2024/8/8-10 パノラマ銀座縦走
パノラマ銀座縦走計画書 第2版
作成者:油井(45)
■日程 8/8-10(木-土) 2泊3日 予備日なし
■山域 北アルプス
■目的 登頂、槍ヶ岳遥拝
■在京責任者 小田
■在京本部設置要請日時 8/10 20:00
■捜索要請日時 8/11 08:00
■メンバー ( 6人)
CL 油井 SL 斉藤 ◯ 田口 ◯ 鈴木 ◯ 西山 ◯ 丸山
■集合
8/7(水)12:50 穂高駅前:油井・斉藤・田口・西山・鈴木悠
8/8(木)06:10 中房温泉:丸山合流
■交通
□行き
【東京・名古屋〜穂高】
〈18切符使用 2410円〉
06:08/07:02 新宿-11:16/12:14 松本(高尾・甲府乗り換え)
06:13/08:20 名古屋-10:33/12:14 松本(中津川乗り換え、中津川・塩尻乗り換え)
11:20/12:20 松本-11:46/12:49 穂高
〈特急〉
08:00 新宿-(あずさ)-10:59 穂高 7060円
09:00 新宿-(あずさ)-11:39 松本、12:20 松本-12:49 穂高 7060円
09:00/10:00 名古屋-(しなの)-11:05/12:04 松本、11:20/12:20 松本-11:46/12:49 穂高 5940円
〈高速バス〉
07:35 バスタ新宿-11:31 安曇野穂高 5500円
07:00 名鉄BC-10:37 松本BT、11:20 松本-11:46 穂高 4070円
〈夜行バス〉
23:05 バスタ新宿-04:27 安曇野穂高 7800円
【穂高〜中房温泉】
11:10/12:55/14:50/5:10 穂高駅-(安曇観光タクシー中房線乗合バス)-12:05/13:50/15:45/06:05 中房温泉1500円
前泊組は中房温泉テント場に宿泊(1人2000円)←8/5からキャンセル料50%、当日は100%
□帰り
16:00 三股-(安曇観光タクシー)-16:50 穂高駅 1台10990円←予約済
〈18切符使用 2410円〉
(17:04 穂高-17:31 松本)
17:44 穂高-18:10 松本
18:43 松本-22:57 新宿(大月乗り換え)
〈特急使用〉
18:40 松本-(あずさ54号)-21:17 新宿 特急券2550円
〈高速バス使用〉
18:20 松本BT-21:38 バスタ新宿 4500円
18:37 安曇野穂高-22:33 バスタ新宿 6400円
■行程(コースタイム×1.1) 【22:20/26.3km /△3132m▽3225m】
1日目
燕岳登山口-(3:20)-合戦小屋-(1:15)-燕山荘テント場-(0:35)-燕岳-(0:35)-燕山荘テント場
【5:45/5.5km/△1410m▽164m】
※夜行バスから接続する路線バスが06:05着なのでバスの到着を待って出発)
2日目
燕山荘テント場-(3:25)-大天井岳-(1:15)-東天井岳-(1:15)-横通岳-(0:50)-常念小屋テント場
【6:45/10.2km/△782m▽1033m】
3日目
常念小屋テント場-(1:25)-常念岳-(3:50)-蝶槍-(1:05)-蝶ヶ岳-(2:10)-まめうち平-(1:20)-三股
【9:50/10.6km/△938m▽2027m】
■エスケープルート
大天荘まで:引き返す
大天荘〜常念小屋:一ノ沢ルートで一ノ沢駐車場へ(常念小屋から3:20、途中水場あり、駐車場に冷沢小屋あり、ただし宿泊不可でトイレのみ、駐車場より15分手前の登山口にもトイレあり)
常念小屋〜標高2512m地点:前常念岳経由で三股へ(常念岳から1:05で前常念岳、そこから3:30で三股、三股まで水場なし、前常念岳に石室の避難小屋あり)
標高2512m地点〜蝶ヶ岳:横尾山荘経由で上高地へ(蝶槍から横尾山荘まで2:25、そこから上高地バス停まで2:40、途中に横尾山荘・徳澤園・徳沢ロッヂ・嘉門次小屋・小梨平野営場あり)
考えられるエスケープ案
・1日目の天気が大荒れの場合→2日目に一ノ沢から入山し常念小屋で幕営
・2日目の天気が大きく崩れた場合→燕山荘にとどまり、中房温泉に下山
・2日目の昼から天気が崩れた場合→大天荘で幕営し、翌日に前常念岳経由で三股に下山
・3日目の天気が崩れた場合→前常念岳経由で三股に下山
■個人装備
□ザック □ザックカバー □サブザック □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □ヘッドランプ □予備電池 □雨具 □防寒具 □帽子
□軍手/手袋 □タオル □水 □行動食 □非常食 □カトラリー □コッヘル □ライター □トイレットペーパー □新聞紙 □ゴミ袋
□エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク
□消毒用品 □日焼け止め □着替え・温泉セット □モバイルバッテリー (□サングラス □サンダル □歯ブラシ □トレッキングポール □熊鈴)
パッキングのコツ
https://yamahack.com/131
服のコツ
https://yamahack.com/208
■地図
25000分の1:「槍ヶ岳」「穂高岳」「信濃小倉」
山と高原地図:「槍ヶ岳・穂高岳 上高地」
■共同装備
テント
・エアライズ3 No.2:油井
・エスパース:西山
なべ
・桜:田口
・小桜:田口
ヘッド
・緑7(8/5以降に仙ノ倉山から引き継ぎ):油井
・緑8(8/5以降に仙ノ倉山から引き継ぎ):油井
カート
・中×2(十分に中身があるもの):田口
調理器具セット
・キャサリン(8/5に仙ノ倉山から引き継ぎ):油井
救急箱
・アゲハ:西山
■食当
8/7夜:西山(5人分)
8/8朝:鈴木(5人分)
8/8夜:丸山
8/9朝:田口
8/9夜:油井
8/10朝:斉藤
アレルギー等:チーズ・バター・マヨネーズ(苦手、鈴木)
メロン・モモ・サクランボ・豆乳
■遭難対策費
400円×6名=2400円
■悪天時
8/6 18時までに判断
■施設情報
□山小屋
・合戦小屋 090-1420-0008(燕山荘)
テント泊:2000円/人(予約不要)、3張、トイレあり、水は有料
docomo:通話困難な場所が多い au:通話不可 softbank:通話不可 公衆電話:なし
https://www.enzanso.co.jp/kassengoya
・燕山荘 090-1420-0008←予約済み
テント泊:2000円/人※要予約、40張、トイレあり、水は有料(朝食時間〜18時)
docomo〇au△softbank△
https://www.enzanso.co.jp/enzanso
・大天荘 090-9003-1253
テント泊:2000円/人(予約不要)、50張、トイレあり、水は200円/1L
docomo〇au△softbank×
https://www.enzanso.co.jp/daitenso
・常念小屋 090-1430-3328
テント泊:2000円/人(予約不要)、50張、トイレあり、水は200円/1L
docomo◯/au◯/softbank×
http://www.mt-jonen.com/index.html
・蝶ヶ岳ヒュッテ 090-1056-3455
テント泊:2000円/人(予約不要)、30張、トイレあり、水は200円/1L
docomo△/au◯/softbank△
https://chougatake.com/
・横尾山荘 0263-95-2421
テント泊:2000円/人、150張、トイレ・水場あり、docomo〇au〇sofbank△
https://www.yokoo-sanso.co.jp
・徳澤園 0263-95-2508
テント泊:1500円/人、250張、トイレあり
https://www.tokusawaen.com/
□避難小屋
・前常念岳避難小屋
・営林署避難小屋(夏季閉鎖)
□水場
第一ベンチ付近(中房温泉から燕岳方面に40分)
蝶ヶ岳ヒュッテ前
三股付近(三股から蝶ヶ岳方面に10分)
三股トイレ前
□トイレ
中房温泉、合戦小屋、燕山荘、大天荘、常念小屋、蝶ヶ岳ヒュッテ、三股、三股駐車場
□温泉
中房温泉(前泊で利用)
□電波
〈燕岳〉
docomo:利用可能
au:△
softbank:燕山荘〜燕岳山頂など一部区間を除き利用可能
〈北アルプス中心部〉
docomo:東天井岳まで利用可能
au:△
softbank:大天井岳山頂周辺、東天井岳周辺を除き利用可能
〈常念岳〉
docomo:常念小屋〜三股手前までまめうち平周辺の一部区間を除き利用可能
au:常念岳山頂のみ利用可能
softbank:常念小屋、蝶ヶ岳〜三股の一部を除き利用可能
■備考
□日の出日の入り(大天井岳)
日の出:4:51-4:53
日の入:18:56-18:58
□連絡先等
長野県警安曇野警察署 0263-72-0110
長野県警松本警察署 0263-25-0110
アルピコ交通新島々営業所 0263-92-2511
濃飛バス予約センター0557-32-1688 (9:00~18:00)
南安タクシー0263-72-2855
安曇観光タクシー0263-82-3113
8/8-10 パノラマ銀座縦走記録
作成者:油井(45)
■日程 8/8-10(木-土) 2泊3日 予備日なし
■山域 北アルプス
■天気
1日目:晴れ→曇り→晴れ
2日目:晴れ
3日目:晴れ
■メンバー
CL油井(45) SL斉藤(45) ◯田口(46) ◯鈴木(46) ◯西山(46) ◯丸山(46)
■共同装備
テント
・エアライズ3 No.2:油井→蝶・常念に引き継ぎ(鈴木が駒場へ返却)
・エスパース:西山→八ヶ岳へ(油井)
なべ
・桜:田口→八ヶ岳へ(斉藤)
・小桜:田口→斉藤
ヘッド
・緑7(8/5以降に仙ノ倉山から引き継ぎ):油井→丸山
・緑8(8/5以降に仙ノ倉山から引き継ぎ):油井→八ヶ岳へ(斉藤)
カート
・中×2(十分に中身があるもの):油井→八ヶ岳へ(斉藤)、田口
調理器具セット
・キャサリン(8/5に仙ノ倉山から引き継ぎ):鈴木→八ヶ岳へ(斉藤)
救急箱
・アゲハ:西山→八ヶ岳へ(油井)
■総評
天候に恵まれ、槍・穂高連峰をはじめとする北アルプスの大パノラマを楽しむことができた。満天の星空やライチョウも観察でき、非常に充実した山行だった。46期主体のメンバーだったが、皆健脚で頼もしい限りである。ロングコースではあるが、ここを歩き通すことで槍ヶ岳に行くモチベを大いに高めることができるのではないだろうか。
■タイムスタンプ
1日目
06:15 中房登山口-09:05 合戦小屋-09:50 合戦沢の頭-10:30/12:00 燕山荘-12:30 燕岳-13:30 燕山荘
2日目
04:20 燕山荘-07:30 大天荘-08:00 大天井岳-08:50 大天荘-11:30 常念小屋
3日目
03:30 常念小屋-04:45 常念岳-08:20 蝶槍-09:15 蝶ヶ岳ヒュッテ-09:35 蝶ヶ岳-09:50
蝶ヶ岳ヒュッテ-13:00 三股登山口-13:20 三股駐車場
【21:25/26.8km/△3056m/▽3224m】
■ルート概況
中房温泉〜燕岳
・合戦尾根は北アルプス三大急登に数えられているが、それほど大変に感じなかった
・アルプスの樹林帯という感じで花は比較的少なかった
・合戦小屋ではほとんどの人がスイカを食べているように見受けられた
・山で食べるスイカは絶品だった
・燕岳近づくにつれて風化した花崗岩が主体となり、砂が緩衝材となって足に優しかった
・燕山荘手前でサルに遭遇
・燕山荘のテント場は10:30の時点で10張ほど先客がいた
・昼間はガスっていたが、夕方には槍の穂先が見えるほど晴れた
燕山荘〜大天井岳
・気持ちの良い稜線歩き
・1箇所あったハシゴはそれなりに高度感があった
・大天井ヒュッテと大天荘の分岐からのガレ場は直登しがちだが正しいルートは大きく巻くので要注意
・大天井岳からの眺望は素晴らしい
大天荘〜常念岳
・東天井岳や横通岳などの小ピークは巻くのがベストだろう
・東天井岳手前で猿の群れが登山道を塞いでいた
・常念小屋手前で雷鳥3羽に遭遇!
・常念小屋はテント場のトイレが閉鎖されているため、小屋のトイレが使用でき、洗面・歯磨き可能
・常念岳への急登はガレ場の割には暗闇でも道は明瞭だった
常念岳〜三股
・常念岳からの岩稜帯は足場がやや不安定
・蝶槍への登り返しが一番きつかった
・蝶槍からは天国
・三股への下りは長くて単調の上、登ってくる人が多くて難儀した
■山行記
(0日目:文責 田口)
中房温泉での前泊のために各々別行動で向かう。18切符の鈍行が多かったが、自分は前日の深夜までのバイトで疲れていたので、安曇野穂高までの急行バスで向かった。鈍行組で時間に余裕があった人たちは松本で蕎麦を食べ、自身は穂高で食べた。わさびがたっぷりと入った蕎麦で北アルプスの水の美味しさを感じられた。その後、穂高で合流してバスで揺られながら、山道を登った。バスの中では滋賀大ワンダーフォーゲル部の人たちと遭遇し、山についてたくさん談笑した。相手方は表銀座&裏銀座のルートらしく、無事を祈りたい。
その後中房温泉に着くと、まず自己紹介をした。今回の山行は初めて会うひとが多く、新鮮な気分だった。そしてテントを張った後に日本百名湯の一つである温泉に入った。とても気持ち良かった上に、男子風呂では話が弾んで、長風呂になってしまった。今回入ったのは日帰り温泉だったが、橋の奥には宿とたくさんの温泉があるらしく、いつか行ってみたい。温泉から出ると、夕食を作り始めた。夕食は西山さんが担当で、非常に美味しいハヤシライスを作ってくれた。具沢山な上に、お米も上手く炊けていて山に登るパワーを十分につけられた。これで0日目はおしまい。
(1日目:文責 鈴木)
今回の山行で見た植物&名前まとめ
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1PPXqKVTH65-6v_wQ-zuorVmk0dFrS04pJvGvwWvuQsY/edit?usp=sharing
1日目は中房温泉登山口―燕山荘、加えて燕山アタックの1315m
UPである。そんな過酷な登りに耐えうるだけの朝食を作らなければならない。食当は責任重大である。まあ、食当僕なんですけど。今回はトムヤムクン・フォー&つけフランスパンを作ったが、持ってきた量があまりにも少なかった。朝の食当は人数×1.5人前ぐらいを目安に持っていくのがよいが、僕は1人=1人前
の計算で持ってきてしまった。結局パーティメンバーに代わりに行動食を余分に消費させてしまったこと、深く反省する。
さて、6時10分、深夜バスー穂高駅からのバスと乗り継いできた46期丸山を出迎え、我々は出発した。表銀座でも使う深夜バスだろうが、なかなか寝心地は悪かったようだ。あまり睡眠が取れていないと言っていた。序盤から流石にきつい登りだが、燕山荘までの登山客が多いためか、ベンチが30分間隔程度で整備されており、快適に進むことができた。登っている間はみな無言であったが、ある一つの目的で通じ合っていた。―――――「合戦小屋名物のスイカを食べる」
9時5分、合戦小屋につき、我々は値段の高さ(¥600)に渋る無意味な抵抗を見せつつも、結局は全員スイカを食べる卓に並んだ。しかし天下の大学生、どんなに疲れていてもインスタ映えを忘れず、各々がスイカとの記念写真を撮った。たとえそれがスーパーの商品によくついている「私が作りました」的写真になったとしても。全員が無事スイカ農家への就業を済ませたのち、ようやくスイカにかぶりつく。しゃく、、、甘っ。水分を失った体には、スイカが天の食べ物のように思えた。こりゃ売れますわ。
スイカを食べると辺りは霧に包まれ、一気に体が冷えるのを感じた。もはや標高は2000mを超え、我々は「高山」にいるのだ。
10時27分、燕山荘着。だいぶ早い到着とCL油井の巧みな手続きで、テントの場所は選び放題だった。テントを設営し、すこし休憩する。霧はやや晴れこそはしたが、北アルプスの稜線は雲に覆われている。燕岳に登頂するまでになんとかなるか、そんな一抹の願いを込め、我々は燕岳アタックを決行した。
地獄への道は善意で舗装されているというが、天国への道は何で舗装されているのだろうか。できれば、ここ燕岳のように、高山植物だとうれしい。霧と白砂、突き出した岩だけでできた白い世界に、まるでこの世のものではないかのように紫色のコマクサが映えている。「アルプスの女王」に生える「高山植物の女王」である。美しい登山道に見惚れながら燕岳山頂に到達する。二十分ほど粘りガスは消えたが、肝心の槍ヶ岳の穂先がやはり雲に隠れて見えない。仕方ない、一旦テントに戻ろう。
午後一時半、我々は燕山荘に戻った。といっても手持ち無沙汰で何もすることがない。油井先輩は果敢に昼寝を決行。行動食に和菓子しか持ってきていなかった46期田口は燕山荘の別館カフェにて、ケーキ&コーヒーセットに心を奪われていた。
午後3時、我々は46期丸山の「餅シチュー」に舌鼓を打った。具材は豊富でとりわけ「皆様のお墨付き」ウィンナーを4袋も持ってきてくれたことが最高すぎた。それでも時間はまだあまりあるほどで、暇を持て余したパーティーメンバーは一人、また一人、自然とキャンプサイト中央の小高い丘へ集まっていった。ゆったり流れる時間のなか、SL斉藤の山解説や、他愛無い会話を挟みつつ、みんなで槍を眺めていた。日が傾いていく。寒さが半袖の限界を迎えた午後5時ごろ、ついに槍ヶ岳が穂先を現した。すげー、ほんとに「槍」なんだー。美しー。
我々はこの3日間、つねにこの槍を眺め、近づき、遠ざかり、鼓舞され、共に進んでいくこととなる。
(2日目:文責 西山 )
2時半にアラームで起床した。ぐっすり眠れたのでアラームでスッキリ起きられた。標高2700m超の早朝は寒かった。思い切って寝袋からでて荷物を急いでまとめ、外に出るともっと寒かった。空を見上げると満天の星空だった。天の川も見えた。あんなにたくさんの星を見たのは初めてだと思う。テントの片付けと朝食の準備に分かれた作業した。テント場から少し上がったところにある燕山荘の横のテーブルでお湯を沸かしたのだが、強風によってなかなかお湯が沸かなかった。なんとか棒ラーメンをゆでて強風が吹く寒い中朝食を終えた。じっとしているとダウンを着ていても寒く、早く日が昇って欲しいと思った。夜明けの空や雲海の隙間から見えた街の明かりが綺麗だった。4時半ごろ、準備を終え出発した。その頃には空はかなり明るくなっていた。出発後しばらくは平坦な尾根線を歩いた。日の出近くになって小高い丘の上で止まり、日の出鑑賞をすることになった。一方には槍ヶ岳をはじめとする北アルプスの山々、反対側には日の出が望める贅沢な景色であった。私はここで防寒具を脱ぎ半袖になったのだが道が平坦だと歩き始めてもなかなか体が温まらず、下界との気温差を体感した。大天井岳まではアップダウンが多くかなりつらいコースだった。歩き始めたときは大天井岳が近くにみえ、意外とすぐ着くだろうと思っていたが歩いてみると想像より遠く、歩き始めた時には見えてなかったアップダウンの激しい道が待ち構えていた。雷鳥を探したり、景色を楽しんだりして歩きたかったが、それほど余裕はなく地面を見ている時間の方が長かった。特に大天井岳直下の急登はガレ場がかなり長く続き、歩くペースも速かったため体力を消耗した。大天井岳は今回の山行の最高峰であり、そこからの景色は最高だった。頂上からはこれまで歩いてきた尾根と、小さくなった燕岳と燕山荘が望めた。ここまではコースタイムよりも早いペースで歩いていたのでここからは時間の余裕もあるからということでゆっくり歩くことになった。そこまでアップダウンもなく比較的楽であったので休憩を挟みつつもペース良く歩けた。途中、ハイマツの実を食べにきているサルの集団に出会った。道に降りてきてハイマツの身を食べていたが近づくとハイマツ林に逃げて行った。小さい子ザルもいて可愛かった。また、雷鳥に立て続けで出会うこともできた。晴れている時よりも霧がある時の方が出会う確率が高いようだ。1回目は雌の親鳥とひなだった。ハイマツで見え隠れしながらも何度か見やすい位置に留まってくれたおかげでかなり長い時間その姿を見ることができた。2回目は1回目のすぐ後に雌の雷鳥が1羽見られた。そのとき私は先頭を歩いていたのだが見つけられなかったので少し悔しい感じがした。その後かなり下るとハイマツ林が樹林帯に変わり、樹林帯を抜けると砂漠のように草が生えていない砂利道に出た。そこから5分くらいで常念小屋キャンプ場に着いた。12時前だった。テント場はガレ場でやや歩きづらかった。たっぷり休んだ後3時15分にご飯を作り始めた。カニ雑炊で体が温まったあと5時には寝袋に入った。まだ明るく、周りのテントはガヤガヤしていたため寝付けるか不安だったが疲れていたためか割とすぐに眠ることができた。
(3日目:文責 丸山 )
2時のアラームで起床。テントの片付けにも慣れてきたのか、前日よりもスムーズに朝食に移ることができた。朝食の食当は斉藤さん。カレーメシの中身にマッシュルームを加えたものだった。すごく簡単に早くできて、しかも美味しいので今後の参考にしたい。朝食を終えると、素早く荷物をまとめて出発した。最初は常念岳山頂に向かう急登だった。ガレ場になっていてかなり登りにくかった。暗闇の中、岩に描かれた白いペイントを手がかりに登っていった。1時間ほど登ると、常念岳山頂に到着した。雲海からのぼる朝日は格別の美しさだった。常念岳山頂の手持ち看板が重かった。常念岳からは、ガレ場の下り。ここでも岩の目印を手がかりに下っていく。かなり紛らわしい部分もあったが、目印に忠実に下れば大丈夫だった。それなりに下った後、また登りが現れた。久しぶりに見た森林。登りはもうないから、と自分に言い聞かせながらひたすら登った。そして、蝶槍に到着。登る最後にちょっとだけ槍要素があって面白かった。景色は最高だった。蝶槍から蝶ヶ岳までは、なだらかな稜線だった。右手に槍・穂高を見ながらの稜線歩きは最高に気持ちよかった。蝶ヶ岳山頂に着くと、本当に蝶がいて感動した。この大パノラマも見納めか、と思いつつ景色を目に焼き付けた。しばらく山頂でゆっくりした後、最後の下りへと向かった。約1200mひたすら下ると聞いていたので、かなり身構えながら慎重に下っていった。蝶ヶ岳山頂方向へ向かう人たちとたくさんすれ違った。登山道には階段が多かった。なるほど、すれ違う人たちが揃いも揃って死にそうな顔をしているのはこれを越えてきていたからだった。下りでよかった、と思ったが口には出さなかった。かなり下の方まで下ると、湧水を汲めるところがあった。冷たい水が疲れた体にしみた。体力を振り絞って最後の下りを行き切った。下山すると、登山口の脇でコーラを売っていた。46期4人で一人ずつコーラを買い、労いの意味も込めてみんなで乾杯した。あのコーラが人生で一番美味しいコーラだった。
■感想
CL油井
・これ以上ない大パノラマを堪能できて最高
・前泊入れて3泊もしたが、食当の作る料理が美味しく、快適なテント生活を送れた
・テントの片付けのスピードが日に日に速くなるなど46期のテント泊への順応を感じた
・過去一コースタイムも距離も長い山行で普通に疲れた
SL斉藤
・間違いなくこれまでで一番景色の良い山行でした。天候に恵まれたのは本当に運が良かったなあ
・みんな強い!山をはじめたばかりにもかかわらず、テントとか担ぎながらバテずにやり切ったことは誇るべきことだと思います!
・テント撤収が日に日に早くなっていったことにも感動。その調子で、色々と自分で仕事を見つけて動くことを他の山行でも実践してみてください!
◯田口
・パノラマ銀座という名前に相応しく、槍ヶ岳や穂高、乗鞍など北アルプスが一面に広がって見渡せた
・雲より高いと神になった気分になれる
・下界用の道具のせいでザックが重くなりすぎてしまって反省、なるべく減らしたい
・行動中に雨が降らなかったことが奇跡すぎた
・曲がったポールは修理できそうです
◯鈴木
・初北アルプスですが、ガレ場、梯子、ちょっとした鎖があって、技術面でも大分成長出来たと思います。
・もちろん体力面でも成長出来ました。一日目の状態で3日のコースタイム9時間は無理だろうと思っていたが、案外いけちゃった。
◯西山
・天候に恵まれ、壮大なパノラマを楽しむことができた。
・星空に感動した。もっと見ていたかった
・食当がうまくいってよかった。手伝ってもらう時に指示を上手くできるようになりたい。
・1日目が終わった時点で翌日筋肉痛になるかと思ったが山行が終わった後もほぼならなかった
◯丸山
・景色が本当に最高だった。より山を好きになった。
・コースタイムと距離を見て行く前はかなりびびっていたが意外といけた。
・初食当なのにトリッキーなメニューを選んでしまったが、普通においしかったのでよかった。
・餅は片付けが少し大変。
・大天荘までの登りで、登山道を間違えたのは反省。普通に危なかったので、前の方にいる時はルートの確認も怠らないようにしたい。
・あの3日間をポールなしで行った西山さんまじですごいと思う。