2024/7/20-21 北八ヶ岳縦走
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
北八ヶ岳縦走計画書 確定版
作成者:白川、加藤、斉藤
■日程 7/20-21(土-日) 一泊二日 予備日なし
■山域 八ヶ岳
■目的 登頂、八ヶ岳全山踏破、北八ヶ岳のきのこ鑑賞
■在京責任者:鈴木
■在京本部設置要請日時 7/21/ 20:00
■捜索要請日時 7/22 7:00
■メンバー (確定 5人)
CL斉藤SL伊藤◯白川◯加藤◯Cao
以上
■集合
茅野駅西口2番乗り場 9:00
(高尾6:14発の中央線に合わせられる人は合わせましょう)
■交通
□行き
・アルピコ交通 北八ヶ岳ロープウェイ線 茅野駅→北八ヶ岳ロープウェイ
(9:20-10:05 / 10:20-11:19) 1500円 ICカード使用不可・2,000円以上の紙幣両替不可
https://www.city.chino.lg.jp/uploaded/attachment/33003.pdf
・北八ヶ岳ロープウェイ 山麓駅→山頂駅
(始8:20終17:00 20分間隔 乗車時間約7分) 片道1,400円 ICカード使用可
https://www.kitayatu.jp/ropeway/
当日の運行状況の確認必須
□帰り
⚪︎小海町町営路線バス 稲子湯(12:18/13:56/最終16:05発)→稲子湯登山道入口(12:31)→小海駅(12:54/14:39/最終16:46着)
片道800円
⚪︎JR小海線小渕沢行き 小海駅(13:09/15:00/15:29/16:23/17:41/19:20/最終20:21)→ 小淵沢駅
■行程
1日目
山頂駅-0:17-縞枯山荘-0:07-雨池峠-0:30-縞枯山-0:42-茶臼山-0:27-中小場-0:15-大石峠-0:16-麦草峠-0:02-麦草ヒュッテ-0:28-分岐①-0:10-分岐②-0:35-分岐③-0:05-高見石小屋(宿泊)
(△520m▽488m 6.2km 3:54)
2日目
高見石小屋-1:00-中山-0:15-中山峠-1:05-東天狗岳-0:15-分岐①-0:25-根石岳-0:08-分岐①-1:16-分岐②(本沢温泉付近)-0:55分岐③-0:10-しらびそ小屋-0:25-1872m地点-0:50-稲子湯唐沢橋登山口(みどり池入口)-0:10-稲子湯旅館(バス停)
(△683m▽1458m 12.1km 6:54)
※時間的余裕がある場合、東天狗岳から西天狗岳ピストン
東天狗岳 -0:20- 西天狗岳 -0:20- 東天狗岳
(△98m▽98m 0.8km 0:40)
■エスケープルート
□緊急に下山が必要となった場合
雨池峠〜茶臼山:山頂駅に引き返す
茶臼山〜大石峠:西側へ下山し、国道299号線からタクシー
大石峠〜麦草峠:麦草ヒュッテに避難、バス移動可(麦草峠線)
麦草峠〜高見石小屋:麦草または白駒の池へ引き返して、バス移動(麦草峠線)
→麦草峠~白駒の池~茅野駅 11:15-11:18-12:27/12:40-12:43-13:52/15:20-15:23-16:32
→白駒の池~茅野駅
11:18-12:27/12:43-13:52/15:23-16:32
(片道2000円 土日祝のみ運行、問い合わせ先:0266-72-7141アルピコ交通茅野営業所)
高見石小屋〜中山:高見石へ引き返して、麦草、白駒の池または渋の湯へ向かう、バス移動可(奥蓼科渋の湯線)
高見石 -1:45- 渋の湯
→渋の湯~茅野駅
10:30-11:20/11:35-12:25/14:55-15:45
(片道1600円 土日祝のみ運行、問い合わせ先:0266-72-7141アルピコ交通茅野営業所)
中山〜天狗岳:中山峠からしらびそ小屋方面へ
中山峠 -1:15- しらびそ小屋
天狗岳〜根石岳:根石岳をカットしてしらびそ小屋へ
根石岳〜稲子湯:稲子湯にそのまま進む
□雷雨をしのぐ必要がある場合
~雨池峠:雨池方面に下ってから麦草へ
雨池峠 -0:55- 雨池西岸 -0:15- 雨池南岸分岐 -1:20- 麦草峠
雨池峠~茶臼山:五辻へ下ってから麦草峠へ
分岐 -0:25- 五辻 -1:20- 麦草峠
麦草峠~高見石小屋:白駒池方面に下ってから高見石へ
麦草峠 -0:30- 白駒池分岐 -0:10- 白駒荘 -0:40- 高見石小屋
これ以降:緊急下山の場合と同様
適宜、緊急の際には付近の小屋を検討する
■個人装備
□ザック □ザックカバー □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル □水 □行動食 □非常食 □ゴミ袋 □カトラリー(フォーク、スプーン類) □コッヘル(食器) □ライター □トイレットペーパー □着替え・温泉セット□ヘッドランプ □予備電池 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め (□モバイルバッテリー □サングラス □歯ブラシ □トレッキングポール □サポーター/テーピングキット □熊鈴 □コンタクト/眼鏡)
※地図と遭難対策マニュアル【携行版】は印刷して持参しましょう。この計画書は緊急連絡先の方にも渡しておきましょう(非常時への備え)
■地図
25000分の1:「蓼科山」、「蓼科」
山と高原地図:「八ヶ岳(蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰)」
■共同装備 調整済み
テント
ステラリッジ3 No.1:白川
ステラリッジ4 No.2:Yifan
なべ
桜:伊藤
ヘッド
緑7:斉藤 →加藤
カート
×2:斉藤
調理器具セット
ガジャマダ:伊藤 →加藤
救急箱
エーデルワイス:斉藤
■食当
1日目夜:伊藤
2日目朝:斉藤
(アレルギー・苦手なもの:えび、かに、タコ、イカ、ナッツ類、貝類、辛い食べ物)
■遭難対策費
200円×5名=1000円
■悪天時
前日までに判断
■施設情報
□山小屋
⚪︎高見石小屋 【宿泊予定】テン場料金¥600/人 ※先着順
素泊まり 5,500円(個室3~4人用 1部屋3,500円、個室5~6人用 1部屋5,000円)
TEL.080-2188-4429 定休日:不定休(閑散期)
⚪︎縞枯山荘 素泊まり 6,300円(個室料金なし) ※火、水、木曜日は宿泊定休日
TEL.0266-55-6550(受付9:00~20:00) 緊急時TEL.090-2235-4499(携帯)
⚪︎麦草ヒュッテ 素泊まり 7,700円(個室) 6,050円(相部屋)
TEL.0266-73-6673(ご予約専用ダイヤル)直通TEL.090-4158-4544(緊急時のみ)
⚪︎青苔荘 素泊まり 6,600円(個室料金なし) TEL.090-1423-2725 (8:00~18:00)
テン場料金(完全予約制)基本料金 (14:00-翌9:00までのテント設営)大人1,000円/人
◇ 早めのテント設営希望 (6:00-9:00) 大人 +1,000円 (9:00-13:00) 大人 +800円
◇ チェックアウト日のテント撤収延長(最大12:00まで)大人 +800円 / 子供 +650円
⚪︎白駒荘 素泊まり(相部屋) 11,500円 TEL.0266-78-2029
⚪︎黒百合ヒュッテ 事務所TeL兼Fax:0266-72-3613 小屋直通TeL: 090-2533-0620
一泊素泊まり 7,000円 ※16時までに到着(遅れる場合は電話にて要連絡)
個室使用料・大1部屋 10,000円(3~5人)・小1部屋5,000円(1~2人)
⚪︎根石岳山荘 素泊まり11,000円 TEL.0266-73-6673
⚪︎しらびそ小屋 素泊まり7,000円(予約制) テン場料金(予約制)1,000円/人+500円/1張
※16時までに到着(遅れる場合は現地番号に要連絡)
TEL.0267-96-2165 現地番号.090-4739-5255 定休日:水曜日・木曜日
⚪︎本沢温泉 本沢温泉野営場 本沢直通TEL.090-3140-7312 ※茅野事務所 TEL.0266-72-3260 事務所TEL.090-5446-1205(午後8時まで)
テント場利用料金1000円/人 (温泉は別料金1,000円)※本沢温泉テント場は予約不要。
素泊まり8,000円(個室)7,000円(相部屋) ※大人1名様、消費税込み、入湯税150円込み
⚪︎稲子湯旅館 TEL.0267-93-2262 素泊まり5,000円
参考:八ヶ岳ガイド2022
□水場
しらびそ小屋近辺みどり池、駒鳥沢の水場(水質情報なし/不明)
ほか、小屋
@縞枯山荘:500mlのペットボトルを¥200で販売
@高見石小屋:水は小屋にて販売(水の残量により金額は変動 500㍉100円〜200円ほど)
@青苔荘:テント場に水場あり
@根石岳山荘:湧き水あり
@しらびそ小屋:売店にてペットボトル水購入可能(500ml 400円)
□トイレ
□温泉
⚪︎本沢温泉 日帰り入浴1000円
⚪︎稲子湯 日帰り入浴 650円
■備考
□日の出日の入り(@天狗岳)
日の出 4:43
日の入19:06
□連絡先等
長野県警察佐久警察署 0267-68-0110
長野県警察茅野警察署 0266-82-0110
長野県警察本部地域部山岳安全対策課 026-233-0110
□交通機関
⚪︎小海町町営路線バス
小海町役場町民課生活環境係 TEL.0267-92-2525 バス車庫 TEL.0267-92-2333
⚪︎アルピコ交通( 奥蓼科渋の湯線、麦草峠線、 メルヘン街道バス)
アルピコ交通 茅野営業所 TEL.0266-72-7141(営業時間8:00~20:00)
茅野市バス路線図 https://www.city.chino.lg.jp/uploaded/attachment/26091.jpg
⚪︎アルピコタクシー株式会社【諏訪・岡谷】TEL.0266-71-1181【長野】TEL.026-283-8800
クレジットカード、楽天Pay、PayPay利用可
□電波
・au
縞枯山周辺、茶臼山南部方面、麦草峠周辺、白駒池入口周辺、丸山南部方面、高見石小屋東部方面
・softbank
ほぼ全域で4G回線
・docomo
茶臼山周辺、高見石小屋周辺、それ以南のほぼ全域
7/20-21 北八ヶ岳縦走 記録
作成者:斉藤
■日程 7/20(土)-21(日) 一泊二日・予備日なし
■山域 八ヶ岳
■天気 曇り時々晴れ
■メンバー
CL斉藤(45) SL伊藤(46) 白川(44) 加藤(44) Yifan(46)
■共同装備
テント
ステラリッジ3 No.1:白川
ステラリッジ4 No.2:Yifan
なべ
桜:伊藤
ヘッド
緑7:斉藤 →加藤
カート
×2:斉藤
調理器具セット
ガジャマダ:伊藤 →加藤
救急箱
エーデルワイス:斉藤
■総評
天気予報では若干の降雨が伝えられていたが、二日間を通して降られることは一切なく、快適に北八ヶ岳の自然を楽しむことができた。今回はエスケープを選択したことで天狗岳・根石岳を踏むことができなかったが、次回は蓼科山も含めて北八ヶ岳縦走リベンジをしたい。
■タイムスタンプ
□1日目
11:03 山頂駅
11:16 雨池峠
11:44 縞枯山
12:47 茶臼山
14:23 大石峠
14:42 麦草峠
16:06 丸山
16:26 高見石
□2日目
5:07 高見石
6:22 中山
7:22 中山峠
7:27 黒百合ヒュッテ
7:51 中山峠
9:56 中山峠
11:29 しらびそ小屋
12:37 稲子湯登山口
12:48 稲子湯バス停
■ルート概況
山頂駅〜雨池峠:木道が整備されており歩きやすい。また軽装の登山客も多かった。
雨池峠~麦草峠:基本的には樹林帯で、苔むした北八ヶ岳らしい景色が広がる。またガレ場ほどではないが石の多い登山道であり、登りのときは落石などに注意したい。
高見石:小屋のテントサイトは非常にせまく、16:30ごろではほとんど満員であった。早着を意識したいところ。また小屋から少ししたところに高見石があるが、それなりに難しく危ない岩場である。
中山~中山峠:樹林帯が減り、南八ヶ岳っぽいガレた景色が多くなる。とくに、中山峠から天狗岳方面へ少しいったところにある岩場は瑞牆と同等かそれ以上の難易度があり、良い練習場となりそうである。
中山峠~しらびそ小屋:序盤はかなりの急傾斜で、慎重に下る必要がある。
■山行記
□1日目 (加藤)
高尾駅から中央本線で茅野駅まで向かう途中、隣に座っていた70代前後の女性が声をかけてくださった。名刺を頂いたのだが、埼玉県勤労者山岳連盟に所属されているそうだ。その方は、30代後半から登山を始め、30年以上登り続けているらしい。さらに、一般山行に加えてバリエーションやクリーンアップ登山も行ってきたとのこと。今まで登ってきた山について、目を輝かせながらお話する姿が印象的であった。筆者もこの方の様な山ヤでありたいと思う。まさか祖母と同年代の方とこんなに話が盛り上がるとは。時間もあっという間に過ぎて、(飯盛山に向かうとのことで)小淵沢駅でお別れをした。
茅野駅でメンバーと合流。軽く挨拶を済ませて、予定通りのバスに乗車した。出発から4,50分ほどで北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅に到着。駅舎内は広々としており、登山用品やお土産が数多く販売されていた。その後、9:40発のロープウェイに乗車し、一気に500mほど高度を上げて山頂駅に到着した。
各々自己紹介をした後、11時過ぎに山行を開始。ロープウェイで同乗していた登山客らの多くは、北横・蓼科方面に向かって行った。一方で、我々のように南下するパーティは殆どおらず、霧に包まれた静かな木道を進んだ。そして、縞枯山荘を通り過ぎると木道も終わり、樹林帯へと入っていった。縞枯山山頂までの樹林帯は、広葉樹と針葉樹が混在しており倒木も数多くあった。また、地衣類、コケ植物やシダ植物など、様々な系統の植物を一度に見られる、贅沢な植生を有していた。登山道は、大小の石が腐植土に埋もれながら散在しているといった様子。悪路とは言わないまでも、丁寧な足運びが必要だと思った。特筆すべきは、本山行の目的であるキノコである。キノコ好きの白川は、アンテナでもついているのか、というくらい見つけるのが上手であった。彼女は今夏にキノコの種同定を行うらしい。新しいキノコを見つけては、同定のため(というよりも愛が溢れて)ひたすら写真を撮っていた。他メンバーも、キノコを見つけては写真を撮ったり、白川に報告したりと、和やかな雰囲気で縞枯山の山頂へと向かっていった。
山頂を通りすぎると直ぐに(その名の由来である)立ち枯れたシラビソやコメツガの樹林帯へと変わった。また、あまり落葉しないためか、前述の腐植土から赤色土へと変化していた。さらに、何本もの木が登山道を塞ぐようにして倒れていたため、腰を屈めて進むことがしばしばあった。その後コルを通過し、茶臼山山頂前の分岐で休憩。お菓子を交換したり、きび団子を渡して子分を作ったりと穏やかな時間を過ごす。その後休憩を終え、茶臼山山頂へと向かった。茶臼山の山頂は、今までの樹林帯とは異なり、開けた荒々しい場所であった。晴れていれば展望は良かったんだろうな。。。なんて今回のメンバーは落胆しなかった。ガスガスで強風が吹き荒れる中、視界が開けるとともにテンションは急上昇。むしろ、その風を楽しんでいるのか、という程のはしゃぎっぷりである。伊藤くんは、拾った木の棒で八方斬りをしていた。(...ん?) 段々とメンバーの本性が現れてきたところで、来た道を引き返す。最後尾の彼は、去り際、見えない山々と対峙し叫び声を残していった。
再び分岐にもどり、麦草峠へと向かう。登山道の石は一つ一つが割と大きく段差もあるため、下る際には(特に膝を痛めている人は)慎重に。他のメンバーもポールを使ったり、足運びを工夫したりして降りていた。休憩中、ふと斉藤くんを見ると、最敬礼をするキョンシーみたいな体勢を時折とっている。彼曰く、肩への負担を一時的に軽減できるとのことだ。実践してみると、確かに腕や肩が楽に感じた。先程の天気から徐々に回復し、日差しが見えるようになってきた。時折、樹林帯に木漏れ日がさして、露に濡れた苔や草本がキラキラと輝く様子は神秘的であった。
下りに下って麦草峠に到着。麦草ヒュッテは、国道299号線沿いにある、木造の立派な建物であった。八ヶ岳開山70周年を記念したピンバッチを目当てに、店内の商品を眺める。残念ながら、目的のバッチは品切れであった。他の山荘で売っていることを願おう。(2日目の黒百合ヒュッテでゲットできたのでオールOK!!)
麦草峠から高見石小屋へと向かう。登りが多少きつく、(トレーニングしていたとは言え)デカザックを背負っての歩行はキツかった。小屋への道中についてはあまり記憶がない() 。そうこうしているうちに、高見石小屋に到着。既に複数のパーティーが到着しており、テントを立てるにも微妙なスペースしか残っていなかった。バウンディ似の小屋の方に相談すると、荷物を移動するなどスペースの拡大を手伝ってくださった。その後も有用な情報をくださり、とても優しい方だった。世界の秘密とか似合いそう。
日も落ち始め、食事の準備を始める。今回の食当を務めるのは伊藤くんで、雷鳥では初めてとのことだった。メニューは信頼と王道の棒ラーメン。トッピングとして、チャーシューや味玉をいただく。味はもちろんのこと、トッピングが加わり贅沢な食事だった。お腹も心も満たされ、とても美味しかったです。どうもありがとう。片付け中、某お散歩サークルの話題が挙がった。エッジの効いた発言やワードチョイス抜群の比喩表現が面白かった。
高見石にて、明日の行程に関するミーティングを行った。荷物をデポしての岩登りは、やはり楽しくテンションも高くなる。運良く霧が少しだけはれて、白駒池や天狗岳を望むことができた。肌寒さを感じたが、ひんやりした岩場でごろ寝しぼーっとする時間は、本日の疲れを癒やしてくれた。そのお陰もあってか、この日は熟睡することができた。
□2日目 (Yifan)
2時過ぎ、ふと目が覚めた。シュラフを広げて、かけ布団にしたからか。けど、しっかりと体に巻きつけても、あまり改善しない。やっぱり軽量化のせいか。軽いけど、快適温度が気温よりも低いものを持ってきてしまった。寒さでぼんやりしながら、アラームの音が鳴った。
4時ごろに朝食。寒さの中、ストーブのそばにくっついていて、ヘッドランプをフラッシュとし、写真を何枚も撮り続けてた。それは九条ネギと焼き鳥が入った、贅沢なほうとう。4年前、初めて山梨に会ったことを思い出した。その温かい郷土料理は、日本の山岳に対する第一印象だった。
5:07、高見石を出発。前日のように、石だらけの登山道で一歩ずつ、体を引きずった。すると、メンバーが音楽をかけてきた。音楽にあまり詳しくない私は、眠くなってきたような気がした。中国ではどんな曲があるの、といーたんが私に聞いた。そうですね、C-POPなら、中国本土よりも台湾が強いのかな。歌手の「周杰倫」と答えるべきでしょう。ただその時は、頭の回転が少し遅かったようで、何も答えてなかった。
6:22、森から出て、ついに中山展望台。前日の茶臼と同じく、霧に包まれてどんよりとした空だったが、地面には不揃いな岩が敷き詰められていた。再び、そっちは見えない山々と対峙し叫び声をあげた。こっちは…岩の隙間に錆びた缶を発見。ストックを使って、それを取り出そうとした。これは、晴天を祈っているのではなく、ここにあるべきものではなかったような気がして、それを直さなければと思っているんだ。地球のNPCかもしれない、私が。
とはいえ、6:50ごろ、霧が一気に晴れ、空は元の青色に戻った。もう少し進むと、鋭く切り立った斜面を持つ、天狗が現れた。天狗は天まで連なり、天に向って横たわる。その勢いは、八ヶ岳の山々を抜き、赤岳を掩いつくさんばかりである…と思った。メンバー一行はここで天狗と記念撮影をした。
それが、彼に会う最後となった。
7:23、中山峠から分岐し、黒百合ヒュッテにピストン。太陽が完全に昇り、いい朝の気分になった。ここで、八ヶ岳開山70周年のバッジを1人1つずつゲットできた。そろそろ中山峠へ戻って、天狗にアタック。ここからは急に傾斜がきつくなり、岩場を進んでいく。…なんか、一息で力を出し切れなかった。一気に数段を登って、しばらく立ち止まって息を整えて、また数段を登って…の繰り返し。
「ちょっと休みますか?」「大丈夫です」「疲れそうだから一旦休憩して」「いや、もうすぐそこだから」…私は突然、体が抑えきれずに、天狗にアタックするように、天狗方面に走っていく。「おい!」と、いーたんがすぐに追いついた。一瞬で落ち着いた。さっきはどんなに愚かなことをしちゃったのでしょう。もしいーたんがいなければ、隊がバラバラになってしまうかも…
「私たちからみると、Yifanさんは全然大丈夫じゃないよ」「ここは日差しだから、ちょっと下の方にいく?熱中症だよ」「いや、逆に、寒い…」
「傷ついたの?」と白川さんが右腕のアームカバーを外すと…本当にあった、全く覚えていないのに。アルコールで消毒し、絆創膏で丁寧に処置してくれた。そして、寒さの対策として、加藤さんはレスキュー・ハンドブックから調べてみた。この時点で、天狗はもう間に合わない。北八の一番の見所が、私のせいで、スキップされた。それでも、みんなは「天狗よりも温泉に行きたい」と空気を読むように言ってて、本当に優しかった。頭が上がらないほど皆さんに迷惑をかけてしまった。申し訳ございません。
9:56、中山峠に戻ってきた。ここからショートカットで稲子湯方面へ向かう。急傾斜で慎重に下る。天狗岳の代わりに、ベニテングダケに遭遇。中毒になるから、「テング」には急に近づけないだろう。もう少し進むと、しらびそ小屋に着いた。みどり池のそばで、のんびりと過ごした。だが今日は中途半端に終わる気がした。目の前の池は、あまり綺麗でなくなっちゃった。池の水量ほど泣きたくなっちゃった。悔しい。
12:48、無事稲子湯について下山した。暑い日の温泉が心配だったが、実際に入ってみると、出ると水蒸気が蒸発して熱を奪い、かえって涼しく感じた。帰りのバスに乗って小海駅に着いて、きっぷを買おうとすると…窓口ではカードが使えない…小海線の中心駅なのに(まあ、ローカル線なので…)周辺はコンビニとかもなさそう。炎天下で30分かけて最寄りのコンビニまで歩くのも覚悟したが…幸い、斉藤さんが私の不安に気づき、すぐ立て替えてくれて、無事先発の電車に間に合った。本当にありがたいです。ここまで人に迷惑をかけるとは思わなかった。
またいつかリベンジしよう。コースだけでなく、過去の自分にも。
(追記)
筆者は山行直前の18日(木)、重量トレーニングのために別の山に行って、下山まで9時間ほどかかりました。脚を完全に回復させなく、睡眠もよく取れないままで(19日(金)に前泊したがあまり眠れなかった)今回の山行に参加したのが、疲労の主な原因だと思っています。
体調管理の不足、及び重大なルール違反となる身勝手な行動については、深く反省しております。皆さんにご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
■感想
CL斉藤
・初の泊まりCL、無事完遂できて良かったです!
・状況判断やエスケープの選択など、CLとして求められる技量が試されるような気分だった。問題点も反省しつつ、技量を磨きたいと思った。
・バッジ買えて嬉しい。
・SLやメンバーがとっても頼もしかった。
・北八縦走か、全山縦走か、何らかの形でリベンジしたい!
SL伊藤
・きのこを愛する皆さんのお陰で、普段はほとんど気に留めないきのこのかわいさを堪能できた。意識が変われば世界の見え方が変わるという経験ができ、興味を広げてもっとこの世界を楽しみたいと思えた。
・食当楽しい!!
・開山記念バッジかわいい!!
・先頭を歩かせていただき、適切な歩行ペースの重要性を学んだ。
・緊急時に落ち着いて応急処置をするためにもっと学んで備える必要があると思い知った。
・倒木やきのこや苔のカーペットに、腐敗や分解の美しさを見た。現代社会が醜いのは物質循環における分解過程の不在のためか。
〇白川
・昨年の天狗にゅうでその自然の美しさに一目惚れした北八ヶ岳に再来できてとても嬉しい。今回も静かで優美な自然を堪能できた。2日目の朝に歩いた高見石小屋から中山までの一直線の道がとても好き。
・きのこが可愛くて面白くて愛おしい。今のところベニテングダケしか同定できなくて流石にきのこに失礼なので、そろそろきのこを勉強したい。
・開山記念バッチ、南八ヶ岳版もゲットできたらいいな
・具沢山の夜のラーメン、朝のもちもちのほうとう、美味しかった。
・全員が健康な状態で下山できてよかった。また、異変に気づいたらすぐに行動する大切さを再認識した。いつ緊急事態が起きても冷静に対処できるように、講習等で学ぶ時はそうしたシチュエーションを想像することを心がけたい。
〇加藤
・苔むした樹林帯や静かな登山道、さながら「もののけ姫」に登場するような景観に癒された。
・高見石からみた、白駒池や霞がかった周囲の山々が印象深かった。みどり池でくつろぐ時間もまた心地よかった。
・泊まり用ザックを背負った状態での岩登りは初めてだったので、良い経験になった。
・両日ともに、美味しいご飯をありがとうございました。材料など新たに学ぶことも多く、食当の際には、ぜひ参考にさせてほしいです。
・緊急時の対処法、リスクに対する予防・回避策など、知識の蓄積に加えて、それらを活用できるようにする必要性を感じた。より冷静にかつ迅速な行動が出来るよう、精進したい。
〇Yifan
・山では、精神的な余裕は、体力・体調と同じくらい、あるいはそれ以上に重要であることをようやく理解した。皆さんに完全に負けた。
・足手まといな私に対し、皆さんの優しさに心から感謝します。とても迷惑をかけてしまって、誠に申し訳ございません。
・雲海のような霧に包まれて、太陽は見えつ隠れつ、なまめかしく美しい天気だった。うーん、寒かったけど…
・天狗岳でなくベニテングタケに遭遇。Much 天狗、Very タケ。Wow。
・ほうとうがうまい。日本で山に初めて出会ったのは、ゆるキャン、山梨、ほうとうの三つのおかげだった。懐かしい。
・装備を頑張って軽量化できたが、必需品の防寒具なども軽量化されてしまった。前回より大ミスとなった。
・GPS記録を見て、自分が知らないうちに信じられないほどペースが落ちてしまうことが分かった。体調管理不足の結果が、このデータではっきり示されている。なんの文句も言えない。
・トレーニングのおかげで、急な下りに慣れた。無事に下山できたのは、まじで不幸中の幸い。
・山行後、気分が完全にブレた。今アメリカに留学中の大学時代の親友との雑談ですが、アメリカのサークルでは日本と違って、山行中、常に(天気、悪道、メンバーの体調不良などで)エスケープまたは行程を一部カットなどの覚悟が必要になり、もちろんどなたからも人を非難することは一切なし。だからあまり気にしないでね、と言ってくれた。うーん、わからん。