2023/5/3-4 鳳凰三山

鳳凰三山計画書
■日程 2023/5/3~5/4
■山域 南アルプス
■目的 縦走
■在京責任者・助言役 加藤
■在京本部設置要請日時 2023/05/04(木) 18:00
■捜索要請日時 2023/05/05(金) 09:00
■メンバー(3人)
CL中田 SL小唄 吉田
■集合
JR韮崎駅5/3 7:00集合 
■交通
□行き
JR韮崎駅(7:10)→御座石温泉7:50  次発は9:55→10:35
□帰り
青木鉱泉(12:15/15:00/17:00終)→JR韮崎駅(13:10/15:55/17:55)
*往復で南アルプス鳳凰三山登山路線バスを利用.片道2,000円(荷物代込み)
cf.https://www.y-c-k.com/tozan.html
□タクシー(参考)
韮崎タクシー TEL 0120-692-235
甲斐タクシー TEL 0120-280-255
YKタクシー   TEL 0120-372-435
■行程
<1日目>【5時間30分】
御座石温泉–60–西ノ平–150–燕頭山–120–鳳凰小屋 
<幕営>
鳳凰小屋幕営地:1人2,000円,30張,予約不要,キャンセル連絡は前日18時まで
cf.http://houougoya.jp/info/index.html
<2日目>【7時間05分】
鳳凰小屋–80–地蔵岳–10–赤抜沢ノ頭–30–2694m地点–40–観音岳–30–薬師岳–200–標識–35–青木鉱泉
■エスケープ
〜薬師岳:引き返す
薬師岳〜:そのまま進む
■地図
山と高原地図:「北岳・甲斐駒」
■共同装備
テント(ステラ3 No.1)  
 >本体・フライ:小唄
 >ポール・ペグ:小唄→中田
ヘッド(緑1):吉田
カート*2:小唄 
鍋(月):吉田  *紆余曲折を経て「月」を持ち出すことになりました.
調理器具(ディド):吉田
救急箱(苺):吉田→中田
■食当
1日目夜:吉田
2日目朝:中田
■個人装備
□ザック □ザックカバー □登山靴 □替え靴紐 □ヘッドランプ □予備電池 □雨具 □防寒具 □シュラフ □マット□軽アイゼンorチェーンスパイク□ゲイター□手袋□帽子 □水 □行動食 □非常食 □カトラリー □コッヘル □ロールペーパー □新聞紙  □ライター □ゴミ袋  □地図 □コンパス □筆記用具 □計画書□遭難対策マニュアル(緊急連絡カード含む) □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □日焼け止め □タオル □歯ブラシ □エマージェンシーシート □マスク □消毒液 □着替え (□温泉セット□熊鈴 □トレッキングポール)
■注意点
・残雪・凍結による転倒・滑落
・1日目2,401mピークの北側トラバース
・夜間の冷え
■決行判断
前日18時までに判断.残雪・天候・気温については慎重に判断する
■遭難対策費
600円
■連絡先
□現地連絡先
甲斐警察署 0551-20-0110
■登山道情報
・燕頭山コースでは,例年比で3週間ほど融雪が進んでいるとの報告がある.
cf.http://blog.houougoya.jp/?cid=45969
■備考
□日出・日没時刻(5/4 観音岳2,841m)
日出  4:42
日没 18:45
□電波
稜線上ではキャリア問わず電波◯
□過去記録
・会内の記録は多数存在する.
・4/22 日帰り.計画とほぼ同じルート.上りの難所と下りの残雪状況がわかる.
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5394298.html

鳳凰三山山行記録
■日程 
2023/5/3~4

■山域 
南アルプス 北岳・甲斐駒

■天気 
快晴

■メンバー(3人)
CL中田(43)、SL小唄(43)、吉田(44)

■総評
両日とも快晴かつ涼やかな登山日和で多くの登山者が訪れていた。短めの行動時間のなかでいくつか要所があり、シーズン最初の山行としておさまりの良いものだった。

■ルート概況
・御座石鉱泉〜鳳凰小屋(燕頭山コース)
痩せた尾根を何度か通過する。2,401mピーク北側には2,3箇所ほどやや緊張するトラバース。
・鳳凰小屋〜地蔵ヶ岳
途中から砂地の急登。踏み跡に沿って歩く。
・オベリスク
直下までロープなしで登れる(自己責任)。ただし、ヘルメットがある方がよい。
・地蔵ヶ岳〜薬師岳
岩場が断続する稜線。
・薬師岳〜青木鉱泉
道幅は狭い。通行者が少ないせいか燕頭山コースより残雪が多い。
■タイムスタンプ
1日目[ 計 4:23 ]
08:12 御座石鉱泉発
08:46 1270m地点
08:57 発
09:47 1580m地点
09:54 初
10:44 燕頭山着
10:58 発
11:52 2380m地点
11:58 発
12:35 鳳凰小屋着

2日目[ 計 7:05 ]
03:40 鳳凰小屋発
04:30 地蔵岳
04:54 発
05:47 2680m地点
05:55 発
06:24 観音岳
06:42 発
07:04 薬師岳
07:33 発
08:14 御座石
08:23 発
09:22 1800m地点
09:35 発
10:45 青木鉱泉着

■記録
1日目(小唄)
東京発の始発ではバスに間に合わないため、前乗りの必要があり、0日目夜は僕と中田は韮崎駅で駅寝、吉田は酒折でネットカフェ泊であった。韮崎駅前はベンチが設置されていて比較的寝やすい環境ではあったが、五月の韮崎はさすがに寒く、さらに深夜1時ごろから4時ごろにかけて暴走族の騒音が聞こえてくるという有様でとてもではないが快眠はできなかった。一方で吉田はわりかしまともな睡眠をとれたようである。我々は6時ごろに起床し駅から徒歩5分ほどの場所にあるコンビニで朝ごはんを買ったり、バブルの遺構と思われる巨大大仏に思いを馳せるなどして時間をつぶし、7時ごろ吉田くんと合流した。
バスはあと2,3人で定員オーバーになるほど混雑しており、鳳凰三山の残雪状況に関する情報が出回っていることを感じた。運転手の方にとってもこのシーズンにここまでの登山客が訪れることは珍しいようで、驚いていた。
御座石鉱泉からの登山道は傾斜がきつく、僕にとっては今シーズンでは初めての山行だったため、最初の三十分程は特に足が攣りそうになった。早めの休憩と水分補給によりふくらはぎはだいぶマシになったので、歩きはじめは無理をせずアップに努めることが大切だと感じた。道中は比較的単調な登路であったが、時折開けた場所に出ると富士山や八ヶ岳を拝むことができそれがモチベーションになった。とくに八ヶ岳は裾野からピークまでの隆々とした山容が一望でき、その美しさに見惚れてしまう。また、残雪はかなり溶けており、およそ2100m地点程から軽アイゼンを装備したが、軽アイゼンが必要な場所とむしろ邪魔になるような場所が交互に訪れるので少しストレスになる。途中のトラバースはやや緊張したが、落ち着いて通過すれば問題はない。トラバースをいくつか抜ければすぐに鳳凰小屋に到着する。
テント場は非常に混んでいて小屋のご主人が指定したスペースに詰めてテントを張る形になっていた。我々はテント場の出口近くにテントを張ることができたため、撤収時そこまで困ることはなかったが、テント場の奥の方にテントを張ることになっていたら撤収で少し苦労しそうだと感じた。

2日目(吉田)
2時半起床。夜は想定していたほど冷え込まず、零度前後だっただろうか。途中何度か目を覚ましたものの全体としては良い睡眠ができた。先輩方もよく寝れたようだ。テントのなかで湯を沸かし、お茶漬けと焼き鳥缶をいただいた。その後、濡れたテントの回収やギアの装着に若干手こずり、3時半過ぎの出発となった。
鳳凰小屋からの登りは残雪がしっかりある上そこそこの急登であるため、軽アイゼンなしでの突破は難しい状態だった。しかしまあ、昨日も思ったがこのあたりの残雪に残る踏み跡はどうにも大股であり、足が短い自分にとってはトレースするのがきつい。もはやほとんどスクワットである。太ももがかつてないほどパンプしているのを感じた。
地蔵岳山頂直下には100m強の白砂の急登がある。後方の視界が開けて雲海と朝焼けが見えるのは素晴らしいが、とにかく砂の足場はほろほろ崩れて歩きづらい。加えて上がよく見えるので、まだこんなにあるのかと軽めの絶望を感じる。ただ裏を返せば山頂はもう見えているので、途中小唄さんのザックの中のポリタンの水漏れが発覚した瞬間以外は止まらずに地蔵岳を登りきった。日はすでに上がっていた(ようだった)
山頂(というかオベリスクの麓)でザックをおろし、しばし散策する。まず、その場で西を向けば甲斐駒仙丈が目に入る。前者は昨日とほとんど同じ角度でさらに近づいて見ているため格好良さを再認識させられる。一方後者はいまいち山頂のボリュームを感じられず、もっと近づく(すなわち登りに行く)方がいいのかなあと思った。オベリスク方向に少し登ると、北岳の頭だけがちょっと見えた。まあ、赤抜沢ノ頭を越えればバッチリ見えるだろう。そして肝心のオベリスクだが、、なかなか登るのはきつそうで少なくともヘルメットは欲しいということで断念した。ちなみにここで私は佐渡隊に一報。あちらはどうだろうか?
賽の河原でお地蔵さんたちに軽く挨拶しつつ少し行って振り返ると、オベリスクと太陽がいい感じのポジションに収まったのでパシャリ。本山行の個人的ベストショットとなった。メインとなる被写体が2つあるといい感じの写真になる気がするのである。ぜひお試しあれ。根拠はないが。
赤抜沢ノ頭を越えるとついに白峰三山がその姿を現した。実は私はその山容をしっかり見るのは初めてであった(昨年の塩見からは雲ががってよく見えなかった)確かに奇抜な形をしているわけではないが、シンプルな美しさというか、背中で魅せてくるというか、とにかくナンバー2の確かな貫禄と風格を感じた。雷鳥メンバーの何人かと今年は北岳に行こうと話し合っていたが、その決意を新たにすることとなった。
以上の南ア北部主稜に見守られつつ、観音岳に向けて稜線を進んだ。もちろん道は開放感と爽快感に溢れており、アルプス来たぜ!という気分になる。ただ、少し悩まされたのが残雪で、斜面北側はしっかり、南側は全くという感じで軽アイゼンの着脱判断が悩ましく、一部普通の道を付けたままゴリ押したところもあった。私は買ったばかりのマイアイゼンにいきなりムリをさせてしまうこととなり申し訳なかった。
150mほど登り返して観音岳山頂に6時半ごろたどり着いた。山頂は岩がちで結構人がいたのでザックを下ろせるところを探して休憩した。私はそこそこ疲れており言葉少なになっていた。さらに奥の薬師岳まではサクッと行けて、山頂が広いそちらの方で少しのんびりとした。ここで南ア南部の方へ目をむけてみると、荒川赤石くらいしか見えず他の山は隠れてしまっているようだった。あっちの方にも行ってみたいけどアプローチがなあ…。あまりにも天気がいいので岩のうえで寝転んでいると、そこそこ離れた岩場にいたお二人の声がはっきり聞こえてびっくりしていたりした。何時間でも過ごせそうなほど居心地がよかったが、バスの時間もあるので名残惜しいが出発した。
下の道は木々に覆われていて残雪がしっかりあるが、日がさしてきたからかここにきて踏み抜きが多発する。なかなか煩わしいし見るものも無い。2000m地点付近で軽アイゼンを外したあとは風呂に一刻も早く入りたい3人の足取りがどんどん加速し、10時半過ぎに青木鉱泉に下山。入浴し自販機でコーラやスポドリを買い、山道でもガンガンとばすバスに体をゆさぶられながら韮崎駅に帰還。甲府で昼食をとったのち帰京した。
総じて年度の最初を飾るのにふさわしい充実した山行だった。今年もよろしくお願いします。

■共同装備使用記録
テント(ステラ3 No.1)  
 >本体・フライ:小唄
 >ポール・ペグ:小唄→中田→小唄
ヘッド(緑1):吉田
カート*2:小唄
鍋(月):吉田
調理器具(ディド):吉田
救急箱(苺):吉田→中田→吉田
*途中で受け渡しがあった場合[持ち出し→携行→持ち帰り]

■感想
◯中田
・天気が良く、非常に心地よい稜線散歩になった。
・地蔵ヶ岳ではオベリスクに隠れて日の出が見えない。稜線でご来光を拝みたい人は賽ノ河原あたりまで進んで待つと良い。
・甲府には美味しい食べ物がいろいろあるようだった。また寄りたい。
◯小唄
・天気に恵まれ、今シーズン初の山行を非常に満足したものにできた。
・ヘッドライトを下界に忘れてしまったことはあまりにも大きな反省点なので、今後は二度とないように気をつけたい。
◯吉田
・寒さも想定ほど厳しくなく、良いコンディションでの山行だった。
・八ヶ岳や白峰三山など今年行くであろう山を望むこととなった。
・荷物が重く大股での歩行を強制されるところもあったので、山行後に普段はならない大腿四頭筋の筋肉痛になった。
・あれほど酒無理トークをしておきながら、意外と大丈夫だった。初日本酒と初ビールをいただいた。