2023/2/25 丹沢トレーニング

山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
丹沢トレーニング山行計画書 確定版

作成者: 小島・桐原
■日程 2023/02/25(土)、予備日 なし
■山域 丹沢
■目的 体力アップ↗
■在京責任者・助言役 大塚
■在京本部設置要請日時 2023/02/25(土) 20:00
■捜索要請日時 2023/02/26(日) 9:00 

■メンバー(3名) 
CL小島, SL宮島, 桐原

■集合・交通
□集合
6:40 本厚木駅集合
□行き
本厚木 6:55//7:40
三叉路 7:39/8:26 
660円
□帰り
大倉  16:10/16:18/16:38/16:55/17:08/17:35/17:48/18:08/18:38/19:08 最終20:39
秦野駅 所要時間22分
■行程
三叉路-1:00-御殿森ノ頭-1:10-金冷シ-1:40-本間ノ頭-1:10-太礼ノ頭-0:50-丹沢山-1:20-塔ノ岳-1:05-小草平-1:25-大倉
[計9:40]

□目標通過時刻
三叉路7:50/丹沢山13:40/塔ノ岳14:40/大倉16:10

■エスケープルート
丹沢山まで:三叉路に戻る 8~17時 各51分
丹沢山から:大倉に下りる

■個人装備
□ザック □ザックカバー □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴紐 □帽子 □水 □行動食 □非常食 □ヘッドランプ □予備電池 □ゴミ袋 □軍手 □地図 □コンパス □エマージェンシーシート □筆記用具 □計画書 □常備薬 □学生証 □健康保険証 □現金 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)□日焼け止め □マスク□タオル □着替え □消毒液orアルコール除菌シート(□充電バッテリー □ライター □新聞紙 □サングラス □リップクリーム □熊鈴 □携帯トイレ □替え靴下)

■共同装備
救急箱:桐原
軽アイゼン:個人装備

■地図
1/25000地形図:「青野原・大山・秦野」
山と高原地図:「29丹沢」

■遭難対策費
100円×3人=300円

■決行判断
前日17時までに判断→決行

■現地連絡先
松田警察署 0465-82-0110
秦野警察署 0463-83-0110
みやま山荘 090-2624-7229
尊仏山荘 070-2796-5270

■備考
□日の出・日の入り時刻
AM6:18 ・PM5:34
□コロナ対策 ※[raicho_all:461]
1. 遭難などの緊急時を除き、山小屋の使用を控える。
2. 長期休暇中は平日の活動を中心にする。
3. 山頂付近などの人が多いところでは長時間滞在しない。
4. 最大10人以内のパーティーとする。
5. 常に、パーティー内の連携を損ねない範囲で十分に距離を取る。
6. マスクを常用する。
7.水や食料は事前に購入しておき、登山山域での買い物を控える。また下山後の会食も控える。
8. テント内の人数は定員の半分程度とし、余裕をもって使用する。
9.メンバー全員が当日朝検温して担当者に提出。山行前の体調管理はしっかりと行い、少しでも風邪の症状がある場合は参加を控える。

2/25 丹沢トレーニング山行 記録書
■日程 2023/02/25(土)
■山域 丹沢
■山名 丹沢三峰
■天気 晴れのち小雪
■メンバー(敬称略)
CL小島 SL宮島 桐原


■総評
はじめこそ晴れていたが、途中から雪が降り始め、あまり変化に富みにくいルートが変化に富んだものに感じられた。三峰は歩きごたえ満点で、しっかりトレーニングできました。


■タイムスタンプ
07:53 三叉路
08:35/08:40 550m鞍部
09:10/09:21 高畑山
9:45 金冷シ
10:20/10:35 1047m地点下
11:17/11:28 本間ノ頭(東峰)
11:51/11:56 円山木ノ頭(中峰)
12:13 太礼ノ頭(西峰)
13:04/13:29 丹沢山
13:48 竜ヶ馬場
14:25/14:50 塔ノ岳
15:00 金冷シ
15:15 花立山荘
14:42/14:59 堀山の家
16:11 駒止茶屋
16:31/19:39 見晴茶屋
17:12 大倉


行動7時間19分、休憩2時間00分 CT×0.75 (休憩込みでCT×0.96) 




■記録(桐原)
 本厚木から宮ヶ瀬方面へ向かうバスの乗り場は少し分かりづらい。北口を出て道路の向こう側にある。一番乗りは私だったが、すぐに宮島さん、小島もやってきた。朝早い集合かつ皆それぞれにタフな日程をこなしている中での本厚木駅6時40分だったが、誰も遅刻することなく予定のバスに乗り込むことができたので一安心。車内には登山客が他にもいたが、そこまで多くはなく立ち客もいない。表丹沢に比べると人気がない山域なのか、単に今日の天気予報によるものなのかは、分からない。ひとまず乾徳山以来の再会の挨拶と、記録担当決めを行う。といっても二人とも他山行の記録(結構昔のやつ)を抱えているので、選択の余地は無かった。
 バスは大山を左手に厚木の街から離れていく。途中の仏果山登山口で登山客のうち半分くらいは降りていった。あの伝説の東丹沢ヒル事件の聖地がこの辺りであるかと、いたく感動しつつ、湖づたいにもうしばらくバスに揺られる。宮ヶ瀬湖の水はかなり少ないように見え、普段は水面下に沈んでいるはずの層状の岩壁が現れている。橋を渡った先、三叉路で下車。ヤビツ峠方面に車道を少し進んだところに登山口があった。丹沢にしては、主張の弱い登り口だった。これから雪になるというのが信じられないくらい、空は晴れ渡っている。
 計画書の修正を済ませてから出発。登りは、小島、宮島、桐原のオーダーで進んだ。はじめのひと登りで尾根に出ると、あとは山頂までひたすらこの尾根をたどって行くことになる。冷え込みは厳しくなくて、登るとすぐに暑くなる。ビジターセンターのほうから上がってくる尾根を合わせたところで小休止。服装調節をする。
 基本的に景色は単調で、雑木林の尾根を、ところどころ山腹を巻きつつ進んでいる。道は細く、斜度のきつい崖側に落ちないよう注意が必要だが、登り勾配は緩やかなので、皆会話する余裕を持って快調に進む。タフな日程と先述したが、小島は前日ブラアカの演奏会へ行って遅くに帰り、宮島さんも2週間のハワイ滞在(!)から帰国して日が浅い。かく言う私も昨日北海道の隅っこから帰ってきたところだ。大学生の春休みというのは、案外忙しいものらしい。
 しばらく巻いた後で分岐を左手に分け、くいと登ってたどり着いた高畑山山頂で休止。私が稚内土産を配り、宮島さんがハワイ土産を配り、小島が「何だったか忘れちゃった」と言って何なのかよく分からないものを配った。恐る恐る食べてみると、美味しかった。山頂からの展望は無い。というか、丹沢山まで全区間を通して展望は乏しい。今は木々が葉を落としていて樹間に大山や市街をちらと覗けるからいいものの、山の青い季節にはより苦行味の強い道になるだろう。
 高畑山から先は、しばらく尾根の北面を巻く。日陰に入ると肌寒く、残雪もちらほら。少々心もとない桟道などを渡りながら歩いていく。尾根に戻ったあたり、金冷シ周辺は両側が切れ落ちており、高度感はないが要注意。踏み跡も少し紛らわしく、一回誤った道に入りかけた。松小屋ノ頭を巻き終えた鞍部の標高は850mほど。ここから1344mの本間ノ頭まで、長い登りとなる。高畑山から一本で行くのは厳しいので、登りの途中で一回休止をとって、改めて坂道に食らいつく。晴れていた空は、ちょうど大山ぐらいの高度に垂れ込めてきた雲によって、ぴったり蓋をされてしまった。天気の移り変わりは本当に速い。
 行きのバスで見かけた人が、後から追い付いてきた。私たちに「はやいですね」と声を掛けて、追い抜いて行った。この方とはこの後抜いたり抜かれたりを繰り返すことになるが、三峰周辺で出会ったのはこの方ただ一人である。出会ったという意味では、動物には会った。子連れのイノシシが登山道近くの山腹を横断していった。駆除の進んでいる表側に比べると、こちら側の山域はまだまだ多くの鹿や猪が棲息しているらしい。そんな、人より獣の気配のほうが濃い山の中を登っていく。
 天気は悪化し、とうとうあられが降り始めたが、登りはまだ終わらない。宮島さんが少し辛そうに見える。ちなみに、私も割としんどい。一方の小島はまだまだ元気そう。普段から走っているという人間の体力は本物だ。やっとの思いで、本間の頭に到着。ドミノ倒しのようにみんなの口から次々「疲れた」がこぼれた。無言の同意で休憩をとる。「ここから先は少し緩やかになるよね」宮島さんが願望20%含有の声で言うと、小島が「そんなこともない…」とにべもない正答を返した。
 実際、この道の厄介なのはここからアップダウンを繰り返して全然高度が上がらないことである。しかし、進むしかないので頑張る。あられが落葉を叩いて、森はちりちりちりという独特の音に浸っている。林床は粉砂糖をまぶしたみたいにまばらに白くなっていく。何も考えないようにして無名の峰を越え、お昼前に円山木ノ峰到着。特に思い入れはないが写真を順番に撮り合う。この辺りからあられに雪が混じってきた。微妙な斜度の木梯子があられと雪で滑りやすくなっていたがそれ以外の大きな問題はなく、三峰最後の頂、太礼ノ頭に到着。ここで先ほどから付かず離れずでいた例の方に道を譲る。丹沢山までは2.5km。すでに8km以上の道のりを歩いてきた我々には、「もう少し」という印象で映った。すぐ下の鞍部を過ぎると、最後の登りにさしかかる。
 あられは完全に雪に変わっていた。林床は真っ白でさすがに砂糖のかけすぎ。あまりにも本降りになってきたので、一旦立ち止まってレインウェアや手袋を着込む。態勢をととのえて登りに挑むが、どうにも調子が上がらない。体は正直だ。ここまでの区間で着実に蓄積した疲労が牙をむいて、なんでもない登りが苦しい。この辺りには元から残雪があったのだろう、硬く締まった雪の上に折からの新雪が乗って、これまでより滑りやすい。足の踏ん張りは徐々に効かなくなり、しかも、足を置く場所を工夫するような心の余裕を持てなくなっている。太ももが痛い。立ち止まりそう。個人的に、こんなに登りで辛いのは久しぶりだった。前の二人も相当辛そうではあるが、着実に前に進んでいる。少しずつ二人の背中が小さくなる……。落ち着け。まずは乱れがちになる呼吸を整える。吸うことより吐くことを意識。そして小刻みに歩く。一定の歩幅で。大丈夫、大丈夫、言い聞かせながら登る。
 雪の多孔質は、音という音を全部吸い込んで、山に一層の静寂を与える。雪を踏む自分の足音と、必死の脈動と、呼吸のリズム、それ以外のものは一切聞こえない。大丈夫、大丈夫。我慢の時間がしばらく続いた。
 長い登りも、山頂が近づくにつれ傾斜は緩くなっていき、やがて道は木道に変わった。何とかなりそうだという安堵が滲み出てきたところで、不意にみやま山荘が現れ、視界が開けた。着いた。……着いた。
 山頂には先客が数名いた。小屋の中にも何人かいる。気温は氷点下3℃。さすがに寒い。最後の登りで嫌な汗をかいたので、空腹を我慢して汗の処理を優先する。防寒具をしっかり着込んで、やっと安心。縋るようにグラノーラを貪った。私にはそれ以上の記憶があまり無い。けれども、みんな無言…というわけでもなく、二人とも疲れたといいつつ理性の管轄内といった感じだった。非常に頼もしい仲間と歩いているらしい。
 長めの休憩ののち、山頂の看板で写真を撮り、後半スタート。ここからは私が先頭を歩かせてもらうことにした。塔ノ岳までは、小さなアップダウンを繰り返す道。休憩して体力も回復したことだし、大丈夫だろうと思っていたのだが、なんでもない登りで足が攣りそうになって止まってしまい、見立ての甘さを知った。これ以上足を引っ張って(両義)迷惑をかけるわけにはいかないので、歩荷用に持っていた水を捨てる。荷が軽くなって、歩けなくなりそうな事態からは脱出した。
 雪は降りしきっているが、幸い風はない。もちろん、風が弱いことをCLの小島がしっかり確認した上で決行判断をしてくれているわけだから、幸いと言いつつ適切な判断の結果ではある。2ヶ月前にもここで雪に見舞われたが、その時は風が強めで、美しい霧氷が見られた。対して今日はしんしん降り。すでに道には数cmの雪が積もり、笹も木々も白化粧している。同じ道・似たような天気なのに、全く表情の違う稜線を歩いているのが面白い。
 足取りは少し持ち直してきて、最後の登りは順調に進んだ。14時30分ごろ塔ノ岳山頂に到着。残念ながら視界は皆無。宮島さんは3回目の塔ノ岳にしていまだに晴れたことが無いらしいのでちょっと可哀想である。ただ、気温は2℃ぐらいまで上がって風も無く、天気の割には過ごしやすい山頂だった。登山者もちらほら行き交っていた。
 しばらく休憩ののち、大倉尾根の下山を始める。バカ尾根と不憫な渾名がつけられているこの尾根だが、効率よく高度を下げるという点においては他のどんな登山道よりも優れている。しかも今日は白がたっぷりと降り積もって普段とは全く異なる趣があるので、冗長な印象は全然無い。雰囲気がsilentみたいだと小島が言った。彼がsilentを観ていたことの方に驚きつつも、何となく耳を澄ませ空を見上げる。音ひとつ立てずに、降っている。手袋の上に載った雪の結晶は、気温が低いので、平地のそれよりも時間をかけて、六方晶特有のうつくしい対称性を保ちながらゆっくり溶けていった。まるで言葉のように。
 花立山荘まで来ると、ガスが切れて秦野や平塚の街が見えた。さらに堀山の家まで来ると、雪もほとんど止んだ。ここで一度休憩を挟む。今日は2月25日、二次前期試験の日だ。受験生は今頃数学を解いている頃だろうか、などと話しつつ健闘を祈り、ついでに自分達の無事の下山も祈っておく。休憩後も比較的いいペースで進んだ。階段地獄も突破し、見晴茶屋で最後の休止。小屋で休んでいた方に挨拶をすると、「いいね〜若いね〜」と言われた。何をもって若いねという感想に至ったのか、若いことの何が良いのか、それらは決して明示されない。
 植林の森に代わり、一段と暗い道になったが、もう心配はない。大倉高速道路を順調に飛ばした。日没まで1時間の猶予を残して、大倉に無事下山。渋沢駅でバイト帰りの小西と合流し、湯花楽で汗を流しお腹を満たしてから帰った。


■ルート概況
・高畑山まで全く問題なく
・岩尾根の続く付近になると、一部ルートが不明瞭になる箇所あり(下図丸の部分)
・三峰を通過し、丹沢山への最後の登りの付近で、道が雪に埋もれて来てしまい、これであっているのか少し不安になる場面があった。
・丹沢山まではほとんど人に会わなかった。






注意点
・三峰登山道は、尾根のトラバース等で若干の悪路がある。
・風が弱い予報だったため決行したが、ある程度の風がある時には非常に寒くなるので、中止を判断したほうが良い。


・多少の雪でも早い段階で雨具を着たほうが良い。
・下りが下手の人は、泥で汚れるので、スパッツがおすすめ。
・汗をかくと寒いので、服装の加減に注意


■感想
◯小島
・スタート時の快晴からの降雪と、雰囲気も変化に富んでいて楽しかった。ヤマテンの予報の正確さのおかげで安全な山行となり、良かった。
・三峰の登山道は雪が被って来るとわかりにくかったので、こまめなルートチェックをしながらCLとして先頭を歩けて良かった。
・多くのアップダウンも、雪のおかげで気が紛れて気持ち的には比較的楽だった。
・大倉尾根を歩く桐原のペース配分が絶妙で歩きやすかったので、見習いたい。
・丹沢山への登りで足が攣りそうになったので気をつけたい。
◯宮島
・たのしい会話を励みに歩き通すことができました。雪景色もうつくしく、silentを観たくなりました。
・丹沢三峰の登りでは体力不足を感じさせられました。熊野で足を引っ張らないよう(両義)努力します。
・おふたりとも先頭を歩いてくれてありがとうございました。今年は大倉高速道路を運転できるようになりたいものです。
〇桐原
・トレーニング山行の名にふさわしいコースだったと思います。2日経っても筋肉痛が辛い。
・とはいえ荷重と標高差の程度を考えると体力不足の感が強いので、頑張ります。
・雪景色が綺麗でした。