2025/9/21 Вихрен (Vihren/ヴィフレン)

Вихрен(Vihren)計画書 第二版
作成者:油井
■日程 9/21(日) 日帰り 予備日9/22 ※時差-6時間
■山域 ピリン山脈
■目的 登頂、異文化交流
■在京責任者 清野
■在京本部設置要請日時 現地時間 翌02:00(日本時間 翌日08:00)
■捜索要請日時     現地時間 翌07:00(日本時間 13:00)

■メンバー ( 1人)
 CL油井(45)

■集合
9/20 15:40 Sofia Ovcha Kupel Coach Station

■交通
□行き
9/20 15:49 Sofia Ovcha Kupel Coach Station-バス-18:37 Avtogara Bansko
※前日23時までキャンセル無料
Guest House ANEXに宿泊
※キャンセル不可
9/21 8:43 Hotel Kempinski-バス-9:21 Vihren Hut 12.00 leva
※早朝に小屋まで徒歩移動の可能性も残す(3時間半)

□帰り
14:20/18:00 Vihren Hut-バス-14:55/18:35 Hotel Kempinski 12.00 leva
17:27 Avtogara Bansko-バス-19:00 Blagoevgrad Central Bus Terminal
ALPHA family HOTELに宿泊
※9/20までキャンセル無料
※14:20発に乗れなければBanskoまで3時間歩き?

■行程(All Trailsに準拠、YAMAPの130%?)
Vihren Hut-(E4)-Kh.
Vihren-Kazanite-Premkata分岐-(E4)-Vihren-Premkata手前分岐-(巻道)-巻道分岐-(Kh.
Vihren-Kazanite-Premkata)-Kh. Bunderitsa-Premkata分岐-(Kh.
Vihren-Kazanite-Premkata)-Kh. Vihren-Kazanite-Premkata分岐-(E4)-Vihren
Hut(時計回り)
【5:00~5:30/7.6km/↑↓973m】
※12:15までに登頂できなければピストンに変更の可能性
※Mapyだと6:01

■エスケープルート
引き返すまたはそのまま下山
・帰りにバスを使わないのであればKh. Bunderitsa-PremkataでKhizha Būnderitsaに下山(1:31/2.7km)
そこからBanskoまで12km、3時間弱

■注意事項
・例年10月頭には積雪あり、つぼ足で行けないと判断したら撤退
・山頂北面の鎖場、上から見て危険であればピストンに変更
・いくらKonchetoがかっこよくても行かない

■個人装備
□サブザック □登山靴 □替え靴紐 □雨具 □防寒具 □帽子 □軍手/手袋 □タオル □水 □行動食 □非常食 □ゴミ袋 □ヘッドランプ
□予備電池 □エマージェンシーシート □地図 □コンパス □筆記用具 □遭難対策マニュアル □計画書 □学生証 □保険証 □現金(lev)
□常備薬 □マスク □消毒用品 □日焼け止め □パスポート □モバイルバッテリー □熊鈴 □救急セット

■共同装備
なし

■遭難対策費
100円×1名=100円

■悪天時
前日までに判断

■施設情報
□山小屋
・Vihren Hut
□避難小屋
・Kazana Shelter
□トイレ
・Vihren Hut
□水場
・Vihren Hut
・Kh. Vihren-Kazanite-Premkata分岐
・E4 2400m付近

■備考
□日の出日の入り(ヴィフレン山)
日の出 7:14
日の入 19:24
□連絡先等
◎警察、救急車、消防及び一般緊急連絡先:TEL112(固定・携帯両方対応)
Pirin National Park Tourist Information Centre:+359 0884-323-245
メール visitorcentre@pirinnationalpark.egov.bg 住所 2770 Bansko, 104 Pirin Street
営業時間 平日9:00-12:30, 13:00-17:30、土日休業
・在ブルガリア大使館 (国番号+359)(0)2-971-2708
emb-jp-bg@sf.mofa.go.jp
□時差:6時間(サマータイム期間中) 

Вихрен(Vihren/ヴィフレン)ハイク記録
作成者:油井
■日程 9/21(日) 日帰り 予備日9/22 ※時差-6時間
■山域 ピリン山脈
■天気 快晴
■メンバー
 CL油井(45)
■共同装備
なし

■総評
天候に恵まれ、バルカン半島第3の高峰からの眺めを堪能できた。見たことのない動植物や岩肌、聞いたことのない言語が新鮮で、海外山行ならではの楽しさを味わうことができた。ほどよく整備された登山道でヨーロッパの大自然を満喫できる山なのでブルガリアを訪れた際は是非登られることをお勧めしたい。

■タイムスタンプ
4:21 Pirin National Park Tourist Information Centre
4:46 車道出合
5:43 Ski Center Bansko
6:16 Banderitsa Hut
6:41-6:59 Vihren Hut
7:18 分岐
7:35 Bell on the Cross
8:20 稜線分岐
9:07-9:25 Vihren
9:53 巻道分岐
10:00 分岐
10:32 分岐
11:30 Banderitsa Hut
12:57 車道出合
13:21 Pirin National Park Tourist Information Centre
【9:00/26.0km/↑↓2065m】

■ルート概況
〈Vihren Hutまで〉
・メインの車道を進んで分岐を右手に進む
・砂利敷きの橋を渡るとゲレンデ
・ゲレンデの斜度は緩い
・ゲレンデ最上部にはヴィフレン小屋への道標あり
・ハイキングコースは明瞭、黄色いペイントを追っていく
・一部崩壊のため迂回路あり
・バンデリツァ小屋からは車道区間、登山客の車に注意
・再びハイキングコースとして独立、軽い渡渉もある
・ヴィフレン小屋には有料トイレあり
〈Vihren Hut〜Vihren〜Banderitsa Hut〉
・赤いペイントやケルンが頼り、間隔が広いところや踏み跡が錯綜しているところもあってやや分かりにくい

■山行記
 バンスコでブルガリアでの最初の朝を迎える。いや、まだ日の出まで3時間以上あるから朝を迎えに行った形だ。朝ごはんには早すぎるので歩きながら食べることにした。山で使わない荷物をメインザックに入れて玄関脇の荷物置き場(スキー用)に置き、サブザックを背負って暗闇へと足を踏み出した。雷鳥での海外ソロハイクは昨年のスイスOberrothorn
以来自身2度目だ。前回でソロハイクの精神的厳しさを存分に味わったというのに懲りない自分は一体どうなっているのだろうか。今回はそれほど観光地化されていない上に時間の都合でバスに乗らない判断をしたので日の出前に3時間も歩かなければならず、しんどい。幸いにもバンスコはデジタルノマドが集まるヨーロッパのリゾート地で治安は極めて良さそうだったが、人気の無い海外の夜道を独りで歩くのは怖い。バンスコ市街は最低限の街灯しかないので既に星が綺麗だ。オリオン座が高い位置にあり、冬が近づいていることを感じる。途中、世界遺産センター前を通過。今回登るピリン山脈は自然遺産に登録されていてこの施設はその玄関口となるわけだ。まだ朝4時なので開いているわけがないが、そもそも土日閉館らしい。なんともヨーロッパらしい。そこを過ぎてしばらくすると市街地は終わり、正真正銘の真っ暗闇だ。街灯もなければ車も通らないので、頼りになるのは自分のヘッデンだけ。独りなのは心細いが、逆にこんなところに誰も連れていかなくてよかったとも思う。
 バスに乗らないとはいえ、全区間車道を歩く必要はなく、一部車道に合流するものの並行してスキーゲレンデとハイキングコースが伸びている。ハイキングコースの情報が乏しくルーファイの自信がなかったので最上部までゲレンデを登り詰めて、そこからハイキングコースに合流することにした。初級コースのゲレンデであることは確認済みで、Googleマップにはハイキングコースとして記載されてもいる。幅広の砂利道で草もほとんど生えていないので歩きやすい。暗くてよく見えないが白や黄色の花も確認できた。登るに連れて向かい風が強くなっていく。寒い。麓の気温が10℃程度だったから体感温度は0℃近かったかもしれない。とはいえこの山行とトランジットで入国した極寒のモンゴル向けに寒さ対策は万全なので着込んで対応する。ゲレンデ最上部まで到達すると人はいないはずなのに明かりは付いていて不気味だ。ヴィフレン小屋方面の道標が立っており、ハイキングコースには迷うことなく合流できた。6時前と予定よりかなり早くハイキングコースに入ってしまったのでまだ真っ暗だ。ただ、コースは極めて明瞭で黄色いペイントも見つけやすい。緩い斜面をどんどん進み、バンデリツァ小屋で車道に合流した。車道区間ではたくさんの車に追い抜かれた。この先はヴィフレン小屋があるぐらいだからみんなヴィフレンに登るのだろう。登山者が多いのは今日ばかりはありがたい。声をかけてくれたら便乗しようと思ったが、みな素通りしてしまった。再びハイキングコースに入り、6:40頃にヴィフレン小屋まで到着。だらだらとした1000mアップなので3時間半はかかると見込んでいたがわずか2時間半で着いてしまった。今日は足の調子が良さそうだ。小屋前には熊や装備に関する注意書きが書かれているがブルガリア語なので当然読むことはできない。ただイラストで外国人にも分かるようにはなっていた。小屋内では宿泊者と思われる人たちが身支度をしている。自分もそれに混じって服装を調整し、入山。ちょうど日の出の時間で朝日を浴びたヴィフレンが美しい。上の方は草紅葉なのか黄金色に輝いている。ガレた登山道だが、よく歩かれていて歩きやすい。ペイントの数はやや控えめな一方踏み跡が多く、正規登山道の判別が難しい。周りの登山者はあまり気にしてなさそうだったが、なるべく正規ルートを辿るよう意識した。しばらく登ると分岐にあたる。当初の予定では時計回りの周回だったが、このペースで行けば時間があるのでエスケープに記載したルートでバンスコまで自力で降りることになるのでもうここには戻らないだろう。自分の周りは反時計回りに進む人が多かったので一気に人が減った。十字架が立っている展望スポットからは谷を挟んで反対側に聳える山がよく見える。こちらは上の方まで森林があって日本アルプスに似た景観だ。ちょうどその山の向こうから日が昇り、周りの草が輝いて見える。
 緩やかな登りが続き、高原のような場所に出る。少し高いところから見ると雲の平から見た水晶岳を思わせる景色に。ブルガリアでも山の景色には日本と通ずるものがある。日が当たると随分暑く感じられ、半袖になった。水は多いと思いながら2Lほど持ってきたが、それを飲み干しそうな勢いだ。とはいえまだ1本目、ブルガリアなのにトルコで買った水を飲んでいる。余談だが500mlの天然水はイスタンブールでは15円、ソフィアでは25円とやはり西に行くほど高いようだ。稜線に近づくとVihrenの綺麗な円錐形の山容が背後にちらつく。まるで火山のような見た目だが、全て大理石でできているので不思議だ。
 稜線に出るとそれまで隠されていたピリン山脈の山々が現れる。ヨーロッパらしい岩岩した山もあれば緑に溢れたもこもこした山もある。眼下には池が見えるがそのほとりに何やら蠢くものがある。目を凝らしてみるとヤギのようだ。こんなところで放牧しているはずもないので家畜化される前のヤギの原種だろうか。この動物は相当数生息しているようで山行中に十何匹と見かけた。最後の急登前の平場ではデジタルノマドの登山グループが休憩していた。ようやく英語話者との遭遇である。英語が通じる人とは会話を交わし、お互いに写真を撮りあった。先発した彼らを後ろから見ていると興味深いことにグループではあるが、登るペースはみんなバラバラ。前の人の後ろを付いていくこともなく、みんな思い思いに登っている。雷鳥や日本の団体登山とはまるで違う光景に驚いた。自分はその散り散りになった団体の一部を追い抜きながら、なるべく正規ルートを辿る。大理石のガレ場にはペイントが少なく、無数にある踏み跡から歩きやすそうな道を選ぶのがやっとだった。
 急登を越えると2914mの頂に到着。それほど広くない山頂には10人ほどが写真撮影のために待機していた。特に列はないので頃合いを見計らい自分も撮ってもらった。山頂からは北側にコンチェト尾根がどっしり構えているのが見える。折り重なる稜線は屏風のようだ。あそこのナイフリッジは写真を見る限り、技術的に行けないこともなさそうだったが、命が惜しいのでパスした。山頂は風が抜けて長居できそうになかったので20分ほどで後にした。山頂からは鎖場が続くので気を引き締める。ちょうど前に別団体がいたので様子を見つつ付いていった。鎖は斜めに付いているのでそれほど怖くはない。前の団体はそれほど鎖場に慣れていないようで自分が先に行くことになった。上からの落石が怖いのでささっと通過したが、下に行くにつれて鎖場の傾斜は急になり、そう簡単にはいかない。ストリートビューで予習していたが予想よりは手強かったというのが本音だ。とはいえヘルメットが必要なほどではないだろう。下りきると道は極めて不明瞭だが、正面に分岐が見えるのでそれを目印にジグザグにガレ場を下る。ついついスピードが出てしまい、危うく転びかけた。独りだとペースを管理できないのでやはり人と登るべきだと感じた。
 分岐からは稜線を離れて谷に向けて降りていく。太陽に向かって歩くことになるのでサングラスを着用した。目元が見えないとアジア人だと気付かれないようで、すれ違うブルガリア人からブルガリア語で話しかけられることがしばしばあった。ブルガリア人はシャイだと聞いていたが、それは英語に自信がなくて外国人に絡めないからではないかと思う。サングラスをかけている時とそうでない時で周りの接し方が随分変わったような気がする。ブルガリア人と交流したければ目元を隠すと良いかもしれない。冗談はさておき、せっかく話しかけてもらったもののブルガリア語の単語は何一つわからないので会話は成立しない。こちらが英語で応答してみると今度は向こうが分からないという素振りを見せる。ある時は家族連れが誤った方向に進んでいたので自分が通ってきた道が正しいことを伝えようと試みたのであるが、理解してもらうのにかなり苦労した。ここで必要になるのは言語能力ではなく、発想力と身体の表現力である。語学が苦手な自分には寧ろ好都合だったのかもしれない。
 先述したようにバスに乗って帰る必要がなくなったので次の分岐からバンデリツァ小屋へと直接下っていく。上裸で登っている人がいたが、良い天気なので脱ぎたくなる気持ちもよくわかる。登山道の大半はガレ場や草地だったが、一部砂地があって歩きにくかった。かなり下って樹林帯に復帰すると小屋も近い。朝には車が数台停まっていただけのバンデリツァ小屋前には日向ぼっこしている人もいればテラス席で食事をしている人もいてほんわかしている。これがブルガリアの休日か、と少し羨ましくも感じた。そこからは行きと同様のハイキングコースを今度は末端まで下る。途中スキー場(夏は射撃場)がある関係で道が錯綜していて間違えたがすぐに戻ることができた。刈り払われてはいたが末端部は道幅がやや狭く、真っ暗な中登らなくて正解だった。最後はゲレンデに合流し、たくさんの人を抜かしながらついに車道へと帰還した。ここで下山、ということにしたのだが、行きは暗くて見えていなかっただけでその先も一部車道と並行してハイキングコースが存在したのでそれを利用した。幸い?在京はまだ下山連絡を見ていなかったので市街地に出てから再度下山完了を伝え、9時間で累積標高2000mの弾丸登山は終了となった。
 ブルガリアにはなかなか行く機会はないかもしれないが、訪れた際には是非登ってみてほしい一座である。バラ、ヨーグルト、正教会など魅力的なものはたくさんあるが、登山でしか感じ取れない文化もあるはずである。孤独感よりも得たものが大きかったからこそ、懲りずに行ってしまうのだろう。

■参考
ブルガリア遠征を実施するにあたってお世話になったアプリなどを紹介する。
・Mapy:地図アプリ。ハイキングコースを網羅しており、経路検索にも引っ掛かる。
・All Trails:登山アプリ。王道のコースを確認することはできるが、無料版ではルート設計ができないので現地では使わなかった。
・YAMAP:安心安全のYAMAP。ログを取った。
・Google Map:ストリートビューで予習。なぜか今回の登山道はほぼ全て網羅されていた。国内外問わずルート概況を確認するのには一番有効かもしれない。
・Влак БГ:国鉄の乗り換え案内アプリ。英語表示可能。チケット購入はできないのでweb版または窓口を使うことになる。地方の駅にも有人窓口はあった。
・Obilet:トルコのバス検索アプリ。ブルガリアの都市間バスのチケットも購入可能だが、手数料が上乗せされているかもしれない。英語版のwebチケットを見せるとブルガリア語で捲し立てられたのでブルガリア語表示にして見せよう。窓口購入が無難だが、人気の路線は夜まで満員のこともあるので事前に英語を見て予約できるこのアプリが優秀。バスの運転手に対してはめげずに説き伏せよう。

英語がほとんど通じない国とはいえ、リゾート地であるバンスコの宿泊施設・飲食店は基本的に大丈夫だろう。アジア人は珍しいはずだが、それほど自分に興味がなさそうだったので落ち着いて観光できた。自分はイスタンブールからLCCで入国した。トルコからであれば夜行列車・夜行バスも利用可能。

■感想
CL油井
・我ながら良いチョイスだったと思う
・翌日に響くロングコースだったが、良い経験になった
・ブルガリア料理は薄味だが野菜が美味しい!
・東欧はヨーロッパなのに物価が安い!おすすめです