2024/12/31-1/1 山伏・八紘嶺年越し山行
山伏・八紘嶺年越し山行計画書 第3版
作成者:油井
■日程 12/31-1/1(火-水) 一泊二日 予備日なし
■山域 安倍奥(白根南嶺、身延山地)
■目的 登頂、初日の出
■在京責任者 斉藤
■在京本部設置要請日時 1/1 20:00
■捜索要請日時 1/2 08:00
■メンバー (4人)
CL 油井
SL 小田
◯ 朱
◯ 鈴木
■集合
9:10 静岡駅在来線改札
(9:25 東静岡駅北口ロータリー)
■交通
□行き
05:40 東京
↓JR東海道線
08:06/08:09 沼津
↓JR東海道本線
09:02 静岡
(小田急の場合:05:40 新宿→07:09 小田原、07:16発の東海道線で沼津へ)
※油井は帰省先から直行
静岡駅からはタイムズカーシェアで黄金の湯へ(45km 1時間15分)
ステーション:パルシェ立体(ゲート外・1F)←予約済み
8800円+距離料金(1800円程度)=10600円程度
※事前に八紘嶺まで行かないと判断した場合は車で山伏登山口駐車場へ
□帰り
車をパルシェ立体(ゲート外・1F)に返却
15:23/15:38/16:03/16:30 静岡→18:30/18:45/19:07/19:37 東京(熱海乗り換え)
■行程(ヤマレコ×1.0)
1日目
黄金の湯-(0:11)-新田バス停-(0:50)-大谷崩分岐-(0:09)-駐車場-(0:21)-山伏登山口駐車場-(0:04)-山伏登山口-(0:58)-大岩-(1:06)-蓬峠-(1:50)-西日影沢分岐-(0:12)-山伏避難小屋
【5:41/7.9km/↑1278m↓142m】
2日目
山伏避難小屋-(0:22)-西日影沢分岐-(0:14)-山伏-(1:02)-大平沢ノ頭-(0:17)-新窪乗越-(0:49)-大谷嶺-(0:40)-五色ノ頭-(1:02)-八紘嶺-(1:01)-富士見台-(0:30)-八紘嶺登山口-(1:00)-梅ヶ島温泉-(0:15)-安倍大滝入口-(0:39)-黄金の湯
【7:51/13.8km/↑728m↓1864m】
※山伏で初日の出
■エスケープルート
・山伏ピストン(山伏から黄金の湯まで3:41)
・大谷崩を下る(新窪乗越から黄金の湯まで3:20、雪崩の危険性があるので積雪時は×)
※梅ヶ島温泉.../13:30/15:31/17:51→新田黄金の湯.../13:35/15:36/17:56 250円
■個人装備
□ザック □ザックカバー □携帯トイレ(2つ以上) □シュラフ(3シーズン用) □マット □登山靴 □替え靴紐 □雨具 □防寒具(ダウンズボン推奨) □ニット帽 □ネックウォーマーまたはそれに準ずるもの □軍手/手袋(2セット以上) □タオル □水 □行動食 □非常食 □ゴミ袋 □カトラリー(フォーク、スプーン類) □コッヘル(食器) □ライター □トイレットペーパー □ヘッドランプ □予備電池 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め □替えの靴下
(□チェーンスパイク/軽アイゼン □モバイルバッテリー □サングラス □歯ブラシ □トレッキングポール □サポーター/テーピングキット □保温系インナー □ゲイター □ホッカイロ □熊鈴 □コンタクト/眼鏡 □着替え・温泉セット)
※最大限の防寒対策で臨みましょう(常に氷点下)
※運転する可能性のある人(油井・鈴木・朱・小田)は免許証・運転に適した靴必須、必要に応じて初心者マーク持参
◽︎救急箱(鈴木私物)
■地図
25000分の1:「梅ヶ島」
山と高原地図:「塩見・赤石・聖岳」
■共同装備 調整済み
テント(避難小屋内で幕営)
・エアライズ3 No.2:油井
・ステラリッジ3 No.1(お茶大):朱
なべ
・桜:鈴木
・小桜:鈴木
ヘッド
・緑7:小田
・緑12:油井
カート
・極寒冷地用×2:小田
調理器具セット
・キャサリン:鈴木
軽アイゼン
・スノースパイク6 No.4:油井
・SNOW SPIKE6 QUICKFIT (No.3):油井
・SNOW SPIKE6 QUICKFIT (No.1):鈴木
・SNOW SPIKE6 QUICKFIT (No.2):小田
■食当
夜:鈴木(肉鍋そば)
朝:朱(お雑煮)
アレルギー等:ナッツ、豆乳、モモ、サクランボ、メロン、大量のきのこ、柿
■遭難対策費
200円×4名=800円
■悪天時
前日までに判断
下界に積雪がある場合は中止
■施設情報
□避難小屋
静岡市営山伏小屋:定員20人
□水
小屋から5分下った地点にあり(冬でも完全には凍らない)
□トイレ
小屋内に携帯トイレブースあり、携帯トイレ必須
□温泉
湯元屋:11-16時 700円、静岡おでんが名物
黄金の湯:休業日
□電波
悪い、なるべく機内モードにして充電を保つ
■備考
□日の出日の入り(山伏)
日の出 06:47
日の入 16:54
□連絡先等
静岡中央警察署 054-250-0110
梅ヶ島駐在所 054-269-2033
12/31-1/1 山伏・八紘嶺年越し山行記録
作成者:油井
■日程 12/31-1/1(火-水) 一泊二日 予備日なし
■山域 安倍奥(白根南嶺、身延山地)
■天気 1日目:晴れのち雪、2日目:晴れ
■メンバー
CL油井(45) SL小田(45) ◯朱(45) ◯鈴木(45)
■共同装備
テント(避難小屋内で幕営)
・エアライズ3 No.2:油井
・ステラリッジ3 No.1(お茶大):朱
なべ
・桜:鈴木
・小桜:鈴木
ヘッド
・緑7:小田
・緑12:油井
カート
・極寒冷地用×2:小田
調理器具セット
・キャサリン:鈴木
軽アイゼン
・スノースパイク6 No.4:油井
・SNOW SPIKE6 QUICKFIT (No.3):油井
・SNOW SPIKE6 QUICKFIT (No.1):鈴木
・SNOW SPIKE6 QUICKFIT (No.2):小田
■総評
-11℃の寒さの中でも快適な避難小屋泊にて新年を迎え、天候に恵まれて富士山とともに初日の出を拝むことができた。また、稜線から移り変わる南アルプスの展望も楽しむことができた。万全の寒さ対策で臨んだつもりではあったが、靴下を2重にしても足先が冷えるなど冬山装備を持たない雷鳥の山行の限界を感じた。
■タイムスタンプ
1日目
黄金の湯-0:45-駐車場-0:15-山伏登山口-0:55-巨石-0:55-蓬峠-1:50-西日影沢分岐-0:15-山伏小屋
2日目
山伏小屋-0:15-西日影沢分岐-0:15-山伏-1:15-大平沢ノ頭-0:20-新窪乗越-0:40-大谷嶺-0:15-アザミ次郎ノ頭-0:15-五色ノ頭-0:50-八紘嶺-0:10-八紘沢の頭-1:35-ハイキング道入口
【13:42/19.3km/↑2087m↓1904m】
■ルート概況
・山伏への登山道は沢沿いから斜面と、尾根歩きが少ない
・静かな山域だがよく整備されており、人の営みの跡を感じる
・山伏から八紘嶺にかけての縦走路はアルプスの前衛峰の雰囲気で森が綺麗
・アップダウンはあるが細かい起伏で比較的なだらか
・倒木と雪でややルートはわかりにくい
・大谷崩あたりは登山道も脆く、落石に注意
・八紘嶺からの下りはきつい
■山行記
(1日目:油井)
朝6時の姫路駅は閑散としていた。まだ夜明け前なので姫路城は薄暗くてよく見えない。新幹線ホームにも待合室に入りきる人数しか待機していなかった。初電から2本目ののぞみに乗り込んで約450km先の静岡を目指す。新幹線を使って山行に参加するのは初めてだ。新幹線特急券は決して安いものではないが、一足先に祖父母から臨時収入をいただいたのでこれぐらいは良いだろう。20歳にもなってお年玉をもらって良いのかは怪しいところである。甘えられるうちに甘えるのか、少しは成長した姿を見せるのかという2択では前者を選んでしまう自分が情けない。
名古屋でのぞみからひかりに乗り換える。泊まり用ザックにスーツケース、サブザックと荷物が多いが特大荷物スペース付き座席を指定してあるので問題ない。もともとひかりは自由席にしていたのだが、指定席の新幹線から乗り継ぐ場合は自由席でも指定席でも値段が変わらないらしい。また一つ勉強になった。
8時半過ぎに静岡駅に到着。少しでも早く出発するために東静岡駅集合に変更したので1人車を走らせて集合場所に向かう。まだ1人分の荷物しか積んでいないというのに今回の相棒のシエンタくんは随分と重い。目の前には富士山が綺麗に見える。翌日にこれと一緒に初日の出を拝むのが待ち遠しい。翌朝は快晴予報なので絶景は確約されていた。東静岡駅の北口には送迎用の停車スペースとトイレが完備されており集合場所にはもってこいだった。なんとか全員分のザックを押し込んで安倍川上流へと向かう。山伏のある梅ヶ島は静岡駅や東静岡駅と同じく葵区内でありながら40kmも北に位置する山奥である。静岡南北道路というバイパスを抜けてからは安倍川に沿ってひたすら北上する道で基本は片側1車線確保されているが時には行き違い困難な隘路も存在した。車内では鈴木がひたすら喋り倒してくれているのでありがたい。多分運転手の自分以外、誰も眼前に迫る安倍奥の山々を見ていなかったのではないか。
1時間以上走って新田温泉黄金の湯に到着。休業日のため駐車場が閉鎖されていることを懸念していたが道の駅のような役割も果たしているのか開放されており、トイレも使えた。これはありがたい。手早く準備を済ませて登山口へと向かう。山伏だけに登るのであれば車道歩き1時間をカットして登山口に駐車できるのであるが、八紘嶺までの縦走ルートの場合、翌日の負担を軽くするために両登山口の中間に位置する黄金の湯に停めるのが合理的である。
茶畑に静岡を感じながらアスファルトの急登を終えて林道に入ると目の前にはサル。斜面を駆け下りていったかと思うとあっという間に川の対岸に。河原に群れがいたようで、続々と対岸の斜面を登っていく。こなみん(朱)は猿のように斜面を降りられるようになりたいとのこと。頑張ってください。林道沿いでは砂防ダムの建設工事がなされており、そのための仮設トイレが登山者にも開放されているようだ。少し行くと登山口と駐車スペースがあり、車が1台停まっている。バスアクセスを除けば入山者は1組だけのようだ。登山道は沢沿いに伸びており、程よく整備されていて歩きやすい。沢の周りにはワサビ田があってまたまた静岡を感じる。
しばらく歩いていると雪が舞い始めた。ここまでは全く寒くなかったがこの先は一気に冷え込むだろう。積雪が増えると厄介だが、メンバーは「粉雪」を歌い出すなど楽しそうだ。幸いにも霰のような雪だったためそこまで積もりそうになかったので一安心。蓬峠手前には崩落地をトラバースする区間があり、不安定な斜面の上で足場を確認しながら進む。蓬峠を過ぎると積雪があり、軽アイゼンを装着するか迷ったがこの先北側斜面と雪のない南側斜面を行き来するようなのでそのまま進むことに。しばらくするとようやく1人のおじさんとすれ違う。上に誰かいるか聞いたところ、誰もいないとのこと。この天候の中、八紘嶺から縦走してくる人はいないはずであるから小屋の貸切が確定した。毎年大晦日には何組か泊まっているようだったので嬉しい誤算だ。次第に積雪量が増え、トレースを辿りながら西日影沢分岐まで到着。ここから山頂までは10分だが翌日の楽しみに取っておく。登山道から小屋への分岐はわかりにくいが下に小屋が見えるので道っぽい場所を進む。
山伏小屋はテラス付きの立派な避難小屋だ。外に温度計が付いており既に-5℃を示している。小屋内には予想通り誰もおらず自身3度目の避難小屋泊にして3度目の貸切となった。寒さ対策として3人用テントを2張持ってきていたので設営するとサイズはぴったり。これ以上大きいと床の奥行きの関係で入りきらなかったので装備を再調整したことが功を奏した。3人用とはいえ正確には3-4人用であるので頑張れば4人同じテントで寝られそうである。どんな防寒具より人の体温の方が暖かいのだから4人密着して寝ることになった。テントが1張になったことでその分残りのスペースを広々使える。通路を挟んで両側に床が広がっているタイプの避難小屋だったのでテント側を調理場、反対側を荷物置き場にした。両側を行き来するのにいちいち靴を履くのは面倒なのでみんな飛び移っていたがそのうち誰かが怪我しそうで実に危なっかしい。備え付けのサンダルを足場にゆっくり渡る方が堅実である。
夕食は鈴木による鍋。氷点下でも手っ取り早く調理できるように野菜も肉も加熱済みのものを使うというのは賢い。ゆず酒で乾杯し、具沢山の鍋をいただく。これぞ避難小屋泊の醍醐味である。テント泊とはどこか違うこの雰囲気が好きだ。具を食べ終えると〆の年越しそばを投入。ここでアクシデント発生。かき混ぜているうちにバランスを崩し、鍋をこぼしてしまったのである。幸いにも誰もやけどせず麺も守り抜いたが、汁が半分ほど失われてしまった。小屋を汚してはいけないので丁寧に拭き取り、調理場を変えて加熱を再開する。日没後に水場に行くことは困難なので翌日の調理用・飲用の水のことを考えるとあまり水を継ぎ足すことはできない。やや少なめの水分量でそばを茹でたのでなんとも見た目の悪い年越しそばが完成してしまった。しかし、食べてみると味は美味しいし、茹で加減もちょうど良い。ビジュアル面での評価は低いも食におけるパフォーマンスである味は良いということで「ビジュパ」の良い年越しそばであった。2024年の大晦日に生まれたこの新語は2025年の新語・流行語大賞へのノミネートを目指している。勿論、見栄えが良いことに越したことはないが、山ごはんは温かくてエネルギーの補給になればそれで十分である。
食事を終えるとテントの中のシュラフに逃げ込む。既に室温は-5℃まで下がっているのだから無理もない。自分はテントシューズを履いていたからマシだったが、みんな足先の冷えに悩まされていた。この気温ではホッカイロは役に立たないようだ。テントの中はぎゅうぎゅうでシュラフの中に水などを避難させて凍結を回避しなければならないのでシュラフの中も可動域が狭い。3シーズン用のシュラフは-5℃まで対応しているから流石に中は暖かい。せっかくなので年越しの瞬間に一度起きることにして19時半に就寝。23:58にアラームで起きてカウントダウンをするつもりだったが、スマホで秒針を見ることができずしれっと年越しを迎えてしまった。昨年は横須賀の衣笠山で感動的に迎えた年越しは随分とあっけなく終わってしまい、再び眠りについた。きぬ爺、元気かな?(三浦半島年越しナイトウォーク記録参照)
(2日目:朱)
午前4時起床。シュラフの中は暖かい。窮屈ではあったが、暖をとるためにエアライズ3に4人で寝て正解だった。
水が凍らないようにシュラフの中に入れたままにするというので、シュラフとマットをテントから出しただけで、すぐに水を沸かし始めた。油井くんが温度計を確認したところ、小屋の中で-7度、外はなんと-11度だという。その数字を聞くだけで寒い。他の人がテントを片付け終わっても水は沸騰しなかった。冷凍庫の中でお湯を沸かそうとしているようなもん、という言葉にハッとする。冷凍庫で寝るという夏の夢が曲がりなりにも叶ったかぁ。水が沸くのを待てなくなって餅を投入する。噛み切れる柔らかさになったら、自然冷凍庫(小屋の中テントの外)に放置していた肉団子を入れる。冷凍肉団子により冷えてしまった汁をまた温めて、かまぼことわかめを入れたら完成。以前の山行で朝ごはんに餅を二つ食べたらお腹が結構膨れたから一人二つ分の餅しか持ってきていなかったが、自分の分を食べ終えてもまだ食べれそうだった。水と具材の量が少なかったか。次はもう少し多めに持っていこう。
朝食を終えて身支度をする。こんな寒い中でも6枚やそれ以上着込んでいれば寒くはない。だが、登山靴を履くために靴下は2枚までしか履けず、テントシューズのある油井くん以外はみな足先を寒がっていた。ホットカイロはただの冷たい酸化鉄と化しており、気休めにしかならなかった。
小屋の外にあるトイレに行く時に星を見る。風はあまりないから気温の差はそれほど感じない。冬の、寒さによって感覚が研ぎ澄まされる感じが好き。空気が透き通っているおかげで、星もすっきり見えるような気がする。
5時半に出発。空の端がかすかに色づいている。昨日歩いた分岐から避難小屋までの道はあまり目印がなく、暗闇ではルートを見つけるのが大変そうだと思っていたが、さすが先頭の油井くんは立ち止まることもなく、意外とすぐに分岐まで戻ることができた。
山頂まではもう少し歩くだけで、山頂付近では木道にな視界が開ける。手前には雪が積もった白いなだらかな斜面が広がり、目線の高さでは夜明け前の暖色から寒色への美しいグラデーションの空を背景に富士山が静かに佇んでいる。この絶景に感嘆の声が上がる。確かに絶景だったが、実は私は足先が冷たくて仕方がなく、足先のことの方が頭の8割くらいを占めていた。日の出まで20分あったので、メンバーたちはザックを置いて気ままに写真を撮ったり、南アルプスの方の山座同定をしたりしていた。私は足先の冷たさをどうにかしようと、靴下を脱いで足がまるで冷えピタかのように冷えていることを確かめたが、すでに靴下2枚にカイロ1つを貼り付けて登山靴に押し込んでおり、対処しようにも何もできず、結局2枚の靴下を入れ替えて暖かい方を下にしただけでまた登山靴に押し戻した。
しばらくするとナイトハイクしてきたのであろう他の登山者もやってきた。「明けましておめでとうございます」と期間限定の挨拶をする。期間限定なので今使わないともったいない気がしてくるのはかなりの貧乏性かもしれない。
もうすぐだ。一番見晴らしのいいスポットに並んでその時を待つ。地平線から赤い太陽がひょっこりと頭を出す。太陽の光が網膜に映り、眩しい。今年の初日の出である。
どこでも初日の出は美しいのだろうが、山で迎えるのはやはり一味違うのではないだろうか(考えてみたら下界で初日の出を見たことはない気がする)。山伏に来てよかった。富士山の横で、駿河湾の上に、日が昇る。雪道も、極寒の中での年越しもエキサイティングで楽しかった。年越しという少し特別な山行でなければ静岡にまで来ていなかったし、計画が立たなければ来ていなかった。へいすてぃ(鈴木)が、自分が計画していたら、年越しはもっと知っている山域の安心な山に行っていた。普段と違う経験ができたのも油井くんのおかげ、と言っていたが、私も全く同感。
山頂で電波が通じないことを小田くんが悲しんでいた。初日の出をリアルタイムで共有したかったらしい。樹林帯では通じなくても山頂では繋がるのがちょうどいいかもしれない。でも、オフラインになれるのも山のいいところである。デジタルデトックスというと聞こえがいいが、私は下界の出来事を一旦忘れて現実逃避しているというのもある。
苦悩していた足先の寒さも、日が出てから気づいたら緩和していた。日の出前が1番寒かった。太陽は偉大。今回はギリギリ耐えたので、一般登山靴ではこの気温が限界だと分かった。
南アルプスの方の山座同定の予想を教えてもらう。大抵の山行では南アルプスを東側から見ているが、今回は静岡側から見ているので位置感覚がなかなか難しい。
匂わせ写真を撮影していたり、相棒のザックの写真を撮っていたり、みんなで集合写真を撮ったり。満足いくまで写真撮影をしたら、あっという間に視界の端まで登った太陽を横目に、出発。メインイベントは終わったが、この日はこの先が長かった。
だんだんと標高は下がっていき、しばらくすると雪はなくなった。比較的短いアップダウンしかないものの、ピークの度にかなりの急登であった。大平沢ノ頭まで行くと日本三大崩れの一つである大谷崩の崩れ具合がよく見えた。素人目に見ても分かる、大規模な土砂崩れが起きた地形、そして先輩に注意していただいた通り雪が積もっていたら雪崩が起きそうな地形だった。ちなみに大谷崩は1707年の宝永地震によって発生したとされている大規模崩壊地であり、標高2000mの大谷嶺から1億m^3を超える大量の土砂が崩れたという。
大谷嶺の手前も道はわかりやすく歩きにくくはないが、とにかく傾斜がきつい。ペースを落として、小休憩を挟みながら進み、大谷嶺登頂。ここは山伏より視界が開けていて180度のパノラマだった。雲一つない青空のもと、静岡の山が地平線まで延々と連なっているように見える。山深くて良い。右手には山伏も見える。
大谷嶺では眺望を示す看板があり、予想していた山の列が一つずつずれていたことが判明した。茶臼岳、聖岳、赤石岳、荒川岳と想像よりも南アルプスの南側がよく見えていた。北岳のとんがりは特徴的だった。遠くに小さく赤岳も頭をのぞかせていた。位置関係が分かると楽しい。笊ヶ岳って南アの手前の真ん中に見えていたあの山だったのかと記録を書いている今やっと気づいた。油井くんの今年の抱負は笊ヶ岳に行くことらしい。機会があれば行きましょう。と思って少しだけ調べてみたら一般的なコースは3000m上り、楽なのでも2000m上りのハードな山っぽい。気が向いたら、行く、かも。道中他の二人の新年の抱負も聞いたら、応援したいかわいいのを教えてくれたので、みんな頑張ってー!
八紘嶺手前でも急登が続き、道のりが長く感じた。へいすてぃが前を行って振り返る様子は奥穂を思い出す。年越し山行はゆるハイクとなることが多いから、こんなにしっかり登山するのは珍しい。元旦からこんなに登っていたら、今年はたくさん登り前進する年になるでしょう。少なくともその願いは込めた。私は760m上りの今回の行程で結構疲れて、3日後に控えている2000m上りの笹尾根はいけるのかと心配になった(n回目)。
なんだかんだ歩いていたら遠くに見えていた山頂も目の前にある。八紘嶺に到着して、個人的にはもう登りはないとやり切った気持ちになった。八紘嶺からの下りは進行方向に山並みが望めた。山伏から稜線をぐるりと周ったことに伴い、見える方向も変化していた。美しい富士山も見納めて、下山に入る。特別下りが長い訳でもない今回の山行でなぜか初めて下山が辛いという気持ちが分かったのだが、口に出さないようにしておいたら、へいすてぃが下りが長いなぁとポロッと言ってくれて、激しく同意した。「黙々と下る」とも言っていて、その心持ちが気に入った。これから使わせていただこうと思う。
八紘嶺は登山者も少ないと思っていたが、道も綺麗だったし、登山口付近は森も手入れされている様子だった。
登山口まで来ると下界に戻ってきたことを実感してきた。朝の寒さが嘘かのように暖かかった。といっても5度くらいしかなかったのかもしれないが。登山口近くには梅ヶ島温泉という小さな温泉街があり、地元の人には人気なのか結構車が来ていた。車を停めた黄金の湯までは徒歩1時間ほどかかり、先に温泉に入ると湯冷めしそうということで、先に駐車場まで歩くことにした。疲れた足に鞭打って歩く。へいすてぃと雑談をしていたら1日目に話したことと同じ話に結論付いていき、面白かった。1日目の話は結構本質的なことだったように思った。話していたらあっという間に駐車場に着いた。
まったり温泉に入り、梅ヶ島温泉名物のおでんをいただいた。時間に余裕はある気がしていたのに、気づいたら時間がなくなっていたらしく、静岡では浅間神社に行く時間もなくタイムズカーを返却。荷物整理などしているうちに電車の発車時間ギリギリになってしまい、結局は駅ホームへの階段を駆け上がり息切れしながら電車に乗り込んだ。この経験は雷鳥でしたことあるな笑。静岡は別の機会に時間を取って観光したい。静岡は東京から遠いのかという話になり、大月から新宿と熱海から東京の所要時間が同じくらいと考えると、静岡に行くのも中央線方面の山行とあまり変わらない気がした。
帰りの東海道本線ではボックス席に座り、荷物が席の上の網棚に入りきらなかったため、通路向かい側の網棚に小田くんのザックをのせた。はずだったのに、気づいたらザックがなくなっていた!小田くんにザックがないことを伝えると、彼はなんと向かい側の席に座った人が彼のザックを1号車の方に持っていくのを見ていたという。えっ、自分のザックが見知らぬ人に勝手に持っていかれたのになんで声もかけなかったの、盗まれてたらどうするのとか周りが心配になるが、本人は至って落ち着いており、あんなに重たいザックをわざわざ盗む人はいないのと、見つからなかったらJRに連絡すればいいという感じだった。たしかに一理あるが、普通はもう少し慌てないか。周りの促しもあり、小田くんが1号車の方まで探しに行き、2度目で車掌さんが持っていることが分かった。向かいの席に座った人が忘れ物だと思って車掌さんに届けたのだろう。しかし、網棚を使いたい訳でもなく、荷物が網棚にあったというだけで、あんなに重たいザックを移動させるのは変な人だった。何はともあれ、ザックが見つかって良かった。
■感想
CL油井
・今年も良い年にしたい
・二年連続刺激的な年越しのCLをやれて幸せ、次はどこへ行こうか
・とにかく末端を冷やさないようにすることが大事だと実感した、冬の山行は毎回登山用靴下二重にしようかな
・秒針がなくて年越しカウントダウンには失敗したが、年越しそばと雑煮で年越しらしさを演出してくれた食当に感謝
・山伏からの初日の出は絶景、南アも良き
・八紘嶺までの縦走路は細かいアップダウンが続いてやや長く感じた
・笊ヶ岳行きましょう
・静岡浅間神社に寄れず初詣の機会を逸しました
SL小田
・久しぶりの山行でした、油井くん計画ありがとう!
・年越しそばとお雑煮おいしかったです、鈴木くんと朱さんありがとう!
・避難小屋のなかでテントを張るのは新鮮でした
・頭と足を互い違いにして寝た方が快適だったかも
・天気が良くて最高の眺めでした
・わりと気持ちのいい縦走でした(今思うと)
・帰りの電車ではお騒がせしました
・佐藤さんこれなかったの残念
◯朱
・テントを丸ごと運べて嬉しい。持たせてくれてありがとう。
・雷鳥の山行で愉快な人たちと新年を迎えられてとても嬉しく思う。
・エキサイティングすぎたので来年は家でまったりするのもいいかも。
・YAMAPデビューした。写真あげるだけで位置情報も反映されるのが便利だった。
◯鈴木
・マイナス10℃で起きた時は、上半身8枚、下半身5枚着たけど、靴下は2枚で足先凍るかと思った。
・蕎麦の茹で汁は灰色でビジュアル悪い。
・不手際で鍋をこぼしてごめんなさい
・山頂からは絶景!初日の出もすばらしい
・縦走意外とハードだった
・油井くんいい山みつけてくれてありがとう!
・静岡はいつかきちんと観光したい
・今年もよろしくお願いします!