2024/8/29 早池峰山山行
山岳愛好会雷鳥(東京大学・お茶の水女子大学公認サークル)
早池峰山・薬師岳 計画書 第二版
作成者:斉藤
■日程 8/29(木) 日帰り 予備日なし
■山域 北上山地
■目的 登頂
■在京責任者 山道
■在京本部設置要請日時 8/29 18:00
■捜索要請日時 8/30 7:00
■メンバー (確定 6人)
CL斉藤SL田中◯朱◯深田◯岩田◯清野
以上
■集合
花巻中心部 6:30
■交通
□行き
・トヨタレンタカー
花巻市街から河原の坊駐車場(50台)へ
・徒歩
駐車場から小田越へ(30分弱)2km
□帰り
同上
■行程
小田越 -75min- 五合目 -35min- 分岐 -5min- 分岐 -9min- 早池峰山 -9min- 分岐 -5min- 分岐 -25min- 五合目 -60min- 小田越(△669m ▽669m 4.8km 3:43)-90min- 薬師岳 -60min- 小田越
(△1074m ▽1074m 7.8km 6:13)
■エスケープルート
基本的に引き返す
薬師岳をカットする
■個人装備
□ザック □ザックカバー □登山靴 □替え靴紐 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル □水 □行動食 □非常食 □ゴミ袋 □トイレットペーパー □着替え・温泉セット□ヘッドランプ □予備電池 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め (□ライター□モバイルバッテリー □サングラス □歯ブラシ □トレッキングポール □サポーター/テーピングキット □熊鈴 □コンタクト/眼鏡)
■地図
25000分の1:「早池峰山」
山と高原地図:「栗駒・早池峰」
■共同装備 調整済み
救急箱エーデルワイス:岩田
ETC・初心者マーク:岩田
運転できる靴:斉藤・朱・岩田・深田
■遭難対策費
100円×6名=600円
■悪天時
当日朝、花巻にて判断(あるいはその前)
■施設情報
□避難小屋
・小田越山荘
予約不要・無料、水場・トイレなし
tel: 0198-62-2111(遠野市役所)
・早池峰山山頂避難小屋
予約不要・無料、水場・トイレなし
tel: 0198-48-2111(花巻市大迫総合支所地域支援室)
□水場
付近にはなし
□トイレ
小田越にあり
□温泉
■備考
□日の出日の入り(@早池峰山)
日の出 4:51
日の入 18:18
□連絡先等
遠野警察署 tel: 0198-62-0110(代表)
花巻警察署 tel: 0198-23-0110(代表)
8/29 早池峰山 記録
■日程 8/29(木) 日帰り
■山域 北上山地
■天気 曇り
■メンバー
CL斉藤(45) SL田中(46) ◯朱(45) ◯深田(46) ◯岩田(45) ◯清野(45)
■共同装備
救急箱
・エーデルワイス:岩田
■総評
長い梯子と蛇紋岩植生の山、早池峰山に行ってきました(今年度の暫定本州最北端の山行です!)雷鳥としては久方ぶりに登る山でしたが、前日の列車旅と併せても良い経験になったかと思います。
■タイムスタンプ
9:39 河原の坊
10:20 小田越
12:21 早池峰山
14:35 小田越
15:00 河原の坊
■ルート概況
河原の坊~小田越:舗装された道路
小田越~5合目付近:樹林帯
5合目付近~山頂:蛇紋岩の道が続き、湿っていると滑りやすく注意が必要。終盤の長梯子は近くで見ると想像より傾斜がゆるく、高度感はそこまでない。
■山行記
(本当は前日に鳥海山に登る予定でしたが中止となったため、前泊としてここでは前日記録も掲載します)
□清野(前日)
注:ただの旅行記です。
バスの車体を叩きつける雨音で目を覚ました。時刻は5時半前。既に庄内平野に入っているようで、窓の外には雨を受けて青々とした田んぼが広がっている。これはまずいなあと思いながら天気予報を確認すると、昨夜よりも悪化して雷マークも出ていた。昨夜になってようやく予報が好転していただけに残念だ。ショックを受けて二度寝を決め込む。
6時半頃、バスは酒田駅前に到着した。幸いにも早朝から開館している公共施設で、鳥海山山行の決行か中止かを協議する。せっかく山形まで来たのだから、と決行を望む声もあったが、最終的には雷予報を理由に中止の判断となった。個人的には北岳山荘のテント場で雷はもうこりごりだったので、内心胸を撫で下ろしたところもある。皆来年リベンジすることを心に決めた。
鳥海山が中止となってしまったため、今日の予定が白紙となってしまった。そこで、当初は下山後レンタカーで花巻まで移動する予定だったものを、1日かけて観光しながら18切符で移動することにした。思いがけずのローカル線旅である。駅近くの清水製パンというパン屋(惣菜パンのインパクトが凄い。詳しくは共有アルバム参照)で朝ごはんを調達し、早速秋田への電車に乗り込んだ。
酒田駅を発車するとすぐに、車窓には庄内平野らしい青々とした田園風景が映る。そして右手には鳥海山が聳え立っている。その雄大な姿に、登れなかった無念さが込み上げてくるが、山頂が雲に覆われてしまっているあたり仕方ないかと諦めもついた。来年は鳥海山と月山セットで遠征したいと皆口々に言う。
途中斉藤の水筒が割れるなどのアクシデントもあったが、日本海を横目に電車は走り、秋田に到着した。駅ではなまはげと秋田犬がお出迎え。私は小さい頃読んだ短編小説(辻村深月 短編集「きのうの影踏み」より、「ナマハゲと私」)のおかげで、なまはげが少しトラウマなのだが、やっぱり普通に怖くないですか?因みにこの短編集は日常に潜む怪異がメインで、スプラッター的描写は無いもののどこかゾワゾワする感じでとてもオススメ。
駅のあちこちにいる秋田犬のイラストに癒されながら、改札を出ていざ観光である。駅構内を歩いていると、1人の若い男性に話しかけられた。なんでも大学の卒論で東京秋田間の移動手段について調べているようで、そのアンケートだそうだ。飛行機と新幹線のシェアの比較がメインだそうだが、生憎我々は酒田まで夜行バス、そこから在来線という意味不明な経路である。外れ値すぎてごめんなさい。
さて、秋田市を観光する中当たって、今回の私達は秋田の祭りや民俗芸能に関する博物館に、元銀行の地域資料館に訪れた。中々渋いチョイスな気もするが、知らないことばかりでとても勉強になった。まず訪れたのは竿燈祭りやその他民俗芸能に関する展示を行う「ねぶり流し館」である。小学校の社会での内容しか知らなかった竿燈祭りであったが、実物大の展示にその凄さがよく伝わった。ビデオに合わせて太鼓を叩く展示もあったが、リズムがあまりにも難しい。秋田県民恐るべし。ねぶり流し館には旧金子家住宅という有力商人の商家も併設されており、こちらも面白い。
2つの資料館を出て、次は赤れんが郷土館という、旧秋田銀行本店を利用した郷土資料館を訪れた。その重厚で豪奢な造りと、展示されている洗練された工芸品は一見の価値ありだと思う。これら3つの資料館は共通券があるので、秋田に訪れた際はぜひ。
秋田市内を観光した私達は、名物の稲庭うどんを食べて再びの電車旅へ向かった。今度は途中大曲での乗り換えを経て3時間ほどの乗車である。談笑したりうたた寝したりとゆったりと時間を過ごす。盛岡手前では周りが見えなくなるほどの豪雨に遭遇した。大雨の中の電車や、家で過ごす台風など、安全地帯から傍観する緊急事態はどこか好きだという話をすると、何人かは共感してくれた。ちょっとテンションあがっちゃうよね。
盛岡に到着しても結局雨はやまず、レンタカーの開始時刻まで駅の土産物店で時間を潰した。地酒にときめく人もいたが、自分は未成年なのでまだ買えないのである。残念。鰹の半身の生節が売っていて、常温保存可だったため山での食当に使えそうと思ってしまった。最近思考が山に汚染されている気がするので怖い。
レンタカーを借りて本日の宿がある紫波町まで移動。今回泊まる宿はオガールインといい、紫波町の最近完成した公共施設「オガール」の中にある。地域振興の界隈では有名らしく、斉藤が実際に訪れることができて喜んでいた。泊まった部屋は8人1室のドミトリータイプで、1室あたり18000円(なんと朝食付き!)と、とてもお得。岩手県への遠征の際には拠点にできそうだ。
夕食は近くのココス。皆小さい時以来でテンションが上がっていた。記憶の中ではココスといえばドラえもんだったが、今はラスカルらしい。メニュー表にラスカルがいるのがとても違和感がある。久しぶりの包み焼きハンバーグはとても美味だった。値段も味もガ◯トよりも良いかもしれない。
夕食後はスーパーで翌日の行動食を調達し、部屋に戻った。南部せんべいのカロリー/グラムがとても優秀だと皆喜んで購入していたあたり、すっかり山に毒されているなと思う(もちろん自分も人のことを言えない)。
宿に戻り、めちゃくちゃ熱い大浴場に入り(最近熱い風呂しか入ってない気がする。立山然り下部温泉然り)、今日の疲れを癒した。今日はただの旅行だったが、本来この遠征の目的は登山である。明日の早池峰に向けてコンディションを整えなければならない。
皆が風呂から上がると、スーパーや土産物屋で購入した諸々で深田の誕生日会を開催した。お誕生日おめでとうございます。宴もたけなわではあったが、よく考えたら(よく考えなくても)明日は登山である。既に日付も変わっており、そろそろ寝なくてはならない。翌朝の動きを決定し(別行動の田中正を待たして施設の朝食を取ることにした。やっぱり「無料」の誘惑には勝てない。田中正ごめんなさい。)、快適な2段ベッドで就寝した。
□田中(当日)
午前9時30分ごろ私たちは河原の坊駐車場に到着した。到着後は各自トイレを済ませ小田越に向けて歩み出した。小田越まではコンクリートで舗装された道路であり、隊のペースも街中で坂道を登るくらいの速さであった。途中花巻市とお別れをして遠野市に入った。河原の坊駐車場が花巻市にある一方で早池峰山は遠野市にあるようだ。河原の坊駐車場から30分ほど歩くと小田越に到着。小田越には電波情報の一覧が記載されており、私は自身が契約しているauの電波状況を確認した。auは全域において電波が飛んでいると書かれており安心したが、この後スマートフォンに「圏外」の表示が出るまでに要した時間はそう長くはなかった。早池峰山に登る人はご注意を。
午前10時20分頃に我々は早池峰山に向けての登山道を歩き始めた。初めは木道が少しだけ続き、下を見れば小さな池が散見された。前に至仏山の記録にも書いたが、木道の敷設というのは大変お金がかかるものであり、早池峰山に木道が敷かれていることはそれだけ早池峰山が愛され、人の手によって丁寧に管理されている証拠なのだろうと勝手に納得した。ちなみに木道には付近の植生を守るという役割があり、実際尾瀬ヶ原では観光客の増加で植物が踏み荒らされ、植生が悪化したために全長65kmもの木道が設置された。小田越から始まる木道は短く、木道が終わると今度は水が少し流れた岩の上を歩いていく感じになる。これだけ聞くと登山道が整備されていないように聞こえるが、実際は正反対で岩が階段状に並べられていてとても登りやすかった。同じ蛇紋岩の山ということもあってか至仏山の登り始めの辺りととてもよく似ていた。至仏山大好きすぎて尾瀬ヶ原の話ばかりしてごめんなさい()。河原の坊では広葉樹林が多かったがいつの間にか針葉樹林が辺りには広がっている。針葉樹林の幼木のかわいさは反則級だと思っている。そうかと思えばたちまち高木が見られなくなり辺り一面が開けてきた。
小田越からわずか30分ほどで森林限界に突入した。私たちはアルプスに来たのではないかと思ったほどだ。小田越の標高が1200M台であることを考えると早池峰山の森林限界の標高が明らかに低いことがわかる。おそらく1300M前後だ。どうしてだろうか。早池峰山が東北に位置するからだろうか。しかし周りの薬師岳などの山を見てみると早池峰山の森林限界より明らかに高いところまで樹木に覆われている。気になって調べてみたところ、またしても早池峰山が蛇紋岩からなる山だかららしい。蛇紋岩上は植物にとって生育しにくいらしく、そのために高木が生育しにくいのだ。ちなみに早池峰山周辺でこのような現象が見られるのは早池峰山だけで、花崗岩から成り土壌の豊かな薬師岳などには見られないらしい。ともかく異様に標高の低い高山帯を進んでいくとすぐに一合目の看板部分に到着。小田越と早池峰山頂を1:2に分けるくらいの場所にあり思わず全然一合目じゃないじゃないかとツッコんでしまった。一合目を超えると高山植物がいよいよたくさん見られるようになる。早池峰山には多くの固有種が生育していて、看板やロープなどで登山道からはみ出ないよう再三注意を受ける。登りやすい日本百名山ということもあって登山客によって山が踏み荒らされるリスクも大きいのだろう。我々は登山道からナンブトウウチソウやハヤチネウスユキソウを見ることができた。
しつこいが早池峰山は蛇紋岩でできた山だ。蛇紋岩はゴツゴツしながらも同時にとても滑りやすいので登るのに注意が必要だ。しかし、早池峰山の登山道は整備がしっかりされているため、メンバー同士でここが滑りやすいだとか連携を取りさえすれば何も怖いものはなかった。
高山帯を1時間ほど歩くとあたりがガスって近くも見えなくなってきた。そんな中私たちの前に迫ってきたのはそり立つ岩とそこにかかる梯子だ。梯子の終わりはよく見えない。私はグローブをつけ、恐怖と高揚感を抱きながら梯子を登り始めた。梯子は案外登りやすく、もちろん怖くはあったが3点支持を意識すればそこまで危なくはなかった。メンバーが登っているところを他のメンバーが撮ったりとみんなで楽しみながら登った。
梯子を登ると急に登山道はなだらかになる。そこからは木道が続き、あっという間に山頂に到着した。山頂にはたくさんの剣の置物が置かれていた。どうせなら近くの早池峰剣ヶ峰に置けばいいのに、、、山頂では集合写真を撮ってもらったり各々写真を撮ったりして30分ほど休んだ。私は岩に登ろうと歩いていたら光祐さんにヘアバンドを当てられた。
13時頃に下山を開始したが、薬師岳に登ってしまうとレンタカーを時刻通り返却できないので薬師岳は諦めることにし、ルートは河原の坊駐車場と早池峰山のピストンになった。もと来た道を戻るわけだが、上りと下りでは景色が違う。上りでは基本的に早池峰山を望んでいたが下りでは正面の薬師岳、ではなくガスがまず目に飛び込んできた泣。しかし山の天気は女心ということわざがあるように、歩いていくうちにガスが薄くなってきた。そしてついに薬師岳を覆っていた雲は消え失せ、一面に雲海が広がってきた。上空に雲があるため晴れてこそいなかったものの、遠くには青い太平洋がかすかに見える。我々は写真を撮りながら意気揚々と高山帯を下り、森林限界を抜けて小田越に到着した。誰もあまり疲れていなかったので、小田越から河原の坊駐車場までは行きのようにハイペースで戻り15時頃には河原の坊駐車場に到着した。
帰りの車で朱さんのあだ名を考えようという話になった。「コ↓ナ↑ミンさん」「コナさん」「シューさん」など何個か候補が出てきたが結果として「こなみん」になった。この山行記を読んでいるそこのあなたは「こなみん(さん)」と呼びましょう。
■感想
CL斉藤
・鳥海山にいけなかったことは残念だけど、立派な山に一座でも登れてよかった!
・植生の勉強もせずに山に行くことは愚かでした。そんなに貴重なものだったなんて...
・前日の鉄路旅・秋田観光も含めて、良い夏の思い出になりました
SL田中
・森林限界が異常に低いのが魅力だと思った。登山口から30分足らずで視界が開ける。
・当たり前のように針葉樹林に出会える幸せ
・早池峰山でしか見られない高山植物にいくつも出会えた。ハヤチネウスユキソウの写真撮らなかったの我ながらバカすぎ。
・梯子が表銀座の良い練習になった
・頂上に剣がたくさんあった。
・田沢湖線乗りたかった、、、
◯朱
・早池峰山はあまり期待していなかったけど、登山口からすぐに樹林帯を抜けて、東北の一足早い涼しい風に吹かれて歩いた登山道は気持ちよく、かなり気に入った。
・曇りで眺望は望めないと思っていたのに、下りで一瞬で霧が晴れ、視界が開けたときの爽快感がすごかった。拝めた山並みは谷の形が緩めのU字みたいになっていて、 Hafjell を思い出させて心の中で思い出に耽っていた。
・高山植物とか蛇紋岩とか見れて勉強して知識をつけてみたいと思った。
・前日はまったりした旅になって楽しかった。
・鳥海山行きたかった!
・天気不良で計画がいろいろ変更になって大変だったと思うけど、いい旅でした。計画ありがとう!
◯深田
・早池峰山は滅茶良い山です。難易度も高く無いので、東北遠征の時についでに一座、と言うノリで是非寄って欲しい!
・楽しく無い区間が短いのでかなりお気に入りの山になりました。
・眺望良し。程よい岩場、梯子場あって良い感じ。
・道はかなりアルプス感あって、アルプス入門に良いかも
・下で何度か足を滑らせそうになる場面が多かった。気をつけたい。
・蛇紋岩は滑って楽しい。
・山頂は剣がたくさんあって、UBWの無限の剣製ごっこできた。楽しかった。
・オガール滅茶良かった!岩手周辺の山行の拠点として優秀。、
◯岩田
・東北いいな。ちょっと遠いけどもっと開拓したい。
・山じゃなくても東北楽しい。
・運転もお疲れ様でした。
・三列バスの夜行バスってすごい
◯清野
・ずっと行きたかった山だったので、行けて良かった。
・この標高でこの雰囲気は他にない魅力だと思う。また来ます。
・図らずも良い東北旅行になった。東北いいね。