2025/5/4-5 大菩薩新歓合宿
大菩薩新歓合宿計画書 第2版
作成者:田中
■日程 5/4-5 一泊二日 予備日なし
■山域 奥秩父
■目的 新歓
■在京責任者 江川
■在京本部設置要請日時 5/5 19:00
■捜索要請日時 5/6 8:00
■メンバー
1隊 CL田中 SL牧原 +新入生3名
2隊 CL鈴木(悠) SL矢島 ⚪︎名手 +新入生4名
■集合
8:59塩山駅到着の中央線普通列車の車内
※遅刻厳禁!
■交通
▢行き
高尾 7:39 -JR中央線普通松本行- 8:59 塩山
塩山駅南口 9:30 -山梨交通バス※ 大菩薩峠登山口行- 9:57 大菩薩峠登山口 300円
※上日川峠バス停までのアクセス。交通にトラブルがあった場合などに利用する。
甲斐大和駅(8:10/9:20/9:50/13:50) -上日川峠(8:51/10:01/10:31/14:31)
乗れなかった場合はタクシー利用
(次のバスが11:20塩山駅南口発なので時間厳守)
▢帰り
大菩薩峠登山口-塩山駅南口 (11:57/13:33/15:00/16:03/16:43/終18:30) -
(12:24/13:56/15:27/16:30/17:06/終18:57)
大菩薩の湯-塩山駅南口(12:00/13:30/15:03/16:06/16:40/終18:33)-
(12:24/13:56/15:27/16:30/17:06/終18:57)
太字は大菩薩の湯を通ってから大菩薩峠登山口を経由して塩山駅南口へ
■行程
1日目
大菩薩峠登山口バス停(10:00発) -0:30- 駐車場 -0:18- 千石茶屋 -2:00- ロッヂ長兵衛 -0:36- 福ちゃん荘 (宿泊地)
【3:24(CT*1.2)/5.0km/△869m/▽60m】
2日目
福ちゃん荘 (宿泊地)(6:30出発) -1:24- 雷岩 -0:10- 大菩薩嶺 -0:10- 雷岩 -0:30- さいの河原避難小屋
-0:04- 親不知ノ頭 -0:12- 大菩薩峠 -0:01- 介山荘 -0:24- 熊沢山 -0:12- 石丸峠(9:37着予定・
9:57までに出発)-1:00- 小屋平バス停 -0:36- ロッヂ長兵衛(上日川峠) -1:36- 千石茶屋 -0:18- 駐車場
-0:24- 大菩薩峠登山口バス停 -0:18-大菩薩の湯
【7:39(そのうち休憩20分)(CT*1.2)/11.6km/△661m/▽1535m】
終了後大菩薩の湯入浴(任意)を予定
■エスケープルート
1日目何らかの理由で集合が遅れた場合
甲斐大和駅下車(LINEで通達)
甲斐大和(9:20/9:50/13:50)→上日川峠(10:01/10:31/14:31)(1020円)
行程
上日川峠バス停-0:36-福ちゃん荘
【0:30(CT*1.2)/1.0km/△136m/▽20m】
2日目行程を短くする場合
(A)大菩薩嶺まで
上日川峠に引き返す、そこで大菩薩の湯に行くかバスに乗って甲斐大和に行くかは状況次第
(B)大菩薩嶺
①丸川峠を通るルートへ
行程(大菩薩嶺から)
大菩薩嶺 -1:14- 丸川荘 -2:00- 駐車場 -0:24- 大菩薩峠登山口バス停 -0:18- 大菩薩の湯
【4:06(CT*1.2)/6.6km/△104m/▽1332m】
②上日川峠に引き返す、そこで大菩薩の湯に行くかバスに乗って甲斐大和に行くかは状況次第
(C)親不知ノ頭まで
上日川峠までの近道を利用
行程
親不知ノ頭 -0:04- さいの河原避難小屋 -0:30- 分岐 -0:24- 富士見山荘 -0:06- 福ちゃん荘 -0:30-上日川峠
【1:34(CT*1.2)/2.4km/△54m/▽416m】
(D)熊沢山まで
上日川峠までの近道(Cとは別)を利用
行程
熊沢山 -0:18- 介山荘 -0:48- 富士見山荘 -0:06- 福ちゃん荘 -0:30- 上日川峠
【1:42(CT*1.2)/3.3km/△55m/▽460m】
(E)小屋平バス停まで
①小屋平バス停で終了
②上日川峠に行く
(F)上日川峠から
そのまま進む
バス時刻表
タクシー料金
上日川峠→甲斐大和駅:約8500円
■個人装備
▢動きやすい服・・・原則として化学繊維のもの。乾きにくい綿素材は避ける。ジーパンはNG。怪我や虫刺され対策として、長ズボンやタイツを履くなどして肌の露出を少なくすると良い。また、気温の変化に備えて重ね着で体温調整がしやすい格好にすると良い。靴下はメリノウール素材などの登山用靴下を履いてくる(ワークマンなどでも買えます)
▢サブザック・・・小さいザック。必要最小限の荷物で山頂に登る時に用います。おそらく使わないので持っていなかったらなくても良い
▢リュックサック・・・いわゆる泊まり用のものにすること。装備購入会で買った人はそれを持っていこう。
▢登山靴
▢雨具・・・アウトドア店で購入したものを!
▢折りたたみ傘・・・下山後雨が降っていた場合必要
▢防寒具 ・・・ダウンジャケットとフリース(ヤッケ等でもok)、普通に寒いので寒がりの人は持って来れるだけ持ってくる
▢タオル・・・行動中使う短いもので大丈夫
▢飲み物・・・基本的には水。両日3L以上飲むことを想定して持っていくこと。二日目の水は福ちゃん荘で補給できるので3L持ってくれば良い
▢ウォーターパック・・・2L程度のものが望ましい、なければペットボトル4L分
▢水筒・・・ウォーターパックの水を移し替えるために使う
▢行動食・・・短時間でさっと食べることができるもの。菓子パンやスナック菓子でOK。一日目、二日目の昼食分はもちろん、行動中食べられるナッツなどがあると良い
▢計画書・・・これのこと。最新版を印刷して持参してください。
▢カトラリー(フォーク、スプーン類)
▢コッヘル(食器)・・・最初は山用でないタッパーなどでもOK。
▢シュラフ・・・忘れると寒すぎて死にます。
▢マット・・・忘れると背中が死ぬほど痛いです。
▢軍手/手袋
▢エマージェンシーシート(装備購入会でなくても100均で買えます)
▢ヘッドランプ・・・重要!!!夜の山中・キャンプ場は真っ暗です。ヘッドランプが無いとトイレに行けません!
▢予備電池・・・ヘッドランプの電池切れには備えましょう。
▢トイレットペーパー・・・重要!食事後にコッヘル・カトラリーを拭くのに用います。
▢地図・・・リンク。先の地図を自分で印刷して持ってきましょう。エスケープも印刷
▢ゴミ袋
▢筆記用具
▢学生証
▢保険証
▢常備薬
▢現金・・・交通費、下山後の温泉代など。念の為、想定される金額より5000円程度余分に持参しよう。
▢帽子
▢日焼け止め ・・・山ではあまり日影が無い場所を歩くことも有ります。日焼けを防ぐためにも忘れないように!
▢モバイルバッテリー
▢温泉セット・・・温泉行く人はタオルや化粧品があると良いです
(▢カメラ▢サングラス)
注意:ガサガサ音を立てないようにビニール袋ではなく、ジップロックに入れてくると良い
■地図
25000分の1:「大菩薩峠」
山と高原地図:「大菩薩嶺」
■共同装備(5+4+3)
テント(V6 No2):鈴木46
テント(エスパース):田中
テント(エアライズ4 No3):名手(甲州アルプスへ)
なべ(竹小竹):矢島
なべ(柳):鈴木46
ヘッド(午):鈴木46→新入生(甲州アルプスへ)
ヘッド(辰・寅):矢島→新入生
カート(5個、ガス少ないものから使う):矢島→新入生(甲州アルプスへ)
調理器具セット(ディド):名手→新入生(甲州アルプスへ)
救急箱(有紗):佐藤が大野山から→牧原(一隊)
救急箱(六次元):佐藤が大野山から(二隊)
救急箱(アゲハ):田中
救急箱(アゲハ・エーデルワイス):田中→鈴木46
■食当
夜 牧原
朝 佐藤
アレルギー等:
チーズ・バター(鈴木)
生卵(矢島、嶋)
モモ(佐藤)
コーヒー(田中)
■遭難対策費
200円×5名=1000円
※上級生のみ徴収。
■悪天時
前日12:00までに判断・LINEで共有
(悪天候時は4日に渋谷ノボロックでボルダリング会・食事会を行う可能性あり)
◼︎宿泊施設
・福ちゃん荘 幕営 500円+商品購入500円以上/人 60人程度 団体は予約必要
・予約完了
■施設情報
◻︎山小屋
・ロッヂ長兵衛 幕営 500円/人 予約不要
・福ちゃん荘 幕営 500円/人 60人程度 団体は予約必要
・介山荘 素泊まり 6300円要予約
◻︎避難小屋
・さいの河原避難小屋
◻︎水
・福ちゃん荘にて補給
◻︎トイレ
千石茶屋、ロッヂ長兵衛、福ちゃん荘、介山荘にあり。
◻︎温泉
・大菩薩の湯 営業時間10:00~20:00 3時間 700円(現金・交通系ICカード・QRコード決済可、モンベルカードで100円引)
■備考
◻︎日の出日の入り(5/5大菩薩嶺)
日の出 18:43
日の入 4:40
◻︎連絡先等
日下部警察署神金警察官駐在所 0553-33-4441
山梨県警察日下部警察署 0553-22-0110
福ちゃん荘 090-3147-9215
ロッヂ長兵衛 090-3149-0964
介山荘 090-3147-5424
牧丘タクシー 0553-35-2104
甲州タクシー 0553-33-3120
大菩薩の湯 0553-32-4126
大菩薩新歓合宿記録
作成者:田中
■日程 5/4-5 一泊二日 予備日なし
■山域 奥秩父
■天気
両日晴れ
■総評
晴れた中で合宿を行うことができた。両日ともに時間に余裕のあるスケジュールだったので、食事や休憩の時間を十分に取ることができた。特に二日目は快晴だったので雷岩から富士山や甲府盆地、南アルプスなどを一望できたし、大菩薩の魅力は新入生に最大限に伝わったと思う。今年もたくさんの新入生が雷鳥に入ってくれることを願いたい。
■タイムスタンプ
5/4
10:10 大菩薩峠登山口
11:00 千石茶屋
12:40 上日川峠着(2隊は体調不良者が出たため13:15)
13:20 上日川峠出発
14:00 福ちゃん荘
5/5
5:40 福ちゃん荘
7:00 雷岩
7:10 大菩薩嶺
8:00 親不知の頭
8:20 大菩薩峠
9:00 石丸峠
10:30 上日川峠
12:00 千石茶屋
12:30 大菩薩峠登山口
■ルート概況
大菩薩峠登山口→千石茶屋
一般道あるいは一般道に並行した登山道を進んでいく。坂道が急な箇所もあり、飛ばしすぎるとバテる恐れあり。また、一般道からそれに並行した登山道に入る地点を見逃しやすい(ただ見逃しても一般道を進んでいけば千石茶屋にたどりつく)
千石茶屋→上日川峠
勾配のきつい上り坂が続く。この季節だと気温もそこそこ高いので適度な水分補給が大事。一部暴落した箇所もあるが危険な箇所はなく、安心して進むことができる。
上日川峠→福ちゃん荘
上日川峠からの登山者が多く、軽装の人も多い。勾配もそこまできつくなく、一回ほど休憩すれば問題なく着ける。
福ちゃん荘→雷岩
勾配のきつい上り坂が続く。雷岩まではほぼ樹林帯。尾根なので景色が良い箇所がちらほらとある。また霜がとけているため地面がややぬかるんでいる。メンバーが転ばぬよう注意が必要。
雷岩⇔大菩薩嶺
勾配のゆるやかな樹林帯。朝は寒いので時間をかけないほうが良いと思われる。
雷岩→大菩薩峠
今回の山行で最も景色が綺麗な区間。富士山、上日川ダム、甲府盆地、南アルプスを一望できる。途中軽い岩場があるが、四肢を使えば新入生でも全然大丈夫。
大菩薩峠→石丸峠
集中した上り坂はこれが最後。亜高山帯の森林らしい森林を満喫できるのはここだけか。苔なども豊富に生えていて北アルプスの森林区間を思わせる。熊沢山を出るとすっきりした笹原が広がる。なお、熊沢山頂上は登山道からそれた場所にある。
石丸峠→上日川峠
案外長い。下り坂だけだと思いきや上り坂も多少あるので疲れた足だと案外疲れる。また、沢渡りがあるが、雨の後は増水の恐れあり。
上日川峠→千石茶屋→大菩薩の湯
前述の通り。特記する点があるとすれば、下りは千石茶屋まで1時間程で着く。(上りは1:30ほど)
■山行記
1日目(田中)
9時集合だと思ったら8時集合だった。計画書を覚え間違えていた。事前ミーティングで新入生に絶対遅刻するなと念押しをしていた自分が遅刻をした。なんで今日に限って遅刻をしてしまったのだろう。言い訳を一つや二つしないとメンツが立たない。電車が遅れたことにしようか、リュックを盗まれたことにしようか、でもそんな嘘すぐにバレる、正直に言うしかないか。寝坊して遅刻しました、そう正直に言おう。覚悟を決めたところで目が覚めた。時計の針は1時43分を指している。夢だったようだ。鼓動が収まるのを待ち、眠りについた。次に起きたのは4時30分だった。時計盤はちゃんと自分を起こしてくれた。蛇足ではあるが、「リュックが盗まれた」という部分については山伏・八紘嶺の記録をぜひ参照されたい。
正夢にならぬよう予定より一本早い電車に乗って、乗り換えに余裕を持って動くことにした。おかげで高尾に早く着き、始発の甲府行き列車で座ることができたのはとても良かった。新入生の中には塩山駅集合時刻に始発で間に合わないため車で来た子もいたが、その子も含め大菩薩峠登山口にはみんな時間通り来てくれた。装備を最近買ったのかピカピカの登山靴を履いている子も少ない。今日のために高価な装備を揃えてくれたと思うと、嬉しい感じる一方で、絶対楽しませてあげねばと気が引き締まる。当時の私は後者の気持ちの方が先んじていたようで、後から聞いた話だが、すーさんやかんなりにも緊張がバレていたらしい。ともあれ明日の午後には終わっている"タスク"だ。さっさと始めてしまおう。新入生には失礼極まりないが、そんな思いで私は歩き始めた。
大菩薩峠登山口バス停からしばらくは一般道を歩いていく。途中から一般道と並行した簡単な登山道を歩くが、特に危険な箇所もない。一隊は登山道の入り口を見逃し、しばらくして一般道から登山道の方へと軌道を移した。困ったことこそなかったもののルートの正確な探索には今一度注意を払っていきたい。千石茶屋を出るといよいよ本格的な登山が始まる。上日川峠までは2時間弱と決して短くはない。それに序盤は急勾配が続く。新入生がバテぬようゆっくりと休憩をとりつつ先へ進んでいく。気温が高く日差しも木の間から容赦なく降り注ぎ、我々は汗を流しつつも進んでいく。新入生も一隊に関してはみんな元気なようだ。安心して少し周囲に目を遣ると、木々が新入生のようにフレッシュな黄緑色の葉をつけている。夏の青々とした森とはまた違った美しさがある。新緑の季節に山を登ったことはあまりなかったので、この季節に山を登るのがこんなに楽しいのかと実感することができた。来年もぜひゴールデンウィークは山のために空けておこう。
上日川峠に着いたのちLINEを見てみると二隊の子が体調不良を起こしたという旨の連絡が目に入った。せっかく装備の準備をして山梨県まで来てくれたのに気の毒であることこの上ない。上日川峠で下山するとのことで、そこまでは頑張って来てもらうことにした。途中立ちくらみもあったようだが、本人が登山経験者ということもあり、一隊が上日川峠に到着してから約40分後に二隊が上日川峠に無事到着した。本人も甲斐大和駅までバスに乗るということでそこで一件落着。普段のテント泊では途中離脱ができないので、新歓が大菩薩で本当に良かった。山の中腹までバスが走っているために様々な難易度のコースがあることも大菩薩峠の強みの一つなのだろう。
上日川峠から福ちゃん荘までは30分ほど整備された登山道を歩くだけである。上日川峠から登りはじめたと思われる軽装の登山者も多く見られた。挨拶を交わす頻度は増えるし、登山道も森の中の急騰から笹原へと変わり全体的に明るくなった。そうしていくと福ちゃん荘に辿り着き、笹原以上に明るいご主人が出迎えてくれた。
福ちゃん荘では受付を済ませたあとすぐにテントを張るつもりだったが、5分後に福ちゃん荘の料理のラストオーダーが14時半ということで先に腹を満たすことにした(福ちゃん荘に着いたのが14:15)。みんな思い思いの商品を注文し、それができあがるのを待つ。そして早く届いた人から順に黄色い声が上がっていく。私もモツ煮を頂いたがご飯が横に置きたいような絶品であった。みんなすっかりくつろいでおり、これからテントを立てるのを若干億劫がっているようだ。だからテントは上級生が立てるから新入生のみんなには休んでもらおう。そんな甘い世界はない。全員が食事を終えたタイミングで荷物をテン場に移し、上級生はザックからテントを取り出す。そして、テントの建て方を新入生に教え、みんなで設営を行った。設営に入ると新入生はサクサクと仕事をこなし、30分ほどでテントは建て終わった。上級生顔負けに仕事を我先にやる姿には今後への期待をしないわけにはいかなかった。彼らと夏山に登るのが待ち遠しい。食事の時間までもまだ時間が残っているのでテントでトランプをして時間を潰すことにした。新入生との仲を深められる時間になって何よりであった。
食事の時間になると食当の牧原が用意を進めていく。ここでも新入生のイケメンぶりは一人前の雷鳥人だった。やはり類は友を呼ぶのだろうか。もしかすると現会員も生まれながらのイケメンにして生まれながらの雷鳥人なのかもしれない。夜ご飯のミートソースは最高だった。持って来てくれた粉チーズもパセリも良いアクセントとなっていて、ミートソースが美味であったのは言わずもがなである。しかもこのミートソースは厚くて量も十分であった。山では贅沢な食事である。ちなみに量に関しては全体CLが多めに持ってくるようお願いしたという経緯があり、全体CLの手柄であることも忘れてはならない。食事を食べ終え、装備を片付け終わった頃には日もかなり傾いており、私たちは急ぎつつ歯を磨いて自分たちのテントに入った。無事山行を終わらせられますように。
2日目(名手)
初めてのテント泊。寝袋には入ったが、なかなか眠れない。時々一陣の風が吹いてきて、テントの周りの木々を揺らしている。隣でかんなりはぐっすり眠っているが、おそらくたなしょーとすーさんは眠っておらず、時々ガサゴソと動く音が聞こえる。なんども寝返りを打って寝やすい姿勢を探し続けて早n時間(時計を見ていなかったため不明です)。ようやく眠りにつくことができた。
夢を見たり、何度か起きつつも、翌朝三時にアラームの音で起床し、寝袋から出た。まだ空は暗かったが、期待していた星空はあまり見えない。ただ、大菩薩峠の稜線のすぐ上からちょうど金星が顔を出したところで、きれいにまたたいていた。そんな光景を見ているうちに、他三人はあっという間に寝袋とマットを畳んでいることに気づき、急いで自分の荷物を片づける。お互いに会話は少なく、黙々と手早くテントを畳んでいく。さながらプロである。ちょうど食事担当の牧原さんが調理器具と食材を持ってテントから出てきた。昨日水を組んでおいた鍋をガスボンベの上に置き、温め始める。そんなこんなしているうちに、あっという間に空も明るくなっていた。朝四時にこんなに空が明るいことを初めて知った。
ちょうど一年生たちも起きだしていて、「もうみんな起きていますよ」と言って、一緒にテントを片づけてくれた。みんなで鍋を囲んで、餅in味噌汁ができ上がるのを待つ。事前に聞いていた通り、朝はとても冷え込んだ。出来上がった味噌汁が身に染みた。餅ももちもちで、最高の朝ごはんだ。食事が終われば、みな自身の荷物を整えて、出発の準備をする。朝五時半。予定よりも早く出発できそうだ。
トイレで用を足してから、一隊、二隊の順に出発していく。唐松尾根は最初はゆるやか。天然林の間を歩きながら、隊列の先頭でペースを刻んだ。途中から勾配が厳しくなる。しばらく上ると、後方に木々の間から富士山が見えるようになった。南アルプスと甲府盆地も見えてきて、皆一時止まり、風景を写真に収める。昔は遠くの山々を見るのが好きだったけど、今はその手前に広がる盆地とか、さらにその手前の山の木々にも目が向くようになった。再び動き出し、急登を登っていく。途中で休憩していると、お父さんと小学生ぐらいの娘さんが元気に追い越していった。いいな。さらに上っていくと、途中で景色が開けた。息をのむ。空気が澄んでいて、富士山がたくさんの雪をまとって凛としてすそ野を広げている。生まれてから何度も富士山を見てきているが、こんなに風格のある富士山は初めてだ。すーさんがかたくなに、「俺は山頂につくまで富士山を見ない!」と主張していたが、さすがにこの絶景を見ないのは損である。山頂についたら雲がかかってしまっているかもしれないのに。気づいたらとなりから「あー絶景!」というすーさんの声が聞こえてきた。さらにさらに登る。霜柱で足を滑らさないように登っていくと、南アルプスも見えてくる。雷岩ももう、すぐそこだ。
雷岩につくと、一隊がすでに到着しており、岩の上で休憩をとっていた。二隊も合流し、集合写真を撮る。一年生だけにも並んでもらい、富士山と南アルプスが背景に入る形で写真を撮った。なんかエモい。風景を楽しんだら、一隊と合同で大菩薩嶺に向かう。こちらは先ほどまでと打って変わってモミの木(おそらく)などが多い森の中を進む。あっという間に大菩薩嶺に到着。日本百名山の一つでもあるが、木々に囲まれ、眺望はあまりよくない。記念撮影をしたり、他の登山客の方の記念撮影を手伝っていたら、ここでアクシデント。なんと大菩薩嶺、と書かれた山頂の標が倒れてしまったのだ。どうやら石ころで支えて固定していたようだ。標を立て直し、滞在時間も短く、雷岩へと戻る。ここからが稜線歩きだ。右手に富士山を望みながら、大菩薩峠に向けて開けた稜線を歩いていく。ここから先頭はすーさんとなり、快調に飛ばしていく。ところどころ岩場となっていたが、大きな問題ともならなかった。少しずつ、気温が上がり、朝にできた霜柱が溶けて道の所々に水たまりができていた。
大菩薩峠に到着し、しばし休憩をとった。その後、熊沢山に向かう。ここからは、自身にとっても以前大菩薩峠に来た際には通っていない区域である。先ほどまでの開けた光景とは打って変わって、天然の針葉樹林が広がる。心なしか空気も涼しく感じた。熊沢山の急登を登りきると、森の向こうに笹原が見えた。今回の山行のハイライトでもある石丸峠が見えてきた。さらに進むと、あたり一面はクマザサだらけ。右手に富士山を望みながら、笹原を下っていく。なんとも言葉でうまく表せないが、この笹原の開けた感じが、好きだ。石丸峠に着き、仰向けに寝転がる。太陽の光が温かい。道の分岐に目を向けると、たくさんの登山客が道を行きかっていた。遠く熊沢山の上から笹原を人が下っていき、峠であちらからきた登山客とすれ違っている様子が、風情を感じさせた。「山」というのはたいていどの山頂にも機械的に名前が割り振られるが、「峠」というのは、人間の活動に関連のある場所に名前が付けられていくイメージがある。どこかの日本昔話でも、旅人が峠の近くで妖怪に出会ったみたいなお話を聞いたことがあり、峠には人間の営みが紐づいていることがわかる。ただひたすらに峠と笹原を満喫する時間であった。
石丸峠から上日川峠までの道のりは、長かったがとても味わいのあるものだった。まずは笹原や森の間を等高線に沿って進む気持ちの良いルート。前方に南アルプスを望みつつ、あたたかな空気の中を進む。その後標高を下げていき、明るい森の間を進む。途中で沢に出会った。キラキラと輝く砂金のようなものが沢のそこに見えた。途中から、モミの木も見られるようになってきた。モミの木が群生している区域は、ほかの区域よりも緑が濃くなる。黙々と足を進めていき、最後に多少登りつつ、上日川峠に到着。一隊にそこで会えると思っていたが、ちょうど三分前に出発してしまったようで、会うことはできなかった。
栄養補給を十分にしたら、最後は登山口まで下っていく。行きはゆっくり登っていった道を新緑の中、速いペースで降りていく。隊のメンバーと話しながら下ることおよそ一時間。無事千石茶屋に到着することができた。一足先に着いた一隊がほうとうを注文して待っていた。自分たちもほうとうを注文し、店主のおじさんともお話しつつ、ほうとうが出来上がるのを待った。店主の方は北アルプスやニュージーランドの山に登ったお話を写真を見せつつ教えてくださった。その後、待望のほうとうを食べながらゆっくりしていると、帰りのバスが数十分後に出発であることが判明。店主の方にお礼を言い、再び速いペースで登山口バス停へと向かう。途中で直接帰宅組と温泉組にわかれて解散。僕とすーさん、そして一年生数人は温泉へと向かった。
温泉にばっちりつかり、ロビーで牛乳を飲みながら一時休憩。その後バス、電車と乗り継いで帰宅した。ゴールデンウィークということで、おそらく一年で一番にぎわう時期でもあり、帰りの電車で座ることはできず、帰宅後に思ったよりも疲労がたまっていることに気づいた。しかし、その疲れに見合う、充実感のある山行であった。
■感想
CL田中
・無事終えられて何より、自信がつきました
・緊張してたのバレてましたか笑
・晴れた日の山行はやっぱり最高!
SL鈴木
・共同装備の鍋を忘れてしまった。人数が減らなかったら確実に足りなかったので、猛反省。直前(2日前)に装備が変更されたため、忘れてしまっていたのが原因。
・石丸峠で5分ほど寝っ転がって目をつぶった。目を開けると、最初は前世紀のフィルムのようなモノクロな景色が広がり、次第に鮮やかな色が灯った。あの感覚は忘れられない。
・ミートソースパウチを湯煎して、そのまま各人のコッヘルに入れ、茹でたパスタを入れて食べるというのは、逆転の発想で面白かった。湯煎なら鍋を拭く必要もないし天才ですね。
・帰りの電車が満員で座れず、新入生たちは辛そうだった。ゴールデンウィークだからどうしようもないよね。
○牧原
・半年以上振りに泊り山行に参加しました。去年も新歓で行きましたが去年雨で断念したルートを今回通れて良かったです。
・食事が余らないかずっと不安だったが新入生含めみんな沢山食べてくれてホッとした。インスタントみそ汁の具は予め個包装を開けてまとめておけば良かったと反省した。
・CLお疲れ様です。夕方から声を小さくするように声かけてくれたおかげでテン場でのマナーをちゃんと守れていたと感じます。上半期反省会で学んだ反省を活かしていてさすがと思いました。
・2隊構成だったが、休憩地点などでこまめに現状報告をしあえたのが良かったと思う。
・トランプ楽しかったです。またやりたいです。
○名手
・自分にとっては初の泊り山行でした。CLお疲れ様です。晴れてよかったね。
・富士山も南アルプスも見れて最高でした。個人的にはアルプスのふもとに広がる甲府盆地も好きです。石丸峠もよかったです。クマザサが広がり、登山客が行き交う様子は、どこかの日本昔ばなしで描かれた峠の描写にも重なりました。峠ってロマンですね。
・森林、クマザサの草原と、山の表情がどんどん変わっていき、とてもよい登山ルートでした。森林もよく見てみると、場所によって樹種が変わり雰囲気も少し違っていることに気づきました。
・夜はあまり寝れなかったが、マットが思ったより硬くなく、ギリ耐えた。
・2日目、後半は気温が上がっていき、体の順応が遅れたように思う。最後温泉に入れてよかったが、ここで体の体温がさらに上がり、軽く熱中症っぽくなってしまったかもしれない。来週の山行でも注意かも。
○矢島
・まさか昨年の新歓以来の泊まり山行になるとは思わなかった。昨年とは異なり、二日とも天気が良く、ずっと富士山が見れてよかった。
・僕だけぐっすり眠っていてなんか申し訳ない。
・CLお疲れ様。緊張でガチガチな感じはしたけど、全体的によく周りが見えていてよかった。