2024/9/3-4 南八ヶ岳山行
赤岳〈真教寺・県界〉計画書 第一版
作成者:吉田
■日程 9/3-4(火-水) 一泊二日 9/4日帰りに変更の可能性
■山域 八ヶ岳
■目的 岩場の経験を積む
■在京責任者 豊永
■在京本部設置要請日時 9/4 20:00
■捜索要請日時 9/5 8:00
■メンバー ( 3人)
CL 吉田 SL 油井○ 佐藤
■集合
武蔵小金井駅 9/2 13:00 道路状況によっては時間を早める
■交通
自家用車 集合場所ー美し森駐車場(無料、70台、トイレ売店あり)
前泊候補地 清里丘の上公園キャンプ場
■行程
美し森駐車場 -10- 美し森山 -20- 羽衣池 -54- 賽の河原 -72- 牛首山 -15- 扇山 -160- 赤岳 -73- 大天狗
-50- 小天狗 -45- 標高1849m地点 -66- 美し森駐車場
【9:25 / 13.8km / ↑1523m / ↓1523m】
ルート参考
危険箇所:真教寺尾根と県界尾根の岩場鎖場
(2日確保できた場合は、一泊二日の行程も検討)
・行者小屋泊
- 赤岳 -85- 行者小屋(泊地) -75- 地蔵の頭 -4- 赤岳展望荘 -31- 赤岳頂上山荘 -2- 赤岳 - (+4:02)
【1日目 6:40 / 7.8km / ↑1482m / ↓613m 2日目 5:47 / 8.9km / ↑564m / ↓1432m】
・赤岳鉱泉泊 硫黄岳アタック
- 赤岳 -85- 行者小屋 -36- 赤岳鉱泉(泊地) -112- 硫黄岳 -22- 硫黄岳山荘 -50- 横岳(奥の院) -24-
石尊峰 -25- 地蔵の頭 -4- 赤岳展望荘 -31- 赤岳頂上山荘 -2- 赤岳 - (+5:15)
【1日目 7:16 / 8.9km / ↑1514m / ↓775m 2日目 8:24 / 12.9km / ↑997m / ↓1736m】
■エスケープルート
・基本引き返す
・トラブルで岩場を通れない場合、美濃戸口方面へ下山
行者小屋 -100- ゲート -50- 美濃戸口 計2:30
アルピコ交通バスは土日祝日のみ
アルピコタクシー(諏訪地区)
0266-71-1181
中山タクシー
0266-72-7181
第一交通茅野営業所
0266-72-4161
■個人装備
□ザック □ザックカバー (□シュラフ □マット) □登山靴 □替え靴紐 □ヘルメット □ヘッドランプ □予備電池 □雨具 □防寒具 □帽子
□軍手/手袋 □タオル □水 □行動食 □非常食 (□カトラリー □コッヘル) □ライター □トイレットペーパー □新聞紙 □ゴミ袋
□エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク
□消毒用品 □日焼け止め □着替え・温泉セット □モバイルバッテリー (□サングラス □サンダル □歯ブラシ □トレッキングポール □熊鈴)
※運転手は免許証・運転に適した靴・初心者マークを持参
■地図
25000分の1:「八ヶ岳東部」「八ヶ岳西部」
山と高原地図:「◆35.八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰」
■共同装備
テント(エアライズ4)
なべ(梅)
ヘッド(緑7)
カート*2
調理器具セット(ガジャマダ)
救急箱(吉田私物)
ヘルメット(油井:Black Diamond (青)、佐藤:モンベル(グレー))
■食当
夜 油井
朝 吉田
アレルギー等:ナッツ、モモ、サクランボ、メロン、豆乳
■遭難対策費
200円×3名=600円
■悪天時
前日までに判断
■施設情報
□山小屋
行者小屋 幕営 無制限 予約不要 2,000円/人 素泊 10,000円/人
090-4740-3808 050-1808-2340
赤岳鉱泉 幕営 無制限 予約不要 2,000円/人 素泊 10,000円/人
090-4824-9986 050-1808-1959
赤岳展望荘 幕営なし 素泊 14,500円/人
0266-74-2728
赤岳頂上山荘 幕営なし 素泊 9,000円/人
09022147255
□水場
行者小屋、赤岳鉱泉にあり
□温泉
甲斐大泉パノラマの湯 830円/人
■備考
□日の出日の入り(赤岳 9/2)
日の出 5:09
日の入 18:22
□連絡先等
山梨県警察北斗警察署 0551-32-0110
長野県警察茅野警察署 0266-82-0110
長野県警察本部地域部山岳安全対策課 026-233-0110
・小淵沢タクシー(小淵沢) 0551-36-2525
・アルピコタクシー(茅野) 0266-71-1181
・第一交通(茅野) 0266-72-4161
・高根タクシー(清里) 0551-48-2211
・八ヶ岳観光タクシー(清里) 0551-48-2025
・清里観光タクシー(清里) 0551-48-2021
9/3-4 赤岳〈真教寺・県界〉記録
■日程 9/3-4(火-水) 一泊二日
■山域 八ヶ岳
■天気 1日目ガス 2日目晴れのちガス
■メンバー
CL吉田(44) SL油井(45) ◯佐藤(46)
■共同装備
テント(エアライズ4):吉田
なべ(梅):吉田
ヘッド(緑7):吉田
カート*2:油井
調理器具セット(ガジャマダ):吉田
救急箱(吉田私物)
ヘルメット(油井:Black Diamond (青)、佐藤:モンベル(グレー))
■総評
裏銀座本日程の転身先として突如計画された山行だったが、技術難易度Dへの挑戦、赤岳アタックと南八縦走へのリベンジとメンバーにとっては意義深いものになった。不安定な天候が予想されていたが、メンバーの尽力と素早い行動によって雨に降られることなく行動できたことも大きかった。
■タイムスタンプ◻︎1日目
05:05 美し森駐車場
05:10 美し森山
06:22 賽の河原
07:22 牛首山
07:45 扇山
10:24 赤岳
11:57 行者小屋
12:30 赤岳鉱泉
◻︎2日目
03:00 赤岳鉱泉
03:57 赤岩の頭
04:27 硫黄岳
05:05 硫黄岳山荘
05:28 台座の頭
05:41 横岳(奥の院)
06:06 横岳(三叉峰)
06:57 地蔵の頭
07:32 赤岳
08:14 赤岳頂上山荘
09:45 大天狗
11:30 美し森バス停
■山行記
◻︎0日目(油井)
八ヶ岳に一番近い自分が車を出すことになったのでお二人に地元まで来ていただいた。集合場所に向かっている途中に家に温泉セットを忘れたことに気づく。温泉に入るかどうかはわからないが着替えがないと困るので集合後に取りに帰ることに。ご迷惑をおかけしました。清里までは中央道を快調に走り、2時間ほどで到着した。高速を降りてからはつい1週間前に発掘調査で何度も通っていた道で、もはや見慣れた景色であった。他にも中高時代の合宿地の前を通り、清里自体が2度の学校行事で宿泊した縁深い土地であることもあり、清里に行くと色々と過去を懐かしんでしまう。前泊地の清里丘の公園キャンプ場にエアライズ4を設営したが、思っていたよりデカい。これをたった3人で使うのは随分と贅沢である。テントの定員は−1で考えるのが常であるが、これは4人でも余裕がありそうである。テントに荷物を入れた時点で時刻は15:40。キャンプ場には炊事場、トイレなど必要最低限の施設は揃っているが他に目立ったものはない。やることがなくなったので清里観光をしてから夕食を食べに行くことにした。車ですぐのところに有名な清泉寮という牧場?があるので立ち寄る。売店を覗こうとしたが16時閉店のため入れず。他の施設を探したところ八ヶ岳自然ふれあいセンターというビジターセンターがあるが、google先生は16時閉館と言っている。どこも開いてないではないか、と落胆して駐車場方面に歩いていると自然ふれあいセンターが目に入る。ダメ元で近づいてみると開館中であった!なんと18時までやっているらしい。中の展示は手抜きと言わざるを得なかったが、八ヶ岳の生き物について事前に頭に入れられたのは嬉しい誤算だった。館内に貼ってある山と高原地図を見て翌日からの行程・危険箇所をもう一度確認し、笹笛作りにも挑戦したがこれが意外にも難しかった。最後に、外にあった松ぼっくりのストラックアウトで遊んでから自然ふれあいセンターを後にした。夕食には山梨名物のほうとうを食べ、キャンプ場に戻ると翌朝に備えて19時には就寝した。この後、雷雨と周りの騒がしさに苦しめられ、睡眠環境が普段のテント泊より悪かったのは残念だった。
◻︎1日目(佐藤)
4時起床。テントを撤収し油井さんの運転で美の森駐車場へ移動した。駐車場には我々の他に車が一台も止まっていない。各自ササッと朝食(行動食)を摂って5時過ぎに出発。羽衣池まではハイキングコースのようだった。よく整備されている。羽衣池は池ではない、ちょっと湿っている草地。吉田さんの興味深い富士山ガイドトークを聞きながら歩みを進める。また、吉田さんの今回の行動食はフルグラ、ジェネリックカントリーマーム、スポーツ羊羹というラインナップで、山の人という感じがした。
賽の河原をすぎてからはいかにも八ヶ岳らしい樹林帯歩きが続く。艶々に輝くキノコとみずみずしい苔に囲まれている。それらの写真の少なさが自分の精神的余裕のなさを物語る。牛首山を超え、扇山に到着。疲れを感じていないのは先頭を歩く吉田さんのペース配分のおかげである。扇山でトレッキングポールをしまい、ヘルメットを装着した。真教寺尾根の核心部である鎖場に近づいてきている。緊張が高まる。覚悟を新たにして歩き始める。……あれ?まだかな、まだかな。接近していることは確かだが、敵はなかなか姿を現さない。ヘルメットを被るタイミングが少し早かったため頭から湯気が出てきた。正確な位置を忘れてしまったのだが、一瞬登山道から右に外れてしまった。少し進んだ地点で明瞭な道でなくなったのですぐに正しい登山道に戻ることができた。
2350m付近から八ヶ岳の森が徐々に岩にシフトする。まず、鎖なしの岩の斜面が出てきた。前日に雨が降ったので濡れていることも想定されたが、東側の尾根ということもあり乾いていた。傾斜はあるが、三点支持で難なく通過できる。これは序章にすぎないのだろうと思いながら進んでいると、待ちに待った鎖場の登場である。最初の方はそこまで傾斜がキツくなく、ホールド、スタンスも十分にあるため、鎖を触らずとも登れた。県界尾根と比べると崩れていないが、岩のそこら中に亀裂が入り、モロモロしている。少し体重をかけるとひび割れて剥がれそうになった岩もあった。足場の様子を目視確認していたのでことなきを得たが、体重をかけても耐えられる岩なのかは十分に注意する必要がある。周囲は植物で覆われているため解放感はそこまでない。徐々に岩の傾斜が増していき、遂にラスボスの登場である。見た目は急(おそらく70度くらい)だが、こちらも手足をかける場所はあるので思ったよりもすんなり進むことができる。どのルートをとるか考えてから鎖にとりつく。所々、短足人間にとっては辛いステップをとらざるをえない箇所があった。骨盤の高さの岩にのせた右足で、全体重を持ち上げるのは疲れた。(最近始めたボルダリングの感覚と通ずる部分があった。)自分は万が一の場合に備えて片手で常に鎖を触っていた。一方で吉田さんは真教寺尾根で一度も鎖を頼らずに登っていた。すごいです。こうして、何本あったかわからない長い鎖場を無事突破した。真教寺尾根の鎖場は総じて、(自分の場合)恐怖を感じるほどの高度感はなく、楽しみながら安全に登ることができた。youtubeで予習しておいてよかったと思う。結局真教寺尾根では他の登山者に一人も会わなかった。
10時半前には赤岳に到着。ガスで展望はないが、赤岳にきた喜びを噛み締める。景色は明日に期待。明日の天気を確認すると、少なくとも午前は天気がもちそうだった。天気は早出で解決できる。体力的にも問題ないということで、赤岳鉱泉泊の硫黄岳・横岳縦走を選択した。真教寺尾根・県介尾根に気を取られ過ぎて、硫黄岳と横岳の予習をほぼしていないことに気がついた。反省します。
山頂を楽しんだのち赤岳鉱泉に向けて下山開始。山頂直下はガレ場が続く。それが終わればまた八ヶ岳の落ち着いた樹林帯歩きである。行者小屋付近は傾斜もゆるく、登山道も整備が行き届いているので歩きやすい。行者小屋では吹き出しパネルで遊んだ。山ガールなめんなよ、がお気に入り。小さい峠を越えたら今日のゴールの赤岳鉱泉である。生きた状態で本日の行動を終えられてほっとしていた。休憩を含めて概ねコースタイム通り。そこそこいいペースで歩けていたようだ。真教寺尾根の核心部が一番CTを巻いていることには驚きだ(パーティーの人数が少ないということも関与しているだろう)。真教寺尾根の緊張から解き放たれたのか睡魔に襲われ、しばしお昼寝タイム。15時に夕食。魚肉ソーセージ、こんにゃく、きんぴらごぼう、アサリが入った贅沢な魚介炊き込みご飯をいただいた。油井さんごちそうさまです。満腹で幸せです。明日は天気が崩れる前に下山したいので3時出発とした。おやすみなさい。
◻︎2日目(吉田)
朝2時。目覚ましで同時に飛び起きた三人のその後の動きは速く、あっという間に鍋に火がかかりテントは片付けられた。朝食は自分が担当で、焼き鳥缶入りの雑煮を作った。料理の手軽さもあり起床から1時間で出発できた。悪くないスタートだろう。
初めは赤岩の頭を目指し標高を速やかに上げる。昨日時点ではそこそこ難儀するだろうと見ていたが、トップを務めた佐藤の快足に引っ張られ大きくCTを巻くこととなった。ピークからは影ながら主稜線が一望でき、この先の道のりに思いを馳せた。
支稜線をそのまま進むと硫黄岳に到着する。わずかに空が明るんできたが爆裂火口(?)の方はうまく見えず、軽く写真を撮って後にする。
硫黄岳から南の稜線は梯子や岩場が連続するが、昨日の尾根の登攀で一皮むけた我々にとっては歩みを妨げるものにはならず、県界尾根へのウォームアップということで片付けられた。このあたりから日が昇り昨日は望めなかった眺望が露わになる。特に進行方向正面に赤岳、左手に富士山、右手に南ア北部がはっきりと山体を見せ、梯子を登る人と一緒に撮ると非常に絵になった。天候不良をある程度覚悟していた一同は大歓喜である。
歩き始めて5時間ほど、赤岳山頂に帰還。東側の山頂は上がってきたガスに遮られたが、多少昨日よりはマシな風景を堪能する。頂上山荘でおつかい(八ヶ岳開山70年のバッジ、5件目の山小屋で遂に生き残りを見つけた)を含む用事、準備を終わらせていざ県界尾根に足を踏み入れる。ここまで順調に歩を進めてきたパーティに一気に緊張がはしる。
尾根の道程は基本ハイマツやその他樹林に囲まれて開放感はそれほどなかった。序盤は鎖を伴う斜度の低い岩場が続く。難易度は高くなく、やろうと思えば手を使わずにそのまま歩いて越えられる程度である。進むに連れて一つ一つの岩場の長さと斜度がきつくなり時間をかけさせられる。真教寺と比べると崩れやすく、細かな落石はどうしても起こしてしまう。記録だと下山に使われることが多いが、普通に登ってくる人もいるので声かけはちゃんとした方が良い。最大の難所は尾根最下部の連続する鎖場で、梯子からそのまま岩場に入っていくスタートが目印である。他のところよりも多少高度感があり、後半は足場や手の置き場が若干乏しい。しかし斜度は70-80程度であり、途中で休憩できる場所もあるため、鎖を使ってゆっくり進めばどうしようもなく困ってしまうようなことはなかった。3人とも難しさは感じつつも時間をかけ落ち着いて突破した。(自分は真教寺も含めて一回も鎖を使わずここまで来たが最後の最後で頼ってしまった。少し悔しい)
岩場を過ぎてしまえば後は八ヶ岳らしい樹林帯をひたすら降りる。涼しく爽やかでありながらも木々の隙間から木漏れ日が指す素晴らしいコンディションであった。特に最近下山が(表層的には)味気ない山に登り詰めていた自分にとっては格別に楽しい。楽しいが楽しいからといってゆっくり歩くわけではない。味わうべきものを味わい尽くした三人の足は澱みなく前に進み、あっという間に駐車場へ辿り着いた。
■感想
CL吉田
・急遽計画された山行だったが予想以上に楽しめた。
・技術的難易度におけるCとDの最大の違いは難所の長さなのではないかと思う。
・富士山の話ばかりして申し訳ない。3週間そのことしか考えていなかったので、他のことを忘れてしまったのです。
・@油井 運転助かりました。ありがとう。
・自分も秋の山行には家の車で行ってみたい。
・エアライズ4は4人用テント(4人用)
SL油井
・憧れの真教寺・県界尾根に行けて満足
・鎖場の登りはグレーディングDでもさほど難しく感じなかった
・鎖場の下りではホールドとなる出っ張りが少ない箇所でかなり慎重になってしまった、ボルダリングでもそうだがホールドが少ない箇所では岩肌(壁)そのものにべったりと足をつけ摩擦で耐えることが大事だと改めて感じた
・久々に健人さんと山に行けて嬉しかったです
・炊き込みご飯は水の量が難しい、ややベチャついて悔しい
◯佐藤
・八ヶ岳デビューが真教寺・県界尾根経由の赤岳という不思議なことになってしまったが、いいステップアップになった。
・命がかかったアスレチック、緊張しつつもとても楽しかった。
・県界尾根の下山は頭をつかってすぐお腹ぺこぺこになる。
・2日目は真っ暗の出発から赤岳まで約4時間、先頭を歩く練習をさせてもらった。暗い所が苦手で最初はとても怖かったが、空に輝く星々に励まされてなんとかなりました。ペースを掴むのがやはり難しい。
・テントが広くて1人で寝ている気分になって寂しかった。
・吉田さんの富士山ガイド話が面白かった。
・経験豊富の吉田さんと油井さんとご一緒できて勉強になることがたくさんありました。ありがとうございました!吉田さんの素早い朝食の準備のおかげで、初めて起床から1時間で出発できた。これをデフォルトにしたい。
・八ヶ岳全山縦走したい。