2024/7/31 雌阿寒岳ハイク
雌阿寒岳ハイク計画書 第2版
作成者:鈴木
■日程 7/31(水) 日帰り 予備日7/26~31
■山域 阿寒国立公園
■目的 登頂
■在京責任者 岩田
■在京本部設置要請日時 当日 20:00
■捜索要請日時 翌朝 08:00
■メンバー ( 4人)
CL 鈴木 SL 髙村 ◯ 斉藤 ◯ 油井
■集合
6:00 オンネトー国設野営場
□駐車場
80台(無料、オンネトー野営場と共用)
■行程
オンネトー登山口 -115min- 七合目 -15min- 阿寒富士分岐点(八合目) -30min- 九合目 -10min- 雌阿寒岳 -20min- 八合目 -90min- 雌阿寒温泉登山口 -3min- 雌阿寒温泉公共駐車場 -40min- 東岸分岐 -15min- オンネトー登山口
【5:38/9.7km/△933m/▽933m】
■エスケープルート
雌阿寒岳まで:引き返す(周回コースがピストンに変わるだけ)
阿寒富士はカットする可能性あり
雌阿寒岳から:そのまま下山
※ヒグマの目撃情報・火山の噴火警戒情報を入手した際や気配を感じた時は安全確保を最優先に行動
※阿寒富士カットの場合の行程
オンネトー登山口 -115min- 七合目 -45min- 阿寒富士 -60min- 九合目 -10min- 雌阿寒岳 -20min- 八合目 -90min- 雌阿寒温泉登山口 -3min- 雌阿寒温泉公共駐車場 -40min- 東岸分岐 -15min- オンネトー登山口
【6:38/11.0km/△1153m/▽1153m】
■個人装備
【登山に使用するもの】
□ザック □ザックカバー □登山靴 □替え靴紐 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル □水 □行動食 □非常食 □ゴミ袋 □ライター □ヘッドランプ □予備電池 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め □携帯トイレ □虫除け □熊鈴 □熊よけ笛 (□モバイルバッテリー □サングラス □トレッキングポール □サポーター/テーピングキット □コンタクト/眼鏡)
【車に置いていくもの】
□シュラフ □マット □カトラリー(フォーク、スプーン類) □コッヘル(食器) □トイレットペーパー □着替え・温泉セット□歯ブラシ
■地図
25000分の1地形図:「雌阿寒岳」「オンネトー」
山と高原地図:「利尻・羅臼・知床・斜里・阿寒・礼文」
■共同装備
【登山に使用するもの】
救急箱
・エーデルワイス:斉藤
熊撃退スプレー(BESTOM中富良野店で購入、帰る前に佐川で東京に発送)
・×4:一人1つ、ザックに横付け
【車に置いていくもの】
鍋
・月:髙村
・フライパン:油井
調理器具セット
・キャサリン:油井
ヘッド
・緑7:斉藤
・緑12:油井
カート(BESTOM中富良野店で購入、持ち帰れないので自腹)
・×2:鈴木
■遭難対策費
100円×4名=400円
■悪天時
前日までに判断
■施設情報
□トイレ
・オンネトー登山口
■注意事項
□全体
登山口にある登山者名簿に必ず記名する。
□ヒグマ
生息域であり毎年付近で目撃されたり、熊の痕跡が発見されたりしている。鈴や声でしっかり存在をアピールして、遭遇しないようにする。
□火山
雌阿寒岳は活火山。雌阿寒岳最後の大きな噴火は1955年で、2008年の小さな噴火の後、警戒レベル2となり山頂付近(7合目から)の登山道は閉鎖された。2009年に警戒レベルが解除され、レベル1となった。その後も状況により警戒レベルが2になることがあり、いまだに火山活動は活発で定期的にガスが発生している。雌阿寒岳では火山噴火の危険範囲や必要な防災対応によってレベル1~5まで噴火警戒レベルが設定されている。出発前に、警戒レベルの情報を気象庁のホームページで確認する。なお、気象庁から噴火警報が発表された場合には入山規制がかかる。
気象庁ホームページ:https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/105.html
雌阿寒岳噴火警戒レベルリーフレット:
https://www.town.ashoro.hokkaido.jp/kanko/assets/meakan_leaflet.pdf
・硫黄のにおい・火山ガス
□強風
■備考
□オンネトー国設野営場
駐車場80台/フリーテントサイト/共用施設:炊事場とトイレ/受付10時~17時/住所:北海道足寄郡足寄町茂足寄国有林内/Tel:0156-28-0115(UPIオンネトー)
□日の出日の入り(雌阿寒岳)
日の出 4:13
日の入 18:47
□連絡先等
気象台 011-611-2421
釧路警察署 0154-23-0110
釧路市阿寒町 0154-66-2121
NPO法人 あしょろ観光協会 0156-25-6131 https://www.town.ashoro.hokkaido.jp/kanko/
阿寒摩周国立公園管理事務所 015-483-2335
阿寒観光協会・観光案内所 0154-67-3200
□電波状況
docomo/au:オンネトー国設野営場周辺を除きほぼ全域で入る
softbank:不明
□温泉:
・山の宿野中温泉 400円
・芽登温泉ホテル 600円 11:00~18:00
7/31 雌阿寒岳ハイク記録
作成者:鈴木
■日程 7/31(水) 日帰り 予備日7/26~31
■山域 阿寒国立公園
■天気 晴
■メンバー CL鈴木(45) SL髙村(45)◯油井(45)
■共同装備
救急箱(エーデルワイス)、熊撃退スプレー
※熊よけの鈴/ホイッスルは個人装備で全員保持
■総評
天候に恵まれ、山頂付近では活火山らしい迫力のある大絶景を楽しむことが出来た。立ち上る噴煙と大スケールの爆裂火口は、到底ここが日本とは思えないような圧巻の景色だった。
■タイムスタンプ
6:04 オンネトー登山口
8:14-8:30 雌阿寒岳
9:57 オンネトー登山口
【3:53/9.0km/△891m/▽891m】
■ルート概況
しばらく樹林帯。思ったより樹林帯が長かった。一部ロープ・ハシゴが登場するが大したことはないので落ち着いて進めば良い。樹林帯を抜けてからはザ・火山。風向きによっては噴出している火山ガスと強烈な硫黄臭が登山道を直撃し喉が詰まりそうになるので注意。喘息持ちの人は行かない方がいいかも。山頂に立てば大絶景。晴れてさえいれば絶対に来て良かったと思えるはずだ。
■山行記(鈴木)
津別のキャンプ場で4:00前に起床、すっかり旅の足になったトヨタのシエンタを油井が走らせ、オンネトー国設野営場の駐車場には5:30頃に到着。斉藤はお腹の調子がすぐれないということでこの駐車場で待機し、雌阿寒岳には斉藤以外の3人で登ることになった。残念ではあるが、山中でトラブルが起きるよりはるかにマシなので、こうして登り始める前に「やめる勇気」を持つことが重要だ。ちなみに、下山後には斉藤自身が「登らなくて良かった」と言っていたので、判断は正しかったのだろう。世間では、「せっかくここまで来たのに」という思いに急かされ、コンディションが優れない中凸ろうとする迷惑登山者がいるが、雷鳥会員にはこういう時のために是非とも「やめる勇気」を身につけて欲しいと思う。
当初の計画では阿寒富士にもよる周回ルートを予定していたが、同日に札幌まで車で戻らねばならぬこと、1人を駐車場に残していることを踏まえ、雌阿寒岳までのピストンにし阿寒富士には寄らないことにした。形式的にはエスケープルートということにはなるが、この山の魅力は雌阿寒岳山頂付近で存分に味わえたので、結果的には他ルートと比較しても満足感が減じることはなかったと思う。
さて、登山口で「登山者名簿」に記名。6:00の出発だったが先客は2パーティーのみ。人気の山であるにもかかわらず案外早起き登山者は少ないようだ(野中温泉からのルートから来る人の方が多いのかもしれない)。樹林帯をしばらく歩く。緩やかな傾斜に時折急登が混じるが、北海道遠征初っ端の芦別岳「修行」で磨きがかかった我々にはなんてことはなかった。途中、「滑落注意」という看板があり、その下に英語で”Slip and fall”と書かれていた。命令形なので直訳すると「滑って落ちろ」。本来、ここで書くべき適切な英語は ”Danger of slipping” や “Watch your step” あたりだと思うのだが・・・。英語話者にはその場で滑落するよう命令する酷い看板だった。
7:20頃、樹林帯を抜け展望の開けるところに出た。待ち構えていたのは真っ黒な円錐形の阿寒富士。「富士」すぎてびっくりした。振り返ればオンネトー(湖の名前)。眼下には雲海が広がっていた。天気に恵まれたことでメンバーの足取りも早くなる。
雌阿寒岳を目指し火山噴出物のザレ場を進んでいると、硫黄臭がどんどんキツくなってきた。顔を上げると、なんと登山道を真っ白な噴煙が横切っているではないか。風向きのせいなので、仕方ない。きつい硫黄臭に耐えながら噴煙下を通過した。北の大地はこんな景色が当たり前に広がっていてびっくりする。大体、本州ならこんなところ立ち入り禁止なんじゃないか。あまり人が来ない北海道の山だからこそ、自己責任ということで開放されているんだろうと思う。箱根の大涌谷の比ではない近さで火山を体験することができた。なお、写真では伝わらないのだが、山頂付近では噴煙の立ち上るゴーゴーという音が響いており、この火山が「活きているんだ」ということを、それこそ身をもって体感できる。
噴煙下を通過するとソロ登山者×2のパーティーとすれ違った。お互いソロだがヒグマが怖いので一緒に行動することにしたという。なんとも北海道らしい話だ。
8:00を回ったころに雌阿寒岳山頂に到着。山頂からの景色は、カルデラ内にできた綺麗な円形の青沼、荒涼とした大地、雲海から頭を出す雄阿寒岳、噴煙の奥に佇む真っ黒な阿寒富士と、360度どこを見渡してもここが到底日本とは思えない迫力があった。圧巻の景色に目を奪われ、北海道遠征の最終目的地にピッタリだとその場にいた3人全員が感じた。
写真を撮り終えたところで、下山を開始。斉藤が待っていることもありそそくさと下山した。10:00前には無事下山完了。ヒグマにも遭わず帰って来れてひとまず安心。斉藤も元気になっていたようで良かった。
4人が無事に揃いすっかり気が抜けて安心感の漂う車内。ふと外に目をやると、雌阿寒岳と阿寒富士はオンネトーの湖面にその姿を美しく落としていた。北海道の夏、阿寒の夏が、輝いていた。
■感想
CL鈴木
・北海道にしかない絶景。行って良かった
・斉藤は、やめる勇気があって非常に偉かったと思う。自分のことを冷静に見つめ適切に判断できるのは登山者として優秀。
・阿寒富士の斜面に動物の足跡がありこんなところを横切るのかとびっくりした
・雌阿寒岳に登る前日に阿寒湖アイヌコタンに行ったのだが、御年80歳になるアイヌのおばあちゃんから阿寒湖周辺の暮らしぶりの変化やアイヌとしての人生についてのお話を聞くことができた。アイヌにはずっと興味を持っていたので貴重な経験をできて嬉しかった。
SL髙村
・登山口が、前から行きたかったオンネトーの付近にあり、朝方のその神聖さすら感じる落ち着いた美しい様子を見ることができ非常に良かった。冬のオンネトーも見てみたい。
・中腹辺りからずっと硫黄の匂いがしており、火山を感じた。風によって煙がこちらへ来たときは不快だった。
・山頂から見下ろす噴火口と沼の様子は圧巻で、日本のものとはとても思えなかった。
・阿寒富士の斜面には大きな岩が転がった跡が大量に残されており、あれに巻き込まれたら生きて帰れないなと感じた。
・下山の道中、先に下山した方の下山スピードが速すぎて少し驚いた。慣れているのだろう。
◯油井
・今まで行ったことのある火山の中で一番火山してた
・噴気の中に突っ込んだ時には喘息のような咳が止まらず普通に苦しかった
・雲海の上には別世界が広がっていた、天国なのか地獄なのか
・とても生命が宿るような場所ではないのにツバメの大群とテントウムシが火口周辺にいてその生命力に驚いた
◯斉藤
・遠征後半からお腹が張るようになり、この日が悪さのピークでした。普通にしていれば苦しくはないものの、ザックを腰に回すと圧迫される感じが強く、これでCT5:00は無理だな、と判断したのでした。
・行きたかったなぁ、という思いは待機中も帰りの車内でも執筆中の今でも感じているが、体調ばかりは仕方ない。遠征中の体調管理は特に気を付けよう、という教訓にはなった。なったけど....そんなのどうでも良くて、やっぱり行きたかったもんは行きたかったんじゃい泣
・三週間後の旭岳の計画は、このくやしさをきっかけにしていたりする。