2025/7/19-22 飯豊連峰縦走

飯豊連峰縦走計画書 第3版
作成者:佐藤、油井、北島
■日程 7/19-22(予備日23)
■山域 飯豊
■目的 縦走、高山植物
■在京責任者 深田
■在京本部設置要請日時(本日程の場合) 7/22 20:00
■捜索要請日時(本日程の場合)     7/23 10:00
※予備日仕様の場合は上記の1日後とする

■メンバー ( 3人)
 CL佐藤(46) SL油井(45) ◯北島(46)

■集合
7/18(金) 14:59 山都(ヤマト)駅

■交通
□行き
7/18(金)
14:33会津若松-14:59 山都駅
15:15山都-15:35頃いいでの湯:デマンドバス
15:50飯豊の湯-御沢(オサワ)野営場:タクシー
御沢野営場で前泊

□帰り
・東俣彫刻公園-タクシー-越後下関駅
荒川タクシー 0254-64-1042 4500円 ※登山口(東俣彫刻公園 ゲート)は携帯電話不通。当日山中から予約する。 7:00以降
・越後下関駅(12:47/14:27/16:17/18:09)-(JR米坂線代行バス)-坂町駅(13:06/14:46/16:36/18:29)
※乗り場は駅前ではないので注意
新潟か長岡まで出て新幹線or夜行バス(新幹線の場合終電は20:07坂町発)

■行程(yamap)
【yamap*1.1で28:32, 44.7km, 3857m↑, 4206m↓】
1日目
[4:00]御沢野営場-0:11-御沢登山口-2:45-横峰-1:28-三国小屋-1:17-切合・種蒔山分岐-0:07-切合小屋-0:44-草履塚-1:34-分岐-0:09-[12:14]本山小屋
モチベがあればサブザックで飯豊山ピストン
【8:14, 10.2km, 1909m, 349m】
※時間的に厳しそうであれば切合小屋での宿泊を検討する。

2日目
[4:00]本山小屋(飯豊山避難小屋)-0:28-飯豊山-0:17-駒形山-0:50-御西岳-0::12-御西小屋-1:34-大日岳-1:28-[8:49]御西小屋(宿泊地)
【4:49, 8.5km, 519m 632m 】
※御西小屋〜大日岳間はサブザック行動。

3日目
[4:00]御西小屋(宿泊地)-0:17-天狗岳-1:06-御手洗ノ池-1:06-烏帽子岳-0:28-梅花皮(カイラギ)岳-0.28-梅花皮小屋-0:33-北股岳-1:01-門内(モンナイ)岳-0:02-門内小屋-0:17-胎内山-0:06-扇ノ地神(オウギノジガミ)-0:33-地神(ジガミ)山-0:11-地神北峰-0:22-頼母木(タモギ)山-0:28-[10:58]頼母木小屋(宿泊地)
【6:58, 12.0km, 781m, 1147m】

4日目
[4:00]頼母木小屋-0:44-大石山-0:55-鉾立峰(ホコタテミネ)-0:39-朳差(エブリサシ)小屋-0:04-朳差岳-0:33-前朳差岳-1:01-千本峰-0:33-権内ノ峰-0:33-カモス峰-2:12-林道終点-1:12-東俣彫刻公園
【9:44, 18.9km, 777m, 2308m】

■注意点
・熱中症:弥平四郎バス停は標高431m。水分塩分を意識的にこまめに補給する。最終日の午後は特に注意。参考までに、予防法と対処法
・梅花皮〜北股岳間のガレ場
・北股岳の雪渓(残雪の程度を注視する):250701、250703は40mほど残雪あり、アイゼンで通過可能ぽいが、落ちたら止まらない。250709で登山道は数日で出そうとのこと。
・大日岳の雪渓: 250629、250704(20-30mほど、アイゼンピッケル必要)
・切合小屋〜草履塚の雪渓: そこそこ長め。軽アイゼンなしの人もいる。
・権内尾根のトラバース、切れ落ち
・ブヨ、クマ: 稜線上では高山植物の新芽を目当てにたくさんのツキノワグマがやってくる
・濃霧

■エスケープルート
・引き返す。御沢登山口では電波が入らないので事前にタクシー手配
・疲労度合いで大日岳カット
・扇の地神から梶川尾根で飯豊山荘へ4:50
飯豊山荘(9:04/12:50/16:50)〜小国(オグニ)駅(9:56/13:35/17:35):小国町町営バス南部線
小国駅〜坂町駅:電車運休中で振替バス利用。
・足の松尾根登山口へ下山。(ルート:頼母木小屋-0:40-大石山-0:06-西の峰-0:39-イチジ峰-0:34-ヒドノ峰-0:22-
英三ノ峰-0:33-姫子ノ峰(ヒメコノミネ)-0:55-足の松尾根登山口-0:55-奥胎内ヒュッテ245up,1517down, 4:10)
奥胎内ヒュッテも登山口も電波が入らないので、タクシーの手配は早めに行う。タクシーで中条駅へ。
・ そのまま進む
※丸森尾根で飯豊山荘方面へは、 丸森尾根に危険な雪渓が残っているので使わない。
※湯の平方面へは通行止めなので使用不可。

■個人装備
□ザック □ザックカバー □シュラフ □マット □登山靴 □替え靴紐 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル
□水(入山時3Lは持つ)□行動食 □非常食 □ゴミ袋 □カトラリー □コッヘル□ライター □トイレットペーパー
□着替え・温泉セット□ヘッドランプ □予備電池 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書
□学生証 □保険証 □現金 □常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め□トレッキングポール □熊鈴□モバイルバッテリー (□サングラス
□歯ブラシ □サポーター/テーピングキット □コンタクト/眼鏡)
◽︎予備食1日分、朝食2食分
◽︎虫除け、ステロイド剤(任意)

■地図
25000分の1: 川入、大日岳、飯豊山
山と高原地図:「10飯豊山 朳差岳・二王子岳」

■共同装備持ち出し→山行中→持ち帰り
テント: ステラ4 no.2(佐藤尾瀬)→油井
なべ: 小竹(油井平ヶ岳)→北島
フライパン中:油井
ヘッド: 緑12(佐藤平ヶ岳)→油井
カート: 大full*3(油井)→佐藤2, 北島1
調理器具セット: ディド(佐藤平ヶ岳)→佐藤
救急箱: 苺(佐藤平ヶ岳)→北島
軽アイゼン: snowspikequikfit赤(佐藤)、QFMno.2(油井) ※北島私物
熊撃退スプレー: ユーフレ(油井)

■食当
0日目夜: 北島 炊き込みご飯
1日目朝: 各自(お湯は沸かす)
1日目夜: 油井 肉味噌夏野菜カレー
2日目朝: 佐藤 鮭茶漬け
2日目夜: 北島 うどん、餅
3日目朝: 油井 バジルペンネ?
3日目夜: 佐藤 麻婆春雨
4日目朝: 各自(お湯は沸かす)

アレルギー等:ナッツ、豆乳、桃、メロン、サクランボ、大量のきのこ

■遭難対策費
600円×3名=1800円

■悪天時
7/17 12時までに判断

■施設情報
□山小屋/避難小屋
本ルート上
◯御沢野営場 1.200円/張 水道水 電波なし
◯三国(ミクニ)岳避難小屋
3000円、収容人数30人、水場なし(地蔵山直下で補給)、docomo/au繋がる、管理人在駐
◯切合(キリアワセ)小屋
素泊まり3500円要予約、収容人数80人、水場不明(10分ほど先の雪渓付近で雪解け水を汲めそう)、テント予約不要50張1500円/人、docomo/au繋がる、
◯本山小屋(飯豊山避難小屋)〈1泊目〉
3000円、収容人数50人、水場10分、テント50張1500円/人、docomo/au繋がる、
◯天狗平ロッジ
ロッジ泊テント泊ともに要予約
◯御西小屋〈二泊目7/20〉
3000円(25/07/01値上がり)、収容人数30人、水場5分(露出したが水場までの雪渓通過が厳しそうなので雪渓を煮沸)、テント10張2000円/人、docomo/au繋がる、管理人在駐、宿泊の場合はHPに宿泊予定を入力
(予約ではない)
◯梅花皮(カイラギ)小屋(北俣岳避難小屋)
2000円、収容人数50人、水場1分50m、テント4張1000円/人、バイオトイレあり、docomo/au繋がる、管理人在駐、宿泊の場合はHPに宿泊予定を入力
(予約ではない)
◯門内小屋
2000円、収容人数30人、7/9より融雪水採水可能、バイオトイレあり、テント10張1000/人、docomo、管理人在駐、
◯頼母木(タモギ)小屋〈三泊目7/21〉
2000円、収容人数30人、水場あり、テント20張1000円/人、docomo/au繋がる(らないかも)、管理人在駐
◯朳差小屋
朳差岳山頂直下2分、収容人数50人、電波なし、無人、テント4張、水場7分(残雪時は使用不可)
◯奥胎内ヒュッテ
0254-48-0161、収容人数31人、電波なし、営業は8月中旬以降、

□水
1日目:御沢野営場 、地蔵山、本山小屋(飯豊山避難小屋)テントサイトから100m下、使用可能)
2日目:本山小屋、御西小屋は水場露出していない可能性が高く雪渓を煮沸することになる。
3日目:梅花皮小屋、門内小屋は融雪水、頼母木小屋
4日目:頼母木小屋のみ、朳差小屋水場は残雪期使用不可、東俣登山道は水を補給できないので出発前に頼母木小屋で十分量(3,4L)確保する。

エスケープ上
足の松尾根:イチジ峰とヒドノ峰の間(登山道から50m下る、往復15分、急坂、未確認)、奥胎内ヒュッテまでの林道上(未確認)
梶川尾根::五郎清水(登山道から30m下る、使用可能)


□トイレ
・祓川駐車場、各小屋
□温泉
・道の駅関川 ゆ~む(桂の関温泉) 9:00-21:30、700円
・雲母温泉 上関共同浴場 6:30-19:00?、100円、シャワー・石鹸等なし
・雲母温泉 寿荘 13:00-21:00、500円
・ロイヤル胎内パークホテル 11:00-14:30(最終受付13:30)、900円、22日は定休日
・クアハウスたいない 11:00-21:00、520円(全施設1040円)


■備考
◽︎電波状況
小屋付近については施設情報欄に記載した。
docomo: 三国岳から飯豊山間は概ね繋がる。出発地の御沢野営場と下山先の東俣彫刻公園は不通。大石ダムでは繋がる。
※注意:3日目泊地で不通の可能性があるので繋がるうちに天気を確認する。在京への連絡も一旦門内小屋で行う。下山先の東俣彫刻公園が不通なので下山連絡は時間差あるかもしれません。

□日の出日の入り(7/21飯豊山)
日の出 4:26
日の入 19:09
□連絡先等
・喜多方警察署 0241-22-5111
・小国警察署 0238-62-0110
・新発田警察署 0254-23-0110
・新発田警察署 胎内分庁舎 0254-43-0110
・津川警察署 0254-92-0110
・山都タクシー 電話:0241-38-2025
・村上警察署 下関交番 0254-64-1031
・荒川タクシー 0120-641-042 7:00以降
・中条タクシー 0254-44-8888
・藤観光タクシー 0254-39-1015

飯豊連峰縦走記録
作成者:佐藤、油井、北島
■日程 7/19-22
■山域 飯豊
■天気
1日目: 晴れ
2日目: 曇り→晴れ
3日目: 曇り→晴れ
4日目: 晴れ→曇り→晴れ
■メンバー
 CL佐藤(46) SL油井(45) ◯北島(46)

■総評
4日間とも天候に恵まれ、お花畑や雪渓、稜線歩きを堪能することができた。熱中症のリスクや雪渓通過、水場など不安な点もあったが大きな問題なく下山することができた。その一方、軽アイゼンのフィッティング忘れ、インソール忘れ、下山ルート変更などのヒヤリハットがあったので反省して今後に活かしたい。(詳細については下の反省点の項目に記載)

■タイムスタンプ ※小休止は記載省略している場合あり
1日目
3:00起床-3:50出発-3:58御沢登山口-下十五里、中十五里、上十五里で小休止-6:06/6:10横峰-7:39/8:06三国小屋-9:18/9:23種蒔山-9:38/10:08切合小屋-10:4010:55草履塚-11:58/12:30本山小屋テント場&設営-13:16/13:33飯豊山-13:50本山小屋テント場
【行動時間8:41,11.8km, 1932m, 401m】
2日目
2:50起床-3:53出発-4:09/4:57飯豊山-5:11/5:20駒形山-6:05/6:09御西岳-6:14御西小屋&設営
7:30御西小屋-9:03/11:00大日岳-12:15御西小屋
14:00御西小屋-14:13御西岳,標高2010m付近まで散歩-14:56御西小屋
【行動時間6:28, 10.7km, 503m, 601m】
3日目
3:00起床-4:04出発-4:11/4:16天狗岳-5:50/5:52御手洗の池-7:07/7:25烏帽子岳-7:40/7:47梅花皮岳-8:01/8:23梅花皮小屋-8:41/8:57北股岳-9:32/9:35門内岳-9:35/10:02門内小屋-10:11/10:15胎内山-10:38/10:54地神山-11:00/11:15地神北峰-11:32/11:39頼母木山-11:54頼母木小屋
【行動時間7:01, 12.1km, 752m, 1115m】
4日目
3:00起床-3:56出発-4:39/4:46大石山-5:15/5:36鉾立峰-5;57/6:15朳差岳-6:15/6:41朳差小屋-6:58/7:13鉾立峰
-7:40/8:02大石山-8:02/8:07西の峰-8:22/8:32イチジ峰-8:49ヒドノ峰-9:05/9:26英三ノ峰-9:52/10:01姫子ノ峰-10:31/10:33足の松尾根登山口-11:13奥体内ヒュッテ
【行動5:57, 12.5km, 740m, 2020m】

■ルート概況
〈総評〉
総じて歩きやすくはないが、ある程度山を歩き慣れている人なら問題はないだろう。この時期は雪渓の状態に注意すべき。雪渓通過について、通行人や小屋番との会話で得られる情報を鵜呑みにしてはならない。経験値が違う。

〈1日目〉
・御沢野営場〜横峰(長坂): 長くてそこそこ急だが歩きやすい。下十五里、中十五里、上十五里、笹平は30分間隔で現れる休憩適地。上十五里でdocomoが入る。上十五里をすぎると傾斜が緩くなる。
・横峰〜三国小屋: 横峰を過ぎると水場が現れる。水場前があまり広くなく混雑する。三国小屋手前に岩場あり。ストックはしまっておく。槍ヶ岳の東鎌尾根を思い出させる岩場だった。徐々に日陰を作る木がなくなり、暑くなってくる。
・三国小屋〜切合小屋: 崩れて片側が切れ落ちている箇所が複数ある。
・切合小屋〜草履塚: 3箇所?雪渓あり。猛暑続きで大分溶けていた。
・御秘所: 岩場。ストックはしまっておいた方が良いが、そこまで長い岩場ではない。
・〜本山小屋: 登るのみ。石垣が見えたらゴールは近い!

〈2日目〉
・本山小屋〜御西小屋: 朝露で濡れる。ほぼ高低差のないお花畑の散歩道。ニッコウキスゲさんがたくさんいらっしゃる。
・御西小屋〜大日岳: 御西小屋出てすぐに、歩きにくいトラバースあり。ストックがあった方が良い。お花畑。文平の池から見る大日岳がよい。
大日岳直下の雪渓はここ数日で溶けたようだった。(残ってたらそこそこ危険。滑落したら終わり。)

〈3日目〉
・御西小屋〜天狗の庭: 小屋出てすぐの雪渓はほぼなくなっていた。強風時には通りたくない痩尾根区間が少しある。
・天狗の庭〜御手洗の池: 斜面のトラバース、雪渓数箇所あり。軽アイゼンの着脱を面倒臭がらないこと。雪渓の出口(夏道露出部分)が分かりにくい所があるが、目を凝らすと遠くにピンクテープが見える。
・御手洗の池〜烏帽子岳: 1850mの鞍部に雪渓のトラバースあり。この雪渓が今回の縦走の中で最大の危険箇所と言える。夏道との接続部分が凍っているので足の置き場に注意を払う。一歩間違えれば滑落するだろう。毎年のように事故が起きている。
・烏帽子岳〜北股岳: 3日目最後のちゃんとした登り。梅花皮付近にお花畑。
・北股岳〜頼母木小屋: この間ピークは複数あるが、キツイ登り返しはなく、ゆるゆると登ったり降りたりする。歩きやすい。距離は長いが体感は短い。

〈4日目〉
・頼母木小屋〜大石山: ゆるやかに登ったり降りたりする。朝露で濡れる。大石山山頂でなくても日の出を見られる箇所はある。
・大石山〜朳差岳: そこそこな標高差のアップダウンを2回繰り返して朳差岳に着く。特に鉾立峰直前直後の急登が体に堪える。道幅はあまり広くない。大石山にザックをデボしているパーティもいるようだった。
・大石山〜足の松尾根登山口: 大石山で電波2本(docomo)入り、タクシーの配車電話をした。思ったより巻けないので時間に余裕は持った方がよい。崩れた箇所のトラバース、岩場あり。リアルフォレストアドベンチャー。急坂が続き気が抜けない。
標高500m以下まで降りるので非常に暑い。
・足の松尾根登山口〜奥胎内ヒュッテ: 車道歩き。暑い。

■施設情報
〈御沢野営場〉
・ 1張り1200円。無人なので利用料はポストに入れる。
・炊事場の水は「煮沸してから飲用ください」とのこと。面倒なので事前に充分量持っていきたい。

〈本山小屋〉
・テント場から小屋まで徒歩5分程度。
・水場まではサブザック推奨。5分くらい下る。早い時期だと水場が出ていないので確認しておく。
・水洗式お手洗いがテント場から5分の小屋のそばにある。
・電波は小屋付近では入るが、テント場は入らない。
・ビール1000円。

〈御西小屋〉
・水場まで軽アイゼン/チェンスパ必須(軽アイゼンの方が良さそうだった)。小屋番さんは長靴とストックで行けると言っていたが厳しい。何往復もしたくない道なので一度に大量に汲めるようにウォータパックの準備をするのがよい(5Lほど汲めれば十分)。場所は小屋番さんが教えてくれださる。ガスっていたら教えられてもわからないと思う。
・ビール800円。

〈梅花皮小屋〉
・水場は小屋から30m。水量豊富。
・避難小屋内に水洗式トイレあり。

〈頼母木小屋〉
・お手洗い使用料含め1人1000円。
・自転車で攪拌式のバイオトイレ。トイレ近くに幕営しても臭いは全く気にならない。
・水場は小屋のすぐそばにあり、水量豊富。電波が入らないという情報もあったが、docomoは入る。
・ビール500円。
・三連休最終日ということもあり計2張しかなかったが、土曜は20張くらいで、ぎゅうぎゅう詰めだったらしい。

〈朳差小屋〉
・無人避難小屋。
・トイレあり。紙はない。
・水場なし。

◾︎飯豊縦走を計画する方へ
・この時期は水場と雪渓に注意。飯豊朝日連峰の登山者情報サイト、yamapの「飯豊やま」というアカウント、NPO法人飯豊朝日を愛する会のfacebookが有用です。
・切合小屋は混んでいたらしいので、土日実施の場合は体力的に余裕があれば本山小屋まで登るのがよいと思います。

■反省点
①軽アイゼンのフィッティング忘れ、履き方:軽アイゼンを履こうとしたとき、幅が狭くて靴が入らないことが判明。事前にフィッティングをしていなかったこと、付属の六角レンチがなかったことが反省点。そもそも幅の調整の必要性を把握していなかった。装備の説明書は読まれたい。他のメンバーの軽アイゼンと交換することができて事なきを得たが、撤退の可能性があった。
②忘れ物: インソール、サブザック(帰宅後ザック内で発見)
③ルート変更;当初は東俣林道を利用して大石ダムに下山する計画だったが、3日目夕方に歩行者含め通行禁止であることを知る。下山先を足の松尾根登山口に変更。エスケープルートとして記載しており、道の状態も概ね調べていたので大きな問題はなかったが、調査不足は反省点である。飯豊山登山者情報pdf内の「東俣林道崩落ケ所あり通行止め」の記載は把握していたものの、林道ということやyamapで東俣林道使用のログが複数挙がっていたため、歩行者は利用可能だと思い込んでしまっていた。

■花々
アカモノ、クルマユリ?、ニッコウキスゲ、ヒメサユリ、イイデリンドウ、しおれたシラネアオイ、タカネマツムシソウ、チングルマ、ハクサンイチゲ、ミヤマクルマバナ?、チシマギキョウ、ハクサンフウロ、ミヤマウスユキソウ?、ツリガネニンジン、コバイケイソウ、イワカガミ、ナデシコ、ミヤマクルマバナ

■山行記
0日目(油井)
 7時頃に起床連絡をしたところ自分が一番乗りだった。集合場所の山都駅までは特に合わせていないので2人がどうやってアクセスするのかはよく知らない。鈍行で爆睡して連絡を忘れているのだろうか、そう考えながらパッキングを済ませた。本当は前日までに終わらせるべきだが、今回は調理済みの肉を冷凍して持ち込む関係で当日にせざるを得なかった。これがサブザック忘れというミスを生むのだが、それに気づくのはまだ24時間以上先である。
 他の山行の計画書をMLに流すなどのんびりしていたら家を出るのは9時前になってしまい、新幹線の時刻を遅らせることにした。秋田遠征に引き続き新幹線を使うわけだが、時間を金で買う余裕ができたわけではない。7月限定で新幹線グリーン車に通常のポイント半額で乗れるキャンペーンがあるので200kmをギリギリ越えない大宮-郡山だと3440ポイントでグリーン券だけでなく乗車券も特急券も付いてくるのである。この区間の乗車券は3410円であるから破格である。ポイントが貯まっているのであればこれを使わない手はない。というわけで初めての東北新幹線のグリーン車に意気揚々と乗り込み、たった1時間で郡山駅に到着した。速すぎる。
 郡山からは磐越西線の普通列車で磐梯山を眺めながら会津若松を目指す。磐梯町あたりまで来ると進行方向右手にゼブラ状の残雪がある山塊が見えてくる。飯豊だ!そう気づいた自分は席を立ってスマホを構え、窓際にかぶりついた。ところが写真を撮り終える前に列車は大きくカーブし、飯豊を見失ってしまった。ふと自分が座っていた席の方を見ると、なんとそっち側に飯豊が見える。自席から撮ろうと席に戻るもまたしてもカーブ。結局もう一度席を立って反対側の窓から撮影した。車内はそれなりに混雑していて周りの視線が痛かったが気にしないことにしよう。
 郡山から1時間ちょっとで会津若松に到着。会津若松は3度目だが鉄路でアクセスするのは初めてである。集合時間に間に合うためには2時間後の列車に乗らなければならないのでその間に色々詰め込もうと駅から早歩きでまずはスーパーに向かう。駅前にはピボットとリオンドールの2つがあるが、より駅近の方には後でも寄れると判断し、やや離れた後者へ。ここはそこまで広くなく、土産コーナーこそ存在はしたがご当地行動食を手に入れられるほどではなかった。結局値引きされた塩バターレーズンフランスパンと朝ごはんになりそうなものを調達した。
 そこからは中心市街地である七日町へと急ぐ。お目当ては会津名物の馬刺である。大の馬刺好きである自分は雷鳥関係だけでも燧ヶ岳前夜に南会津で、木曽駒ヶ岳前夜に駒ヶ根で馬刺を食べており、会津や伊那谷に行ったら食べて帰らないわけにはいかない。いくつか店に目星をつけておいたのだが、今回選んだのは「馬力本願」というラーメン屋。3泊4日の縦走に求められるのは馬力であるから山行前にうってつけの店である。看板メニューの馬肉チャーシューの入ったラーメンと馬刺を堪能し、しっかりと馬力をつけたら時間の許す限り観光することに。七日町の西側は記憶の限り未訪だったのでまずは阿弥陀寺へ。ここには戊辰戦争の戦禍を被った会津若松城唯一の現存建物である御三階がある。旧幕府軍の墓地前で手を合わせ、お次は鶴の江酒造へ。会津盆地は酒処として有名だが、会津若松市街にも酒蔵が高密度で分布している。テント泊山行には軽量化のために酒は持ち込まないことにしていたが今回はトレーニング()という名目で小瓶を持って上がることにした。「会津中将」という保科正之の通称を冠する日本酒で日本近世史専攻には嬉しい。
 そうこうしているうちに会津若松を離れる時間が迫ってきたので駅に戻りつつ最後の買い出しへ。今回は前泊入れて4泊もテントで過ごすので頭から異臭を放たないようドライシャンプーを導入することにした。図らずも佐藤と丸被りしてしまったのだが、匂いが混ざるよりはみんな同じ方が良いのかもしれない??駅前のもう一つのスーパーに寄る時間はなく、磐越西線の「普通」に乗り込む。この普通列車は特に案内もなく喜多方までの6駅中4駅を通過するまさに初見殺しの列車だった。山ヤーにとっては会津盆地の真ん中の途中駅に用はないだろうが地元民でも時刻表を暗記しないといけないのは些か不便ではないだろうか。なぜ快速を名乗らないのか気になるところである。車内は下校中の学生で混雑しているがちらほらデカザックの人が目につく。飯豊に向かう人たちだろう。高速バスで来たという北島とは車内で合流し、集合場所の山都駅で一本前に乗っていたらしい佐藤と合流。ザックを持った人は自分たちの他に1人しか下車せず、他の乗客は野沢駅から弥平四郎へと向かうのだろう。しばらくすると山都タクシーが一台やってきたが自分たちが手配したのは喜多方市が運行するデマンドタクシーのはずである。側面を見ると「のるーと」と書かれており、これがデマンドタクシーのようだ。運転手とお喋りしているとどうやら喜多方市に委託されてデマンドタクシーもやっているが、専用車両ではないとのこと。デマンドタクシーは途中のいいでの湯までしか運行できないがそのままタクシーとして登山口まで運んでくれるらしい。こちらもまさか同一だと思っておらず別々の名義で予約していたが、人数と時間から同一グループだろうと予想はついていたようで、いいでの湯で乗り換えることなく、メーターのみ切り替えることを通達された。炎天下の中、タクシーを待つことを覚悟していたのでこれは助かる。車内では運転手から飯豊の山名や混雑状況などを教えてもらった。助手席に座ったことで車からのクーラーが運転手と喋る自分の喉に突き刺さる。喉に若干の違和感を抱えての山行参加のためなるべく乾燥させないように注意して応答した。飯豊の読みが本来は「いいとよ」であることを知り、登頂時に叫ぶフレーズが「飯豊はいいで」ではなく「飯豊はいいとよ〜」に決定する。下山後に調べてみるとどうやら飯豊信仰の中心である会津側(川入側)では「いいとよ」と呼ぶのが正式なようだ。タクシーの運転手によるとGHQが地図を作った時に誤って「いいで」にしたらしい。間違えてそんな変な読み方になるのか甚だ疑問だが、せっかくなので現地の呼び方を採用することにした。
 飯豊登拝のための民宿が立ち並ぶが既に人口はゼロになってしまったという集落からは行き違い困難な細い道を通って御沢野営場に到着。受付は無人で箱に紙と代金を入れた封筒を入れる形式だった。3連休を前にして駐車場にはたくさんの車が停まっているがテントはまだ2張程度だった。混雑を避けるために既に入山したのだろうか。今年から御沢への時間規制が行われるのでこの3連休に朝イチから登るには残り数時間のうちに御沢へと入らないといけないのでこれからどんどん増えるのだろう。なんといったってようやく雪解けが進んで水場が露出し、高山植物も盛り、暑さも8月に比べればマシという飯豊のベストシーズンである海の日3連休、混まないはずはない。
 テントは平ヶ岳の苦い思い出から蚊を警戒して沢から離れた場所に張った。水道があるので飲めると思っていたがどうやら要煮沸らしい。下界から水をほぼ持ってきていなかったので翌日の水を用意するのにかなり時間を使ってしまった。煮沸するところまでは大丈夫だが、耐熱性の問題から冷ます必要があり、それが随分と手間である。煮沸作業が終わり、ようやく空いた鍋で北島に炊き込みご飯を作ってもらう。ソロテント泊をしている彼にとっては初めて人に料理を振る舞うということに緊張していたようだが、美味しく炊き上がっており翌日から始まる長い長い山行に向けて活力をつけることができた。時間も時間なのですぐに寝る準備に入る。砂利敷の床は平坦面を確保できるので快適である。初めての3泊、初めてのコース定数3桁に怯えながら眠りについた。

1日目(佐藤)
 3時起床。各自朝食を済ませ、50分で御沢野営場を後にする。
 まずは、横峰まで標高差700mの長坂を登る。朝からまずまずの傾斜で目が覚める。先頭を歩いていたのだが、少し飛ばしてしまったようだ。ペース管理にはまだまだ慣れない。展望のないただの樹林帯歩きに飽きてくるが黙々と高度を上げていく。
 北島くんはソロ山行もする人なので、ソロとパーティの違いについて聞いてみた。1人だと予定を合わせる必要がないのが楽だが、登りが辛いときもあるらしい。大石ダムから朳差岳に登ろうとして途中で心が折れたと言っていた。今回彼は朳差リベンジというわけだ。無事に辿り着けますように。
 長坂は約30分毎に下十五里、中十五里、上十五里、笹平という標識が現れる。そこはスペースもあって時間的にも休憩のいい指標となる。一里は約3.9kmだが、なぜ十五里なのだろう。調べたが答えは不明のままである。
 途中、前方でガサガサ、と音がする。立ち止まって前方を注意深く観察すると、木々の隙間から白髪の老人が見えた。…と思ったら猿だった。
 気づけば木の背丈が随分低くなっていた。日陰がなくなり暑い。上十五里を越えると、左前に三国岳とそこへ続く岩場が見えた。横峰の先の水場で水を補給した。あまり広くないのでささっと汲む。ここが今日ラストの水場(だと思っていた)なので、計4Lほど確保した。また、北島カメラマンがカメラを準備していた。
 岩場を超えて、8時前に三国小屋に到着。太陽さんが本気を出してきた。8時でこの暑さか、、。この先が心配になる。もし川入から入山していたら歩き始めが8時だったので、御沢からにしてよかった。小屋横の幅50cmほどの僅かな日陰に隠れて休憩した。明日歩く稜線と、その斜面に残る雪渓が見え、飯豊に来た実感が沸いた。
 種蒔山を過ぎた地点で、ヒメサユリに出会い一同歓喜。最盛期は過ぎているがここだけは元気に咲いていた。
 ところで、この尾根の県境が面白い。南西側斜面は新潟県、北東側斜面は山形県だが、尾根上の幅約90cmは福島県領なのである。色々あって新潟県と福島県で争った結果、三国小屋付近から飯豊本山を経て御西小屋付近までは細長い福島県が続く。(参照:https://yamahack.com/2465)
 切合小屋に着くと、ないと思っていた水場が見えた。事前情報ではまだ水場は出ていないとのことだったので想定外の冷え冷えの水に喜んだ。どうやら5日前から出てたらしい。小屋の前で休憩していると、飯豊山方面から空身の登山者がやってきた。熱中症で倒れた人がいると小屋番さんに伝えに来たようだ。歩いていたら突然倒れたらしい。他人事ではないな、と気が引き締まる。幸運にも天気が良く、ヘリでの搬送が決まったようだ。我々も水分塩分を十分に補給して山頂へ向かう。倒れた方の横を通り過ぎる際、「塩分摂らないといけなかったか…」と本人が言っているのが聞こえてきた。塩分摂ろう。
 草履塚で、本山へ続く緩やかで広い稜線を望む。ここから先は神様の領域で、昔はここで新しい草履に履き替えたという。その草履が積まれて塚になったということが名前の由来だそう。御秘所(オヒソ)手前の鞍部には、姥権現と呼ばれる地蔵が祭られていた。飯豊山が女人禁制だった時代に、入山した女性が石に変えられてしまったという伝説が残る。今の時代に生まれてよかった〜。また、御秘所(オヒソ)は飯豊参詣における最大の難所とされていたようだ。飯豊山は昔からの信仰の山というだけあって地名が興味深い。
 御秘所の岩場を越え、あとは平和な道を登るだけなのだが、ペースが上がらない。3人とも足に疲労が溜まっている。テント場の目印である石垣(のようなもの)が見えたときは嬉しかった。
 幕営後、山頂へ向かう。飯豊山荘前にある神社に参拝した。山荘から山頂はほぼ平坦なので疲れていても登頂できる。穏やかな稜線をバックに写真を撮った。
 テントに戻り、日サロ状態で寝た。いやぁ、疲れた疲れた。しかし既に飯豊縦走4日分の累積標高の半分を登ったと思うと気が楽だ。水を飲んでも飲んでも口渇感が治らない。道中4Lは飲んだのだがそれでも足りなかったか。ともかく熱中症にならなくてよかった。
 夕食は油井さんシェフの夏野菜カレー。事前に調理してきてくださった肉味噌にナスとズッキーニを加えて炒めた。このためだけにフライパンを持ってくる食当モチベには尊敬せざるを得ない。おいしすぎる…。カレーと一緒に会津若松で買ってきてくださった大吟醸を嗜んだ。これもまた美味。空には幻日が見えた。なにかいいことが起きそうな予感。
 寝る前に、お手洗いと天気確認目的で電波の入る山荘前まで行った。北島くんが、真面目とニヤけが共存した顔で、「
インソールが入っていませんでした。」と言う。違和感はあるそうだが大きな問題ではなさそうとのこと。毎回洗うなんてお手入れが丁寧だ…。また、油井さんが若干風邪気味とのこと。一旦様子を見ることになった。
 あっという間に日の入りの時間。太陽を囲むガスが夕陽の橙色に染まり、燃えているようだ。ちょうど飯豊山頂付近に沈むのを見届けて、床に就いた。

2日目(油井)
 本山で日の出を見る時間から逆算して2:50に起床。起きてみると鼻詰まりが悪化し、喉の痛みも少しある。どうやら風邪を引いてしまったようだ。活動に影響はなさそうなのでそのことを2人にも報告し、様子を見ることにした。朝食は佐藤による鮭茶漬け。最近、お茶漬けが自分のマイブーム(特に山行出発前の朝ごはんとして優秀、早朝でも胃が受け付けてくれる上に身体が温まるのが良い)なので嬉しい。
 本山で御来光を拝む計画なので素早く準備し、山頂を目指す。山頂へは1番乗りで到着し、日の出まで10分ほど待機した。吹き上げる風はまだまだ冷たく、次第に増える人も防風壁の役割を果たすほどではなかった。山頂まで行かずに本山小屋あたりから日の出を見る人が多いのだろうか。日の出は地平線辺りの雲に阻まれて5分ほど遅れたがオレンジに染まりゆく空と稜線を眺め、太陽さんへと深々と頭を下げてご挨拶した。これは今後の山行においてもルーティン化したのであるがまだ雷鳥内で浸透する気配はない。みなさん是非ご一緒に。
 日の出を待っている間に烏帽子岳方面はガスってしまったが冷えた身体を温めるべく先へ進む。前日に引き続き、というか前日以上にあたりは花で満たされていた。朝露に濡れたウスユキソウ、朝日に照らされて輝くチングルマやコバイケイソウ、まだ早い時間なのに力強く咲くニッコウキスゲ、どこを見ても美しい花畑だ。宿泊先の御西小屋には6時過ぎに到着。まだ先客が残っている中での到着なのでテントを張っていいのか不安だったが朝ごはん中の小屋番さんは親切に対応してくれた。もう張って大丈夫とのことなので大日岳への展望(この時はガスで見えない)を誰にも邪魔されない角に設営した。
 予報では悪くない天気なので大日岳へは晴れてから出発したいところだ。ただ、時間を決めないわけにもいかないのでCLが出発タイムリミットを7:30に設定した。往復3時間なのでもう少し待ってもいいんじゃないかと内心思っていたのだが、なんと7:20頃から雲が退き始め、設定した時間通りに大日岳は姿を現したのだ。彼女は太陽神か何かなのだろうか。こういうことがこの山行中何度も起きたので僕と北島はしきりに時間を設定するよう佐藤に求めるのだった。
 大日岳へはサブザックを忘れたと思い込んでいる自分以外はサブザック行動なので重荷から解放されて花畑をより満喫できるようになった。歩き始めて30分ほどすると登山道はコオニユリ、ニッコウキスゲ、ハクサンフウロ、ツリガネニンジン、タカネマツムシソウに挟まれた小径となる。登山道の真ん中にも可憐に咲いているので「挟まれた」という表現は正確でないかもしれない。オレンジ、黄、複数種類の紫が共演して織りなす景色は天国のようだった。花の山飯豊でもここが一番の花畑だったように思う。花畑を抜けると今度は池越しに大日岳が聳えている。俺が主役だと言わんばかりだ。旭岳ぐらいしか登ったことはないが飯豊は大雪山系に似ていると感じた。来年は大雪山系行きたいよね、という話をすると、熊が怖いため2人とも否定的反応だった。今シーズンの大雪山系は特にヒグマの影響を受けているようだが来年には落ち着いてくれることを切に願う。
 大日岳への登りは花のおかげで心に余裕が生まれたからかそこまできつく感じない。懸念していた雪渓もここ数日で溶けてくれたようで軽アイゼンを使用することなく登頂できた。3日目に歩く山々は雲に隠されてしまったので山頂でまったり待つことに。雲の流れは速く、しばらくすると烏帽子岳方面の展望が得られたがそれも長くは続かなかった。自分たちをブヨから守ってくれているトンボさんたちと戯れながら行動食をボリボリ食べていると気づけば11時。名残惜しいがそろそろ降りることにして引き返す。行きにはまだ蕾だったイイデリンドウが咲き乱れていて同じ場所でも2度楽しむことができた。
 テント場に戻って一休みしてから雪渓の下にある水場へと向かう。軽アイゼンとトレッキングポールがあっても危ないと言われているようにスキーで滑るのも怖そうな急斜面を下らなければならない。ここで問題発生。自分の軽アイゼンの左右の大きさが異なり、片足だけ合わせて満足していたため靴のサイズに合わなかったのである。小さい方だけ固く閉められており、フィッティング器具は同封されていないので調節もできない。このままでは水場に行けないどころか翌日の雪渓歩きもできないので撤退が頭によぎる。試しに佐藤と交換してみると見事お互いフィットし、事なきを得たが両足ともフィッティングしてくることの大切さを痛感した。深く反省し全体にも共有するつもりだったが翌週の白馬で同じ失敗が起きてしまい本当に申し訳なく思う。
 水場は水量豊富で雪解け水なのでとても冷たい。もう一度行くのは億劫なので汲めるだけ汲んでテント場に戻る。それでもまだ13時過ぎなので暇を持て余し、在京に連絡して御西岳付近まで散歩することに。御西岳ピークへは細い道が付けられており、振り返るとニッコウキスゲの花畑の後ろに大日岳がどっしり構えるという構図でかっこいい。北島カメラマンは本山方面を見たがっていたのでCLの見える範囲での移動を許されていた。良い写真を撮れたのかニコニコで帰ってきたのが可愛らしい。
 そうこうしているうちに大日岳から帰還して4時間が経過し、夕飯の支度を始める。北島が作ってくれたのは具沢山のうどん。OKの無塩うどんを使っていて自分もその後の山行で真似させてもらった。茹で時間が長いのがネックだがドロドロにならないのは大きな強みだろう。前日に引き続き会津中将で軽く晩酌し夕暮れの大日岳を眺めていた。この時間が一番好きかもしれない。19時には寝るつもりでいたが前日に夕日を撮影したから就寝した北島と今日の方が綺麗に見えるのでは、という話になり2人で撮影適地を探す。大日岳も捨てがたいが、沈む太陽と夕日に照らされる烏帽子岳方面が絶景でそこで撮影会をすることに。周りが絶景だというのに一向に姿を見せないCLを探しにテント場へ戻ると既に横になっていた。山に対してストイックな彼女なだけに迷ったがこの景色を共有しないのは勿体なさすぎるのでテントから引き摺り出して夕日の美しさに感動してもらった。3人で翌日への期待を高め、多幸感に包まれながら予定より15分遅れでテントへ入り、朝日も夕日も楽しんだ贅沢な1日を終えた。

3日目(佐藤)
 3時起床。朝食は油井さんのバジルペンネだ。茹でたペンネをコッヘルにあげ、茹で汁に粉末トマトスープを溶かすことで茹で汁処理問題を解決。シェフ本人は具無し料理を提供して申し訳なさそうだったが、個人的には気に入ったし、朝食は体が温まってエネルギーになるだけで有難い。
 4時過ぎに歩き始めた。いよいよ北飯豊に突入だ。雨は降っていないものの、ヘッドランプの光がガスで乱反射するせいで視界が悪い。そして今日の日の出は少々不気味であった。灰色の雲の隙間から赤い光が漏れ出てくる。なんというか、怪物の赤い目がこちらを見ているようだった。数えきれないほど山中で日の出を拝んでいるが、一度として同じ日の出はない。だから山に飽きないのだろう。上空は厚い雲で覆われているものの、我々を取り囲むガスはなくなり、これから歩く稜線が見えた。穏やかな道で天狗の庭に着く。見慣れてしまった感は否めないが、ニッコウキスゲさんがいらっしゃった。崩れた斜面をトラバースし、雪渓を通過し、早朝から慎重さが求められた。赤岳沢の谷と、そこに降り注ぐ薄明光線が良い。ふと、太陽光線はほぼ平行線なのになぜ薄明光線は放射状に見えるのだろう、と疑問に思う。そのときは、太陽が近づいている!?と言ってふざけていたが、単に遠近法によるものだった。御手洗の池に着いて写真を撮ろうとカメラを構えると池の手前でビバークをしている方がいて驚いた。昨日熱中症様症状で動けなくなったらしい。小屋の方は把握しているらしいので通り過ぎた。ちなみに御手洗の池は普通の池だった。少し歩くと平地に出るので烏帽子への登り返し前に一休みした。目の前には巨大な雪渓。一体どこを横切るのだろうかと不安になる。最初は夏道が続く。核心部は標高1850m辺り、亮平の池付近であった。なかなか傾いた斜面の雪渓をトラバースする。滑落すれば谷底まで落ちるだろう。足を一歩踏み出すのに5秒以上はかかっていたと思う。心臓の拍動を感じた。凍っている雪渓の端には絶対足を置いてはならないが、となると夏道への戻り方が分からない。油井さんに先頭を行っていただいた。3人とも無事通過して夏道に出た。ふぅ。夏道に戻った瞬間の安堵は忘れられない。雪渓慣れが足りなかったな、と思った。大半の人はピッケルを持っていなかったが、滑落したら止める術がないのが怖い。ピッケルを使えないゆるふわ夏山勢がこの時期にここを通るのは危険だっただろうか…。4日間の中で最大の危険箇所と言えるだろう。あとは烏帽子まで登るだけだ。シナノキンバイ、ナデシコやイブキトラノオ、その他名前の分からぬ種々の花々に囲まれながら登った。歩く高山植物図鑑の北島くんに聞けばお花の名前を教えてくれる。有難い。シナノキンバイって思ったより大きいんだね。ガスガス烏帽子岳登頂。烏帽子岳〜梅花皮岳はゆるゆる下り、ゆるゆる登る。この間写真が一枚もないので2ヶ月経過した今では記憶がない。その先、ニッコウキスゲとイブキトラノオが混生が印象的な梅花皮小屋手前はよく覚えている。北島くんは最後尾で嬉しそうにカメラを向けていた。北俣岳への登りに備え小屋前で休憩。北俣岳への等高線が密で身構えてしまうが、九十九折りなので道なりの傾斜はそこまででもなく、意外にもすんなり登頂してしまった。途中獣臭がしたような気がした。飯豊もくまさん多いからなあ。NPO法人「飯豊朝日を愛する会」がツキノワグマ観察ツアーを開催するくらいだ。このツアーの存在には驚いたが、飯豊で人が襲われた事件は見つけられなかったので分別ある熊さんなのだろう。
 北俣岳を踏んだ今、本日終了〜の気持ちだった。あとはお散歩道を2.5時間歩くだけだからだ。門内岳を過ぎ、門内小屋で休憩しようとすると、「コーヒーあるよ〜」と小屋番さんが登場。皆でコーヒーとかりんとうを囲んでお喋りした。今日は余裕があるので時間を気にせず30分弱のんびりした。胎内山を越えると扇の地紙に到着。yamapでは「扇の地神」、山中の標識だと「扇の地紙」の表記であった。山と高原地図webに依ると、扇を開いたような雪形が残ることに由来するそう。どうやら地神は誤字らしい。(参考https://www.iideasahi.jp/timei01.html
)地神山山頂で休憩していると、トレランマンがやってきて引き返していった。地神山は地味な印象だったが、4日目の下山中に下から見た地神山は思ったよりも存在感があった。地神山をゴールに設定するのに納得した。
 飯豊山方面を隠すガスが退いてくれない。粘ったが、風がないのか動かないので諦めて頼母木小屋へ向かうことにした。すると、知らぬ間に上空に青空が見えるではないか!明日登る朳差岳がどっしりと構えていた。赤い屋根の頼母木小屋と、そこへ向かう2人の後ろ姿が絵になる。いやぁ、幸せだあ。
 12時前に今日の宿泊地である頼母木小屋に着いた。まだ12時か。漸く太陽が本気を出し始めて暑い。日陰もないし干からびちゃう。午前中のガスが嘘のようだ。ここの水場は小屋横にあるので昨日と比べてとても楽。ひえひえの水がじゃぶじゃぶ流れている。手拭いを濡らして顔を拭う。つめた!
 靴から解放されて裸足でそこら中を歩き回った。朝日連峰がよく見えた。ちょうど同時期に朝日に行っている43期の桐原さんらは視界にいるだろうか。今回の山行は朝日か飯豊で迷って飯豊を選んだので、来年の海の日は朝日に行ってみたい。
 北島くんと油井さんがビールを飲んでいた。本山小屋は1000円、御西小屋は800円、ここ頼母木小屋は500円と、北に行くほど安くなる。青空に2人の缶が映える。小屋番さんが愉快な方で、おつまみとともに我々のところへやってきた。芝生に寝そべりながらお喋りした。82歳とおっしゃっていたが、全くそうは見えない。健康の秘訣はタンパク質摂取と重量負荷をかけた低山トレーニングらしい。55歳から山岳会に入り、バリエーションまで極めたようだ。80歳で飯豊を北から縦走したと聞いて、我々も約60年後に北側から縦走することを約束した。健康でいよう。
 明日の行程について話していたとき、朳差岳から大石ダムへの道が歩行者含め通行禁止だと知る。通行止めだあることは知っていたが、yamapの記録は複数見られたので車両通行禁止だと思い込んでいた。小屋番さんも他の登山者も全然歩けるとは言うが、何かあったらよくないので急遽下山口を変更することにした。梶川尾根か足の松尾根の二択だが、直感で足の松尾根を選択した。エスケープルートに記載してあるし、登山道の状態も調べていたので使用に問題はないと判断した。調べ不足は反省しています。
 お楽しみの夕日の時間がやってきた。昨日までは早く寝ることに命を賭けていたが、昨日メンバー2人に起こされて(起こしてもらって)見た夕陽のおかげで大好きになってしまった。山の楽しみ方はまだまだありそう。寝る準備は全て済ませて、西側を見に行く。夕陽をバックにガスに見え隠れする朳差岳が美しい。風が強く、刻一刻と景色が変わる。今日も日本海に沈む夕陽を見られた。切り替えははやく、余韻に浸らず急いで寝袋にもぐりこんだ。

4日目(北島)
 3時に起床。テントからのそのそと這い出せば、満天の星空が出迎えてくれた。朝食は各自で済ませる。東の空は徐々に白み、目指す朳差岳の姿を浮かび上がらせる。テント場の風は穏やかだったが、背後の地神山には笠雲がかかっていて強風を予感させる。水場で冷やしたゼリー飲料を回収して、頼母木小屋を4時に出発。縦走も4日目になるが、余裕のある行程と食事・睡眠のおかげか、足はよく動いてくれる。
 大石山の手前で日の出を迎える。昼間空を見上げても気づきようがないが、遠くの山際から昇る太陽の動きは結構速い。地球はまわっているんだなあ、などと考えつつ、太陽さんに最敬礼。本日もよろしくお願いします。お手柔らかに頼みますよ。
 なだらかな大石山を超える。風に草原が揺れ、朝のやわらかな光を受けてきらめくさまが美しい。振り返れば頼母木小屋が見える。北飯豊のゆるやかな山容に赤い三角屋根がよく似合う。
 胸を突く急登を登り切った先、鉾立峰からの眺望は見事だった。「影鉾立」は端正な三角形を描き、視線を上げれば二王子岳が大きく聳え、越後平野の背後には日本海が広がる。マツムシソウの咲く稜線は一度高度を落としたのち、飯豊連峰北端の秀峰、朳差岳へと続く。
 いよいよ縦走も大詰めだ。眼前に堂々と佇む朳差の姿に気分が昂る。西風が強く吹き、頭上には雲が増えてきた。鞍部から100
mほど登ると斜度が緩む。ニッコウキスゲやイブキトラノオ、クルマユリやタカネナデシコ、ハクサンフウロ等、盛夏の鮮やかな花々に彩られた平原の中に朳差小屋が立ち、その奥に山頂が見える。
 6時ごろ、朳差岳に登頂。達成感に満たされる。地神以南の峰々は相も変わらず雲の中で、主稜線を一望することは叶わないが、北股や本山の裾は遠く、歩いてきた道程を思い起こさせる。登頂を祝して「飯豊はいいとよ」と3人で叫ぶ。どこかの方言みたいだな。3連休の賑わいから一転、平日の朳差に人影はなく、叫び放題である。
 一頻り写真を撮影した後、小屋の前で雲に呑まれつつある縦走路を眺めながら休憩している間、油井さんは小屋内の先客と話をしていた。登山者の避難小屋の利用を研究している大学院生で、昨晩は貸切の朳差小屋に宿泊し、これから頼母木小屋に向かうのだそう。山はあまり好きじゃないらしい。不思議すぎる。
 大石山まで来た道を戻る。タクシーの配車を依頼し、足の松尾根を下る。上部はゆるやかで歩きやすい土の登山道で、登山道の歩き方や目に入る山なみについて話したりしながら調子よく高度を下げていく。進行方向にはずっと二王子岳が見えていた。2日目に大日から眺めた際にもその存在感に驚嘆したものだが、距離を縮め、標高を下げた今、一層大きく感じられる。いつか登る山リストに追加。
 四ノ峰、イチジ峰、ヒドノ峰を超える。いずれも顕著なピークではない。灌木帯を抜けて、あたりは明るいブナ林になった。稜線から離れるにつれて陽射しも届くようになり、とにかく暑くて参る。水分補給の回数が増え、歩くペースも落ちてくる。
 英三の峰を過ぎ、滝見場で休憩をとる。滝を見る余裕もなく座り込んで水をがぶ飲み。すっかり温まってしまったゼリーを飲んで一息ついてから、滝を見ると、なるほど立派だが、涼を感じるにはいささか遠い。
 木々の緑は色濃く、夏の訪れを実感する。うだるような暑さの中で、眼下の谷筋にはいまだに大量の雪が残っていて、目を疑う。冬にはどれほどの雪が積もるのだろう。
 登山口まではもうひと頑張り。登山道は複雑に木の根が絡んだ急坂に変わって、足の踏み場に気を遣う。ときおり現れる岩場と相まって、アスレチックのようでたのしい。が、マジで暑い。滝汗を流しながら下り続け、登山口まで辿り着く。林道の硬い路面に足裏をボコボコにされつつもなんとか3
km歩き、11時過ぎ、奥胎内ヒュッテに到着。日向に寝転がって服を乾かそうとしたが、当然そうしている間にも汗をかくため逆効果だった。愚かである。
 タクシーの車内はよく冷えていて、文明のありがたみを感じる。油井さんは一瞬で眠りに落ちていた。激しく船を漕ぐので首が心配になる。下関の道の駅に到着。奥胎内ヒュッテと標高は然程変わらないが、下界の暑さは質が違う気がする。温泉に入り5日分の汚れを落とす。米坂線代行バスに乗り込み、車窓からわずかに覗く朳差岳を眺めながら帰途についた。


■感想
CL佐藤
・はあぁ(感嘆のため息)。筆舌し難い素晴らしさ…。はああぁ。
・初複数泊CLに加えて、人生最大のコース定数、水の確保、雪渓通過、暑さなど不安要素の多い山行だったので、無事に下山できたことに安堵している。
・油井さんと北島くん、事前の情報収集も山中4日間もずっと支えられていました。夕日の美しさに気づかせてくれて感謝しています。
・飯豊の小屋番さんたちはよくしゃべる。特に北飯豊は登山者含め皆愉快。
・二王子岳と磐梯山と朝日連峰に行きたくなった。(p.s.10月に磐梯に行けました!)
・民度が高い。
・熱中症対策として朝食での塩分摂取が大事だと思った。しかし朝カップラーメンは消化できず胃が不快な状態で長坂を登る羽目になった。
・80まで健康体でいなきゃ。
SL油井
・思いつきの発言がまさか実現するとは
・山のベストシーズンに休みを取れる学部でよかった
・ハードな行程だったが色々と幸運に恵まれた、たまたまではなく自分たちが幸運を引き寄せているのだと思いたい
・2人ともお世話になりました、80歳の時に再訪する約束忘れないでね
・まったりできる静かな山域、このままであってほしい
・飯豊はいいとよー
◯北島
・最高でした。
・ゆっくり歩くよろこびに目覚めました。余裕があるって素晴らしい。
・つぎはイチゲの咲く朳差に来たい。
・60年後はもっと暑いのかな。秋がいいかも。