2024/8/1-3 劔・立山三山縦走
劔・立山三山計画書 第一版
作成者:小唄
■日程 8/1-3(予備日8/4)
■山域 北アルプス
■目的 登頂
■在京責任者 中田
■在京本部設置要請日時 8/3(4) 18:00
■捜索要請日時 8/4(5)/ 7:00
■メンバー ( 3人)
CL 小唄 SL 榛澤 ◯ 山口
■集合
6:30 富山駅
■交通
□行き
・東京→富山
夜行バス3500円~5000円
・富山→室堂・片道4800円
富山地方鉄道株式会社 室堂線 往復9000円
富山駅前 6:30 ー室堂 9:00
□帰り
・室堂→富山
富山地方鉄道株式会社 室堂線
室堂 14:30 ー富山駅前 17:30
・室堂→東京
東急バス 池袋 室堂線
室堂13:45 ー池袋 22:00 14000円
など自由
室堂線 予約番号 0711-2017-041 チケットは当日電鉄富山チケットセンターで発券
富山地方鉄道 室堂線
https://www.chitetsu.co.jp/?page_id=6376
東急バス 室堂線
https://www.tokyubus.co.jp/highway/omnibus/high-tokyomurodo.html
■行程
5:10 6.5km
室堂-0:40-祓堂-0:20-一ノ越-1:10-雄山-0:20-大汝山-0:15-富士ノ折立-0:25-2855m地点-0:10-真砂岳-0:45-2785m地点-0:15-別山-0:10-2819m地点-0:20-2637m地点-0:20-野営場管理所(劔沢キャンプ場)
※天候が悪ければ,劔沢キャンプ場まで直行。CT3:25。
8:45 7.9km
野営場管理所-0:20-劔山荘-0:30-一服劔-1:00-前劔-1:00-平蔵のコル-0:40-剱岳-0:30-平蔵のコル-1:00-前劔-0:50-一服劔-0:20-劔山荘-0:25-野営場管理所-0:30-2637m地点-0:30-別山乗越-1:10-雷鳥平
※剱岳へのアタックは,ヘルメット着用・サブザックにて行う。確実な三点確保。
1:10 2.2km
雷鳥平-0:40-らいちょう温泉雷鳥荘-0:20-みくりが池温泉-0:10-室堂
■エスケープルート
基本的には室堂まで最短で引き返す。
真砂岳付近→室堂:一日目のルートを引き返す
別山以降→室堂:二日目・三日目のルートを進む (別山乗越経由)
■個人装備
□ザック □ザックカバー□サブザック □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル □水
□行動食 □非常食 □ゴミ袋 □カトラリー(フォーク、スプーン類) □コッヘル(食器) □ライター □トイレットペーパー
□着替え・温泉セット□ヘッドランプ □予備電池 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書
□学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め (□モバイルバッテリー □サングラス □歯ブラシ
□トレッキングポール □サポーター/テーピングキット □熊鈴 □コンタクト/眼鏡)□ヘルメット□温泉セット
■地図
山と高原地図:剱・立山
2.5万分の1:「立山」「剱岳」
■共同装備
テント エアライズ3 No.3
なべ 雪
ヘッド 緑9
カート 2個
調理器具セット ガジャ・マダ
救急箱 苺
■食当
1日目夜:はんざわ
2日目夜:やまぐち
1日目, 2日目:各自(お湯を入れて食べるもの)
■遭難対策費
600円×3名=1800円
■悪天時
前日までに判断
■施設情報
□山小屋
・劔沢キャンプ場 1000円/1人 水場・トイレあり
・雷鳥沢キャンプ場 1000円/1人 水場・トイレあり
□温泉
・みくりが池温泉など
■備考
□日の出日の入り
日の出 4:45
日の入 19:07
□連絡先等
富山県警察本部
〇日時 8/1-8/3(二泊三日)
〇天気
一日目 晴れ
二日目 晴れ
三日目 晴れ
〇共同装備
テント エアライズ3 No.3
なべ 雪
ヘッド 緑9
カート 2個
調理器具セット ガジャ・マダ
救急箱 苺
◯総評
全日程を通して非常によく晴れ、立山三山・劔岳のピークを全て踏むことができ、立山を余すことなく満喫できた。下山中に登山靴が壊れたことなどトラブルも発生し、その点は反省点が残る。
◯タイムスタンプ
1日目(小唄)
9:55 室堂登山口
11:26 浄土山
12:25 一の越
13:06 雄山
14:17 大汝山
15:13 真砂岳
16:06 別山
17:05 劔沢キャンプ場
2日目(榛澤)
5:05 劔沢キャンプ場
5:09 劔沢小屋
5:26 劔山荘
5:51 一服劔
6:31 前劔
7:30 平蔵の頭
8:19 劔岳
9:40 平蔵の頭
10:11 前劔
10:58 一服劔
11:44 劔山荘
12:48 劔沢小屋
15:29 劔御前小屋
17:21 雷鳥沢キャンプ場
3日目(山口)
9:37 雷鳥沢キャンプ場
9:48 大日展望台
9:55 雷鳥荘
10:13 山﨑カール
10:22 みくりが池温泉
12:50 発
13:10 室堂ターミナル
◯ルート概況
室堂~別山 登山客で混雑しており、技術的に難しい箇所はあまりない
別山~劔沢キャンプ場 ザレザレの急登が続く。場合によっては剣御前を経由した方がよいかもしれない
劔沢キャンプ場~劔岳 鎖場の通過には慎重を要する。
剣御前~雷鳥沢キャンプ場 登山道のマーカーが細かく書かれているので、登山道から逸れないように注意して歩く必要がある。
◯記録
一日目(小唄)
6時30分、富山駅に到着。同じ日程で立山三山に行く清野くんのパーティは我々よりも少し早く、富山駅のバスターミナルに集合しているようだった。清野くんのパーティの面々はフレッシュさに溢れ、懐かしい気持ちになった。高地順応のため1時間ほど室堂に滞在し、清野くんのパーティとは室堂までのバスと浄土山までの行程が同じだったので、途中までは一緒に歩くことにした。
室堂周辺は舗装されていて、登山道というよりむしろ遊歩道のような感じで本当に歩きやすかった。一方で、1時間ではほとんど高度順応できておらず、いきなり2000m以上も標高を上げているので、平坦な道ですら少し息苦しさを感じることがあった。特に浄土山までの登り勾配がきつくなると、それを特に顕著に感じた。浄土山までは一緒に歩くつもりだったが、我々と清野くんのパーティではペースがだいぶ違うようだったので途中で分離し我々は先を急いだ。浄土山のピークは広く、休憩に最適だった。次は雄山を目指して歩き始めたが、小学生の遠足の集団に出くわしてしまう。中学生たちが道を譲ってくれるようだったので、ありがたく譲られることにしたのだが、早く追い抜くためにペースを上げるも集団が大きすぎて抜き切るのに思った以上に時間がかかってしまい、意図せずして息が切れてしまう。それでも、元気な挨拶に励まされながら本来のペースよりもだいぶ早く上り坂を上がり終えると、雄山のピークにたどり着いた。ここまでの登山道も登山客で賑わってはいたが、ピークは人が滞留していて、山とは思えない人口密度だった。本当の山頂には祠があり、入るのにはお金がかかる(500円)とのことで、商魂逞しい神社だなあと思いつつ500円を払ってピークを踏みに行く。祠の前で宮司さん?がお祓い的なことをしてくれた。珍しい体験だったので、500円の価値はあったと思う。(が、もし二度目に来ることがあったらスルーしてしまう気がする)景色は最高だったのでそれは良かった。
休憩をしすぎたせいで少し時間が押していたので、ややペースを上げながらその後の登山道も歩いていく。終始天気がよく、抜群の景色を眺めながらの縦走は本当に楽しい。気持ちの良い縦走路は大汝岳、富士ノ折立、別山とつづいた。
別山から剱沢小屋まではザレザレの下りになっており、1日中動き続けて疲労の溜まった足にはかなりきつい。ルートファインディングに多少気を使いながら一歩一歩下っていく。小屋が見えてからが長い道で精神的にも少しつらかった。
テント場に到着すると手続きを済ませ、すぐさま設営にとりかかる。すでに多くのテントが張られており、中心から少し外れたところをキャンプ地とした。夕飯は榛澤のレトルトカレーだった。四種類のカレーから選べるように色々持ってきてくれていたが、パッケージはなかったのでどれがどれだかわからず、結局適当に振り分ける感じになってしまった。しかし、分け合って食べ比べてみて味の感想を言い合うなどして、楽しい食事になったので結果オーライだろう。
食事の後は、翌日の剱に備えて早めに就寝した。
二日目(榛澤)
4:30頃起床、各自朝食を済ませる。サブザックに荷物を詰め、5時にキャンプ場を出発。気持ちの良い天気の中を軽快な足取りで進む。劔山荘を過ぎると、本格的な登りが始まった。少し歩くと2番目の鎖場が出現。どうやら1番目を見逃していたらしいが、鎖場が現れると剱岳登山の始まりを感じ、気が引き締まる。とは言ったものの、鎖を使う必要もなく通過、スタートから45分ほどで一服劔に到着した。少し休憩をし、次のピークである前劔に向けて出発する。途中、3番目、4番目鎖場を通過し、前劔に到着。景色もよく、ついつい長めに休憩してしまう。ピークを越えて少し進むと幅50センチ、長さ4メートルほどの鉄の橋が現れた。バランスを崩さないように慎重に渡る。そして5番目鎖場、6番目鎖場を通過する。5番目はやや高度感のあるトラバース、6番目は下りであるが、いずれも鎖を使わずに通過できるほど、手や足の置き場には困らない。そして7番目鎖場、ここは岩に打ち込まれた杭を足場にする必要がある。非常に安定した足場であるものの、細いので踏み外さないように注意が必要である。ここを越えるとかなり急な下りの鎖場が出現する。足を滑らせないように注意する。そして、鎖のないトラバースや8番目鎖場を通過すると、ついに”現れる”。通称「カニのたてばい」、9番目鎖場である。打ち込まれた杭や鎖を頼りにしながら30mほどのほぼ垂直登攀をすることになるが、手や足の置き場には特に困らず、急であることが一番の特徴のように感じた。晴れていたため高度感もあり、難所を堪能できた。ここを越え、ガレ場のような道を少し進み、頂上へ到着。あまりに天気が良く、北アルプスの山々をはじめ、富士山なども望むことができた。しばらく休憩してから下山を開始すると、まず現れるのが、通称「カニのよこばい」、10番目鎖場である。登りはカニのたてばい、下りはカニのよこばい、とコースが分岐しているのである。崖を横に移動するのだが、一歩目の足場がわかりにくい。取り掛かる体制をとると、足場のくぼみが目視で確認できないので、前のグループは「もっと右!」「もう少し下!」などと先に通過したメンバーからの声を頼りに何とか通過していた。一方我々はあらかじめ崖から下をのぞき込み、足場の位置を確認していたので、各々難なく通過することができた。仲間に嘘の足場の位置を教えられる可能性を考慮すると、一度自分で確認するのがおすすめである。よこばいを通過すると、垂直のはしごに出会った。手足を滑らせないよう十分注意する。そして11番目鎖場を越え、少し行くと、12番目鎖場が現れる。ここは岩を上る必要がある。また、次の13番目鎖場も上ることになる。いづれも足場がしっかりしているので特に問題はない。ここまでで剱岳における全13種の名前の付いた鎖場を通過したが、事故はむしろ難所といわれている場所以外で多く起こっているらしく、気を抜かずに進む。前劔を越え、途中あまりの暑さに三番目鎖場の大きな岩陰で休憩を挟み、一服劔を越え、無事キャンプ場に到着、、、とはいかなかった。途中で小唄の靴底がはがれるアクシデントがあり、とりあえず予備の靴ひもで修復を試みた。小唄はなぜか縛ることに長けており、幾何学模様を織りなすその様は非の打ちどころなく見えたものの、少し歩くとほどけてしまうはかない芸術であった。劔山荘で、頑丈なテープによる修理をしていただき、しばらく問題なく見えたものの、これも途中ではがれてしまった。そんなこんなでペースを落としながら劔沢キャンプ場に到着した。しかしここで終わりではなく、荷物をまとめ、雷鳥沢に向かって出発する。靴に難ありの小唄、右ひざに若干の痛みを抱えた榛澤により、かなりのスローペースとなってしまったが、300mほど登り、劔御前小屋に到着。そして500mほど下り、無事に雷鳥沢キャンプ場に到着した。明日は行程も短く、することもないからなのか、到着してからはゆったりとした時間が流れる。キャンプ場手前の川で涼をとり、あるいは日焼けを癒す。川の冷たい水をかける、かけられるという幼稚なコミュニケーションに勤しむ者もいた。そして夕飯には山口さんお手製のパエリアを頂く。貝の缶詰、野菜、パエリアの素を用いて簡単に作ることができる上においしいので、非常におすすめである。キャンプ場で購入した銀色の500ml缶とともに劔岳の行程を思い返してみると、高山植物と岩場が常に楽しませてくれる素晴らしい山であると感じた。豊かな気持ちになりながら、就寝。長くなってしまった一日を終えた。
三日目(山口)
「立山に ふり置ける雪を 常夏に 見れども飽かず 神からならし」
小倉百人一首「かささぎの」で知られる万葉の歌人、大伴家持の歌である。彼が越中守として赴任中に、雪残る立山連峰を見た感動を詠んだという。常夏に雪を見ても見飽きることがないのは、立山が神の山であるからに違いないーーー。
翻って、山肌の雪渓を見ても、ちっとも涼を感じられない、令和の常夏の立山である。立山・室堂周辺ですら気温25℃の酷暑に、なぜ立山の雪は消えぬのか。神の山であるからに違いない。
今日はすることがないので、起床をうんと遅くして、8:00。日が昇り、ジリジリと太陽がテントに照り付けてくると、さすがに寝ていられなくなる。8時少し前に起きて寝袋を片付け始める。テント入り口から差し込む直射日光が体に当たると、文字通り焼けるようだ。
光が直接肌にあたるから暑かろうと、長袖を着て外に出る。なるほど少しは過ごしやすい。雷鳥沢キャンプ場にはところどころ炊事・休憩用のテーブルが置かれていて、近くの一つが空いていたので陣取って朝食の湯を沸かす。その間にも日差しは容赦なく照り付けてくる。異常である。これから降る下界はどれほど暑いのだろう。
沢沿いの窪んだ地形にあるテン場だからか、湿度が高く、テントが多少濡れていたので、少し乾かしてから片付ける。のんびり荷造りをして、そろそろとキャンプ場を後にする。ここから室堂まで歩く道はずっと石畳の遊歩道である。
「温泉」。この二文字しか、皆の頭にはない。暑い暑いと言いながらテンポよく大日展望台に上がる。ここからは火山ガスがもくもくと湧き出す地獄谷を見下ろせる。地獄谷方面はガス濃度の関係で立ち入り禁止となって久しい。時折、風向きによってはガスが上まで上がってきて、硫黄臭にむせる。危険である。
風向きが変わるのを待って、みくりが池温泉方面へ歩みを進める。途中、「山崎カール(圏谷)」の石碑がある展望台を通過する。雄山西斜面に広がるこの氷河地形は、国の特別天然記念物だ。そこから程なく、みくりが池温泉に到着。待ちに待った温泉!受付で、思いがけず、かわいいオコジョのコースターをもらう。こういうのは、とても人を幸せにする。さて、温泉はよいのだが、問題は日焼けである。3日間の良すぎる天気のせいで、榛沢・小唄の腕は見るからに真っ赤である。湯に浸かるのは耐え難いようだ。地下から湧き出してきたそのままの、硫黄臭を感じる乳白色の酸性泉で、満喫したいところだが、ヒリヒリ痛いのでそこそこにして退散する。ちょうどお昼どきで、富山の深海魚「げんげ」の唐揚げののった丼やビールなどをいただく。さすが立山で、食材が、山の上と思えぬほど豪華である。観光客で大賑わいだ。
みくりが池温泉から少し降ったところがみくりが池で、浄土山・雄山の姿を映す火口湖である。この日は湖面が少し緑がかって見えた。温泉の後で、汗をかかないように、ゆっくりゆっくり歩いても、室堂ターミナルまでは20分もかからない。バスの時間までかなりあるので、暇つぶし。直結する「立山自然保護センター」に寄ってみる。賑わうターミナルの中では人が少ない穴場である。ライチョウの生態などが詳しく展示されている。平安時代まで遡る立山登山・信仰の歴史の展示もあり、冒頭の家持の歌はここで紹介されていたもの。余談だが、「くたべ」とGoogle で検索してほしい。衝撃のビジュアルの妖怪が現れる。
バスで立山・室堂を後にする。富山駅からは、夜行バスで帰ることにして、駅周辺を観光。これまで富山駅起点の登山は意外にも経験がなく、初めての富山。新幹線開業に合わせて頑張ったのだろう、新しい綺麗な駅前である。駅の商業施設も充実しており、富山の日本酒を買ったり、回転寿司で散財したりと楽しんだ。ホタルイカ関連や白エビが、当然のことながらおいしい。あくまで山行記録なので長々と書かないが、ます寿司にする前の、生桜ますのおいしさに一同驚嘆したことは記録しておきたい。
◯感想
・小唄
終始天気がよく、最高の山行になったと思う。
靴が壊れるというアクシデントのせいでご迷惑をお掛けしました。道具は違和感を感じたらすぐに買い換えるべきですね。
日焼け止めは絶対に塗るべきだと強く実感した。
・榛澤
高山植物と岩場が常に楽しませてくれる素晴らしい山であると感じた。
想像以上に天気が良く、一日目の日焼け止めの塗り忘れは致命的であった。
・山口
快晴の劒立山を一回で満喫でき、恵まれた山行だった。
劒への道は、一般的に空身で登るということもあり、アクシデントや不注意がない限り、岩場に慣れていればそれほど心配することはないと思う。
遅ればせながら、山行後に新田次郎の『劒岳<点の記>』を読んだ。地名や地形が完全に分かって読むと、100倍楽しめる。