2024/4/28-29 天上山山行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
神津島・天上山計画書 第三版
作成者:磯貝、朝倉
■日程 4/28-29(日-月) 一泊二日(山行は日帰り、前日夜出発) 予備日なし
■山域 伊豆諸島
■目的 島観光
■在京責任者 清野
■在京本部設置要請日時 4/28(日) 19:00
■捜索要請日時 4/29(月) 8:00
■メンバー(10人確定)
CL磯貝SL朝倉◯城所◯谷本◯白川◯島崎◯石田◯平戸◯泉水◯加藤
以上
■集合
4/27(土) 21:00 竹芝客船ターミナルの待合室
■交通
□行き
竹芝客船ターミナル(22:00)-(東海汽船)-神津島港(翌10:00) 7310円(2等船室)
□帰り
①神津島港(12:10)-(神新汽船)-下田港(16:30) 4440円(2等船室) (城所)
②神津島空港(12:10)-(新中央航空)-調布飛行場(12:55) 17900円 (島崎)
③神津島港(11:20)-(東海汽船)-熱海港(13:15) 7410円 (残り8名)
■行程(天上山山頂マップ・YAMAPより)
□1日目(4/28)
10:00 神津島港着
↓
11:00 神津島公園キャンプ場着
↓
黒島登山口-(1:00)-千代池-(0:30)-表砂漠(0:25)-裏砂漠展望地-(0:15)-新東京百景展望地-(0:15)-天空の丘-(0:15)-ババア池-(0:15)-白島10合目-(0:20)-天上山-(0:20)-白島10合目-(0:25)-白島6合目-(0:50)-白島登山口 (計4:50)
□2日目(4/29)
8:30 キャンプ場出発
↓
島観光
↓
11:20 神津島港出航(8人)
↓
12:10 神津島港出航(1人)、神津島空港離陸(1人)
■エスケープルート
新東京百景展望地まで:黒島登山口へ下山する
新東京百景展望地以降:白島登山口or白島6合目へ下山する
■個人装備
□ザック □ザックカバー □サブザック □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □ヘッドランプ □予備電池 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル □水 □行動食 □非常食 □カトラリー □コッヘル □ライター □トイレットペーパー □新聞紙 □ゴミ袋 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め □着替え・温泉セット □モバイルバッテリー (□サングラス □サンダル □歯ブラシ □トレッキングポール □熊鈴 □一眼レフ □三脚 □酔い止め)
■地図
25000分の1:「神津島」
■共同装備 調整済み
※(持ち出し)→(山行中)(→(引き継ぎ/受け渡し))
テント:
• Dunlop V6 No.1(朝倉)→大菩薩新歓合宿①(鈴木)
• Dunlop V6 No.2(平戸)→()
• ステラリッジ(城所)→大菩薩新歓合宿①(白川)
鍋:
• 雪(平戸)→(白川)→大菩薩①
• 竹(朝倉)→(加藤)→大菩薩①
• 梅(朝倉)→(加藤)→大菩薩①
ヘッド:
• 緑7(朝倉)→(磯貝)
• 緑9(平戸)→(島崎)
• 緑4(平戸)→(谷本)
カート:
• (朝倉)2ヶ→(泉水)
• (平戸)4ヶ→(石田)
調理器具セット:
• ディド(平戸)→(加藤)→大菩薩①
救急箱:
• アゲハ(白川)大山→(白川)→大菩薩①
■食当
夜:泉水、白川、朝倉
「白米、刺身、味噌汁」
朝:泉水、白川、朝倉
「ベーカリーのパンなど、コンソメスープ」
アレルギー等:
• ナッツ類(加藤)
• くるみ・キウイ・アーモンド(磯貝)
• 甲殻類・魚卵(平戸)
• 生卵・生乳(泉水)
■遭難対策費
100円×10名=1000円
■悪天時
前日15:00までに判断
■施設情報
□キャンプ場
都立多幸湾公園ファミリーキャンプ場(フリーサイト予約済み)
• TEL: 04992-8-0661
• 住所: 〒100-0601東京都神津島村字榎木が沢2
• アクセス: 前浜港より徒歩4~60分
• チェックイン: 14~16時まで
• チェックアウト: 8:30~10:00の間
• 料金: 1泊400円
• ベンチ、テーブル、調理場あり
□民宿(悪天候時の移動先、未予約につき注意)
https://kozushima.com/yado-list/
・マリンハウスChoza 04992-8-0219
・中政 04992-8-0039
□売店
・スーパー丸伴 9:00~19:00 0499-2-80043
・松村商店 7:00-20:30 0499-2-80055
・藤屋ベーカリー 7:30~ 0499-2-80925
□水場
・キャンプ場から徒歩7分の場所に湧水あり
□トイレ
・キャンプ場、黒島登山口、白島登山口手前にあり
□温泉
・天上山温泉保養センター 800円 11:00~20:00 0499-2-81376
■備考
□日の出日の入り(神津島港・4/28)
日の出 4:57
日の入 18:26
□連絡先等
新島警察署 04992-5-0381
神津島交通 04992-8-0040
都島タクシー 04992-8-0147
—
■その他の情報
□登山届提出先
・東大教養学部学生支援課 : 提出済み
・お茶大 : 提出済み
・コンパス : 提出済み
□東大連絡先
○教養学部学生支援課 ※開室9:00~16:50(平日)
Tel :03-5454-6074
Mail:shien-team.c@gs.mail.u-tokyo.ac.jp
○駒場正門守衛室 ※常時対応可
Tel :03-5454-6666
□お茶大連絡先
学生・キャリア支援課 ※開室9:00-17:00(平日)
Tel :03-5978-5147
Mail:gakusei@cc.ocha.ac.jp
正門守衛室 ※常時対応可
Tel :03-5978-5128
□過去の記録
2016年 記録http://raicho.starfree.jp/
天上山・神津島記録
■日程
2024/4/28-29(日-月)(前夜発・日帰り山行)
■山域
伊豆諸島
■天気
晴
■メンバー
CL磯貝(44) SL朝倉(44) 島崎(44) 石田(44) 平戸(44) 泉水(44) 加藤(44) 白川(44) 城所(44) 谷本(42)
■共同装備使用記録(持ち出し→持ち帰り)
テント:
• Dunlop V6 No.1(朝倉)→(朝倉)
• Dunlop V6 No.2(平戸)→(島崎)
• ステラリッジ(城所)→(白川)
鍋:
• 雪(平戸)→(白川)
• 竹(朝倉)→(加藤)
• 梅(朝倉)→(白川)
ヘッド:
• 緑4(平戸)→(磯貝)
• 緑7(朝倉)→(白川)
• 緑9(平戸)→(加藤)
カート:
• 2ヶ(朝倉)→(磯貝)
• 4ヶ(平戸)→(磯貝)
調理器具セット:
• ディド(平戸)→(加藤)
救急箱:
• アゲハ(白川)→(白川)
■タイムスタンプ(日付は4/28・特記なきものは到着時刻)
多幸湾キャンプ場 12:52発
黒島登山口 13:30
千代池 14:29
裏砂漠展望地 15:01
新東京百景展望地 15:25
不動池 15:33
天空の丘 15:41
天上山最高地点 16:18
黒島登山口 17:23
多幸湾キャンプ場 17:51
■ルート概況・島の注意点など(文責:磯貝)
東京から島へのアクセスは①フェリー(片道8〜12時間)、②ジェット船(片道3.5時間)、③飛行機(片道45分)がメイン。値段は①<②≪③くらい。繁忙期の予約はどんどん埋まってしまうので、早め早めの予約を心がけたい(自分たちは4月頭に予約、その時点で東京行きジェット船は完売)。フェリーには女性優先席があるらしく、今回は10人で1ブースを占有できたので良かったが、人数があまり多くないときは女性のみ女性優先席で取っても良いと思う。
フェリー乗り場では、全員分の学割証(ターミナルに置いてある青い紙)と学生証を窓口に提出する必要がある。記入事項が多いので、予約を行った者は時間に余裕を持ってこれらの記入・収集をメンバーに指示する(およそ出航1時間前にはやっておきたい)。
東海汽船のホームページを見ると三辺和120cm以上のものは、フェリーでは受託手荷物になるという説明があるが、実際には一人で持ち運べるものであれば受託は不要。ジェット船は三辺和120cm以上のものだと手荷物運賃が必要。
島で使った店は以下の通り。
• スーパーまるはん 東京都神津島村1445…魚・野菜など諸々の食品類
• もろみや 東京都神津島村841…酒(盛若)、海苔
• 藤屋ベーカリー 東京都神津島村700…パン
• 丸島土産店 東京都神津島村57…お土産
島にはバスがあるが、かなり本数は少ない。神津島村のホームページで各時期の時刻表が見られるので、事前に確認すること。また、「多幸湾キャンプ場」と「多幸湾キャンプ場入口」は別のバス停なので要注意。
キャンプ場から登山道入口までは30分ほどかかる。登り登山道は低い植物が茂っており、晴れている日は非常に暑くなる。登り切ると山上は平たく歩きやすい。眺望もかなり良い。全体を歩き回ると2時間ほどかかる。ゆっくりと楽しむのであれば、出発を早めたほうが良いだろう。
■総評(文責:朝倉)
まず初めに、今回の山行を実施するにあたって、インターネット上からだけでは得難い島内の詳しい事情等に関して情報提供をして下さった40期の橋本さんには、総評の中ではありますが心から感謝申し上げます。
橋本さんら40期の方々の2月、そして我々の4月と空前の神津島ブームが巻き起こっている雷鳥ではあるが、過去の傾向からするとこれが極めて特異な現象であることは明らかである。雷鳥では、山に行くなら電車でも路線バスでも乗合タクシーでも車中泊でも、あらゆる手段を駆使してアプローチを試みるが、東京から船で行ける山があるというのは案外盲点であったような気がしないでもない。事実、雷鳥の現役生が神津島に行った記録は2016年の一件しかなく(それも台風によって山行自体は行われていない)、そもそも伊豆諸島そのものに関心が向けられていないのではという感じがする。確かに、諸々の島には登れる山こそあるものの、屋久島や利尻島や佐渡島と比べると、山行と言うには少し山の色が薄いし、遠征と言うには少々近すぎるかもしれない。そうは言っても、夜9時に浜松町を降りて竹芝ターミナルで待ち合わせをし、夜通し客船に揺られながら雑魚寝して過ごすと、次の日の朝には雄大な太平洋に浮かぶ南の島に到着しており、その日は1日山・島を満喫することができるというのは、その手軽さと非日常加減を考えるとやはり魅力的で、山岳サークルが目的地とするのにも十二分に相応しい場所のように感じた。島自体もまた魅力的で、島外の人間がこういう表現をするのは少々短絡的かもしれないが、繁忙期であることを全く感じさせない、島特有のゆったりとした時間が流れていたのが印象的であった。とはいえ公共交通機関は都会と同じかそれ以上にオンタイムで動くので、あまり飲み込まれ過ぎないようにしなくてはいけないというのは反省事項である。
天上山に関しては、本土では見られないような植生や地形を楽しむことができた。一方で、登山道中は常に日光に晒され、周りを海に囲まれている上に、幸い天候に恵まれたこともあり、4月であっても汗が吹き出るほどの湿気と暑さがあった。12〜2月頃を除いて、帽子、日焼け止め、熱中症対策は必須であると考えた方が良い。
■記録(文責:白川)
0日目
22時発の船に乗るため、21時にメンバー全員が竹島桟橋に集合した。
前日アプローチには特別感がある。日が落ちて人の家着く頃に大きいザックを背負って玄関を出る瞬間は、家出の感覚に近くてなんだかワクワクする。これから始まる島旅に胸を高鳴らせながら電車に揺られているひととき。竹芝桟橋までのアプローチは人それぞれで、自宅からLUUPで来たメンバーもいて驚いた。加藤と私は新歓大山ハイクから直行してきた。私たちは途中で温泉に入ってきていて、二人して潮風に吹かれながら乾杯することだけを考えてやってきたので山の疲れはどこへやら、という具合でテンション高めだった気がする。22時の乗船までは桟橋の屋上で夜景を見たり、各々が持ち込んできた酒を見せたりして過ごした。特等の人から順に乗船開始し、私たち2等和室は最後に呼ばれて乗り込んだ。「さるびあ丸」は新しく清潔感のある内装だった。部屋の定員は10人で、ちょうど今回のメンバーがまるまるすっぽり収容され、一部屋貸切りの雷鳥部屋が出来上がったのだった。23時の完全消灯までは、外に出るとある船内のデッキで夜景を楽しんだ。東京のキラキラした夜景を眺めているとレインボーブリッジの真上を通った。これを見る度に、よく人間はこんなものを作るなあと感嘆せずにはいられなくなる。社会基盤学科の二人が唸っていた。
1日目
さるびあ丸は大島、利島、新島、式根島の順に寄港し、終点の神津島には10時に到着した。前日の大山ハイクで、油井くんから彼のお父様が三原山に登るので同じ船に乗っていると教えてもらっていた。朝6時頃、加藤と私は油井父を見つけようと意気込み、大島の岡田港に降りていく人々をじーーっと眺めて「あの人じゃない?」とか言って少し騒いでいたが、それらしい人と確信はできず…。
午前10時頃、12時間の乗船を経て神津島に到着した。胸を躍らせながらいざ一歩踏み出すとまずまっさきに私たちを出迎えてくれたのは強い日差しだった。雲ひとつない青空から差し込む光は強烈で、今年に入っていちばんだった。GWの真っ只中、5月が始まったばかりであるが、12時間揺られて来たらなんとまあひと足早く先に夏に足を踏み入れてしまったようだった。全員降りると、船の到着を見守る気前の良い若いお巡りさんにスマホを預け、さっそく神津島上陸を記念して集合写真を撮ってもらった。お巡りさんの「はい、コーズ!!」の掛け声でパシャリ。最高のはじまりを迎えた。
島に着いて果たす第一のミッションは食料調達だった。今日山に登って下りてくる頃にはお店は閉まってしまうからだ。日光を浴びながらまずはスーパーを目指して坂道をのぼる。今回の島内の移動は、下山後の例の一件を除いてすべて徒歩だった。後から考えるとレンタカーを借りるべきだったのでは。でも実際のところ大きなザックを背負ってしまえば、目の前に道があれば、それをもう私たちは歩く道として認識しているのだろう。登山歴3年になる。「徒歩」の定義がだんだん怪しくなってきていて、友達と下界で遊んでいる時に歩こうよと提案すればドン引きされるが、それにももう慣れた。徒歩の程度がずれはじめているのは、ちょっと困る。道を歩いているときに見かけた、港の横にある白く輝く砂浜で海に入っている人たちがうらやましかった。背負っている荷物を放り投げて、今すぐ海にドボンしたい…。
打ち合わせ通り夕食用の食材は「まるはん」で、朝食は「藤屋ベーカリー」で調達した。まるはんは品揃え豊富で野菜も調味料もここで一通り買うことができた。島の店情報は2月に天上山に行った40期の先輩方から教えていただいた。参考にさせていただきました、ありがとうございました!王道のマグロやカツオをはじめ、初めて聞く名前の魚も、食当の権限を使ってカゴに入れていった。味噌汁用にねぎを買ったのをきっかけに、群馬出身の二名は下仁田ねぎの素晴らしさを、埼玉出身の二名は深谷ねぎの素晴らしさを語りはじめた。「ねぎは太ければ太いほどいい」(群馬勢)「ふっかちゃんは可愛い」(埼玉勢)。買ったネギは緑色の磯貝くんのデカザックのストックポジションにすっぽりと刺さっていた。つづいて酒屋さんで島焼酎をゲットしてウキウキしながらキャンプ場まで歩いた。途中、多くの鯉のぼりが風に揺られていて、GWを感じた。島に着いて買い物を終えた時点で11:30をまわっていた。まだ本山行のメインである天上山登山は始まっていない…はずであったが、ここからキャンプ場への道から登山は始まっていたと思う。歩き始めて10分もしないうちに登山道のような道に入って行った。舗装された道路を歩くのかなと思いきやこれは想定外だった。登山装備以外の荷物も背負いながら、それに先ほど晩酌のために買った盛若様も抱えながら、木の根や岩の目立つ足場の悪い道をひたすらに登っていく。動けば酒がポチャポチャいうので、この時さっき調子に乗って酒瓶を買ったことをとても後悔した。そうかと思えばまた舗装された道に出る。今度はひたすら車の通らない道路を歩く。太陽に照らされながら45分ほど歩いてようやくキャンプ場に着いた。一息つき、キャンプ場で手続きをして、買った食材を受付のある建物の冷蔵庫に入れさせてもらう。テントを立てたり荷物を整理したりしてあっという間に1時間が経過した。
時刻は13時前になり、いよいよ行動を開始する。まずは登山口まで歩くのだが、そこまでの1.3kmの道のりは登りが続き、ここも登山道と言っていいほどの登りごたえだった。
13:30に黒島登山口に到着。ここまでは結構長かった。CLの磯貝くんが登山届を書いてポストに入れた。いよいよ登山開始。シダ植物をはじめとする青々とした草に囲まれた細い道をコツコツ登っていく。ここは神津島だから地面は白い。途中に木段や休憩用ベンチもあるほど整備されているので、特に危険なところはない。
今日は雲ひとつない快晴である。背の高い木々はないので遮るものは何もなく、体感30度を超えている。とにかく日差しが強いのだ。気づけば汗が滝のように出ていた。熱中症になりかけたメンバーもいた。暑さにびっくりしながらもコツコツ上に登ったら、海が見えてきた。見下ろしているのはテン場のファミリーキャンプ場からすぐの多幸湾だ。また少し登ったら、今度は集落が見えてきた。本当に暑いので半袖をさらに折り返し、ノースリーブ状態になる。海に入りたいと切実に思っていたのは私だけではなかっただろう。今すぐ顔からパシャーっと波に当たりたい…今日はもう絶対に気持ち良いだろうなあ…。山に登りながら、私は海のことで頭がいっぱいになっていた。それと、夕飯に食べる予定のお刺身のことも。
足元にほんのりピンク色のオオシマツツジがちょこんと咲いているのがとても可愛い。
天上山は基本的にずっと展望が良い。道中、眼下に広がる港町と青く透き通った広い海に何度も心を打たれた。いくつもある展望台に着いては撮影大会をする。広い海を見つめながら両手を横にまっすぐ伸ばしたら風を気持ちよく感じられた。岩に立つ者座る者、緊張しながら足を踏み入れギリギリを攻める者、色々いる。いつまでもそこに留まりたい気持ちを奥にしまい、再び歩く。
少しだけ背の高さまで植物が生い茂る道を抜けたら千代池が見えてきた。すでに登山開始から1時間が経過していた。この池は、薄茶色の、地味な水たまりだ。中は透き通っていて生き物はいなさそうだった。ここでまた少し休憩をとる。二つあるテーブルのうち一つが池の水に浸かっていて、そこに島崎くんと泉水くんが座っていた。楽しそう。池の周りのふかふかの芝生の上で加藤由梨がごろ寝している。相変わらずだ。14:37に池を出て、朝倉君や泉水くんらとジブリ映画作品の興行収入の話をしながら裏砂漠へ向かう。この広大な裏砂漠は強い風雨によってできたという。ここに降った雨は大地に飲み込まれて伏流水になり、豊かな水を育んできた。神津島で美味しい水が飲めるのはこのおかげなのだ。
サアーッと広がる白い砂とゴツゴツした山の起伏が、青空をバックに映えている。平坦な道を上機嫌に歩く。ここまで結構登ってきた分の疲れがこの広大な空間で分散されていくのを感じる。単純なようだけど心も広くなるような。
15時頃に裏砂漠展望地に到着。表砂漠と裏砂漠がある。「砂漠」は国内に唯一、大島にあると聞いていたけどここにも砂漠があった。表記の問題なのだろうか?大島は黒い砂漠だが、こちらは白い砂漠。ラクダが通っていそう。登山口で貸し出されていた杖を持ち、朝倉くんのサファリハットを被った平戸くんは、砂漠が似合っていた。磯貝くんはいつもの青と白のチェック(石田くんが「いつもの磯貝帽子」と言っていた)の帽子を被っている。朝倉くんはタオルを頭に巻いている。タオルを頭に巻くのは憧れの先輩スタイル!と加藤由梨、「なんか悔しい」とひとことつぶやいて彼女も朝倉くんに対抗するかの如く、のそのそとタオルを出して頭に巻きはじめた。写真を見返したけど、由梨ちゃんがタオルをつけていたのは一瞬だけだった。こんなに日差しが強いなら帽子を持ってくるべきだったとちょっと後悔。おかげで頭皮はほんのり赤く日焼けしてしまった。まだ4月なんだよなあ。
15:25に新東京百景展望地についた。ここら辺からほとんど誰ともすれ違わなかった。どこからでも海が見えて、太陽に照らされていて、地面は白いからまるで雲の上を歩いているみたいでその名の通り「天上」にいるのだと思える。この時に全身で感じていた潮の香りと太陽の日差しを今でも覚えている。
どこまでも広がる水平線。周りを遮るものがない砂や岩の道は、まるでアルプスのようでここが標高1000mにも満たない場所であるということに驚きを隠せない。ここも日本で、東京である。異世界である。かつて私が住んでいた大島とも全然違う。本土から離れれば離れるほど、知らない世界が広がっているものなのだろうか。これはもう、もっともっと先の方へ奥の方へ行きたくなる。今度は青ヶ島。今回で私たちの島モチベはさらに高まった。
少し歩くと、本日二つ目の池である不動池に到着した。見た目は千代池とあまり変わらない。
また少し歩くと天空の丘に到着。海に小さな島がポツンと浮いているのが見える。名前がまた素敵だ。手前には緑豊かな森が広がっていて、このまま飛び降りたらモサモサして気持ちよさそうだ。ただし直下は崖になっているからこれを飛び越えるほどの相当な脚力が必要である。残念ながら私には無理だ。そろそろ疲れたからだろうか、森がブロッコリーに見えてきたし、そろそろ寝っ転がりたくなった。
山頂までの30分ほどは、ゴツゴツした道を登った。ちょっとした岩場である。稜線をあるく。少しずつ階段を上がる。
途中で水が足りなくなった人がちらほら出てきた。幸い石田くんが2リットル持ってきてくれたから足りない人は恵んでもらった。登ってみてわかったことだが、予想以上の直射日光で体力がすぐに消耗する。日帰りのハイクとはいえ、水は多く持ってくるに越したことはないと思った。
16:18、待ちに待った山頂に到着。思ったよりも上りごたえがあった。山頂は10人が集まってちょうど良いくらいの広さだった。岩でゴツゴツしている。
山頂に着いたやいなや、泉水くんと磯貝くんが持ってきたクラッカーをパアーンと放った。船内で谷本さんの誕生祝いをした時のクラッカーを使わずにとっておいていたらしい。そこから撮影大会。愛しのぐんまちゃんタオルと一緒に満面の笑顔の石田くんを撮った。15分ほどたって山頂を後にした。もう17時前である。夕陽が差していて、穏やかな海面に写っていて美しかった。
「すごい…」「すげえ…」各々、疲労もあっただろう、感動を表す語彙が喪失していく。下山後も登山口からキャンプ場まではさらに徒歩30分ほどの距離があった。朝から歩きっぱなしの私たちはもうヘトヘトで、時たま過ぎ去る車を羨ましく思いながらチンタラ歩いていた。気がつけば男子たちと距離が空いていて、足の長さの差を感じた。待ってよー。と言う気力もなく、女子たちはただひたすら車に乗りたいと話していた。するとちょうど後ろから車が来て、ほんの少し期待を抱いて後ろを振り返って車に視線を送ってみた。そうしたら車の速度がだんだん落ちてきて…(!!) おじさんが車から降りてきて、釣具をトランクの方に移動して座るスペースを作ってくれた。「多幸湾のキャンプ場までお願いします!!」やったー、ヒッチハイク成功。心に願っていたことがあっさりと叶ってしまうなんて。車は先を行っていた男子たちを爽快に追い抜いた。見間違いではなかったと思うが、男子は車に乗っている私たちに気づくや否や走り始めていた。何処からそんな力が出てくるのか…。
全員無事に山から帰還し、キャンプ場の炊事場所で待ちに待った夕食の支度をはじめる。ささっと米を炊いて、ネギの入った味噌汁を作った。CL磯貝くんの挨拶で晩餐のはじまり。本日いただく海の幸は、まるはんで買ったマグロ、メダイ、タカベと、キャンプ場にいた隣のパーティーからお裾分けしてもらった釣りたて脂の乗っているカツオ。他にベッコウ寿司も買ったので食べた。ベッコウ寿司は魚を唐辛子でつけた美味しい寿司で、私にとっては大島でよく食べていた懐かしの味である。魚はどれも素晴らしく、地酒「盛若」のスッキリした味も伴いうまさが倍増。「盛若」は各自コッヘルに豪快に入れてロックで飲んだが、ロックは若干少なめだったためかなり濃いままだったこともあり早めに酔いが回った。おかげでしょうもないことで笑い続けている人が複数と、味噌汁をこぼしたことに3分ほど気づかずフリーズしていている人、とにかく薄めるために盛若で水道水を割っている人(?)、まだ飲めると言っている人がいてなかなかに面白い状況が出来上がっていた。
寝るまでの時間は、多幸湾のビーチに寝そべって夜空を眺めたり足だけ海に浸かって波で遊んだりした。
海も山も存分に味わった、大満足の一日だった。
この記録を書いている夜に青ヶ島に向けて出発する予定だ(書くのが遅くなって本当にすみません)。神津島山行は私たちの島モチベをさらに高め、行ける確率50%と言われる青ヶ島への世界に導くのであった。島は44期を集める。今夜もまた島愛好会メンバーに会えるのを楽しみにしている。
■感想
◯磯貝
・横になれればどこでも眠れる。
・白い砂浜と青い海を見た時には、「海いいな」と思ってしまいました。
・登りは暑くてかなりしんどかったが、山頂は平たく歩きやすい。山の上は言葉通りの別世界。
・キャンプ場で魚と酒と星を楽しむ。最高。
・鍋で炊いた米が美味すぎて、途中から米をおかずに米を食べてました。
・全体的に徒歩の多い行程になってしまい申し訳ないです。(山もそうですが)離島の公共交通は本数が少ないのでよく調べましょう。
・頼りないCLだったと思いますが、最後までついてきてくれてありがとうございました。
◯朝倉
・山も海も食も天気も良すぎました。見る物全てが目新しくて、GW期間中に歪に配置された授業日の間を縫って行った甲斐がありました。行って良かった、これに尽きます。
・島旅は船だけでも楽しい。トランプがあるとなお良い。
・バスの件でご迷惑おかけしました。徒歩40分で横断できるサイズで良かった…。小さいけれど、たくさんの魅力が詰まった島です。
◯島崎
・帰りの飛行機も最高でした!
・離島山行のモチベーションが大いに高まった。
・おまわりさんに教えてもらった「はいコーズ!」をもっと使いたかった。
◯石田
・きれいな山々ときれいな海で心が浄化されました。
・スーパーのお刺身ももちろんですが、キャンプで臨席したオジ様たちに頂いた刺身の盛り合わせが優勝すぎました。
◯平戸
・平安時代にできた山だからか、生えてる植物や落ちてる石が色々あって楽しかったです。
・山行中に食べるお刺身は(気持ち的にも)新鮮で美味しかったです。
・砂漠や海と夜景がきれいで良い山行でした!
◯泉水
・今回の目標は「鍋で美味しいご飯を炊く!」だったのでそれがある程度達せられてかなり満足していました
・こんなに様々な景色を見せてくれる山は中々ないんじゃないでしょうか。天気にも恵まれて本当に行ってよかったです。企画ありがとう!
・島自体も、美しいビーチ・美味しい海鮮・優しい人に溢れていて多くの幸があったなと思います。
◯加藤
・初の島観光でしたが、本州にはない植生、地形や展望を見ることができて楽しかったです。
・多幸湾ビーチでゴロ寝した時間が本当に心地良かったです。幸せを沢山もらえました。
・夜も朝も、ご飯がとても美味しかったです!炊き立てのお米だけで感涙。
・島で出会った方々、優しすぎ。
◯白川
・居心地がよくて、また今すぐにでも再来したい島だった。この旅で今まで知らなかった伊豆諸島の魅力を発見できて嬉しいです。ここを知らずして伊豆諸島出身とか言えないのでもっと他の島を知りたいと思った。
・ゆっくり流れる島の時間を久しぶりに感じられて幸せだった。
・魚最高!
◯城所
・東京湾の夜景から始まって、景色も、気候も、ごはんも、星空も、島で過ごした時間も最高でした。また島旅に行きたくなりました。
・山頂の見所が尽きない天上山、白浜に淡いブルーが広がる多幸湾が幸せ。
・忙しい中準備を進めてくれたCLSLの2人本当にありがとう。
◯谷本
・船酔いの心配をしていましたが、東京タワーやビル、レインボーブリッジなどの夜景を見ていたら気にならなくなっていました。2等和室も10人で使えたので居心地がよく、寝袋を敷いたら朝までぐっすり眠れました。朝起きて、デッキに出ると風が心地よく夜とは全く違う景色を眺めることができました。部屋に戻り、朝食や記録係決めなど一段落したところで、なんとクラッカーと大きなバームクーヘンで誕生日のお祝いをしてくれました!全く予測していなかったので驚きと共にとっても嬉しかったです。
・天上山は、キャンプ場から登山口に辿り着くまでの道のりが長く、標高の割に体力を削られました。気温が高かったので、10合目までの道はしんどかったです。それでも、池や展望値、砂漠などを歩いていると幸せな気分になりました。
・夕飯や夜に行った多港湾も最高で、砂浜に寝っ転がって星空を見ていた時間は忘れられません。ヘッドライトをしてバレーボールをしようと頑張りましたが暗闇には向いていませんでした。
・素敵な23歳の誕生日を神津島で過ごせて本当に良かったです。ありがとう!