2022/10/14-15 那須岳
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
那須岳山行計画書第二版
作成者:河野
■日程 2022年10月14-15日(山中一泊二日、予備日なし)
■山域 那須・塩原
■在京責任者・助言役 桐原
■在京本部設置要請日時 10月15日19:00
■捜索要請日時 10月16日8:00
■メンバー(5人、確定)
CL河野, SL豊永, 加藤, 渡邉, 平島
■集合
タイムズ東京ドームホテル 10/14 6:15
■交通
首都高、東北自動車道で西那須塩原へ(3時間弱)。
黒磯板室IC手前で混雑状況を確認し入山口を決定。優先度は峠の茶屋駐車場>大丸駐車場>沼原駐車場
車両:シエンタ(練馬502 ワ8195 ブルー)
運転者:加藤、河野、豊永、渡邉
■行程
(1)峠の茶屋駐車場or大丸駐車場に駐車した場合
□1日目 計3:55(4:15)
(大丸温泉-0:20-)那須ロープウェイ山麓駅-0:15-峠の茶屋-0:45-峰の茶屋跡避難小屋-0:30-1860m付近-0:05-茶臼岳-0:10-1860m付近-0:20-峰の茶屋跡避難小屋-0:25-牛ヶ首-0:25-姥ヶ平下-0:40-沼原分岐-0:20-三斗小屋温泉
□2日目 計5:45(6:05)
三斗小屋温泉-0:45-1290m付近-0:50-大峠-1:30-大峠分岐-0:15-三本槍岳-0:20-北温泉分岐-0:30-熊見曽根東端-0:10-朝日岳分岐-0:10-朝日岳-0:05-朝日岳分岐-0:30-峰の茶屋跡避難小屋-0:30-峠の茶屋-0:10-那須ロープウェイ山麓駅(-0:20-大丸温泉)
(2)沼原駐車場に駐車した場合
□1日目 計4:20
登山口-0:20-沼原分岐-0:10-日の出平登山口-1:00-姥ケ平下-0:40-牛ヶ首-0:45-1,872m地点-0:05:茶臼岳-0:05-1,872m地点-0:20-峰の茶屋跡-0:35-沼原分岐-0:20-三戸小屋温泉
余裕があれば,峰の茶屋跡から朝日岳を周回。この場合,総CT5:55。
峰の茶屋跡-0:40-朝日岳分岐-0:100朝日岳-朝日岳分岐-0:15-熊見曽根東端-0:20-隠居倉-0:50-三斗温泉小屋
□2日目 計7:10
三斗小屋温泉-0:45-1290m付近-0:50-大峠-1:30-大峠分岐-0:15-三本槍岳-0:20-北温泉分岐-0:30-熊見曽根東端-0:10-朝日岳分岐-0:10-朝日岳-0:05-朝日岳分岐-0:30-峰の茶屋跡-0:25-牛ヶ首-0:25-姥ヶ平下-0:50-日の出平登山口-0:10-沼原分岐-0:15-登山口
※メンバーのコンディションやモチベ次第で三本槍岳をカット。
三斗小屋温泉-1:10-隠居倉-0:30-熊見曽根東端(計4時間25分)
■エスケープルート
(1)
□1日目
・峰の茶屋跡避難小屋まで:引き返す
・峰の茶屋跡避難小屋から姥ヶ平下まで:引き返すか山頂駅からロープウェイを利用して下山
・姥ヶ平下以降:三斗小屋温泉へ
□2日目
・三斗小屋温泉から三本槍岳まで:三斗小屋温泉に引き返す
・三本槍岳以降:そのまま進む
(2)
□1日目 引き返す(三斗小屋から2時間5分)
□2日目
・三斗小屋温泉から三本槍岳まで:三斗小屋温泉に引き返す
・三本槍岳以降:そのまま進んで山麓駅前へ
□注意点
・強風!
・剣が峰周辺のやせ尾根
・三斗小屋温泉から大峠までの渡渉(増水、道迷い)
■テント場、山小屋情報
□三斗小屋温泉 煙草屋旅館 テント場 2,200円/人
衛星電話:090-8589-2048 (案内所電話:0287-73-4567)
2000円/人 野天風呂(13:00-(翌)6:30)・トイレ・水場アリ 予約済 7張のみ
(女性は19時まで、女性専用風呂の利用可能)
https://www.mountaintrad.co.jp/~sandogoya/
■地図
二万五千分の一地形図「那須岳」
山と高原地図「那須・塩原」
■食当
1日目夜:渡邉
2日目朝:豊永
■共同装備
・テント(ステラ4加藤私物)
本体・フライ:加藤
ポール・ペグ:加藤
・テント(エアライズ3No.2)
本体・フライ:平島
ポール・ペグ:平島
・救急箱(有紗):河野
・鍋(月):渡邉
お茶大から調達(小梅):河野
・調理器具セット(ガジャマダ):渡邉
・ヘッド(緑7,9):河野
・カート×2:豊永
■個人装備
□ザック □ザックカバー □シュラフ (□シュラフカバー)□マット □雨具 □防寒具! □登山靴 □替え靴紐 □帽子 □水 □行動食 □非常食 □ブキ □コッヘル □ヘッドランプ □予備電池 □ゴミ袋 □トイレットペーパー □ライター □新聞紙 □軍手 □地図 □コンパス □エマージェンシーシート □筆記用具 □計画書 □常備薬 □学生証 □健康保険証 □現金 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)□日焼け止め □マスク □歯ブラシ □充電バッテリー □タオル □消毒液orアルコール除菌シート(□サンダル □サングラス □着替え □リップクリーム)□温泉セット*2
■遭難対策費
200円×5人 計1,000円
■備考
□日出・日没時刻(@茶臼)
10月15日 日出5:47 日没17:22
(参照:http://www.asahi-net.or.jp/~us2s-ksmr/sun/sunmoon.html)
■各種連絡先
□現地連絡先
栃木県警察那須塩原警察署 0287-67-0110
那須ロープウェイ https://www.nasu-ropeway.jp/guide/
□温泉
・大丸温泉 0287-76-3050 http://www.omaru.co.jp/onsen.stm
11:30-14:30 入浴料1000円
(那須ロープウェイ山麓駅からバスで1つ先の停留所「大丸温泉」下車or徒歩15分)
□コロナ対策※[raicho_all:461] 5/26より一部改定
1. 遭難などの緊急時を除き、山小屋の使用を控える。
2. 長期休暇中は平日の活動を中心にする。
3. 山頂付近などの人が多いところでは長時間滞在しない。
4. 最大10人以内のパーティーとする。
5. 常に、パーティー内の連携を損ねない範囲で十分に距離を取る。
6. マスクを常用する。
7. 水や食料は事前に購入しておき、登山山域での買い物を控える。また、下山後の会食も控える。
8.テント内の人数は定員の半分程度とし、余裕をもって使用する。
9. メンバー全員が当日朝検温して担当者に提出。山行前の体調管理はしっかりと行い、少しでも風邪の症状がある場合は参加を控える。
□参照
・気象庁 火山活動の状況(那須岳)
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/301.html
・過去の記録
https://raichohp.stars.ne.jp/records/old-by-area/nikko-area.html
2021年度記録
那須岳山行記録
■日程 2022/10/14−15(金土)
■山域 那須
■天候 1日目 曇りのち晴れ 2日目 晴れときどき曇り
■メンバー(5名)
CL河野(41)
SL豊永(41)
・加藤(41)
・渡邉(41)
・平島(41)
■タイムスタンプ
□1日目 (10/14)
10:25 大丸駐車場 発
10:41 山麓駅着
↓ 那須ロープウェイ(4分)
11:04 山頂駅発
11:11-18 1723m地点 (デポ)
11:50-12:10 茶臼岳
12:48-13:00 1723m地点 (デポ回収)
13:22-38 牛ヶ首
14:01-10 姥ヶ平
15:24 三斗小屋温泉 着
計 3時間 32分 (+休憩1時間半)
□2日目 (10/15)
6:38 三斗小屋温泉 発
8:42-59 大峠
10:23-35 鏡ヶ沼展望所
10:58-11:34 三本槍岳
12:48-53 1900m峰
13:09-14 朝日岳分岐 (デポ)
13:18-29 朝日岳
13:33-48 朝日岳分岐 (デポ回収)
14:27 峰の茶屋跡避難小屋
15:00-05 峠の茶屋登山口
15:14-20 ロープウェイ山麓駅
15:33 大丸駐車場着
計 6時間 43分 (+休憩2時間)
■総評
雄々しい火山容、見ごろを迎えた紅葉、開放感のある山中での温泉、食当による満足度の高い山メシ、気が置けない同期との交流など、どこをとっても充実した山行となった。那須岳は危険個所も少なく何より三斗小屋が素晴らしい。新入生の泊まり入門や交流目的のゆるハイクでぜひ行ってみてほしい。
■ルート概況等
□入山前について
・紅葉期の那須は非常に混む。三斗小屋のテント場は7張しか空きがないため、山行日の3日前の午前7時の予約開始とともに電話することを強く推奨。
・車アクセスの場合、駐車場のキャパに十分留意する。特に峠の茶屋駐車場は休日で条件の良い日には深夜に満車になることが往々にしてある。比較的すいている沼原方面からの行程も計画しておくと安心。今回は那須高原渋滞情報公式ツイッターで情報収集し、大丸駐車場に空きがあることを確認してコースを決定した。
・車酔い(?)による体調不良者が出たため、荷物を分散しロープウェイでアプローチ。
□ルート概況
大丸から山頂付近は登山者も多くこれといった難所はない。
•牛ヶ首、姥ヶ平付近の紅葉は非常に見事。
・牛ヶ首〜姥ヶ平、三斗小屋〜大峠間はぬかるみがち。気になる場合はゲイター携行を推奨。
・三斗小屋から大峠にかけて渡渉が3か所ある。いずれも苔で滑るので転倒に注意。
・大峠から1,900m峰付近は人1人分程度の道幅。すれ違い、追い越しに注意。
•今回は三本槍から朝日岳近くで最も強い風が吹いた。
・朝日岳は不安定な岩場。風も強いので煽られないよう注意。
■山行紀
□1日目 平島
6時30頃地下駐車場に集合し、レンタカーで那須へと向かう。車の広さはそこまで余裕がなかったが、荷物はなんとか後ろに収まった。狭めの最後尾の席に座ったのは豊永さんだったが、早速適応して荷物を背にくつろいでいた。道中、大丸駐車場のライブカメラを見るとかなり空いている。本当に最新の映像なのか心配だったものの、ちゃんと映像は動いていたため大丸駐車場へと向かうことに決め、実際に着くとちゃんと半分ほど空いていて安心した。
1人、酔いからか軽い体調不良を訴えていたこともあり、ロープウェイを使うことに。本人曰くロープウェイでは上昇負荷を感じたらしい。山頂までにさらなる上昇負荷を感じないよう祈っていたら、歩いているうちに少しずつ回復していったようで安心した。
茶臼岳山頂へはピストンなので途中の分岐で早々にデポし、軽くなった荷物に「ハイクどころか遠足だね」と言いながら登っていく。登山客が小人に見えるほどの巨岩に感嘆していると、脇には朝日岳の尾根の緑に紅葉が映えていた。山頂では周囲に雲が多く眺望はそこまで良くなかったが、風雨を耐え抜いた木の鳥居と可愛らしい石の社が火山らしい岩々と絶妙にマッチしていた。集合写真を撮っていただき、そこからお鉢巡りをして下っていく。途中、気づいたら加藤が岩の上に両腕広げて寝転がっていた。うつ伏せで。
デポしたものを回収して牛ヶ首へ向かっていく途中から、まるでそこだけ絵の具をこぼしたような、一際鮮やかな紅葉が堪能できた。牛ヶ首からは茶臼の荒々しい姿が見える。頂上付近はまるで中世の城の砦に見えた。この辺りで、豊永「渡邉太郎速い」 渡邉「これが世界標準です」 豊永「自分が世界と思わないで」と、速く進みがちな渡邉が先頭を罷免され、流れで僕が先頭になった。
ここからは鮮やかな紅葉の中を進むことになる。これが普通の木でなく低木なので、さながら花畑の中にいるような気分である。程なくして姥ヶ平の公園のような広場に出るが、ここから見える茶臼岳が紅葉と緑と岩肌と青空の欲張りセットで、とにかく最高だった。ここにブランコとかあったらもっと最高。しかし姥ヶ平からの出口は大きな水たまりになっていた。ここから先、ぬかるみが度々こんにちはしてきて気分が下がったが、それらの中でも突出して大きいのがここだった。
そうして色とりどりの樹林の中へ進んで行き、しばらくすると煙草旅館に着いた。ここのスタッフの方が親切で、テント場の我々にも温泉はいつ頃入るといいなどオススメしてくださった。テントを張ったあとは野天風呂に入る。最高。小屋で売っているビールを持ってきて飲んでいるお客さんも多くて面白かった。その後は渡邉プレゼンツの夕食の美味しい鶏鍋と雑炊を、渡邉がまさかの瓶で持ってきた日本酒とともに楽しむ。このとき加藤・渡邉は納豆混ぜない派だという話で結託していた(どうも泡(?)がだめらしい)が、後に主義主張が合わず分裂していった。その後今度は内湯に入り、渡邉は小屋の脇に流れるお湯を使って少し残った酒瓶を熱燗として楽しんでいた。そうして8時半ごろに就寝。
(翌朝のことにはなってしまうが、少し早起きして野天風呂にもう一度入った。自分の影ができるほど月が煌々と輝く中入る朝風呂はこれまた最高である。多少冷えた体も芯から温まり、また流れ星らしきものも見ることができた。これを実質貸し切り状態で堪能できたのもまた素晴らしかった。)
□2日目 河野
気温はそれほど低くならず快適な眠りを遂げることができ、19時に就寝してから目を覚ましたのが午前2時でご満悦。お手洗いをしにテントを出たところ、月明かりで辺りが明るい。独り占めの夜を少しの間楽しんだ。4時半起床。渡邉くんと平島くんは朝風呂を楽しんでこれまたご満悦の様子。豊永の朝食作りの間にそれぞれ見た夢を共有した。知らない中学生を午後4時から両神山に連れて行く夢が一例。昨日は「んなぁ〜」しか言わずなれ果てのようだった豊永も大方人間に戻っていて良かった。
朝食はナスとツナのオイルペンネ(?)。和風で味付けされた油を惜しみなく使ってナスとツナを炒め、茹でたペンネを絡ませた一品。鳳凰三山の朝食の量で憂き目にあった反省から、ペンネの量を慎重に調整する。肝心のお味は満場一致の大絶賛で、「ナス最高!なすだけに」とオヤジギャグを連発する。海苔の味変も絶妙である。しかし茹で汁の残りを卵スープにしようとしたところ、誤って鍋ごとひっくり返してしまうアクシデントが発生。加藤のステラリッジがでろでろになった。前日に心意気を少々こぼしたときのアルコール芳香が中華スープのにおいで上書きされる。渡邉家のフローラルな香りのするロールでさらに上書きする。ちなみに加藤家はシングルである。
でろでろステラの後始末や夕べ履いた防寒スパッツを出発直前に脱ぎだすなどして出発が遅れる。テント撤収時に平島くんのスマホが無事発見されたのは幸いである。ペグを打ち直したときにポケットからこぼれていったようだ。
準備している間に大峠までの登り返しや総CTに不満があがり―遠慮のないメンバー同士がパーティを組むととことん怠惰ちゃんになる傾向にある気がする―、北上せずに隠居倉方面から三本槍•朝日岳に登らないかという案が出てくるが、CLがうっかり当該の行程を計画書に載せ忘れていたので怠惰への道は潰えた。三斗小屋をあとにする際、小屋のお兄さんが「大峠までの道、分かる?」と声をかけてくださった。ここのスタッフさんは気さくで善い人たちばかりで、私はそういった意味でも三斗小屋を大変気に入っている。今年もお世話になりました。
三斗小屋から大峠までは前述の通り登り返しである。正確には尾根と谷をいくつも横切る起伏のある道を通ることになる。
このあたりは落ち葉が多く、日もあまり当たらず地面がぬかるみがちだ。片方が急斜面になっているところは適宜緊張感をもちつつ黙々進んだ。道は多少整備されてあるので通行はそれほど難しくないが、登山道上になぎ倒された藪が少々邪魔。渡渉は3箇所、苔むす岩で滑るので転倒には要注意。3つあるうち、1つ目は登山道よりやや上流から渡渉、2つ目は倒木をつたって渡渉、3つ目は対岸の登山道がわかりにくいため渡渉前に確認することがポイント。CLらしいところをここまで一度も見せていないため、渡渉では足場の状態を後続に伝達する。豊永はそれをガン無視して倒木を股にかけてスライド渡渉する。ここの紅葉も十分見事なのだが、昨日散々絶景を見たためか「何も感じなくなってきますな」と後方から失礼な声が聞こえる。贅沢な輩は無視して進む。人の姿は見えず静かな山道である。
大峠で一本。塩味の行動食を携行し忘れた渡邉―筆者も甘いものを選びがちなのでよくわかる―に、じゃがりこの塩&ゴマ油味を分けたら喜んでいた。返礼としてチョコレート効果を頂く。いつもカロリー/円を気にしている彼の割にはおしゃれなチョイスである。前日加藤にウィダーインゼリーの価値を前借りしていた豊永は、精算としてじゃがビーを取られていた(ささげていた)。
ここからは気持ちの良い稜線歩きだ。西を見れば北関東らしいどっしりした流石山の山容とクマザサの草原に疎らに生えている紅葉、屈曲しながら伸びる登山道を望むことができる。思い思いの画角で写真を撮った。標高を上げるほど展望が良くなっていくので、振り返って写真を撮る間隔が短くなってなかなか進まない。風を遮るものがなく、小休止をとっても早く行こうよと(主に寒さに負けた筆者が)いうことになるのだが、通りがかりの夫婦に「ここから見る池、きれいよね」と声をかけられ足を止める。下の方はガスが遊動していたため池があることに気づいていなかった。少し待つとターコイズブルーの小さな池が姿を見せてくれた。先日の日光白根で見た池となんとなく似ていて綺麗だ。佳景の取りこぼしを回収して安心したので歩みを進める。瓦状の岩がカラカラと小気味良い音を立てる。
三本槍は人で賑わっている。去年ここに来たときはガスで視界がなかったので、晴れ模様をバックに山頂の標識を収められて嬉しい。風が相変わらず冷たく、渡邉くんがお湯を沸かしてくれた。コーヒーが苦手な筆者は白湯で体を温めた。平島くんがくれた抹茶キットカットも好物なので嬉しい。しかしティータイムを楽しんでいるうちにどんどん雲が湧き上がり、集合写真を撮る頃には完全に展望がなくなってしまう。寒いのでダウンに雨具の姿でカメラに写ったところ、持ち前の丸顔も相まって雪遊びしに来た田舎の童みたいになって面白がられた。
このあたりから一気に登山客が増えて、狭い道を大体譲りながらのんびりと歩く。
徐々に火山然とした景色が見えるようになってくる。地すべり(?)で紅葉を支える地盤が露出し、色彩美の中に豪壮な印象を強烈に残してくれる。この時期だけの彩りも好きだが、自然のダイナミズムが生み出した荒々しい光景ー槍穂の岩稜帯や最近で行ったところでは登別地獄谷ーのほうがパッと面が白くなるような高揚感をもたらしてくれて、かならずしもそこを踏破したいという気持ちが湧く訳ではないが私は好きだ。加藤は推しアイドルのアクキーを山に持っていき現地で写真を撮る夢を遂に実現した。
朝日岳分岐手前は道がだだっ広い。荷物をデポし空身になって、5分登ったところの頂上を目指す。後方から解放された渡邉は持ち前のスピードで快調に登っていく。山が久々の平島くんの健脚ぶりにも驚かされる。豊永ははるか後方で歌っている。岩の重なる不安定でそれほど広くない頂上には多くの人が賑わっていた。頂上の鳥居をかたどった石とミニ卒塔婆に、去年までなかったミニ地蔵が加わり、こちらに微笑みかけてくれる。混雑していて道標が空かないので、紅葉のよく見える場所で気の良い紳士婦人パーティにチヤホヤされながら写真を撮っていただく。お礼にチヤホヤしながら紳士婦人をお撮りする。渡邉「お撮りしますよ〜」河野、豊永「かわいいよ!」「いいねーッッ」
剣ヶ峰付近では名前の通り急峻な痩せ尾根を渡っていく。時刻は14時とかなり遅めだったため、大体の人が下りに利用しており、一方通行の道もほとんど問題なく通過することができた。トラバースの鎖場を繋ぐボルトには去年までなかったスプレー跡があり、張り紙によるとぐらついているので注意とのことだ。
少しだけ西に傾いた陽が剣ヶ峰を照らして逆光になり、神々しい。
剣ヶ峰を通過するとあとは峰の茶屋を経由し駐車場に戻るだけ。勾配のほとんどないウィニングロードで最後の紅葉を楽しむことになる。
西日がさらに傾いて徐々に視界が赤らんでいく。その中で見る紅葉は、昨日見たそれとはまた違った感興があった。ちょっとのんびりしすぎたかなという反省はあるものの、この時間の景色を見られたことに喜びを覚える。立派なカメラを携える人たちの気持ちもわかるものである。と、趣のあることばかりを書き残しているが、実際には空腹もひとしお、「中華が食べたい」と雑念も相当あった。現地の気分で決めようという話であったロープウェイの利用についてはコスパを鑑みて素通りすることにした。すぐ下山できる気でいたため、意外と駐車場までの道が長くて辟易した。
コンクリートの下り坂と階段をダスダスと雑に下りて足の裏が痛くなってきた頃に大丸駐車場に到着。在京の桐原くんにはそれはもう遠足帰りの子供のように2日間の出来事を語りたかったのであるが、「良かった…とにかく良かった」などと興奮気味に話してアホな先輩だと思われては困るので自制し、遅めの下山を謝罪することに留める。殺生石はなんとなく私だけ見に行かなかったが曰く良かったらしい。
温泉「那須山」で汗を流したら、せっかく栃木に来たということで向かいの中華料理店へ。無印の餃子、紫蘇餃子、水餃子を注文。5個入りなので仲良く1個ずつ頂く。紫蘇が気に入った。麺類は加藤、平島、河野が塩湯麺を、伊吹山帰りの味仙で味覚をぶっ壊した渡邉と豊永はシビレ増しの麻婆麺や担々麺を注文。塩湯麺はしっかり旨みの効いた野菜が特に美味しかった。帰りは車内5回目のKICK BACKを聴いたり突如上がった花火に歓声を上げたりしながら東京に向かった。一番後ろの席はひしめき合うザックで閉塞感がすごく、豊永が酔ってしまうのも無理ないなと思ったが、楽しい二日間の思い出に浸るにはちょうど良い場所だと4人の後ろ姿を見てそう思った。
■メンバーコメント
□河野
・去年惚れ込んだ那須に、今年は天候・体調ともにより良いコンディションで登ることができて良かった。体調の良い山最高。
・最後の運転、車庫入れは河野担当だったが渡邉くんの的確な指示でうまいこといった。いつもありがとう。
□豊永
・今回コンディションがイマイチというかかなり悪い方に傾いていた人間ですが、皆が配慮してくれたお陰で楽しく両日登ることができました。感謝。
・温泉サイコー!紅葉サイコー!美味しいご飯……サイコー!
・今度までにタイムズカードを作っておきます。
□加藤
・那須岳、紅葉、温泉×2、宇都宮餃子、(花火)と、栃木を満喫出来て良かった。
・2日目は浅いけど難易度の高い渡渉が多くて楽しかった。
・秋/冬の山行は鍋が最高ですね。いつもながら、美味しいご飯をありがとうございました。
□平島
・テン場に野天風呂ついてるって最高ですね。特に朝風呂オススメです。
・紅葉を味わうのんびりペースのおかげで、半年ぶりの割に問題なく登れて安心した
・運転してくれた人々本当にありがとう
□渡邉
・紅葉がやはりちょうど見頃で、紅葉狩りにしてかなり良かったと思います。皆さんありがとうございました。
・三斗小屋温泉の風呂上がりの温泉熱燗、そして露天風呂での流れ星を見ながらの早朝の星見風呂は、中々忘れ得ぬ体験でした。山行中に風呂に入ると、体が山行終了カウントしてバグってしまうので、嬉しい悲鳴を上げてしまう。
・加藤、タレカツくらい食え。