2024/9/19-21 南八ヶ岳縦走

南八ヶ岳縦走計画書 第二版
作成者:山道
■日程 9/19-21   2泊3日 
■山域 南八ヶ岳
■目的 縦走
■在京責任者 清野
■在京本部設置要請日時 9/21 19:00
■捜索要請日時     9/22  9:00


■メンバー  ( 3人)   
 CL 山道 SL 鈴木◯ 佐藤

■集合
新宿5:44-中央線快速-6:30八王子6:35-中央本線-9:02小淵沢
小淵沢駅正面のタクシー乗り場 9時5分

■交通
□行き
・大泉タクシー 9:10小渕沢駅→観音平駐車場 
片道円(=1,800円×人)、約20分
□帰り
・アルピコタクシー 桜平→茅野駅 
約10,000円、桜平の中駐車場で乗車、下山後にタクシー会社に電話をして1時間後に配車



■行程
1日目 計5:30、7.7km
観音平-0:30-屏風山-0:35-雲海展望台-0:50-押手川-1:25-網笠山-0:20-青年小屋*-1:00-西岳-0:50-青年小屋
*青年小屋で幕営後、西岳をピストン

2日目 計7:15、6.8km
青年小屋-1:30-権現岳-1:10-キレット小屋-2:00-赤岳-0:30-2720m付近分岐-0:30-中岳のコル-0:25-阿弥陀岳-0:20-中岳のコル-0:40-分岐0:10-行者小屋*
*行者小屋で幕営

3日目 計5:00、8.4km
行者小屋-1:25-地蔵の頭-0:45-三叉峰-0:10-奥ノ院-0:30-硫黄岳山荘-0:20-硫黄岳-0:15-2600m付近分岐-赤岩ノ頭-2600m付近分岐-0:30-2390m付近分岐-0:15-オーレン小屋-0:30-夏沢鉱泉-0:20-桜平


■エスケープルート
□1日目
・青年小屋まで:そのまま引き返す

□2日目
・青年小屋からキレット小屋まで:天女山駐車場まで下山。甲斐大泉駅までタクシー利用
(権現岳-0:40-三ッ頭-0:35-前三ッ頭-2:10-天ノ河原-0:10-天女山駐車場 計3:35)
※タクシー  TEL:0551-38-2255 1,600円
・キレット小屋から2470m付近分岐まで:美し森バス停、サンメドウス清里まで下山。清里駅まで清里ピクニックバス or タクシー利用
(赤岳-1:10-大天狗-0:50-小天狗分岐-0:40-1960m付近分岐-0:45-サンメドウス清里 計3:25)
※清里ピクニックバス 500円 https://kiyosato.gr.jp/picnic-bus/
※清里観光タクシー TEL:0551-48-2021

□3日目
・2410m付近分岐から地蔵の頭まで:美濃戸口まで下山。茅野駅までバス利用
(行者小屋-1:40-ゲート-0:50-美濃戸口 計2:30)
※バス美濃戸口線 TEL:0266-72-7141 1,500円
美濃戸口 10:20 11:20 14:45 16:00 → 茅野駅 10:58 11:58 15:23 16:38
https://www.city.chino.lg.jp/soshiki/chiikisenryaku/1061.html
・地蔵の頭から硫黄岳まで:横岳登山口まで下山。野辺山駅までタクシー利用
(三叉峰-1:00-2320m付近分岐-1:10-貯水池-0:15-横岳登山口 計2:25)
※野辺山タクシー TEL:0267-98-2827 約4,000円
・硫黄岳から:そのまま下りる


■個人装備
□ザック □ザックカバー □サブザック □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □ヘッドランプ □予備電池 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル □水 □行動食 □非常食 □カトラリー □コッヘル □ライター □トイレットペーパー □新聞紙 □ゴミ袋 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め □着替え・温泉セット □モバイルバッテリー (□サングラス □サンダル □歯ブラシ □トレッキングポール □熊鈴)
ヘルメット (鈴木:個人、佐藤&山道:共装)

■地図
25000分の1:「八ヶ岳西部」「蓼科」
山と高原地図:「八ヶ岳」

■共同装備
テント ステラ4No2 鈴木→山道
なべ 桜 佐藤
ヘッド 1 佐藤
カート 2 鈴木
調理器具セット ディド 佐藤
救急箱 苺 鈴木
ヘルメット2(モンベルねずみ、blackdiamond青) 佐藤

■食当
1日目
夜 佐藤 
2日目
朝 山道 卵雑炊
夜 鈴木
3日目
朝 各自 欲しい人はアルファ米
 
アレルギー等:大量のキノコ、辛すぎるもの

■遭難対策費
400円×3名=1200円

■悪天時
前日15:00までに判断

■施設情報
□青年小屋
テント場 予約必要なし、徒歩4~5分に湧水あり、幕営料800円/人
tel: 0551-36-2251, 090-2657-97-20
https://yatsugatake-seinengoya-tooinomiya.net/
□行者小屋
テント場 予約必要なし、水場あり、幕営料2,000円/人
tel: 090-4740-3808
https://www.akadakekousen.jp/
□キレット小屋
https://www.yatsu-honzawaonsen.com/kiretto.html
□硫黄岳山荘
https://iodake.jp/sanso/
□夏沢鉱泉
https://iodake.jp/natsuzawa/


■備考
□日の出日の入り@赤岳(9/19)
日の出 5:32
日の入 17:48

9/19-21  南八ヶ岳縦走記録
作成者:山道
■日程 9/19-21   2泊3日 予備日9/20-22
■山域 南八ヶ岳
■天気
1日目:晴れのち強風
2日目:曇りかつ超強風
3日目:曇りかつ超強風
■メンバー 
 CL山道(45) SL鈴木(45) ◯佐藤(46)
■共同装備
テント ステラ4No2 鈴木→山道
なべ 桜 佐藤
ヘッド 1 佐藤
カート 2 鈴木
調理器具セット ディド 佐藤
救急箱 苺 鈴木
ヘルメット2(モンベルねずみ、blackdiamond青) 佐藤

■総評
強風に見舞われたが雨に降られることはなく、2日目は赤岳からの眺望を楽しむことができた。大事を取って、阿弥陀岳と中岳には行かず赤岳から直接行者小屋へ向かった。
2日目のキレット、3日目の地蔵ノ頭〜横岳など鎖場が多くあったが、強い風が吹く中でも時間をかければ特に問題なく登ることができた。

■タイムスタンプ
□1日目
9:51 観音平駐車場発
10:45 雲海展望台着
11:20 押手川着
12:24 編笠山着
12:52 発
13:06 青年小屋着
13:42 発
14:21 西岳着
14:39 発
15:15 青年小屋着

□2日目
4:08 青年小屋発
4:51 西ギボシ着
5:06 発
5:16 東ギボシ
5:25 権現岳小屋
5:28 権現岳着
5:42 権現岳発
5:45 権現岳小屋着
06:06 権現岳小屋発
06:30 旭岳着
06:44 旭岳着
07:05 ツルネ
07:22 キレット小屋着
07:53 キレット小屋発
09:11 赤岳着
09:32 赤岳頂上山荘着
10:00 赤岳頂上山荘発
10:29 文三郎尾根分岐
11:09 行者小屋

□3日目
03:52 行者小屋発
04:43 地蔵の頭着
05:15 地蔵の頭発
05:54 石尊峰
06:10 横岳(三叉峰)
06:17 横岳(無名峰)
06:29 横岳(奥ノ院)
07:03 硫黄岳山荘着
07:23 発
07:37 硫黄岳着
07:47 硫黄岳発
08:02 赤岩の頭
08:40 オーレン小屋着
08:51 オーレン小屋発
09:16 夏沢鉱泉着
09:32 夏沢鉱泉発
09:53 桜平駐車場(中)着

■山行記
1日目(鈴木)
寝過ごしたー。
目を覚ますと、自分の乗っている電車はすでに新宿を2駅超えていた。あずさ課金、確定。まあ逆に考えれば、特急あずさがあるから自分の遅れで人にも迷惑をかけなくて済む。落ち着いて新宿駅に戻り、特急券券売機に向かう。まあ流石に満席はないだろうと甘くみていたが満席だった。仕方なく「座席未指定券」を買う。知らない方はぜひ覚えておいてほしいのだが、あずさは満席でも特急券を買って乗車することができる。この「座席未指定券」を手に入れればとりあえず車内に乗り込み、空いている席に勝手に(?)座ることができるのだ。ただし、その席の座席指定がある特急券の持ち主が現れたら席を譲らねばならない、という仕組みだ。僕は荷物がデカすぎて席の移動がだるいので空席は探さずしばらくデッキで粘ることにした。普段鈍行ばかり乗っている中央線。あずさのスピード感は新鮮で、まるで小学生のように窓から目が離せなくなりそうだった。
韮崎で茅ヶ岳が見える。偽八ヶ岳と名高いが、いや別に八ヶ岳には見えなくないか。この辺りで空席が目立ち始めたので流石に最後くらいは座るか、と思って小淵沢まで一息ついた。やっぱり特急は乗り心地が最高だ。。。
小淵沢で下車、予定通りの鈍行でやってきた2人とも合流した(以下、この2人について佐藤はさらごん、山道はひろと記す)。寝過ごした人間が一番快適な交通手段を使っているのがどこか申し訳ない。今回、この2人とは久々の再会だった!普通に会えただけで嬉しくなってしまった。最近の45期は個人個人でリーダーをやりがちなのであまり一緒にならない(気がする)。さらごんは山に行きまくっているものの僕とはなかなかかぶっていなかったので山行としては5月の檜洞丸ぶりだ。ひろについても同様。いやあ久しぶりだなあ。
久々の再会に心が躍ってタクシーの中でぺちゃくちゃ喋ってしまった。先日の白峰三山や表銀座など。この夏で表銀座縦走と白峰三山縦走はすっかりたくさんの人に共有された思い出になったため、「西岳山荘のトイレはやっぱり綺麗だ」とか「農鳥から奈良田の下山は辛すぎないか」など、共通の話題が増えて話題が尽きない。さらごんの1回目・2回目の赤岳の話も聞くことができた。そう、この後輩(もはや後輩ではない?)、赤岳に行くのは今回で3回目(山頂に立つのは4回目らしい)なのである。人生で3回目というわけではない。この9月中に、3回なのだ。なんという強者。毎週赤岳に行くなんてひと、いくら山好きでもそういないのではないだろうか。赤岳は様々なルートがあるから「ルート制覇」的で飽きないのだという。ピークハントを超えてルートハントまでしているのか、と感心する。
観音平で準備を済ませ、いざ出発。思ったより人はいなかった。八ヶ岳らしい木漏れ日に溢れた森を進む。途中後ろを振り返ると小淵沢の町越しに南アルプスを望むことができた。こう見ると、八ヶ岳と南アルプスに挟まれて、中央線はすごいところを走っているなあと改めて思う。ルートは基本的に登りやすいのだが、ところどころ足を目一杯あげて大きな岩を越える。「瑞牆山みたいだねえ」、と喩えるとひろが理解してくれた。普段、こうやってどこかの山で他の山を例に出すと、共通認識がないためかしばしば場が白けて悲しくなっている(この前の白峰三山では、とある岩を見て「金峰の五丈岩みたいだな」と呟いたものの誰にも反応してもらえなかった)。まだ気温は高く登りは意外と体に堪えるので、休憩を多めに取りながら進んだ。学業や恋愛(失恋??)の話をしながら登った。なんつったって僕以外のお二人は共学出身ですからね。「非リア高校」なんて冗談でしょう。そんなこんなで、ガスがかかり始める中、お昼時の編笠山山頂に到着した。
編笠山の山頂では先に着いていたおじさんが「これじゃあ何も見れねえなあ全く」と嘆いていたが、我々は縦走で明日からも長いのでそんなに落ち込むようなことはない。写真を撮っていると、おじさんに「こっちに面白いもんがあるぞ、見ていけ」と手招きされる。なんだろうと思ってその方向に行ってみると収穫された松茸があった。登山道で生えていた(?)のだという。「最高級品ですぞ」と満足気だ。ひろとさらごんは「すごいですね!」とちゃんとリアクションをとっていたが、僕は「え、取っていいのかな」「そこまでして?」という感情が先行してしまい、真顔で「はあ」という激薄リアクションになってしまった。こういうところで社会性の差が出てしまっていたかもしれない(汗)。
編笠山を後にして青年小屋に向かう。いきなりゴロゴロの岩に変わった。自分は「急に歩きにくくなったなあ」と感じたがひろとさらごんは岩場を相当楽しんでいた。青年小屋のテント場はガラガラだった。ステラ4をさっさと設営しサブザックに荷物を移し替え、いざ西岳へ。ガスガスで何も見えないのはわかっているが、時間を持て余しているくらいなら八ヶ岳散歩をしよう、というようなノリだった(別にそういう会話をしたわけではないが)。青年小屋を出て5分ほど西岳方面に進んだところに水場があり、その付近だけ少し斜面が崩壊していた。そのほかは概ね歩きやすくあまり高度を稼いでいる感じもなかった。隣のトトロを歌いながら西岳登頂。山頂に着くや否や、ひろとさらごんの2人は各々の持ってきた恐竜のぬいぐるみを「相棒」と呼んで可愛がり、山頂の標識の横に座らせてありがたがりながら写真を撮っていた。なんだこれは。表銀座から続く「ぬいぐるみ教」.......??。ひろのぬいぐるみに話しかけようとしたらすごく警戒された。ところでこの2人は共通点が多すぎる。出身高校も同じ、理科二類出身、ぬいぐるみ教、ポケモン好き、可愛いものに目がなく、白峰三山・立山・表銀座で同パーティー。他方、男子校出身で文系、ぬいぐるみを一切持たずポケモンも知らない私は、この山行中、一緒にいられて幸せそうな2人を見守ることにした。無理に会話に入ってもしょうがないので、ぬいぐるみを愛でる声を黙って聞いていたらこちらも心が温まってきた。
西岳からはさ〜っと来た道を戻り、テントに「ただいま〜」する。さらごんが「おかえり〜」と言ってくれた。ありがとう。なんか新鮮だった。この日の夕食はさらごんのレトルト牛丼。ひろの顎に白米がついていたので写真を撮っておいた。それとメガネをかけたひろはまるで高校受験をする中学生のようで面白かったのでそれも写真に収めておいた。翌朝の食事で使う水を汲みに行って、この日の活動はおしまい。私は初の「共学テント」で就寝した。共学テントだからどうとかいうことは特段なかったが、色々と「さらごん強すぎ!」と思った。

2日目(佐藤)
3時起床。お月様が輝いている。夜中は強風でザワザワゴーゴーバタバタうるさく自分はあまり眠れなかった。先輩達は数回しか起きていないらしい。強いなあ。ひろさん(山道さん)担当の朝食は卵スープ雑炊。調理途中でカートが変な声をあげながら切れた。もう先は長くない…後のことは任せた…さようなら、、と最後の力を振り絞って言っているようだ。せめて今夜まではもう一つのカート(そちらも残量少なめ)が持ち堪えてくれることを祈る。温かいスープが冷えた体に染みた。
4時10分出発。西ギボシまではなかなかの急登。日の出前の登りはノーカンのはずなのだが、今回の登りは体に応えた気がする。顔を上げれば東雲色の雲、綺麗なお月様、市街地の明かりが見える。最高の夜景。着込んで登り始めたが15分ほどで暑くなり、衣類調整とヘルメットの装着のために止まった。樹林帯を抜けると、なんだか不穏な風が吹いている。(この時の自分は、これから二日間風との壮絶な戦いをすることになるとは思っていなかった…。)昨年の南八ヶ岳縦走では赤岳・権現岳はサブザックで登頂したようだが、短距離だしそのままでいいよね、という意見が一致してメインザックのまま行くことに決めた。西ギボシを超え、東ギボシを巻き、権現岳の山頂はもう目の前だ。日の出を迎え、権現岳の岩肌をオレンジ色に染めていく。
権現岳山頂に到着。風が出発時よりも強くなり、山頂に居座っていられない。さっと写真だけ撮って、傾いている権現小屋(閉鎖中)の陰で休憩した。富士山、南アルプス、中央アルプスを望めた。強風だがガスがないのが救いだ。赤岳へ続く稜線が見え、この風の中歩けるのだろうかと不安になる。windyの予報では最大瞬間風速が25m/sにも達するようだった。念の為エスケープルートを確認し、キレット越えが厳しそうだったら権現まで引き返すことにした。とりあえずキレット小屋に向かう。歩き始めると有名な長〜いハシゴが出現。61段あるらしい。特別怖いというわけではないが腕が疲れる。三ヶ月前だったら怖くてたちすくんでいただろう。夏の山行を通しての成長を感じた。その後は細かなアップダウンを繰り返す。常に踏ん張りながら歩いているためか結構時間がかかってしまった。写真を見ると一見晴れていて楽しい稜線歩きのようだが、強風なんです。強風というか暴風です。いや、突風です。風の音で声がかき消されるのであまり会話もなくモクモクと歩みを進める。植物で囲まれていない稜線部分は特に風に煽れやすく、腰を落としてささささと通過した。忍者みたいだと話した。
なんとかキレット小屋に到着し、しばし休憩。行動開始から3時間しか経っていないのに疲労感がすごい。「赤岳まで2時間」と書かれた道標があった。普段なら、もうすぐだ〜ワクワク!、となるところだが、今回はまじか、あと2時間⁉︎、きっつ……と思っていた。十分にエネルギー補給をし、靴紐を締め直す。覚悟を決めた。根が生える前に再出発。風のせいか、一歩がとんでもなく重い。歩みを止めなければいつか絶対赤岳に着くから、と自分を励ましながら登る。岩場鎖場が始まった。突風of突風が吹いてきたときには岩壁にへばりつく。一瞬の油断も許されない。しかしこんな風の中でもやはり岩場は楽しい。グッと高度を上げられる点も好きだ。
気がついたら赤岳山頂にいた。風との戦いに必死で道中の記憶も写真もあまりない。晴れてる!先週と先々週の赤岳山行は東側の展望が全くなかったので嬉しい。強風は我々を吹き飛ばすことはなく、ガスだけ吹き飛ばしてくれた。真教寺尾根と県界尾根が綺麗に見える。the 尾根!記念撮影をし、阿弥陀と中岳をカットする旨を在京の清野さんに伝えた。赤岳頂上山荘では、ひろさんが八ヶ岳開山70周年記念バッヂを、へいすてぃさんが手拭いを購入していた。ひろさんがこうすけさんの分のバッジを買いに行っている間にへいすてぃさんと双耳峰クイズをした。双耳峰を持つ山を順に挙げていくだけの遊びだが、これが意外に難しい。この記録を読んでいるあなたは何個思いつきますか?自分は最近登った鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳しか思い付かず完敗。突然へいすてぃさんが「写真とりましょうか?」と「写真マトリョーシカ?」が似ていないか、と言う。た、たしかに??徐々に笑いが込み上げてきた。この面白さを文章で伝えるのが難しいのだが、写真マトリョーシカをきっかけにツボが浅くなってしまい、これ以降ずっとケラケラ笑っていた。
稜線上は相変わらずとんでもない風なので、ここも長く留まることはせず泊地の行者小屋へ向かう。岩場鎖場からザレ場、樹林帯と、高度を下げるとともに風が落ち着く。一安心。途中でリスさんが目の前の登山道を横切って行った。かわいい!
へいすてぃさんによる政治の話に耳を傾けているうちに行者小屋に到着。受付を済ませてテントを張る。ヘルメットと暴風のせいで前髪がスネ夫状態。前髪の乱れは心の乱れ、なので修復を試みる。その辺に落ちていた木の枝がカーラーになりそうだったので巻いてみたがスルスル落ちて失敗。次に、持っていた櫛に前髪を巻きつけたら巻けすぎて先輩2人に笑われた泣。化粧水でびちょびちょに濡らして放置したらマシになった。よしよし。阿弥陀岳、中岳をカットしたので時間はたっぷりある。お遊びタイム〜。相変わらずへいすてぃさんとひろさんがじゃれあっている。微笑ましい。恋バナに花が咲く。話題は理想のデートプランについて。長距離サイクリングで相手を見極めるアイデアを思いつく。20kmから始め、徐々に距離を伸ばして100km完走で合格&告白というプランだ。疲れ切って相手の脳が働いていない状態で「はあ、はぁ(息切れ)、はい」と言わせる作戦だ。なかなかいいアイデアだろう。そのあとはヒロさんの体の硬さを確かめるべく皆で柔軟をしたり、靴下で岩に乗って足ツボをしたり、メガネ似合わない選手権をしたりする。ずっと笑っていた気がする。なんだかんだであっという間に時間が過ぎ、16時から夕食調理開始。へいすてぃさんによるまぜそば風棒ラーメンだ。カートはなんとかもってくれた。明日の朝もがんばっていただきたい。トッピングのきざみのりがいいアクセント。2人前を平らげる。ごちそうさまでした。外は結構冷えてきた。秋の気配を感じる。テント内でも先輩2人のじゃれあいは止まらない。へいすてぃさんがシュラフでひろさんをバシッと叩き、「ごめんねぇひろぉ」とすぐ謝る。隣のテントの人が聞いたらまるでDV彼氏ではないか。
18時前には就寝。今日もいい一日だった。おやすみなさい。

3日目(山道)
3時に起床ということにしたのだが、いかんせん自分はコンタクトをつけたりテーピングをしたりとすることが多いので、今日も今日とて15分前に起きた。何やら寝ている間にへいすてぃに頭を撫でられた気がしたなと思いながらテーピングをつけていると、やがてへいすてぃも3時より少し早く起きていた。今日の朝食は各自で、自分はカップヌードル。調理をする時間がないので4時前に出発することができた。それにしても、自分とへいすてぃは4時前に起きているのにさらごんの朝の撤収スピードが早すぎる。自分はマイペースになってしまいがちなので少し羨ましい。
まず最初は地蔵尾根の急登。暗くて小屋からのルートが分かりにくく、前日のうちに確認しておいて正解だったと思いながら先頭を進む。市街地の灯りを遠くに見ながら登っていると、何やら不穏な風が…昨日のwindyの予報では、最大瞬間風速は15メートルくらいとそこまでひどくなさそうだったが、少しひらけて電波の通るところで再確認してみると最大瞬間風速20m越え。やれやれ今日もかと思いながら登って行く。
途中奥の方に赤岳展望荘の明かりを見ながら5時ごろ地蔵の頭に到着。爆風である。しかも2日目と異なりガスもかなり出ていて、東の方の雲は朝日に染まりかけていた。ここで美濃戸へのエスケープをするか相談したが、行程的に風が一番強くなるときには鎖場を抜けているため、予定通り進むことにした。風は西の斜面から山を上がってくるように吹いてきており、梯子や鎖場は山の東斜面にあることが多かったため意外と楽に進むことができた。ただ稜線上に出るとやはり突風で、姿勢を低くしてすすすすと進んだ。
盾持つ子グマ岩(by へいすてぃ)を横目に見つつ、石尊峰に着いた。特に何もなかったため、とりあえずハイタッチをした。なおこの直後のはしごを最後に、鎖場は当分なくなった。6:10ごろ三叉峰に到着。ここがエスケープポイントだったのだが、メンバー全員コンディションに問題はなく、鎖場もほぼ越えたため予定通り硫黄岳まで進むことにした。地蔵の頭では正直エスケープするか迷っていたが、ここまで来ると精神的に安心である。一応ピークだったので何かないかと思い少し引き返して確認してみたが、何もなかった。この頃は風もだいぶマシになり(別に弱くはない)、周りの植物に目をやる余裕も出てきた。ただもう季節外れということで目立つ花はなく、名前もやっぱり分からない。科博の高山植物の展示を見に行ったのに…
6:30、横岳(奥ノ院)到着。いつも通りぴーすけ(ホベツアラキリュウのぬいぐるみ)達と写真を撮った。この時は完全にガスっていたものの風はそこまで強くはなく、昨日より風は楽だと思っていたのだが甘かった。その後はとうとう最後の鎖場。カニの横ばいという名前がついているらしく写真で見返すと意外と高度感があるが、歩いている感覚では全然気にならなかった。その後は高山植物保護のためのネットが貼られている砂礫の道になったのだが、ここが3日間の中で1番風が強かった。前回さらごんが来た時はコマクサがギリギリ残っていたみたいなのだが、全く残っていなかった。まぁ燕岳で見れたからいいかな。そして、もう何度も書くが風がすごい。ただでさえ最大瞬間風速20m超えの風が吹いているのに、コマクサ群生地ということで、今まで歩いていた道と違って遮ってくれる茂みや岩が何もない。風に煽られて足元が覚束なくなりながら、7:05に硫黄岳山荘に到着。せっかくだからトイレに行ってみたのだが、あまりにも綺麗で驚いた。自分の中での山のトイレ綺麗度No.1はヒュッテ西岳だったのだが、今では硫黄岳山荘が圧倒的一位である。
15分くらいの休憩をした後再び稜線上へ。石が積まれた塔のある道を、風と格闘しながら登り硫黄岳到着。辺りはガスガスで何も見えなかったが、強風のおかげでハイテンションで写真を撮った。ガスガスで爆裂火口もよく見えず、硫黄と名前が付いているのに地面は硫黄らしからぬ黒で、何なんだと思いながら赤岩ノ頭まで降りて行くと、ようやく地面が黄ばんだ硫黄の色になっていった。ガスガスで眺望の期待ゼロなので、赤岩ノ頭に行くかどうかとなったが、せっかく来たのだからということで行ってみた。その後はオーレン小屋までひたすら下りで、コケコケのいかにも八ヶ岳の森らしい道を歩いた。確かに立派なきのこがたくさんいた。白峰のときもきのこはいたが、小さかったり形が不格好なのが多かった。八ヶ岳は形が綺麗で立派なのが多い。ここではへいすてぃとメダカの飼育の話をした。何やらハプスブルク家のように何代も続いているメダカたちらしい。自分も川で捕まえたタモロコとホトケドジョウを飼っていたため、カルキ抜きなど懐かしかった。この頃から他の登山者とよくすれ違うようになった。硫黄岳ピストンなのか、小さめのザックの人が多かった。逆に、硫黄岳山荘までは、地蔵の頭で会った2人組と、横岳あたりで抜かされた1人以外とは全く会っていなかった。やがて8:40ごろオーレン小屋に到着。「テン、オコジョ、カモシカ、その他先住民族以外はグリーンロープ内へ立ち入らないでください」という看板がありほっこり。少し軽食休憩をした後、夏沢鉱泉へ。ここでは以前先輩が行った南アルプス全山縦走の話になった。さらごんは興味があるみたい。自分も面白そうだと思うし、八ヶ岳縦走もしてみたい。9:15ごろ夏沢鉱泉に到着。近くを流れる川底も硫黄色で、硫黄の香りがすでにしていた。さらごんは硫黄がイマイチで、わざわざここで温泉に入る必要もなかったのでタクシーを呼ぶことに。電波が悪いのか自分の滑舌が悪いのか向こうの耳が遠いのか、会話が全然通じず、半ば叫びながらアルピコタクシーと電話をした。ちょうど桜平の近くにタクシーがいるということで、10時に駐車場待ち合わせで配車をお願いすることができた。非常にラッキーである。
夏沢鉱泉から桜平の駐車場までは20分とあったが、かなり急いで歩いて20分ちょいで、とても普通に歩いて20分は不可能だと思う。ここではさらごんが最近ハマっているボルタリングの話から、バリエーションに挑戦したいかという話になった。へいすてぃは一般山行だけで充分みたいで、さらごんは雪山に挑戦してみたいらしい。自分は鎖場も好きだし雪は川苔とバカ尾根で楽しかったから、いつか挑戦してみるのもありかなーと思っている。でもまだまだ行ってみたい山があるから、まずはそこから。来年は石鎚に行きたいな…
9:50ごろ駐車場に到着。写真マトリョーシカした後、タクシーを待つ。配車氏名が、ヤマミチではなく別の名字になっているかもと話をしていて、いざタクシーに乗ってみるとヤマギシになっていた。茅野駅までではなく日帰り温泉のあるホテルまでお願いした。途中りすが道路を横断していたから本当に気をつけて…さらごんは山行中きつねを見れたみたいで羨ましい。きつねの話から熊の話になり、雷鳥で熊よけスプレーを作って駒場祭で販売する案がでた。熊よけスプレー、市販のだとかなり高いらしい。唐辛子とか使って、来年どうですか?
ホテルについて温泉に入ろうとしたのはいいものの、何と二つある温泉のうち1つがタイルの張り替えで使えないことが判明。へいすてぃとさらごんは別に温泉はもういいやとなっている中、自分は譲れず1人いただくことに。ありがとうございます。その後は茅野駅の近くのモン蓼科というレストランでお昼を食べて解散。ここでも色々おしゃべりできて楽しく、夏の山行の良い締めくくりとなった。


■感想
CL山道
・前回の山行(槍)からはや一ヶ月で驚き。
・爆風の中の山行となったが、特にこれといったトラブルなく終えることができてよかった。
・今夏シーズンの縦走の終わりを告げるような爆風だった
・あまりにも風が強すぎて、キレット自体の大変さは分からなかった。
・2日目は足への疲労が溜まってしまった。また来年、今回行けなかった中岳・阿弥陀岳も含めて縦走したい
・山行に持って行ったのは古いメガネで、大学生になって買った新しいのがあります
・気心知れた仲で行く山行楽しいっっ!
SL鈴木
・さらごんが優秀すぎて、自分たちが先輩のはずなのにいろいろ甘えてしまいました(テント撤収とか手際良すぎる)。ごめんけどありがとう。
・強風!突風!暴風!このメンバーじゃなかったらびびってエスケープしてたかな・・・
・キレットが厳しいのか、自分たちが弱いのか、ただただ風が強すぎて何もわからない・・・・!!
・「盾を持つこぐま」みたいな岩があった!けど風強くて写真撮ってない泣
・山行記録クイズ、双耳峰クイズ、「写真マトリョシカ」、「♪地味なマウントを~取るッ」など色々と新しい何かを生み出した。
・赤岳かっこよかった。赤岳頂上山荘の手拭いのデザインが素敵だったので買いました。愛でる。
・久々に恋バナをたくさんした笑
・EastとWestも右と左も分からないさらごん「Eastは左だから東」
◯佐藤
・人生で一番強い風だった。稜線上の風の恐ろしさを体感した。横岳〜硫黄岳が特に凄かった。3人で無事下山できてホッとしている。桜平近くでは緊張が解けてひとり泣きそうだった。頼りになる先輩二人と一緒だったから乗り越えられた。感謝しかないです。見守ってくださった在京の清野さんもありがとうございました。みなさま、今までもこれからも大好きです。
・疲労感を風のせいにしたいところだが、自分の弱さもある。体力技術ともに研鑽を積みたい。
・テン場でいっぱい遊んだ。平和で幸せな時間だった。
・赤岳山頂が晴れて嬉しい(4度目の正直)。1ヶ月に3回赤岳に登ったが、決してイカれている訳ではありませんっ。
・きつねさんとりすさんに会えた!
・耐熱袋を破っておかゆにしてごめんなさい。
・二日目から携帯のyamapアプリが開けなくなった。おんぼろiphone11も寿命か。
・山行記録クイズ楽しい。