2024/10/26-27 鳳凰三山(谷川馬蹄形転進案)
鳳凰三山(谷川馬蹄形転進案)計画書 第一版
作成者:油井、佐藤
■日程 10/26-27(土-日) 一泊二日 予備日なし
■山域 南アルプス
■目的 登頂
■在京責任者 清野
■在京本部設置要請日時 10/27 20:00
■捜索要請日時 10/28 9:00
■メンバー ( 2人)
CL 佐藤 SL 朱
■集合
8:50 甲府駅南口バスターミナル1番乗り場
7:06 高尾発→8:38甲府着 学割で1210円
(特急の場合、7:00 新宿発→8:27 甲府着、乗り遅れた場合7:15 新宿発→9:01 甲府着もある)
■交通
□行き
9:05 甲府駅→10:17 夜叉神峠登山口 山梨交通 南アルプス登山バス 1760円
□帰り
15:00 青木鉱泉→15:55 韮崎駅 タクシー約8800円
0120-69-2235韮崎タクシー受付時間5:00-26:00
■行程【13:27/17.7km/△1979m/▽2278m】
〈1日目〉
(10:30)夜叉神峠登山口-1:15-夜叉神峠-0:05
夜叉神峠小屋-1:25-杖立峠-1:30-苺平-0:35-南御室小屋(7.6km/up1265m/down217m/計4:50)
〈2日目〉
南御室小屋-1:10-砂払岳-0:05-薬師ヶ岳小屋-0:10-薬師ヶ岳-0:40-観音ヶ岳-1:05-赤抜沢ノ頭-0:07-地蔵ヶ岳-0:50-鳳凰小屋-4:30-青木鉱泉(10km/up714m/dowm2060m/計8:37)
■エスケープルート
・南御室小屋まで…引き返す
・南御室小屋から薬師岳…南御室小屋まで戻って停滞or夜叉神峠に下山
・薬師岳以後…燕頭山経由で御座石温泉に下山
青木鉱泉への下山路はドンドコ沢沿いで渡渉箇所があるため、前日に雨が降るなどして増水が見込まれる場合は御座石温泉に下山する
■個人装備
□ザック □ザックカバー □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル □水 □行動食
□非常食 □ゴミ袋 □カトラリー(フォーク、スプーン類) □コッヘル(食器) □ライター □トイレットペーパー
□着替え・温泉セット□ヘッドランプ □予備電池 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書
□学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め (□モバイルバッテリー □サングラス □歯ブラシ
□トレッキングポール □サポーター/テーピングキット □熊鈴 □コンタクト/眼鏡)□耳(双耳峰)のついたカチューシャ
■地図
25000分の1:「北岳・甲斐駒」
山と高原地図:「鳳凰山」「夜叉神峠」
■共同装備
テント:ステラ4 No.2 佐藤(裏越後から)
なべ:桜 佐藤(裏越後から)
ヘッド:緑1 佐藤(裏越後から)
カート大1 佐藤(裏越後から)
調理器具セット:ディド 佐藤(裏越後から)
救急箱:アゲハ 佐藤
■食当
夜:朱(大豆ミートで担々麺)
朝:佐藤(パックごはんで雑炊)
アレルギー等:ナッツ、豆乳、桃、メロン、サクランボ、大量のきのこ
■遭難対策費
200円×2名=400円
■悪天時
前日12時までに判断
青木or御座石の判断:前日までの降雨状況を勘案
■施設情報
□山小屋
・夜叉神峠小屋
テント1名/500円要予約
・南御室小屋 090-5561-1242
テント1名/1,000円 1張/1,000円 予約不要
素泊まり5,000円要予約
・薬師ヶ岳小屋 090-3406-3404
テント場無し、天水タンクあり
素泊まり7,000円要予約
・鳳凰小屋 Tel 0551-27-2466 (8時〜19時)
テント場休業中、素泊まり8000円
□水場
南御室小屋、(薬師ヶ岳小屋)、鳳凰小屋
□トイレ
南御室小屋、薬師ヶ岳小屋、鳳凰小屋、青木鉱泉にあり
□温泉
青木鉱泉、御座石温泉、むかわの湯
■電波情報
docomo:夜叉神〜杖立峠、苺平周辺、南御室小屋〜地蔵岳、鳳凰小屋〜南精進ヶ滝、青木鉱泉周辺は利用可能、以上の区間以外は一部利用可能
au:観音ヶ岳山頂、鳳凰小屋と稜線上
■備考
□日の出日の入り(鳳凰山、10/26)
日の出 6:03
日の入 16:53
□連絡先等
山梨県警南アルプス警察署 055-282-0110
山梨県警韮崎警察署 0551-22-0110
山梨県警北杜警察署 0551-32-0110
韮崎タクシー 0120-69-2235
山梨交通 http://yamanashikotsu.co.jp/route_bus/route_sp_info/hirogawara/
山梨中央交通 http://www.y-c-k.com/tozan.html 055-262-0777
山梨第一交通タクシー 055-224-1100
御勅使タクシー 055-285-0308
10/26-27 鳳凰三山(谷川馬蹄形転進案)記録
作成者:油井、佐藤
■日程 10/26-27(土-日) 一泊二日 予備日なし
■山域 南アルプス
■天気 1日目曇り、2日目晴れ
■メンバー
CL佐藤(46) SL朱(45)
■共同装備(持ち出し→山行中と持ち帰り)
テント:ステラ4 No.2 佐藤→佐藤
なべ:桜 佐藤→佐藤
ヘッド:緑1 佐藤→朱
カート大1 佐藤→朱
調理器具セット:ディド 佐藤→朱
救急箱:アゲハ 佐藤→朱
■総評
天候に恵まれ、青空の下での稜線歩きを楽しめた。反省点は一度正規登山道から外れてしまったことだ。すぐに気づいて登山道に戻れたが、視野を広く持ちたい。谷川馬蹄形はいつかリベンジする。
■タイムスタンプ
1日目
10:40夜叉神峠登山口
11:34/11:51夜叉神峠小屋
12:55/13:11杖立峠
15:05南御室小屋
2日目
4:59南御室小屋
5:51/6:19砂払岳
6:27/6:36薬師岳
6:57/7:17観音岳
8:09赤抜沢ノ頭
8:35/9:10地蔵岳
9:33/9:52鳳凰小屋
13:12青木鉱泉
■ルート概況
・夜叉神峠〜南御室小屋: 危険箇所はなく、ひたすら樹林帯歩き。急登もない。南御室小屋は電波が入らないが、小屋より2分手前のスポットで電波がよく通じる。南御室小屋のテン場はほぼ芝生で、整地せずに寝られる。
・南御室小屋〜砂払岳: 徐々に斜度が上がる。前半は土の坂、途中から岩が出てくるが手を使うほどではない。岩は脆くない。
・砂払岳〜薬師岳: 砂地を歩くが滑りやすくはない。展望よし。
・薬師岳〜地蔵岳: 砂地と花崗岩の岩。展望よし。
・地蔵岳〜鳳凰小屋: 地蔵岳直下の砂地はサラサラしており、1歩進むと1.5歩進む感覚。もしここを登れば1歩進んで半歩下がるだろう。途中から樹林帯に入る。
・鳳凰小屋〜青木鉱泉: 樹林帯歩き。渡渉箇所やロープが張られた岩場が複数ある。展望はほぼないが滝を見られる。落ち葉で踏み跡がわかりづらいがピンクテープやペイントが頻繁にあるので、昼ならば道迷いの可能性はほぼない。※夜明け前に登った方はルートファインディングに苦労したそうだ。
■山行記
1日目(佐藤)
初めての2人山行。初めての泊まりCL。緊張しつつもオベリスクを楽しみにウキウキした足取りで家を出た。高尾駅でこなみさんと会い、今回の山行は女子旅みたいだ、とわくわくを共有した。先週の両神山ハイクの話を聞き、マシュマロを焼いてみようと思い立つ。甲府駅のファミリーマートに寄ったが見当たらず…。来週の金峰瑞牆も一緒に登るのでそのときのお楽しみということに。
今年2回目の南アルプス登山バスに乗り込む。増便して2台のバスが出ていた。白峰三山縦走のときのようなアトラクションを期待していたが今回の運転は穏やかだ。少しガッカリ。1時間半ほどバスに揺られて夜叉神峠登山口に到着。早速カチューシャを装着した。大きいザックと不釣り合いで笑ってしまう。
10:40、テンション高めのミニー2匹が出発。共同装備を2人で分担するのは初めてで、ザックがいつもより重い気がする。しかし丸ごとテントを持っていることに興奮していた。体力温存のためペースを抑えながら歩いていく。
夜叉神峠で一気に展望が開け、白峰三山含む南アがよく見えた。2ヶ月前、白峰三山縦走中にオベリスクが見えて鳳凰三山モチベが上がったので、今日逆側から眺められていることが感慨深い。パンプキンの帽子を被った仮装仲間を発見。こなみさんが、一緒に写真を撮りませんか?と誘い(大胆!)、仮装4人の謎集合写真が出来上がった。
南御室小屋(みなみおむろごや)の道は総じて歩きやすく、話が弾む。4時間ほど話し続けていたのだがほとんど内容を思い出せない。山行中の会話などきっとそのようなものだろう。計画書提出のガイドラインについて議論した覚えはある。
苺平で辻山に行くかどうか話し合った。南御室小屋までの通り道にあるようにも見えるが、計画書のコースタイム的には行程に含まれていない。(事前に確認しておくべきだった。谷川馬蹄形に気を取られすぎていた。申し訳ないです。)辻山に行けば計画書無視に当たると判断し、今回は最短ルートで小屋に向かうことにした。雷鳥で今度鳳凰に行くときは辻山も入れておいてください。展望がいいらしい。
南御室小屋手前で変な看板を見つけた。「山を汚す登山者は猿より頭の毛が三本?」と書かれている。意味不明です。
15時すぎに南御室小屋に到着。そこそこいいペースで歩けたのではなかろうか。カラフルなテントたちがすでに15張くらい立っている。受付をすると、小屋のお兄さんがテン場代を1000円まけてくれた。有難い限りである。
水が美味しい!さすが南アルプスの天然水。水量も豊富だ。東京の水をその辺の木々にプレゼントし、全て美味しい水に入れ替えさせてもらった。
16時から夜ご飯の準備を始める。今夜はこなみさんによる担々麺。たっぷりの野菜と大豆ミートが入っていて満足感があった。野菜のシャキシャキ音が嬉しい。冷え込んでいるのですぐにテントに帰った。夕飯後に非日常を堪能しながらまったりする時間が好きなのだが、この季節になるとなかなか厳しい。青いミノムシ(寝袋に入った姿)は足の裏にカイロを貼って就寝した。おやすみなさい。
2日目(朱)
夜はなかなか寝付けなかったが、山の中だとスマホをいじらずになんとか時間をやり過ごせる。気付いたら寝ていて起きたときは4時6分だった。少々寝坊。焦らずでもできるだけ素早く片付けてテントを出る。相方はいつも早くて見習いたい。
星空が目に飛び込んでくる。晴れていて嬉しい。このまま晴れのうちに鳳凰三山を廻りたいななんて淡い期待は叶うかもしれないから期待しておくものだ。
3人いれば1人が食当、残り2人がテントの片付けをできるが、今回は2人しかいないので分担が難しい。お湯を沸かしている間に2人でテントの片付け。やっとステラ4の畳み方を覚えた。半分3回に最後に三つ折り。幸い濡れていなかったので地面で包めた。
朝ごはんはたまごとワカメのおかゆワカメ増量(残り少量ワカメを全て入れたため)と、魚肉ソーセージ。寒い朝に温かいおかゆがしみる。シンプルな味が美味しい。
夜は寒かったが着込んだら問題なかった。さらごん(佐藤)も裏越後で寒かった反省を生かし、カイロを活用して今回は暖かく眠れたようだ。
起床1時間で出発。あまり急がなかったが早く出れて良かった。
最初は樹林帯を進む。夜明け前は急な道も先が見にくいからついペースが速くなってしまいがちだ。今日はちょうどいい時間のタクシーが取れず、下山後3時間ほど待つ予定であった。これは記録を書くいい機会だということで、今日中に記録を流して、おそらく最速で記録を流してみようと意気投合した。
歩き始めてすぐにオレンジ色が木々の間から漏れてきた。日の出が近い。歩き続けること1時間弱、時刻は日の出10分前、タイミングを合わせてやってきたかのようにちょうど稜線に出た。あと5分ほど歩けば砂払岳ということで、頂上で日の出を見ることに。東を見ればオレンジ、黄色、淡い水色とグラデーションの空に、雲海を突き抜けてそびえ立つ富士山。西を向けば南アルプスの山々が間近に感じられる。なんと贅沢な景色だろうか。雲の縁に炎のような赤い光が差す。日の出は早い。あっという間に太陽が頭を出し、明るくなってきたと思っていた空を圧倒的な光量で照らし、先ほどまでの明るさは前兆に過ぎなかったと認識させられる。日の出は何度見てもその美しさに惚れ惚れする。生命力に溢れていて、毎日訪れる”誕生”のようだと思う。太陽はみるみるうちに空を昇っていく。
風はほぼなかったので前日同様カチューシャをつけたまま進む。特別感があってテンションが上がる。ときどきすれ違う人に反応してもらい嬉しかったが、後にこれが遭難捜索に役立つのではと気づくことになる。
ところで樹林帯を抜けてからは景色が一変する。木はところどころにある低木やハイマツのみで、白い花崗岩が稜線一帯を覆う。いかにも燕岳を連想させる。山の上のビーチという表現がよく似合うその景色は、山の上だ、と山に行かない人に説明しても信じてもらえないような異質さだが、ハイマツの緑や紅葉と白のコントラストがとても美しい。
薬師ヶ岳小屋で、ここ周辺は熊が出ないので熊鈴は外すようにと張り紙があった。さらごんはいつも持ち歩いているステゴザウルスのぬいぐるみが鈴の消音の役割をになっているそう。いつもステゴザウルスは軽量化には違反するなどと言っているが、実際役に立っているのではないか。
薬師岳まで少し歩くかと思ったが、砂払岳ですぐ横に見えていたピークが薬師岳であった。振り向くと太陽は既にちょっと高い位置にいる。富士山頂上に小さいレンズ雲が見える。偏西風を感じながら、これは育って大雨を降らす笠雲になるのだろうかなんて考えた。
山頂からは北岳、間ノ岳、農鳥岳に、甲斐駒、仙丈、さらに八ヶ岳が一望できる。9月に登った赤岳を眺めて感慨深い気持ちになる。目を凝らせばさらに遠くの山々も見える。空気の澄んだ朝の360度の大展望だった。この絶景によって幸せな気持ちに満たされたまま時は過ぎ、稜線歩きを堪能した。
登山道には霜柱があり、夜の寒さを物語る。霜柱は踏ん付けた時のザクザクした感触が気持ちいい。そういえば、10月末は例年なら雪が積もっていてもおかしくないのに、雪を全く気にせず来られたのは温暖化を悲観するべきか、運の良さを喜ぶべきか。でもやはり念願の鳳凰三山に来れて非常に嬉しい。
さらごんが遠くにお地蔵さんらしいものを発見する。ところがよくよく見てみたらそれが動く。どうやら赤い服を着た人をお地蔵さんと勘違いしたらしい。昨日も紅葉をツリーハウスだと見間違えてて、つくづく人の想像力はすごいしそれが面白いと思う。その後私たちは赤い服を着た人をお地蔵さんと呼ぶようになった。今日一番最後に見たお地蔵さん(またはおじさん)たちはオベリスクに登っていた。
観音ヶ岳の山頂手前でうさぎさんを見た!写真撮りたいと思ったのも束の間、山頂付近の人だかりから爆速で駆け降りてきたうさぎはさらごんの手前で困惑してぐるぐる廻り、またすぐに私の横を慌ててビューンと駆け去ってしまった。茶色いふさふさの毛に覆われてとてもかわいかったが、おそらく人に出会って怖い思いをしていたのだと思うと申し訳ない...
観音ヶ岳の下りで登山道だと思って進んでいたらかなりな急斜面に出くわした。考えてみればこれまで登山道だと思って進んできた道も急な斜面に木の根っこが不恰好に刺さっており整備されてなさそうだったかも。さすがに怪しいと思い地図を確認すると登山道から10mくらい?外れた場所だった。二人とも最近大変な道を経験しているせいで、道迷いを疑う感覚が鈍っている。危ない危ない。木の少ない斜面を登り正規の登山道に戻れた。ちょうどその道を通っていた人に心配されたが、たしかにコース外の林から大荷物を背負って(このルートは私たち以外にテント泊装備を背負っていた人は見かけなかった)出てきたディズニーのカチューシャを着けた2人を見たら、さぞかし山を真面目にやっている人には見えず、心配になるものだろう。
山の東側は低木、西側は岩と、稜線でくっきり分かれている東西の対比に、植生の面白さを感じた。稜線から伸びる斜面は平滑な砂礫地となっており、それは地面の凍結・融解の繰り返しによって、砂礫が斜面上で自然に転がる方向に移動することによってできたらしい。青天の下、白基調の山、そして東側の低木のところどころに黄色や橙色の紅葉が差し、その稜線を歩く登山道が見える。素敵な道だと思う。
無事、晴れている中、オベリスクを望むことができた。昨日からオベリスクを楽しみにしていたさらごんの嬉しいというエネルギーに影響されて私も嬉しい。花崗岩は節理(割れ目)に沿って風化が進み、後に風化物が洗い流されると岩体が残るらしい。花崗岩に縦の節理が発達してできたものがオベリスクという訳だ。
(地形に関する参考:https://iida-museum.org/user/nature/pics/hoo.htm)
地蔵ヶ岳にはたくさんの本物のお地蔵さんが並んでいた。釈迦ポーズで地蔵ヶ岳の看板とパシャリ。白い砂浜に座り涼しい風に吹かれながらの日向ぼっこはとても気持ちよかった。ある登山者が「どこまで登ったらオベリスク登ったことになりますかね?」とか聞いてきたが、いや、それは自分で決めることでしょと内心ツッコんだ。
薬師岳、観音ヶ岳、地蔵ヶ岳の鳳凰三山間は距離が短くアップダウンも少ない。縦走感は少ないが、独特な植生に最高の展望で充分楽しかった。
山頂直下の下山路はかなり急だった。サラサラの砂道のため、下りは一歩歩けばさらに半歩滑って進めるが、登りなら一歩進んで半歩歩くことになるだろうと話した。ここは登りたくないね。温かい太陽がなければ、白い砂に枯れた木は侘しい世界終焉のような雰囲気を醸していたのではないだろうか。
鳳凰小屋はしばらく改修工事中で昨日から通常営業再開したらしい。見るからに新築の小屋で、そばにいれば新しい木の匂いが香る。小屋の横にもまだ資材が積まれていた。私は目星をつけていたヤナギランの手ぬぐいを購入した。ビビッドなピンクが目を引く。
長いドンドコ沢コースの下山路でもところどころ雑談しながら歩いた。さらごんとは共感することが多くて嬉しかった。他にもがんや病気の研究者は意外と親族に患者がいない、疲れにくい歩き方、来年行きたい山に、山は修行僧みたいな部分もあるとか、みんなにレシピを共有ひろばに書いて欲しいとか、トピックは雑多で多岐にわたる。
最後の急な坂のつづら折りの道を超え、しばらく歩くと上高地のような沢沿いの整備された開けた場所に出た。人工的だからこそ整然とした寒色の白の塗装路に、沢の奥の山にはもこもことした紅葉樹の緑、黄、赤、橙、そして枯れ木の薄茶が本当にバランス良く配置していた。今は(さらごんの言葉を借りて)アフロな山も、1週間も経つと寂しくなってしまうだろう。今日何回目の絶景かしら。写真に収めたくても、画面に映る風景は現実の鮮やかさには遥かにかけ離れていた。秋に来る時には忘れずに見て欲しい、ここはドンドコ沢コース下山口手前、紅葉の穴場。
下山路は地図では現れないアップダウンが多く、思っていたよりは大変だったが、なんやかんや13時20分には下山し、構えていたほど辛かったり長かったりもしなかった。
私たちが15時にタクシーを予約できなかったということは、その時間にタクシーを予約している人がいるはずだから、あわよくば相乗りさせてもらえないかと考えていた。それでも基本はこれから3時間待ちかぁとまったりと過ごしていたら、通りすがりの人にカチューシャの人だ!とすぐ気づかれた。道を間違えた時に出会った人だ。無事に下山できましたーと会釈する。しばらくしてまた通りがかりの人に、カチューシャの人だ!と気づかれる。今度はどこで会った人か思い出せない。やはりカチューシャを着けているのは目立つ。覚えてもらえるという点でソロ登山の時とかに着けると遭難捜索に役立つのではとさらごんと話した。
そこで出会ったご夫婦はこれから帰宅だそうで、私たちはタクシー3時間待ちだと話すと、ありがたいことに彼らの車に乗らないか誘ってくださった。一度は迷惑かと思い断ったが、荷物整理が終わったあたりでまた声をかけてくださって、韮崎駅まで乗せていただくことになった。ご夫婦は昨年から山を始め、なんと雪山にも登っているらしく、写真を見せていただいたり、お話を聞いたりしているうちに私も雪山にも行きたくなってしまった。でもやはり装備が高いのが難点である。始めると結構ハマってしまうタイプで...と言う彼らは仲睦まじく、羨ましい限りだ。私は色々な年代の方が山をやっているのを見ると、いつでも山を続けられるんだなと励まされる。時間の節約かつタクシー代金が浮いたのはかなり大きかった。本当にありがとうございました!
■感想
CL佐藤
・ずっと見たかったオベリスクを見られた!
・山の中でうさぎさんに出会えて嬉しい。しかし、うさぎさんはニンゲンに驚いてキョドキョドしており、申し訳ない気持ちになった。
・仮装山行テンション上がりました。元々谷川岳が双耳峰だから双耳峰(耳)のついたカチューシャを持っていくことにしたという経緯がある。転進の鳳凰三山に耳はないが、ハロウィンが近いということで遊んでみました。
・初泊まりCLを無事に終えられて安堵しています。一緒に歩いてくれたこなみさん、助言をくれた先輩方ありがとうございます!女子旅楽しめました。
・自分が先頭でないとき、ただついていくだけにならないよう気を引き締める。暗闇の中の先頭で、ただの岩にビビって何度も足を止めてしまった。直したいけど暗いの怖い。
・馬蹄形も行きたいな。
SL朱
・ずっと行きたかった鳳凰三山にまさかこんな形で今年中に行けて、想定外に願いが一つ叶いました。個人的にはこれまで見てきた中でも一二に入る日の出でした。
・春には自信がなくて遠慮していただろう行程に気兼ねなく行けて成長を感じます。もっと足腰の筋肉を付けたいと感じたので、体力の改善に努めたいです。
・先頭なのに道を間違えてしまったのは反省です。もう少しこまめに地図を確認して気をつけて歩きます。
・行動の早さや山の知識など見習いたいことも多い素敵な相方に感謝です。女子旅テント泊、楽しかったです。