谷さんから頂きました。岡嶋さん(17期)のページのままです。
**知床半島先端部 ルート状況他**
ルート状況
- ルサ川、ルシャ川、コタキ川
- 状況:
- 全般的に遡行技術として特段に困難な箇所はない。留意すべき部分はは各々
次の通り。
- ルサ川:二股、および詰め上がりのルート取り
- ルシャ川:特になし
- コタキ川:320m付近大岩からの高巻のルート、及び詰め。三股からのルート
は中股から大滝を巻き、ハイマツを漕いで知床岳に詰め上がるのが一般
的だが、右股から早く主稜線に出るのも一案。但し、視界が無い場合の
稜線でのルート取りが難しいだろう。
- 反省:
- 溯行中にザイルを出す必要もなく、また高巻も問題無く順調だった。情報の
少ない右股からの詰めも、ルートとしては困難ではなく妥当であったと思う。
- 知床岳以北の稜線のトレース状況
- 状況:
- 確実なトレースが期待できるのは以下の区間
- 知床岳〜知床小沼〜知床沼〜ポロモイ岳手前884mピーク
- ウィーヌプリ手前コル〜知床岬直前
その他の区間は獣道を中心に薄いトレースらしきものを基にハイマツ、笹を
漕ぐ必要がある。
- 反省:
- 一番の失策は1182ピークの誤認による知床小沼へのタイムロスであった。初
歩的なミスであり、恥ずかしい限り。以後は特に問題無し。多少時間を犠牲に
しても、現在地把握とルート取りに充分な注意を払うべき。
- 知床岬からの海岸線の状況
- 状況:
- 基本的に海岸線を辿るが、海に突き出した岩場のついて、その多くは巻き道
がつけられ、トレースとともに一部残置ロープがある。しかし、急峻で状態は
良くなく、マークがある訳ではないので充分注意する必要がある。
- また、メガネ岩はじめ2、3箇所は巻き道が無いため干潮時のみ、通過可能と
なる。事前に潮汐情報をチェックの上、海が荒れていないことが必要。一般に
夏より秋のほうが海が荒れるとのこと。
- 尚、知床岳への登路となっているウナキベツ川河口〜相泊間については巻道
もあり、潮によらず通行可。
- 反省:
- 夏季、岬を目指す人が多いことから、適宜ルートができていると判断、特に
情報収集を行わなかった点。状況が把握できていれば、効率的な行動ができた
ように思う。今回の帰路については、潮汐、天候に恵まれた結果だと思う。
ヒグマ関連事項
- 現地情報収集:
- 現地到着後、各ビジターセンター等を訪れ情報の収集を行う予定であったが
計画書提出に訪れた羅臼駐在所で、本年のヒグマによる傷害・死亡事故は報告
されていないことを確認できたため省略。基本的に、ヒグマの生息域に立ち入
るため、「出会わないことなどない」とのこと(当然である)。
- 対策:
- ホイッスル、熊鈴の他に対熊スプレーを携帯する予定であったが、連絡ミス
により入手できず割愛(もっとも、接近遭遇時に2〜3mの距離で冷静にヒグマの
顔面めがけてヒットさせるだけ冷静でいられるか、自信がありません)。代り
に爆竹を用意したが、これは逆効果である、というのが近年の定説なので使用
しないこととした。
- 入山中:
- 行動中、特にヒグマの痕跡のある場所では、ホイッスル、大声を頻繁に発し
人間の存在を伝えることにした。また、各河川河口付近では溯上する鮭を捕獲
するらしく、多くの食べカスが見られ、このような場所での幕営を避けた。
テントを離れての食事及び食糧保管は困難であるため、行わなかったが、ゴ
ミ等の管理は臭気を出さないように注意を払った。
- 結果:
- 結果として、多くのヒグマの痕跡を目撃したがヒグマそのものは目撃できな
かった。先の対策によるものか、好運だったのか、それとも我々が彼らの気配
に気づかなかっただけなのかは判別できないが、少なくとも行動中の我々の対
策については誤ったものではないと思われる。
- しかし、事前の各ビジターセンター等での情報収集は必須と考えたい。今回
の反省事項である。
- 情報:
- 最近の知床のヒグマに関する情報は
知床サイト(http://www.muratasystem.or.jp/~kukuma/shiretoko/welcome.htm)等を参照のこと。