提出できるようにしておく)
□過去の記録
https://yamap.com/activities/8239626 (2021/10/22)
https://fujisawa-yamanokai.com/php/grview.php?recid=20171202hirugatake (2017/12/07)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4008907.html (2022/02/18)
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=184532 (2020/01/12)

なお、本山行において緊急時の対応は雷鳥が主体になって行う。

蛭ヶ岳南稜 記録
■日程 2022/3/8(火)
■山域 丹沢
■天候 雪

■メンバー(3名)
・CL小西寛(43)
・SL尾高涼哉(43)
・石田樹(雷鳥外)

■総評(尾高)
・雨山峠までの道はそれなりに荒れている.通行が不可能なほどのポイントは無いが,注意が必要なポイントは多い.初見だったり,天候が悪いと最初の方のいくつかある渡渉ポイントで迷うかもしれない.
・雨山峠より撤退.
・雨山峠から鍋割山までは,一箇所鎖場がある以外は細かいアップダウンを繰り返す尾根道.下りだとややいやらしいので,恐らく雨山峠側から鍋割山側に抜ける方が簡単であろう.
・鍋割山から大倉までは特に問題ない.林道はだるい.
・計画書の無視,不透明な意思決定があった.しっかり反省したい.

■コース概況
記録を参照

■タイムスタンプ
07:27 寄
09:32 雨山峠
10:36 鍋割峠
10:53 鍋割山
12:01 後沢乗越
13:35 大倉バス停

■記録
メンバーの石田,小西とは新松田発寄行きのバスの車内で落ち合う.寄のバス停から水源林管理棟まではしばらく車道を歩く.キャンプ場横の鹿の像がなんとも印象深い.水源管理棟のあたりは秦野峠へ伸びる林道の分岐になっており,赤いアーチ橋の寄大橋が良い目印となるだろう.
その後林道をしばらく歩いたのちに,沢沿いの道となる.何度か渡渉を繰り返し緩やかに標高を上げていく.標高750m付近で尾根へ移る.鍋割峠への道を分けた後トラバース道に移る.所々道が崩れかかっていて通行に注意が必要だが,トラロープが整備されているので落ちることはないだろう.この辺りから積雪がいよいよ激しくなり,それぞれが口には出さなくとも,撤退を予感しつつ進む.その後沢の中の道に到る.なんとも山深いが明るく,雪のない時期にはカモシカがよく現れる,桃源郷のような場所であるが今は雪に覆われている.しばらく進むと沢の凍結している箇所があったため軽アイゼンを装着する.この時点で積雪は10cm程度あり,南側でこの調子ならこれから通る北斜面の道の状態は相当悪いに違いない.また蛭ヶ岳南稜の岩稜帯をこの積雪で通過するのはかなり難しいこと,更に極めて行動時間が長いことから,当初の計画を遂行することは誰の目から見ても明らかに不可能であった.結果雨山峠手前のこの地点で特に異論が出ることはなく撤退を決定,問題はどのようにしてエスケープするのかということである.
計画書に記載された通りにエスケープするなら来た道を引き返すということになるのだが,先ほど述べた通りこれまでの道の状態はお世辞にも良いとは言えなかったことや,まだ10時頃で時間的余裕が十分にあったことから,鍋割山経由で下山するという選択肢が浮上した.話し合いの結果,後者の選択肢を取ることとした.このことを在京に連絡しようとしたが,雨山峠では電波が通じず連絡できなかったことから,電波の通じるであろう鍋割山で連絡をすることとした.この意思決定に関して現場では特に異論は出なかったが,下山後にOBの方から指摘を頂き,反省会でその決定の過程に関し詳細に検討を行い再発防止を期した.
雨山峠から鍋割山までの道は細かいアップダウンを繰り返す.途中一箇所鎖場があった,下りならそれなりにやらしいかもしれない.あっという間に鍋割山に到着.在京へ連絡を入れ,後沢乗越経由で大倉へ下山する.すでにそれなりの長文になっているので以下割愛.無事大倉へ下山できました.後半の林道は何度歩いてもだるい.

感想
□尾高
意思決定の過程や計画書の無視に関しては大いに反省.
また蛭ヶ岳南稜,リベンジしたいですね.

□小西
反省するところはしっかり反省して、今後もより良い山行を目指して精進したい.