2023/8/29-30 甲武信ヶ岳
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
甲武信ヶ岳山行計画書
作成者:磯貝
■日程 8/29-30(火-水) 1泊2日
■山域 奥秩父
■山行目的 泊まり経験
■在京責任者/助言役 島崎
■在京本部設置要請日時 8/30 19:00
■捜索要請日時 8/31 8:00
■メンバー(4名)
CL 磯貝 SL 吉田(45) 本多 原
■集合
9:06山梨市駅
■交通
□行き(集合前)
新宿(6:08/6:42)-(JR中央本線)-山梨市(8:24/9:06) 1840円(西荻窪以遠は学割あり)
□行き(集合後)
山梨市駅(9:12)-(山梨市民バス)-道の駅みとみ(10:09) 800円(ICカード利用不可)
乗り遅れた場合はタクシー利用 一人当たり2000円程度 (時間厳守!)
□帰り
西沢渓谷入口(15:10/16:25)-(山梨市民バス)-山梨市駅(16:08/17:23) 900円(ICカード利用不可)
■行程
1日目
道の駅みとみ-1:25-沓切沢橋-2:30-雁坂峠-0:10-雁坂小屋【計4:05】
2日目
雁坂小屋-0:15-雁坂峠-0:40-雁坂嶺-1:20-破風山-0:35-破風山避難小屋-1:20-甲武信小屋-0:20-甲武信ヶ岳-0:15-甲武信小屋-0:25-徳ちゃん新道分岐-1:20-新道分岐-1:30-西沢山荘-0:30-西沢渓谷入口【計8:30】
■エスケープルート
破風山まで:引き返す
それ以降:そのまま進む
■個人装備
□ザック(60L以上) □ザックカバー □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □ヘッドランプ □予備電池 □雨具 □防寒具 □帽子 □水 □行動食 □非常食 □ブキ □コッヘル □ライター □トイレットペーパー □新聞紙 □ゴミ袋 □エマージェンシーシート □地図(要印刷) □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル(要印刷) □計画書(要印刷) □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め □タオル (□温泉セット □着替え□軍手/手袋 □ポール □モバイルバッテリー)
■地図
25000分の1:「雁坂峠」「金峰山」
山と高原地図:「27 金峰山・甲武信」
■共同装備
テント
VS-50:磯貝
鍋(1)
竹:吉田
ヘッド(1)
緑9:原
カート(3)
磯貝→原
調理器具セット(1)
ディド:本多
救急箱(1)
有紗:磯貝
■食当
夜 本多
朝 吉田
■遭難対策費
200円×4名=800円
■悪天時
前日18:00までに判断
■施設情報
□山小屋
甲武信小屋 幕営1000円/人(30張/要予約) 素泊まり6500円/人(定員70人)
雁坂小屋 幕営1000円/人(30張/予約不要) 素泊まり5000円/人(定員24人)
*小屋番不在の時は維持管理協力金として
小屋泊 2,000円
テント泊 1,000円
*備え付けの封筒に住所など必要事項を記入し、お金を入れ宿泊棟内の「料金箱」に入れてください。
□避難小屋
破風山避難小屋
□水場
雁坂小屋:あり
甲武信小屋:100円/L
□トイレ
西沢山荘・雁坂小屋・甲武信小屋にあり
□温泉
笛吹の湯:510円 10:00~20:00
ぶどうの湯温泉 天空の湯:760円 8:00~22:00
■備考
□日の出日の入り(雁坂小屋 8/30)
日の出 4:40
日の入り 19:02
□連絡先等
山梨県警日坂部警察署 0553220110
長野県警佐久警察署 0267420110
牧丘タクシー 0553352104
甲州タクシー 0553333120
甲武信小屋 09033378947
雁坂小屋 0494550456
—
□登山届提出先
・東大教養学部学生支援課:提出済
・コンパス:提出済
□東大連絡先
○教養学部学生支援課 ※開室9:00~16:50(平日)
○駒場正門守衛室 ※常時対応可
Tel: 03-5454-6666
□お茶大連絡先
学生・キャリア支援課 ※開室9:00-17:00(平日)
正門守衛室 ※常時対応可 Tel:03-5978-5128
□過去の記録
2018
■コロナ対策
・泊まり山行、特に行程中での食事や入浴が伴う山行では、全員がリスクを理解し合意したうえで実施する。
・山行前の体調管理はしっかりと行う。
・メンバー全員が当日朝検温してパーティー内で共有し、少しでも風邪の症状がある場合は参加を控える。
・マスクや消毒用品を必ず携帯し、山小屋や人の多い山頂など他の登山者と接触する場では着用、使用する。
甲武信ヶ岳記録
■日程
2023/8/29-30(火-水)
■山域
奥秩父
■天気
晴ときどき曇
■メンバー
CL磯貝(44) SL吉田(45) 本多(45) 原(45)
■共同装備使用記録(持ち出し→持ち帰り)
テント(VS-50):磯貝
鍋(竹):吉田
ヘッド(緑9):原→磯貝
調理器具セット(ディド):本多→吉田
救急箱(有紗):磯貝
■タイムスタンプ
1日目(8/29)
10:21 道の駅みとみ
10:29 雁坂峠登山道入口
13:36 雁坂峠
14:19 雁坂小屋
2日目(8/30)
6:02 雁坂小屋
6:15 雁坂峠
6:49 雁坂嶺
7:34 東破風山
8:11 西破風山
8:47 破風山避難小屋
10:06 甲武信小屋
10:31 甲武信ヶ岳
11:21 木賊山
14:39 西沢渓谷入口バス停
14:45 道の駅みとみ
■ルート概況(文責:磯貝)
【道の駅みとみ〜雁坂小屋】
道の駅から沓切沢橋までは舗装されているため、登山靴では多少歩きにくいかもしれない。登山道に入ってからの登りは、やや急な箇所や、道幅の狭いところもあった。また、3箇所ほど渡渉するところがあり、増水時には危険そうな箇所も見られたため、登山の際は前日の天候にも注意が必要そうだ。掴むためのロープが設置されている箇所もあったが、張りがやや弱く、少し不安だった。
雁坂峠の展望は素晴らしい。雁坂小屋は、平日を中心に小屋番がいないようで、その場合は宿泊料を備え付けの封筒に入れ、それを料金箱に入れるスタイルだった。水場の水に関しては、宿泊者は無料でいただくことができ、そのまま飲料水として用いることができる。
【雁坂小屋〜甲武信ヶ岳】
この区間はあまり利用する登山者がいないようで、登山道の中まで草木が張り出している。また、クモの巣も多く、少し歩きにくかった。2回ほど、シカが登山道を横断しているのを目撃した。破風山避難小屋を過ぎると、急登になる。急登が終わるとしばらく平坦になるが、甲武信ヶ岳頂上の直前は少し急。
【甲武信ヶ岳〜道の駅みとみ】
帰りに寄った木賊山は甲武信ヶ岳とほぼ同じ高さのため、予想以上に疲れる。戸渡尾根・徳ちゃん新道は標高差1400mをひたすら下るため、足を痛めないように気をつけたい。西沢渓谷はよく整備されている。
■総評(文責:磯貝)
2日間に渡って天候も安定し、事故等もなく帰って来ることができたことはとても良かった。全員体力もあり、やや厳しい登り降りの連続を乗り越えることができていたので、今後の活躍に期待したい。
反省点としては、下りにおいて滑ってしまう場面が複数回あったことだ。適切な下り方をメンバーに伝えていけるようにしたいと思った。また、泊まりが初めての人もいたなかで、今回のルートは少し辛いものがあったかもしれない。メンバーの力量に合わせたルート設定を心がけたい。
■記録
1日目(文責:本多)
『山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。』というのは夏目漱石の「草枕」の有名な冒頭であるが、私が雁坂峠へと向かう山路を登りながら考えていたのは「疲れたー。暑いー。肩痛ぇ。汗気持ちわりぃー。」などなど、文学的センスの欠片もない、子供じみた現状への不満ばかりだった。そもそも、山行とは高い交通費を払って、重たい荷物を背負って、結局は降りることになる高い山へ、体力の限りを尽くしてわざわざ登っていくものである。誤解を恐れずに言えば、普通に頭が悪い。では、なぜ一部の酔狂な人々は山を愛し、山に登り続けるのか。かくいうわたしも、会費を払って雷鳥に所属しているからには、酔狂な人間の側にいることは間違いない。かと言って、山に登る理由を聞かれて、「そこに山があるから。」などと言えるほど振り切れてはいない。この記録を通して、私が山を登る理由を見つめ直していきたい。
冒頭のように山路を登りながら悪口雑言を脳内で吐き散らす少し前に戻る。9時頃に山梨市駅(結構きれいで感動した)に降り立った私は他のメンバーと合流し、バスに乗り込んで道の駅みとみへ、吉田君は眠そうだった。トイレや虫除けなどを済ませて、山行を開始すると、まず舗装された道に出た。磯貝さん曰く雁坂トンネルが開通する前は国道として使われていた道だそうで、よく見るとギリギリ二車線ありそうである。今考えると、このときはまだ皆に会話を楽しむ余裕があったように感じる。私は他のメンバーに何で山行に赴くのかと尋ねた。景色が綺麗だから。岩場が楽しいからなどの理由が挙がった。この、山頂からの景色が見たいというのは、山行をする人間の多くが考えることであると思うが、私の場合、景色に対する思い入れは他の人と比べ薄いように思う。たしかに晴れた日に山頂から見渡す景色は美しいし、泊まりでしか見れない朝日も素晴らしい。写真も撮る。けれど、私は曇で景色が見れなくても割と満足して山行から帰ってくる気もするのだ。
旧国道を抜け、本格的な山道に入ってしばらくすると沢にでて、小さいものも含め4箇所ほど渡った。個人的には頂上からの景色よりも沢の流れと森が一体化した景色の方が好きなのだが、これも山に登る主な理由ではないとも思う。2日目は岩場の道や、草木がはみ出て見えにくくなった山道に突っ込んでいくような行程が多かったが、1日目は割とオーソドックスな普通の山道が続いた。振り返ると、バス停から峠までの1000メートルを休憩込みの4時間半で登る行程だった。夏でそもそもの気温が高いことに加え、日の当たる勾配のキツイ場所などを歩く場面が多かった。そのため、以降の道中は冒頭のような考えで頭が埋め尽くされていて、あまり記憶がない。しかし、今考えると記憶が無い、この事こそが重要なことだと思い至る。下界での私達は健康で文化的な生活を送る反面、様々な苦悩・煩悩に頭を悩ませている。こなすべきタスクが複雑かつ多岐に渡るため、頭が疲弊しやすい。しかし、山の上ではどうだろうか。山行では、肉体的な苦痛・疲労の中、ひたすら登れる道を探し、思考を止めて足を前に出し続ける。この中では、どうやってもバイトだるいとか、テスト勉強への焦りとか、進路・将来への不安とか、突然のクラスの女子からのLINEの真意とか、クリぼっちへの危惧とか、結婚できずに孤独死する恐怖とかそういったものが付け入る隙が無いのである。漱石は『とかく人の世は住みにくい』などと書いてるが、山の上の方が何倍も住みにくい。しかし、私達は山に行き、文化的な生活を捨てることで、文化的な生活で生じる弊害から解き放たれ、普段の生活の素晴らしさを、実感することが出来るのだ。結論、私が山に登る理由、それは俗世間の煩悩を一時的に忘れ、そして俗世間もやっぱり良いものだと再認識するためということになった。
さて、山登りの意義についての結論も出たところで、1日目の山行の残りについて記す。最後の急勾配を終えて、雁坂峠からの景色を一望したあと、雁坂小屋のテント場へと向かった。ちなみに貸し切りだった。というか、そもそも1日目に山で遭った他の登山客は一人だけだった。しばらくベンチで仮眠を取った後、食当だったので料理の準備に取り掛かった。初めての食当で緊張したが、魚肉ソーセージ入りサッポロ味噌ラーメンとあんこ餅は意外と好評で良かった。今回の山行はこれまでに2回悪天で流れたとは思えないくらい天気がよく、夜は星がきれいに見えた。磯貝さんが星座を沢山教えてくれて私もこんな東大生になりたいと星に願った。
駄文をつらつらと並べたことを深く陳謝してここらで筆(?)を置こうと思う。
2日目(文責:原)
2日目は朝4時に起床した。朝の食当の吉田くんに棒ラーメンを作っていただく間に、雁坂小屋の日の出スポットと書かれる場所に向かう。日の出時刻から少し待っても太陽を確認することはできなかったが、代わりに小屋の北側に雲海が見られ、大喜びでテント場に戻る。その後、ワカメとお麩の入った棒ラーメンを頂き、テントを畳み、諸々の準備をしていると、出発は6時過ぎになった。
10分ほど昨日の道を辿り、雁坂峠に戻る。ここからが今日のコースの本格的な開始である。雁坂嶺、東破風山、西破風山の大きく3つの山の稜線上を登って下って縦走することになる。この日は非常に綺麗に富士山が見えた。稜線あたりには針葉樹林が広がるが、稜線から南斜面にかけては木々が枯れており、原因が気になるところだ。一方の北斜面は石や木々に苔が繁茂している。程なくして雁坂嶺に到着。ここまではさほど急な道ではない。雁坂嶺から東破風山までは一旦下り、そして再び登る。山頂までかなり急な道が続いた。
記憶が定かでないが、この辺りで先頭を歩く磯貝さんが鹿に遭遇したらしい。あまりに人もおらず、道も植物が双方から伸びてきているようなものであったため、念の為熊鈴をつけることにした。同じように西破風山の山頂にも到達。東西を破風山とまとめた時の破風山山頂はこちらを指す。だいぶん登ってきた。甲武信岳とも標高差はほぼない。しかしここから一気に破風山避難小屋まで下ってしまう。やや残念であるが、仕方ない。鞍部に位置する破風山避難小屋まで一気に下りて、避難小屋で少し休憩する。建物の中は涼しく、銀マットが置かれており、薪や炭が置かれている。少し歩けば水場もあるらしい。少人数での登山にはこの避難小屋での宿泊も良かろう。ここから甲武信岳までは一気に登ることになる。具体的には、木賊山手前の賽の河原(こんな名前だったはず)と呼ばれる砂地まではかなり急な斜面が続いた。賽の河原に入る前でもところどころ砂地な場所があったので、滑りやすく、特にここを下る場合には注意が必要だろう。賽の河原を過ぎると、木賊山を北に迂回するようにして甲武信小屋に到着する。ここの小屋は雁坂小屋とは打って変わって、登山者が多く、土産物や飲料も売っていた。何の花だったか忘れたが、花の見頃になると甲武信岳への登山者はもっと増えるらしい。ここのベンチで少し休憩を取り、いよいよ最後の甲武信岳に向かう。先ほどの破風山避難小屋からの登り道に比べれば大したことはない。間も無く頂上に到着する。頂上からの景色は主に北側に対してひらけている。ちょうど登頂時には南斜面に雲が広がっていたのでなおさらであった。そこから写真を撮り、食事を取り、磯貝さんの進振り突破を確認後、南からの雲が覆ってきたので、頂上を経ち、まずは甲武信小屋まで下る。そこから木賊山の頂上を通って、木賊山の稜線上で西沢渓谷への分岐道にうつるというルートであったが、この木賊山が想像以上の急斜面を持つ山であった。頂上にも標と三角点があるだけで、期待はずれの山である。しかし、クライマックスはその後に待っていた。西沢渓谷への登山道である。全く外の景色が見えない中で、ひたすら延々と同じような下り道を下りていくのである。特に徳ちゃん新道分岐まではなだらかな場所も一切なく、我々も会話をする余裕はない。ずっと頭の中で目前に迫った旅行のことばかりを考えたりしていた。少なくとも私には消化試合のような下り道であった。下らないと帰れないから下っている様なものである。1:30ほど経ってようやく徳ちゃん新道分岐にたどり着く。かといって何かあるわけではない。そこからは少し勾配がなだらかな場所が増えた。周りの景色は全く見えないが、時々木々の間から向かいの山を見ると、確実に我々が下りてきていることを実感できた。最後に一気に狭い急斜面を下るとようやく登山口に到着した。そこからは一気に体がふにゃふにゃになり、道の駅みとみまで30分ほど歩いて完全にゴール。
2日目を概観すれば、前半の雁坂小屋から甲武信岳頂上までは、確かに急な道も多かったが、景色もよく見所の多い登山道であった。一方の後半木賊山から西沢渓谷までは単調に下り、見どころもほぼない登山道であった。一つ言えることは、西沢渓谷から甲武信岳に登ることはやめた方がいいだろうということである。かなり急な斜面が延々と(4時間程度)続くため、特に雷鳥として団体で行くには不向きなのではないか。この登山道は下りに使うべきであろう。
■感想
◯磯貝
・雁坂小屋は小屋番すらおらず、完全に自分たちだけだったので、新鮮でした。(夜は少し怖かったです)
・星を見るのが楽しかったです。あと月の明るさにびっくりしました。
・2日目朝の雲海と好天は最高でした。
・甲武信ヶ岳頂上で進振り結果を確認した珍しい(?)人になれました。
・下りは純粋に疲れました。
・泊まり山行で初CLだったのですが、ひとまず無事に終えられたことはとても良かったです。
◯吉田
・少人数での山行も初だし、食当も初だし、初めてのことばかりで緊張していたのですが、磯貝先輩を中心にみんな支えてくれてとても助かりました。ありがとうございました。
・久しぶりの山で体力的に不安でしたが、なんとか着いていけてよかったです。
◯本多
・めっちゃ疲れたけど初めての食当も経験できて、とても楽しかったです。ありがとうございました。
◯原
初めての泊まり山行になり、食当も他の1年にやってもらうなど、支えられっぱなしの山行でしたが、色んなタイプの山道を味わえ、充実したものとなりました。ありがとうございました。