2024/9/4-7 表銀座夏合宿第2日程
表銀座夏合宿第2日程計画書 第3版(240901)
作成者:髙村
■本日程 9/1-4(日-水) 3泊4日
■予備日程 9/4-7(水-土) 3泊4日
※天候悪化などにより本日程での遂行が厳しくなった場合に、予備日程へ延期する
■山域 北アルプス
■目的 縦走、名峰登頂、経験を積む
■在京責任者/助言役
□本日程 山道45
□予備日程 豊永41
■在京本部設置要請日時 9/4 19:00
■捜索要請日時 9/5 08:00
■メンバー (10人)
1隊CL髙村 ◯加藤 ◯原 ◯吉田 ◯白川
2隊CL深田 ◯城所 ◯朱 ◯Yifan ◯平戸
■確認事項
- 保険加入状況
- 帰りの交通
- 食当書き込み
■to do
○ 共通
- 行きバス予約
- 燕山荘人数変更(サイトから)
- 活動届、メーリス流す
○ 本日程決行
- ヒュッテ西岳予備日程キャンセル・人数変更(8/31 15:00迄)
- 燕山荘予備日程キャンセル(8/31 24時迄)
- 予備日程バスキャンセル(8/31 バス発車時刻迄)
○ 予備日程決行
- ヒュッテ西岳本日程キャンセル・人数変更(8/31 15:00迄)
- 燕山荘本日程キャンセル(8/31 24時迄)
- 本日程バスキャンセル(8/31 バス発車時刻迄)
■集合
バスタ新宿 22:30
■交通
□行き
バスタ新宿(23:05)-アルピコ交通5551便-安曇野穂高(04:27)
穂高駅(04:40)-中房線乗合バス-中房温泉(5:35)
※アルピコ交通 6000円 中房線バス 1500円
※穂高駅は改札外にお手洗いがある
・(髙村(例外))
穂高駅までJRで前日アクセスからの駅前野宿?→テント泊にするかも
□帰り
・上高地バスターミナル(15:30発)-京王電鉄バス株式会社,アルピコ交通株式会社5802/5804便-バスタ新宿(20:17)
・上高地バスターミナル(16:50発)-京王電鉄バス株式会社,アルピコ交通株式会社5806便-バスタ新宿(21:37)
予約1ヶ月前から¥12,000/約5時間弱
・鈍行+特急
上高地→新島々駅→松本駅→新宿
松本から新宿を特急あずさに課金
目安¥10,000/約4時間半/予約なしの当日買いでも乗車可能
・鈍行+鈍行
上高地→新島々駅→松本駅→新宿
¥5,000~7,000/約7時間
※上高地→新島々のバスは予約制となっているので、各自予約をお願いします
https://www.alpico.co.jp/traffic/news/1123/
・(髙村(例外))
上高地→平湯温泉→高山濃飛バスセンター(バス)
高山駅からJRで帰宅(18きっぷ)
★上高地→新島々駅は要予約(1ヶ月前~15分前) 通常運賃:1,700~3,260円
(a)「発車オーライネット」からクレジットカード支払い→電子チケット
(b)「上高地バスターミナル」乗車券販売窓口での予約・購入も可能
乗り遅れの場合、当日に限り上高地バスターミナル窓口で指定変更手続きが可能(変更手数料:100円)
★時刻表
・上高地(7:50/9:30/10:40/11:25/12:05/12:40/13:20/14:05/14:40/15:15/16:00/16:40/17:30)
→ 新島々駅(9:22/10:53/12:07/12:48/13:27/14:06/14:45/15:25/16:04/16:43/17:22/18:00/18:41)
・新島々駅(9:22/10:08/10:53/11:28/12:07/12:48/13:27/14:06/14:45/15:25/16:04/16:43/17:22/18:00/18:41/19:25/20:10/21:12/22:32)
→ 松本駅(9:52/10:37/11:22/11:57/12:36/13:17/13:56/14:36/15:15/15:55/16:34/17:13/17:52/18:30/19:11/19:54/20:39/21:41/23:01)
■行程(YAMAP)
1日目 9/1(4)
燕岳登山口 -0:40- 第一ベンチ -0:35- 第二ベンチ -0:35- 第三ベンチ -0:40- 富士見ベンチ -0:30- 合戦小屋 -0:20- 合戦沢の頭 -0:50- 燕山荘 -0:30- 燕岳 -0:30- 燕山荘
【計5:10/約13.6km/△1486m/▽223m】
︎2日目 9/2(5)
燕山荘 -0:55- 大下りノ頭 -1:25- 喜作レリーフ -0:36- 大天荘 -0:11- 大天井岳 -0:11- 大天荘 -0:37- 大天井 -2:19- 西岳 -0:08- ヒュッテ西岳
【計6:22/約10km/△1162m/▽1167m】
︎3日目 9/3(6)
ヒュッテ西岳 -1:00- 水俣乗越 -1:40- ヒュッテ大槍 -0:50- 槍ヶ岳山荘 -0:21- 槍ヶ岳 -0:21- 槍ヶ岳山荘
【計4:12/約4.2km/△986m/▽594m】
槍ヶ岳山荘のテン場11時着でも満杯
︎4日目 9/4(7)
槍ヶ岳山荘 -0:57- 坊主岩小屋 -1:20- 大曲 -0:25- ババ平テント場 -0:10- 赤沢岩小屋 -0:20- 槍沢ロッジ -0:30- 一ノ俣 -0:50- 横尾山荘 -1:01- 徳沢園 -1:42- 上高地バス停
【計7:15/約19.6km/△730m/▽2312m】
■ピークへのピストンCT
・燕山荘 -0:30- 燕岳 -0:25- 燕山荘
・大天荘 -0:10- 大天井岳 -0:10- 大天荘
・ヒュッテ西岳 - 西岳 - ヒュッテ西岳 往復15分
・大天井ヒュッテ - 牛首展望台 - 大天井ヒュッテ 往復30分
・槍ヶ岳山荘 -0:30- 槍ヶ岳 -0:30- 槍ヶ岳山荘
■エスケープルート
大天井岳まで:引き返す
大天井岳から水俣乗越まで:大曲方向へ下山し上高地へ
以降:そのまま進む
■危険箇所
東鎌尾根、槍の穂先のはしごや鎖場
槍沢の増水
鎖場について
熊
■個人装備
□ザック □ザックカバー □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □ヘッドランプ □雨具 □防寒具 □帽子 □タオル □水 □行動食 □非常食 □カトラリー □コッヘル □ライター □トイレットペーパー □新聞紙 □ゴミ袋 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク(ヒュッテ西岳で必要) □消毒用品 □日焼け止め □着替え・温泉セット □モバイルバッテリー (□サングラス □サンダル □歯ブラシ)
□帽子
□ポール
□サブザック
□ヘルメット
□軍手/手袋
□熊鈴
□予備電池
□サポーター/テーピングキット
□100円玉小銭多めに
※モバ充は2つあった方が安心
■地図
25000分の1:「穂高岳」
山と高原地図:「槍ヶ岳・穂高岳、上高地」
■共同装備 調整済み
テント(3人、3人、2人):髙村(エアライズ4No.2)、深田(エアライズ4No.3)、吉田(ステラ4No.1, ペグが行方不明なので注意)、白川(ステラ3No.1)
なべ (桜・小桜):朱
ヘッド(緑1、4):加藤
カート3つ(十分に残量があるもの):Yifan
調理器具セット(ディド):城所
救急箱(アゲハ):髙村
ヘルメット(暫定2個):加藤、原
※駒場持ち出し
テント:髙村(エアライズ4No.2)、深田(エアライズ4No.3)、吉田(ステラ4No.1)
なべ (桜・小桜):Yifan
ヘッド:吉田
カート:髙村
調理器具:吉田
救急箱(苺、アゲハ):Yifan
ヘルメット:吉田
■食当
1日目夜:城所(ハッシュドビーフ)
2日目朝:朱(棒ラーメン)
夜:加藤(スープ、パスタ)
3日目朝:Yifan(ネギ油そば、豆乳)
夜:髙村(塩ラーメン+コーンとか)
4日目朝:各自で用意(お湯は沸かす)
アレルギー・苦手なもの等:ナッツ類(大豆、アーモンド可)、唐辛子
※食当書き込みは8/25中までにお願いします。
■遭難対策費
600円×7(10)名=4200(6000)円
■悪天時
8/30 16時(9/2 17時)までに判断
■テント場支払い
1日目 燕山荘 2000円×7(10)人=14000(20000)円(髙村)
2日目 ヒュッテ西岳 2000円×7(10)人=14000(20000)円(髙村)
3日目 槍ヶ岳山荘 1000円×7(10)人=7000(20000)円(吉田)
■施設情報
□山小屋
燕山荘 幕営 2000円/人(約40張/要予約) 素泊まり9000円/人
テント泊は水有料(山荘宿泊者は水無料) 200円/L
大天荘 幕営 2000円/人(約50張/予約不要、水200円/L) 素泊まり8500円/人
大天井ヒュッテ 素泊まり9000円/人
ヒュッテ西岳 幕営 2000円/人(約30張/要予約) 素泊まり10000円/人
水有料(200円/1L)水不足で販売できない可能性アリ トイレ 200円/回
※トイレ代を払わなかったら即撤収をお願いすると言われたので、当たり前のことですがちゃんと払いましょう
槍ヶ岳山荘 幕営 1000円/人(39張/先着) 素泊まり9500円/人
(テントが張れない場合:素泊まりor殺生ヒュッテテント場)
水有料(200円/1L) お弁当2000円(予約不要)
水販売は5:00~18:00 30分100円でコンセントから充電可能(充電器貸出なし、利用時間14:00-20:00と05:00-07:00)
殺生ヒュッテ 幕営 2000円/人(約30張/予約不要) 素泊まり9000円/人
水有料(200円/1L)
□温泉
中房(なかぶさ)温泉
上高地アルペンホテル(入浴料1,000円/バスタオルレンタル200円)
■電波
|
docomo |
au |
softbank |
燕山荘 |
○ |
○安曇野側では4G |
△ |
縦走路 |
△ |
× |
○ |
大天井ヒュッテ |
○小屋の近く |
△ |
△ |
ヒュッテ西岳 |
○︎ |
○︎ |
不明 |
殺生ヒュッテ~槍 |
○ |
○︎ |
△ |
■備考
□日の出日の入り@槍ヶ岳(9/1)
日の出 5:21
日の入 18:17
□連絡先等
松本警察署上高地警備派出所 0263-95-2013
安曇野警察署穂高交番 0263-82-2157
燕山荘 0263-32-1535
大天荘 090-9003-1253
大天井ヒュッテ 090-1401-7884
ヒュッテ西岳 090-7172-2062
槍ヶ岳山荘 090-2641-1911
殺生ヒュッテ 0263-77-2008
—
■その他の情報
□参考になるURL
鎖場について
□登山届提出先
・東大教養学部学生支援課 : 提出済
・お茶大 : 提出済
・コンパス : 提出済
□東大連絡先
○教養学部学生支援課 ※開室9:00~16:50(平日)
Tel :03-5454-6074
Mail:shien-team.c@gs.mail.u-tokyo.ac.jp
○駒場正門守衛室 ※常時対応可
Tel :03-5454-6666
□お茶大連絡先
学生・キャリア支援課 ※開室9:00-17:00(平日)
Tel :03-5978-5147
Mail:gakusei@cc.ocha.ac.jp
正門守衛室 ※常時対応可
Tel :03-5978-5128
□過去の記録
2023年 記録
2022年 記録
2019年 記録
2018年 記録
2002年 記録
9/4-7 表銀座夏合宿第2日程記録
作成者:髙村
■日時 9/4-7(水-土) 3泊4日
■天気
1日目 晴のち曇り
2日目 晴
3日目 晴のち曇り
4日目 晴
■共同装備
テント(3人、3人、2人):髙村(エアライズ4No.2)、深田(エアライズ4No.3)、吉田(ステラ4No.1,
ペグが行方不明なので注意)、白川(ステラ3No.1)
なべ (桜・小桜):朱
ヘッド(緑1、4):加藤
カート3つ(十分に残量があるもの):Yifan
調理器具セット(ディド):城所
救急箱(アゲハ):髙村
ヘルメット(暫定2個):加藤、原
※駒場持ち出し
テント:髙村(エアライズ4No.2)、深田(エアライズ4No.3)、吉田(ステラ4No.1)
なべ (桜・小桜):Yifan
ヘッド:吉田
カート:髙村
調理器具:吉田
救急箱(苺、アゲハ):Yifan
ヘルメット:吉田
山行後→桜、ディド、アゲハ、緑1は朱とYifanが引き継ぎます
■総評
1日目を除きほぼ晴天で、青空の下、特徴の異なる名峰を臨みながら稜線上を楽しく縦走することができた。10人という大所帯で臨んだ山行故に荷物が重く、負傷、体調不良も発生したが、荷物を分担して無事に下山できたので良かった。当初分隊を予定していたが、メンバー間の距離を十分にとればあまり問題はなかった。山を始めた人が目標にするならまずこれ、と言えるほどに満足感のあるルートである。
■タイムスタンプ
1日目(9/4)
8:43 燕岳登山口発
9:23 第一ベンチ着 9:27発
9:48 第二ベンチ着 10:13発
10:38 第三ベンチ着 10:55発
11:32 富士見ベンチ着 11:55発
12:27 合戦小屋着 13:19発
14:33 燕山荘着 15:30発(サブザック携行)
16:01 燕岳着 16:37発
16:52 燕山荘テント場着
2日目(9/5)
4:40 燕山荘テント場発
5:28 蛙岩着 5:31発
5:54 大下りノ頭着 6:03発
6:50 為右衛門吊岩着
8:02 切通岩着 8:26発
9:01 大天荘着 9:20発
9:26 大天井岳着 9:40発
9:45 大天荘着 10:13発
10:49 大天井ヒュッテ着 11:17発
13:29 赤岩岳分岐着
14:33 ヒュッテ西岳 15:25発
15:43 西岳着 16:11発
16:26 ヒュッテ西岳テント場着
3日目(9/6)
4:04 ヒュッテ西岳テント場発
5:47 水俣乗越着 6:15発
8:36 ヒュッテ大槍着 9:06発
10:26 槍ヶ岳山荘着
10:40 槍ヶ岳山荘テント場着 11:20発
11:55 槍ヶ岳着 13:20発(最後尾)
13:54 槍ヶ岳山荘テント場着
4日目(9/7)
1:57 槍ヶ岳山荘発
3:04 坊主岩小屋着 3:17発
5:14 ババ平テント場着 5:30発
5:54 槍沢ロッジ着 6:12発
7:01 槍見河原着
7:38 横尾山荘着 8:10発
9:35 徳澤園着
10:27 明神館着 10:45発
11:49 河童橋着
■ルート概況
1日目
・中房温泉~合戦小屋
短いスパンでしっかりしたベンチが設置してあり、休憩場所には困らなかった。
しかしながら急登が続くため、体力は奪われる。合戦小屋は下界から荷物運搬用のロープウェイが通っているだけあって食べ物のメニューが豊富だった。各自、スイカやうどんを食べた。
・合戦小屋~燕山荘
視界が徐々に開けてくる。白い砂。岩が視界に入ってくるようになれば燕山荘まではすぐそこである。
・燕山荘~燕岳
バスの遅れ、休憩を長めに取ったこともあり到着が遅れた。テントは辛うじて張ることができた(一張りだけ別の場所になってしまった。)。燕岳へはサブザックでアタック。尾根上にキノコが1本生えていた。たくましい。
2日目
・燕山荘~大天井岳
夜明け前に出発。尾根に出て30分ほど歩くと徐々に明るくなってきた。蛙岩など、いくつかの岩をトラバースする。切通岩から大天荘までは200mほどの登りで、意外と大変だった。大天荘から大天井岳まではすぐ。槍をはじめ名峰をいくつも拝める大パノラマが広がる。
・大天井岳~大天井ヒュッテ
全体的に疲労していたため大天井ヒュッテ北部の展望台はカット。
・大天井ヒュッテ~ヒュッテ西岳
基本的に前面に見えてくる山をトラバースする。ヒュッテ西岳テント場は面積に余裕はあるものの、周辺に風雨をさえぎるものが何もなく野ざらしである。しかしながら槍を間近に見ることができる。
・ヒュッテ西岳~西岳
サブザックでアタック。70mほど登る。15分足らずで到着。あいにくガスが出ていて視界は不良だった。
3日目
・ヒュッテ西岳~水俣乗越
出発直後からかなり下る。鎖・梯子など多数あり。暗いうちに行くと結構こわい。梯子を下った後踏み出しにくい場所もあり、注意が必要。負傷者もおり、かなり時間がかかった。
・水俣乗越~槍ヶ岳山荘
前述したとおり水俣乗越で大分時間がかかったので既に日が出ており、道が見えにくいといったことはなかった。ただ、痩せた尾根や崩落箇所があるため注意。長めの梯子、階段が多くあるが、どれもよく整備されていたため利用していて不安感は無かった。
・槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳
その大部分で登り下りの道が分かれており、適宜鎖も備え付けられているのであまり問題はなさそう。頂上直下に長い梯子があるが、頑丈に出来ている。頂上からの眺めは格別。
4日目
・槍ヶ岳山荘~横尾山荘
ひたすらに下る。深夜に出発すると道が不明瞭なので注意。ペンキで書かれた印を頼りにしつつ進むのがよさそう。
・横尾~徳沢
ほぼハイキングコースといったような道である。徳沢ではアイスが食べられたほか食品や入浴剤(!?)試供品を配っており、思ったより長居してしまった。
・徳沢~河童橋
前述の横尾~徳沢もそうだが、距離が長い。意外に疲労する。登山道が梓川右岸に限定されていたこと、観光客が多かったことにより、比較的ゆっくり歩かざるを得なかった。
■山行記
1日目(朱)
初めての複数泊、久しぶりのテント泊、私にとって今年一番難しいであろう山行に興奮と不安を感じつつ家を出た。何気に初めてバスタ新宿に行く。山手線からだと新南口からエスカレータを登るだけで行きやすいというのは後から気づいたことで、実際は迷った。雷鳥Tシャツを着た人を見かけて安心する。集合場所ではすでに6人ほど集まっていた。久しぶりの面々と会えただけで嬉しい気持ちになる。Yifanが忘れ物をして遅れると連絡が来て、他の人で先に乗車口に向かった。発車5分前にYifanが無事到着して全員でバスに乗り込んだ。
夜行バスはあまり眠れなかった。私は横になってないと眠れないことが分かった。どこでも眠れる人になりたかった。安曇野穂高に4:27に着くも、平日なので中房温泉へのバスは6:40である。休もうとしてベンチに横たわってみるも眠りにはつけず、ただただ穂高神社で時間を潰した。だんだんと日が明けて、移動することになった。男子6人がコンビニへ行き、女子4人は先に穂高駅へと向かった。どこから人が来たのか穂高駅ではすでに列ができていた。コンビニ組が来た時には、気づいたらロータリーの1/3を囲むくらいの列ができていた。女子はちょうど1つめのバスに乗り込むことができたが、男子は3つ後のバスになったらしい。
中房温泉に降り立つと前泊していた高村くんが見えた。中房温泉のテント場では地熱の温かさを感じることができるというのが面白かった。
しばらくしてコンビニ組も到着し、8:40にようやく出発する。とりあえず分隊せずに全員で行動することになった。私は体力に自信がなかったので2番目を歩かせてもらった。ありがたい。先頭を行く高村くんは足取りが軽くぐんぐん進む。考えてみれば彼と山行に行くのは初めてだ。噂に聞いていた通りの体力の持ち主である。どこで聞いたか忘れてしまったが、最近は体力維持のために実家付近をランニングしていたそう。やっぱり体力のある人はなにかしら行動していると思った。
私にとって雷鳥の山行で重い荷物を背負うのは実は今回が2回目だった。先頭のペースについていくと先が持たなそうだったので、長丁場に備えてゆっくり歩いた。常に先頭と間が空いてしまっていたが、体力のある人にとってはのろすぎるペースだと逆に疲れてしまうというから、先頭は先頭のペースでよかったと思う。私はまるで先頭かのように自由に歩かせてもらった。
地図がいつもより黒いこと(登高線は黒で印刷していて、等高線の幅が狭いこと)から、一日目の行程は私のこれまでの山行の中で圧倒的に急であると分かっていた。実際段差の一段が大きかったり、岩場のような段差を通ったり、階段がよくあったりした。登山道は周りの土よりも窪んでいることから多くの登山者が歩いたことが見て取れた。写真を撮る余裕はなかった上に、きのこを見つける余裕もなかったが、隊の後ろの方々はきのこをたくさん見つけてたみたい。アルバムを見ると多種多様なきのこだらけで同じ道を通っているのにこんなにも見えているものが違うのかと思う。
燕山荘までを考えると気が遠くなりそうだったので、合戦小屋まで、まずは次のベンチまでと思って黙々と足を進めた。ベンチは毎回休憩したいと思った地点から10分後くらいにあった。つまり、毎回疲れたと思ったときにさらにちょっと踏ん張ることになった。表銀座の行程全体を通してそうだったが、人は自分が思っている限界よりずっと歩けるのだと多々驚かされた。ベンチに行くことを目指して一つずつ進んでいくと目的地に到達することが、小目標を立てて、それぞれ達成していくといつの間にか大目標を達成していることと同じように思えた。小さな一歩の積み重ねが、自分でも驚くような距離まで到達するというのは私が登山が好きな理由の一つである。
歩いているときは体力温存のために基本しゃべらなかった。何を話しているかは聞き取れないがたまに後ろの方から白川さんと深田くんの話し声が聞こえた。休憩の時には何人かと話せた。Yifanさんが共同装備の鍋を取りに行ったが、桜の中に小桜が入っていなくて二度駒場へ行くことになったとか。吉田くんとは山行では初対面だが、よく雷鳥に来る人の中ではCLをやっていないらしく、後から入会した私がCLやってるのだから吉田くんもCLやりなよ、と言われるときの朱さんだと私を認識しているらしい。最初はCLやれば行きたい山に行けるのになんでやらないのだろうと不思議に思ったが、確かにCLはやることが多いのでそのような選択もあると納得した。吉田くんにもらったドライオレンジが苦味も含めて美味しかった。普段自分では食べないようなお菓子をもらうのも楽しみの一つである。
休憩では地図を確認して歩いてきた距離や得た高度、そして目的地までの距離と高度を確認する。数字を見て、距離や高度と辛さの対応を考える。先が長い時はあと700m登りとか見たくないという意見もあるが、先がとてつもなく長くてもあとどれくらいか把握していた方が私は安心する。でも、第3ベンチの手前で下りのおじさんに(合戦小屋まで)あと半分くらいだよ!頑張れ!と言われた時は内心あと半分もあるのかよと思った。
道中スイカを運ぶケーブルを通り過ぎた時にちょうどビューンと搬器が上がってくところを見ることができた。合戦小屋での休憩を楽しみに、1日目が一番きついと自分に言い聞かせて進む。今回のために買ったストックは大いに役立った。1度練習がてら使った時はストックになれず逆に足手纏いに感じてしまったが、今回やっと使い慣れてきた。腕の方に力をかけることで足の負担を減らしていると実感する。買わない選択をできる人はそれだけ体力に自信があるのだと思う。私は体力に自信がないので隊に遅れを取らないためにも買ってよかった。
曇りのときどきの晴れ間に太陽の光で照らされた木々は綺麗な緑色をしていた。無数のカーブを越え、あそこを登ればと思った先にまだ続いた坂道を登り、ついに合戦小屋に到着。赤と緑のスイカの風船と旗が真っ先に目に入ってきた。大きなスイカを両手に鮮やかな笑顔で笑うみんなを見て嬉しい気持ちも倍になる。スイカはいい糖分と水分補給になりそうだった。
合戦小屋からは周りの木が低くなり稜線に近づいていく。燕山荘まではそう大変に感じなかった。ちょっとずつ視野が開け、燕山荘直下では幸運にも晴れ間が見えて、北東の山並みと街の景色にわぁーと声を上げる。
テント場が見えてすぐに燕岳が見えた。白い石灰の砂と縦に突き立つ丸みを帯びた灰色の岩は想像以上にユニークな佇まいで目を奪われる。みんなそれぞれ写真を撮った。
テント場の受付をしてからしばらく自由時間だった。山壮を覗きにいくといろいろな記念品が売られていた。何も購入する予定はなかったのに、雷鳥の絵が描かれたバンダナを買ってしまった。優柔不断をここでも発動させて、かなり時間を使った気がする。
ゆっくりした後、全員で燕岳へ向かう。緩やかな斜面を越えて、幸運なことに天気も晴れ、燕岳山頂で思い思いに過ごした。城所さんが信濃大町のゆるキャラおおまぴょんのTシャツを着ていて、おおまぴょんと記念撮影していた。おおまぴょんは城所さんの一目惚れ&お気に入りのゆるキャラらしい。後でカラーのおおまぴょんを見たが、カモシカモチーフのキャラクターの頭に富士山が載っていてなんともいえない笑顔とピンクのほっぺがかわいらしい。
テント場への帰りは何人かでちょっと寄り道して道中の岩に登った。高いところが好きなのでいい感じの岩を見つけると登りたくなる。その岩から下りる時、先頭の2人はある岩と岩の隙間を見つけて下っていった。そこでYifanが一本横にあった急な斜面を降ろうとしたが、足場になりそうなところに足を載せると、小石が下に流れて足が滑った。手でまだ上半身を支えられているものの足場がなく、滑り落ちた場合の下の平地まではまだ70cmくらいの距離がある。危ない!と思ってそばに行き、大丈夫じゃなさそうだったので脇の下に手を回して引っ張り、本人も上に登ろうとして、平坦な部分に戻ることができた。本当に無事でよかった。このときにYifanは右足の脛のあたりを岩にぶつけ、その後もたまに痛みが出てくることになった。
夜ご飯はハッシュドビーフとニョッキだった。ハッシュドビーフはシチューのようなもので、ニョッキはジャガイモ入りのだんご状のパスタである。山でこんなおしゃれな食べ物を食べるとは。ハッシュドビーフの中の噛み応えのある具材はなんと自家製の乾燥野菜だった。生クリームのようなコーヒーフレッシュをかけてパセリをふりかけると、洋食レストランに出てきてもおかしくない一皿の完成。山ごはんとは思えないクオリティと美味しさでした。ごちそうさまでした。
無事1日目を終えたことに安堵し、次の日を楽しみにしながら眠りについた。
2日目(Yifan)
テントが斜めになっていた。マットの上でよく滑った。エアーマットも空気が漏れた。地面の石が感じられちゃった。体をマットの高いほうへの調整と、マットに空気を吹き込むことを、何度も何度も繰り返した一晩だった。ようやく三時半、起床。
朝食はこなみんの棒ラーメンをいただいた。濃厚なベースに加えてチータラ入りで、カルボナーラ風味になってて、面白い食事だった。四時四十分ごろ燕山荘を出発。空は深い青が遠くまで広がり、朝の光が少し差し込んでいた。左側の安曇野平野と、右側の裏銀座の連峰と、はるか前方の槍を眺めながら、左側(東)から日の出を味わいながら、稜線を南下していた。これこそ日本アルプスで最も美しい登山道とも言われる「表銀座」。
大きな段差があまりなく、長い縦走路を歩いて、切通岩で岩場とハシゴを慎重に降りて、喜作レリーフが見えてきた。ここから道は二手に分かれ、左手(南東)は東天井・常念岳方面へ、右手(南西)は西岳・東鎌尾根方面へのかつて獣道であった「喜作新道」となる。新道が開通する以前、左手の道しかなく、東天井(二八一一)を縦走して、常念小屋(常念岳二八五七)に一泊、次の日は一ノ俣谷から槍沢にいったん下って、三日目か四日目にようやく槍(三一八〇)へ登るという形だった[1]。山案内人の小林喜作さんがこの新道を開設し、行程を一両日まで短縮した[1,2]。厳密にいうと、喜作新道はここから西岳までの区間だけでなく、東鎌尾根も含んで槍の穂先まで続く。そういえば、一説によるとこの「銀座」という名の由来は、喜作さんが当時銀座で流行していた草履履きに提灯という、いわゆる「銀ぶら」の出立ちであったことが多かったに加え、登山者の多いルートで銀座通りのようだということから、表銀座・裏銀座と命名されたとのこと[3]。
一旦左の道を進んで、単調なガレ場を登って、大天荘(だいてんそう)・大天井岳(おてんしょうだけ、二九二二)方面へ寄る。ちなみに証券用語には「大天井」(おおてんじょう)という言葉もある。大天荘にはカルピスTHE RICHという濃厚なバージョンがあった。ここから大天井岳へアタックして戻って、少し休憩をして、大天井ヒュッテへ向かう。ここからは登山道が一気に難易度が上がる。痩せ尾根、ハシゴ、岩場鎖場の連続だった。
大天井ヒュッテ前の標識に英語(ドイツ語?)の「OTENJYO Hütte」と書いてあって、「おおてんじょうヒュッテ」らしいが、「おてんしょうヒュッテ」とも呼ばれそう。ネットでも調べたがどっちかはわからん。いつか小屋の方に聞いてみるか。とりあえずここでちょっと長めの休憩をとる。十一時帯なので日差しが直接差し込んできて暑い(特に黒いアームカバーの部分)。出発の準備を整え、最初に目に入るのはあの有名な石「お気をつけて ヤリ」。実はここ大天井ヒュッテは、あの恐ろしい北鎌尾根の北端に一番近い山小屋、つまり玄関口なのだ。「勇気ある挑戦者たちよ、命にお気をつけて。Fromヤリ。」ただ、あとで通過予定の真の北鎌入口であるちょっと南の貧乏沢のコルは、あまりに目立たないためか気づかなかった。
さて、喜作新道を南下しよう。いつの間にか樹林帯に入り、銀座の美しい景色がしばらく見えなくなった。が、少し潜ると、いきなり広くなって、「ビックリ平」に到着!景色が再度見えてきてビックリ‼️(そうじゃないと思う。見過ぎちゃってもう飽きた笑)ここでみんなはびっくりしたふりをして、面白い集合写真をとれた。標識をみて、ヒュッテ西岳までは…まだ二時間半?!嘘、大天井ヒュッテからヒュッテ西岳までのCTは二時間十五分しかないのに。まじでびっくりした。
現在の時間は午後一時ちょうど。今日のCTの六時間四十分に対し、もう八時間経過。西岳はまだまだ。本当にびっくり、いや、疲れた。また、昨日の事故から捻挫したのか、ビックリ平の手前で走ってたせいか、右足の前脛骨筋が痛くなってきた。赤岩岳の手前にある平地で休憩をくれた。ごめんね。赤岩岳(二七六九)を越えて、西岳の手前にある偽ピークで再度休憩した。こなみんは、中国語の量詞について話していたようだった。「裙子」(ドレス)は「一条」か「一件」か、正直わからなかった(両方あってそう)。「やっぱり(中国人)女性に聞いた方が」と気まずそうに答えるしかなかった。留学生は確かに日本語と母国語を両方うまく喋れなくなっちゃうかも笑。
ついにヒュッテ西岳到着。午後二時半。ほぼ十時間で信じられない。第一日程もこんなに長かったそう。CTは嘘。テント場は小屋からちょっと離れていて、歩いて二分三十秒。地図から見ると、さらに南の赤沢山(二六七〇)までの稜線上にあった。
小屋の受付にはマスクが必要そう。私は外出を急いでいたのでマスクを忘れてしまい、代わりにUVカットのフェイスカバーを帽子につけて済んだ。なんかアラビアっぽい。お水とかを買うだけならマスクなくても特に問題なさそう。新鮮なトマトも三百円で買える。
トイレは有料で二百円、払わなかったら即撤収…でも確かに綺麗で、外には手洗い場とハンドソープもある。ちなみにトイレの個室に、燕山荘のお弁当をそのままトイレに捨てていく人がいます、系列のヒュッテ大槍さんで引き取ってもらってください、という謎の張り紙があった。妙におもろい。
最後は西岳(二七五八)へのアタック。私は足が痛いんだけど、せっかくだから行ってみようと思った。中国人だからこその「せっかくだから(来都来了)」。スイスイ登って登頂。山頂の柱には「西岳 北アルプス表銀座」と書いてあった。そうだ、燕(二七六三)・大天井(二九二二)・槍(三一八〇)とは違って、この山は表銀座縦走路にしかないのだ。柱は持ち上げることもできるが、かなり重い。全員がいろんなポーズで柱を上げて写真を撮った。
夕食は加藤さんによるスープと、野菜と肉入りの豪華なパスタ。三日間の料理は麺ばかりだけど、いろんな風味が味わえてよかった。今日は長かった。明日の朝は私が食当なので早く寝よう。と思ったんですが…稜線上ではめっちゃめっちゃ寒かった。高規格のダウンシュラフ(快適温度が五度以下のもの)の必要性が感じられた。では、おやすみ。
参考資料
[1] 山本 茂実「喜作新道 ある北アルプスの哀史」.ヤマケイ文庫,2024-05-17.
[2] カモシカクラブ「喜作新道」.エキサイトブログ,2011-03-01.https://kamoclub.exblog.jp/15990798/,(参照2024-10-09).
[3] 『山』がまんなか「晴天の表銀座縦走①」.エキサイトブログ,2015-06-01.https://yama2iruyo.exblog.jp/24084640/,(参照2024-10-09).
3日目(原)
3時半に出発する予定で、2時に起床した。朝ごはんはYifanさんによる豆乳と、葱油まぜそばだった。地元上海の家庭料理だそうだ。麺に葱油を入れて混ぜ、その上に目玉焼きを乗せて食べた。麺が美味しいことはもちろんだが、山の上で卵を食べられると言うのが非常にありがたかった。それにしてもあんなかさばる卵のパック、よくリュックに入ったものだ。出発の準備では、ヘルメットにヘッドランプを装着したりするのに時間がかかり、予定より少し遅れて出発。水俣乗越までは急勾配のくだりが続いた。頻繁に梯子や岩場があり、10人もの隊ではどうしても時間がかかる。逆に毎回の待ち時間で休憩できるので、ちょうどよかったかもしれない。コースタイムよりかは大幅に多い時間を要しているが、致し方ないことであるし、槍ヶ岳山荘のテン場が空いてさえいれば何ら問題はない、そう焦らず安全第一でいきましょうという感じであった。水俣乗越を過ぎると、いよいよ東鎌尾根に入る。ここは少し緊張感を要するところで、特に大梯子の部分では怖さが一段と増した。ただ、その合間に眺める眺望はよく、みるたびに確実に槍ヶ岳が近づいていることを実感できた。そんなこんなで疲れながらもヒュッテ大槍に到着。ここで休憩を挟み、さああとは槍ヶ岳山荘までもう少し!と思っていたが、ここからまだ1時間あるらしい。ここからはがれ場が中心で、我々が歩く登山道のすぐ横に、氷河の侵食による急斜面が広がっており、この斜面に飛び込んでみたら死んでしまうななどとよけいな想像が始まると止まらなくなり、どんどん怖くなってきた。我々の懸念点はテン場にまだ余裕があるかと言うことだけだったが、途中で槍ヶ岳方面から下って来た人に余裕があると聞いてからは皆一安心。ゆっくり登ってついに槍ヶ岳山荘まで到着した。テント場は一つだけ離れた位置になってしまったが、残り三つは固まることができ、先にテントを建てた。かなり狭い。そしてみんなで頂上まで向かうことに。私は山荘に着いた時点でゴールに来たと言う感じがあり、加えてかなり眠たかったので、あまり登るモチベーションはなかったが、流石にここまで来て頂上に登らずにはいられない。最初は比較的容易な岩場が続き、アスレチック感を感じながら楽しんでいたが、ハシゴになると途端に怖くなってきた。またいつものような、「もしここで、〜したら〜」といった自分では抑えられない想像を始めてしまうと心臓がバクバクし出して、頂上まで登った頃には頂上でまともに立てなくなってしまった。このような状況ではあまり落ち着いて周りを見ることはできなかったが、天候が良かったこともあり、眺望の良さは身に沁みて感じた。もうこんな怖いところには再び来ることはないだろうなと思うと同時に、この景色を見れてよかった、登山を始めて良かったと感じた。私たちのせいで頂上がかなり混雑していたので、そろそろ戻ることに。下りは個人的には上りのような怖さは特に感じなかったが、周りでは下りに相当な緊張感を覚えたものも少なくなかったようだ。下ってからは皆ゆっくり売店でお土産を見たり、テントの近くでトランプで遊んだり昼寝をして時間を過ごし、16時過ぎに夕食の準備が開始された。夕食は高村による塩ラーメン。テント場が狭く、調理する場所に苦労されていたようだ。明日は0時半起き二時出発ということで、17時過ぎに寝袋に入ろうとしたが、深田が至近距離で雷鳥を見たらしく、皆で飛び出て探しに行った。結局見ることはできなかったが、おそらく初めてのブロッケン現象を見ることができただけでも満足。普段よりかは寝付くまで時間がかかったが、テント内の他の二人よりかはすぐにねれていたらしい。良かった。
4日目(深田)
0時半、アラームの音で目を覚ます。今までで行った山行の中で一番早い朝だ。眠い目をこすりながら寝袋を畳み、自分の荷物をザックに詰め込んでテントの外に這い出る。縦走四日目となれば嫌でもこの一連の動作に慣れるのだが、いつまで経ってもアルプスの夜明け前の寒さには慣れない。最終日の今日は水平方向に20.5km、垂直方向には1800m近く移動する為、今日は長い戦いになりそうだ、なんて考えながら同じテントの二人が出てくるのを待っていた。槍ヶ岳頂上山荘のテン場は満員御礼でそこら中にテントが張られており、足元に注意しなくては足を引っ掛けそうで妙な緊張感を感じる。とはいえ時刻は0時半、これから寝る人は居るかもしれないが、起きて行動を始めている人は当然雷鳥メンバー以外には居ない。周囲のテントに迷惑にならないようヘッデンを消してみると、頭上には満点の星空が広がっていて何とも言えない美しさである。こんなに綺麗な星空はきっと下界から遠く離れたアルプスでしか味わえない贅沢な景色なのだろう。寒さに耐えながらしばらく夜空を眺めているといくつかの流れ星が観測できた。街にいるときは中々流れ星なんて見れないが、山ではそこそこ見れるので最近は特に興奮しなくなっていたが、縁起ものなので「みんなで怪我無く無事に下山できますように」と一応願い事をしておく。そうこうしているうちに他の人がテントから出てきたのでテントを畳む。夜明け前の時間でないためかテントにもフライにも朝露がほとんどついていないので畳みやすく、テントを持つ身としても大変嬉しい。テントを畳み終えて朝食の調理場所である槍ヶ岳山荘前に行くと既に他のメンバーが朝食用のお湯を沸かしてくれていた。本日は長距離移動のため朝食は各自で作ることとなっていた。私はシーフード味のカレーメシを頂く。各々朝食を楽しみ、予定通り2時に槍ヶ岳頂上山荘を出発。暗い中、ヘッデンの光を頼りに下っていく。とはいえ今日は下るだけなので特に難しい場所も無いなー、頂上山荘で買った「槍」ステッカーをPCのどこに貼ろうか、下山後は何を食べようかなんてのんびり物思いに耽りながら、ガレた道を歩いていた。完全に緊張感無く歩いていたのだ。そんな私であったが行動開始から僅か10分後、少し大きくステップを取った時着地地点の石に足を取られて捻ってしまった。大きく体勢を崩したがなんとかストックで倒れるのを防ぐ。広いところに行って確かめてみると右足首に激しくはないものの、確かな痛みを感じた。捻挫である。幸い今回は隊の人数が多いことも有ってSLの私も救急箱を持ってきていたので、白川さんと原さんに手伝ってもらいながらテーピングを行った。救急講習会での実演を思い出してやってみると想像以上に上手くいったため、救急講習会に出ておいて良かった〜と心の底から思った。そんなに大きな怪我では無かったが念のために原さんにテントを持ってもらい、ペース調整がしやすい先頭を歩かせてもらう事となった。それまでずっと最後尾を歩いていたので、先頭の景色は新鮮でとても楽しかった。ただ、下り道はしばらくガレ場が続いており、正しいルートを辿るのが少々難しかった。何とかペンキがついた岩を目印にして慎重に下りていく。暗い中先頭を進み、足元にも普段以上に気を使って下りていたので意外と眠たくはならなかった。時折立ち止まって空を見ると相変わらず綺麗な星空である。しかし、朝流れ星に願い事をした事を思い出すとなんだかありがたみは無かった。次第に空が白み始める。これくらいの時間から槍ヶ岳山頂へ向かうパーティとすれ違うようになった。すでに槍ヶ岳の山影は見えなくなっていたが、昨日の槍ヶ岳頂上からの景色を思い出してなんだかもの寂しい気持ちになる。途中何度か小休憩を取ったが、みんな縦走最終日となると疲れが出始めるのか、僅かな休憩時間でも居眠りしている人もいた。大曲を過ぎたあたりから傾斜もかなり緩くなり、夜も大分明けてきたため緊張の糸が切れてしまい、強い眠気に襲われるようになった。なんとか目を覚ますために近くのメンバーと他愛無い会話をしながらひたすら歩き続けた。後から写真で見返すと絵になるような沢沿いの自然豊かで美しい道をずっと歩いていたようだが、どんな絶景でも見慣れると退屈なものである。たまに足元に生えているキノコだけが救いだった。ほぼ起伏の無いような歩きやすい山道を歩き続けて遂に横尾に到着。横尾から上高地まではCTでまだ2時間以上はあるのだが、山道は横尾で終わり(横尾の先は遊歩道となっており、登山装備が無くても全く問題ないような砂利道となっている)のため、途中捻挫をしたものの、なんとか無事に下山できた事に一安心した。横尾では休憩中に鳩の一種(と思われる鳥)がたくさんいて癒された。因みに高村さんは小学生の時もここ横尾に来たことがあり、その時に見たこいつら(鳩)を雷鳥だと思っていて、学校で沢山雷鳥を見たと自慢していたらしい。そんなほっこりエピソードを聞きながらの休憩も切り上げ、上高地を目指す。ここからは普段の街歩きと同じような感覚で歩けるので一安心…かと思いきやここからの道のりがとにかく長い。しんどい気持ちを紛らわすように各々色々と話をしながら上高地に向かった。途中の徳沢ではみなアイスクリームを食べたり丁度行われていた涸フェスを楽しんだりしていた。涸フェスでは様々な企業がブースを出店しており、アミノバイタルやシャンプー、一本満足バーやパンまで貰えたので楽しかった。私はアネッサの日焼け止めの試供品を貰えたのが特に楽しかった。明神池を越えたあたりからは明らかに登山装備ではない人々が増えてきた。途中野生の猿に会ったりしながらそろそろ正午になろうかというタイミングで遂にゴールの河童橋に到着。全員で記念写真を取ったのち、早い時間のバスに乗る組と上高地でのんびり温泉を楽しむ組に分かれて解散した。
■感想
CL髙村
・自分にとっては約10年ぶりのリベンジとなった槍ヶ岳。ほぼ快晴の中稜線歩きを楽しむことができた。
・皆さんの作る料理のクオリティが非常に高く、精進せねばと思った。
・CLとして、体調不良の方の荷物を持てる体力が付いていたのは良かったと思う。一方でパッキングの未熟さ故に食当の材料が入りきらず、原にほぼ全行程を通して持ってもらうことになってしまった。ありがとう。そしてごめんなさい。
・数行下で深田が私を立ててくれてますが、彼も最終日に(足を挫いたにも関わらず)かなり良いペースで先頭を突っ走ってくれたので感謝。
・一人だけ実家から参戦・実家へ帰宅というムーブをかましてしまったので集合並びに解散の際のまとめ役ができずに申し訳なかったが、SL中心にうまくまとまってくれたようで良かった。
・余談だが、テントのフライシートに付着した露はしっかり落としてからしまうべき。登山中のコンディションに関わります。
SL深田
・遂に憧れの槍ヶ岳へ!やはり稜線を歩いて次第に近づいてくる山に心躍らせる縦走は格別ですね。ずっと天気に恵まれたのはメンバーの徳の高さの表れでしょうか。
・10人という大所帯のSLという大役を任されて不安でしたが、CLの高村さんがしっかり仕切ってくれて有難かったです。僕はほぼ何もしていなかったな…
・大人数で歩く山行は久々でしたが良いものですね。10人並んで歩く壮観な隊列であったり、テン場でのワイワイ感が僕は好きです。
・最後の最後に足首を捻ってしまい、隊に迷惑をかけてしまいました。最後の最後まで山で気を抜いてはいけないという教訓を得ました。
・大所帯とは言え、毎日起床から出発までほぼ2時間かかっていたのは改善点がありそうだと感じました。朝食当はメニュー決め時に簡易に作れるかを検討する、団装の片付けは積極的に行う、起床後はテント係の負担にならないよう早めにテントから撤収する(パッキングは後回しにする)、とかでしょうか。(自分も色々反省しています)
・食当の作るごはんが(良い意味で)衝撃的過ぎでした。手が混んでいたり、おしゃれだったりでとても良かったです!
・SLという立場を折角もらっていたので、山行中に改善してほしい部分などあればもう少しメンバーに声をかけても良かったかなと思います。
◯加藤
・1年越しにリベンジし、槍の穂先に立てたことが本当に嬉しかった。またいつか頂上からの景色を拝みたい。そして槍ヶ岳山荘で優勝したい。
・食事や山小屋Tシャツなど、北アの山小屋は全体的なレベルが高く、色々と購入してしまった。課金する価値が大いにあるクオリティだと思う。
・就寝までの準備が遅いので、パッキングにより工夫が必要だと反省した。
・食事がバラエティに富んでおり、食当の創意工夫を感じた。私も自家製の乾燥野菜にトライしたい。
・4日間天気に恵まれ、皆さんが日々徳を積みまくっているんじゃないかと思う。
◯城所
・全員大きな怪我なく表銀座を歩ききれて本当に良かったです。
・初日には遥か彼方にあった槍へ辿り着き、その頂上に立てたのは感慨深いです。快晴で最高の景色でした。嬉しくて小屋で色々買ってしまいました。
・最終日の下山を大いに身構えていたせいなのか、気づいたら沢沿いに降りれていてホッとしました。早立ちの効果かな?
・予約等を一手に引き受けてくれた高村くん、共装の持ち出し・運搬をしてくれた皆さんありがとうございました。
◯原
•参加してよかったととても思えた山行でした。槍ヶ岳の穂先にもう一度登りたいとは怖くて思えないけれど、あの景色をしっかりと脳裏に焼き付けてきたので大満足です。
•みなさんが作ってくださった食事が全て美味しくて、手も混んでいて、感謝すると共に、とてもハードルが上がりました..
•メンバーの皆さん、そしてCLの高村くん、どうもありがとうございました。また一緒に登りましょう。
◯朱
・この行程を終えられたことでちょっと自信がつきました。ゆっくり進むことで長時間長距離歩きを続けられると実感しました。
・今年の夏に表銀座に行くというのは去年の自分ではまったく想像できなかったことでした。槍集中の計画者でこの山行に誘ってくれたへいすてぃに感謝します。そして、大所帯を引き連れたCLの高村くん、SLの深田くん、食当と共装を分担したメンバーのみなさん、ありがとうございました。10人もいるというのは心強かったし、楽しかったです。
◯吉田
・長い行程だからこその、さまざまな景色を楽しめる感じがとても楽しかったです。
・初めてテントを持って歩いたけれど、何日目になっても重いのが大変でした。今までテントを持ってくれてた人たちにより一層感謝の気持ちが芽生えました。
・ヘルメットが必要なところは初めてで不安もあったけれど、怖さよりも楽しさが勝っていて、楽しく進めました。
・メンバーのみなさんのおかげで素晴らしい経験ができました。ありがとうございました。
◯Yifan
・脚の関係で心配をおかけしてすみません。無事にルートを完歩し、下山できてよかった。今後は十分注意を払います。
・とにかく長い。2日目のコースタイムは嘘みたい。
・いろいろな岩場を体験してきてよかった。
・ピラミダルな山容のおかげで、槍山頂からのパノラマが一目瞭然。
・穂高が気になってきた。上高地から見て山容の荘厳さほど、縦走路の険しさがあるのだろう。いつか一度挑戦したい。
・寒暖差が普通に激しい。9月に入ってから夜は寒すぎて、ダウンのシュラフでも限界になりそう。(早起きしたくない!!)
・重量トレより、やっぱり装備自体が軽いほうが快適!特に複数泊で。(一応、膝への負担を少なくするために、荷物は体重の4分の1を超えないよう、という見解がある)
・振り返ると、装備に関してのヒヤリハットが意外と多い。1部装備の持ち忘れで一旦家に帰ってしまって夜行バスにギリギリ間に合ったとか、ハイドレーションの水漏れとか(とこかで衝撃受けたからか)、ヘッドランプの充電に必要なA to Cケーブルの持ち忘れとか(普段はC to Cしか持ってないから。幸い穂高のコンビニで買ってきた)。結局山行への影響はなかったが、装備の事前チェックは、案外難しく重要なことだと意識してきた。
・雑談ですが、下山翌日は藝祭(東京藝大の学祭)に行ってきた。黒沢ヒュッテという北アルプスにある藝大山岳部の山小屋が、長年の風雪で傷んでる、というチラシが目に入った。こんなアート活動の拠点としての小屋、一度訪問してみたいね。予定の関係で、藝祭のチャリティ販売が間に合わなくてすみません。
◯白川
・朝焼けで青とピンクにグラデーションになっていた北アルプスの連なる山々が美しかったです。標高を上げていくと富士山をはじめ、遠くの山脈も見えて、山しかないパノラマに感動しました。
・賑やかで楽しかったです。4日間、色んな人と話ができて始終充実していました。
・ごはんがどれも美味しくて幸せでした。
・飛び入り参加を受け入れてくれてありがとうございました!裏銀座リベンジしたいです。
・北アは南アよりも洒落ている人が多い気がする。
◯平戸
・燕岳がまさに燕って感じで好きです
・岩場が全体的に楽しかった。槍のはちょい難しかった
・自分が体調悪いあいだ、共装を持っていただくなどしていただきありがとうございました…!
・飛び入り参加の形にはなりましたが、行けてよかったです、ありがとうございます!