2024/6/15-16 燧ヶ岳・尾瀬沼ハイク

燧ヶ岳計画書第二版
作成者: 河野ほか
■日程 2024年6月15,16日(山中一泊二日、予備日なし)
■目的  交流、湿原
■山域 尾瀬
■在京責任者・助言者 加藤
■メンバー(10名)
CL橋本SL河野〇豊永〇桐原〇中田〇岩瀬〇山口〇鈴木〇猶木〇鶴田
■集合
6/15 6:15 バスタ新宿
■交通
□行き
バスタ新宿(06:35) ⇒ 尾瀬戸倉(10:55) 4,700円/人 ※40期4人分橋本、41-43期6人分河野が予約
尾瀬戸倉(11:30)⇒鳩待峠(12:05) 1,300円/人
https://kan-etsu.net/publics/index/43/
※乗合バスのほか常時乗合タクシーも運行あり
タクシー:戸倉~鳩待峠 約20分 大人1,000円
※タクシーは定員になってからの出発

□帰り
大清水から路線バスで沼田駅まで
https://kan-etsu.net/files/libs/3085/202008241541061825.pdf
大清水1500/1555-沼田駅1633/1734(終点)-上毛高原駅1658
沼田駅から在来線

□エスケープ時の交通
公共交通:会津バス https://www.aizubus.com/sightseeing/bus/oze
沼山峠(8:10/12:50/13:45/15:50)
→御池(8:30/13:10/14:05/16:10)
→会津高原尾瀬口駅(10:10/14:50/15:45/17:50)
タクシー:あいづタクシー 0120-692-468

■行程
一日目(計2:30)
鳩待峠-1:00-山ノ鼻-0:30-牛首分岐-0:30-竜宮十字路-0:30-見晴

二日目(計8:40)
見晴-0:18-見晴新道分岐-1:35-五合目-1:21-旧温泉小屋道分岐-0:21-燧ヶ岳-0:19-俎嵓-0:13-8合目-1:29-長英新道分岐-0:35-三平下-0:25-三平峠-0:56-一ノ瀬休憩所-1:08-大清水
※CTはらくルート参考

※山頂付近の雪渓に注意、また雨天時木道が滑りやすいので注意

■エスケープルート
燧ヶ岳まで 引き返す
燧ヶ岳山頂付近 御池に下りる  2時間30分
燧ヶ岳下山後 そのまま進む

※天候次第では、燧ケ岳に登らず、見晴から尾瀬に抜ける
見晴-0:18-見晴新道分岐-1:05-白砂峠-0:53-長英新道分岐-0:35-三平下-0:25-三平峠-0:56-一ノ瀬休憩所-1:08-大清水(合計5:17)

■テン場、山小屋情報
https://oze-fnd.or.jp/ozb/b-ml/

□見晴キャンプ場(予約不要)
受付:燧小屋
HP:https://ozehiuchigoya.com/camp/
テント場:約100張り、1人1,000円
小屋:29日時点で6/15は△

□山ノ鼻キャンプ場(予約不要)
受付:至仏山荘
電話番号:0278-58-7311

□尾瀬沼キャンプ場…予約で満室
テント場:約20張、1人2,000円
電話番号:0278-58-7311(尾瀬沼山荘)

■食当
1日目夜:豊永、中田
2日目朝:各自(お湯だけ沸かす)

アレルギー、苦手なもの:
きのこ、甲殻類、ごま、にんにく

■共同装備
〇テント:
  ステラ4(加藤私物):岩瀬
  2人用テント(桐原私物):桐原
  VS50(橋本)
〇ヘッド:
  橋本私物(橋本)
  緑9(橋本)
〇カート:
  河野私物×2
〇鍋:
 雪(橋本)
 橋本私物(橋本)
〇調理器具:
 キャサリン(橋本)
〇救急箱:
 中田私物(中田)
〇チェーンスパイク
 ヒガシヤマ(橋本→山口)
 鶴田私物(鶴田→豊永)

■個人装備
□ザック □ザックカバー □雨具 □防寒具 □登山靴 □替え靴紐 □!軽アイゼンorチェーンスパイク !□!ゲイター! □帽子 □水
□行動食 □非常食 □ヘッドランプ □予備電池 □ゴミ袋 □トイレットペーパー □地図 □コンパス □エマージェンシーシート □筆記用具
□計画書 □常備薬 □健康保険証 □現金 □遭対マニュアル(緊急連絡カード含む)
□シュラフ □マット □ブキ □コッヘル □ライター □新聞紙 □軍手 (□学生証 □学割証) □日焼け止め □歯ブラシ □充電バッテリー
□タオル □消毒液 □着替え
(靴擦れ対策、サポーター、□トレッキングポール □サンダル)

■悪天時
前日13時頃までに判断
※天気が悪い場合、メンバー減で実施する可能性も
→橋本分のバスの予約をキャンセルして(4人440円)、必要人数分だけ取り直す
■遭難対策費
200円×10人=2,000円

■備考
□登山届提出先
コンパス https://www.mt-compass.com/ :提出済(豊永がやる)
東大:未提出(桐原が提出する)

■各種連絡先
□現地連絡先
沼田警察署 0278-22-0110
尾瀬沼 尾瀬沼山荘 0278-58-7311
尾瀬沼ヒュッテ 080-5734-7272
長蔵小屋 0278-58-7100
鳩待峠 鳩待山荘(リニューアルに伴い休業)0278-58-7311

□タクシー
尾瀬観光タクシー
0278583152
https://oze-kanko.jp/smarts/index/17/
ジャンボタクシー6台(客席9席)
小型タクシー1台(客席4席)
10名以上は要お問い合わせ

老神観光タクシー
https://oigami.info/bus-taxi/
0278-56-3222

◽︎バス(帰り)
0106号 大清水(15:00) ⇒ バスタ新宿(19:35) (未予約)
新宿〜尾瀬 大清水 13:10発
新宿〜尾瀬 尾瀬戸倉 14:30発

□参照
尾瀬 2024(令和6)年シーズンについて
https://oze-fnd.or.jp/archives/167002/

燧ケ岳山行記録
作成者:橋本、猶木、豊永
■日程 6/15-16(土-日)
■山域 尾瀬
■天気 1日目:晴れ
     2日目:曇りのち晴れ
■メンバー
 CL橋本(40) SL河野(41) ◯岩瀬(40) ◯鶴田(40) ◯猶木(40) ◯山口(41) ◯鈴木(42) ◯桐原(43) ◯中田(43)
■総評
40-43期が10人も集まり、予想以上に良い天気に恵まれ、尾瀬を楽しむことができました。
■タイムスタンプ
□1日目
11:30鳩待峠~12:30至仏山荘13:10~14:50見晴キャンプ場
□2日目
3:15見晴キャンプ場~7:10燧ケ岳7:50~8:15俎嵓~11:15尾瀬沼~13:15一ノ瀬

■山行記
□1日目(猶木)
バスタ新宿で集合。バスタ新宿を使うのは個人的に初めて。10人が集まる。遅刻なし。改めて集まると大所帯。バスはB5番ゲートから出発。
「大勢で尾瀬に向かう、おー、ぜーぜーするぜー」by 岩瀬
途中三芳PA、赤城高原SAでトイレ休憩。男子トイレのマークの下にツバメが巣を作っていた。バス中は席バラバラだったのと基本みんな寝ていたので割愛。
尾瀬戸倉で降車し橋向こうの第一駐車場に移動して、乗合タクシーに乗車。乗合タクシーはかなりの数が待機していたので、いつ着いても問題なさそうだった。
乗合タクシーは9人乗りがMax。「1人が犠牲になるね」by桐原君。すでに他の客が乗り込んでいる車両があるのでその1人が先に出発して、9人が後の車両に乗り込む。というわけで鳩待峠で待っていたのは鳩ではなく、岩瀬だった。「なんで鳩待峠なんだろう」「やっぱり鳩が待っていたんじゃない?」「鳩バスは来ないよね」by岩瀬
出発の準備を整え、いざ尾瀬国立公園へ。先頭豊永さん、殿橋本であとは適宜。僕は岩瀬の後ろだったけど、岩瀬が雨なんか降ってもいないというのに、ザックカバーをかけているせいで、しばらく撮る写真が全てmont-bellの宣材写真になる。鳩待峠から至仏山荘まではかなり良く整備された木道の緩やかな下り坂。
至仏山荘到着。研究見本園を一周する。ここまではそれなりに木立の中を歩いてきたが、ここから空がひらけ、高原の湿地らしさが素晴らしい。良く晴れて、雲もとても高いところで気持ちの良い天気。園内の池塘は水面がよく凪いでいるので逆さ至仏がよく撮れる。逆さ岩瀬と逆さ山口君も。「おじゃまたくしがあるよー」
軍用の大型のプロペラ機がかなり低空飛行で上空で旋回して去っていった。「尾瀬を見にきたのかな?」「誰かVIPでも乗ってるんじゃない?」
すでに水芭蕉の満開の時期は去っていたが、チラホラと残っていた。他はワタスゲ、タテヤマリンドウ、ミヤマキンポウゲ。わからない花はGoogleレンズ博士の桐原君担当。遠くに燧ヶ岳が初めて姿を現す。中田君、鈴木君が山口君に目標達成ですよ、と。
再び山荘に戻って、休憩してから出発しようとしていたところ、岩瀬が柿ピーを雨蓋裏にぶちまけてしまう。中田君の最近の話で効率的にゆで卵を作るなら10個入れて10分火にかけると良いと言ったら、卵2個2分で茹でた後輩の話をしてくれる。
研究見本園で40分ほど道草を食ってしまったが、休憩を終えて再び木道を燧ヶ岳に向かって歩き始める。まだ燧は遠く、いくつかのコブがあるような立派な山容を見せている。湿原ではオレンジ色のツツジの仲間やカキツバタなんかも咲いている。あとはとにかくワタスゲが一面に白いフワフワな見た目を咲かせていてなんともファンシーな雰囲気。風が吹くと草がさざめき緑色の濃淡が揺れることでその通り道が見える。少し歩くだけでちょっとした植生がすぐに変わってくる。地を這うような低木の場所もあれば、モウセンゴケが一帯に生えているようなところもある。池塘も色が様々で面白い。木道のすぐ下では蛙の鳴き声がするのだけど姿は見えない。振り返れば至仏が丸みのある穏やかな姿が見える。
至仏山荘から1時間ほど歩いて龍宮小屋。そこの前で何人かが「竜宮」を見に行っていて少し遅れて来た。尾瀬ヶ原の流れている水が湧水するところと伏流するところがあって、これが竜宮の由来ということらしいとのこと。なるほど、「尾瀬の下にも都はございましょう。」ということか。
龍宮小屋のおじさんに絡まれて少し話をする。中田君が前にも絡まれたことがあるらしい。「今日も暑いけど、昨日の方が暑かった。」「燧小屋のテン場はもう30張りほど既に張っている。」「燧に登って降りるなら10時間ぐらいかかる。」といった話をする。ここで、明日の行程そんなに時間がかかったっけ?と違和感。
龍宮小屋を出てすぐの川を跨いだ途端道の様子が変貌する。先ほどまではよく整備されて、他の歩行者もかなり多かったが、所々木道が腐り落ち人もまばらになる。周りの景色もそれほどダイナミックに変化するわけではなく途中の小川の周りに背の低い木が生えている程度。龍宮小屋の手前で戻る人が多いらしい。小川も越えれば見晴の小屋群が燧ヶ岳の麓の集落のようにあるのが見えてくる。数分でたどり着けそうに見えるけれどそれほどすぐには着かない、錯視のよう。
龍宮小屋から20分ほど歩いて15時ちょうどごろ見晴に到着。燧小屋のテン場は右手側の少し奥にある。到着後すぐにテント張り。既に3〜40張ほどあり、休憩所のすぐ横に陣取った。桐原君は自前のテントを張るのは流石の手際。たが、テント割ジャンケンの結果、私物テントは中田君、鈴木君に割り当てられ、当の桐原君は他鶴田さん、河野さん、豊永さんのテントで寝ることに。
夕食と翌日の出発時間を決めるために燧ヶ岳の行動時間を確認したところヤマレコ、YAMAP、エアリアでコースタイムが違っていることが判明。想定では9時間程度だったが、エアリアが1番長く、11時間以上となっている。龍宮小屋のおじさんの話もあり、天気も夕方にかけて崩れる予報だったので、余裕を持って翌朝3時出発を決める。夕食は16時からとしてしばらくの自由時間。小屋の物販を確認して小屋前の円卓でみんなでビールやシャーベットをいただく。山口組長の前で正座する桐原君とチンピラ座りをする中田君がカメラに収められる。
食当は豊永さん、中田君。メニューはトマトすき焼きと鶏肉と野菜の(元は炒め物の)煮物。二人ともしっかり肉を用意して来ていてガッツリな料理。パックの米も余るほどあった。調理中、謎の小さな羽虫が大量に湧いてきて、しかも咬まれると小さく腫れるので少し閉口した。料理はどちらもとても美味しかった。特にトマトすき焼きは初めてだったが家でも作ってみたい。橋本の心意気もいただき、しっかり鋭気を養った。
寝る頃に夜のスライドショーを開催しますというアナウンスがあったが、明日に備え就寝。休憩所前で盛り上がっているスライドショーの音だけ聴きながら入眠、と思いきやテント内が暑くてなかなか眠れず、ウダウダするうちにショーも終わって夜の静けさがやってきた。

□2日目(豊永)
 2時に起床。標高が低めだからか4人用テントにしっかり4人収まって眠ったせいか、おそらくその両方が原因だが、テント内は今までで一番と思えるほど暑く感じ、私はシュラフを剥いでただ棒のように横になって寝ていた。朝が寒くないと、寝起きにシュラフから出るのを渋る時間が発生しなくて良い。
 私物の快適そうなテントを持参してくれたのに、いつの間にか雷鳥の4人用テントに追い込まれることになっていたメンバー・桐原くんは朝の撤収が爆速で、彼に釣られるように荷物をまとめテントを出てペグを外していく。今回はメンバー10人と大所帯でテントも3つ張っていたのだが、他2テントのメンバーが外に出てくる頃には我々のテントの解体がほぼ完了しており驚かれた。私も驚いた。普段ダラダラしてしまいがちなので見習いたい。
 朝食は鍋でお湯を沸かしみんなに配るだけ。食当はとても良い文化だと思うが、いちど”各自で準備”の楽さ、速さを知ってしまうとCTが長い日の朝はこれに頼りたくなる。その分食事の楽しみはあまりなくなってしまうのが難点だが、私は今回初めて食べるカレーメシ・バターチキンカレー味を持参していたので死角はなかった。しかも昨日すき焼きに入れ忘れた春菊(ひと束)も入れ放題である。お湯が一人分足りず沸かし直すことになったり、とにかく謎の虫(ときどき噛んでくるようで、少し痛い)に全身集られてスプーンで掬う中身があまり直視したくないものになっていたりと、朝は完璧とは言えなかったが、バターチキン春菊カレーは美味しかったので許せた。個人的には無印よりもだいぶ好きな味だ。私は回し者ではありませんが、カレーメシはカップ麺と違い残り汁も出ず、カロリーも優秀で、軽量化するなら中身だけジップロックに入れて持参もできるため、個人的にはかなりおすすめのレトルト山ご飯です。
 テン場の設備についても少し書いておくと、トイレは水洗(!)で流し台もあり清潔だった。コンタクトを入れたい私としては綺麗な水で手を洗えるのはかなりありがたい。100円玉は忘れず、多めに持っていこう。水場も蛇口が複数あり冷たく美味しい水が飲み放題。小屋も近く、売店も充実しており、とても過ごしやすかった。小虫さえいなければ……。
 3時過ぎ頃、見晴キャンプ場を出る。まだ真っ暗だったがヘッデンがあれば足元も周りも照らされて、樹林帯で足元も安定しており、特に問題はなかった。10人分のランプが点いていたことで尚明るかったのかもしれない。出発後すぐの登り始めはブルーな気分になることが多いのだが、暗さにテンションが上がり、また遠くが見えないおかげで登りだということをあまり意識せず歩けた。日が出る前、涼しいうちに距離を稼げたのもよかった。前の方を歩かせてもらっていたため後続との会話が難しく、しかし賑やかしたい心は抑えきれず、口笛なんかを吹いていた気がする。
 途中、少し明るくなってきた頃の休憩で記録係を決めていないことに気づき、雑に話題を振ったところ爆弾ゲームのように押し付け合いが始まり気づいたら私が2日目を担当することになっていた。院生だって忙しいと思うのだが、社会人の忙しさは私にはまだわからない。ここに言及しすぎると院生と社会人の間に亀裂を入れ、争いを生みかねないのでこれ以上は触れないでおく。
 傾斜がだんだんときつくなってくると、比例して口数も減る。全体的に歩きやすい道でぬかるみもほとんど無かったが、時折現れる長い木の階段には辟易した。3合目、5合目、と現在地を示すと思われる木に括られた看板があったのだが、鉄製のものとラミネートされたものの二種が微妙な距離感でつけられていたので、勝手にそれぞれを本物と偽物と名付け、本物の5合目だ!偽物だ!と呼んでいた。しかし誰かがGPSアプリで現在標高を確認したところ、特に看板の内容と釣り合っておらず、この表記に関しては「何らかのミス説」「標高じゃなくて距離説」「気持ちとしての○合目説」などさまざまな意見が飛び交った。
 山頂直下までくれば一気に視界が開け、歩いてきた湿原が一望できた。足を止め写真を撮ることも多くなり、安全のためペースも落とすので体力的にはかなり楽になる。鎖が必要なほどではないものの手を使って登る必要のある岩場を超えていくと、山頂に着いた。この辺りは読み方がぱっと見ではよくわからない名前が多く、ぼんやりとしか把握していないままだったのだが、燧ヶ岳は双耳峰であり最高峰、つまり今回先に着いたほうが柴安嵓(しばやすぐら)、もう片方の高い峰を俎嵓(まないたぐら)と呼び、「燧ヶ岳」という名の山頂はないのだとか、正確には5つの峰による連峰なんだとか。他3つはみのぶち岳、赤なぐれ岳、御池岳と呼ばれているらしい。今回私は全く気にせずスルーしてしまっていたが、今後登る方が居れば5つの峰を探しながら歩くと味わい深いのかもしれない。
 柴安嵓には数人先客が居たが、荷物を置いて好きなところを陣取れる程度には広く、またどこから見てもいい景色だった。山頂はあまり狭いと居づらく、広すぎると360度の展望をいちどには望めなかったりするが、その点ちょうどよく感じた。気づいたらしっかり意識を失うタイプの睡眠をしているメンバーもいれば、ひとり座ってガスを取り出し袋麺を作り始めるメンバーもおり、大層自由。各々楽しみながら、気づけば40分ほど過ぎてしまっていた。こちらが最高峰であったこともあり、先に見える俎嵓までの下りと登り返しがみんな億劫だったのかもしれないが、歩かないことには帰れないので出発する。
 俎嵓へ向かう道の柴安嵓直下に、5mほど溶けかけの雪渓があった。事前に、前の週に雷鳥で燧ヶ岳に登った油井君から情報共有を頂いていたものだったが、送ってもらった写真よりも随分溶けているようにも見えた。これのために軽アイゼンを持ってきたものの、思ったよりも道が狭く急で全員が座ってつけられそうなスペースがなく、雪渓も踏み抜きは怖いが滑っても大ごとにはならなそうな場所だったのでそのまま通過することに。今思えば柴安嵓山頂でつけておけば良かったようにも思えるが、岩場で刃先をすり減らすのも気が進まないので難しい。こういった場所の歩き方は個性が出るもので、慎重に足を蹴り入れて段を作っていくものや草付きにしがみつくもの、サクッと歩いてしまう人もいた。私は屈んで腰をおろしコサックダンスのように降りた。見た目は滑稽なようだが、(数人に写真を撮られていた気がする)こうすると滑った時の衝撃が少ない(と、自分では思っている)。
 激しく下って激しく登り返すと俎嵓に着く。こちらは柴安嵓以上に岩っぽく、狭め。先程長居しすぎたので、適当に写真だけ撮って下山を開始することに。直下の岩場を抜ければ、すぐに鎖や崖のない比較的歩きやすい道に出た。ハイマツに囲まれた比較的平坦な尾根をまっすぐ降りられて、楽しい。サクサク進んでいるとだんだん道が谷のようにえぐれて急になってきて、階段も頻出しはじめ、悲しい。トップを務めた私は会話にはあまり入らず、そもそも下りは皆早く帰ることしか考えていないのか発言も少なめだったが、樹林帯に入ってからは後方で法学部トークやメガバンク成り立ち講座が展開されていた。A銀行がB銀行に吸収されて……それがC銀行と合併してBC銀行になり……そして……。心配していたぬかるみも結局ほぼ無く、山行前の天候にも恵まれていたことを喜ぶ。元々かなり心配な雨予報であったが、結果山の中で降られることはいちどもなかった。
 3時間ほど記憶を失いかけながら降りると癒しの湖畔が見えてくる。平坦な木道に出たらほぼ下山気分だった。オーダーも曖昧になりながら尾瀬沼ビジターセンターにたどり着くと皆ベンチに根を張ってしまう。私はどうにか立ち上がりやはり恐ろしいほど清潔な水洗トイレ(鏡まである)を借りて顔を洗ったり、売店で冷たいスポドリとトチの実大福を仕入れた。賞味期限をとうに超えた越冬ドリンクが値引きされて売っていたので、胃腸に自信のある人には美味しいかもしれない。短い休憩ですぐに出発する予定だったものの、バスを一本後のものにしてゆっくり歩く方針に更新されてからは気分が本当にまったりしてしまい、この後もほぼ緩やかな下りだけ、すこしだけ峠があるらしいけれど......と油断していたが、三平峠は案外強敵で100mほど登る必要があり、足の裏が痛めつけられる。途切れない木道は無条件にありがたいものだと思っていたが、地面が硬く沈まないせいでコンクリートを登山道で歩いた時のようなあまり嬉しくない疲れが出ることを何となく察し始める。いつの間にかトップを爆速の岩瀬さんに奪われており、辛い道はゆっくり行ったほうが楽説VS早く行ったほうが楽説でバトルしていたものの息切れにより敗北し、追いかけるようにその先を下ることになった。
 一ノ瀬休憩所に着いた時は、ここから林道歩きと思うと全く喜べる状態ではなかったが、「大清水行き
シャトルバスのりば」の看板が視界に入った瞬間に空気が変わった。完全にリサーチ不足で見落としていたのだが、終着点である大清水まで乗合バスが運行していたのだ。しかもなんたることか丁度、バスが来ている。気がついたら飛び乗っていて、気がついたら大清水に着いていた。リサーチ不足は決して褒められたことではないが、ガタガタになっていた足には思わぬサプライズで、満面の笑みを浮かべながら下山報告をした。一部メンバーは1日目に山ノ鼻で見送った花豆ソフトとの再会を喜んだ。
 そのあとは尾瀬戸倉の銭湯が小さめで男子は時差で入る必要があったり、そのせいで解散が曖昧になって共同装備の受け渡しミスをしたり、施設に食事処がなく彷徨ったりと色々あったが、最終的に有志メンバーは沼田駅で居酒屋に入ることになった。ザックは邪魔になるので駅の外に残置し、身軽に楽しい時間を過ごしたのだ(岩瀬さんごちそう様でした!)が、お腹もいっぱいになって店を出るとなんと滝のような大雨。ザックを置いたのは屋外。これはもうだめだ、と半ば諦めて降られながらも駅に駆けつけると、奇跡的に駅の屋根のはみ出した部分がザックたちを綺麗に守っており、水たまりからわずか数センチ残し、全ての荷物が無事だった。この雨が山行中に降らなかったことも含め、とんでもなく運のいい人がメンバーに居たのだとしか思えない出来事だった。


■反省
・計画に使ったヤマレコのCTはかなり厳しめ(山と高原地図の約0.8倍)ということに山行1日目に気づいた。計画のCTより時間がかかりそうだったので、2日目はかなり早出をした結果、ちょうどいいくらいの時間に下山できた。ある組織が提供しているCTが他よりもだいぶ短いということもあるので、注意したい。
・VS50ポール修理の件は丸投げしてすみません。ポールの差し込みが甘くて知らないうちに破損してたのではないかと思います。気を付けましょう!

■メンバーコメント
□橋本(CL)
・人がいっぱいで楽しかったです。時間管理がいい加減だったのがCLとしての反省点です...。
・木道、湿原、たくさんの花など、尾瀬らしさを満喫できました。次は紅葉の時期に至仏山に行ってみたいです。
□河野(SL)
・高原歩き楽しかったです。
・「我等は具に天の祐を得て、事なく尾瀬への旅行を終りたりしなり。」(武田久吉「尾瀬紀行」『山岳』第一巻第一号 明治39年4月)
尾瀬に泣かされていた各位が気持ちの良い山歩きを満喫できたようで何より。
・雷鳥6年目にもなるとみんなが行ったことのない山を探すのは難しく行き先選びに難儀しがちだが、尾瀬は意外と抜け穴だったようでトントン拍子に話が進んで良かった。
・山の前日くらい社畜じゃなくたっていいと思う。
□岩瀬
・気持ちよく晴れて山々や湿地を見渡すことができ、最高でした!後輩たちと山行を一緒にできたことも新鮮でよかったです。
・柿ピーがザックの中に散らばると面倒なので、袋のチャックはしっかり確認しましょう。
・私のダジャレを取り上げて記録に書くのはやめましょう()
□鶴田
・燧ヶ岳は私が学部1年生の頃に訪れていて思い入れのある山だったので、なかなか感慨深かったです。やはり尾瀬は魅力的で、燧ヶ岳や至仏山を望む湿原での眺めや山頂からの見晴らしが爽やかで良かったです。
・秋が見頃の草紅葉もおすすめです。
・皆さんと行けてとても楽しかったです。実施にあたり色々とご尽力いただき感謝しています。
□猶木
尾瀬に初めて行ったので終始独特な風景に魅入られてました。天気も事前の予報より良く、湿原の気持ちよさが全身で感じられたのがよかった。
□豊永
・久しぶりの山行でしたが、天候に恵まれとても良い時間を過ごせました。
・今まで溶けるのが怖く手を出していなかったのですが、冷凍肉はちゃんと凍ったまま運べることが実体験として知れてよかったです。今後1日目食当の時は積極的にお肉を持っていこうと思います。
・計画書書く書く詐欺に加えて記録書く書く詐欺をしてしまいました。
・テン場で虫に刺された跡が1ヶ月経っても消えません。
□山口
尾瀬がこんなにいいところだとは知りませんでした。来てよかった、と心の底から思えた山行でした。しかし、日焼け止めと虫除けをさぼったせいで大変な目に遭いました。
□鈴木
・久しぶりの泊まり山行で、とても楽しかった。
・3年前に尾瀬に来た時は山は(見え)なかったが、今回は非常に綺麗に見ることができ、感動した。皆さんも是非(天気予報が晴れであれば)雄大な自然を楽しめる尾瀬に行ってみて欲しい。
・木道がこんなに素晴らしいものだとは…。
□桐原
・賑やかで楽しかったです。1年生に戻った気分でした。
・尾瀬沼畔からの燧ヶ岳の景色が尾瀬ヶ原に負けないくらい印象的でした。
・予想より疲れます。
□中田
今回も晴れの尾瀬を堪能できました。平坦な木道も意外と疲れますね。