2023/3/14-15 天城山縦走
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
天城山縦走計画書 第二版
作成者:白川
■日程 2022/ 3/14(火)-15日(水)、予備日なし
■山域 天城
■山行目的 リーダー練習、テント泊経験
■在京責任者・助言役 桐原
■在京本部設置要請日時 2022/3/15 19:00
■捜索要請日時 2022/3/16 9:00
■メンバー
CL白川, SL城所, 加藤
■集合
15:00 伊東駅②番線
■交通
□行き
天城東急リゾートシャトルバス 伊東駅②番線(15:05発)→矢筈台(15:47着)1,020円
バス時刻表:(https://amagikogen.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/06/202203_bus.pdf)
□帰り
天城峠→ 修善寺駅口→三島
東海バス 修善寺駅行 天城峠(13:29/14:19/14:54/15:59/17:04/17:49)→修善寺駅口(14:17/15:10/15:42/16:42/17:47/18:32) 1,090円
バス時刻表(https://www.tokaibus.jp/pdf/6255_2_1.pdf)
伊豆箱根鉄道線 三島行
■行程
1日目
15:47矢筈台(バス停)着 矢筈台-0:10-天城スカイラインキャンプ場 (0:10) (10分)
2日目
天城スカイラインキャンプ場-0:10-矢筈台[バスに乗車 7:37矢筈台(バス停)発 ハーヴェスト天城 7:41着 ] -0:50-遠笠山入口-0:20-天城縦走登山口- 0:17-四辻-0:58-万二郎岳-0:37-石楠立-0:39-万三郎岳-0:17-片瀬峠-0:13-小岳-0:28-戸塚峠-0:31-白田峠-0:43-八丁池-0:39-大見分岐点-1:04-向峠-0:38-天城峠-0:12-天城峠口 (8時間23分)
■エスケープルート
1日目:引き返す
2日目:万三郎岳まで→引き返してタクシーを呼ぶ
万三郎岳〜戸塚峠→戸塚歩道入口に進み、筏場(バス停)からタクシーを呼ぶ
戸塚峠〜八丁池→八丁池口まで進み車道に出てタクシーを呼ぶ
八丁池〜 →進む
■テント場情報
天城スカイラインキャンプ場(https://www.sky-camp.jp/)
〒413-0234 静岡県伊東市池895-81
※予約済
■地図
山と高原地図「31 伊豆 天城山」、2.5万分の1「湯ヶ島」「天城山」
■個人装備
□ザック □ザックカバー □登山靴 □替え靴紐 □ヘッドランプ □予備電池 □雨具 □防寒具(夜用も)□シュラフ □マット □帽子 □水□行動食 □非常食□コッヘル □ロールペーパー □ライター □ゴミ袋 □軍手 □地図 □コンパス □筆記用具□計画書□遭難対策マニュアル(緊急連絡カード含む) □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □日焼け止め □タオル □歯ブラシ□エマージェンシーシート □消毒液□モバイルバッテリー □帽子 □新聞紙 (□サブザック □歯ブラシ □サングラス □熊鈴□温泉セット□カイロ)
□着替え
■共同装備
・救急箱(苺) :白川
・軽アイゼン(エーデルリッド) :白川
(スノースパイク6 No.4) : 加藤
・テント(ステラ4) :加藤
・カート*2 :白川
・ヘッド(緑1) :白川
(緑9) :白川
・鍋 (梅) :城所
・調理用具(ディド) :城所
■食当
14日夜:加藤
15日朝:城所
■遭難対策費
200円×3人=600円
■悪天時
前日18時までに判断
■現地連絡先
静岡県警察大仁署 0558-76-0110
■備考
□日出・日没時刻(天城山 3/15)
日の出 5:49
日の入 17:58
(参照:https://alumicase.com/acdc/mountain.html)
□過去記録
2015年度記録
2021年度記録
天城山縦走 記録
作成者: 白川
文責: 城所、白川
■日程 2023/03/14(火)~15(水)
■山域 天城
■天気 1日目:晴れのち曇り 2日目:曇りのち晴れ
■メンバー
CL白川, SL城所, 加藤
■タイムスタンプ
1日目
矢筈台 15:50
天城スカイラインキャンプ場 16:00
2日目
天城スカイラインキャンプ場 06:06
天城縦走登山口 07:41/07:43
四辻 07:58
万二郎岳 09:00/09:29
石楠立 10:12/10:17
万三郎岳 10:45/11:10
片瀬峠 11:22/11:29
小岳 11:35/11:43
戸塚峠 12:09/12:27
白田峠 13:03/13:06
八丁池 13:51/14:39
大見分岐点 14:56/14:58
向峠 16:08/16:10
天城峠 16:36/16:42
天城峠バス停 16:57/17:02
■総評
豊かな自然林に囲まれた登山道で、天城特有の植生、海を視界に収める景観、名作の描写を想起する地を堪能することができた。頼りになるメンバーと苦楽を共にした、濃密な二日間だった。計画作成、共同装備・食当の準備、CL、幕営などを一通り行い、新入生を迎える良い準備運動となったと思う。
■ルート概況
□矢筈台~天城スカイラインキャンプ場
・静寂に包まれた、趣のある別荘地の車道。
□天城スカイラインキャンプ場~天城縦走登山口
・登りの車道。途中で鹿を見かけてときめく。
□天城縦走登山口~四辻
・階段や橋や道標があり、迷いなく進める。所々、ぬかるんでいたり階段が壊れていたりする。
□四辻~万二郎岳
・足元は石が多く、段差の高い箇所が多い道。立派なヒメシャラの木がある。
□万二郎岳~石楠立
・一旦下り、そこからまた登る。アップダウンが多く、道は少し険しい。はしごや岩場、アセビに囲まれたトンネルがあり、変化がある道だ。
□石楠立~万三郎岳
・岩場や木段のある急登が続く。辺りは霧が立ち込めていた。
□万三郎岳~片瀬峠
・ゆるやかな下りが続く。
□片瀬峠~小岳
・ブナ原生林が広がる穏やかな道。
□小岳~戸塚峠
・木漏れ日のさす、落ち葉が敷かれた道。途中に急な下りの岩場がある。ここで数回道に迷った。
□戸塚峠~白田峠
・ひたすら平坦な道が続く。大規模な倒木が多く見られる。
□白田峠~八丁池
・木々の中を黙々と進む。八丁池までの道のりは長く感じた。木が文字通り根こそぎ倒れているのを何度も見かけた。
□八丁池~大見分岐点
・八丁池を出発するとすぐに登りの道がある。そこから先は下りが続く。
□大見分岐点~向峠
・速度を上げながら下った。石が転がる道に落ち葉が積もっているため足元に注意。
□向峠~天城峠
・道が分かりにくく、コースから外れることが何度かあった。道幅は狭く、真下は崖のようなところをトラバースする箇所や木製の橋を渡る箇所がいくつもある。水の流れる音が聞こえてくると、そこはわさび田であった。天城峠付近で鹿に会った。
□天城峠~天城峠バス停
・天城峠は通過点で、峠からさらに下る。途中に旧天城トンネルがあり、その先の幅が狭くかなり急な階段を下るとバス停に着く。
■記録(山行記) (文責: 城所)
<1日目>
15時に伊東駅に集合。観光客で賑わう、比較的新しい駅舎だった。加藤とは列車到着後すぐに合流できた。改札外でしばし白川を待つ。しかし、白川はなかなか出てこない。列車の本数が少ないため自ずと到着時刻は決まってくるのだが、どうしたのだろうか。2人で心配していると、サファリハットとサングラスを身に着けた人物が颯爽と現れた。白川だった。一瞬誰だか分からないほどの貫禄。さすが伊豆の玄関口、三島の民である。埼玉出身の筆者も見習いたいくらいである。無事全員合流し、わいわい話しながら目的のバス停に向かった。
駅のロータリー横にバス停群がある。交通の拠点となる駅のため、行先別にバス停が設置されている。15時過ぎのシャトルバスに乗車。乗客は我々を除いて数名程度だった。車内で新品の山と高原地図を広げ、これから向かう山域に胸躍らせた。快晴のため車窓から周囲の山々を見ることができた。矢筈台で下車し、別荘の立ち並ぶエリアを抜けて天城スカイラインキャンプ場に到着。
ここで、今後このキャンプ場を利用する方向けに概要を記しておく。キャンプ場は斜面に階段状につくられており、上段にRVサイト、下段に区画サイトが整備されている。今回は後者を利用した。すぐそばには住居を改築したと思われる事務所があり、室内にガスコンロ・水道・レンジ・オーブン・トイレ3基が完備されている。イス・テーブルもあってくつろげるのがありがたい。24時間出入り自由。屋外にも水道・ゴミ箱がある。HPには区画サイト使用料 4000円 大人2人まで との記載があるが、3人でもOKだった。別途入場料1000円/人がかかる。(2023年3月時点。必ず最新情報を確認してから行ってくださいね。)
サイトからの眺めは素晴らしかった。白川の故郷、伊豆大島も視界に収めた。管理人さんの説明を受けた後、テントを設営。RVサイトの1組を除き、利用者は無かったので、最も眺望の良い海側に張った。幕営訓練は当山行の目的の1つだったため、手順を確認しつつ行なった。テントを張り終わり興奮冷めやらぬ3人は、ジャンプの継承者・加藤を中心に、新柄の雷鳥Tシャツを着てジャンプ!したのだった。
夕食は加藤の洋風トマト鍋。事務所で調理。具沢山で、間違いのない美味さだった。〆のリゾットもまた絶品だった。リゾットを味わっていると、白川が徐にカート用の焼き網と箱根豚の塊を取り出した。まさか野営で焼き肉ができるとは。カットした肉を網いっぱいに広げるという至福のひととき。柔らかくて何枚でも食べられるほど美味しかった。2人ともありがとう!
3月とはいえ、夜間は冷え込む。眠れずにテントから出ると美しい夜景と星空が待っていた。静寂の中、眼下の市街地をぼーっと眺めてからまた眠りについた。
<2日目>
4時起床。朝食をささっと作り、管理人さんのご厚意に甘えて事務所内のテーブルでいただいた。雲海を堪能しながら6時頃撤収した。計画では7:37のバスに乗車予定だったが、3分ほどしか乗車しないことを鑑み、早朝出立に変更していた。歩行距離が数キロ伸びてしまったがこの判断は正しかったと思う。天城山縦走はかなり長い行程のため、健脚者もしくは無事故・無怪我で乗り切る自信のある人でない限り早めの出発をおすすめしたい。
登山口まで舗装路を歩く。緩やかな傾斜で足慣らしには丁度よかった。登山口からは本格的な山道に変化する。どうやら天城山では、ピンクテープの代わりに青・黄色ツートンの金属板を用いるらしい。図らずも、ウクライナ国旗そして今回の軍事侵攻を想起させる道標だった。
万二郎岳までの行程は地面がえぐれた部分を進む。両脇には木々のたくましい根が張り出していた。関東の登山道とは趣が異なり面白い。樹皮が滑らかなヒメシャラも自生している。5〜7月にはツバキに似た白い花をつけるそう。伊豆ならではの植生を楽しみながら歩くと登りもそこまでつらくなかった。
そうこうしていると万二郎岳山頂に到着。残念ながら周囲はガスで真っ白。でもせっかくだからと3人で写真撮影。朝が軽めだったので行動食を摂った。白川が堅あげを分けてくれた(レモン味?みかん味?)。「瀬戸内海行った友達が、美味しくないからってくれたんだ〜」と白川。いや、どういう友達っ!と多少突っ込みたくなったがこらえた。私には好みだった。加藤は座り方が何とも言えずカッコよかった。彼女はというと、出発前に母親と一悶着あったそうだ。縦走に箱ティッシュを持参するか、ポケットティッシュを持参するかという論争である(加藤娘はポケットティッシュ派だったと記憶している)。重度の花粉症を患う同氏にとってティッシュはいわば生命線。けれども、箱だと何かとかさばるのではないかという点を危惧していたのだろう。結果、妥協案としてビニールで包装されたボックスティッシュを採用したらしい。間を取った妙案だなと思った。
万二郎岳の先、小ピークのあたりにアセビのトンネルが現れた。独特な樹形で、登山道にせり出すように枝を伸ばしている。まさにトンネルだ。花は無かったので後日画像を検索したところ、非常にかわいらしい花だった。満開の時期はさぞきれいだろうなと思う。足場の悪い岩場や崩れた木製の階段が点在していたが、万三郎岳山頂直前の急登を除いて、特段の登りにくさは感じなかった。
直前の急登の道半ばで疲れ果ててしまった3人。でも私たちには秘密兵器があった。石川さゆりの名曲「天城越え」である。実は、白川が事前にSpotifyでインストールしておいてくれていた。ここぞというときに聞こうと取り決めていたものだ。白川が2人にアイコンタクトし、再生開始。やや重めの歌詞とさゆりさんの歌唱力に酔いしれているうち、気づけば山頂に着いていた(その後の行程でも計3回ほど助けられた。ありがとう、石川さゆりさん)。山頂を木々が覆っているため眺望はあまりなかったが、伊豆半島の最高峰に立ったという達成感はひとしおだった。
山頂の少し先に片瀬峠がある。計画の初版ではここで行程を2日間に分けることになっていた。通過した際確認したところ、片瀬峠から稜線に直交して下るルートには簡易的にロープが張られていた。正規のルートではないため、その先は自己判断になるだろう。
植生はブナの純林に変化した。青空に向かって真っすぐ枝を伸ばしている姿が印象的だった。続く道は大きめの岩が散乱し、野性味に満ちた登山道だった。戸塚峠から白田峠の区間は登山道が不明瞭な箇所が複数あった。天城山縦走路は基本的に、数百メートル間隔に設置された小さな道標・看板だけが頼りなので、見逃さないようにしたい。
八丁池に到着。モリアオガエルの産卵地だそうで、カエルの鳴き声が何度か聞こえた。湖畔で件の焼き網を囲み、白川配給の餅をいただいた。トッピング用のあんこまで出てくるところがさすがである。焼き目のついた餅に甘い粒あんをたっぷり載せて。うまい、うますぎる。疲弊した体に糖分が巡った気がした。
一息ついたところで、対岸に設置されているトイレで用を足した。通常期用のトイレは施錠されていて、冬季用しか使えなかった。これ以上は書かずとも察してほしい。。
八丁池から先は正直あまり覚えていない。なぜなら、帰りのバスの時刻が迫っていてトレラン状態だったから。安全には留意しつつ、先を急ぐ。極端に道幅の狭い箇所をトラバースする場面もあった。急ぎすぎると看板を見落とすので注意。キャンプ場からずっとテントを担いできた加藤を気遣い、白川が交代を申し出た。しかし、自分の限界値を知りたいから大丈夫と加藤。重いザックを背負い靴ずれした状態でそんなことを言える強靭なメンタルに感服したのだった。
勝手に「天城峠」がゴールだと思い込んでいた筆者。だが、なんとまだ先があった。膝がもうガクガクだ。意気消沈していたところ、シカの親子を発見。今回の山行、人間よりシカのほうが遭遇数が多かった。しばし、シカに癒される。気を取り直し、さらに下る。やっと舗装路が見えてきた、と思ったら今度は旧天城トンネルだった。まだ下るらしい。さらに下りるとやっと交通量の多いトンネル横に出た。ただの情報収集不足だと一蹴されるかもしれないが、次回行く人にはぬか喜び注意だと伝えたい。天城峠からさらに25分見積もると良いと思う。なんかもうボロボロの状態だったがバスに間に合って良かった。本当に濃密な2日間だった。
■感想
〇白川
・まず、無事に長時間の山行を終えられたことに感謝します。2人がいてくれたから最後まで楽しく登りきることができました。私も話すと長くなりそうです…それくらい思い出の詰まった山行になりました。
・この山行で初めて、計画を立て、CLを務めました。計画作成中にバスの運休が発覚しキャンプ場やルートの変更をすることになり、下調べの重要性を実感しました。
・何度かコースを外れたり道迷いをしたりすることがありましたが、2人の気づきのおかげですぐに軌道修正することができ、複数人で登山することの意味を学びました。
・林や森が好きな人に、天城はとてもおすすめです。木漏れ日が気持ちいい山です。
・音楽は偉大です。
〇城所
・キャンプ場や天城山稜線からの眺望が素晴らしかったです。天城固有の植生も楽しめました。
・計画作成や当日の設営方法などを復習でき、新歓に備えて良い経験になりました。実際に一通りやってみることはやはり大切だなと感じました。
・2日目はここ数年で一番なのではないかと思うほど過酷でしたが、2人と話しながら登れて楽しかったです。のりこちゃん、ゆりちゃん、2人とも本当にありがとう!
〇加藤
・1日目はキャンプ場からは相模湾が一望でき、更に伊東の夜景や満天の星など贅沢な景色を楽しめました。
・白川が豚ヒレ肉をご馳走してくれて、野外で焼き肉が出来たことに感動しました。早朝の煮麺(城所考案)は棒ラーメンとはまた異なる良さがありました。両日とも美味しい料理をありがとうございました。話すと長くなりそうです...笑
・山行当日に天城の魅力を発見できたことはもちろんのこと、山行計画の作成過程でも私自身学んだことや気づいたことが沢山ありました。本当にありがとう。(石川さゆりさん、藤井風さんもありがとう!)