2022/7/3 谷川岳ハイク

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
谷川岳ハイク計画書 ML用計画書
作成者: 桐原、小島、山口
■日程 2022/07/03(日)、予備日 なし
■山域 谷川・武尊
■目的 観光
■在京責任者・助言役 近
■在京本部設置要請日時 2022/07/03(日) 20:00
■捜索要請日時 2022/07/04(月) 9:00

■メンバー(5名)
CL桐原, SL小島, 山口, 鈴木, 榛澤

■集合・交通
タイムズカーシェア
・タイムズ世田谷松原1丁目第2 https://share.timescar.jp/view/station/detail.jsp?scd=DG36
・フリード (世田谷 500 ワ 1911:イエロー)7/2 20:00 - 7/4 0:00

□集合 19:45 明大前,21:30 八王子
□行き
八王子駅~関越自動車道~169km~谷川岳ベースプラザ(土合口駅隣)所要時間最短2:30
明大前(山口、榛澤、桐原、小島)20:00→八王子(鈴木)21:30→あきる野IC→谷川岳ベースプラザ24:00
□帰り
谷川岳ベースプラザ~明大前
運転者:山口、榛澤

□注意点
※谷川岳山開きイベントのため混雑予想
※谷川岳ビジターセンター最新情報(天神尾根残雪あり)https://www.yamakei-online.com/mt_info/info_detail.php?info_id=1010
※肩ノ小屋下40mの長さ(6/28時点)→軽アイゼンを推奨
田尻尾根:大雨増水で通れない可能性あり・工事中
西黒尾根:山頂直下20m※日帰り:水分は2Lが目安
※ブヨが多い:虫除け
※鎖場の渋滞を考慮すること(210713)→14時までに下山することを推奨
※薄手のダウンやグローブ持参(210713)
※100円玉持参
※ロープウェイの運休も考慮。下山遅れが多い(210720)

■行程
□ルート・コースタイム
谷川岳ベースプラザ-0:10-西黒尾根登山口-1:15-1130m地点-1:25-ラクダのコル-1:20-トマノ耳-0:10-オキノ耳-0:10-トマノ耳-0:35-天狗の留まり場-0:30-熊穴沢避難小屋-0:25-天神峠分岐-0:05-田尻尾根分岐-1:00-田尻沢-0:30-谷川岳ベースプラザ[計7:35]

※状況によっては谷川岳ロープウェイ使用も検討(最終17:00)
田尻尾根分岐-0:10-天神平-[谷川岳ロープウェイ 1,250円]→谷川岳ベースプラザ
コースタイム1:40の短縮
※ベースプラザ~一ノ倉沢往復1:50

□目標通過時刻()内は行動中休憩時間
谷川岳ベースプラザ5:00/(30min)/ラクダのコル8:20/(10min)/トマノ耳9:50-10:00/オキノ耳10:10-10:20/(5min)/熊穴沢避難小屋11:40/田尻尾根分岐12:10/(10min)/谷川岳ベースプラザ13:50
〈休憩75分〉
谷川岳ベースプラザ5:00/(30min)/ラクダのコル8:20/(10min)/トマノ耳9:50-10:00/オキノ耳10:10-10:20/(5min)/熊穴沢避難小屋11:40/田尻尾根分岐12:10/天神平12:20
〈休憩65分〉

■エスケープルート
西黒尾根→引き返す(ただし滑りやすい鎖場があるため下山が困難な場合は谷川岳肩の小屋を目指す)
谷川岳周辺→天神尾根経由で天神平へ下山。緊急時は肩の小屋退避。
天神尾根→天神平へ下山、谷川岳ロープウェイへ。緊急時は熊穴沢避難小屋退避
田尻尾根→そのまま下山
※谷川岳ロープウェイ最終は17:00

■個人装備
□ザック □ザックカバー □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴紐 □帽子 □水 □行動食 □非常食 □ヘッドランプ □予備電池 □ゴミ袋  □軍手 □地図 □コンパス □エマージェンシーシート □筆記用具 □計画書 □常備薬 □学生証 □健康保険証 □現金 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)□日焼け止め  □マスク □タオル □着替え □消毒液orアルコール除菌シート □軽アイゼン(□充電バッテリー □ライター □新聞紙 □サングラス □リップクリーム □熊鈴 □携帯トイレ □替え靴下)

■共同装備
救急箱(苺):桐原
軽アイゼン(snow spike 黄・4):山口、榛澤

■地図
1/25000地形図:「谷川岳」「茂倉岳」
山と高原地図:「16 谷川岳・苗場山・武尊山」

■遭難対策費
100円×5人=500円

■決行判断
前日正午までに判断

■現地連絡先
群馬県警沼田警察署 0278-22-0110

■備考
□日の出・日の入り時刻
(参照:https://alumicase.com/acdc/mountain.html)
□過去記録
2021年度記録
2018年度記録
□その他連絡先
谷川岳肩の小屋 素泊まり2500円/人(要予約) 休憩無料 トイレあり 090-3347-0802
https://mmga.jp/yama/katanokoya/
谷川岳ロープウェイ 
土日日7:00-17:00 片道1250円 往復2100円 所要時間15分 3分間隔で運転
http://www.tanigawadake-rw.com
谷川岳登山指導センター
http://tanigawadake.ec-net.jp/index.htm
□コロナ対策 ※[raicho_all:461]
1. 遭難などの緊急時を除き、山小屋の使用を控える。
2. 長期休暇中は平日の活動を中心にする。
3. 山頂付近などの人が多いところでは長時間滞在しない。
4. 最大10人以内のパーティーとする。
5. 常に、パーティー内の連携を損ねない範囲で十分に距離を取る。
6. マスクを常用する。
7.水や食料は事前に購入しておき、登山山域での買い物を控える。また下山後の会食も控える。
8. テント内の人数は定員の半分程度とし、余裕をもって使用する。
9.メンバー全員が当日朝検温して担当者に提出。山行前の体調管理はしっかりと行い、少しでも風邪の症状がある場合は参加を控える。

2022/07/03 谷川岳ハイク記録
作成者:桐原
文責:桐原

■日程 2022/07/03(日) 前夜泊日帰り
■山域 谷川・武尊
■天気 晴れのち曇り、一時雨
■メンバー(敬称略)
CL桐原, SL小島, 山口, 鈴木, 榛澤

■タイムスタンプ
      --/04:00      谷川岳ベースプラザ 
04:10/04:13     西黒尾根登山口
       (休憩2回)
05:55/06:00  ラクダのコル
06:52/06:59  ザンゲ岩
07:10/07:10  天神尾根分岐
07:16/07:22  トマノ耳
07:34/07:59  谷川岳
08:08/08:09  トマノ耳
08:12/08:25  谷川岳肩の小屋
08:34/08:35  天神ザンゲ岩
08:56/08:59  天狗の留まり場
09:18/09:22  熊穴沢避難小屋
09:37/09:37  天神平・天神峠分岐
09:43/09:44  田尻尾根分岐
09:49/--      天神平

■共同装備使用記録(持ち出し→使用→返却)
軽アイゼン(snow spike 黄・4):桐原→山口・榛澤(※ともに使用せず)→桐原

■気付いた点・参考情報
[登山道概況]
・西黒尾根、天神尾根とも蛇紋岩が滑りやすいため降雨後は危険
・肩の小屋にて水購入可能(400円/500mL)
・残雪は軽アイゼンが不要な程度 ※例年より早く解けている可能性あり
・雷に注意(稜線・樹林帯ともに)
・雷雲が近づくと、ロープウェイが運休するので、天候に注意
・通信環境は良好
・鎖場は初心者の練習に最適
[周辺施設]
・谷川岳ベースプラザ駐車場 500円
・湯テルメ谷川:630円/人、貸しタオル150円
・谷川岳登山指導センター:仮眠可能(最大7-8人?)

■山行記(文責:桐原)
 山口さんと榛澤さんの運転で、夜の高速道路を快調に進んだ。日付が変わったころ水上ICを降り、そこから30分かからずに土合に着いた。東京の暑さに比べれば格段に過ごしやすい気温だが、それでも車内は少々蒸し暑い。
 谷川岳ベースプラザは、7階建ての建物の上部がロープウェイ乗り場で下部が全部立体駐車場という独特のつくりをしている。立体駐車場ゆえに天気に左右されず、雨が降っていても窓を開けて寝ることができる。虫はあまりいないし、またトイレも綺麗だ。一方で、非常口を示すランプが夜の間じゅう灯っているので寝るには少し明るい。また、これは車中泊一般にいえる話だが、他の車が次々に入ってくるので停め方によっては毎度毎度車のライトが眩い。終電で来て登山指導所で寝るのとどちらが快適かといわれると簡単には判断しがたいが、あまり眠れない可能性は考慮しておくべきだろう。

 翌朝3時30分起床。到着時よりも少しひんやりとした空気の中、身支度を整え軽い食事をとる。予定通り午前4時に出発。林道をしばらく歩き、西黒尾根登山口から「日本三大急登(3つ以上ある)」の一つに取り付く。急登で確かにきついが、段差は小刻みにとりやすく歩きづらさはそこまで感じない。まだ朝早く涼しいこともありがたかった。逆に日の高くなった時間にこの樹林帯の急登を行かされるのはちょっと勘弁したい。険しさの割に標高が低くかつ全国的に見ても暑い地域にあるため、暑さは谷川・越後の宿命といえる。
 1時間ほど頑張ると、ところどころで樹間に稜線や対岸の白毛門を窺うようになる。努力がすみやかに報われるのがこの山のいいところだ。さらに30分ほど登ったところで一気に視界が開け、武尊山や尾瀬の山々を望めるようになった。ここで樹林帯は終わり、あとは山頂までひたすら見晴らしの良い尾根を登る。
 ところどころ距離と高度感のある鎖場が待ち構えている。見た目のインパクトはあるが、少なくとも今回のメンバーではひどい困難を生じるようなところは無かった。鎖場を登りきるたびに、目指す山頂がぐいと近づく。これから進む道が、不自然なほどの仰角で望まれる。さらに上に目をやれば、雲一つ許さない青空が広がっている。待ちわびた、絶好の登山日和だった。朝のうちは。
 期待していた高山植物も素晴らしかった。全区間にわたってニガナの黄色い花が隆盛を誇る一方で、高度がぐんぐん上がるので次々と新しい花が見つけられるのも楽しい。最上部では、「ホソバヒナウスユキソウ」という珍しい花が咲いていた。エーデルワイスの仲間だが、この種は至仏山と谷川岳のみに生息する。難しい話は避けるが、至仏山やこの山の上部は蛇紋岩という特殊な地質でできていて(超苦鉄質岩)、通常の植物にとっては過酷な環境になっている。そのような環境に果敢な高山植物が適応した結果、固有の種が生じたのだそうだ。
 この蛇紋岩は、滑りやすいことでも有名である。滑りやすいといっても気を付ければいいぐらいに思うかもしれないが、この「滑りやすい」は舐めてはいけない。踏み歩かれて表面が磨かれたところが、本当に、面白いように滑るのである。歩かれて黒っぽくなったところを避けるのが唯一できる対策だった。慎重に蛇紋岩地帯の岩場を突破すると、急登がようやく終わって穏やかになる。
 絶景を楽しみ花を愛でながら進んでいる間、どんな山が好きか、山に何を求めるかという話になった。雷鳥は登山者が幅広くから集まるためだろう、山の好みが本当に多様である。今回は特に、展望第一(過激派)の鈴木さんと植物第一(過激派)の榛澤さんがいて面白かった。登山界をざっくり二分する対立構造の縮図を見ている気がした。そして、両者をすっぽりと包み込んでしまう谷川岳という山には頭が上がらない。引き合いに散々貶される雲取山からすれば、たまったものではないだろうが。
 短い雪渓を渡って、天神尾根と合流する。既に人が多い。肩の小屋は後回しにして、いったん山頂を目指すことにした。トマノ耳は目と鼻の先だった。小さな吊り尾根を渡って、7時35分、オキノ耳(谷川岳山頂)に到着。展望はとても良い。上信越の山が一通り見渡せる。東側はまっすぐに切れ落ちていて、怖くて覗くのも厭だ。世の中にはここを好んで攀ってくる人がいるのだという。狂気の沙汰である。休憩している間にもがらがらと落石の音が聞こえてきた。と思ったら、不意にその音が消えた。5秒以上置いて、谷のはるか深くから、おぞましい轟音が響き渡った。文字通り「落ちた」のだろう。定期的に人の頭ほどの岩が斜方投射されてくる世界。
 長めの休憩をとってから下山にかかるが、その短時間でますます混みあってきた。開山祭の日ということで覚悟はしていたが、やはり山で混雑に見舞われるのは街のそれ以上に辟易する。しかし、そんな開山祭の日ゆえのご褒美もあった。肩の小屋で、開山祭の記念品と豚汁が振舞われていたのである。山の上で絶景を前にして頂く豚汁、美味しくない訳がなかった。絶品でした。
 大変ありがたかったしもう少しのんびりしていたかったが、残念ながらそういうわけにもいかない。というのも、周辺の山では早くも積乱雲が育ち始め、じわじわとこちらへ向かってきていたのだった。まだ午前8時半である。早くから崩れることは重々承知だが、それにしたって早すぎる。山頂部には肩の小屋のほかに雷雨を避けられるところは無いし、しばらく降る予報なので長時間の足止めを食らうことになってしまう。急ぐしかない。この時点で、下山にはロープウェイを利用する方針をとった。
 天神尾根の下りはじめには少し緊張する雪渓があった。それを過ぎれば危険個所はほとんどない。少し急ぎ気味で下る我々とすれ違いに、まだまだ多くの登山客が登ってくる。西の方からいよいよ雷鳴がはっきり聞こえるようになってきたが、まだまだ登ってくる。中には随分な軽装の人もいる。繰り返しで申し訳ないが、「雷鳴が轟いているのに」である。人間はついに雷への本能的な恐怖をも忘れてしまったのだろうか。ガスがかかり始めた山頂を目指す人々の群れに、何事もないことを祈ることしかできなかった。(もちろん私たちがかなり慎重に「ビビッて」行動していたところもあるが…)
 さえぎるもののない尾根は間もなく終わって、樹林帯に戻ってきた。20分おきぐらいの頻度で雨雲レーダーを確認するが、このままいけば本降りに遭うことは無く天神平に着けそうだ。熊穴沢避難小屋で5分ほどの休憩を取り、再度出発する。樹林帯だからと言って吹き曝しより安全だと言うわけでは全然無いのだが、心理的な負荷はつい軽くなってしまう。…本能があっても結局人間は無能かもしれない。
 天神峠への分岐を右に分けたあたりから、ぱらぱらと雨が降ってきた。情報を見る限りはまだ雷雲本体から距離があるようだが、雷鳴はますます迫力を増してきて、先ほどまで右耳で聞いていたのが、頭上に響くようになってきた。焦らない、焦らない、言い聞かせながら、木道で滑らないように気を付けて進む。田尻尾根分岐から5分ほど山腹を巻く道を進んで、9時50分に天神平到着。
 ロープウェイ山頂駅では、「雷のためまもなく運転を見合わせます」という旨の放送が流されていた。間に合った。危ないところだった。

 午前10時下山という早さにして、非常に濃密な登山となった。下山後は湯テルメ谷川で汗を流し、前橋までのんびり下道を走り、素敵な昼食を探し求めた結果、「けやきウォーク前橋」のフードコートに落ち着いた。
 2人で運転を担ってくださった山口さん、榛澤さん、楽しい話で山行を彩ってくださった鈴木さん、そして、前夜泊への変更を提案して山行を成功へ導いてくれた小島に、改めて感謝の意を申し上げたい。楽しい日曜日でした。

■感想
〇桐原
・皆さんが頼もしく計画段階から積極的に携わって下さり、CLとして非常にやりやすく楽しい山行になりました。ありがとうございました。
・谷川岳は死ぬまでに最低1回は行きましょう。
〇小島
・最近の山行経験が乏しかったこともあり、西黒尾根はきつかったが、登りきった達成感と登りへの自信をゲットできた。
・久しぶりに絶景を堪能できて、嬉しかった。前泊を選択したことで、登りの暑さも軽減できて良かった。
・急な天気の悪化を経験する良い機会だった。桐原くんが的確に状況判断をしてくれたので、心強かった。
・夏休みに向けて体力回復を頑張りたい。
・車中泊では耳栓とアイマスクが重宝した。
・夜遅くの長距離運転、ありがとうございました。
〇山口
・高山の趣を比較的低い標高で楽しめる点がよかった。
・朝4時から行動した結果、雷雨・人混みを避けられたが、睡眠の確保が課題である。
〇鈴木
・晴天の下、眺望もよく、非常に楽しくハイクをすることができた。特に、頂上からの景色が格別だった。雨に降られずに登山を終えることができて良かった。
・樹林帯、岩場、残雪地帯といった多様な登山道を、1つの山だけで通ることができるので、非常に満足感のある山行になった。
・正直、車中泊で寝るのは難しかった。これは、今後の山行計画立案に生かしていきたい。
・山口さん、榛澤くん、運転ありがとうございました!
〇榛澤
・様々な高山植物を楽しむことができ、満足。
・また行きたい。